JP3683445B2 - 光分波器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長多重された光のスペクトルをモニタする光分波器、および光分波器の検出器に用いられる受光素子アレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
光の連続スペクトルを測定するための計測装置(スペクトルモニタ)として、集光レンズで集光された光を折り返しミラーで反射し、回折格子で連続スペクトルを形成し、検出器で光の連続スペクトルを計測する装置が知られている(島津製作所ポリクロメータ測光システム、型番PSS−100)。この計測装置の検出器は、フォトダイオードアレイよりなる受光素子アレイであり、波長のスペクトルモニタとして用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の計測装置では、連続スペクトルを受光素子アレイで測定しているので、受光素子アレイのピッチによって測定できる波長分解能が決まる。
【0004】
他方、例えば波長多重伝送方式の光通信システムにおいて、人為的に間隔をあけた狭いスペクトル幅の光が多重化された光を監視する場合、従来のように単に受光素子を配列したのでは各チャンネルの信号とノイズとを明確に分離できない。なお、この明細書において“ノイズ”とは、主として光をファイバ増幅器で発生する各チャンネルのスペクトル幅の広がりや波長ずれなどを言うものとする。
【0005】
本発明の目的は、波長多重化された光の各チャンネルの信号とノイズとを明確に分離できる光分波器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
光分波器は、前述したように例えば波長多重伝送方式の光通信システムにおいて、受信側で多重伝送されてきた光を各波長毎に分離しスペクトルを計測するデバイスとして用いられる。この波長毎の集光点と受光素子アレイの各受光素子とがそれぞれ対応するように配置されると、各波長毎の検出が行える。
【0008】
各波長の信号強度を各波長に対応する1個の受光素子でモニタすると同時に、光通信システムのファイバ増幅器で発生したノイズも、この信号モニタ用受光素子に隣接する受光素子で検出する。このようにすると、Nチャンネルの信号強度とノイズとが、直線状に配列された約2N個の受光素子で測定できる。
【0009】
このように、信号モニタ用の受光素子とノイズモニタ用の受光素子とを交互に配列し、隣接する受光素子で各波長の信号とノイズを検出することにより、分波光のモニタを行う。これによれば、信号モニタ用の受光素子からの出力が低下し、ノイズモニタ用の受光素子からの出力が増えれば、分波光のスペクトルに何らかの異常が発生したことが分かる。この異常として、ピーク位置が低波長側あるいは高波長側へシフトしたこと、スペクトルのピークが緩やかになりスペクトル自体がブロードになったことなどが推定できる。また、信号モニタ用の受光素子からの出力が変化せず、ノイズモニタ用の受光素子からの出力が増えれば、対応するチャンネルのノイズが増加したことがモニタできる。このように、信号モニタ用とノイズモニタ用の受光素子を交互に配置することにより、ピーク位置のシフトやノイズの変化が容易にモニタできる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る光分波器を示す。この光分波器は、少なくとも、一本の入力ファイバ10,コリメータレンズ12,回折格子14,検出器16を構成要素としている。このような構成の光分波器では、入力ファイバ10からの光をコリメータレンズ12を介して回折格子14で分波してから、再度コリメータレンズ12を介して収束された光を、検出器16で検出している。
【0011】
なお、以下の説明では、図2に示すようにNチャンネルの光が多重化された信号光をモニタする例について示す。図2では、L1 ,L2 ,…,LN は、1チャンネル目からNチャンネル目までの各分波光を示している。
【0012】
検出器16には、受光素子アレイが用いられている。受光素子アレイの一実施例を、図3に示す。図3には、受光素子アレイチップ20が示されている。Nチャンネルの分波光をモニタするため、奇数番目の信号モニタ用受光素子1,3,…,(2N−1)と、偶数番目のノイズモニタ用受光素子2,4,…,2Nとを交互に配列しており、分波光の2倍(2N個)の受光素子を有している。この受光素子アレイでは、信号モニタ用の受光素子で信号強度のモニタを用い、ノイズモニタ用の受光素子でノイズ強度のモニタを行う。
【0013】
1チャンネル目の分波光は、受光素子1で信号が、受光素子2でノイズがモニタされる。2チャンネル目の分波光は、受光素子3で信号を、受光素子2,4でノイズをモニタされる。最後のNチャンネル目の分波光は、受光素子(2N−1)で信号を、受光素子(2N−2),2Nでノイズをモニタされる。
【0014】
このような受光素子アレイは、一例として、拡散によりpin構造を形成することにより作製できる。図4は、このようにして作製された受光素子アレイの断面の一部を示す。
【0015】
n−InP基板22上に、n−InP層24,i−InGaAs層26,n−InP層28が積層され、n−InP層28内にZnが拡散され、p型領域30が形成され、pinフォトダイオードが作られる。この場合、横方向にもZn拡散が進むため、素子間隔を一定以上に狭くすることができない。また、隣接する受光素子への漏れ信号が発生するため、素子間隔に制限があり、50μm以上のピッチに対して使用される。
【0016】
図5は、拡散によるpinフォトダイオードにより形成された受光素子アレイ・チップの平面図である。各受光素子32は、配線34により、対応するボンディングパッド36に接続されている。前述したように、受光素子の間隔p1 は、50μm以上必要となる。
【0017】
受光素子アレイを作製する他の例を説明する。図6は、受光素子を分離エッチングしたメサ型構造の受光素子アレイの断面図である。
【0018】
n−InP基板22上に、n−InP層24,i−InGaAs層26,p−InP層38が積層され、InGaAs層26とInP層38とをエッチングして素子間を分離して、pinフォトダイオードを形成している。これによれば、図4の構造で問題となる、横方向への拡散による受光素子間の間隔の制限を回避でき、高精細の受光素子アレイ、例えば、25μmピッチ,10μmピッチの受光素子アレイを実現できる。また、この構造では、隣接素子への漏れ信号を抑制できる。
【0019】
図7は、メサ型構造の受光素子アレイ・チップの平面図である。前述したように素子の間隔p2 を、10μmというように小さくすることができる。
【0020】
図8は、Nチャンネルの信号とノイズを分離して検出する回路を示す。この検出回路は、各信号モニタ用受光素子1,3,…,(2N−1)に一方の入力端子が接続された信号モニタ用差動増幅器D1 ,D3 ,…,D2N-1と、各ノイズモニタ用受光素子2,4,…,2Nに一方の入力端子が接続されたノイズモニタ用差動増幅器D2 ,D4 ,…,D2Nと、これら差動増幅器の出力が入力される信号・ノイズモニタ出力部40とから構成されている。なお、信号モニタ用差動増幅器D1 ,D3 ,…,D2N-1の他方の入力端子には、基準レベルIref が、ノイズモニタ用差動増幅器D2 ,D4 ,…,D2Nの他方の入力端子には、基準レベルNref が入力される。これら基準レベルを基に信号およびノイズのモニタを行う。
【0021】
次に、本発明に係る光分波器の動作を説明する。入力ファイバ10からの波長多重信号光を、コリメータレンズ12を介して回折格子14で分波し、再度コリメータレンズ12を介して検出器16上に収束させる。図9は、全ての分波光が、スペクトル幅の広がりや波長ずれを起こすことなく信号モニタ用の受光素子に入射している状態を示している。この場合、図8の検出回路の各差動増幅器からは信号が出力されず、信号・ノイズモニタ出力部40では、スペクトル幅の広がりや信号ずれを検出しない。
【0022】
これに対し、図10は、分波光L1 のピーク波長が正常値からシフトしたことを示している。ピーク位置がシフトすると、図示の分波光L1 のシフト状態から分かるように、信号モニタ用の受光素子1の検出出力が減少し、それとは逆に、ノイズモニタ用の受光素子2の検出出力が増加する。
【0023】
差動増幅器D1 は、受光素子1の信号出力から基準レベルIref を減算し、その値を信号として出力する。また、差動増幅器D2 は、受光素子2のノイズ出力から基準レベルNref を減算し、その値をノイズとして出力する。信号・ノイズモニタ出力部40では、差動増幅器D1 ,D2 の出力から、分波光L1 のピーク位置がシフトしている、すなわち信号ずれを検出する。
【0024】
以上の実施例で説明した図3の受光素子アレイチップでは、奇数番目の受光素子を信号モニタ用、偶数番目の受光素子をノイズモニタ用としたが、逆にしてもよい。
【0025】
また、図3では、簡単のために、2N個の受光素子で説明したが、2N個以上を有する受光素子アレイを用いて、この中の2N個を用いてもよい。
【0026】
また、(2N+1)個の受光素子を用いて、受光素子アレイの両端に必ずノイズモニタ用の受光素子が入るよう配列すれば、1チャンネル目と最終チャンネル目のノイズモニタを更に良好に行える。図3で説明すると、1番目の受光素子1の左にも受光素子を設け、この受光素子と2番目の受光素子2で1チャンネル目の分波光L1 のノイズモニタを行ってもよい。
【0027】
また、各チャンネル間のノイズを主にモニタしたい場合は、N個の信号モニタ用の受光素子で信号をモニタし、N−1個のノイズモニタ用の受光素子でチャンネル間のノイズをモニタできるので、2N−1個の受光素子を用いればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光分波器の構成を示す図である。
【図2】Nチャンネルの光が多重化された信号光を示す図である。
【図3】受光素子アレイの一実施例を示す図である。
【図4】Zn拡散により形成された受光素子アレイの断面図である。
【図5】図4の受光素子アレイの平面図である。
【図6】受光素子を分離エッチングしたメサ型構造の受光素子アレイの断面図である。
【図7】メサ型構造の受光素子アレイの平面図である。
【図8】Nチャンネルの信号とノイズを分離して検出する回路を示す図である。
【図9】全ての分波光が、スペクトル幅の広がりや波長ずれを起こすことなく信号モニタ用の受光素子に入射している状態を示す図である。
【図10】分波光L1 のピーク波長が正常値からシフトしたことを示す図である。
【符号の説明】
10 入力ファイバ
12 コリメータレンズ
14 回折格子
16 検出器
20 受光素子アレイチップ
22 n−InP基板
24 n−InP層
26 i−InGaAs層
28 n−InP層
30 p型領域
32 受光素子
34 配線
36 ボンディングパッド
38 p−InP層
40 信号・ノイズモニタ出力部

Claims (3)

  1. 波長多重された光のスペクトルをモニタする光分波器において、
    多重された波長の光を分波する回析格子と、分波された光を分波光ごとに受光する受光素子を直線状に配列した受光素子アレイと、
    各受光素子に接続され、分波光の信号とノイズとを分離して検出する検出回路とを備え、
    前記受光素子アレイは、N個(Nは2以上の整数)の信号モニタ用の受光素子と、(N+1)個のノイズモニタ用の受光素子からなり、ノイズモニタ用の受光素子の間に、1つずつ信号モニタ用の受光素子が配置されており、
    前記検出回路は、前記信号モニタ用の受光素子に接続され、この受光素子の出力信号から信号用基準レベルを減算する信号用差動増幅器と、前記ノイズモニタ用の受光素子に接続され、この受光素子の出力信号からノイズ用基準レベルを減算するノイズ用差動増幅器とを有する、ことを特徴とする光分波器。
  2. 波長多重された光のスペクトルをモニタする光分波器において、
    多重された波長の光を分波する回折格子と、分波された光を、分波光ごとに受光する受光素子を直線状に配列した受光素子アレイと、
    各受光素子に接続され、分波光の信号とノイズとを分離して検出する検出回路とを備え、
    前記受光素子アレイは、N個(Nは2以上の整数)の信号モニタ用の受光素子と、(N−1)個のノイズもモニタ用の受光素子からなり、信号モニタ用の受光素子の間に、1つずつノイズモニタ用の受光素子が配置されており、前記検出回路は、前記信号モニタ用の受光素子に接続され、この受光素子の出力信号から信号用基準レベルを減算する信号用差動増幅器と、前記ノイズモニタ用の受光素子に接続され、この受光素子の出力信号からノイズ用基準レベルを減算するノイズ差動増幅器とを有するノイズ用差動増幅器とを有する、ことを特徴とする光分波器。
  3. 前記信号モニタ用の受光素子および前記ノイズモニタ用の受光素子は、pinフォトダイオードよりなることを特徴とする請求項1または2記載の受分波器。
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