JP3684046B2 - インクジェット記録ヘッド、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクの相変化により生じる急激な気泡の成長によってインク滴を高速に吐出させるインクジェット記録ヘッド、およびインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日広く一般的に用いられているインクジェット記録方式のインク吐出方法にはインク滴を吐出するために用いられるエネルギー発生素子として電気熱変換素子(ヒーター)を利用する方法と圧電素子(ピエゾ)を利用する方法があり、いずれも電気的な信号によってインク滴の吐出を制御することが可能である。例えば、電気熱変換素子を用いるインク滴吐出方法の原理は、電気熱変換素子に電気信号を与えることにより、電気熱変換素子近傍のインクを瞬時にして沸騰させ、そのときのインクの相変化により生じる急激な気泡の成長によってインク滴を高速に吐出させるものである。一方、圧電素子を用いるインク滴の吐出方法の原理は、圧電素子に電気信号を与えることにより、圧電素子が変位しこの変位時の圧力によってインク滴を吐出させるものである。ここで、前者の方法はエネルギー発生素子のスペースをそれほど設けなくとも済み、インクジェット記録ヘッドの構造が単純で、ノズルの集積化が容易であること等の利点がある。一方で、この方法固有の短所としては電気熱変換素子の発生する熱等のインクジェット記録ヘッド内の畜熱による飛翔インク滴の体積変動、消泡によるキャビテーションの電気熱変換素子に与える影響、インク内に溶けこんだ空気によるインクジェット記録ヘッド内の残留気泡によるインク滴吐出特性及び画像に与える影響等がある。
【0003】
これらの欠点を解決する方法として、特開平4−10941号公報などに記載されたインクジェット記録方法及びインクジェット記録ヘッドがある。すなわち、上記公報に記載されるインクジェット記録方法は、記録信号によって電気熱変換素子を駆動させることにより生じた気泡を外気と連通させることを特徴とするものである。この記録方法を用いることにより飛翔インク滴の体積安定性の向上及び、高速小液滴記録、気泡の消泡時に発生するキャビテーションの解消によるヒーターの耐久性向上等が可能となり、更なる高精細画像が容易に得られるようになる。前記公報において気泡を外気とを連通させるための構成としては、電気熱変換素子と吐出口間の距離を従来より格段に短くする構成が挙げられている。そして、この構成を有するインクジェット記録ヘッドは、電気熱変換素子に対応する吐出口を配した吐出口プレートと、基板の背面からインクを供給するために基板に開けられたインク供給口を有し、ちょうどインク滴が電気熱変換素子を配した基板に対しほぼ垂直に飛翔するように構成される。ここでは電気熱変換素子と吐出口間の距離としては30μm以下が望ましいものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来例のうち、エネルギー発生素子として電気熱変換素子を用いたインクジェット記録ヘッドは、インク内に溶けこんだ空気によるインクジェット記録ヘッド内の残留気泡によるインク滴吐出特性および画像に与える影響についてはいまだ十分に解決できるものではない。さらに、上述の公報に記載される構成は流路の高さが低いためかえってこの問題がより顕著に現れやすくなってしまうことが判明した。
【0005】
以下にこのインク内に溶けこんだ空気によるインクジェット記録ヘッド内に残留気泡によるインク滴吐出特性および画像に与える影響について詳しく説明する。図10〜図14は従来のインクジェット記録ヘッドにおける課題を説明するための図である。この図から図12までは、所望のインク流路を通るように切断した構成を示している。インクジェット記録ヘッド内のインクには、通常、空気が飽和状態で溶け込んでいる。この状態で電気熱変換素子101を駆動すると、インクの相変化による発泡現象時に、発泡室からインク供給口103方面に向かって高速のインク流106が発生する(図10(b)参照)。そのインク流106は、電気熱変換素子101からインク供給口103までは、ほぼ一定もしくは穏やかに変化する断面積を通過する。しかし、インク供給口103においてインク流106の横断面積が急激に変化すると、インク流106は周囲のインクを引っかき回して渦107を作り(図10(c)参照)、渦部では圧力損失を生じる、すなわち渦部では低圧になる。そして、インクが高圧のところから低圧の所に移る場合、空気の一部は水から遊離し、同時にインクの圧力に応じて蒸気が発生する(空どう現象(キャビテーション))現象が知られている。これは、インクは一定体積の空気を含んでおり、空気の体積は圧力が変化すればそれに反比例して変化し、そして水に吸収される空気の体積が一定であるためには、溶解している空気の重量は異なることになるためである。このように、インク流の横断面積の急激な変化は、渦が生じることにより気泡が発生することになる。
【0006】
このような気泡は、気泡の径、インクの物性値(表面張カや粘度)、空気の飽和蒸気圧などから決まる時間でインク中に再溶解することが知られている。例えば、気泡が1μm以下ならば、溶解にかかる時間は1μs以下のオーダーである。しかしながら、高周波数で複数の電気熱変換素子を連続駆動する場合、このような気泡はインク中に複数出現し、再溶解する前に互いに合体成長してしまう。気泡の径が大きくなると、再溶解にかかる時間も断然大きくなることが知られているが、結果としてインクジェット記録ヘッド内に数10μmから数100μmの複数の残留気泡を貯えてしまうことになる。このようになると、これらの残留気泡はほとんどインク中に再溶解することはなく、インク滴の吐出特性に悪影響を与えることになる。すなわち、残留気泡がインク流路をふさいでしまえば、ノズルに十分なインクが充填されず吐出不良を生じさせることになる。また、インクジェット記録ヘッド内部に巨大な残留気泡(数100μm程度)が生じ、この残留気泡がたまたま外気と連通してしまうようなことが起こると、ノズル内に外気が入り込んでメニスカスが破壊されてしまうためインクタンクのインクを吸い上げる負圧カによって、インクジェット記録ヘッド内部のインクはインクタンクに吸い上げられてしまい、全ノズルが不吐出になってしまうということまで生じることがある。
【0007】
このような残留気泡のもたらす悪影響を回避する最も有効な解決手段としては、残留気泡が悪影響を与えるほど成長する前に吐出口から吸引、加圧等によってインクとともに残留気泡を外部に排出すること、いわゆる吸引(加圧)回復処理を行う方法がある。しかしながら、この場合にはインクの消費量が格段に増え、印宇中にこれを行えば当然スループットは下がってしまう。他の方法としては、インクに溶け込んでいた空気を何らかの方法によってインクから排出させ(脱気)、そのようなインクをインクジェット記録ヘッド用に使用する方法がある。もっとも、この解決方法が有効に作用している時間は、インクを脱気してから数10分程度であり、またインクを脱気する装置は比較的大がかりなため、この手法は大規模なプリンティングシステム等に用いることができるものである。
【0008】
そこで、気泡の発生を押さえること、すなわち渦の発生を押さえることが重要であり、(1)急激に流路断面積が変化する形状、(2)流路の途中に流体がよどむ場所がある形状、を有する構成は、この現象が起きることがわかっている。
【0009】
(1)の例としては、従来例としで示した、図10(a)における、A部である。すなわち、インク供給口の部分で急激に流路断面積が増加している。そのために、渦が発生し、その部分で気泡が発生すると同時に、泡がそこでトラップ(滞留)されるために、大きく成長してしまう。
【0010】
(2)の例としては、図11や図12(a)に示すような、共通液室の前に急激に流路面積が変化し、かつ、B部やC部のようによどむ場所がある。このようなよどむ場所があると、図11や図12(b)に示すように周囲のインク流の影響により、渦が発生することになり、気泡を発生させることになる。
【0011】
上記従来例のインクジェット記録ヘッドにおいて、基板の吐出口プレート側からインク吐出時の気泡の発生を観察したところ、図10、11、12のヘッドにおいては、インク供給口103の上に微少な気泡が出現しているのが観祭された(図13)。その後、インクジェット記録ヘッド内に溶解せずに残った残留気泡がいかにして吐出に悪影響を与えるか説明する。従来のインクジェット記録ヘッドでは、ある時点で供給口の直上付近において吐出口プレート内面に付着した残留気泡がそれを核として図14のように成長することが観察等によって分かっている。この残留気泡は、インク滴の吐出によるインクジェット記録ヘッド内のインク流、具体的にはインク流路へインクを再充填するために生じる吐出口に向かうインクの流れによって局所的にはインク流路に引き込まれやすい形状をしている。実際に約150μm程度の残留気泡が図14のような位置に存在していると、残留気泡がインク流路内に引き込まれることによってインク流路内のインクが気泡によって分断され、インク流路へのインク供給不足が生じてしまう。さらに、このままインク滴吐出を継続していくと、徐々にこの残留気泡が吐出口側に向かっていき、この残留気泡が外気と連通した瞬間にインクジェット記録ヘッド内のインクが空になってしまうという現象がおきる。
【0012】
本発明の目的は、上記の従来技術の実情に鑑みなされたものであって、渦の発生を抑制してインク供給口における気泡の発生を低減させることで、スループットにすぐれ、インク消費量の少ないインクジェット記録ヘッドを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、インクを吐出するために利用される熱エネルギーを発生するエネルギー発生素子が配置された基板と、前記エネルギー発生素子に対向する位置に設けられインクを吐出する吐出口が設けられた吐出口プレートと、を有し、記基板と前記吐出口プレートとの間にインク流路が形成され、該インク流路にインクを供給するためのインク供給口が前記基板に設けられ、前記エネルギー発生素子が発生する熱エネルギーによってインクに気泡を成長させてインクを吐出するインクジェット記録ヘッドであって、前記エネルギー発生素子から前記インク供給口に近づくにしたがい、前記インク流路の高さの増加量が増えるよう、前記基板側が傾斜することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、インクを吐出するために利用される熱エネルギーを発生するエネルギー発生素子が配置された基板と、前記エネルギー発生素子に対向する位置に設けられインクを吐出する吐出口が設けられた吐出口プレートと、を有し、前記基板と前記吐出口プレートとの間にインク流路が形成され、該インク流路にインクを供給するためのインク供給口が前記基板に設けられ、前記エネルギー発生素子が発生する熱エネルギーによってインクに気泡を成長させてインクを吐出するインクジェット記録ヘッドであって、前記エネルギー発生素子から前記インク供給口に向けての距離に対して前記インク流路の高さが増加するよう、前記基板側が所定の傾斜角で傾斜することを特徴とするものであってもよい。
【0015】
上記のいずれかのインクジェット記録ヘッドにおいて、前記基板に、前記基板とは別部材を形成することにより前記インク流路の高さを増加させることができる。
【0016】
また、上記のようなインクジェット記録ヘッドは、前記エネルギー発生素子から前記インク供給口に近づくにしたがい前記インク流路の高さが階段状に増加する構成であってもよく、このように前記インク流路の高さが階段状に増加する構造は膜を複数層成膜することにより構成することが考えられる。
【0017】
さらに、本発明のインクジェット記録ヘッドは、前記エネルギー発生素子にてインク内に形成された気泡が消泡前に大気と連通するものであることを特徴とする。
【0018】
(作用)
上記のとおりの発明では、エネルギー発生素子を駆動した際のインク内の気泡成長による発泡力によりエネルギー発生素子側からインク供給口に向かってインク流が発生する。この際、エネルギー発生素子からインク供給口に近づくにしたがいインク流路の高さが増加しているので、インク供給口の周辺で急激にインク流の横断面積が変化することがない。そのため、インク流路からインク供給口への入口で渦が発生することがなく、インク供給口において空どう現象による気泡が生じない。したがって、エネルギー変換素子を高周波数で連続駆動する場合、従来例のように、インク供給口において気泡が再溶解する前に互い合体成長して、インク滴の吐出特性に悪影響を与えるという心配がなくなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は本発明のインクジェット記録ヘッドの概略構成を表す模式図であり、図2は図1に示す記録ヘッドのA−A’断面図である。但し、本図およびこれ以下において、電気熱変換素子を駆動するための電気的な配線等は図示していない。本形態においては、例えば図2に示されるような、ガラス、セラミックス、プラスチックあるいは金属等からなる基板4が用いられる。このような基板の材質は、本発明の本質ではなく、流路構成部材の一部として機能し、インク吐出発生素子および、後述するインク流路、インク吐出口を形成する材料層の支持体として機能し得るものであれば、特に限定されるものではない。そこで、本形態では、Si基板(ウエハー)を用いた場合で説明する。
【0021】
図1及び図2において、基板4には、インクを供給するための長溝状の貫通口からなるインク供給口3が設けられている。そして、基板4上には、インク供給口3の長手方向の両側にエネルギー発生素子である電気熱変換素子1がそれぞれ1列ずつ千鳥状に配列されている。このとき電気熱変換素子1の間隔は300DPIのピッチである。この基板4上にはインク流路を形成するためのインク流路壁7となる被覆樹脂層6が設けられている。さらに、この被覆樹脂層6上には、各電気熱変換素子1に対応する吐出口2を備える吐出ロプレート5が設けられている。ここで、図においては被覆樹脂層6と吐出口プレート5とは、別部材として示されているが、この被覆樹脂層6をスピンコート等の手法によって基板4上に形成することにより被覆樹脂層6と吐出口プレート5とを同一部材として同時に形成することも可能である。
【0022】
本形態の記録ヘッドは図2に示すとおり、電気熱変換素子1からインク供給口3に向けて、インク流路の高さ(「LH」とも称す。)が徐々に増加していることを特徴とする。図2に示した構造において、電気熱変換素子1のインク供給口3側の端部を基準となるA点として、このA点からインク供給口に向かうx軸方向に対する、y軸方向におけるLHの距離の変化を図3の(a)に示す。この図に示すようにA点から所定の距離Gまでの区間はLHの距離の変化はない。この本形態の特徴的な構成の、具体的な形成方法としては、レーザーにより、図10の従来のインクジェット記録ヘッドのインク供給口のエッジを除去する方法を用いた。その除去方法は、その他エッチングや切削等の方法でも良い。
【0023】
上記のインクジェット記録ヘッドにおいて、基板4の吐出口プレート側からインク吐出時の気泡の発生を観察したところ、従来例に示した構成のヘッドと比較して、インク供給口3に出現する気泡が格段に減少していることが観察された(図4参照)。
【0024】
さらに、本形態のインクジェット記録ヘッドを吐出周波数10kHzで駆動し、全吐出による黒ベタ印字を連続記録してその持続時間を計測し、比較評価を行った。結果は従来のインクジェット記録ヘッドに比較して、本実施形態では3倍位の長い時間の黒ベタ印字の持続性が達成できた。
【0025】
また、本構造と関連して、次のような形成方法もある。図5は本形態の記録ヘッド構造の他の形成方法を説明するための図である。具体的には、図5に示す形態のヘッドは、基板4の電気熱変換素子1からインク供給口に向かう部位に凹部を形成し、この凹部にパターニング可能な樹脂10を設けて、インク流路の高さ(LH)を徐々に増加する構造にしたものである。具体的な形成方法としては、例えば次の方法がある。すなわち、SiNのパターンなどのエッチングマスクを用いて、基板の所定の箇所に対してエッチングを行う。このエッチング方法としては、基板1として用いるウエハーの結晶方位を利用して、異方性エッチングを行う。ウエハー面に〈100〉、厚さ方向に〈111〉の結晶方位を持つ場合、アルカリ系(KOH、TMAH、ヒトラジン等)の異方性エッチングにより、約54.7度の角度でエッチングが進行する。この方法を用いて、所望の深さに基板をエッチングする。さらに、エッチングによる凹部に充填された溶解可能な樹脂をパターンニングし形成することにより、LH距離が電気熱変換素子からインク供給口に向けて徐々に増加する構成が作成できる。
【0026】
また、本形態では、A−A’断面のLHの距離を図3(a)に示した寸法になるように構成したが、少しでもLH距離が徐々に増加する構造にすることが効果があることを比較実験により確認している。具体的には、図2のような構成で、LH距離が図3の(b)に示すように徐々に増加する構成である。この構成で上記と同じ計測を行ったところ、約1.5倍の持続時間を達成した。また、LH距離が増加し始める位置を電気熱変換素子に近づけ、電気熱変換素子−インク供給口間距離を短くした構成、具体的には図3(c)に示すA−A’断面のLHの距離になるような構成にて、上記と同じ計測を行ったところ、約3倍の持続時間を達成した。
【0027】
(第2の実施形態)
図6は本発明のインクジェット記録ヘッドの第2の実施形態の模式的な断面図である。図7は図6に示すヘッド構造において、電気熱変換素子のインク供給口側の端部からインク供給口にかけてのインク流路の高さの変化を示す図である。図6において第1の実施形態と同一の構成部材には同一符号を付してあり、以下では第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0028】
図6の(a)に示す形態の記録ヘッドは、第1の実施形態と同様、電気熱変換素子11のインク供給口13側の端部付近からインク供給口13にかけてインク流路の高さ(LH)が増加する構造であって、特に、LHが増加する基板上の斜部の傾斜角を約30度にして、電気熱変換素子からインク供給口に向けての距離に比例的にLHが増加する構造にしてある。
【0029】
上記のインクジェット記録ヘッドを吐出周波数10kHzで駆動し、全吐出による黒ベタ印字を連続記録してその持続時間を計測し、比較評価を行った。結果は従来のインクジェット記録ヘッドと比較して、本実施形態で、約3倍の長い時間の黒ベタ印宇の持続性が達成できた。
【0030】
また、上述した形態では、LHが増加する基板上の斜部の傾斜角を約30度にしたが、第1の実施形態で挙げた異方性エッチングを行うことにより、図6(b)及び図7(b)で表される構成であってもよい。具体的には、LHが増加する基板上の斜部の傾斜角が54.7度になるように形成したものでも効果があり、上記を同じ計測にて、従来ヘッドと比較して約1.5倍の持続性があった。
【0031】
また、LHが増加する基板上の斜部の傾斜角を0度から70度まで、本発明者らが検討を行ったが、5度から60度の範囲では、従来ヘッドと比較して約1.2倍以上の効果が確認された。
【0032】
(第3の実施形態)
図8は本発明のインクジェット記録ヘッドの第3の実施形態の模式的な断面図である。特に図8の(b)は図8の(a)の枠線A部の拡大図である。図9は図8に示すヘッド構造において、電気熱変換素子のインク供給口側の端部からインク供給口にかけてのインク流路の高さの変化を示す図である。図8において第1の実施形態と同一の構成部材には同一符号を付してあり、以下では第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0033】
本実施形態においては、成膜プロセスにより基板上に膜を複数層重ねることにより、インク流路の高さ(LH)を徐々に増加させている。このような本形態の特徴部は例えば次のようにして形成される。本形態では、Si基板上に電気熱変換素子を形成する成膜行程において、Al膜を一層10000Å、Al層とAl層の間に300ÅのCr膜を形成している。Al層間にCr層を設けているのは、同じエッチャントで腐食されない材料を間に挟むことにより、階段状に膜を設けている。本実施形態では、Al層を10層、Cr層を10層形成することにより、インク流路の高さ(LHの距離)を従来例より10.3μm徐々に増加させている。一番上のCr層の上には、電気熱変換素子や蓄熱層や電極を含む層が形成されている。
【0034】
本形態のインクジェット記録ヘッドを吐出周波数10kHzで駆動し、全吐出による黒ベタ印字を連続記録してその持続時間を計測し、比較評価を行った。結果は従来のインクジェット記録ヘッドに比較して、本形態では約2.5倍の長い時間の黒ベタ印字の持続性が達成できた。
【0035】
また、本形態では、階段状に膜を重ねることでLH距離を増加させたが、これが、上述したようにAlとCrの2つの材料の層の合計が20層に限定されるものではなく、LHの距離を徐々に増加させることが本発明の効果をもたらす。また、成膜の材料はAlやCrに限定されるものではなく、同じエッチャントで腐食されない金属が重なっていれば良い。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、インクジェット記録ヘッドにおいて、電気熱変換素子からインク供給口の間でインク流路の高さLHを徐々に増やしていく構成をもつ事により、インク供給口において空どう現象による気泡が生じないので、インク滴の吐出性能に悪影響を与えないで済む。すなわち、インク供給口において多数の残留気泡が現れないため、残留気泡がインク流路を塞いで吐出不良を生じさせることもない。また、残留気泡が外気と連通してメニスカスが破壊され、インク流路内のインクが空になるという現象もなくなる。したがって、定期的にインクとともに残留気泡を外部に排出する回復処理の回数も低減できるので、スループットにすぐれ、インク消費量に少なくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録ヘッドの概略構成を表す模式図である。
【図2】図1に示す第1の実施形態の記録ヘッドのA−A’断面図である。
【図3】図2に示すヘッド構造において、電気熱変換素子のインク供給口側の端部からインク供給口にかけてのインク流路の高さの変化を示す図である。
【図4】図2に示すヘッド構造について、基板の吐出口プレート側からインク吐出時の気泡の発生を観察した様子を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の記録ヘッド構造の他の形成方法を説明するための図である。
【図6】本発明のインクジェット記録ヘッドの第2の実施形態の模式的な断面図である。
【図7】図6に示すヘッド構造において、電気熱変換素子のインク供給口側の端部からインク供給口にかけてのインク流路の高さの変化を示す図である。
【図8】本発明のインクジェット記録ヘッドの第3の実施形態の模式的な断面図である。
【図9】図8に示すヘッド構造において、電気熱変換素子のインク供給口側の端部からインク供給口にかけてのインク流路の高さの変化を示す図である。
【図10】従来のインクジェット記録ヘッドにおける課題を説明するための図である。
【図11】従来のインクジェット記録ヘッドにおける課題を説明するための図である。
【図12】従来のインクジェット記録ヘッドにおける課題を説明するための図である。
【図13】従来のインクジェット記録ヘッドにおける課題を説明するための図である。
【図14】従来のインクジェット記録ヘッドにおける課題を説明するための図である。
【符号の説明】
1 電気熱変換素子
2 吐出口
3 インク供給口
4、14、14’、24 基板
5、5’ 吐出口プレート
6 被覆樹脂層
7 流路壁
10 樹脂

Claims (8)

  1. インクを吐出するために利用される熱エネルギーを発生するエネルギー発生素子が配置された基板と、前記エネルギー発生素子に対向する位置に設けられインクを吐出する吐出口が設けられた吐出口プレートと、を有し、前記基板と前記吐出口プレートとの間にインク流路が形成され、該インク流路にインクを供給するためのインク供給口が前記基板に設けられ、前記エネルギー発生素子が発生する熱エネルギーによってインクに気泡を成長させてインクを吐出するインクジェット記録ヘッドであって、
    前記エネルギー発生素子から前記インク供給口に近づくにしたがい、前記インク流路の高さの増加量が増えるよう、前記基板側が傾斜することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. インクを吐出するために利用される熱エネルギーを発生するエネルギー発生素子が配置された基板と、前記エネルギー発生素子に対向する位置に設けられインクを吐出する吐出口が設けられた吐出口プレートと、を有し、前記基板と前記吐出口プレートとの間にインク流路が形成され、該インク流路にインクを供給するためのインク供給口が前記基板に設けられ、前記エネルギー発生素子が発生する熱エネルギーによってインクに気泡を成長させてインクを吐出するインクジェット記録ヘッドであって、
    前記エネルギー発生素子から前記インク供給口に向けての距離に対して前記インク流路の高さが増加するよう、前記基板側が所定の傾斜角で傾斜することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  3. 請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッドにおいて、前記基板に、前記基板とは別部材を形成することにより前記インク流路の高さを増加させることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  4. 請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッドにおいて、階段状の構成をとることにより前記インク流路の高さを増加させることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  5. 請求項4に記載のインクジェット記録ヘッドにおいて、複数の膜を層構造に成膜することにより前記インク流路の高さを階段状に増加させることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  6. 請求項1から5の何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッドにおいて、前記エネルギー発生素子によってインクに形成された気泡が消泡前に大気と連通するものであることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  7. 請求項1から6の何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッドにおいて、前記エネルギー発生素子は電気熱変換体であることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  8. 請求項1から7の何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッドと、該インクジェット記録ヘッドを載置するための載置手段と、を具備することを特徴とするインクジェット記録装置。
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