JP4033941B2 - 曝気槽の汚水流出可動堰の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水や農業集落排水等の汚水を活性汚泥法によって処理する曝気槽から、後段の流出ピットへ流出させ、最終沈殿池において重力沈殿を行うようにした汚水処理施設における曝気槽の汚水流出可動堰の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水や農業集落排水等の汚水を活性汚泥法によって処理する曝気槽から、後段の流出ピットへ流出させ、最終沈殿池において重力沈殿を行うようにした汚水処理施設においては、図3に示すように、曝気槽1において、曝気機2により曝気撹拌し、生物処理した汚水を、曝気槽1の流出口11に設置された固定越流堰3よりオーバーフローさせ、流出ピット4及び汚水流出管5を介して、最終沈殿池6に導入して重力沈殿により固液分離を行うようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の汚水処理施設の曝気槽1の越流堰3は、固定されているため、曝気槽1への汚水の流入水量に対応することができず、このため、特に、汚水の流入水量が多いときには、完全に生物処理されていない汚水を含む大量の汚水が、流出ピット4及び汚水流出管5を介して、最終沈殿池6に一気に流出してしまい、汚水の生物処理が不完全となったり、最終沈殿池6での負荷が大きくなって、その結果として、固液分離が不完全となり、汚泥がキャリーオーバーする等、処理後の水質が悪化するという問題があった。
【0004】
本発明は、上記従来の固定越流堰を使用する汚水処理施設の有する問題点に鑑み、曝気槽への汚水の流入水量の変動によって、汚水の生物処理が不完全となったり、最終沈殿池への固形物負荷が大きくなり過ぎないようにできる曝気槽の汚水流出可動堰の制御方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の曝気槽の汚水流出可動堰の制御方法は、汚水を活性汚泥法によって処理する曝気槽から、後段の流出ピットへ流出させる汚水流出可動堰の制御方法において、曜日によって一定である汚水の流入水量の変動パターンに応じた汚水流出可動堰の位置を水位制御装置に記憶しておき、これに基づいて、流入水量が少ないときには段階的に低水位に、流入水量が多いときには増加開始時に高水位になるように、汚水流出可動堰の位置を制御することを特徴とする。
【0006】
この曝気槽の汚水流出可動堰の制御方法は、曜日によって一定である汚水の流入水量の変動パターンに応じた汚水流出可動堰の位置を水位制御装置に記憶しておき、これに基づいて、流入水量が少ないときには段階的に低水位に、流入水量が多いときには増加開始時に高水位になるように、汚水流出可動堰の位置を制御することにより、曝気槽における汚水の滞留時間を十分に確保するとともに、大量の汚水が流出ピットに一気に流出することを防止して、汚水の生物処理が不完全となったり、最終沈殿池への固形物負荷が大きくなって、固液分離に支障をきたすことがないようにする。
【0007】
特に、小規模下水処理場のように、1日の曝気槽への汚水の流入水量の変動パターンが、ほぼ一定である場合には、曜日によって一定である汚水の流入水量の変動パターンに応じた汚水流出可動堰の位置を水位制御装置に記憶しておき、これに基づいて、汚水流出可動堰の位置を制御することにより、汚水流出可動堰の位置の制御を的確、かつ簡易に行うことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の曝気槽の汚水流出可動堰の制御方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1に、本発明の曝気槽の汚水流出可動堰の制御方法を適用する汚水処理施設の一例を示す。
この汚水処理施設は、曝気槽1と、最終沈殿池6とを備えており、曝気槽1には、流入する汚水を活性汚泥法にて処理するように、曝気機2が設置されるとともに、その流出口11を介して、流出ピット4を配設し、この流出ピット4と最終沈殿池6とを汚水流出管5により接続するようにしている。
これにより、この汚水処理施設においては、曝気槽1内に流入する汚水を、活性汚泥法にて処理した後、流出口11、流出ピット4、汚水流出管5を介して最終沈殿池6に導入し、重力沈殿により固液分離を行うように構成している。
【0010】
曝気槽1には、曝気機2とともに水位制御装置7が設置される。
この水位制御装置7は、検出水位の高さが異なる複数(実施例では5個)の水位センサ71,72,73,74,75を備えている。
そして、それぞれの水位センサ71,72,73,74,75の検出水位を、例えば、最低水位LL(−100mm)、低水位L(−50mm)、基準水位O(±0mm)、高水位H(+50mm)、最高水位HH(+100mm)に設定する。
【0011】
曝気槽1の流出口11には、汚水流出可動堰装置8を設置する。
この汚水流出可動堰装置8は、モータその他の任意の駆動源82にて可動堰81の位置を、水位制御装置7の制御信号によって、上下動させることができるように構成している。
【0012】
次に、本発明の曝気槽の汚水流出可動堰の制御方法を、図2に示す、1日の曝気槽への汚水の流入水量の変動パターンに基づいて説明する。
近年、普及しつつある小規模下水処理場等の汚水処理施設においては、各戸の生活様式が似ているため、通常、図2(A)に示すように、朝と夜の2回の流入水量のピークが見られることが多い。
本発明は、このような汚水の流入水量の変動パターンが比較的明瞭で、かつ日毎の変動が少ないケースについて、特にその効果を発揮することができる。
なお、汚水の流入水量の変動パターンが、日毎に変動する場合であっても、これが、例えば、曜日によって一定である場合には、その汚水の流入水量の変動パターンに応じた汚水流出可動堰装置8の可動堰81の位置を水位制御装置7に記憶しておくことにより、容易に対応することができる。
【0013】
図2(B)は、図2(A)に示すような汚水の流入水量の変動パターンに基づいた汚水流出可動堰装置8の可動堰82の動作パターンの一例である。
曝気槽1への汚水の流入水量は、通常、深夜から早朝まで(24時〜6時)の時間帯は、1日の中で最も少ない。
この時間帯に、曝気槽1へ流入する汚水は、曝気槽1における滞留時間を十分に確保できるので、汚水の生物処理が不完全となることがなく、また、大量の汚水が流出ピット4に一気に流出することもないため、汚水の流入水量が増加し始める前の6時〜7時の間は、汚水流出可動堰装置8の可動堰81を最低水位LLの位置まで下降させておく。
そして、汚水の流入水量が増加し始める7時に、汚水流出可動堰装置8の可動堰82を最高水位HHの位置まで上昇させる。
これにより、最低水位LLから最高水位HHまでの水位差200mm分の水量を曝気槽1に一時的に貯留することで、曝気槽1における汚水の滞留時間を十分に確保するとともに、大量の汚水が流出ピット4に一気に流出することを防止して、汚水の生物処理が不完全となったり、最終沈殿池で固液分離性が悪化することがないようにする。
ところで、昼間(12時〜17時)の時間帯は、曝気槽1への汚水の流入水量は、かなり高水準であるため、汚水の流入水量のピークを過ぎた後でも、汚水流出可動堰装置8の可動堰82を急激に下降させず、段階的に降下させる。なお、本実施例においては、汚水の流入水量が再度増加し始める前の15時〜17時の間は、汚水流出可動堰装置8の可動堰81を基準水位Oの位置まで下降させるようにしている。
そして、汚水の流入水量が増加し始める17時に、汚水流出可動堰装置8の可動堰82を最高水位HHの位置まで上昇させる。
これにより、基準水位Oから最高水位HHまでの水位差100mm分の水量を曝気槽1に一時的に貯留することで、曝気槽1における汚水の滞留時間を十分に確保するとともに、大量の汚水が流出ピット4に一気に流出することを防止して、汚水の生物処理が不完全となったり、最終沈殿池で固液分離性が悪化することがないようにする。
また、夜間(20時〜24時)の時間帯は、曝気槽1への汚水の流入水量は、かなり高水準であるため、汚水の流入水量のピークを過ぎた後でも、汚水流出可動堰装置8の可動堰82を急激に下降させず、段階的に降下させる。なお、本実施例においては、汚水の流入水量が再度増加し始める前の24時〜6時の間は、汚水流出可動堰装置8の可動堰81を基準水位Oの位置まで下降させ、さらに、上述のとおり、汚水の流入水量が増加し始める前の6時〜7時の間は、汚水流出可動堰装置8の可動堰81を最低水位LLの位置まで下降させるようにしている。
【0014】
このように、曝気槽1への汚水の流入水量が多い時間帯には、汚水流出可動堰装置8の可動堰81の位置を上昇させ、曝気槽1に一時的に貯留することで、曝気槽1における汚水の滞留時間を十分に確保するとともに、大量の汚水が流出ピット4に一気に流出することを防止して、汚水の生物処理が不完全となったり、最終沈殿池で固液分離性が悪化することがないようにし、流入水量が少ない時間帯には、汚水流出可動堰装置8の可動堰81の位置を下降させて曝気槽1に一時的に貯留していた汚水を流出させて、次の汚水の流入水量の増加に備えるようにする。
【0015】
なお、上記実施例においては、汚水流出可動堰装置8の可動堰81の位置を4段階に制御するようにしたが、これに限定されず、例えば、低水位L(−50mm)を加えて、5段階に制御するようにしたり、高水位H(+50mm)を省略して、3段階に制御するほか、無段階に行うこともできる。
【0016】
【発明の効果】
本発明の曝気槽の汚水流出可動堰の制御方法によれば、曜日によって一定である汚水の流入水量の変動パターンに応じた汚水流出可動堰の位置を水位制御装置に記憶しておき、これに基づいて、流入水量が少ないときには段階的に低水位に、流入水量が多いときには増加開始時に高水位になるように、汚水流出可動堰の位置を制御することにより、曝気槽における汚水の滞留時間を十分に確保するとともに、大量の汚水が流出ピットに一気に流出することを防止して、汚水の生物処理が不完全となったり、最終沈殿池への固形物負荷が大きくなって、固液分離に支障をきたすことがないようにすることができる。
【0017】
特に、小規模下水処理場のように、1日の曝気槽への汚水の流入水量の変動パターンが、ほぼ一定である場合には、曜日によって一定である汚水の流入水量の変動パターンに応じた汚水流出可動堰の位置を水位制御装置に記憶しておき、これに基づいて、汚水流出可動堰の位置を制御することにより、汚水流出可動堰の位置の制御を的確、かつ簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の曝気槽の汚水流出可動堰の制御方法を適用する汚水処理施設の一例を示す説明図である。
【図2】 本発明の曝気槽の汚水流出可動堰の制御方法の一実施例を示し、(A)は汚水の流入水量の変動パターンを示すグラフ図、(B)は可動堰の動作パターンを示すグラフ図である。
【図3】 従来の汚水処理施設を示す説明図である。
【符号の説明】
1 曝気槽
11 流出口
2 曝気機
3 越流堰
4 流出ピット
5 汚水流出管
6 最終沈殿池
7 水位制御装置
71,72,73,74,75 水位センサ
8 汚水流出可動堰装置
81 可動堰
82 モータ
Claims (1)
- 汚水を活性汚泥法によって処理する曝気槽から、後段の流出ピットへ流出させる汚水流出可動堰の制御方法において、曜日によって一定である汚水の流入水量の変動パターンに応じた汚水流出可動堰の位置を水位制御装置に記憶しておき、これに基づいて、流入水量が少ないときには段階的に低水位に、流入水量が多いときには増加開始時に高水位になるように、汚水流出可動堰の位置を制御することを特徴とする曝気槽の汚水流出可動堰の制御方法。
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JP15754997A JP4033941B2 (ja) | 1997-05-29 | 1997-05-29 | 曝気槽の汚水流出可動堰の制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP15754997A JP4033941B2 (ja) | 1997-05-29 | 1997-05-29 | 曝気槽の汚水流出可動堰の制御方法 |
Publications (2)
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JPH10328690A JPH10328690A (ja) | 1998-12-15 |
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JP15754997A Expired - Fee Related JP4033941B2 (ja) | 1997-05-29 | 1997-05-29 | 曝気槽の汚水流出可動堰の制御方法 |
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1997
- 1997-05-29 JP JP15754997A patent/JP4033941B2/ja not_active Expired - Fee Related
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