JP3683760B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスクロール圧縮機、詳しくは、鏡板に渦巻体を突設して成る固定および可動スクロールを備えたスクロール圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種スクロール圧縮機は、例えば特開昭58−128485号公報に記載されているように知られている。この公報記載のスクロール圧縮機は、図9に示したように、密閉ケーシングAの内方上部に、鏡板B1に渦巻体B2を突設して成る固定スクロールBを設け、かつ、この固定スクロールBの下部側に、同じく鏡板C1に渦巻体C2を突設して成る可動スクロールCを前記各渦巻体B2,C2が互いに噛合するように上下対向状に支持すると共に、前記ケーシングAの下部側にモータDを設けて、該モータDから延びる駆動軸Eを前記可動スクロールCの下部側に設けた軸受ハウジングFに軸受支持させる一方、前記駆動軸Eの軸受上端側を前記可動スクロールCに連動連結させて、前記駆動軸Fの駆動に伴い前記可動スクロールCを固定スクロールBに対しオルダムリングなどの自転防止機構を介して公転駆動させるようにしている。
【0003】
そして、前記可動スクロールCの下方背面側で前記軸受ハウジングFとの間には中間圧室Gを設けると共に、前記可動スクロールCの鏡板C1に前記中間圧室Gと圧縮室とを連通させる中間圧孔Hを形成して、該中間圧孔Hから前記圧縮室における圧縮ガス流体の一部を前記中間圧室G側に導入させることにより、この中間圧室Gの内部を吸入圧力と吐出圧力との中間圧力に保持し、この中間圧力でもって前記可動スクロールCを固定スクロールB側に押付けており、斯くすることにより、これら各スクロールB,Cの各渦巻体B2,C2をそれぞれ鏡板C1,B1側に互いに密接させ、運転時に、前記可動スクロールCが前記固定スクロールBに対し下方側に離間するのを防止し、この離間により、前記各渦巻体B2,C2間の圧縮室側から低圧側へのガス漏れの発生をなくして、前記圧縮室での圧縮損失を低減している。
【0004】
更に、以上のスクロール圧縮機においては、前記圧縮室内で過圧縮を起こしたりするのを防止するため、前記固定スクロールBに複数のリリーフポートIを形成すると共に、前記固定スクロールBの前記各リリーフポートIとの対向部位に、前記圧縮室の内部圧力が所定圧力以上となったとき開動作されるリリーフ弁Jをそれぞれ設けている。斯くすることにより、前記圧縮室の内部圧力が所定圧力以上となったとき、前記リリーフ弁Jを開き、前記圧縮室内の圧縮ガスの一部を前記リリーフポートIからケーシング内に開放させて、前記圧縮室内で過圧縮が発生したりするのを防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、以上の構成では、前記リリーフポートIにより前記圧縮室での過圧縮を防止できるのであるが、前記中間圧孔Hを介して前記中間圧室Gと前記各渦巻体B2,C2間に形成される圧縮室とを連通させ、前記中間圧室Gを中間圧に保持するようにしているから、この中間圧室Gと前記圧縮室との間でガス流体の出入りが発生することになり、つまり、前記中間圧孔Hが高圧の圧縮室側に開口されたときには、この圧縮室から前記中間圧室G内に高圧のガス流体が流入し、また、前記中間圧孔Hが中間圧室Gより低圧の圧縮室側に開口したときには、この圧縮室側に前記中間圧室Gから中間圧のガス流体が流入されるため、このガス流体の出入りにより圧縮損失や動力損失を招く問題があった。即ち、図10は、縦軸に圧力を、横軸に圧縮容積をとったグラフであって、吸入側において前記各渦巻体B2,C2間の圧縮室にガス流体を吸入し、前記可動スクロールCの公転運動に伴って前記ガス流体を圧縮室内で圧縮し、圧縮終了後に吐出口からケーシング内に吐出させるまでのガス流体の過程を示しており、ガス流体が前記圧縮室へと吸入されて封入されるとき、該圧縮室内に前記中間圧室Gから中間圧のガス流体が導入されることにより、同図の一点鎖線で示すように、前記圧縮室の内部圧力が高くなり、それだけ動力損失が生ずるのであり、また、高圧の圧縮室から中間圧室Gに排出されることにより、それだけ圧縮損失が生ずるのである。
【0006】
また、固定スクロールおよび可動スクロールが高圧雰囲気中にあるため、これらスクロールによって吸入管の吸入ガスが加熱される。このため、吸入加熱による圧縮室の体積効率が悪くなるという問題もある。
【0007】
本発明の目的は、圧縮室での圧縮損失および動力損失を低減できながら、しかも、過圧縮を少なくできるスクロール圧縮機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、鏡板21,31に渦巻体22,32を突設した固定スクロール2と可動スクロール3とを備え、この両スクロールの渦巻体22,32を対向させて噛み合わせて圧縮室X,Yを形成したスクロール圧縮機において、密閉ケーシング1内を軸受ハウジング5によって区画し、区画した一方の空間1Eに、前記固定スクロール2と可動スクロール3とからなる圧縮要素を配置し、この圧縮要素の吐出口23から吐出した流体を他方の空間1Bに導き、この他方の空間1Bに前記圧縮要素を駆動するモータ4を配置してなり、前記固定スクロール2の渦巻体22は、その巻終り端から可動スクロール3の渦巻体32の巻終り端近くまで延びていて、その延長部の内側面は前記固定スクロール2の渦巻体22に連続する曲線状をなしており、前記固定スクロール2において、前記吐出口23に開口する直前の2つの圧縮室X1,Y1内のそれぞれの流体が、各圧縮室X,Yへの前記流体の閉じ込み時における各圧縮室X,Yの容積に対する各圧縮室X1,Y1の容積の比が同じ値となった段階で位相差をもって前記他方の空間1Bに順次リリーフされる位置にリリーフ弁を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、吸入管7が、前記密閉ケーシング1を貫通して前記低圧室1Eに開口するとともに、前記固定スクロール2および前記可動スクロール3の巻終り端の近傍に延設されている。
【0010】
請求項1に記載の発明では、固定および可動スクロール2,3からなる圧縮要素の周りを吸込み圧力空間とし、モータ4の周りを吐出圧力空間とし、非対称渦巻構造を有している。したがって、圧縮機に吸込まれるガスは高温の吐出ガスやモータに触れることはないので、吸入加熱の少ない体積効率の高い構成を実現できる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、圧縮機に吸込まれるガスは、ケーシング1を伝わる熱や、吸込み圧力空間内のやや熱いガスとも直接触れ難くなるので、さらに吸入加熱の少ない、体積効率の高い構成となる。
【0012】
【実施例】
図1は縦形スクロール圧縮機を示しており、密閉ケーシング1の内方上部に、鏡板21に渦巻体22を突設し、前記鏡板21の中央部に吐出口23を形成した固定スクロール2と、鏡板31に渦巻体32を突設して成る可動スクロール3とを、互いに各渦巻体22,32が噛み合うように上下対向状に支持すると共に、前記ケーシング1の下部側にモータ4を設けて、該モータ4から延びる駆動軸41を前記可動スクロール3の下部側に固定した軸受ハウジング5に軸受支持させる一方、前記駆動軸41の軸受上端側を前記可動スクロール3における鏡板31の裏面中央部に突設したボス部33に挿嵌させて、前記駆動軸41の駆動に伴い前記可動スクロール3を固定スクロール2に対しオルダムリング50から成る自転防止機構を介して公転駆動させるようにしている。
【0013】
また、前記固定スクロール2には、前記吐出口23の上部側を覆うカバー体24を固定ボルトなどを介して取付け、該カバー体24を前記ケーシング1の内方上部側に固定した支持板6に連結させており、この支持板6には前記吐出口23に連通する連通孔61を設けている。さらに、前記固定スクロール2には前記ケーシング1を貫通して該ケーシング1内に突入する吸入管7を接続しており、また、前記連通孔61が開口する前記ケーシング1の吐出室1Aと、前記モータ4と軸受ハウジング5の空間1Bとを、連絡路1Cで連通して、前記ケーシング1内を高圧とした高圧ドーム構造とし、前記空間1Bに吐出管8を開口させている。
【0014】
そして、前記モータ4の駆動に伴う前記駆動軸41の回転で、前記固定スクロール2に対し可動スクロール3を公転駆動させることにより、前記吸入管7から前記各スクロール2,3の各渦巻体22,32間に形成される吸入部からガス流体を吸入して、これら各渦巻体22,32間の圧縮室で圧縮し、この圧縮ガス流体を前記吐出口23から前記連通孔61および連絡路1Cを経て前記空間1Bに吐出させ、該空間1Bから前記吐出管8を介して外部に吐出させるのである。
【0015】
また以上の構成において、前記軸受ハウジング5と前記可動スクロール3との間でボス部33の外周囲には背面室9が形成され、該背面室9は、前記ケーシング1内の高圧圧力が作用している。即ち、前記背面室9は、前記ケーシング1の底部油溜から前記駆動軸41の内部を経て各潤滑箇所へと汲上げられる高圧の潤滑油が供給されていて、高圧圧力が作用するようになっており、この背面室9に作用する高圧圧力により前記可動スクロール3を固定スクロール2側に押圧するようにしている。また、図2,図3で明らかにしたように、前記固定スクロール2の鏡板21に、前記各スクロール2,3の渦巻体22,32間に形成される圧縮室X,Yで、前記吐出口23に開口する直前の圧縮室X1,Y1を前記吐出室1Aに連通させるリリーフポート10を設けると共に、前記リリーフポート10に前記圧縮室X1,Y1から前記吐出室1Aへの流れのみを許すリリーフ弁11を設け、このリリーフ弁11の上部側に弁押え12を設けたのである。
【0016】
更に詳記すると、前記固定スクロール2の鏡板21に、前記吐出口23に開口される直前の二つの圧縮室X1,Y1を前記吐出室1Aに連通する二つのリリーフポート10,10を形成して、これら各リリーフポート10,10にそれぞれリリーフ弁11,11を設けると共に、この各リリーフ弁11,11の上部側にそれぞれ弁押え12,12を取付けたのである。また、前記リリーフ弁11,11および弁押え12,12は、図3で示したように、一対のリリーフ弁11,11を連結片11aで、一対の弁押え12,12を連結片12aでそれぞれ一体化して、前記各リリーフ弁11および各弁押え12をそれぞれ一つの部品にして部品点数を減少できるようにしている。また、前記リリーフ弁11および弁押え12は、前記各連結片11a,12aの長さ方向両側で前記リリーフ弁11および弁押え12の各基部側を前記固定スクロール2の鏡板21上に固定ボルトなどで共締めするようにしている。
【0017】
次に、以上の構成による作用について説明する。前記スクロール圧縮機による運転時には、前記吸入管7からの吸入ガス流体が、前記各スクロール2,3における各渦巻体22,32の外方側に形成される吸入部から内部に導入されて、前記各圧縮室X,Y内で圧縮され、この圧縮ガス流体が前記吐出口23から前記支持板6の連通孔61を経て吐出室1Aから前記空間1Bに導かれ、この空間1Bから吐出管8を介して外部に吐出される。このとき、前記背面室9には、前記ケーシング1の底部油溜から前記駆動軸41の内部を経て各潤滑箇所へと汲上げられる高圧の潤滑油が供給されて高圧が作用し、この高圧圧力により、前記可動スクロール3が固定スクロール2側に押付けられる。従って、前記固定スクロール2から可動スクロール3が離間したりするのが確実に防止され、前記各渦巻体22,32をそれぞれ鏡板31,21に密接させることができ、しかも、前記圧縮室X,Yから低圧側へのガス漏れの発生を防止でき、前記圧縮室X,Yでの圧縮損失および動力損失を低減することができるのである。
【0018】
しかも、前記固定スクロール2には、前記圧縮室X,Yのうち前記吐出口23に開口する直前の第1圧縮室X1,Y1と前記吐出室1Aとをリリーフポート10,10により連通し、この各リリーフポート10に前記圧縮室X1,Y1から吐出室1Aへの流れのみを許すリリーフ弁11,11を設けているから、前記圧縮室X1,Y1の圧力が前記吐出室1A内の圧力以上となったとき、これら各リリーフ弁11が開かれ、前記圧縮室X1,Y1内の圧縮ガスの一部が前記各リリーフポート10から前記吐出室1Aに開放されて、前記圧縮室X1,Y1内で過圧縮が発生したりするのを防止できる。従って、前記軸受ハウジング5の軸受に対する荷重や駆動トルクが異常に高くなるのも防止できるのである。
【0019】
即ち、冷凍装置の冷媒圧縮に用いる場合、冷凍装置のシステムにより決まる圧力比、つまり凝縮圧力と蒸発圧力とにより決まる圧力比が、前記各スクロール2,3の設計圧力比より低いと、換言すると蒸発圧力で決まる吸入圧力が高くなりシステムにより決まる圧力比が設計圧力比より低くなったり、逆に凝縮圧力で決まる吐出圧力が低くなりシステムにより決まる圧力比が設計圧力比より低くなると、リリーフポート10を設けない場合では、図5の圧縮特性曲線R2のように圧縮室X,Yの高圧圧力P02が高くなるのに対し、リリーフポート10を設けた場合には図5の圧縮特性曲線R1のように圧縮室X,Yの高圧圧力P01を前記高圧圧力をP02に比較して低くできるのである。尚、図5においてP1は圧縮室X,Yの閉じ込み時における低圧圧力である。
【0020】
また、システムで決まる圧力比が設計圧力比より低いと、固定スクロール2と可動スクロール3との間の離反力が増大し、図6の点線Pxで示したように前記可動スクロール3を固定スクロール2に押付け力、つまりスラスト軸受荷重が減少し、可動スクロール3が不安定となりガス漏れが生じたり、また、逆に前記軸受ハウジング5の軸受に対する荷重や駆動トルクが高くなるのであるが、リリーフポート10を設けることにより前記したシステムにより決まる圧力比が低い場合、つまり過圧縮される場合でも、また、液圧縮により過圧縮される場合でも、前記固定スクロール2に可動スクロール3を押し付ける押し付け力、つまりスラスト軸受荷重を増大させられ、従って、前記可動スクロール3が固定スクロール2に対し離反することのない適正な押し付け力が得られるのであって、前記可動スクロール3が不安定となったり、ガス漏れが生ずるのを防止でき、それでいて、前記軸受ハウジング5の軸受に対する荷重や駆動トルクが高くなるのも防止できるのである。
【0021】
しかも、前記圧縮室X1,Y1内での過圧縮の発生を防止するにあたっては、従来のように、前記圧縮室X1,Y1と可動スクロールの背面側とを中間圧孔を介して連通し、中間圧を可動スクロールに作用させるのでなく、換言すると、前記圧縮室X1,Y1と中間圧室との間でガス流体を出入させるのでなく、この可動スクロール3の背面側に設けた背面室9に前記ケーシング1内の高圧圧力を付与して、前記可動スクロール3を固定スクロール2側に押付けるようにしているため、従来のように、中間圧室を介して圧縮ガス流体が高圧側から低圧側に洩れることによる圧縮損失や動力損失をなくすことができるのである。
【0022】
また、以上説明した実施例は前記固定スクロール2における渦巻体22の巻終り端と、前記可動スクロール3における渦巻体32の巻終り端とを180度の位相差とし、前記各渦巻体22,32により形成する二つの圧縮室X,Yの吸入口を対称位置に設けた比較例としての一般的なスクロール圧縮機であるが、図4で示したように、固定スクロール2における渦巻体22の巻終り端から前記可動スクロール3における渦巻体32の巻終り端近くにまで延びるインボリュート曲線形状の延長部22aを設けて、前記各スクロール2,3を非対称形に形成してもよい。この場合、前記リリーフポート10を前記各スクロール2,3の渦巻体22,32間に形成する二つの圧縮室X,Yと交互に連通する位置、つまり、図4の実線で示した位置に開口させることにより、一つのリリーフポート10を設けるだけで、このリリーフポート10を前記固定スクロール2の鏡板21で前記可動スクロール3の公転駆動時に前記第1圧縮室X1,Y1と交互に連通されられるのであって、図4の実線と点線とで示したように、各圧縮室X,Yごとにリリーフポート10を設ける場合に比較してその加工性を向上できるのである。尚、前記渦巻体22の延長部22aは、その内側面だけをインボリュート曲線状に形成するようにしてもよい。
【0023】
即ち、以上のように、前記固定スクロール2の渦巻体22にインボリュート曲線状の延長部22aを設けて、前記各スクロール2,3を非対称形とするときには、前記各渦巻体22,32間の前記第1圧縮室X1,Y1でガス流体を圧縮するとき、これら各圧縮室X1,Y1間では図7に示したように所定の位相差でもってガス流体の圧縮が行われるため、図4の実線位置に一つのリリーフポート10を設けるだけで、前記公転スクロール2の公転駆動時、前記リリーフポート10を、図7に示したように前記第1圧縮室X1,Y1に所定期間交互に開口させるられるのである。尚、このとき、前記固定スクロール2の鏡板21に形成する一つのリリーフポート10は、前記鏡板21に設ける渦巻体22の厚みより小さく、かつ、該渦巻体22の厚みにできるだけ近い孔径に形成することが望ましく、斯くすることにより、前記リリーフポート10をガス流体が通過するときの抵抗を軽減することができながら、このリリーフポート10を介して前記圧縮室X,Yの高圧側から低圧側にガス流体がリークしたりして圧縮損失を招いたりするのをなくすことができる。
【0024】
さらに、図8で示したように、前記固定スクロール2の鏡板21に設けた前記吐出口23との対向部位に、該吐出口23を開閉する吐出弁25を取付けると共に、この吐出弁25の取付基部25aから前記各リリーフ弁11,11を一体に延長させるようにしてもよい。斯くするときには、前記吐出弁25と前記各リリーフ弁11,11とを一つの部品にできるから、部品点数を減少できコストダウンが可能となり、また、組付性を高めることもできる。尚、これら弁の上部には、図3と同様に弁のリフトを規制する弁押えが設けられている。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、非対称渦巻構造のスクロール圧縮機において、密閉ケーシング1内を軸受ハウジング5によって区画し、固定スクロール2および可動スクロール3からなる圧縮要素の周りを吸込み圧力空間とし、モータ4の周りを吐出圧力空間としているので、吸入加熱の少ない、体積効率の高い構成を実現できる。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、圧縮機に吸込まれるガスは、ケーシング1を伝わる熱や、吸込み圧力空間内のやや熱いガスとも直接触れ難くなるので、さらに吸入加熱の少ない、体積効率の高い構成となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるスクロール圧縮機の全体構造を示す一部省略した縦断面図。
【図2】 リリーフポートおよびリリーフ弁を設けた固定スクロールの一部を示す拡大断面図。
【図3】 図2の平面図。
【図4】 非対称形とした固定および可動スクロールの説明図。
【図5】 リリーフポートを設けた場合と設けない場合との圧縮曲線を示すグラフ。
【図6】 スラスト軸受荷重と圧力比との関係を示すグラフ。
【図7】 非対称形スクロールの圧縮曲線を示すグラフ。
【図8】 吐出口に吐出弁を設けた実施例の図3に対応する平面図。
【図9】 従来のスクロール圧縮機を示す縦断面図。
【図10】 従来の圧縮曲線を示すグラフ。
【符号の説明】
1 密閉ケーシング、1A 高圧室、2 固定スクロール、3 可動スクロール、21,31 鏡板、22,32 渦巻体、23 吐出口、25 リーフ形吐出弁、10 リリーフポート、11 リリーフ弁、X,Y 圧縮室、X1,Y1 吐出口開口直前の圧縮室。
Claims (2)
- 鏡板(21)(31)に渦巻体(22)(32)を突設した固定スクロール(2)と可動スクロール(3)とを備え、この両スクロール(2)(3)の渦巻体(22)(32)を対向させて噛み合わせて圧縮室(X,Y)を形成したスクロール圧縮機において、
密閉ケーシング(1)内を軸受ハウジング(5)によって区画し、区画した一方の空間(1E)に、前記固定スクロール(2)と可動スクロール(3)とからなる圧縮要素(2,3)を配置し、この圧縮要素(2,3)の吐出口(23)から吐出した流体を他方の空間(1B)に導き、この他方の空間(1B)に前記圧縮要素(2,3)を駆動するモータ(4)を配置してなり、
前記固定スクロール(2)の渦巻体(22)は、その巻終り端から可動スクロール(3)の渦巻体(32)の巻終り端近くまで延びていて、その延長部の内側面は前記固定スクロール(2)の渦巻体(22)に連続する曲線状をなしており、
前記固定スクロール(2)において、前記吐出口(23)に開口する直前の2つの圧縮室(X1,Y1)内のそれぞれの流体が、各圧縮室(X,Y)への前記流体の閉じ込み時における各圧縮室(X,Y)の容積に対する各圧縮室(X1,Y1)の容積の比が同じ値となった段階で位相差をもって前記他方の空間(1B)に順次リリーフされる位置にリリーフ弁を設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。 - 吸入管(7)は、前記密閉ケーシング(1)を貫通して前記一方の空間(1E)に開口するとともに、前記固定スクロール(2)および前記可動スクロール(3)の巻終り端の近傍に延設されている請求項1記載のスクロール圧縮機。
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1999
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