JP3684890B2 - 拡張カテーテル用拡張体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は拡張操作を目的とする治療や手術に使用される拡張カテーテルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
拡張カテーテルは、主に、狭窄、または閉塞した体内通路に対しての体内通路形成療法に用いられている。この治療方法においてはカテーテルの拡張体部は患者の体内通路を経て狭部位中に挿入されそこで圧力流体を内部に導入することにより拡張され、狭窄、または閉塞した管部を拡張治療する。一般に拡張カテーテルはチューブ状の本体とその全長に沿った位置に圧力を導入することによって拡張可能であるような拡張体を有する形状をとっている。拡張カテーテルは主に治療対象の血管などの体内通路に沿って挿入され治療箇所で拡張体に圧力導入されることで拡張治療が行われる。
【0003】
拡張体に最小限必要な性質としては、十分な耐圧性を有すること、あらかじめ定められた拡張圧力に対する拡張外径の関係(膨張特性)を有することであり、概ね4気圧(約0.4MPa)から10気圧(約1MPa)の各定めた公称圧力に対する拡張外径が公称拡張値として表示されている。使用に際しては治療部位であるところの体内通路径に応じて公称拡張値および膨張特性を参考に拡張体を搭載した拡張カテーテルとその治療拡張圧が選択されることは一般の体内通路形成術として広く知られている。さらには拡張時に曲がった体内通路に追随できるように拡張体の円周方向と軸方向の強度バランスが計算されていること、拡張治療後に減圧された時点で良好な折り畳み性を有していることがさらに好ましい。また、形状的には拡張体直管部の肉厚は折畳まれたとき小さな外径を有するようになるべく薄い方が好ましく、直管部の両端の円錐部分の肉厚も同じ理由により、加えて再使用時の病変部再突入性を良くするためになるべく薄い方が好ましい。また、カテーテルのチューブ本体との接続部分となる円錐部分の両端のスリーブ部分に関してもカテーテルの柔軟性、細さを損なわないために可能な限り薄い方が好ましい。拡張体の折り畳み形状保持性に関しては拡張体の壁肉厚がある程度厚い方が有利であるため、低強度材料−厚肉拡張体が比較的良好な折り畳み形状保持性を有しているが材料強度が弱いため拡張体の強度が充分でなく、高強度材料を厚肉化すると折り畳んだ際のカテーテル拡張体部分の柔軟性が全く失われ意味をなさなくなり、それらのバランスをとることが好ましい。
【0004】
拡張カテーテル拡張体としてこれまで使用、または提案されている材料としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリビニルアセテート、アイオノマー、ポリ塩化ビニール、ポリアミド、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等があげられる。
【0005】
ポリエチレンテレフタレート(PET)材料は強度が強いことから特公昭63−26655、特公平3−37941に示されているように薄膜、高耐圧の拡張体が形成可能であり、圧力に対する拡張体径の変化が少ないという低膨張特性を有する拡張体材料として代表的な物である。しかしそのガラス転移点が60℃以上であるため室温、体温付近で用いられた場合には拡張体自体が堅く、拡張した際には体内通路に対する追随性が悪く、高圧で拡張を行った場合には治療対象部を損傷する危険が高かった。また折り畳み性が悪く、折り畳んだ際に拡張体がカテーテル本体に沿って翼状に形取る性質を有し、狭い治療対象体内通路に挿入する際には不利であった。さらに同様にガラス転移点が高く室温、体温付近で拡張体が過度の結晶状態をとっていることから皺が取れにくく、皺の部分でピンホール破壊を起こしやすいという問題が存在した。ポリアミド材料から成形された拡張体はPET材料に匹敵するほどの高耐圧性、低膨張特性を有し、しかもある程度の柔軟性を持っているためPETバルーンの不利な点であった折り畳み時の翼状形態化、ピンホール破壊性は若干改善されている。しかしポリアミド材料は材料の引っ張り強度が高いため壁厚を薄く作られることが多く、カテーテル周囲に折り畳んだ際の形状保持性が悪い場合が多く、拡張後の再折り畳み性はほとんどみられなかった。
【0006】
ポリエチレン、ポリビニルアセテート、アイオノマー、ポリ塩化ビニールおよびそれらの共重合体、混合体から成形されたバルーンは材料強度が比較的弱いため高膨張特性であり、耐圧的に低いものしか得られず、また求められる拡張圧に耐えられるようにするために拡張体壁厚を増さざるを得ない。壁厚が増すことで折り畳み性は良く、再折り畳み性も良かったが、拡張体をカテーテル本体に沿って折り畳んだ際にはかさばりやすく不利であった。
【0007】
それらの材料からなる拡張体の性質を改善するために近年、充分な強度を有し、かつ柔軟性があるために優れた材料であるブロックコポリマーである熱可塑性エラストマー材料からなる拡張体が提案され、特表平04−500024、特開平06−304920、特開平09−56806ではポリウレタン系熱可塑性エラストマーに関して、特表平09−509860ではポリアミド系熱可塑性エラストマーに関してそれぞれブロックコポリマーである熱可塑性エラストマーが拡張体に有利に適用されることが開示されている。特表平04−500024では限定された制限された膨張を行うことができ且つ拡張操作中に受ける圧力に満足に耐えられるようにショア硬度75D以上、ガラス転移点38℃以上ポリウレタン中のポリオールの重量割合が約2〜約25重量%であるポリウレタン材料から約0.7MPaの圧力まで拡張体の径が変化しない著しい低膨張特性を有した拡張体が提示されている。特開平06−304920ではショア硬度74D以上、極限伸び率250%であるポリウレタン材料から5%〜20%の膨張性(公称値から約1MPaへ圧力を上昇させた場合の拡張体外径膨張率)と拡張体壁の引張強さ14000psi(約95MPa)以上を有する拡張体が提示されている。また、特開平09−56806ではガラス転移点が−50〜37℃であるポリウレタン材料より膨張時外径が最大で45%である高膨張特性を有した拡張体が提示されている。特表平09−509860ではショア硬度60D以上のポリエーテル成分を5%〜50%含み極限伸びが300%以上であるポリアミド系熱可塑性エラストマー材料より膨張圧を6気圧から12気圧まで増加させたとき拡張体の径の膨張が7%以上であるような拡張体が提示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上に示してきたように拡張体材料として熱可塑性エラストマーを含む数多くの材料が提案されているが、一方で治療部位に対して望まれる拡張体の膨張特性は一定ではない。つまり、高度に石灰化が進行したような比較的高圧での拡張が要求される治療部位には圧力の変化に対して比較的径変化の小さい低膨張性の拡張体を、治療範囲がある程度の広範囲にわたり径変化が大きい病変部位にはそれらにサイズ的に対応可能なように圧力に対して比較的径変化の大きい高膨張性の拡張体が望まれる。しかし、同種の材料で低膨張性、高膨張性の拡張体を作製するのは困難で、製品として上記2種類の膨張特性を持った拡張カテーテルをつくるためには多種の拡張体材料およびそれらに対応するように最適化されたシャフト用の材料、接着剤等を選択しなければならず、工業生産的に非常に不利であった。
【0009】
また、これまでの拡張体成型に関しては原料チューブ状部材からブロー延伸加工によって成形されていたがその適切な延伸倍率の幅は狭く、好ましい拡張体を得るためには原料チューブ状部材の寸法形状、チューブに加工した際の特性を厳密にコントロールする必要があった。すなわち、ある原料チューブから所定のサイズの拡張体を成形しようと試みるとその厚さ、膨脹特性、耐圧性がほぼ自動的に決まり、その制御幅が狭かったことから、好ましい拡張体を得るためには原料チューブ状部材を最適化するためには大きな手間がかった。また、一方で拡張体は統計的に安定な耐圧性、精密な膨脹特性が求められるために原料チューブにわずかな変動、狂いが生じた場合にも拡張体として求められる統計的に安定な耐圧性、精密な膨脹特性が保証できなくなる場合があり、それらの変動、狂いを成形で吸収可能なような、成形条件で拡張体の性質をある程度コントロール可能なような拡張体が求められていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する手段はポリオール成分を含む熱可塑性ポリウレタン樹脂から成形された拡張カテーテル用拡張体であって、ポリウレタン中のポリオール成分の重量比率が25%より大きく、該ポリウレタンのショア硬度が75Dより大きく79Dより小さく、伸びが250%より小さく、ガラス転移点が37℃より小さいことを特徴とする拡張カテーテル用拡張体であり、単一、または少種の原料チューブ状部材から異なる性質を有した拡張体を安定的に製造することが可能であることから上記課題を解決するものである。また、本発明の好ましい態様においては、熱可塑性ポリウレタンがポリオール成分を含み、ポリウレタン中のポリオール成分の重量比率が25%より大きいことである。また、熱可塑性ポリウレタン樹脂からなるチューブ状パリソンを型内に配置し、軸方向の延伸後に、パリソンを径方向へ膨張変形させて円周方向へ延伸を加えて拡張体を成形するのである。
【0011】
このように、大きい膨張特性の制御幅を与えられ、特にある程度の膨張特性を有しながら、薄肉、高耐圧の拡張体を提供でき、柔軟な拡張体であることから既存の拡張体と比較しても総合的にバランスがとれた優れた拡張体を提供可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、医療器具用拡張体において望ましい特性を有する特定の材料からなる拡張体に関するものであり、それらの諸特性、ショア硬度はJIS K7311またはASTM2240に、伸び(極限伸び)はJIS K7311またはASTM412に示される方法によって測定可能であり、ガラス転移点は既存のDSC測定装置を用いて、ポリウレタン中のポリオール成分の重量比率は既存のH−NMRのスペクトル分析装置によって測定可能である。
【0013】
本発明で使用されるポリウレタン樹脂はショア硬度は75Dより大きく、82Dより小さいことが必要で、さらには75Dより大きく79Dより小さいことが好ましい。伸びは250%より小さいことが必要で、220%より小さいことがさらに好ましい。また、ガラス転移点は37℃より低いことが体温での使用時において柔軟性を示すことから必要である。
【0014】
本発明による医療用拡張体は、バルーンに成形されるのに適切な材質、直径、肉厚であるチューブ状パリソンを型内に配置し、ブロー成形して製造された。拡張用カテーテルに用いる拡張体部分は拡張時にかけられる内圧に対して十分な強度を与えるためブロー延伸加工によって作られるが、ブロー成形の前にチューブの軸方向へ延伸を加えておくとより好ましい。また、軸方向の延伸後に、チューブ状パリソンの比較的低温状況下で高内圧を加え、パリソンを径方向へ最終的な拡張体外径より小さい径へ膨張変形させておく操作を加えることが好ましい。チューブは、軸方向への延伸後に、ブローされて円周方向へ延伸を加えられて拡張体に成形される。また、ブロー後には必要に応じて拡張体の形状と寸法を固定するため、または強度を増すために熱固定処理が行われる場合がある。
【0015】
【実施例】
以下に本発明による代表的な実施例について説明する。
【0016】
(実施例1)
ショア硬度が77.5D、ガラス転移点が−9℃、極限伸びが220%、ポリウレタン中のポリオール成分の重量比率が27%であるようなポリウレタン系熱可塑性エラストマー(日本ミラクトラン製ポリウレタン樹脂E381PSKL)から外径0.95mm、内径0.44mmであるような拡張体の原料チューブ状部材を押出成型器により作製、55℃に温調された金型内で軸方向に約1.3倍に延伸した上で内部に約3.5MPaの圧力を導入、円周方向に外径がもとの原料チューブ部材の約2倍になるように、拡張体に成形する箇所を膨張変形させた。次に別の内径約3.0mmの円筒空間を有した金型内に膨張変形させた該原料チューブをセットし、約104℃の温度に加熱、内部に2.2MPaの圧力を導入し拡張体を成形した。金型冷却後拡張体を取り出し公称拡張値3.0mmの拡張体を得た。この拡張体の円筒部分の厚さは0.025mm、円錐部両端の円錐部分の中央部分の厚さは0.033mm、遠位側スリーブ部分の厚さは0.065mmであった。
【0017】
(実施例2)
実施例1と同一の原料チューブ部材を55℃に温調された金型内で軸方向に約1.5倍に延伸した上で内部に約3.5MPaの圧力を導入、円周方向に外径がもとの原料チューブ部材の約2倍になるように拡張体に成形する箇所を膨張変形させた。次に別の内径約3.0mmの円筒空間を有した金型内に膨張変形させた該原料チューブをセットし、約104℃の温度に加熱、内部に2.2MPaの圧力を導入し拡張体を成形した。金型冷却後拡張体を取り出し公称拡張値3.0mmの拡張体を得た。この拡張体の円筒部分の厚さは0.021mm、円錐部両端の円錐部分の中央部分の厚さは0.028mm、遠位側スリーブ部分の厚さは0.057mmであった。
【0018】
(実施例3)
実施例1と同一の原料チューブ部材を55℃に温調された金型内で軸方向に約1.9倍に延伸した上で内部に約3.5MPaの圧力を導入、円周方向に外径がもとの原料チューブ部材の約2倍になるように拡張体に成形する箇所を膨張変形させた。次に別の内径約3.0mmの円筒空間を有した金型内に膨張変形させた該原料チューブをセットし、約104℃の温度に加熱、内部に2.2MPaの圧力を導入し拡張体を成形した。金型冷却後拡張体を取り出し公称拡張値3.0mmの拡張体を得た。この拡張体の円筒部分の厚さは0.018mm、円錐部両端の円錐部分の中央部分の厚さは0.025mm、遠位側スリーブ部分の厚さは0.058mmであった。
【0019】
(比較例1)
ショア硬度が64D、極限伸びが380%であるようなポリウレタン系熱可塑性エラストマー(Themedics社製ポリウレタン樹脂TecothaneTT1065)から外径0.75mm、内径0.30mmであるような拡張体の原料チューブ状部材を押出成型器により作製、55℃に温調された金型内で軸方向に約1.2倍に延伸した上で内部に約3.5MPaの圧力を導入、円周方向に外径がもとの原料チューブ部材の約2.5倍になるように、拡張体に成形する箇所を膨張変形させた。次に別の内径約3.0mmの円筒空間を有した金型内に膨張変形させた該原料チューブをセットし、約101℃の温度に加熱、内部に2.4MPaの圧力を導入し拡張体を成形した。金型冷却後拡張体を取り出し公称拡張値3.0mmの拡張体を得た。この拡張体の円筒部分の厚さは0.024mmであった。
【0020】
(比較例2)
ショア硬度が74D、極限伸びが350%であるようなポリウレタン系熱可塑性エラストマー(日本ミラクトラン社製ポリウレタン樹脂ミラクトラン E574)から外0.93mm、内径0.47mmであるような拡張体の原料チューブ状部材を押出成型器により作製、55℃に温調された金型内で軸方向に約1.9倍に延伸した上で内部に約3.0MPaの圧力を導入、円周方向に外径がもとの原料チューブ部材の約2倍になるように、拡張体に成形する箇所を膨張変形させた。次に別の内径約3.0mmの円筒空間を有した金型内に膨張変形させた該原料チューブをセットし、約104℃の温度に加熱、内部に2.4MPaの圧力を導入し拡張体を成形した。金型冷却後拡張体を取り出し公称拡張値3.0mmの拡張体を得た。この拡張体の円筒部分の厚さは0.030mmであった。
【0021】
(比較例3)
ショア硬度が76D、極限伸びが380%であるようなポリウレタン系熱可塑性エラストマー(Dow Chemical社製ポリウレタン樹脂Pellethane 2363−75D)から外0.75mm、内径0.30mmであるような拡張体の原料チューブ状部材を押出成型器により作製、55℃に温調された金型内で軸方向に約2.0倍に延伸した上で内部に約2.0MPaの圧力を導入、円周方向に外径がもとの原料チューブ部材の約2.5倍になるように、拡張体に成形する箇所を膨張変形させた。次に別の内径約3.0mmの円筒空間を有した金型内に膨張変形させた該原料チューブをセットし、約104℃の温度に加熱、内部に2.4MPaの圧力を導入し拡張体を成形した。金型冷却後拡張体を取り出し公称拡張値3.0mmの拡張体を得た。この拡張体の円筒部分の厚さは0.022mmであった。
【0022】
(比較例4)
ショア硬度が82Dであるようなポリウレタン系熱可塑性エラストマー(Themedics社製ポリウレタン樹脂Tecoplast TP−470)から外0.75mm、内径0.30mmであるような拡張体の原料チューブ状部材を押出成型器により作製、内径約3.0mmの円筒空間を有した金型内にセットし、約150℃の温度に加熱、内部に2.5MPaの圧力を導入し拡張体を成形した。金型冷却後拡張体を取り出し公称拡張値3.0mmの拡張体を得た。この拡張体の円筒部分の厚さは0.020mmであった。
【0023】
図1に本発明の実施例1、2、3の拡張体の膨張特性を表した図を示す。図1から示されるように、本発明の実施例1、2、3は同一の原料チューブ状部材から成形されたにもかかわらず、図1に示されるように非常に広い範囲の膨張特性を示した。これは、拡張カテーテルに求められる用途、性質に応じていちいち材質種、原料チューブ状部材のサイズを変える必要なく、ある程度の自由度を持って拡張体を成形可能であることを表しており工業的に非常に有利であることを示すものである。
【0024】
また、本発明の拡張体、実施例1、2、3を、本発明の範囲外のポリウレタン樹脂から成形された拡張体である比較例1、2、3、4と高膨張特性を有する市販のポリエチレン製の公称値3.0mmの拡張体(比較例5)と、低膨張特性を有する市販のポリエチレンテレフタレート(PET)製の公称値3.0mmの拡張体(比較例6)と37℃において内圧を加えて破壊して比較したデータを表1に示す。ここで用いる拡張体の計算強度は以下に示す既存の管状体にかかる内圧の方程式より求めた。
【0025】
強度δ=P・D/2T
P:拡張体に加えられた内圧力(kgf/cm2)
D:拡張体初期直径(2kgf/cm2での径(mm))
T:拡張体肉厚(mm)
また、コンプライアンスとは単位圧力(1kgf/cm2)あたりの拡張体の直径増加を示す。表1に示すように本発明の実施例1〜3はコンプライアンスが0.012から0.039までと、低膨張特性に近い範囲から高膨張特性の範囲までの広い範囲にコントロール可能で、かつ充分な破壊強度を有していた。
【0026】
本発明の範囲外のポリウレタン樹脂から成形された拡張体である比較例1、2、3、4に関して、比較例1はコンプライアンスが拡張カテーテルに用いるには大きすぎ、また、拡張時に径方向のみだけでなく、軸方向へも非常に大きい変形が観られ、拡張カテーテルに用いるには不適当であった。
【0027】
比較例2は、大きいコンプライアンスを有する高膨張特性拡張体が得られたが、比較的小さなコンプライアンスを示す低膨張特性拡張体は作成不可能であった。また、比較例1より軽程度であったが、拡張時に径方向のみだけでなく、軸方向へも大きい変形が観られ、拡張カテーテルに用いる場合には不都合であった。
【0028】
比較例3も、大きいコンプライアンスを有する高膨張特性拡張体が得られたが、比較的小さなコンプライアンスを示す低膨張特性拡張体は作成不可能であった。また、拡張時に径方向のみだけでなく、軸方向へも大きな変形が観られ、拡張カテーテルに用いる場合には不都合であった。
【0029】
比較例4は、約1MPaの圧力でコンプライアンスが急激に大きくなり、一定のコンプライアンス特性を示さず、破壊圧力も低いため拡張カテーテル用の拡張体として用いるには不適当であった。
【0030】
また、本発明による実施例1〜3の拡張体の厚さは市販の高膨張特性を有するポリエチレン製の拡張体(比較例5)と比較して充分薄いにもかかわらず破壊圧力は上回っており、また拡張体自身も柔軟であることから総合的に優れていた。
【0031】
市販の低膨張特性のPET製の拡張体(比較例6)と比較すると、市販のPET製の拡張体は拡張体自体が堅い、拡張した際には体内通路に対する追随性が悪い、また折り畳み性が悪い、折り畳んだ際に拡張体がカテーテル本体に沿って翼状に形取る、皺の部分でピンホール破壊を起こしやすいという問題が存在するが、本発明による拡張体である実施例1〜3の拡張体は厚さ的には厚いが、すべて耐圧性を備えながらも柔軟性を有していることから上記問題は発生せず総合的に優れた拡張体であった。
【0032】
以上の実施例に示されるように本発明では同一材料種、同一形状の材料よりこれまで不可能だった異なった膨張特性を有する拡張体を容易に製造可能である。また、拡張体成形時の成形条件範囲が広いので安定的な拡張体の製造が可能である。また、本発明は拡張体として好ましい低膨張特性から高膨張特性の幅を有しながら、薄肉、高耐圧、柔軟性に富む、バランスがとれた優れた拡張体が提供される。
【0033】
【発明の効果】
本発明による拡張体は同一材料種、同一形状の材料よりこれまで不可能であった異なった膨張特性を有するように製造可能であり、拡張体成形時条件による拡張体特性の大きいコントロール幅を有しているので工業的に有利である。また、拡張体として好ましい低膨張特性から高膨張特性の幅を有しながら、薄肉、高耐圧、柔軟性な、バランスがとれた優れた拡張体が提供される。
【0034】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例中の拡張体の特性を表す図である。
Claims (2)
- ポリオール成分を含む熱可塑性ポリウレタン樹脂から成形された拡張カテーテル用拡張体であって、ポリウレタン中のポリオール成分の重量比率が25%より大きく、該ポリウレタンのショア硬度が75Dより大きく79Dより小さく、伸びが250%より小さく、ガラス転移点が37℃より小さいことを特徴とする拡張カテーテル用拡張体。
- 熱可塑性ポリウレタン樹脂からなるチューブ状パリソンを型内に配置し、軸方向の延伸後に、パリソンを径方向へ膨張変形させて円周方向へ延伸を加えて成形してなる請求項1記載の拡張カテーテル用拡張体。
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