JP3683339B2 - 頭部装着型画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示装置に関し、特に、観察者の頭部又は顔面に保持することを可能にする頭部又は顔面装着型画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
頭部又は顔面装着型画像表示装置の従来の周知なものとして、特開平3ー101709号のものがある。図24(a)に全体の光学系を、図24(b)にその接眼光学系の部分を示すように、この画像表示装置は、画像表示素子の表示画像を正レンズよりなるリレー光学系にて空中像として伝達し、凹面反射鏡からなる接眼光学系でこの空中像を拡大して観察者の眼球内に投影するものである。
【0003】
また、従来の他のタイプのものとして、米国特許第4,669,810号のものがある。この装置は、図25に示すように、CRTの画像をリレー光学系を介して中間像を形成し、反射ホログラフィック素子とホログラム面を有するコンバイナによって観察者の眼に投影するものである。
【0004】
また、従来の他のタイプの画像表示装置として、特開昭62ー214782号のものがある。この装置は、図26(a)、(b)に示すように、画像表示素子を接眼レンズで拡大して直接観察できるようにしたものである。
【0005】
さらに、従来の他のタイプの画像表示装置として、米国特許第4,026,641号のものがある。この装置は、図27に示すように、画像表示素子の像を伝達素子で湾曲した物体面に伝達し、その物体面をトーリック反射面で空中に投影するようにしたものである。
【0006】
また、従来の他のタイプの画像表示素子として、米国再発行特許第27,356号のものがある。この装置は、図28に示すように、半透過凹面鏡と半透過平面鏡によって物体面を射出瞳に投影する接眼光学系である。
【0007】
その他、米国特許第4,322,135号、米国特許第4,969,724号、欧州特許第0,583,116A2号、特開平7−333551号のものも知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来技術では、光学系を構成する反射面と透過面が球面や回転対称非球面、トーリック面、アナモルフィック面等で構成されていたために、光線収差とディストーションを同時に良好に補正することが不可能であった。
【0009】
観察画像の収差が良好に補正され、なおかつ、ディストーションが良好に補正されていないと、観察者に観察像が歪んで観察されてしまい、左右眼で対称でない歪みが生じた場合には、融像できなくなったり、図形等を表示する場合には、その図形等が歪んで観察され、正しい形状を認識することができなくなってしまう。
【0010】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、広い画角においても明瞭で、歪みの少ない観察像を与える頭部装着型画像表示装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の頭部装着型画像表示装置は、画像表示素子と、前記画像表示素子により形成された画像を虚像として観察できるように観察者眼球位置に中間像を形成することなしに導く接眼光学系とを有する頭部装着型画像表示装置において、前記接眼光学系が、その面内及び面外共に回転対称軸を有しない非回転対称面形状の反射面を少なくとも1面有し、前記画像表示素子の画面中心からの軸上主光線が前記接眼光学系から射出して前記観察者眼球位置中心に到る線分の延長方向をZ軸、前記軸上主光線が前記反射面で反射される際の折り返し線分を含む平面内で前記Z軸に垂直な方向をY軸、前記Z軸と前記Y軸とに垂直な方向をX軸と定義したときに、接眼光学系を構成する反射面中の最も反射屈折力を有する面が以下の条件を満足することを特徴とするものである。
−0.015<CXn2M<0.1 (1/mm) ・・・(4−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に垂直な方向に当たるX軸方向の曲率をCX2、CX1、CX4、CX5、CX6、CX3とするとき、CXn−CX2(nは1、3〜6)をCXn2Mとする。
【0012】
本発明のもう1つの頭部装着型画像表示装置は、画像表示素子と、前記画像表示素子により形成された画像を虚像として観察できるように観察者眼球位置に中間像を形成することなしに導く接眼光学系とを有する頭部装着型画像表示装置において、前記接眼光学系が、その面内及び面外共に回転対称軸を有しない非回転対称面形状の反射面を少なくとも1面有し、前記画像表示素子の画面中心からの軸上主光線が前記接眼光学系から射出して前記観察者眼球位置中心に到る線分の延長方向をZ軸、前記軸上主光線が前記反射面で反射される際の折り返し線分を含む平面内で前記Z軸に垂直な方向をY軸、前記Z軸と前記Y軸とに垂直な方向をX軸と定義したときに、接眼光学系を構成する反射面中の最も反射屈折力を有する面が以下の条件を満足することを特徴とするものである。
−0.015<CYn2M<0.1 (1/mm) ・・・(6−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に当たるY軸方向の曲率をCY2、CY1、CY4、CY5、CY6、CY3とするとき、CYn−CY2(nは1、3〜6)をCYn2Mとする。
【0013】
本発明のさらにもう1つの頭部装着型画像表示装置は、画像表示素子と、前記画像表示素子により形成された画像を虚像として観察できるように観察者眼球位置に中間像を形成することなしに導く接眼光学系とを有する頭部装着型画像表示装置において、前記接眼光学系が、少なくとも1面の反射作用を有する反射面を備え、前記反射面の少なくとも1面の面形状が、その面内及び面外共に回転対称軸を有せず、しかも、対称面を1つのみ有する面対称自由曲面からなり、前記画像表示素子の画面中心からの軸上主光線が前記接眼光学系から射出して前記観察者眼球位置中心に到る線分の延長方向をZ軸、前記軸上主光線が前記反射面で反射される際の折り返し線分を含む平面内で前記Z軸に垂直な方向をY軸、前記Z軸と前記Y軸とに垂直な方向をX軸と定義したときに、接眼光学系を構成する反射面中の最も反射屈折力を有する面が以下の条件を満足することを特徴とするものである。
CXYM<40 ・・・(8−1)
ただし、|CXn|/|CYn|(nは1〜6)をCXYMとする。
【0014】
本発明の他の頭部装着型画像表示装置は、画像表示素子と、前記画像表示素子により形成された画像を虚像として観察できるように観察者眼球位置に中間像を形成することなしに導く接眼光学系とを有する頭部装着型画像表示装置において、前記接眼光学系が、少なくとも1面の反射作用を有する反射面を備え、前記反射面の少なくとも1面の面形状が、その面内及び面外共に回転対称軸を有せず、しかも、対称面を1つのみ有する面対称自由曲面からなり、前記画像表示素子の画面中心からの軸上主光線が前記接眼光学系から射出して前記観察者眼球位置中心に到る線分の延長方向をZ軸、前記軸上主光線が前記反射面で反射される際の折り返し線分を含む平面内で前記Z軸に垂直な方向をY軸、前記Z軸と前記Y軸とに垂直な方向をX軸と定義したときに、接眼光学系を構成する全ての反射面が以下の条件を満足することを特徴とするものである。
CXYA<40 ・・・(7−1)
ただし、|CXn|/|CYn|(nは1〜6)をCXYAとする。
【0015】
以下に、本発明において、上記のような構成、特に、頭部装着型画像表示装置の接眼光学系において面対称自由曲面を利用した構成をとる理由と作用について説明する。
まず、最初に、説明の便のため、本発明の頭部装着型画像表示装置に用いる接眼光学系の代表的なものを図15〜図22に例示する。
【0016】
図15の場合は、接眼光学系7は第1面3、第2面4、第3面5からなり、画像表示素子6から発した光線束は、第3面5で屈折して接眼光学系7に入射し、第1面3で内部反射し、第2面4で反射されて、再び第1面3に入射して屈折されて、観察者の瞳の虹彩位置又は眼球の回旋中心を射出瞳1として観察者の眼球内に投影される。
【0017】
図16の場合は、接眼光学系7は第1面3、第2面4、第3面5、第4面9からなり、画像表示素子6から発した光線束は、第3面5で屈折して接眼光学系7に入射し、第4面9で内部反射し、第2面4に入射して内部反射し、第1面3に入射して屈折されて、観察者の瞳の虹彩位置又は眼球の回旋中心を射出瞳1として観察者の眼球内に投影される。
【0018】
図17の場合は、接眼光学系7は第1面3、第2面4、第3面5、第4面9からなり、画像表示素子6から発した光線束は、第3面5で屈折して接眼光学系7に入射し、第4面9で内部反射し、第3面5に入射して今度は内部反射し、第2面4に入射して内部反射し、第1面3に入射して屈折されて、観察者の瞳の虹彩位置又は眼球の回旋中心を射出瞳1として観察者の眼球内に投影される。
【0019】
図18の場合は、接眼光学系7は第1面3、第2面4、第3面5、第4面9からなり、画像表示素子6から発した光線束は、第3面5で屈折して接眼光学系7に入射し、第2面4で内部反射し、第4面9に入射して内部反射し、第2面4に再度入射して内部反射し、第1面3に入射して屈折されて、観察者の瞳の虹彩位置又は眼球の回旋中心を射出瞳1として観察者の眼球内に投影される。
【0020】
図19の場合は、接眼光学系7は第1面3、第2面4、第3面5、第4面9からなり、画像表示素子6から発した光線束は、第2面4で屈折して接眼光学系7に入射し、第3面5で内部反射し、第2面4に入射して内部反射し、第4面9で内部反射し、第2面4に再度入射して内部反射し、第1面3に入射して屈折されて、観察者の瞳の虹彩位置又は眼球の回旋中心を射出瞳1として観察者の眼球内に投影される。
【0021】
図20の場合は、画像表示素子6から発した光線束は、第3面5で屈折して接眼光学系7に入射し、第1面3で内部反射し、再び第3面5に入射して今度は内部反射し、第1面3で内部反射し、第2面4で反射されて、三たび第1面3に入射して屈折されて、観察者の瞳の虹彩位置又は眼球の回旋中心を射出瞳1として観察者の眼球内に投影される。
【0022】
図21の場合は、画像表示素子6から発した光線束は、第1面3で屈折して接眼光学系7に入射し、第3面5で内部反射し、再び第1面3に入射して今度は内部反射し、第3面5で再度内部反射し、三たび第1面3に入射して内部反射し、第2面4で反射されて、四たび第1面3に入射して屈折されて、観察者の瞳の虹彩位置又は眼球の回旋中心を射出瞳1として観察者の眼球内に投影される。
【0023】
図22の場合は、接眼光学系7は第1面3、第2面4、第3面5からなり、画像表示素子6から発した光線束は、第3面5で屈折して接眼光学系7に入射し、第2面4で内部反射し、第1面3で内部反射し、第2面4で再度反射されて、再び第1面3に入射して屈折されて、観察者の瞳の虹彩位置又は眼球の回旋中心を射出瞳1として観察者の眼球内に投影される。
【0024】
このように、本発明において、接眼光学系の面番号は、原則として射出瞳1から画像表示素子6に到る逆光線追跡の順に付してあり、また、典型的には、図15の接眼光学系7を前提にして説明するが、もちろん、本発明は図15の光学系に限定されるものではなく、図16〜図22の光学系、及び、公知のその他の光学系に適用できるものである。
【0025】
次に、以下の説明において用いる座標系について説明する。図15に示すように、射出瞳1中心を通り、被観察像を形成する像形成手段である画像表示素子6中心に到達する軸上主光線が瞳1を射出し接眼光学系7の第1面3に交差するまでの直線によって定義される視軸2をZ軸とし、このZ軸と直交し、かつ、接眼光学系7を構成する各面の偏心面内の軸をY軸と定義し、視軸2と直交し、かつ、Y軸と直交する軸をX軸ととる。
また、以下の説明においては、光線の追跡方向は、特別に説明のない限り、瞳1から被観察像を形成する像形成手段6に向かう逆光線追跡で説明する。
【0026】
さて、一般に、少ない面数で収差を良好に補正するためには、非球面等が用いられる。一般に、球面レンズ系では球面で発生する球面収差とコマ収差、像面湾曲等の収差を他の面で補正する構成になっている。そこで、この球面で発生する各種収差自体を少なくするために、非球面が用いられる。これは、1つの面で発生する各種収差の発生を少なくし、収差補正を行う面を少なくし、全体の構成面数を少なくするためである。
【0027】
しかし、本発明の頭部装着型画像表示装置に用いる接眼光学系のように偏心して配置されている光学系においては、従来の回転対称非球面では補正できない偏心による収差が発生する。偏心により発生する収差は、コマ収差、非点収差、像歪み、像面湾曲等がある。従来のものでは、これらの収差を補正するためにトーリック面やアナモルフィック面等を使用した例はあるが、偏心により発生する非点収差に重点が置かれ、広画角で小型であり、かつ、像歪みまで十分な収差補正が行われたものはなかった。
【0028】
現在までに行われた収差補正の手段をここに紹介する。
凹面鏡と凸面鏡の配置が像面湾曲収差に良い効果を発揮することは、本出願人の特願平5−264828号に詳しく述べられており、傾いた凹面鏡が発生する収差については特願平6−127453号等に述べられている。
また、傾いた凹面鏡により発生する非点収差についても本出願人の特願平6−211067号、また、特願平6−256676号に述べられている。
さらに、傾いた凹面鏡により発生する台形や弓なりの像歪みに関しては、特開平5−303056号に述べられている。
【0029】
しかしながら、これらの収差を同時にしかも良好に補正することは、トーリック面やアナモルフィック面、回転対称非球面、球面では満足な結果を得られなかった。
【0030】
本発明は上記収差を同時にしかも良好に補正するために、面内及び面外共に回転対称軸を有せず、しかも、対称面を1つのみ有する面対称自由曲面を使用したことを特徴としている。
【0031】
ここで、本発明の自由曲面とは、以下の式で定義されるものである。
このような自由曲面を少なくとも1面の反射作用を有する反射面として使うことにより、傾いた反射面、例えば後記する実施例の第2面に、前記のように、偏心方向をY軸、観察者眼球の視線方向をZ軸、Y軸及びZ軸と直交する軸をX軸とすると、X軸上の任意の位置のY方向の傾きを任意に与えることができる。これは偏心して配置された凹面鏡で発生する像歪み、特に、X軸方向の像高により変化し、Y軸方向に発生する像歪みを補正することができる。つまり、結果として、水平線が弓なりになって観察される像歪みを良好に補正することが可能となる。
【0032】
次に、偏心して配置された凹面鏡により発生する台形の歪みについて説明する。この像歪みは、観察者眼球からの逆追跡により説明すると、眼球から射出したX軸方向に広がりを持った光線は、偏心して配置された第2面に当たって反射されるが、第2面のY軸正の方向の光線とY軸負側の光線の光路長の違いによりX軸方向の広がりが大きく異なってから第2面によって反射される。このため、Y軸正方向の像の大きさとY軸負方向の像の大きさが異なって結像され、結果として観察像が台形の歪みを持ってしまうものである。
【0033】
この歪みに対しても、自由曲面を使うことによって補正することが可能となる。これは、自由曲面が定義式(a)より明らかなように、Y軸の正負によってX軸方向に曲率を任意に変えることが可能なYの奇数次項とXの偶数次項を持っているためである。
【0034】
次に、回転対称な像歪みについて説明する。本発明の接眼光学系ように、例えば第2面の凹面から離れた位置に光学系の瞳があり、かつ、画角が広い光学系では、瞳面側からの逆光線追跡において糸巻型の回転対称な像歪みが大きく発生する。この像歪みの発生を抑えるためには、反射面の周辺の面の傾きを大きくすることによって可能となる。
【0035】
次に、偏心して配置された凹面鏡により発生する回転非対称な像面湾曲について説明する。この像面湾曲は観察者眼球からの逆追跡により説明すると、眼球から射出したX軸方向に広がりを持った光線は、偏心して配置された第2面に当たって反射されるが、光線が当たって以降の像面(像形成手段)までの距離は、光線が当たった部分の曲率の半分である。つまり、偏心して配置された凹面鏡の反射後の光線の進む方向に対して傾いた像面を形成する。自由曲面を使うことにより、Y軸上の正負の方向に対して任意の点のX軸とY軸方向の曲率を任意に与えることができる。これは自由曲面が定義式より明らかなように、Y軸の正負によって曲率を任意に変えることが可能なYの奇数次項を持っているためである。これは、偏心して配置された凹面鏡で発生する回転非対称な像面湾曲、特に像面の傾きを補正することに対して有効に作用する。
【0036】
次に、回転対称な像面湾曲について説明する。反射鏡により一般的に反射面に沿った像面湾曲が発生する。本発明の接眼光学系の場合は、一般には上に述べたように凹面鏡と対をなした凸面鏡により像面湾曲を補正できる構成になっているが、面数が少ないために完全には補正されない。この補正しきれない像面湾曲を補正するためには、任意の場所で任意の曲率を与えることができる自由曲面は、その収差補正上好ましい。
【0037】
さらに、非点収差に対しては、X軸方向の2次微分あるいは曲率とY軸方向の2次微分あるいは曲率の差を適切に変えることによって可能となる。
【0038】
また、コマ収差に対しては、前記の弓なりの像歪みと同じ考え方で、X軸上の任意の点のY方向の傾きを任意に与えることで補正することができる。
【0039】
さらに好ましくは、光学部品製作性を考慮すると、自由曲面は必要最低限にすることが望ましい。そこで、少なくとも3つの面の中の1つの反射面、例えば第2面を上記自由曲面とし、他の面を平面若しくは球面又は偏心した回転対称面にすることによって製作性を上げることが可能となる。
【0040】
接眼光学系の射出瞳に面した反射面である第2面は、他の面に比べて強い反射屈折力を持つため、収差の発生を抑えたい場合に自由曲面が有効である。
【0041】
また、接眼光学系の射出瞳に面した屈折面、反射面兼用の第1面を自由曲面で構成することによって、コマ収差の発生を抑えることができる。これは、第1面が反射面として作用する場合に、軸上主光線に対して大きく傾いて配置されているためである。
【0042】
さらに、第3面を自由曲面にすることによって、像歪みの発生を補正することができる。これは、第3面が結像位置に近接して配置されているために、他の収差を悪化させることなく像歪みを補正するのに良い結果を与えるためである。
【0043】
さらに、2つの面を自由曲面にすることによって、各収差はより一層補正できることは言うまでもない。例えば、第2面と第3面を自由曲面とすると、第1面を平面とすることが可能となり、接眼光学系を構成する光学素子の製作性を向上できる。また、第1面は球面でも回転対称非球面でも構成することが可能である。
【0044】
そして、本発明においては、上記の自由曲面は少なくとも1面の反射作用を有する反射面に用いられ、その場合のその反射面の面形状を、その面内及び面外共に回転対称軸を有せず、しかも、対称面を1つのみ有する面対称自由曲面としている。これは、例えば図15のように座標系をとった場合に、偏心して配置される面の偏心方向を含む面であるY−Z面が対称面となるような自由曲面とすることで、逆光線追跡における結像面の像もそのY−Z面が対称面として両側で対称にすることができ、収差補正の労力が大幅に削減できるためである。
【0045】
なお、本発明における反射作用を有する反射面には、全反射面、ミラーコート面、半透過反射面等の反射作用を有する全ての反射面が含まれる。
【0046】
さて、以上のように、接眼光学系の少なくとも1面の反射面に対称面を1つのみ有する面対称自由曲面を用いた場合に、さらに、以下の条件を満足することによって広画角で、かつ、収差補正の行われた接眼光学系を提供することができる。
【0047】
まず、上述の定義に従ってX軸、Y軸、Z軸が決まったとき、瞳位置中心を射出し、画像表示素子に入射する主光線の中、X方向画角ゼロ、X方向最大画角、Y正方向最大画角、Y方向画角ゼロ、Y負方向最大画角のX方向、Y方向の組み合わせにより、次の表−1のように6つの主光線が定まる。
【0048】
【0049】
すなわち、上記の表−1中に記載したように、画面中心の視軸方向の軸上主光線を▲2▼とし、上側中心画角の主光線を▲1▼、右上画角の主光線を▲4▼、右中心画角の主光線を▲5▼、右下画角の主光線を▲6▼、下側中心画角の主光線を▲3▼とする。そして、これらの主光線▲1▼〜▲6▼が各面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域で各面の形状を定義する式(Z軸を面の軸として表した式、あるいは、その面を偏心がないとして、Z=f(X,Y)の形式で表した式)の面の偏心方向に当たるY軸方向の曲率をCY1〜CY6とする。また、それと直交するX軸方向の曲率をCX1〜CX6とする。
【0050】
まず、接眼光学系の射出瞳に面した反射面である第2面において、CX2をCX22 、CY2をCY22 で表すと、
0.001<|CX22 | (1/mm) ・・・(1−1)
0.001<|CY22 | (1/mm) ・・・(1−2)
なる条件を共に満足することが望ましい。
【0051】
これは、面対称自由曲面としての反射面の第2面の軸上主光線に対する反射屈折力をゼロ以外にすることによって、瞳と結像面(画像表示素子面)との間の距離が縮小でき、頭部装着型画像表示装置をコンパクトで軽量に構成できるために設定した条件である。共に下限の0.001を越えると、コンパクトな接眼光学系を構成することが困難になる。
【0052】
さらに好ましくは、第2面の曲率CX22 、CY22 が、
0.005<|CX22 | (1/mm) ・・・(1−1')
0.005<|CY22 | (1/mm) ・・・(1−2')
なる条件を共に満足することが望ましい。このようにすることによって、頭部装着型画像表示装置の接眼光学系の最も大きな屈折力を担う第2面の凹面鏡に本発明の面対称自由曲面を導入して、全系の像歪み、非点収差、コマ収差等の諸収差を良好に補正することができる。
【0053】
さて、射出瞳中心を通り、被観察像中心に達する軸上主光線▲2▼が、光学系中最も大きな反射屈折力を持つ面に当たる部分のY方向の曲率をCY2M、X方向の曲率をCX2Mとするとき、
0.055<CX2M/CY2M<2 ・・・(2−1)
なる条件式を満足することが望ましい。
【0054】
これは、偏心して配置されている反射鏡で非点収差の発生を少なくするために必要となる条件である。球面の場合、CX2M/CY2M=1となるが、偏心して配置された球面では、像歪みを初め、非点収差、コマ収差等が大きく発生する。そのため、球面で偏心面を構成すると、軸上において非点収差を完全に補正することが困難になり、非点収差が残留することになり、視野中心においても鮮明な観察像を観察することが難しくなる。これらを補正するためには、対称面を1面しか持たない面で光学系中最も大きな反射屈折力を持つ反射面を構成し、なお、かつ、上記条件式(2−1)を満足することにより、初めて各収差が良好に補正され、しかも軸上においても非点収差のない観察像を観察することが可能となる。上限の2と下限の0.055については、非点収差が大きく発生しないための限界である。
【0055】
さらに好ましくは、
0.1<CX2M/CY2M<2.0 ・・・(2−2)
なる条件を満足することが重要である。
【0056】
また、さらに好ましくは、
0.8<CX2M/CY2M<1.5 ・・・(2−3)
なる条件を満足することが重要である。
【0057】
また、さらに好ましくは、
1.0<CX2M/CY2M<1.35 ・・・(2−4)
なる条件を満足することが重要である。
【0058】
上記条件式(2−2)〜(2−4)の上限と下限の意味は、条件式(2−1)と同じであるが、観察像の明るさにより変化する観察者眼球の瞳径により、非点収差の許容値が異なるため、瞳径が大きくなる程条件式(2−4)を満足することが好ましい。
なお、後記実施例では、第2面が最も大きな反射屈折力を持っている。
【0059】
次に、反射面の反射屈折力に関する条件式を示す。本発明の特徴である反射面に光学系全体の中の主な屈折力を与える偏心光学系では、各像位置毎に異なる収差が発生するので、反射面の形状を変化させて各収差の補正を行わなければならなく、その量は反射面の場所により微妙に異なる。しかし、次に述べる条件式を満足することが重要である。この条件は、全ての反射面の軸上主光線▲2▼が各面で反射する部分のX方向の曲率CX2と、観察画角の最大光線▲1▼、▲3▼〜▲6▼が各面と当たる部分のX方向の曲率CXn(nは1、3〜6)の差であるCXn−CX2をCXn2とし、その全ての値が、
−0.015<CXn2<0.1 (1/mm) ・・・(3−1)
なる条件式を満足することが、収差補正上好ましい。
【0060】
上記条件式(3−1)の上限の0.1と下限の−0.015を越えると、有効領域内の面の曲率が大きくなりすぎ、接眼光学系の中で主な反射屈折力を持つ第2面の有効域全体の曲率が大きく変化しすぎてしまい、観察画角全体で広く平坦な観察像を観察することができなくなってしまう。
【0061】
さらに好ましくは、
−0.015<CXn2<0.05 (1/mm) ・・・(3−2)
なる条件式を満足することが重要であり、観察画角が20°を越える場合に重要となってくる。
【0062】
さらに好ましくは、
−0.01<CXn2<0.01 (1/mm) ・・・(3−3)
なる条件式を満足することが重要であり、観察画角が30°を越える場合に重要となってくる。上記条件式(3−2)、(3−3)は共に、広い観察画角において良好な観察像を得るために必要なものである。
【0063】
次に、接眼光学系の中で最も強い屈折力を持つ面では、さらに以下に述べる条件式を満足することが重要になる。これは、(3−1)条件式と同様に偏心して配置された対称面を1面しか持たない面で発生する収差の全てをバランス良く補正するために重要な条件である。
【0064】
光学系中で最も強い反射屈折力を持つ反射面で軸上主光線▲2▼が反射する部分のX方向の曲率CX2と、観察画角の最大光線▲1▼、▲3▼〜▲6▼が各面と当たる部分のX方向の曲率CXn(nは1、3〜6)の差であるCXn−CX2をCXn2Mとし、その全ての値が、
−0.015<CXn2M<0.1 (1/mm) ・・・(4−1)
なる条件式を満足することが、収差補正上好ましい。
【0065】
上記条件式の上限の0.1と下限の−0.015を越えると、有効領域内の面の曲率が大きく異なりすぎ、接眼光学系の中で主な反射屈折力を持つ第2面の有効域全体の曲率が大きく変化しすぎてしまい、観察画角全体で広く平坦な観察像を観察することができなくなってしまう。
【0066】
さらに好ましくは、
−0.01<CXn2M<0.05 (1/mm) ・・・(4−2)
なる条件式を満足することが重要であり、観察画角が20°を越える場合に重要となってくる。
【0067】
さらに好ましくは、
−0.01<CXn2M<0.01 (1/mm) ・・・(4−3)
なる条件式を満足することが重要であり、観察画角が30°を越える場合に重要となってくる。上記条件式(4−2)、(4−3)は共に、広い観察画角において良好な観察像を得るために必要なものである。
【0068】
次に、上記条件式(3−1)と同様に、反射面全体の軸上主光線▲2▼が各面で反射する部分のY方向の曲率CY2と、観察画角の最大光線▲1▼、▲3▼〜▲6▼が各面と当たる部分のY方向の曲率CYn(nは1、3〜6)の差であるCYn−CY2をCYn2とし、その全ての値が、
−0.1<CYn2A<0.1 (1/mm) ・・・(5−1)
なる条件式を満足することが、収差補正上好ましい。
【0069】
上記条件式(5−1)の上限の0.1と下限の−0.1を越えると、有効領域内の面の曲率が大きく異なりすぎ、接眼光学系の中で主な反射屈折力を持つ第2面の有効域全体の曲率が大きく変化しすぎてしまい、観察画角全体で広く平坦な観察像を観察することができなくなってしまう。
【0070】
さらに好ましくは、
−0.05<CYn2A<0.05 (1/mm) ・・・(5−2)
なる条件式を満足することが重要であり、観察画角が20°前後の場合に重要となってくる。
【0071】
さらに好ましくは、
−0.02<CYn2A<0.02 (1/mm) ・・・(5−3)
なる条件式を満足することが重要であり、観察画角が30°前後の場合に重要となってくる。
【0072】
さらに好ましくは、
−0.01<CYn2A<0.01 (1/mm) ・・・(5−4)
なる条件式を満足することが重要であり、観察画角が30°を越える場合に重要となってくる。
【0073】
上記条件式(5−2)〜(5−4)は共に、広い観察画角において良好な観察像を得るために必要なものである。
【0074】
次に、接眼光学系の中で特に強い反射屈折力を持つ面では、さらに以下に述べる条件式を満足することが重要になる。これは、前記(3−1)の条件式と同様に、偏心して配置された対称面を1面しか持たない面で発生する収差の全てをバランス良く補正するために重要な条件である。
【0075】
光学系中で最も強い反射屈折力を持つ反射面で軸上主光線▲2▼が反射する部分のY方向の曲率CY2と、観察画角の最大光線▲1▼、▲3▼〜▲6▼が各面と当たる部分のY方向の曲率CYn(nは1、3〜6)の差であるCYn−CY2をCYn2Mとし、その全ての値が、
−0.015<CYn2M<0.1 (1/mm) ・・・(6−1)
なる条件式を満足することが、収差補正上好ましい。
【0076】
上記条件式(6−1)の上限の0.1と下限の−0.015を越えると、有効領域内の面の曲率が大きく異なりすぎ、接眼光学系の中で主な反射屈折力を持つ第2面の有効域全体の曲率が大きく変化しすぎてしまい、観察画角全体で広く平坦な観察像を観察することができなくなってしまう。
【0077】
さらに好ましくは、
−0.02<CYn2M<0.02 (1/mm) ・・・(6−2)
なる条件式を満足することが重要であり、観察画角が20°を越える場合に重要となってくる。
【0078】
さらに好ましくは、
−0.01<CYn2M<0.01 (1/mm) ・・・(6−3)
なる条件式を満足することが重要であり、観察画角が30°を越える場合に重要となってくる。上記条件式(6−2)、(6−3)は共に、広い観察画角において良好な観察像を得るために必要なものである。
【0079】
次に、有効面内の各主光線が面に当たる領域のX方向の曲率/Y方向の曲率の値である|CXn|/|CYn|(nは1〜6)をCXYAとするとき、全ての反射面のCXYAの値が、
CXYA<40 ・・・(7−1)
なる条件式を満足することが重要である。
【0080】
これは、有効領域のX方向の結像位置とY方向の結像位置の較差に相当し、非点収差が良好に補正されているための条件である。上限の40を越えると、X方向とY方向の結像位置の差が大きくなりすぎ、他の面で補正することが不可能となってしまう。ただし、トーリック面等のYとX軸の両方に対して対称性を持つ面の場合は、本条件内に入るが、コマ収差と像歪みの発生が大きくなる。
【0081】
さらに好ましくは、
CXYA<20 ・・・(7−2)
なる条件式を満足することが重要であり、特に20°を越える観察画角の場合にはこの条件を満足することが重要である。
【0082】
さらに好ましくは、
CXYA<10 ・・・(7−3)
なる条件式を満足することが重要であり、特に25°を越える観察画角の場合にはこの条件を満足することが重要である。
【0083】
さらに好ましくは、
CXYA<6 ・・・(7−4)
なる条件式を満足することが重要であり、特に30°を越える観察画角の場合にはこの条件を満足することが重要である。
【0084】
次に、光学系中最も反射屈折力を有する面のX方向の曲率/Y方向の曲率の値である|CXn|/|CYn|(nは1〜6)をCXYMとするとき、その値が、
CXYM<40 ・・・(8−1)
なる条件式を満足することが重要である。
【0085】
これは、有効領域のX方向の結像位置とY方向の結像位置に相当し、非点収差が良好に補正されているための条件である。上限の40を越えると、X方向とY方向の結像位置の差が大きくなりすぎ、他の面で補正することが不可能となってしまう。ただし、トーリック面等のYとX軸の両方に対して対称性を持つ面の場合は、本条件内に入るが、コマ収差と像歪みの発生が大きくなる。
【0086】
さらに好ましくは、
CXYM<20 ・・・(8−2)
なる条件式を満足することが重要であり、特に20°を越える観察画角の場合にはこの条件を満足することが重要である。
【0087】
さらに好ましくは、
CXYM<10 ・・・(8−3)
なる条件式を満足することが重要であり、特に25°を越える観察画角の場合にはこの条件を満足することが重要である。
【0088】
さらに好ましくは、
CXYM<6 ・・・(8−4)
なる条件式を満足することが重要であり、特に30°を越える観察画角の場合にはこの条件式を満足することが重要である。
【0089】
次に、接眼光学系の画像表示素子に面した反射面(図15、図20のような場合には透過面の第1面が兼ねる。)のCX2/第2面のCX2の値をCX12とするとき、
−5<CX12<5 ・・・(9−1)
なる条件を満足することが重要となる。
【0090】
この条件は、光学系全体の中で主な反射屈折力を持つ第1面と第2面のX方向の曲率の比を表しており、光学系から瞳位置までの距離を大きくとり、かつ、被観察像側の射出主光線傾角を被観察像の表示面に垂直に近づけるために必要な従来の近軸パワー配置に関する条件である。下限の−5を越えると、光学系の前側焦点位置が大きくなるが、後側焦点距離が短くなりすぎ、被観察像を表示する面と光学系本体が干渉し、配置できなくなる。また、上限の5を越えると、後側焦点距離は大きくなるが、逆に光学系の前側焦点位置が小さくなりすぎ、眼鏡を掛けての観察がし難くなる。
【0091】
さらに好ましくは、
0.1<CX12<2 ・・・(9−2)
なる条件式を満足することが重要であり、特に20°までの観察画角の場合にはこの条件を満足することが重要である。
【0092】
さらに好ましくは、
0.3<CX12<1 ・・・(9−3)
なる条件式を満足することが重要であり、特に30°までの観察画角の場合にはこの条件を満足することが重要である。なお、上限下限の意味については、上記条件式(9−1)と同じである。
【0093】
さらに好ましくは、
0.3<DDX9<0.8 ・・・(9−4)
なる条件式を満足することが重要であり、特に30°を越える観察画角の場合にはこの条件を満足することが重要である。なお、上限下限の意味については、上記条件式(9−1)と同じである。
【0094】
次に、接眼光学系の画像表示素子に面した反射面のCY2/第2面のCY2の値をCY12とするとき、
−5<CY12<5 ・・・(10−1)
なる条件を満足することが重要となる。
【0095】
この条件は、光学系全体の中で主な反射屈折力を持つ第1面と第2面のY方向の曲率の比を表しており、光学系から瞳位置までの距離を大きくとり、かつ、被観察像側の射出主光線傾角を被観察像の表示面に垂直に近づけるために必要な従来の近軸パワー配置に関する条件である。下限の−5を越えると、光学系の前側焦点位置が大きくなるが、後側焦点距離が短くなりすぎ、被観察像を表示する面と光学系本体が干渉し、配置できなくなる。また、上限の5を越えると、後側焦点距離は大きくなるが、逆に光学系の前側焦点位置が小さくなりすぎ、眼鏡を掛けての観察がし難くなる。
【0096】
さらに好ましくは、
0.15<CY12<4 ・・・(10−2)
なる条件式を満足することが重要であり、特に20°を越える観察画角の場合にはこの条件を満足することが重要である。なお、上限下限の意味については、上記条件式(10−1)と同じである。
【0097】
さらに好ましくは、
0.2<CY12<3 ・・・(10−3)
なる条件式を満足することが重要であり、特に25°を越える観察画角の場合にはこの条件を満足することが重要である。なお、上限下限の意味については、上記条件式(10−1)と同じである。
【0098】
さらに好ましくは、
0.25<CY12<1 ・・・(10−4)
なる条件式を満足することが重要であり、特に30°を越える観察画角の場合にはこの条件を満足することが重要である。なお、上限下限の意味については、上記条件式(10−1)と同じである。
【0099】
次に、接眼光学系の画像表示素子に面した反射面のCX2/CY2の値をCXY11とするとき、
0.3<CXY11<4.0 ・・・(11−1)
なる条件を満足することが重要となる。
【0100】
この条件は、光学系全体の中で最も傾いて軸上主光線が入射する反射面としての第1面の軸上主光線が当たる部分のX方向とY方向の曲率の比に相当し、主に非点収差に関する。下限の0.3と上限の4.0を越えると共に、この面で反射するときに発生する非点収差が大きくなりすぎ、他の面で補正することが難しくなる。
【0101】
さらに好ましくは、
0.6<CXY11<3.5 ・・・(11−2)
なる条件式を満足することが重要であり、特に20°を越える観察画角の場合にはこの条件を満足することが重要である。なお、上限下限の意味については、上記条件式(11−1)と同じである。
【0102】
さらに好ましくは、
0.7<CXY11<3.0 ・・・(11−3)
なる条件式を満足することが重要であり、特に25°を越える観察画角の場合にはこの条件を満足することが重要である。なお、上限下限の意味については、上記条件式(11−1)と同じである。
【0103】
さらに好ましくは、
0.8<CXY11<2.5 ・・・(11−4)
なる条件式を満足することが重要であり、特に30°を越える観察画角の場合にはこの条件を満足することが重要である。なお、上限下限の意味については、上記条件式(11−1)と同じである。
【0104】
さて、以上の条件(1−1)から(11−4)については、接眼光学系を構成する何れかの反射面の面形状を、その面内及び面外共に回転対称軸を有せず、しかも、対称面を1つのみ有する面対称自由曲面だけでなく、その面内及び面外共に回転対称軸を有しないアナモルフィック面で形成した場合にも、すなわち、その面内及び面外共に回転対称軸を有しない非回転対称面形状にした何れの場合にも適用できる。
【0105】
なお、以上の各種条件に関しては、主して図15に示すような第1面3、第2面4、第3面5からなり、その間が屈折率(n)が1よりも大きい(n>1)媒質で満たされたプリズム部材7を用いる接眼光学系を前提にして説明したが、その他の図16〜図22に示すようなプリズム部材7についても同様に適用できる。
【0106】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の頭部装着型画像表示装置の実施例1〜6について説明する。後述する各実施例の構成パラメータにおいては、図1に示すように、接眼光学系7の射出瞳1を光学系の原点として、光軸2を画像表示素子6の表示中心と射出瞳1の中心(原点)とを通る光線で定義し、射出瞳1から光軸2に進む方向をZ軸方向、このZ軸に直交し射出瞳1中心を通り、光線が接眼光学系7によって折り曲げられる面内の方向をY軸方向、Z軸、Y軸に直交し射出瞳1中心を通る方向をX軸方向とし、射出瞳1から接眼光学系7に向かう方向をZ軸の正方向、光軸2から画像表示素子6方向をY軸の正方向、そして、これらZ軸、Y軸と右手系を構成する方向をX軸の正方向とする。なお、光線追跡は接眼光学系7の射出瞳1の側を物体側として、画像表示素子6側を像面側とした逆追跡により行っている。
【0107】
そして、偏心量Y、Z、傾き量θが記載されている面については、光学系の原点である射出瞳1からのずれ量及びZ軸に対する傾き角を表している。なお、傾き角は反時計回りの方向を正としている。なお、面間隔については、意味を有しない。
【0108】
また、アナモルフィック面の形状は以下の式により定義する。面形状の原点を通り、光学面に垂直な直線がアナモルフィック面の軸となる。
ただし、Zは面形状の原点に対する接平面からのずれ量、CXはX軸方向曲率、CYはY軸方向曲率、Kx はX軸方向円錐係数、Ky はY軸方向円錐係数、Rn は非球面項回転対称成分、Pn は非球面項回転非対称成分である。なお、後記する実施例の構成パラメータでは、
Rx :X軸方向曲率半径
Ry :Y軸方向曲率半径
を用いており、曲率CX、CYとの間には、
Rx =1/CX,Ry =1/CY
の関係にある。
【0109】
また、自由曲面の面の形状は以下の式により定義する。その定義式のZ軸が自由曲面の軸となる。
なお、データの記載されていない非球面に関する項は0である。屈折率については、d線(波長587.56nm)に対するものを表記してある。長さの単位はmmである。
【0110】
さて、以下の実施例1〜6の接眼光学系7は、何れも、第1面3、第2面4、第3面5の3つの面からなり、その間が屈折率1より大きい媒質で満たされており、画像表示素子6に対向して配置された透過面の第3面5を経て光学系に入射した画像表示素子6からの表示光は、光軸2上に第2面4と射出瞳1との間に配置された第1面3で反射され、次に、光軸2上に射出瞳1と対向して偏心配置された反射面の第2面4に入射して反射され、その反射光は、第1面3を透過して光学系7から射出して光軸2に沿って進み、中間像を形成することなく射出瞳1の位置にある観察者の瞳に入射し、観察者の網膜上に表示像を結像する。
【0111】
この実施例1〜5の光軸2を含むY−Z断面図をそれぞれ図1〜図5に示す。実施例6については図示を省く。構成パラメータは後記するが、実施例1は第1面、第2面共上記(b)式で定義されるアナモルフィック面、第3面は平面であり、実施例2、6は第1面3、第2面4、第3面5何れも上記(a)式で定義される自由曲面であり、実施例3、4は第1面3は平面、第2面4、第3面5は何れも上記(a)式で定義される自由曲面であり、実施例5は第1面は球面、第2面4、第3面5は何れも上記(a)式で定義される自由曲面である。実施例1の観察画角は、水平画角57.8°、垂直画角34.5°、瞳径は4mmであり、実施例2の観察画角は、水平画角40°、垂直画角30.5°、瞳径は8mmであり、実施例3、5の観察画角は、水平画角40°、垂直画角30.5°、瞳径は4mmであり、実施例4の観察画角は、水平画角35°、垂直画角26.6°、瞳径は4mmでり、実施例6の観察画角は、水平画角30°、垂直画角22.7°、瞳径は4mmである。
【0112】
以下に、上記実施例1〜6の構成パラメータを示す。
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
次に、上記実施例1、2、3、4、5の横収差図をそれぞれ図6〜図8、図9〜図11、図12、図13、図14に示す。これらの横収差図において、括弧内に示された数字は(水平(X方向)画角,垂直(Y方向)画角)を表し、その画角における横収差を示す。
【0119】
以下に、本発明の各実施例における前記条件式(1−1)〜(11−1)に関するパラメータの値を示す(条件式(1−1)、(1−2)は実際の値を示し、その他の上下2段の値を示した条件式については、上段が最小値、下段が最大値を示す。)。
【0120】
以上の実施例では、前記定義式(a)、(b)の自由曲面、アナモルフィック面で構成したが、あらゆる定義の曲面が使えることは言うまでもない。しかし、どのような定義式を用いようとも、本発明に示されている何れかの条件を満足することにより、また、そのいくつかのものを満足することにより、収差の非常に良く補正された接眼光学系を得られることは言うまでもない。なお、偏心を無視した面の定義座標系の中心で規定される面の曲率、面の焦点距離等の従来の無偏心系で使われる条件式は、本発明のように各面が大きく偏心して配置されている場合には、何らの意味も持たない。
【0121】
なお、以上のような本発明による接眼光学系と画像表示素子からなる組を左右一対用意し、それらを眼輻距離だけ離して支持することにより、両眼で観察できる据え付け型又は頭部装着型画像表示装置のようなポータブル型の画像表示装置として構成することができる。このようなポータブル型の画像表示装置の1例の全体の構成を図23に示す。表示装置本体50には、上記のような接眼光学系が左右1対備えられ、それらに対応して像面に液晶表示素子からなる画像表示素子が配置されている。本体50に左右に連続して図示のような側頭フレーム51が設けられ、両側の側頭フレーム51は頭頂フレーム52でつながれており、また、両側の側頭フレーム51の中間には板バネ53を介してリアフレーム54が設けてあり、リアフレーム54を眼鏡のツルのように観察者の両耳の後部に当て、また、頭頂フレーム52を観察者の頭頂に載せることにより、表示装置本体50を観察者の眼前に保持できるようになっている。なお、頭頂フレーム52の内側には海綿体のような弾性体からなる頭頂パッド55が取り付けてあり、同様にリアフレーム54の内側にも同様なパッドが取り付けられており、この表示装置を頭部に装着したときに違和感を感じないようにしてある。
【0122】
また、リアフレーム54にはスピーカ56が付設されており、画像観察と共に立体音響を聞くことができるようになっている。このようにスピーカ56を有する表示装置本体50には、映像音声伝達コード57を介してボータブルビデオカセット等の再生装置58が接続されているので、観察者はこの再生装置58を図示のようにベルト箇所等の任意の位置に保持して、映像、音響を楽しむことができるようになっている。図示の59は再生装置58のスイッチ、ボリューム等の調節部である。なお、頭頂フレーム52の内部に、映像処理・音声処理回路等の電子部品を内蔵させてある。
【0123】
なお、コード57は先端をジャックにして、既存のビデオデッキ等に取り付け可能としてもよい。さらに、TV電波受信用チューナーに接続してTV観賞用としてもよいし、コンピュータに接続してコンピュータグラフィックスの映像や、コンピュータからのメッセージ映像等を受信するようにしてもよい。また、邪魔なコードを排斥するために、アンテナを接続して外部からの信号を電波によって受信するようにしてもよい。
【0124】
以上の本発明の頭部装着型画像表示装置は例えば次のように構成することができる。
〔1〕 画像表示素子と、前記画像表示素子により形成された画像を虚像として観察できるように観察者眼球位置に中間像を形成することなしに導く接眼光学系とを有する頭部装着型画像表示装置において、
前記接眼光学系が、その面内及び面外共に回転対称軸を有しない非回転対称面形状の反射面を少なくとも1面有し、
前記画像表示素子の画面中心からの軸上主光線が前記接眼光学系から射出して前記観察者眼球位置中心に到る線分の延長方向をZ軸、前記軸上主光線が前記反射面で反射される際の折り返し線分を含む平面内で前記Z軸に垂直な方向をY軸、前記Z軸と前記Y軸とに垂直な方向をX軸と定義したときに、
接眼光学系を構成する反射面中の最も反射屈折力を有する面が以下の条件を満足することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。
【0125】
−0.015<CXn2M<0.1 (1/mm) ・・・(4−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に垂直な方向に当たるX軸方向の曲率をCX2、CX1、CX4、CX5、CX6、CX3とするとき、CXn−CX2(nは1、3〜6)をCXn2Mとする。
【0126】
〔2〕 画像表示素子と、前記画像表示素子により形成された画像を虚像として観察できるように観察者眼球位置に中間像を形成することなしに導く接眼光学系とを有する頭部装着型画像表示装置において、
前記接眼光学系が、その面内及び面外共に回転対称軸を有しない非回転対称面形状の反射面を少なくとも1面有し、
前記画像表示素子の画面中心からの軸上主光線が前記接眼光学系から射出して前記観察者眼球位置中心に到る線分の延長方向をZ軸、前記軸上主光線が前記反射面で反射される際の折り返し線分を含む平面内で前記Z軸に垂直な方向をY軸、前記Z軸と前記Y軸とに垂直な方向をX軸と定義したときに、
接眼光学系を構成する反射面中の最も反射屈折力を有する面が以下の条件を満足することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。
【0127】
−0.015<CYn2M<0.1 (1/mm) ・・・(6−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に当たるY軸方向の曲率をCY2、CY1、CY4、CY5、CY6、CY3とするとき、CYn−CY2(nは1、3〜6)をCYn2Mとする。
【0128】
〔3〕 画像表示素子と、前記画像表示素子により形成された画像を虚像として観察できるように観察者眼球位置に中間像を形成することなしに導く接眼光学系とを有する頭部装着型画像表示装置において、
前記接眼光学系が、少なくとも1面の反射作用を有する反射面を備え、
前記反射面の少なくとも1面の面形状が、その面内及び面外共に回転対称軸を有せず、しかも、対称面を1つのみ有する面対称自由曲面からなり、
前記画像表示素子の画面中心からの軸上主光線が前記接眼光学系から射出して前記観察者眼球位置中心に到る線分の延長方向をZ軸、前記軸上主光線が前記反射面で反射される際の折り返し線分を含む平面内で前記Z軸に垂直な方向をY軸、前記Z軸と前記Y軸とに垂直な方向をX軸と定義したときに、
接眼光学系を構成する反射面中の最も反射屈折力を有する面が以下の条件を満足することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。
【0129】
CXYM<40 ・・・(8−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に垂直な方向に当たるX軸方向の曲率をCX2、CX1、CX4、CX5、CX6、CX3とし、偏心方向に当たるY軸方向の曲率をCY2、CY1、CY4、CY5、CY6、CY3とするとき、|CXn|/|CYn|(nは1〜6)をCXYMとする。
【0130】
〔4〕 画像表示素子と、前記画像表示素子により形成された画像を虚像として観察できるように観察者眼球位置に中間像を形成することなしに導く接眼光学系とを有する頭部装着型画像表示装置において、
前記接眼光学系が、少なくとも1面の反射作用を有する反射面を備え、
前記反射面の少なくとも1面の面形状が、その面内及び面外共に回転対称軸を有せず、しかも、対称面を1つのみ有する面対称自由曲面からなり、
前記画像表示素子の画面中心からの軸上主光線が前記接眼光学系から射出して前記観察者眼球位置中心に到る線分の延長方向をZ軸、前記軸上主光線が前記反射面で反射される際の折り返し線分を含む平面内で前記Z軸に垂直な方向をY軸、前記Z軸と前記Y軸とに垂直な方向をX軸と定義したときに、
接眼光学系を構成する全ての反射面が以下の条件を満足することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。
【0131】
CXYA<40 ・・・(7−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に垂直な方向に当たるX軸方向の曲率をCX2、CX1、CX4、CX5、CX6、CX3とし、偏心方向に当たるY軸方向の曲率をCY2、CY1、CY4、CY5、CY6、CY3とするとき、|CXn|/|CYn|(nは1〜6)をCXYAとする。
【0132】
〔5〕 前記接眼光学系を構成する反射面中の最も反射屈折力を有する面が以下の条件を満足することを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載の頭部装着型画像表示装置。
【0133】
CXYM<40 ・・・(8−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に垂直な方向に当たるX軸方向の曲率をCX2、CX1、CX4、CX5、CX6、CX3とし、偏心方向に当たるY軸方向の曲率をCY2、CY1、CY4、CY5、CY6、CY3とするとき、|CXn|/|CYn|(nは1〜6)をCXYMとする。
【0134】
〔6〕 前記接眼光学系を構成する全ての反射面が以下の条件を満足することを特徴とする上記〔1〕、〔2〕又は〔5〕記載の頭部装着型画像表示装置。
【0135】
CXYA<40 ・・・(7−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に垂直な方向に当たるX軸方向の曲率をCX2、CX1、CX4、CX5、CX6、CX3とし、偏心方向に当たるY軸方向の曲率をCY2、CY1、CY4、CY5、CY6、CY3とするとき、|CXn|/|CYn|(nは1〜6)をCXYAとする。
【0136】
〔7〕 前記観察者眼球の瞳から前記画像表示素子に到る逆光線追跡の順にみたときの前記接眼光学系の第1番目の反射面において、次の条件を満足することを特徴とする上記〔1〕から〔6〕の何れか1項記載の頭部装着型画像表示装置。
【0137】
0.001<|CX22 | (1/mm) ・・・(1−1)
0.001<|CY22 | (1/mm) ・・・(1−2)
ただし、前記の第1番目の反射面のCX2をCX22 、CY2をCY22 とする。
【0138】
〔8〕 前記接眼光学系を構成する反射面中の最も反射屈折力を有する面が以下の条件を満足することを特徴とする上記〔1〕から〔7〕の何れか1項記載の頭部装着型画像表示装置。
【0139】
0.055<CX2M/CY2M<2 ・・・(2−1)
ただし、前記の最も反射屈折力を有する面のCX2をCX2M、CY2をCY2Mとする。
【0140】
〔9〕 前記接眼光学系を構成する全ての反射面が以下の条件を満足することを特徴とする上記〔1〕から〔8〕の何れか1項記載の頭部装着型画像表示装置。
【0141】
−0.015<CXn2<0.1 (1/mm) ・・・(3−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に垂直な方向に当たるX軸方向の曲率をCX2、CX1、CX4、CX5、CX6、CX3とするとき、CXn−CX2(nは1〜6)をCXn2とする。
【0142】
〔10〕 前記接眼光学系を構成する全ての反射面が以下の条件を満足することを特徴とする上記〔1〕から〔9〕の何れか1項記載の頭部装着型画像表示装置。
【0143】
−0.1<CYn2A<0.1 (1/mm) ・・・(5−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に当たるY軸方向の曲率をCY2、CY1、CY4、CY5、CY6、CY3とするとき、CYn−CY2(nは1、3〜6)をCYn2Mとする。
【0144】
〔11〕 以下の条件を満足することを特徴とする上記〔1〕から〔10〕の何れか1項記載の頭部装着型画像表示装置。
【0145】
−5<CX12<5 ・・・(9−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に垂直な方向に当たるX軸方向の曲率をCX2、CX1、CX4、CX5、CX6、CX3とするとき、前記観察者眼球の瞳から前記画像表示素子に到る逆光線追跡の順にみたときの前記接眼光学系の最後の反射面のCX2/前記観察者眼球の瞳から前記画像表示素子に到る逆光線追跡の順にみたときの前記接眼光学系の第1番目の反射面のCX2のCX2の値をCX12とする。
【0146】
〔12〕 以下の条件を満足することを特徴とする上記〔1〕から〔11〕の何れか1項記載の頭部装着型画像表示装置。
【0147】
−5<CY12<5 ・・・(10−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に当たるY軸方向の曲率をCY2、CY1、CY4、CY5、CY6、CY3とするとき、前記観察者眼球の瞳から前記画像表示素子に到る逆光線追跡の順にみたときの前記接眼光学系の最後の反射面のCY2/前記観察者眼球の瞳から前記画像表示素子に到る逆光線追跡の順にみたときの前記接眼光学系の第1番目の反射面のCY2のCX2の値をCY12とする。
【0148】
〔13〕 前記観察者眼球の瞳から前記画像表示素子に到る逆光線追跡の順にみたときの前記接眼光学系の最後の反射面が以下の条件を満足することを特徴とする上記〔1〕から〔12〕の何れか1項記載の頭部装着型画像表示装置。
【0149】
0.3<CXY11<4.0 ・・・(11−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に垂直な方向に当たるX軸方向の曲率をCX2、CX1、CX4、CX5、CX6、CX3とし、偏心方向に当たるY軸方向の曲率をCY2、CY1、CY4、CY5、CY6、CY3とするとき、CX2/CY2をCXY11とする。
【0150】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によると、広い画角においても明瞭で、歪みの少ない観察像を与える頭部装着型画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の接眼光学系を用いた頭部装着型画像表示装置の単眼用の光学系の断面図である。
【図2】本発明の実施例2の接眼光学系を用いた頭部装着型画像表示装置の単眼用の光学系の断面図である。
【図3】本発明の実施例3の接眼光学系を用いた頭部装着型画像表示装置の単眼用の光学系の断面図である。
【図4】本発明の実施例4の接眼光学系を用いた頭部装着型画像表示装置の単眼用の光学系の断面図である。
【図5】本発明の実施例5の接眼光学系を用いた頭部装着型画像表示装置の単眼用の光学系の断面図である。
【図6】本発明の実施例1の接眼光学系の横収差図の一部である。
【図7】本発明の実施例1の接眼光学系の横収差図の残りの一部である。
【図8】本発明の実施例1の接眼光学系の横収差図の残りの部分である。
【図9】本発明の実施例2の接眼光学系の横収差図の一部である。
【図10】本発明の実施例2の接眼光学系の横収差図の残りの一部である。
【図11】本発明の実施例2の接眼光学系の横収差図の残りの部分である。
【図12】本発明の実施例3の接眼光学系の横収差図である。
【図13】本発明の実施例4の接眼光学系の横収差図である。
【図14】本発明の実施例5の接眼光学系の横収差図である。
【図15】本発明が適用できる接眼光学系の1例を示す断面図である。
【図16】本発明が適用できる接眼光学系の別の例を示す断面図である。
【図17】本発明が適用できる接眼光学系の別の例を示す断面図である。
【図18】本発明が適用できる接眼光学系の別の例を示す断面図である。
【図19】本発明が適用できる接眼光学系の別の例を示す断面図である。
【図20】本発明が適用できる接眼光学系の別の例を示す断面図である。
【図21】本発明が適用できる接眼光学系の別の例を示す断面図である。
【図22】本発明が適用できる接眼光学系の別の例を示す断面図である。
【図23】本発明による頭部装着型画像表示装置の1例の全体の構成を示す図である。
【図24】従来の1つの頭部装着型画像表示装置の光学系を示す図である。
【図25】従来の別の頭部装着型画像表示装置の光学系を示す図である。
【図26】従来のさらに別の頭部装着型画像表示装置の光学系を示す図である。
【図27】従来のもう1つの頭部装着型画像表示装置の光学系を示す図である。
【図28】従来のさらにもう1つ頭部装着型画像表示装置の光学系を示す図である。
【符号の説明】
1…射出瞳位置(観察者瞳位置)
2…観察者視軸(軸上主光線)
3…接眼光学系の第1面
4…接眼光学系の第2面
5…接眼光学系の第3面
6…画像表示素子
7…接眼光学系
9…接眼光学系の第4面
50…表示装置本体
51…側頭フレーム
52…頭頂フレーム
53…板バネ
54…リアフレーム
55…頭頂パッド
56…スピーカ
57…映像音声伝達コード
58…再生装置
59…スイッチ、ボリューム等の調節部
Claims (7)
- 画像表示素子と、前記画像表示素子により形成された画像を虚像として観察できるように観察者眼球位置に中間像を形成することなしに導く接眼光学系とを有する頭部装着型画像表示装置において、
前記接眼光学系が、少なくとも1面の反射作用を有する反射面を備え、前記反射面の少なくとも1面の面形状が、その面内及び面外共に回転対称軸を有せず、しかも、対称面を1つのみ有する面対称自由曲面からなり、前記画像表示素子の画面中心からの軸上主光線が前記接眼光学系から射出して前記観察者眼球位置中心に到る線分の延長方向をZ軸、前記軸上主光線が前記反射面で反射される際の折り返し線分を含む平面内で前記Z軸に垂直な方向をY軸、前記Z軸と前記Y軸とに垂直な方向をX軸と定義したときに、接眼光学系を構成する反射面中の最も反射屈折力を有する面が以下の条件を満足することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。
CXYM<40 ・・・(8−1)
0.25<CY12<1 ・・・(10−4)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に垂直な方向に当たるX軸方向の曲率をCX2、CX1、CX4、CX5、CX6、CX3とし、偏心方向に当たるY軸方向の曲率をCY2、CY1、CY4、CY5、CY6、CY3とするとき、|CXn|/|CYn|(nは1〜6)をCXYMとし、前記観察者眼球の瞳から前記画像表示素子に到る逆光線追跡の順にみたときの前記接眼光学系の最後の反射面のCY2/前記観察者眼球の瞳から前記画像表示素子に到る逆光線追跡の順にみたときの前記接眼光学系の第1番目の反射面のCY2の値をCY12とする。 - 画像表示素子と、前記画像表示素子により形成された画像を虚像として観察できるように観察者眼球位置に中間像を形成することなしに導く接眼光学系とを有する頭部装着型画像表示装置において、
前記接眼光学系が、少なくとも1面の反射作用を有する反射面を備え、前記反射面の少なくとも1面の面形状が、その面内及び面外共に回転対称軸を有せず、しかも、対称面を1つのみ有する面対称自由曲面からなり、前記画像表示素子の画面中心からの軸上主光線が前記接眼光学系から射出して前記観察者眼球位置中心に到る線分の延長方向をZ軸、前記軸上主光線が前記反射面で反射される際の折り返し線分を含む平面内で前記Z軸に垂直な方向をY軸、前記Z軸と前記Y軸とに垂直な方向をX軸と定義したときに、接眼光学系を構成する反射面中の最も反射屈折力を有する面が以下の条件(8−1)を満足し、
かつ、前記観察者眼球の瞳から前記画像表示素子に到る逆光線追跡の順にみたときの前記接眼光学系の最後の反射面が以下の条件(11−1)を満足することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。
CXYM<40 ・・・(8−1)
0.3<CXY11<4.0 ・・・(11−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に垂直な方向に当たるX軸方向の曲率をCX2、CX1、CX4、CX5、CX6、CX3とし、偏心方向に当たるY軸方向の曲率をCY2、CY1、CY4、CY5、CY6、CY3とするとき、|CXn|/|CYn|(nは1〜6)をCXYMとし、CX2/CY2をCXY11とする。 - 前記観察者眼球の瞳から前記画像表示素子に到る逆光線追跡の順にみたときの前記接眼光学系の第1番目の反射面において、次の条件を満足することを特徴とする請求項1又は2記載の頭部装着型画像表示装置。
0.001<|CX22 | (1/mm) ・・・(1−1)
0.001<|CY22 | (1/mm) ・・・(1−2)
ただし、前記の第1番目の反射面のCX2をCX22 、CY2をCY22 とする。 - 前記接眼光学系を構成する反射面中の最も反射屈折力を有する面が以下の条件を満足することを特徴とする請求項1又は2記載の頭部装着型画像表示装置。
0.055<CX2M/CY2M<2 ・・・(2−1)
ただし、前記の最も反射屈折力を有する面のCX2をCX2M、CY2をCY2Mとする。 - 前記接眼光学系を構成する全ての反射面が以下の条件を満足することを特徴とする請求項1又は2記載の頭部装着型画像表示装置。
−0.015<CXn2<0.1 (1/mm) ・・・(3−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に垂直な方向に当たるX軸方向の曲率をCX2、CX1、CX4、CX5、CX6、CX3とするとき、CXn−CX2(nは1〜6)をCXn2とする。 - 前記接眼光学系を構成する全ての反射面が以下の条件を満足することを特徴とする請求項1又は2記載の頭部装着型画像表示装置。
−0.1<CYn2A<0.1 (1/mm) ・・・(5−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に当たるY軸方向の曲率をCY2、CY1、CY4、CY5、CY6、CY3とするとき、CYn−CY2(nは1、3〜6)をCYn2Mとする。 - 以下の条件を満足することを特徴とする請求項1又は2記載の頭部装着型画像表示装置。
−5<CX12<5 ・・・(9−1)
ただし、Y軸方向を上下方向として、画面中心のZ軸方向の軸上主光線、画面上側中心画角の主光線、画面右上画角の主光線、画面右中心画角の主光線、画面右下画角の主光線、画面下側中心画角の主光線が対象面と交差する領域を有効領域と定義し、その有効領域でその面の形状を定義する式の面の偏心方向に垂直な方向に当たるX軸方向の曲率をCX2、CX1、CX4、CX5、CX6、CX3とするとき、前記観察者眼球の瞳から前記画像表示素子に到る逆光線追跡の順にみたときの前記接眼光学系の最後の反射面のCX2/前記観察者眼球の瞳から前記画像表示素子に到る逆光線追跡の順にみたときの前記接眼光学系の第1番目の反射面のCX2の値をCX12とする。
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