JP3683068B2 - 汚水処理槽における排出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚水処理槽(本明細書において、「沈殿池」を含む。)における排出装置に関し、特に、通常は、汚水処理槽において処理した汚水(本明細書において、「処理水」という。)を上部越流により排出するようにした汚水処理槽における排出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
汚水を生物処理するためにオキシデーションディッチ等の汚水処理槽が採用されている。
この汚水処理槽において処理した汚水を排出する排出口には、通常、処理水を上部越流により排出するための可動堰が設けられている。
これにより、所定の汚水の処理を完了するまでは、可動堰を定位置に固定し、未処理水の次工程への流出を防止し、処理が完了すると可動堰を降下させて処理水を上部越流により排出するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の汚水処理槽における排出装置としての可動堰は、上部越流のみを可能とするものであるため、汚水処理槽においてスカム等の浮遊物の発生量が許容量よりも多くなった場合には、大量のスカム等の浮遊物が越流水と共に流出し、次工程における汚水の処理に支障を生じる、例えば、最終沈殿池において処理水の白濁化等の悪化現象が生じる等の問題点があった。
【0004】
なお、この問題点に対処するために、汚水処理槽における排出装置として、上部越流方式の排出口に代えて、潜り流方式の排出口を設けることも提案されているが、この場合、スカム等の浮遊物が汚水処理槽に滞留して排除することができないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記従来の汚水処理槽における排出装置の有する問題点に鑑み、通常は、汚水処理槽において処理水を上部越流により排出するようにした汚水処理槽において、処理水を潜り流により排出することもできるようにした汚水処理槽における排出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本第1発明の汚水処理槽における排出装置は、汚水処理槽において処理した汚水を上部越流により排出するとともに、スカム等の浮遊物の発生量が許容量よりも多くなった場合に、処理水を潜り流により排出するようにした汚水処理槽における排出装置において、汚水処理槽の排出口に配設した可動式の堰を、下方に移動して堰の上方から適量のスカム等の浮遊物を越流水と共に流出させる上部越流排出位置と、上方に移動して堰の下方からスカム等の浮遊物を含まない処理水のみ流出させる潜り流排出位置とに、選択的に設置可能に構成したことを特徴とする。
【0007】
また、同じ目的を達成するため、本第2発明の汚水処理槽における排出装置は、汚水処理槽において処理した汚水を上部越流により排出するとともに、スカム等の浮遊物の発生量が許容量よりも多くなった場合に、処理水を潜り流により排出するようにした汚水処理槽における排出装置において、汚水処理槽において処理した汚水を導入する沈殿池にスカム阻止壁を配設し、該スカム阻止壁の背部の中間部に、流出弁を備えることにより処理水を上部越流又は潜り流のいずれかとして排出する流水トラフを配設するとともに、スカム阻止壁の背部の上端部に、スカム等の浮遊物を排出する流水トラフを配設したことを特徴とする。
【0008】
この汚水処理槽における排出装置は、スカム等の浮遊物の発生量に応じて、その発生量が少ない場合は上部越流方式により、その発生量が多い場合は潜り流方式により、処理水を排出することができ、これにより、通常は、適量のスカム等の浮遊物を越流水と共に流出させることにより、浮遊物が汚水処理槽に滞留することを防止するとともに、スカム等の浮遊物の発生量が許容量よりも多くなった場合には、大量のスカム等の浮遊物が越流水と共に流出することを防止することができる。
【0009】
そして、本第1発明の汚水処理槽における排出装置のように、汚水処理槽の排出口に配設した可動式の堰を、下方に移動して堰の上方から適量のスカム等の浮遊物を越流水と共に流出させる上部越流排出位置と、上方に移動して堰の下方からスカム等の浮遊物を含まない処理水のみ流出させる潜り流排出位置とに、選択的に設置可能に構成することにより、簡易な機構を使用し、簡単な操作により、上部越流方式と潜り流方式とを選択することができる。
【0010】
また、本第2発明の汚水処理槽における排出装置のように、汚水処理槽において処理した汚水を導入する沈殿池にスカム阻止壁を配設し、該スカム阻止壁の背部の中間部に、流出弁を備えることにより処理水を上部越流又は潜り流のいずれかとして排出する流水トラフを配設するとともに、スカム阻止壁の背部の上端部に、スカム等の浮遊物を排出する流水トラフを配設することにより、通常は、スカム阻止壁の背部の中間部に配設した流水トラフから処理水を流出させ、スカム等の浮遊物の発生量が多くなった場合には、この流水トラフの流出弁を閉鎖し、水位を上昇させ、スカム阻止壁の背部の上端部に配設した流水トラフからスカム等の浮遊物を越流水と共に流出させ、浮遊物が汚水処理槽から排除された後、流水トラフの流出弁を開放し、この流水トラフから処理水を潜り流方式により排出することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の汚水処理槽における排出装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1〜図2に、本発明の汚水処理槽における排出装置の第1実施例を示す。
この汚水処理槽における排出装置は、所要の容量と所定の形状とを備え、汚水の流入管、曝気機等が設置されるオキシデーションディッチ等の汚水処理槽1に配設したもので、汚水処理槽1に形成された処理水を排出するための排出口11に配設した堰2を、上部越流排出位置と、潜り流排出位置とに、選択的に設置可能に可動式に構成したものである。
【0013】
この排出口11に配設する可動式の堰2は、汚水処理槽1から排出される処理水の水量に応じてその大きさが定められ、手動又はモータ、油空圧シリンダ等の動力にて上下方向に移動することにより、その開度及び設置位置を変更できるようにする。
【0014】
この汚水処理槽における排出装置の動作方法について説明する。
まず、スカム等の浮遊物Wの発生量が少ない通常時は、図1(A)に示すように、可動式の堰2を下方に移動して設置し、上部越流方式により処理水を排出する。
すなわち、オキシデーションディッチのように滞留時間の長い活性汚泥による汚水処理槽においては、スカム等の浮遊物Wの発生量が一旦増加しだすと加速度的にその量が増大するため、発生初期のスカム等の浮遊物Wは、上部越流方式により、堰2の上方から適量のスカム等の浮遊物Wを越流水と共に流出させることにより、できるだけ速やかに排出するようにする。
これにより、スカム等の浮遊物Wが汚水処理槽1に滞留することを防止することができる。
【0015】
次に、スカム等の浮遊物Wの発生量が多い異常時は、図1(B)に示すように、可動式の堰2を上方に移動して設置し、潜り流方式により処理水を排出する。
これにより、堰2の下方からスカム等の浮遊物Wを含まない処理水のみ流出させることができるとともに、大量のスカム等の浮遊物Wが越流水と共に流出することを防止することができる。
ところで、これにより、スカム等の浮遊物Wが汚水処理槽1に滞留することとなるが、このスカム等の浮遊物Wは、例えば、次工程の最終沈殿池の処理状態に応じて、可動式の堰2を操作して、堰2の上方から少しずつ適量の浮遊物Wを越流水と共に流出させるようにする。
【0016】
なお、スカム等の浮遊物Wの厚さを計測し、この計測値に応じて可動式の堰2を上下方向に移動することにより、その開度及び設置位置を自動的に変更できるようにすることもできる。
【0017】
図3〜図4に、本発明の汚水処理槽における排出装置の第2実施例を示す。
この汚水処理槽における排出装置は、円形沈殿池1Aに適用するようにしたもので、円形沈殿池1Aの中央部に流入管3を備えたフィードウエル4を配設し、この流入管3及びフィードウエル4を介して円形沈殿池1A内に汚水を供給するようにするとともに、円形沈殿池1Aの外周部に、スカム等の浮遊物が通過することを防止するための下方を開放した環状のスカム阻止壁10を配設し、このスカム阻止壁10の背部の中間部に、流出弁9を備えた流出管8を接続することにより処理水を上部越流又は潜り流のいずれかとして排出する環状の流水トラフ7を配設するとともに、スカム阻止壁10の背部の上端部に、スカム排出管6を接続することによりスカム等の浮遊物を排出する環状の流水トラフ5を配設して構成する。
【0018】
この汚水処理槽における排出装置の動作方法について説明する。
まず、スカム等の浮遊物の発生量が少ない通常時は、流水トラフ7の流出弁9を開放して円形沈殿池1Aの水位をレベルL2の位置で運転して、スカム阻止壁10の背部の中間部に配設した流水トラフ7から上部越流方式により処理水を流出弁9を備えた流出管8を介して排出する。
【0019】
次に、スカム等の浮遊物Wの発生量が多い異常時は、流水トラフ7の流出弁9を閉鎖し、水位を上昇させ、円形沈殿池1Aの水位をレベルL1の位置で運転して、スカム阻止壁10の背部の上端部に配設した流水トラフ5からスカム等の浮遊物を越流水と共に流出させ、浮遊物が円形沈殿池1Aから排除された後、流水トラフ7の流出弁9を開放し、この流水トラフ7から処理水を潜り流方式により排出することができる。
【0020】
なお、流出弁9の開閉操作を、タイマー制御により自動制御することもできる。
【0021】
【発明の効果】
本発明の汚水処理槽における排出装置によれば、スカム等の浮遊物の発生量に応じて、その発生量が少ない場合は上部越流方式により、その発生量が多い場合は潜り流方式により、処理水を排出することができ、これにより、通常は、適量のスカム等の浮遊物を越流水と共に流出させることにより、浮遊物が汚水処理槽に滞留することを防止するとともに、スカム等の浮遊物の発生量が許容量よりも多くなった場合には、大量のスカム等の浮遊物が越流水と共に流出することを防止し、次工程において汚水の処理に支障が生じることを防止することができる。
【0022】
また、汚水処理槽の排出口に配設した可動式の堰を、下方に移動して堰の上方から適量のスカム等の浮遊物を越流水と共に流出させる上部越流排出位置と、上方に移動して堰の下方からスカム等の浮遊物を含まない処理水のみ流出させる潜り流排出位置とに、選択的に設置可能に構成することにより、簡易な機構を使用し、簡単な操作により、上部越流方式と潜り流方式とを選択することができる。
【0023】
また、汚水処理槽において処理した汚水を導入する沈殿池にスカム阻止壁を配設し、該スカム阻止壁の背部の中間部に、流出弁を備えることにより処理水を上部越流又は潜り流のいずれかとして排出する流水トラフを配設するとともに、スカム阻止壁の背部の上端部に、スカム等の浮遊物を排出する流水トラフを配設することにより、通常は、スカム阻止壁の背部の中間部に配設した流水トラフから処理水を流出させ、スカム等の浮遊物の発生量が多くなった場合には、この流水トラフの流出弁を閉鎖し、水位を上昇させ、スカム阻止壁の背部の上端部に配設した流水トラフからスカム等の浮遊物を越流水と共に流出させ、浮遊物が汚水処理槽から排除された後、流水トラフの流出弁を開放し、この流水トラフから処理水を潜り流方式により排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の汚水処理槽における排出装置の第1実施例を示し、(A)は堰を下方に移動して設置した状態を、(B)は堰を上方に移動して設置した状態を、それぞれ示す説明図である。
【図2】 本発明の汚水処理槽における排出装置の第1実施例を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図3】 本発明の汚水処理槽における排出装置の第2実施例を示す断面図である。
【図4】 同平面図である。
【符号の説明】
1 汚水処理槽(オキシデーションディッチ)
1A 汚水処理槽(円形沈殿池)
11 排出口
2 堰
3 流入管
4 フィードウエル
5 流水トラフ
6 スカム排出管
7 流水トラフ
8 流出管
9 流出弁
10 スカム阻止壁
Claims (2)
- 汚水処理槽において処理した汚水を上部越流により排出するとともに、スカム等の浮遊物の発生量が許容量よりも多くなった場合に、処理水を潜り流により排出するようにした汚水処理槽における排出装置において、汚水処理槽の排出口に配設した可動式の堰を、下方に移動して堰の上方から適量のスカム等の浮遊物を越流水と共に流出させる上部越流排出位置と、上方に移動して堰の下方からスカム等の浮遊物を含まない処理水のみ流出させる潜り流排出位置とに、選択的に設置可能に構成したことを特徴とする汚水処理槽における排出装置。
- 汚水処理槽において処理した汚水を上部越流により排出するとともに、スカム等の浮遊物の発生量が許容量よりも多くなった場合に、処理水を潜り流により排出するようにした汚水処理槽における排出装置において、汚水処理槽において処理した汚水を導入する沈殿池にスカム阻止壁を配設し、該スカム阻止壁の背部の中間部に、流出弁を備えることにより処理水を上部越流又は潜り流のいずれかとして排出する流水トラフを配設するとともに、スカム阻止壁の背部の上端部に、スカム等の浮遊物を排出する流水トラフを配設したことを特徴とする汚水処理槽における排出装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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