JP3683491B2 - バイブレーテインググリッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイブレーテインググリッドの支持装置に関する。更に詳しくは、バイブレーテインググリッドの支持装置に弾性体を有する支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から土木、建築工事に伴い発生する残土等は、可能な限りリサイクルされ再使用されているが、最近は地球環境保護の観点から非常に重要な問題として注目されている。このため残土等を篩い振動等で篩い、大きな石や木材等の異物を取り除いて、残った土等を改良土としてリサイクル使用することが、盛んに行われそれに伴って改良も繰り返し行われている。
【0003】
この改良土を作る装置の一例として、本出願人は特開2000−325885「バイブレーテインググリッド」を提案している。この先願の装置は、バイブレーテインググリッドであって、機台と、この機台に搭載された本体であるグリッド本体と、前記機台と前記グリッド本体との間に介在され、前記グリッド本体を弾性的に支持するための弾性支持手段と、前記グリッド本体を被篩い物を流す方向に傾斜させるための傾斜手段と、前記グリッド本体に振動を与えるための振動発生手段と、前記グリッド本体に配置され、前記被篩い物が流れる方向に沿って複数配置されたバー篩いとから構成されたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の本出願人に係る先願はそれなりに効果のあるものであるが、完全なものとは言い難い。本発明は、先願装置の一部を改良し、更に効果を高めるために改良したものである。前述した先願のグリッド本体を弾性的に支持する弾性支持手段は、ゴムが適用されている。このゴムは振動を吸収する点で効果のあるものではあるが、前述した先願の稼働が長時間に及ぶ場合、またメンテナンスの部品交換の容易性、あるいは経済性の点で問題があった。本発明は、前記従来の問題点を解決するためになされたものであり、下記目的を達成するものである。
【0005】
本発明の目的は、バイブレーテインググリッドにおいて、長時間の寿命を維持し、交換が容易な部品を使用することによってメンテナンスのし易い構成とし、また部品も高価なものでなく市販で容易に入手可能なものを使用し経済性に優れた支持構成とした支持装置の提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のバイブレーテインググリッドは、機台と、前記機台に対して傾斜可能に設けられたグリッド支持台と、前記グリッド支持台上に弾性的に支持され、振動により篩い動作を行うグリッド本体と、前記グリッド本体に振動を与える加振装置と、前記グリッド支持台と前記グリッド本体の間に設けられ、前記グリッド支持台に対して前記グリッド本体を弾性的に支持する複数組の圧縮バネとを有し、前記圧縮バネは、下端が前記グリッド支持台に、上端が前記グリッド本体に取り付けられた2本のバネからなると共に、2本のバネの上端が略∧状になるように近接するものであり、また、前記圧縮バネは、前記グリッド本体の振動に伴って発生する荷重及び前記グリッド本体の自重の合成力が、前記圧縮バネに対する圧縮力になり、前記振動に伴って発生する荷重が、前記圧縮バネに対する伸張力にならない構成である。
また、上記のバイブレーテインググリッドにおいて、前記圧縮バネは、伸縮力の調整が可能なものであることが好ましい
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。図1、2及び図3は本発明を適用したバイブレーテインググリッドの全体構成を示しており、図1は、機台1にグリッド支持台2(グリッド支持体)を水平に位置させた場合の全体正面図、図2はそのグリッド支持台2を傾斜させて固定した場合の全体正面図で、図3はバイブレーテインググリッドの全体側面図である。バイブレーテインググリッドの構成については、同一出願人の特開2000−325885等に詳細が述べられているが、概略次のような構成になっている。
【0008】
図において、機台1の上方にグリッド支持台2が配置されている。このグリッド支持台2は機台1に対して揺動自在に連結されており、任意角度位置に重力からある角度傾斜させ固定することができる。このグリッド支持台2を揺動させるための駆動は、グリッド支持台2と機台1との間の両側面に配置された2つの油圧シリンダ3によっている。
【0009】
グリッド支持台2上には、グリッド本体6を支持する弾性支持機構4が取り付けられている。さらに、ホッパー5が上部に設けられたバイブレーテインググリッドのグリッド本体6がこの弾性支持機構4を介して支持されている。この弾性支持機構4は、グリッド本体6を上下動自在に支持するための緩衝機構であり、後述する一対のバネ10によって構成されている。この一対のバネ10は、バネ10aとバネ10bから構成されている。
【0010】
一方、バイブレーテインググリッドの主要部をなすグリッド本体6の側面には、加振装置7とこれを駆動するモータ8が配置されている。このグリッド本体6の上部には、前述のとおりホッパー5が搭載されている。また、このグリッド本体6の内部には、図示していないが、1段又は上下2段の篩いが設置されている。2段篩いの場合、下段篩いは、上段篩いを通過した被篩い物を再度篩いにかけるものである。本発明は、篩いが1段であるか2段であるかは問わない。
【0011】
このような構成のバイブレーテインググリッドにおいて、ホッパー5に被篩い物が投入されると、グリッド本体6は加振装置7により上下方向に振動し、被篩い物は1段又は、複数段の篩いにかけられる。この篩いを通過したものが落下し改良土として再利用するために使用される。通過しないものは排出口から排出される。
【0012】
この振動しているグリッド本体6を支持しているのが弾性支持機構4である。従来の弾性支持機構4は、前述のとおりゴムで構成されているので、グリッド本体6の傾斜角度を大きくすると、被篩い物の上からの荷重によりねじり方向の力がかかり耐久性が悪くなる。このため、可能な限り垂直状態にする必要があり、グリッド支持台2を使用頻度の多い傾斜角度にしたときゴムが垂直になるように、また、グリッド本体6を水平状態にしたときは弾性支持機構4のゴムの位置をある角度をもたせて配置している。
【0013】
図4は、偏心体が単体の場合の加振装置20の基本構成を模式的に示した図である。この基本構成は公知のもので、バイブレーテインググリッドに適用しているものである。モータ8からベルトを介して加振装置20の回転軸21が回転するに伴い、偏心体22も回転する。この偏心体22は回転軸21位置からS離れた偏心位置に重心Gを有するものである。
【0014】
この重心Gは回転軸21まわりに回転するので、遠心力で振られる状態で円運動する。回転軸21は偏心体22とともにグリッド本体6に回転可能に支持されている。従って、グリッド本体6の篩いは偏心体22の回転により振動し篩い動作を行う。回転軸21は振動で微小量位置を変えるが許容範囲に設定しているので、ベルトがプーリから外れることはない。
【0015】
また他の例として、回転軸21をモータとともに固定側に回転可能に支持し、偏心体を偏心させた状態で回転可能にグリッド本体6に支持させ、このグリッド本体6のみを振動させる方法もある。図5は、2つの偏心体を並列させ連動で回転することによって、グリッド本体6に振動を与える場合を示している。この場合はバランスのとられた振動起振の方法で、図のX方向のみに振動を起こす。
【0016】
2つの偏心体7bを2つの回転軸7aを介して対称的に回転させ、同じ方向の偏荷重によってX方向に振動を発生させる。図の場合、モータ8軸と回転軸7aを結ぶ線Yに沿って2つの偏心体7bを対向して配置しているので、この偏心体7bが回転すると、この両軸を結ぶ線Yに直角の方向Xに振動が発生する。
【0017】
このようにモータ8軸と回転軸7aを結ぶ線Yに直角の方向Xに振動を発生させるようにすることは、回転振動に伴うベルトの脱落を防止するのに効果がある。これはX方向に振動したときの軸間距離のずれを最小に抑えることができるからである。また、モータ8の取り付けているベースが揺動するようになっているので、ベルトの張りは、揺動位置を変えることにより適正な状態に調整できる。
【0018】
次に本発明の弾性支持機構4について説明する。図1および図2で示すように、グリッド支持台2にバネ10取り付けのための支持固定具9が設けられており、この支持固定具9に一対のバネ10の一端が各々固定されている。一対の各々のバネ10aとバネ10bは、角度を有して向かい合わせの形で取り付けられており、他端はグリッド本体6の側壁に第2の支持固定具11を介して取り付けられている。この取り付けは、バネ10の伸縮力を調整できるようになっている。
【0019】
この伸縮調整はナット12によって行う。従って、各々のバネ10a,バネ10bの伸縮力を個別に行うことにより、バランスのとれた最適な伸縮状態を設定できる。また、この一対のバネ10の取り付け角度も調整できるようになっている。これは、の支持固定具9および第2の支持固定具11を予め角度の異なるものをいくつか準備しておき、最適なものを選択的に使用すればよい。また、単独で角度の調整のできる固定具を準備することも可能である。
【0020】
従って、後述するように一方のバネに引っ張り方向の力がかかるのを軽減するように、2つのバネ10a,バネ10bの荷重をバランスさせるための角度調整も可能である。このようにすることによって、バネの跳ね上がりを防止できる。この一対のバネ10は同形のコイルバネであり、グリッド本体6の両側に2対づつ全部で4対のバネ10が取り付けられている。
【0021】
ホッパー5から被ふるい物が投入され、振動をもってふるいにかけられると、グリッド本体6が加振装置7の作動で振動する。このグリッド本体6を一対のバネ10が弾性支持の状態で支持する。2つの偏心体による振動動作の場合は力の方向が特定されるので、これを例にとってこの支持状態の力関係を次に詳述する。
【0022】
図6、図7は、グリッド本体6が傾斜した状態で、被ふるい物を投入され振動を起こしたときのバネ10にかかる荷重分布を示した説明図である。図6は振動方向で荷重が下向きになった場合の想定である。F1が振動に伴って発生する下向きの力、F2を自重とすると、バネに対しては合成力として下向きにF3がかかる。傾斜方向の分力がF4となる。振動方向の力が下向きの場合、バネは常に下方向に圧縮力を受けることになる。
【0023】
図7は、振動方向の力が上向きになった場合の想定である。F1は前述とは逆に上向きの力となる。自重をF2として、この結果合成力F3は横方向にかかる。従って、振動に伴って発生する力は、図6と図7の間でF3が変化することになる。これをさらに模式的に示したのが図8である。
【0024】
即ちバネ10に対しては横方向に力がかかると、バネ10の位置が図のように変化しずれSが生じる。グリッド本体6は、加振装置7で前述のとおりX方向に振動を与えられているが、グリッド本体6が傾斜しているので、バネ10に対しては圧縮以外にねじれ等の原因となる横方向にも力が加えられる。このことは、ホッパー5を介して投入される被ふるい物は、振動でふるいにかけられながら、傾斜面に沿って横方向にずれていくことになる。
【0025】
常に圧縮方向に力がかかり下向きにバネ10が変形している場合は、横にバネ10の位置がずれても、バネ10a、バネ10bは共に圧縮方向に変形するのみである。しかし、図7のように横方向にF3が生じると、バネ10が延びきったときにバネ10の位置がずれると、バネ10bは圧縮方向に力がかかるが、バネ10aに対しては引っ張りの方向に力がかかることが想定される。このことは、シュミレーション計算でも確認されている。
【0026】
この計算実例を図9に示している。この図9は、一対のバネ10の開き角度ξを変えた場合の想定計算例であるが、一対のバネ10の開き角度ξが小さい場合に、バネ10aに引っ張りの力を受けていることを示している。即ち、図8において、(イ)、(ロ)は、バネ10の開き角度ξが小さい場合で、(イ)がバネ10bの、(ロ)がバネ10aの荷重分布状態を示している。図の縦軸がバネに加えられる荷重を示し、横軸はグリッド支持台2の傾斜角θを示している。
【0027】
この図においては、(ロ)のバネ10aがグリッド支持台2の傾斜角θが大きい場合に荷重がマイナスになっている。これはこのバネ10aに引っ張り方向の力が加わったことを意味する。同様に、(ハ)がバネ10b、(ニ)がバネ10aで、バネ10の開き角度ξが大きい場合の各バネ10a,バネ10bの荷重分布状態を示しているが、グリッド支持台2の傾斜角θが大きくなっても、どちらのバネもマイナスにはなっていない。
【0028】
この計算結果は設定条件によって数字が変わるので、確定的なものは提示できないが、各バネ10a,バネ10bに加わる荷重傾向は変わらない。条件設定によっては、バネ10aに対して、グリッドの振動動作でバネが横にずれ、引っ張り方向の力が加わることが想定できるということである。2つの各バネ10a,バネ10bにおいて、荷重分布のバランスがとれるように、予め計算して最適な条件設定を行う必要がある。
【0029】
このようにグリッド本体6を支持している弾性支持機構4には圧縮以外に複雑な力が生じていることが想定される。このため、ゴムの場合は耐久力が乏しく劣化しやすいが、本発明はバネとしたので、前述した想定においても十分耐久力の伴う構成が可能で長時間の稼働に耐えることができる。1つの偏心体の場合は、前述のとおり振動は円運動になるが、X方向の振動は連続的に変化したものとなり、必ずしも定常状態で、図解できるとは限らない。
【0030】
しかし、力方向は複雑になる傾向はあるが、篩い動作に最も重要なX方向の振動に対して最適設定条件で設定すれば、同等の効果は期待できる。1つの偏心体であっても、バネの使用はどの方向に対しても耐久力があり、また、経済的にも極めて有効である。以上、本発明の実施の形態をコイルバネについて述べてきたが、本発明の対象はこれに限定されるものではなく、板バネであってもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、バイブレーテインググリッドにおいて、弾性支持機構を一対のバネ構成としたので、長時間の寿命が維持でき、メンテナンスのし易い構成になり、また経済性に優れた支持構成となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明を適用したバイブレーテインググリッドの水平状態を示した全体図である。
【図2】図2は、本発明を適用したバイブレーテインググリッドの傾斜状態を示した全体図である。
【図3】図3は、本発明を適用したバイブレーテインググリッドの全体側面図である。
【図4】図4は、1つの偏心体を有する加振装置の基本構成を示した説明図である。
【図5】図5は、2つの偏心体を有する加振装置の基本構成を示した説明図である。
【図6】図6は、グリッド本体の振動で、バネの下方向に力がかかる場合を想定した荷重分布を示した説明図である。
【図7】図7は、グリッド本体の振動で、バネの上方向に力がかかる場合を想定した荷重分布を示した説明図である。
【図8】図8は、振動でバネが変形移動する状態を示した説明図である。
【図9】図9は、バネに加わる荷重についての計算例を示したグラフである。
【符号の説明】
1…機台
2…グリッド支持台
3…油圧シリンダ
4…弾性支持機構
6…グリッド本体
7,20…加振装置
8…モータ
9…支持固定具
10,10a,10b…バネ

Claims (2)

  1. 機台(1)と、
    前記機台(1)に対して傾斜可能に設けられたグリッド支持台(2)と、
    前記グリッド支持台(2)上に弾性的に支持され、振動により篩い動作を行うグリッド本体(6)と、
    前記グリッド本体(6)に振動を与える加振装置(7)と、
    前記グリッド支持台(2)と前記グリッド本体(6)の間に設けられ、前記グリッド支持台(2)に対して前記グリッド本体(6)を弾性的に支持する複数組の圧縮バネ(10a,10b)とを有し、
    前記圧縮バネ(10a,10b)は、下端が前記グリッド支持台(2)に、上端が前記グリッド本体(6)に取り付けられた2本のバネからなると共に、2本のバネの上端が略∧状になるように近接するものであり、
    また、前記圧縮バネ(10a,10b)は、前記グリッド本体(6)の振動に伴って発生する荷重(F1)及び前記グリッド本体(6)の自重(F2)の合成力(F3)が、前記圧縮バネ(10a,10b)に対する圧縮力になり、前記振動に伴って発生する荷重(F1)が、前記圧縮バネ(10a,10b)に対する伸張力にならない構成であるバイブレーテインググリッド
  2. 請求項1に記載のバイブレーテインググリッドであって、
    前記圧縮バネ(10a,10b)は、伸縮力の調整が可能なものであるバイブレーテインググリッド
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