JP3684784B2 - 画像処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子写真複写機やプリンター等の画像形成装置に使用される画像処理装置に関し、特にデジタル画像を処理する画像処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電子写真複写機やプリンター等の画像形成装置においては、複写やプリントすべき画像の多様性等に鑑みて、文字画像ばかりでなく、写真画像等の中間調画像をも良好に再現することが要求されてきている。
【0003】
かかる画像形成装置において、中間調の画像を再現する方法としては、例えば、パルス幅変調(PWM)方式が知られているが、露光ビームの1ドット当たりの露光時間を制御する方式では、クロックレートが高速になると、パルス幅が狭い低濃度部では、PWM変調器による画像露光から現像に至る段階で、画像に応じたパルスが消滅したり現像されなかったりするため、入力データに対するパルス幅は、図3に示すように、低濃度部がリニアに再現できないという問題点があった。かかる問題点は、同様の理由から、パルス幅が広い高濃度部でも生じていた。
【0004】
そこで、かかる問題点を解決し得る技術としては、例えば、特開平3−159758号公報や特開平3−110972号公報等に開示されたものが既に提案されている。上記特開平3−159758号公報に係る画像形成装置は、入力データに基づいてビーム光を発生し、該ビーム光を感光体に照射することで可視画像を形成する画像形成装置において、多値画像データを入力する入力手段と、該入力手段で入力した多値画像データに応じて濃度階調データを生成する濃度生成手段と、該濃度生成手段での濃度階調データに基づいて前記ビーム光の照射時間と露光強度とを使い分けて制御を行う制御手段と、該制御手段で制御されたビーム光を前記感光体に照射する照射手段とを備えるように構成したものである。
【0005】
また、上記特開平3−110972号公報に係る画像記録装置は、多値画像データを基にして中間調画像を形成する面積変調手段と、該面積変調手段からの出力に従って画像記録を行う記録手段とを有する画像記録装置であって、前記中間調画像を形成する際の最小変調面積の短辺側の長さを粒子状インク材の平均粒径の0.7〜4倍とするように構成したものであり、前記面積変調手段としては、例えば、パルス幅変調により変調するものが用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記特開平3−159758号公報に係る画像形成装置の場合には、制御手段によって、低濃度部においては出力パルス幅を一定にし、レーザー光量の強度を調整するように制御することにより、低濃度部の階調を再現可能としたものであるが、レーザー光量の強度調整は、アナログ的な要素を多く含むため、電圧変動等の影響を直接受けやすく、濃度調整の安定性に欠けるという問題点を有している。
【0007】
また、上記特開平3−110972号公報に係る画像記録装置の場合には、中間調画像を形成する際の最小パルス幅等によって決定される最小変調面積を、一定値以上になるように設定したものであるが、現像できる最小変調面積を決定する最小パルスとパルスを出力しない時では、出力される濃度差が大きくなり、リニアに階調を表現することができないばかりか、入力に対する出力の平均濃度を維持することができないという問題点を有している。
【0008】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、デジタル的に処理することにより、濃度調整の安定性に優れ、かつ低濃度部及び高濃度部において、リニアに階調を表現することができるのは勿論のこと、入力に対する出力の平均濃度を維持することが可能な画像処理装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、この発明は、基本的に、入力された画像濃度データを当該画像濃度データに応じた濃度情報を有する信号に変換するための画像データ処理を行う画像処理装置において、前記画像濃度データを濃度情報を有する信号に変換する際リニアに変換可能な領域に、当該画像濃度データが含まれるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段によって前記画像濃度データがリニアに変換可能な領域に含まれると判別された場合には、当該画像濃度データをそのまま出力し、前記判別手段によって前記画像濃度データがリニアに変換可能な領域に含まれないと判別された場合には、当該画像濃度データの代わりに所定の濃度データを出力するとともに、当該画像濃度データと所定の濃度データとの差分を、少なくとも次に入力する画像濃度データに割り当てるように補正する補正手段とを備えるように構成したものである。
【0010】
かかる発明によれば、判別手段によって入力する画像濃度データがリニアに変換可能な領域に含まれるか否かを判別し、前記判別手段によって前記画像濃度データがリニアに変換可能な領域に含まれると判別された場合には、補正手段によって画像濃度データを何ら補正することなく、そのまま出力する。一方、前記判別手段によって前記画像濃度データがリニアに変換可能な領域に含まれないと判別された場合には、補正手段によって、当該画像濃度データの代わりに、例えばリニアに変換可能な領域に一番近い所定の濃度データを出力するとともに、当該画像濃度データと所定の濃度データとの差分を、少なくとも次に入力する画像濃度データに割り当てるように補正することにより、入力する画像濃度データがリニアに変換可能な領域に含まれない場合でも、当該画像濃度データを、例えばリニアに変換可能な領域に一番近い所定の濃度データに補正することによって、入力する画像濃度データのリニアな変換特性を維持することができるとともに、例えばリニアに変換可能な領域に一番近い所定の濃度データに補正したことによる差分を、補正手段によって、少なくとも次に入力する画像濃度データに割り当てることにより、入力する画像濃度データと変換された信号との差分を、次に入力する画像濃度データで補正することができ、入力に対する出力の平均濃度を維持することが可能となる。
【0011】
ところで、この請求項1に記載の発明は、入力された画像濃度データを当該画像濃度データに応じた濃度情報を有する信号に変換するための画像データ処理を行う画像処理装置において、前記画像濃度データを濃度情報を有する信号に変換する際リニアに変換可能な領域に、当該画像濃度データが含まれるか否か、及び当該画像濃度データがリニアに変換可能な領域に含まれないと判別した場合には、更にリニアに変換可能な領域以外の第1又は第2のいずれの領域に含まれるかを判別する判別手段と、前記判別手段によって前記画像濃度データがリニアに変換可能な領域に含まれると判別された場合には、当該画像濃度データをそのまま出力し、前記判別手段によって前記画像濃度データが第1の所定領域に含まれると判別された場合には、当該画像濃度データの代わりに第1の所定の濃度データを出力するとともに、前記判別手段によって前記画像濃度データが第2の領域に含まれると判別された場合には、当該画像濃度データの代わりに第2の所定の濃度データを出力するとともに、当該画像濃度データと第1又は第2の濃度データとの差分を、少なくとも次に入力する画像濃度データに割り当てるように補正する補正手段とを備えるように構成したものである。
【0012】
かかる請求項1に記載の発明によれば、上述した発明と同様の作用・効果を得ることができるのは勿論のこと、判別手段によって、前記画像濃度データを濃度情報を有する信号に変換する際リニアに変換可能な領域に、当該画像濃度データが含まれるか否かを判別するのみではなく、更に、当該判別手段によって、前記画像濃度データがリニアに変換可能な領域に含まれないと判別した場合には、更にリニアに変換可能な領域以外の第1又は第2のいずれの領域に含まれるかを判別し、補正手段によって、画像濃度データが第1又は第2のいずれの領域に含まれるかに応じて補正値を変更するように構成されているので、請求項1に記載された発明よりも、一層きめの細かい補正が可能であり、より一層リニアに階調を表現することができるのは勿論のこと、入力に対する出力の平均濃度を上下のばらつきが少なく維持することができる。
【0013】
さらに、この請求項2に記載の発明は、前記所定の濃度データは、低濃度側のリニアに変換できない領域では、第1の所定領域の場合には、第1の所定値として忠実に再現可能な最小値に設定し、第2の所定領域の場合には、0に設定し、高濃度側のリニアに変換できない領域では、第1の所定領域の場合には、第1の所定値として忠実に再現可能な最大値に設定し、第2の所定領域の場合には、最高濃度に設定したことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0016】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る画像処理装置を適用可能な画像形成装置としての複写機/ファクシミリ/プリンターの機能を兼ね備えた画像形成装置を示すものである。
【0017】
図2において、1は画像形成装置の本体を示すものであり、この画像形成装置本体1内の上部には、原稿の画像を読み取る図示しない画像読取装置によって読み取られた画像情報や、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に、必要に応じて所定の画像処理を施す画像処理装置2と、当該画像処理装置2によって所定の画像処理が施された画像情報に基づいて画像露光を行うROS3(Raster Output Scanner )が配置されており、このROS3では、画像情報に応じてレーザー光LBによる画像露光が行われる。
【0018】
上記ROS3は、図2に示すように、図示しない半導体レーザーからレーザー光LBを画像情報の階調データに応じて出射する。この半導体レーザーから出射されたレーザー光LBは、回転多面鏡4によって偏向走査され、反射ミラー5、6を介して感光体ドラム7上に走査露光される。
【0019】
上記ROS3によってレーザー光LBが走査露光される感光体ドラム7としては、例えば、有機系の光導電性物質を用いた感光体が用いられ、当該感光体ドラム7は、図示しない駆動手段によって矢印方向に沿って所定の速度で回転駆動されるようになっている。この感光体ドラム7の表面は、図2に示すように、予め帯電ロール8によって所定の電位に帯電された後、画像情報に応じてレーザー光LBが走査露光されることによって静電潜像が形成される。上記感光体ドラム7上に形成された静電潜像は、現像装置9の現像ロール10によって現像され、トナー像となる。
【0020】
上記感光体ドラム7上に形成されたトナー像は、当該感光体ドラム7に接触するように配置された転写ロール11によって転写紙12上に転写されるとともに、このトナー像が転写された転写紙12は、針状電極からなる分離帯電器13により除電されて感光体ドラム7から分離される。この針状電極からなる分離帯電器13には、AC電圧、又はDC電圧を重畳したAC電圧が印加されるようになっている。上記転写紙12は、図2に示すように、画像形成装置本体1内の下部に配置された複数の用紙カセット14、15、16から給紙ロール17によって給紙される。この給紙された転写紙12は、搬送ローラ18及びレジストローラ19によって感光体ドラム7の表面までそれぞれ搬送される。
【0021】
また、上記感光体ドラム7上からトナー像が転写された転写紙12は、上述したように、針状電極からなる分離帯電器13により除電されて感光体ドラム7の表面から分離された後、定着装置20へ搬送され、この定着装置20によって熱及び圧力によってトナー像が転写紙12上に定着された後、排出ロール21によって排紙トレイ22上に排出されて画像の形成工程が終了する。
【0022】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム7の表面は、クリーナーブレードやブラシ等を備えたクリーニング装置23によって、残留トナーや紙粉等が除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
【0023】
上記の如く構成される画像形成装置では、メンテナンス性の向上等のため、感光体ドラム7、及びその周辺の現像装置9やクリーニング装置23等がCRU24として一体的にユニット化されており、このCRU24は、画像形成装置本体1に対して一体的に着脱可能となっている。
【0024】
図3は上記の如く構成される画像形成装置において、入力データに対するパルス幅(濃度)の特性を示すものである。この図からわかるように、低濃度部と高濃度部においては、PWM変調器による画像露光から現像に至る段階で、画像に応じたパルスが消滅したり現像されなかったりするため、特性がリニアでない部分が存在する。図2は入力データとパルス幅(濃度)の関係における低濃度部の拡大図を示すものである。
【0025】
ところで、この実施の形態に係る画像処理装置は、画像濃度データが所定の領域に含まれるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段によって前記画像濃度データが所定領域に含まれると判別された場合には、当該画像濃度データをそのまま出力し、前記判別手段によって前記画像濃度データが所定領域に含まれないと判別された場合には、当該画像濃度データの代わりに所定の濃度データを出力するとともに、当該画像濃度データと所定の濃度データとの差分を、少なくとも次に入力する画像濃度データに割り当てるように補正する補正手段とを備えるように構成されている。
【0026】
更に具体的には、画像濃度データを基準値と比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果に応じて入力された画像濃度データ又は所定の濃度データを選択して出力する選択手段と、前記選択手段から出力される濃度データと前記画像濃度データとの差分を算出する差分算出手段と、前記差分算出手段から出力される差分データを一時記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された差分データと入力する画像濃度データとを加算して、画像濃度データとする加算手段とを備えるように構成したものである。
【0027】
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像処理装置を示すブロック図である。
【0028】
図1において、30は加算手段を示すものであり、この加算手段30は、外部から入力する、例えば256階調のデジタル信号からなる画像濃度データ(0〜255)に、後述するように記憶手段34に記憶されたデータを加算するものである。31は比較手段を示すものであり、この比較手段31は、加算手段30から出力されるデータと予め設定された比較基準値Bとを比較する比較手段である。ここで、比較基準値Bとしては、図3及び図4に示すように、入力データとパルス幅との関係を示すグラフにおいて、リニアな特性を示す領域のうち、最小の値が選ばれる。32は選択手段であり、この選択手段32は、上記比較手段31から出力されるデータに応じて、加算手段30から出力されるデータかあるいは所定濃度”0”を選択して出力するものである。33は差分算出手段であり、この差分算出手段33は、上記選択手段32から出力されるデータと加算手段30から出力されるデータとの差分を算出するものである。34は記憶手段であり、この記憶手段34は、上記差分算出手段33から出力されるデータを一時記憶する記憶手段である。
【0029】
図5は上記画像処理装置の構成を更に具体的に示すブロック図である。
【0030】
図5において、30は加算手段としての加算器を示すものであり、この加算器30は、外部からA端子に入力する8ビットの画像濃度データに、B端子に入力する記憶手段34に記憶された同じく8ビットのデータを加算するものである。31は比較手段としてのコンパレータを示すものであり、このコンパレータ31は、加算器30から出力されるデータYと予め設定された8ビットの比較基準値Bとを比較するものである。そして、上記コンパレータ31は、加算器30から出力されるデータYが、比較基準値B以上(B≦Y)である場合には、例えば、ハイレベルの信号を、加算器30から出力されるデータYが、比較基準値B未満(B>Y)である場合には、例えば、ローレベルの信号を、それぞれ出力するように設定されている。32は選択手段としてのセレクタを示すものであり、このセレクタ32は、上記コンパレータ31からSEL1端子に出力される信号に応じて、D0端子に入力される加算器30からの出力データか、あるいはD1端子に入力される所定濃度”0”を選択するものである。
【0031】
33は差分算出手段としての減算器を示すものであり、この減算器33は、A端子に入力するセレクタ32から出力されるデータから、B端子に入力する加算器30から出力されるデータを減算するものである。34は記憶手段としてのフリップフロップ回路を示すものであり、このフリップフロップ回路34は、上記減算器33から出力されるデータを、次の画像濃度データが入力されるまで一時記憶する記憶手段としてのフリップフロップ回路である。
【0032】
35はPWM(パルス幅変調)回路であり、このPWM回路は、上記セレクタ32から出力される画像データに応じたパルス幅を有するパルスを出力するものである。
【0033】
以上の構成において、この実施の形態1に係る画像処理装置では、次のようにして、デジタル的に処理することにより、濃度調整の安定性に優れ、かつ低濃度部及び高濃度部において、リニアに階調を表現することができるのは勿論のこと、入力に対する出力の平均濃度を維持することが可能となっている。
【0034】
すなわち、この実施の形態1に係る画像処理装置では、図5及び図6に示すように、例えば、外部からn画素目の8ビットの画像濃度データ41が入力すると、この入力データ41は、加算器30でフリップフロップ回路34に記憶されたn−1画素目のデータと加算される。いま、便宜上、フリップフロップ回路34に記憶されたn−1画素目のデータがゼロであるとすると、入力したn画素目のデータは、そのまま加算器30から出力されることになる。ここで、n画素目の8ビットの画像濃度データ41を、256階調のうち”7”とすると、加算器30からは、n画素目の画像濃度データ41である”7”がそのまま出力される。
【0035】
次に、上記加算器30から出力されるデータYは、コンパレータ31に入力され、このコンパレータ31において比較基準値Bと比較される。いま、コンパレータ31に入力する比較基準値Bを”10”とすると、比較基準値B”10”の方が加算器30から出力されるデータY”7”よりも大きいため、コンパレータ31からは、比較基準値Bの方が大きいことを示す信号が出力される。
【0036】
すると、セレクタ32は、加算器30からD0端子に入力するデータY”7”ではなく、端子D1に入力する所定濃度を選択する。ここで、所定濃度は、”0”に設定されている。その結果、入力する画像濃度データ41は、256階調のうち”7”であるにもかかわらず、上記セレクタ32からは、出力データとして”0”が出力され、PWM回路35では、パルス幅が”0”となってパルスは出力されない。つまり、入力する画像濃度データ41がリニアな状態でパルス幅に変換することができない、256階調のうち低濃度の”7”である場合には、PWM回路35からは、これに対応するパルスが出力されない。
【0037】
また、上記セレクタ32からの出力データ”7”は、減算器33に入力され、この減算器33によって加算器30から出力されるデータ”7”との差分が求められる。いま、セレクタ32から出力されるデータは”0”であり、加算器30から出力されるデータは”7”であるため、減算器33からは、差分である”7”が出力される。上記減算器33から出力される差分データ”7”は、フリップフロップ回路34に一時記憶される。
【0038】
その後、外部から次の画素であるn+1画素目の画像濃度データ41が入力すると、この入力データ41は、上述したように、加算器30でフリップフロップ回路34に記憶されたn画素目のデータと加算される。いま、フリップフロップ回路34に記憶されたn画素目の差分データは、”7”であるから、入力したn+1画素目のデータには、前回の差分データ”7”が加算器30によって加算されることになる。ここで、n+1画素目の画像濃度データ41を、256階調のうち”10”とすると、加算器30からは、当該”10”の入力データに前回の差分データ”7”を加算した値である”17”が出力される。
【0039】
次に、上記加算器30から出力されたデータYは、コンパレータ31に入力され、このコンパレータ31において比較基準値B”10”と比較される。この場合、比較基準値B”10”の方が加算器30から出力されるデータY”17”よりも小さいため、コンパレータ31からは、比較基準値Bの方が小さいことを示す信号が出力される。
【0040】
すると、セレクタ32は、加算器30から出力されるデータY”17”を選択し、このセレクタ32からは、データY”17”がそのまま出力される。そして、PWM回路35からは、データY”17”に相当するパルス幅のパルスが出力される。
【0041】
また、上記セレクタ32からの出力データ”17”は、減算器33に入力され、この減算器33によって加算器30から出力されるデータ”17”との差分が求められる。いま、セレクタ32から出力されるデータは”17”であり、加算器30から出力されるデータも”17”であるため、減算器33からは、差分である”0”が出力される。上記減算器33から出力される差分データ”0”は、フリップフロップ回路34に一時記憶される。
【0042】
このように、上記実施の形態1に係る画像処理装置では、入力される画像濃度データに対して、忠実(リニア)に再現できる最小値として比較基準値B(例えば、”10”)を設ける。そして、入力された画像濃度データは、コンパレータ31で比較基準値Bと比較され、入力された画像濃度データが比較基準値B以上である場合には、それに対応する出力濃度がセレクタ32から出力される。この場合、入力された画像濃度データに対する出力データの誤差は、ゼロである。一方、入力された画像濃度データが比較基準値B未満である場合には、セレクタ32が所定濃度”0”を選択して出力し、PWM回路35からは、パルスが出力されない。この場合には、入力された画像濃度データがそのまま誤差となり、いったんフリップフロップ回路34に記憶された後、次画素の入力データに加算器30によって加算される。以後、同様に前画素の誤差を入力データに加算した値を入力データとして比較基準値Bと比較し、誤差が生じた場合には、順次、この誤差を次画素へ加算していくことで、誤差を分散させることができ、リニアに階調を表現することができるのは勿論のこと、入力に対する出力の平均濃度を維持することが可能となっている。また、上記画像処理装置は、デジタル的に処理することにより、濃度調整の安定性に優れている。
【0043】
実施の形態2
図7及び図8はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、前述の第1の比較基準値Bと0の間に、0<A<Bとなる第2の比較基準値Aを設けるように構成されている。
【0044】
すなわち、この実施の形態2に係る画像処理装置では、図7に示すように、第1の比較手段31以外にも、加算手段30の出力を第2の比較基準値Aと比較する第2の比較手段36を備えているとともに、選択手段32は、これらの第1の比較手段31及び第2の比較手段36の比較結果に応じて、加算手段30からの出力データまたは、第一の所定濃度”0”あるいは第二の所定濃度”D”を選択して出力するように構成されている。
【0045】
図8は上記実施の形態2に係る画像処理装置の構成を更に具体的に示すブロック図である。
【0046】
図8において、30は加算手段としての加算器を示すものであり、この加算器30は、外部からA端子に入力する8ビットの画像濃度データに、B端子に入力する記憶手段34に記憶された同じく8ビットのデータを加算するものである。31は第1の比較手段としての第1のコンパレータを示すものであり、この第1のコンパレータ31は、加算器30から出力されるデータYと予め設定された8ビットの第1の比較基準値Bとを比較するものである。また、36は第2の比較手段としての第2のコンパレータを示すものであり、この第2のコンパレータ35は、加算器30から出力されるデータYと予め設定された8ビットの第2の比較基準値Aとを比較するものである。
【0047】
そして、上記第1のコンパレータ31は、図9に示すように、加算器30から出力されるデータYが、第1の比較基準値B以上(B≦Y)である場合には、例えば、ハイレベルの信号を、加算器30から出力されるデータYが、比較基準値B未満(B>Y)である場合には、例えば、ローレベルの信号を、それぞれ出力するように設定されている。また、上記第2のコンパレータ35は、加算器30から出力されるデータYが、第2の比較基準値A以上(A≦Y)である場合には、例えば、ハイレベルの信号を、加算器30から出力されるデータYが、比較基準値A未満(A>Y)である場合には、例えば、ローレベルの信号を、それぞれ出力するように設定されている。
【0048】
32は選択手段としてのセレクタを示すものであり、このセレクタ32は、上記第1のコンパレータ31からSEL1端子に出力される信号、及び第2のコンパレータ36からSEL2端子に出力される信号に応じて、D0端子に入力される加算器30からの出力データか、D1端子に入力される所定濃度”0”か、あるいはD2端子に入力される所定濃度”D”かを選択するものである。
【0049】
以上の構成において、この実施の形態2に係る画像処理装置では、次のようにして、デジタル的に処理することにより、濃度調整の安定性に優れ、かつ低濃度部及び高濃度部において、リニアに階調を表現することができるのは勿論のこと、入力に対する出力の平均濃度を維持することが可能となっている。
【0050】
すなわち、この実施の形態2に係る画像処理装置では、図8及び図6に示すように、例えば、外部からn画素目の8ビットの画像濃度データ41が入力すると、この入力データ41は、加算器30でフリップフロップ回路34に記憶されたn−1画素目のデータと加算される。いま、便宜上、フリップフロップ回路34に記憶されたn−1画素目のデータがゼロであるとすると、入力したn画素目のデータは、そのまま加算器30から出力されることになる。ここで、n画素目の8ビットの画像濃度データ41を、256階調のうち”7”とすると、加算器30からは、n画素目の画像濃度データ41である”7”がそのまま出力される。
【0051】
次に、上記加算器30から出力されるデータYは、第1及び第2のコンパレータ31、35に入力され、これらのコンパレータ31、36において第1及び第2の比較基準値B、Aと比較される。いま、第1のコンパレータ31に入力する比較基準値Bを”10”とし、第2のコンパレータ36に入力する比較基準値Aを”5”とすると、第1の比較基準値B”10”の方が加算器30から出力されるデータY”7”よりも大きいため、第1のコンパレータ31からは、第1の比較基準値Bの方が大きいことを示す信号が出力される。一方、第2の比較基準値A”5”の方が加算器30から出力されるデータY”7”よりも小さいため、第2のコンパレータ36からは、第2の比較基準値Aの方が小さいことを示す信号が出力される。
【0052】
すると、セレクタ32は、加算器30からD0端子に入力するデータY”7”ではなく、端子D2に入力する第2の所定濃度を選択する。ここで、第2の所定濃度は、”10”に設定されている。その結果、入力する画像濃度データ41は、256階調のうち”7”であるにもかかわらず、上記セレクタ32からは、出力データとして”10”が出力され、PWM回路35からは、パルス幅”D”に相当するパルスが出力される。
【0053】
また、上記セレクタ30からの出力データ”10”は、減算器33に入力され、この減算器33によって加算器30から出力されるデータ”7”との差分が求められる。いま、セレクタ32から出力されるデータは”10”であり、加算器30から出力されるデータは”7”であるため、減算器33からは、差分である”3”が出力される。上記減算器33から出力される差分データ”3”は、フリップフロップ回路34に一時記憶される。
【0054】
その後、外部から次の画素であるn+1画素目の画像濃度データ41が入力すると、この入力データ41は、上述したように、加算器30でフリップフロップ回路34に記憶されたn画素目のデータと加算される。いま、フリップフロップ回路34に記憶されたn画素目の差分データは、”3”であるから、入力したn+1画素目のデータには、前回の差分データ”3”が加算器30によって加算されることになる。ここで、n+1画素目の画像濃度データ41を、256階調のうち”0”とすると、加算器30からは、当該”0”の入力データに前回の差分データ”3”を加算した値である”3”が出力される。
【0055】
次に、上記加算器30から出力されたデータYは、第1及び第2のコンパレータ31、36に入力され、これらの第1及び第2のコンパレータ31、36において第1及び第2の比較基準値B、Aと比較される。この場合、第1のコンパレータ31に入力する比較基準値Bが”10”であり、第2のコンパレータ36に入力する比較基準値Aが”5”であるため、第1の比較基準値B”10”の方が加算器30から出力されるデータY”3”よりも大きいため、第1のコンパレータ31からは、第1の比較基準値Bの方が大きいことを示す信号が出力される。一方、第2の比較基準値A”5”の方が加算器30から出力されるデータY”3”よりも大きいため、第2のコンパレータ36からは、第2の比較基準値Aの方が大きいことを示す信号が出力される。
【0056】
すると、セレクタ32は、加算器30からD0端子に入力するデータY”3”ではなく、端子D1に入力する第1の所定濃度を選択する。ここで、第1の所定濃度は、”0”に設定されている。その結果、入力する画像濃度データ41は、256階調のうち”3”であるにもかかわらず、上記セレクタ32からは、出力データとして”0”が出力され、PWM回路35からは、パルス幅が”0”となってパルスは出力されない。
【0057】
また、上記セレクタ30からの出力データ”0”は、減算器33に入力され、この減算器33によって加算器30から出力されるデータ”3”との差分が求められる。いま、セレクタ32から出力されるデータは”0”であり、加算器30から出力されるデータは”3”であるため、減算器33からは、差分である”3”が出力される。上記減算器33から出力される差分データ”3”は、フリップフロップ回路34に一時記憶される。
【0058】
このように、上記実施の形態2に係る画像処理装置では、入力される画像濃度データが、まず、第1のコンパレータ31で第1の比較基準値Bと比較される。その結果、入力される画像濃度データが第1の比較基準値B以上であれば、セレクタ32からは、その濃度データがそのまま出力される。この場合、入力される画像濃度データと出力データとの誤差はゼロである。また、入力される画像濃度データが第1の比較基準値B未満である場合には、次に第2のコンパレータ36で第2の比較基準値Aと比較される。ここで、入力される画像濃度データが第2の比較基準値A未満である場合には、セレクタ32の出力データが”0”に設定される。この場合は、入力される画像濃度データそのものが誤差となり、いったんフリップフロップ回路34に記憶され、次画素の入力データに加算される。さらに、入力される画像濃度データが第2の基準比較値A以上であり、かつ第1の基準比較値B未満であれば、セレクタ32の出力データは、忠実に再現可能な最小値Dに相当する値、例えば”10”に設定される。この場合の誤差は、第1の比較基準値Aより入力データを減算したものとなり、これはいったんフリップフロップ回路34に記憶され、次画素入力データから減算される。以後、入力される画像濃度データに前画素の誤差を加算したものを同時に処理していくことによって、誤差を分散させることができ、リニアに階調を表現することができるのは勿論のこと、入力に対する出力の平均濃度を維持することが可能となっている。また、上記画像処理装置は、デジタル的に処理することにより、濃度調整の安定性に優れている。
【0059】
なお、前記実施の形態1、2では低濃度部について述べたが、高濃度部についても、忠実に再現できる最大値を比較基準値として同様の処理を行い、その誤差を次画素へ加減することによって、平均濃度を維持していくことが可能となる。また、入力画像データと出力画像データとの誤差は、次画素に限らず、対応する注目画素に対する例えば3×3のマトリクスを使用することにより、周辺画素へ所定の重み付けを行い配分するように構成してもよい。
【0060】
また、万線スクリーンにおいては次ライン、または前後のラインに誤差を加減することで平均濃度を維持していくように構成しても良い。
【0061】
以上の実施の形態では、入力画像データの濃度に応じたパルス幅を持つパルス信号に変換する場合について説明したが、これに限らず、入力画像データに対する出力画像データの特性が部分的にリニアでないもので、入力画像データに応じた濃度情報を持つ信号に変換する場合にも、本発明は適用でき、同様の効果が得られるのは明らかである。
【0062】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1に記載の発明によれば、判別手段によって入力する画像濃度データがリニアに変換可能な領域に含まれるか否かを判別し、前記判別手段によって前記画像濃度データがリニアに変換可能な領域に含まれると判別された場合には、補正手段によって画像濃度データを何ら補正することなく、そのまま出力する。一方、前記判別手段によって前記画像濃度データがリニアに変換可能な領域に含まれないと判別された場合には、補正手段によって、当該画像濃度データの代わりに、例えばリニアに変換可能な領域に一番近い所定の濃度データを出力するとともに、当該画像濃度データと所定の濃度データとの差分を、少なくとも次に入力する画像濃度データに割り当てるように補正することにより、入力する画像濃度データがリニアに変換可能な領域に含まれない場合でも、当該画像濃度データを、例えばリニアに変換可能な領域に一番近い所定の濃度データに補正することによって、入力する画像濃度データのリニアな変換特性を維持することができるとともに、例えばリニアに変換可能な領域に一番近い所定の濃度データに補正したことによる差分を、補正手段によって、少なくとも次に入力する画像濃度データに割り当てることにより、入力する画像濃度データと変換された信号との差分を、次に入力する画像濃度データで補正することができ、入力に対する出力の平均濃度を維持することが可能となる。
【0063】
また、請求項1に記載の発明によれば、上記の作用・効果に加えて、判別手段によって、前記画像濃度データを濃度情報を有する信号に変換する際リニアに変換可能な領域に、当該画像濃度データが含まれるか否かを判別するのみではなく、更に、当該判別手段によって、前記画像濃度データがリニアに変換可能な領域に含まれないと判別した場合には、更にリニアに変換可能な領域以外の第1又は第2のいずれの領域に含まれるかを判別し、補正手段によって、画像濃度データが第1又は第2のいずれの領域に含まれるかに応じて補正値を変更するように構成されているので、請求項1に記載された発明よりも、一層きめの細かい補正が可能であり、より一層リニアに階調を表現することができるのは勿論のこと、入力に対する出力の平均濃度を上下のばらつきが少なく維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はこの発明の実施の形態1に係る画像処理装置を示すブロック図である。
【図2】 図2はこの発明に係る画像処理装置を適用し得る画像形成装置を示す構成図である。
【図3】 図3は入力データに対するパルス幅の変換特性を示すグラフである。
【図4】 図4は図3の低濃度部を拡大したグラフである。
【図5】 図5はこの発明の実施の形態1に係る画像処理装置を更に具体的に示すブロック図である。
【図6】 図6は画像処理装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】 図7はこの発明の実施の形態2に係る画像処理装置を示すブロック図である。
【図8】 図8はこの発明の実施の形態2に係る画像処理装置を更に具体的に示すブロック図である。
【図9】 図9は入力データに対するパルス幅の変換特性を示すグラフである。
【符号の説明】
30:加算手段、31:比較手段、32:選択手段、33:差分算出手段、34:記憶手段。
Claims (2)
- 入力された画像濃度データを当該画像濃度データに応じた濃度情報を有する信号に変換するための画像データ処理を行う画像処理装置において、前記画像濃度データを濃度情報を有する信号に変換する際リニアに変換可能な領域に、当該画像濃度データが含まれるか否か、及び当該画像濃度データがリニアに変換可能な領域に含まれないと判別した場合には、更にリニアに変換可能な領域以外の第1又は第2のいずれの領域に含まれるかを判別する判別手段と、前記判別手段によって前記画像濃度データがリニアに変換可能な領域に含まれると判別された場合には、当該画像濃度データをそのまま出力し、前記判別手段によって前記画像濃度データが第1の所定領域に含まれると判別された場合には、当該画像濃度データの代わりに第1の所定の濃度データを出力するとともに、前記判別手段によって前記画像濃度データが第2の領域に含まれると判別された場合には、当該画像濃度データの代わりに第2の所定の濃度データを出力するとともに、当該画像濃度データと第1又は第2の濃度データとの差分を、少なくとも次に入力する画像濃度データに割り当てるように補正する補正手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
- 前記所定の濃度データは、低濃度側のリニアに変換できない領域では、第1の所定領域の場合には、第1の所定値として忠実に再現可能な最小値に設定し、第2の所定領域の場合には、0に設定し、高濃度側のリニアに変換できない領域では、第1の所定領域の場合には、第1の所定値として忠実に再現可能な最大値に設定し、第2の所定領域の場合には、最高濃度に設定したことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
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