JP3682272B2 - ランドセルの前ポケット取付方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ランドセルの前ポケット取付方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ランドセルには、その主収納部の最前部に、口元部を一直線状に開閉するスライドファスナーを有したポケットが設けられるのが通常で、このポケットを前ポケットと称している。しかし、この前ポケットは、図4に示すように、ポケット生地20aの口元側を(スライド)ファスナー片23,24に必要な幅(L1)分、外方に膨出させ、このポケット生地20aの膨出上辺と前板15との間に、ファスナー片23,24を取り付けてある。
【0003】
しかし、上記のような従来の前ポケットは、ポケット生地20aを膨出加工する必要性があり、このように生地を立体的に加工するのは作業性が悪く、さらに立体物を縫合するには、それなりの熟練を要する作業であるという問題点を有している。
【0004】
なお、この前ポケットの縫合に際しては、先ず、一方のファスナー片24をそのテープ部24aをポケット生地20aの上辺に沿わせて縫着し、この一方のファスナー片24に他方のファスナー片23を噛合した状態で、該他方のファスナー片23のテープ部23aを前板15に縫着するという、縫合作業に支障となる大きな付属品を共に保持し細かな部位を縫合するという作業を強いられているという問題点を有している。そして、このようして取り付けた前ポケットは、その開口部が前記したポケット生地20aを膨出幅L1と、該ポケット生地20aの撓む分とでしかないので、前ポケットの開口が小さく品物を出し入れするのが困難で、この種、前ポケットはあまり利用されないでいるという問題点を有している。
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、製造が容易で、開口部が従来に比較して大きく開くことのできるランドセルの前ポケット取付方法を提供することを課題としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成するため、第一工程として、ランドセルの前板15の外面に、一方のファスナー片23のテープ部23aを、略逆U字状に縫着し、第二工程として、上辺と両側辺とが上記ファスナー片23の略逆U字状に適合する長方形状のポケット上部生地21に、その上辺と両側辺に渡って、上記一方のファスナー片23に着脱可能に噛合する他方のファスナー片24を、その両端が該ポケット上部生地21の下辺よりさらに下方に突出するようになして取り付け、第三工程として、上記一方のファスナー片23の下部を覆うポケット下部生地22の上端部内面側に、該ポケット上部生地21の下部が一部重なるようになすと共に、該ポケット下部生地22の左右両端がポケット上部生地21の左右側方に突出するようになして縫合し、第四工程として、上記ポケット下部生地22の両側辺部を前板15の側辺と前段マチ面部16,16との縫合部に、下辺部を前板15の下辺と前段底面部17との縫合部に、夫々共に縫合して取り付けるようになした技術的手段を講じたものである。
【0006】
それ故、本発明ランドセルの前ポケット取付方法は、第一工程は、ランドセルの前板15の外面に、他方のファスナー片24とは別体に取り外した、一方のファスナー片23のテープ部23aを、略逆U字状に縫着すればよく、縫着作業に他の支障物が無く、通常の縫着作業で該一方のファスナー片23のテープ部23aを平板状のランドセルの前板15の外面に付着できる作用を呈する。
【0007】
次に、第二工程は、上辺と両側辺とが上記ファスナー片23の略逆U字状に適合する長方形状のポケット上部生地21に、その上辺と両側辺に渡って、上記一方のファスナー片23に着脱可能に噛合する他方のファスナー片24を、その両端が該ポケット上部生地21の下辺よりさらに下方に突出するようになして取り付けるもので、この縫合も、平面のポケット上部生地21に一方のファスナー片23とは別個に外した、他方のファスナー片24を取り付けるので、容易に両者を縫合できる作用を呈する。
【0008】
次に、第三工程は、上記一方のファスナー片23の下部を覆うポケット下部生地22の上端部内面側に、該ポケット上部生地21の下部が一部重なるようになすと共に、該ポケット下部生地22の左右両端がポケット上部生地21の左右側方に突出するようになして縫合するもので、この縫合部も平面どうしの接合部の縫合であるので、何ら困難性無く縫合できる作用を呈する。
【0009】
そして、第四工程は、上記ポケット下部生地22の両側辺部を前板15の側辺と前段マチ面部16,16との縫合部に、下辺部を前板15の下辺と前段底面部17との縫合部に、夫々共に縫合して取り付けるようになしたので、この部位の縫合も従来と同じ作業でできる作用を呈し、この縫合作業に先立って、一方のファスナー片23と他方のファスナー片24とを噛合一体化しておけばよく、この噛合に際しては、ポケット上部生地21がポケット下部生地22との縫合部で折り曲げ可能となることと、他方のファスナー片24は、その両端がポケット上部生地21の下辺よりさらに下方に突出して、自由端となしてあるので融通がきくことから、両ファスナー片23,24に両者の噛合を着脱するスライダーを容易に装着できる作用を呈するものである。
【0010】
【実施例】
次に、本発明の実施例を、添付図面を参照して詳細に説明する。図中、10が従来公知なランドセルである。このランドセル10は、背板11に両側面12a12bと底面13と仕切板14とを連結して主収容部10aを形成し、この主収容部10aの前面側には、前板15と前段マチ面部16,16と、前段底面部17とで構成する前段と称する副収納部10bが連設されてなる。
【0011】
そして、上記背板11の上部中央には、一対の背負帯18,18の上端側が連結され、この背負帯18,18の下端は、ランドセルの底面13に固定・連結してある。さらに、該背板11の上端には被せ蓋19の基端部が連結され、この被せ蓋19の図1では切欠して省略した自由端側は、主収容部10aと副収納部10bとの上方を通って、前板15の前方に被さり、その先端をランドセル本体の底面13に着脱可能に係止できるようになしてあるのは従来と同じである。
【0012】
そして、上記前板15の外面側には、前ポケット20が設けられるのが通常で、本発明では、この前ポケット20を取り付けるのに、第一工程として、ランドセルの前板15の外面に、一方のファスナー片23のテープ部23aを、略逆U字状に縫着する。この前板15は、縫合前のものが使用され、ランドセルとして所定部位に縫合される前に、まず、図2に示すように、前板15の外面側(図2手前面側)に、一方のファスナー片23のテープ部23aを縫い糸31で縫合する。なお、上記ファスナー片23は、テープ部23aを前板15に密接させ、務歯(ファスナーの噛合する歯)列部23bが該前板15より直角状に立ち上がるようになし、さらには、該テープ部23aは適所に襞を入れて略逆U字状に折り曲げて縫合するのは従来と同じである。
【0013】
従って、上記第一工程では、平面板状の前板15に、ファスナー片23のテープ部23aを縫着するものであるため、特にその作業に困難性はないものである。
【0014】
次に、本発明は、第二工程として、上辺と両側辺とが上記ファスナー片23の略逆U字状に適合する長方形状のポケット上部生地21に、その上辺と両側辺に渡って、上記一方のファスナー片23に着脱可能に噛合する他方のファスナー片24を、その両端が該ポケット上部生地21の下辺よりさらに下方に突出するようになして取り付ける。すなわち、本工程では、図3の上半部を製造するもので、先ず、上辺と両側辺とがファスナー片23の略逆U字状に適合する略逆U字状となした長方形状のポケット上部生地21を用意する。そして、このポケット上部生地21に、その上辺と両側辺に渡って、上記一方のファスナー片23に着脱可能に噛合する他方のファスナー片24を縫合するもので、この他方のファスナー片24はポケット上部生地21の裏面に、そのテープ部24aを密着させて縫い糸32で縫合する。そして、このファスナー片24の務歯列部24bは該ポケット上部生地21の上辺と両側辺とに沿って直角内側に折れ曲がって(図3手前側に折れ曲がって)立ち上がるようにしてある。
【0015】
なお、上記ファスナー片24は、その両端がポケット上部生地21の下辺よりさらに下方に突出するようになして有り、この突出部位は他のものに縫合することなく自由端となるようになしてある。
【0016】
上記ファスナー片24の縫合は、そのテープ部24aをポケット上部生地21の縁に沿わせて密着させ、該ポケット上部生地21の湾曲部ではその湾曲に沿わせて襞を入れて湾曲しつつ、務歯列部24が略直角状に立ち上がるようにする必要性があるが、テープ部24aは織り生地材でできているので屈曲自在で多少の伸縮性もあるので、縫合面が平面である限り、さほど困難な縫合作業ではない。
【0017】
そして、第三工程として、上記一方のファスナー片23の下部を覆うポケット下部生地22の上端部内面側に、該ポケット上部生地21の下部が一部重なるようになすと共に、該ポケット下部生地22の左右両端がポケット上部生地21の左右側方に突出するようになして縫合する。すなわち、本工程で、図3に示すポケット生地20aを製造するもので、先ず、一方のファスナー片23の下部を覆うと共に、前板15の下部より一回り大きく構成したポケット下部生地22を用意する。そして、このポケット下部生地22の上辺部に、前記ポケット上部生地21の下部を一部重ねて、両者の重合部を縫い糸33で縫合することで、図3に図示するものが製造できるものである。
【0018】
そして、本発明は、第四工程として、上記ポケット下部生地22の両側辺部を前板15の側辺と前段マチ面部16,16との縫合部に、下辺部を前板15の下辺と前段底面部17との縫合部に、夫々共に縫合して取り付ける。すなわち、該ポケット下部生地22はその両側辺と下辺とが前板15に縫合されて固定され、前記したポケット上部生地21は、その下辺をポケット下部生地22に縫合し、上辺と両側辺とはファスナー片23,24で着脱可能に前板15に連結されることになる。
【0019】
なお、上記ポケット下部生地22の縫着に先立って、図では省略した、ファスナーの噛合を着脱するスライダーを嵌め込んでおくことが必要である。このスライダーは1個また2個が使用され、ファスナー片23,24の端部を該スライダーの所定場所に差し込み、該スライダーを務歯列部23b,24bに沿わせて摺動させることで、両ファスナー片23,24の噛合を着脱するのは従来と同じであるが、本発明では、前記したように、ファスナー片24の両端がポケット上部生地21の下辺よりさらに下方に突出した自由端となしてあるので、狭い場所でもこのスライダーの取付が容易に行えるものである。
【0020】
【発明の効果】
本発明は上記のように、縫合作業のみで前ポケットを取り付けることができ、従来のようにポケット生地を一部膨出させる等の立体加工が必要でないので、作業性のよいランドセルの前ポケット取付方法を提供できるものである。
【0021】
そして、本発明は、最終の第四工程を除いては、平面材同士の縫合で済むので容易に製造できるランドセルの前ポケット取付方法を提供できるものであるばかりか、取り付けた前ポケットは、上辺のみならず、その両側辺部のファスナーで開閉可能となしたので、開口部を大きく開閉でき収納物の出し入れが容易な前ポケットが得られるものである。さらに、本発明はポケット生地を、ポケット上部生地21とポケット下部生地22とを縫合して構成したので、両者の縫合部でポケット上部生地21を折り曲げることができ、その開口部を大きくすることができる前ポケットが得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ランドセルの前ポケット取付方法によって製造した、ランドセルの一実施例一部切欠斜視図である。
【図2】本発明第一工程で製造される、前板の平面図である。
【図3】本発明第3工程で製造されるポケット生地の背面図である。
【図4】従来例ランドセルの一実施例一部切欠斜視図である。
【符号の説明】
15 前板
16 前段マチ面部
17 前段底面部
21 ポケット上部生地
22 ポケット下部生地
23 ファスナー片
23a テープ部
24 ファスナー片
24a テープ部
Claims (1)
- 第一工程として、ランドセルの前板(15)の外面に、一方のファスナー片(23)のテープ部(23a)を、略逆U字状に縫着し、
第二工程として、上辺と両側辺とが上記ファスナー片(23)の略逆U字状に適合する長方形状のポケット上部生地(21)に、その上辺と両側辺に渡って、上記一方のファスナー片(23)に着脱可能に噛合する他方のファスナー片(24)を、その両端が該ポケット上部生地(21)の下辺よりさらに下方に突出するようになして取り付け、
第三工程として、上記一方のファスナー片(23)の下部を覆うポケット下部生地(22)の上端部内面側に、該ポケット上部生地(21)の下部が一部重なるようになすと共に、該ポケット下部生地(22)の左右両端がポケット上部生地(21)の左右側方に突出するようになして縫合し、
第四工程として、上記ポケット下部生地(22)の両側辺部を前板(15)の側辺と前段マチ面部(16,16)との縫合部に、下辺部を前板(15)の下辺と前段底面部(17)との縫合部に、夫々共に縫合して取り付けるようになしたランドセルの前ポケット取付方法。
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