JP3682429B2 - 射出成形機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、射出成形機においては、加熱シリンダ内において加熱され溶融させられた樹脂を、高圧で射出して金型装置のキャビティ空間に充填(てん)し、該キャビティ空間内において冷却して固化させた後、成形品を取り出すようになっている。
【0003】
前記射出成形機は、ベースフレーム上に配設された型締装置及び射出装置を有し、前記型締装置は、固定プラテン及び可動プラテンを備え、型締用シリンダによって可動プラテンを進退させることにより型閉じ、型締め及び型開きを行う。
【0004】
一方、前記射出装置は、前記ベースフレーム上にスライドベースを介して配設され、ホッパから供給された樹脂を加熱して溶融させる加熱シリンダ、及び溶融させられた樹脂を射出する射出ノズルを備え、前記加熱シリンダ内にスクリューが進退自在に、かつ、回転自在に配設される。そして、該スクリューを前進させることによって射出ノズルから樹脂が射出され、前記スクリューを回転させることによって樹脂の計量が行われる。
【0005】
ところで、例えば、前記射出装置において、駆動部として計量用のモータ、射出用のモータ等の各種のモータが配設される。そして、各モータを駆動するのに伴って発生させられる回転をスクリューに伝達したり、回転運動を直進運動に変換したりするために、プーリ、タイミングベルト、ギヤ、ボールねじ、スプライン、ベアリング等の各種の機械要素が配設され、各機械要素を潤滑するために、グリース等の潤滑剤が使用される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の射出成形機においては、潤滑剤が落下して前記スライドベース、ベースフレーム等を汚してしまう。したがって、射出成形機の保守・管理が困難になってしまう。
【0007】
本発明は、前記従来の射出成形機の問題点を解決して、保守・管理を容易に行うことができる射出成形機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の射出成形機においては、ベースフレームと、駆動部と、機械要素を備え、前記駆動部を駆動することによって作動させられる機構部と、該機構部を包囲するカバーと、前記機構部の下方に、かつ、前記ベースフレームに対して前記機構部とともに進退するスライドベースの上方に、抜差し自在に配設された潤滑剤受けとを有する。
そして、該潤滑剤受けは、前記機構部の下方に形成され、下カバーとしての機能を有し、機構部に前記カバーが取り付けられたまま抜き差しされる。
【0009】
本発明の他の射出成形機においては、ベースフレームと、該ベースフレームに配設されたスライドベースと、駆動部と、前記スライドベース上に摺(しゅう)動自在に配設され、前記駆動部を揺動自在に支持するための旋回プレートと、機械要素を備え、前記駆動部を駆動することによって作動させられる機構部と、該機構部の下方に、かつ、ベースフレームの上方に、抜差し自在に配設された潤滑剤受けとを有する。
そして、該潤滑剤受けは前記旋回プレートによって支持される。
【0010】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記潤滑剤受け内に潤滑剤を吸着し、保持する保持シートが配設される。
【0011】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記機械要素はボールねじである。そして、前記機構部は射出装置に配設される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この場合、本発明を射出成形機の射出装置に適用した例について説明するが、本発明を射出成形機の型締装置に適用することもできる。
【0013】
図1は本発明の実施の形態における射出装置の概念を示す正面図、図2は本発明の実施の形態における射出装置の斜視図、図3は本発明の実施の形態における射出装置の本体を示す斜視図、図4は本発明の実施の形態における射出装置の概念を示す断面図である。
【0014】
図において、11は射出装置、12はシリンダ部材としての加熱シリンダであり、該加熱シリンダ12の前端に図示されない射出ノズルが取り付けられる。前記加熱シリンダ12内には、図示されない射出部材としてのスクリューが、回転自在に、かつ、進退自在に配設される。前記射出装置11は、ベースフレーム13に対して進退(図1における左右方向に移動)自在に配設され、前進(図1における左方に移動)させられて前記射出ノズルを図示されない金型装置の固定プラテンに当接させられ、ノズルタッチが行われる。
【0015】
そのために、前記ベースフレーム13上に、射出装置11の移動方向に沿って2本のレール14、15が互いに平行に配設され、各レール14、15を介して支持ユニット16が進退自在に載置される。該支持ユニット16は、前記レール14、15上に載置されたスライドベース17、及び該スライドベース17上において摺動自在に配設された旋回プレート18、19を備え、射出装置11の本体21は、前記旋回プレート18の所定の箇所に設定された揺動軸Cnを中心にして揺動自在に配設される。
【0016】
ところで、前記本体21は、前記加熱シリンダ12、及び該加熱シリンダ12の後方(図における右方)に配設された射出装置フレーム22、該射出装置フレーム22によって支持された第1の駆動部としての計量用のモータ23、同様に射出装置フレーム22によって支持された第2の駆動部としての射出用のモータ24等を備える。また、前記本体21は、前記モータ23、24等を駆動することによって作動させられるとともに、前記本体21には、前記モータ23、24等によって発生させられる回転をスクリューに伝達したり、回転運動を直進運動に変換したりする図示されない機構部が配設される。
【0017】
そして、前記射出装置フレーム22は、前端(図1における左端)に配設され、前記旋回プレート18に取り付けられた前側フランジ31、該前側フランジ31と所定のフランジ間距離を置いて後端(図1における右端)に配設され、前記旋回プレート19に取り付けられた後側フランジ32、並びに前側フランジ31及び後側フランジ32を上下において連結する連結ロッド33、34を備える。また、前記前側フランジ31及び後側フランジ32に対して進退自在に図示されない可動プレートが配設される。
【0018】
そして、前記前側フランジ31に前記加熱シリンダ12の後端が固定され、前記加熱シリンダ12の後端の近傍に設定された樹脂供給部38に図示されないホッパが配設される。
【0019】
また、前記射出装置フレーム22及び機構部を包囲するように第1の包囲体としてのカバー51が射出装置フレーム22に取り付けられ、モータ24及び後述されるモータ43を包囲するように第2の包囲体としてのカバー52が後側フランジ32に取り付けられる。前記カバー51は、正面パネル53、背面パネル54、前パネル55、後パネル56及び上パネル57を備え、該上パネル57には、モータ23を駆動することによって発生させられた熱を放出するためのスリット58が形成される。前記カバー52は、正面パネル61、背面パネル62、後パネル63及び上パネル64を備え、前記正面パネル61、背面パネル62、後パネル63及び上パネル64には、モータ24、43を駆動することによって発生させられた熱を放出するためのスリット65が形成される。
【0020】
また、前記加熱シリンダ12の周囲には図示されないヒータが配設され、該ヒータによって加熱シリンダ12を加熱し、前記加熱シリンダ12内に供給された樹脂を溶融させることができるようになっている。したがって、前記構成の射出装置において、計量工程時に、前記計量用のモータ23を駆動することによって、スクリューを回転させると、ホッパ内のペレット状の樹脂は、加熱シリンダ12内に進入し、加熱シリンダ12内で加熱され溶融させられて前進させられ、図示されないスクリューヘッドの前方(図1における左方)に1ショット分の溶融させられた樹脂が蓄えられ、それに伴ってスクリューは後退(図1における右方に移動)させられる。なお、前記加熱シリンダ12の外周には、前記ヒータを包囲してカバー39が配設される。
【0021】
また、前記本体21をレール14、15に沿って進退させるために、前記スライドベース17に射出装置移動用のモータ43が取り付けられる。前記ベースプレート13におけるレール14、15間に、レール14、15と平行に2本のガイドロッド44、45が配設され、前記モータ43を駆動することによって、スライドベース17は、該ガイドロッド44、45に沿って進退させられ、ノズルタッチが行われる。
【0022】
次に、射出工程時に、前記射出用のモータ24を駆動することによって、スクリューを回転させることなく前進させると、前記スクリューヘッドの前方に蓄えられた樹脂は、射出ノズルから射出され、前記金型装置のキャビティ空間に充填される。
【0023】
ところで、前記射出装置11において、前述されたように、本体21にモータ23、24等が配設されるほか、前記機構部が配設される。そして、該機構部は、プーリ、タイミングベルト、ギヤ、ボールねじ、スプライン、ベアリング等の各種の機械要素を備え、各機械要素を潤滑するために、グリース等の潤滑剤が使用される。
【0024】
この場合、潤滑剤の量が少ないと、前記各機械要素を十分に潤滑することができず、計量、射出等の動作を円滑に行うことができない。そこで、十分な量の潤滑剤を使用する必要があるが、潤滑剤が落下して前記機構部の下方のベースフレーム13、スライドベース17等を汚すと、定期的にベースフレーム13、スライドベース17等から潤滑剤を拭(ふ)き取る必要があり、射出成形機の保守・管理が困難になってしまう。
【0025】
そこで、前記機構部の下方に、かつ、スライドベース17の上方に、落下した潤滑剤を受けるための矩(く)形の形状を有し、平板状の箱体から成る潤滑剤受けとしての下カバー71が抜差し自在に配設される。そのために、前記射出装置フレーム22の正面側において、前記正面パネル53の下縁とスライドベース17の上面との間に抜差し口72が形成され、該抜差し口72を介して下カバー71を図4の矢印方向に抜いたり、逆に押し込むことができる。
【0026】
また、前記下カバー71は、機構部の下方、すなわち、射出装置フレーム22の直下の全体にわたって形成され、四つの辺に立上り部が形成された薄い箱状の本体73、及び該本体73における左右に、かつ、水平方向に突出させて形成された鍔(つば)部74、75を備え、鍔部74は旋回プレート18上に、鍔部75は旋回プレート19上にそれぞれ載置される。前記本体73の底面には、潤滑剤を吸着し、保持する図示されない保持シートが配設される。
【0027】
したがって、前記各機械要素から落下した潤滑剤は、下カバー71によって受けられるので、ベースフレーム13、スライドベース17等を汚すことがなくなり、定期的にベースフレーム13、スライドベース17等から潤滑剤を拭き取る必要がなくなる。また、カバー51を取り外すことなく、下カバー71を抜き差しして潤滑剤を除去することができる。その結果、射出成形機の保守・管理を容易に行うことができる。
【0028】
そして、下カバー71に落下した潤滑剤は、下カバー71を引き出し、前記保持シートを除去することによって、保持シートにより保持されたまま廃棄することができる。
【0029】
また、下カバー71は、旋回プレート18、19によって支持されるので、射出装置11の本体21を、前記揺動軸Cnを中心にして揺動させたとき、下カバー71が本体21に追随して移動する。したがって、前記本体21を回動させて、スクリューを加熱シリンダ12から取り出したり、加熱シリンダ12に装着したりして作業を行っている間にも、確実に潤滑剤を下カバー71によって受けることができる。
【0030】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0031】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、射出成形機においては、ベースフレームと、駆動部と、機械要素を備え、前記駆動部を駆動することによって作動させられる機構部と、該機構部を包囲するカバーと、前記機構部の下方に、かつ、ベースフレームの上方に、抜差し自在に配設された潤滑剤受けとを有する。
そして、該潤滑剤受けは、前記機構部の下方に形成され、下カバーとしての機能を有し、機構部に前記カバーが取り付けられたまま抜き差しされる。
【0032】
この場合、機構部の下方に、かつ、ベースプレートの上方に抜差し自在に潤滑剤受けが形成されるので、各機械要素から落下した潤滑剤は、潤滑剤受けによって受けられる。したがって、ベースフレームを汚すことがなくなり、定期的にベースフレーム等から潤滑剤を抜き取る必要がなくなる。また、機構部に前記カバーが取り付けられたまま潤滑剤受けが抜き差しされる。その結果、射出成形機の保守・管理を容易に行うことができる。
【0035】
本発明の他の射出成形機においては、ベースフレームと、該ベースフレームに配設されたスライドベースと、駆動部と、前記スライドベース上に摺動自在に配設され、前記駆動部を揺動自在に支持するための旋回プレートと、機械要素を備え、前記駆動部を駆動することによって作動させられる機構部と、該機構部の下方に、かつ、ベースフレームの上方に、抜差し自在に配設された潤滑剤受けとを有する。
そして、該潤滑剤受けは前記旋回プレートによって支持される。
【0036】
この場合、機構部の下方に、かつ、ベースフレームの上方に抜差し自在に潤滑剤受けが配設されるので、各機械要素から落下した潤滑剤は、潤滑剤受けによって受けられる。
したがって、ベースフレームを汚すことがなくなり、定期的にベースフレーム等から潤滑剤を抜き取る必要がなくなる。その結果、射出成形機の保守・管理を容易に行うことができる。
そして、潤滑剤受けは旋回プレートによって支持されるので、前記射出装置の本体を回動させて、射出部材をシリンダ部材から取り出したり、シリンダ部材に装着したりして作業を行っている間も、確実に潤滑剤を潤滑剤受けによって受けることができる。
【0037】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記潤滑剤受け内に潤滑剤を吸着し、保持する保持シートが配設される。
【0038】
この場合、前記潤滑剤受け内に潤滑剤を吸着し、保持する保持シートが配設されるので、潤滑剤受けを引き出し、前記保持シートを除去することによって、保持シートにより保持されたまま潤滑剤を廃棄することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における射出装置の概念を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態における射出装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における射出装置の本体を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における射出装置の概念を示す断面図である。
【符号の説明】
13 ベースフレーム
17 スライドベース
18、19 旋回プレート
23、24 モータ
51 カバー
71 下カバー
Claims (4)
- (a)ベースフレームと、
(b)駆動部と、
(c)機械要素を備え、前記駆動部を駆動することによって作動させられる機構部と、
(d)該機構部を包囲するカバーと、
(e)前記機構部の下方に、かつ、前記ベースフレームに対して前記機構部とともに進退するスライドベースの上方に、抜差し自在に配設された潤滑剤受けとを有するとともに、
(f)該潤滑剤受けは、前記機構部の下方に形成され、下カバーとしての機能を有し、機構部に前記カバーが取り付けられたまま抜き差しされることを特徴とする射出成形機。 - (a)ベースフレームと、
(b)該ベースフレームに配設されたスライドベースと、
(c)駆動部と、
(d)前記スライドベース上に摺動自在に配設され、前記駆動部を揺動自在に支持するための旋回プレートと、
(e)機械要素を備え、前記機構部を駆動することによって作動させられる機構部と、
(f)該機構部の下方に、かつ、ベースフレームの上方に、抜差し自在に配設された潤滑剤受けとを有するとともに、
(g)該潤滑剤受けは前記旋回プレートによって支持されることを特徴とする射出成形機。 - 前記潤滑剤受け内に潤滑剤を吸着し、保持する保持シートが配設される請求項1又は2に記載の射出成形機。
- (a)前記機械要素はボールねじであり、
(b)前記機構部は射出装置に配設される請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の射出成形機。
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