JP3681807B2 - クロック分配方式 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はクロック分配方式に関する。
電話交換機では,通話路や,回線用のクロック信号としてディジタルクロック供給装置へ基本クロックを供給している。その基本クロックは障害に備えて二重化されており,分配回路において一方の系を選択して配下の各装置へ供給している。その選択した系のクロックに障害が発生すると他方の系に一斉に切替えられるが,切替え時にクロックを受け取るシステムに影響を与えるためその改善が望まれている。
【0002】
【従来の技術】
図9は従来の電話交換システムの構成例である。
電話交換システムにおいて,二重化された処理装置90は処理装置インタフェース91を介して信号が入力されると共に多数の装置を制御する。通話路スイッチ92は,集線スイッチ920と分配スイッチ921とで構成され,集線スイッチ920で信号装置93や図示されない多数の加入者線を集線し,分配スイッチ921でスイッチングが行われ,ハイウェイインタフェース94やサービストランク95等との接続や,加入者線相互の接続が行われる。信号装置93は加入者線との間で各種の信号の処理を行う。処理装置90は処理装置インタフェース91を介して集線スイッチ920を制御し,通話路制御装置96を制御して,通話路制御装置96により分配スイッチ921は制御される。回線インタフェース98はフレームリレーやパケットの回線と接続され,処理装置とのインタフェースをとる。
【0003】
ディジタルクロック供給装置(DCSで表示)97は,交換システムの通話路(図9の通話路スイッチ92)や,回線装置(図9には図示省略されている多重回線)の各装置に対しクロック信号として64KHz+8KHz−0,4KHzのAMI符号を発生する。その場合,8KHzや4KHzの信号は,64KHzのAMI符号のバイオレーションを用いて送信され,受信側でAMI符号を受信して各信号成分を抽出することができる。
【0004】
クロック信号は通話路や回線装置等で受信され,クロック分配部において配下の各装置へ基準クロック信号を分配する。交換システムでは信頼性を高く維持するため,DCS97や,基準クロック信号を分配するクロック分配部はそれぞれ二重化されている。
【0005】
図10は従来の二重化されたDCSとクロック分配部の説明図である。
DCSは,N(Normal) 系のDCS97aとE(Emergency)系のDCS97bの2つが設けられ,各DCSから発生するクロック信号は,それぞれ通話路または回線制御部に設けられた二重化された0系のクロック分配部100aと1系の100bの両方へ出力される。クロック分配部100a,100bのインタフェース部101a,101bはそれぞれ受信したAMI符号の信号を受信して各クロック周波数のクロック信号を抽出して,自系及び他系の選択部102a,102bへ出力する。
【0006】
2つの選択部102a,102bは何れも通常はN系のDCS97aから送信されたクロック信号を選択し,クロック部103a,103bから0系,1系の2つの基準クロックが発生する。0系の基準クロックはそれぞれ二重化された0系の装置(通話路部や制御部)へ供給され,1系の基準クロックも対応する1系の装置へ供給される。
【0007】
このように,通常は0系,1系のクロック分配部100a,100bから発生する各基準クロックは,何れも同一系(N系)のDCS97aからのクロックを用いてクロックを発生して分配することを基本とし,N系に障害が発生した場合,選択部102a,102bの制御信号が切替えられ,E系のDCS97bのクロックが選択されて,各クロック分配部100a,100bは何れもE系のクロックに基づいて動作する。この方式を片系現用方式という。なお,このような切替はN系のクロック分配部に電源断が発生した時にも起きる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記した,従来の方式ではN系の障害発生時または電源断実施時に0系及び1系のクロック分配部の双方でDCSの切替えが発生する。この場合,0系,1系のクロック分配部のクロックにより動作する各装置は,何れもそれまでのN系のDCSからのクロックから,E系のDCSからのクロックを受信するように切替えられる。この場合,クロックの切替えによりクロック位相がロックするまでの間,両系が障害検出状態となりシステムの各部がその影響を受けてしまうという問題があった。
【0009】
上記の問題を軽減する手段として,
▲1▼N系とE系のDCSを,他系を経由せず直接両系に引き込む。
▲2▼クロック分配の機能ブロックが他の機能ブロックと電源を共有している場合,クロック分配として独立した電源を設ける。
等の案が考えられるが,▲1▼の方式では,両系分のDCS接続ルートを追加し,DCSからの信号のAMI符号の受信,クロック抽出回路が必要となり,ハード量の増加を招くという問題がある。また,上記▲2▼の方式では他ブロックの障害等により電源断を実施する場合の影響は受けなくなるが,クロック分配部の電源断により同様に両方の系で切替えが発生し,上記と同様の問題が発生する。
【0010】
本発明は二重化されたディジタルクロック供給装置(DCS)からの出力を選択してクロックを分配する場合に,ディジタルクロック供給装置の障害または電源断によるクロック供給の停止による影響を最小限に抑えることができるクロック分配方式を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理構成図である。
図1において,1a,1bはN系及びE系のディジタルクロック供給装置(DCS),2a,2bは0系,1系のクロック分配部,3a,3bはそれぞれ対応するN系,E系のDCS1a,1bのクロック信号を受信して各周波数のクロックを抽出して出力すると共に,入力及び出力の信号を監視して入力異常,出力異常を検出するクロックインタフェース部,4a,4bは選択部,5a,5bは選択部4a,4bから入力するクロックから自系装置に必要なクロックを作成して対応する系の各装置へ出力すると共に出力を監視して異常を検出するクロック部,6a,6bは自系及び他系のクロックインタフェース部3a,3b及びクロック部5a,5bの監視結果を受け取って自系の選択部4a,4bの制御を行うと共に上位装置からの指令により選択部4a,4bの制御を行うクロック制御部である。
【0012】
本発明はディジタルクロック供給装置(DCS)の選択論理を基本的に同系選択(N系は0系,E系を1系)とし,ディジタルクロック供給装置からのクロック供給ルートを分散化し,問題発生時の影響を少なくするものである。また,ディジタルクロック供給装置(DCS)の系選択論理の切替えを可能とし,障害発生時の各系の障害情報を系選択論理に関係なく同じフォーマットで読み取れるようにするものである。
【0013】
【作用】
図1において,0系と1系のクロック分配部2a,2bのクロックインタフェース部3a,3bはそれぞれ対応するN系のDCS1a,E系のDCS1bからのAMI符号化されたクロック信号を受信すると,それぞれクロック信号を抽出し,それぞれ自系(実線で示す)と他系(点線で示す)の選択部4a,4bへ出力する。制御部6a,6bは初期状態で選択部4a,4bに対し,それぞれ自系のクロックインタフェース部3a,3bの出力を選択するよう設定され,選択部4aはN系のクロック信号を選択し,選択部4bはE系のクロック信号を選択し,両系現用方式の状態となる。この結果,実線で示すようにそれぞれ自系のクロック信号がクロック部5a,5bへ入力してそれぞれ自系の装置が必要とするクロック信号が発生する。
【0014】
0系と1系の各制御部6a,6bは,それぞれ自系及び他系のクロックインタフェース部3a,3b及びクロック部5a,5bにおける入力と出力の監視結果を受け取り,障害を判別して障害を検出すると,クロックルートを変更する選択信号を発生する。また,各制御部6a,6bは選択状態を上位装置へ通知すると共に上位装置からの指示により選択部4a,4bの制御を行う。
【0015】
制御部6aまたは6bの一方が,監視結果により障害発生を検出して自系の選択部4aまたは4bを制御して,正常なDCSのクロック信号を選択するよう切替えられると,切替えによりクロック信号が変化するのは,0系と1系のクロック分配部2a,2bの一方であり,その切替えによる影響を受けるのは一方の系の装置だけであり,従来のように両系の装置に影響を与えることがない。
【0016】
【発明の実施の形態】
図2は本発明が実施されるシステムの構成例である。
図2において,20は処理装置を表し,0系(#0)と1系(#1)に対応して設けられ,各処理装置20内には中央処理装置21,メモリ22,0系と1系のメモリ22を他系のメモリ22と交差接続する制御を行うメモリ交差制御部23が接続されている。各中央処理装置21は,バスを介してバス競合回路/バス交差制御部24,コンソール制御/緊急制御部25,ディスク制御部26,回線制御部27,モジュール間インタフェース制御部28,プロセッサインタフェース29と接続される。
【0017】
またプロセッサインタフェース29に本発明によるクロック分配部30が接続される。なお,クロック分配部は電話交換システム(図9参照)の各装置に設けられ,システムに共通のディジタルクロック供給装置(DCS)からそれぞれクロック信号を受信して内部の基本クロックを発生している。
【0018】
また,0系の処理装置20の場合にはプロセッサインタフェース29に保守用コンソール(WS)と接続し,遠隔監視制御及び情報転送を行う保守インタフェース31が接続されている。
【0019】
なお,回線制御部27は共通線信号装置(CS),フレームリレー装置により,他システムとの通信を行う回線の制御部である。
図3は二重化されたDCSとクロック分配部の構成図である。
【0020】
図3において,10a,10b・・・14a,14bは上記図1の1a,1b・・・5a,5bに対応し,10a,10bはそれぞれN系,E系のディジタルクロック供給装置(DCS),11a,11bはそれぞれ0系と1系のクロック分配部であり,上記図2のクロック分配部30に対応する。12a,12bは上記図1のクロックインタフェース部3a,3bに対応し,それぞれ0系と1系の対応するN系,E系のDCSからのAMI符号化されたクロック信号を受信して,各周波数のクロック信号を抽出すると共に入力信号と出力信号を監視して異常を検出するDCSインタフェース部(DCSIF),13a,13bはそれぞれ0系と1系のセレクタ(SEL),14a,14bはセレクタから出力されたクロック信号に基づいてそれぞれ0系,1系の装置で必要な8KHz,64KHz,1.5MHz,32MHz等のクロック信号を発生すると共に入力信号と出力信号を監視して異常を検出するクロック部である。
【0021】
また,15a,15bはそれぞれ対応するDCSインタフェース12a,12b及びクロック部14a,14bのそれぞれの入・出力の監視結果が入力され,セレクタ13a,13bの制御信号を発生するクロック制御部,16a,16bは上位のプロセッサから発生したオーダ(指令)を判定してクロック制御部15a,15bに出力すると共に,クロック制御部15a,15bから発生する監視結果をプロセッサ側へ中継するオーダ判定部,17a,17bはプロセッサからのオーダを受信すると共にプロセッサへクロック制御部からの監視結果を中継するオーダ受信部である。
【0022】
クロック制御部15a,15bは上記図1について説明した原理により,初期状態では,それぞれ自系のDCS10a,10bからのクロック信号に基づくDCSIF12a,12bの出力を選択するようSEL13a,13bを制御し,両系現用方式で動作を行う。クロック制御部15a,15bは,それぞれ自系及び他系のDCSIF12a,12bの入・出力信号の監視結果,及びクロック部14a,14bの入・出力信号の監視結果をクロス接続により相手側に通知し,,自系と他系の各監視結果(異常検出信号)の内容に基づいて障害の状態を判別し,障害を検出すると,異常を発生したDCSの系統のクロック信号を排除し,正常な系を選択する選択信号を発生し,SEL13aまたは13bの一方を切替える。これにより,正常な一方の系のDCS10aまたは10bの信号を両系で選択する。この切替え後の状態は片系現用方式となる。
【0023】
図4は,上記図3のクロック分配部の中のクロック供給ルート(DCSIF12a,12b,SEL13a,13b及びクロック部14a,14b)の構成を示す。図4において,各符号12〜14は上記図3の中の12a〜14bの同じ数字で表した各部を表す。
【0024】
図4において,DCSインタフェース部(DCSIF)12は,対応する系のDCS10からのAMI符号化されたクロック信号がAMI受信部120で受信されると,クロック抽出/障害監視部121においてAMI符号を解読して各周波数成分のクロックを抽出すると共に入力信号及び出力信号に異常があるかを監視する。抽出されたクロック信号は一方で他系のクロック分配部へ出力され,他方は自系のセレクタ(SEL)13へ入力する。セレクタ13は自系のクロック信号と共に他系のクロック分配部で抽出されたクロック信号が入力され,クロック選択信号により選択制御される。選択されたクロック信号は自系の各装置(自系の回線制御部等の内部の各装置)で必要とする各周波数のクロックを分周,逓倍により作成して,それらの装置へ出力する。
【0025】
図5はクロック制御部における障害情報表示の回路である。この回路は上記図3の各クロック分配部11a,11bのクロック制御部15a,15bに設けられている。
【0026】
図5の150〜155は2入力1出力のセレクタであり,セレクタ150,151にはセルフ系(自系)DCSIFの入力異常とメート系DCSIF入力異常を表す各信号が上記図3のDCSIF12a,12bにおける監視結果として入力され,セレクタ152,153にはセルフ系DCSIFの出力異常とメート系DCSIF出力異常の各信号が上記図3のDCSIF12a,12bから入力される。セレクタ154,155にはセルフ系クロック部異常(クロックを作成するフエーズロックループ回路(PLO)の異常)とメイト系クロック部異常(同じくPLOの異常)が図3のクロック部14a,14bにおける監視結果として入力される。
【0027】
156は排他的オア(EOR)であり,各セレクタ150〜155はEOR156の出力により制御され,EOR156の出力の“0”,“1”に応じて各セレクタ150〜155は0側の入力または1側の入力を選択して,それぞれ障害通知0〜障害通知5を発生する。
【0028】
この図5の回路は,クロック分配部が両方のDCSを現用(両系現用)とする場合と,片系のDCSを予備(片系予備と同じ)とする場合の両方に使用することができ,各場合における障害情報選択条件及び通知内容を図6及び図7に示す。
【0029】
図6は両系現用の場合の障害情報選択条件及び通知内容の説明図であり,図7は片系現用の場合の障害情報選択条件及び通知内容の説明図である。
図6,図7のクロック選択信号は,図5のEOR156の一方の入力信号であり,両系現用の場合は,図6に示すようにそのクロック制御部が設けられたクロック分配部が0系,1系の何れの場合にも“0”に設定され,片系現用の場合はクロック分配部の系に応じて“0”または“1”が設定される。次の系番号は,両系現用と片系現用の何れの場合にもクロック分配部の系に応じて“0”または“1”が設定される。
【0030】
このように設定されると両系現用の場合は,図6に示すようにEOR156の出力が,0系の場合は“0”,1系の場合は“1”となる。この結果,図5に示すセルフ系(自系)DCSIF入力異常とメート系(他系)DCSIF入力異常の入力に対して,自系が0系である場合は図5のセレクタ150〜155は入力0側の障害情報が選択され,図6に示す障害内容が出力される。自系が1系である場合は図5のセレクタ151〜155は入力1側の障害情報が選択され,図6に示す障害内容が出力される(0系,1系共に同一ビット位置に同一内容が表示される)。
【0031】
片系現用の場合は図7に示され,EOR156の2つの入力は,0系の場合両方とも“0”,1系の場合両方とも“1”であるため,EOR156の出力が,0系,1系の何れの場合にも“0”となる。この結果,自系が0系,1系に関係なく,図5の各セレクタ150〜155は入力0を選択し,図7の障害内容として示す障害通知0〜5が発生する。なお,図7の障害情報の欄の表示は,例えば,「DCSIF0入力異常」は0系DCSIFの入力異常,「DCSIF1出力異常」は1系DCSIFの出力異常をそれぞれ意味する。
【0032】
図5の回路により発生する各障害通知は,図3のそれぞれ自系の選択部13aまたは13bにおけるクロックルート選択信号を発生する回路(後述する図8に示す)に供給されると共に,図3に示すオーダ判定部16a,16b及びオーダ受信部17a,17bを介してプロセッサインタフェースへ送られ,そこからプロセッサ(図2の中央処理装置)へ通知される。
【0033】
アクト系のプロセッサは,対応する一方の系のクロック分配部からの障害通知0〜5を受け取ることにより,クロック分配部へのDCSの入力異常,DCSIFの出力異常,及びクロック部の出力異常について,自系だけでなく他系についても障害情報を得ることができる。プロセッサ(中央処理装置)は,この通知を受けることにより障害検出及び障害解析等の処理を速やかに実施できる。
【0034】
なお,従来は回線制御部への供給クロックが正常であるかどうかの監視をアクト系(現用系)だけしか行ってないため,他系(メイト系)のクロック部から同系の回線制御部へのクロック供給が異常となった場合,クロック部の障害検出としては通知されず,後で回線制御部から回線障害としてアクト系プロセッサに通知される。
【0035】
上記図5に示す障害表示の回路により,上記図6,図7に示すように両系現用または片系現用(従来の方式)の何れの場合にも,適切に対応する障害表示を行うことができる。すなわち,どちらのモード及びどちらの系(0系/1系)でも,障害内容及び表示ビットの位置を同一とする,同じフォーマットで上位のプロセッサへ障害表示を通知することができる。従って,この図5に示す回路は,システムが両系現用または片系現用の何れを採用するかに応じて柔軟にクロックの供給ルートを変更可能となる。
【0036】
図8はルート選択信号の発生回路を示し,上記図3の各クロック分配部のクロック制御部15a,15bに設けられ,初期設定状態において両系現用の状態または片系現用の状態に対応した選択信号を発生し,DCSIFからの入力異常の検出信号により選択信号が切替えられる。
【0037】
80は上位装置からの電源オン時に発生するパワーオン(PONで表示)リセット信号とルート設定の指令を表すルートセットオーダ信号が入力するオア回路,81は現用系(ACT系)またはセルフ系の入力異常の検出信号と切替え禁止フリップフロップ(INH−FFで表示)82の反転出力(QNで表示)とのアンド回路,82はクロックの切替えを1回に抑止するための切替禁止フリップフロップ(INF−FF)であり,既に自系または他系で障害が発生している場合,アクト系(またはセルフ系)が障害になっても切替わらないようにする機能を持つ。83は上位装置から選択ルートをリセット(初期状態)にする指令を表すルートリセットオーダ,84はクロック(CLK)選択信号であり,両系現用モードの場合はクロック制御部が0系,1系の何れの場合にも“0”を設定し,片系現用モードの場合はクロック制御部の0系,1系に対応して“0”,“1”が設定される。
【0038】
85はルート選択フリップフロップ(ROT−FFで表示)で,クロック端子(CP),セット端子(S),J,K端子及びリセット端子(R)の各入力端子と反転出力端子(QN)を備え,J,K端子に“1”が設定されているため,セット端子(S)への“1”入力でセットされ,リセット端子(R)への“1”入力でリセットされ,更にCP端子への“1”入力で反転する。86は排他的オア回路(EORで表示)である。
【0039】
図8の回路の動作を説明すると,電源投入時には,PONリセット信号の“1”の発生によりオア回路80を介してROT−FF85がセットされ,否定出力端子QNが“0”となる。この時,EORの他の入力であるCLK選択信号84は,両系現用の場合は“0”であるから,EOR86の出力として“0”が発生する。この出力はクロックルート選択信号であり,“0”の場合は自系選択を指示する。
【0040】
両系現用の場合,各系のクロック制御部で,自系選択を行っている状態で,現用(アクト系またはセルフ系)の入力異常を検出する信号が“1”になると,その時はINH−FF82はリセットしているためその否定出力QNは“1”であるため,アンド回路81を介して信号“1”がROT−FF85のクロック端子CPへ入力する。この入力でROT−FF85は状態を反転する。両系現用の場合,それまで否定出力QNは“0”であったのが“1”となり,クロックルート選択信号は他系を選択する指示を表す。なお,このアクト系(セルフ系)入力異常の検出信号は,INH−FF82のセット端子にも供給されてセット状態にし,その否定出力QNを“0”にする。これにより次のアクト(セルフ)系の入力異常の発生時には,アンド回路81により選択信号の切替を禁止する。これは,2回の切替えにより元の異常を発生したDCSに切替えられるのを防ぐためである。
【0041】
片系現用のモードの場合は,パワーオンリセット時にROT−FF85の否定出力QNが“0”で,CLK選択信号84には系番号に対応して“0”または“1”が設定されると,EOR86の出力は,それに対応して“0”または“1”が出力され,“0”の場合は自系を,“1”の場合は他系を選択する信号となる。この後,現用(アクト)系の入力異常の検出信号が発生すると,上記の両系現用の場合と同様にROT−FF85は状態を反転し,否定出力が“1”となり,EOR86の出力をそれまでと反対の状態にする。すなわち,0系の場合は,“0”から“1”となって,クロックルートとして他系を選択する指示を発生し,1系の場合は,“1”から“0”となってクロックルートとして他系から自系を選択する指示が発生する。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば二重化されたディジタルクロック供給装置(DCS)からクロックを受信し,通話路装置や回線制御部へ基本クロックを分配する場合に,両系のディジタルクロック供給装置を現用とすることで,ディジタルクロック供給装置の障害及びクロック分配部の電源断等によるシステムへの影響を軽減することができる。
【0043】
また,ディジタルクロック供給装置の選択モードを容易に変更可能とし,システムの方式変更や他のシステムへの適用等によるソフト側への影響を及ぼさないシステムを提供することができる。
また,一方の系のクロック分配部から他系のクロック部の障害情報を引き込むことができるため,クロック分配部から出力されるクロックにより動作する装置側での障害を事前にアクト系の処理装置で監視することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】本発明が実施されるシステムの構成例を示す図である。
【図3】二重化されたDCSとクロック分配部の構成図である。
【図4】クロック分配部の中のクロック供給ルートの構成図である。
【図5】クロック制御部における障害情報表示の回路構成を示す図である。
【図6】両系現用の場合の障害情報選択条件及び通知内容の説明図である。
【図7】片系現用の場合の障害情報選択条件及び通知内容の説明図である。
【図8】ルート選択信号の発生回路を示す図である。
【図9】従来の電話交換システムの構成例を示す図である。
【図10】従来の二重化されたDCSとクロック分配部の説明図である。
【符号の説明】
1a N系のディジタルクロック供給装置(DCS)
1b E系のディジタルクロック供給装置(DCS)
2a 0系のクロック分配部
2b 1系のクロック分配部
3a 0系のクロックインタフェース部
3b 1系のクロックインタフェース部
4a 0系の選択部
4b 1系の選択部
5a 0系のクロック部
5b 1系のクロック部
6a 0系のクロック制御部
6b 1系のクロック制御部
【発明の属する技術分野】
本発明はクロック分配方式に関する。
電話交換機では,通話路や,回線用のクロック信号としてディジタルクロック供給装置へ基本クロックを供給している。その基本クロックは障害に備えて二重化されており,分配回路において一方の系を選択して配下の各装置へ供給している。その選択した系のクロックに障害が発生すると他方の系に一斉に切替えられるが,切替え時にクロックを受け取るシステムに影響を与えるためその改善が望まれている。
【0002】
【従来の技術】
図9は従来の電話交換システムの構成例である。
電話交換システムにおいて,二重化された処理装置90は処理装置インタフェース91を介して信号が入力されると共に多数の装置を制御する。通話路スイッチ92は,集線スイッチ920と分配スイッチ921とで構成され,集線スイッチ920で信号装置93や図示されない多数の加入者線を集線し,分配スイッチ921でスイッチングが行われ,ハイウェイインタフェース94やサービストランク95等との接続や,加入者線相互の接続が行われる。信号装置93は加入者線との間で各種の信号の処理を行う。処理装置90は処理装置インタフェース91を介して集線スイッチ920を制御し,通話路制御装置96を制御して,通話路制御装置96により分配スイッチ921は制御される。回線インタフェース98はフレームリレーやパケットの回線と接続され,処理装置とのインタフェースをとる。
【0003】
ディジタルクロック供給装置(DCSで表示)97は,交換システムの通話路(図9の通話路スイッチ92)や,回線装置(図9には図示省略されている多重回線)の各装置に対しクロック信号として64KHz+8KHz−0,4KHzのAMI符号を発生する。その場合,8KHzや4KHzの信号は,64KHzのAMI符号のバイオレーションを用いて送信され,受信側でAMI符号を受信して各信号成分を抽出することができる。
【0004】
クロック信号は通話路や回線装置等で受信され,クロック分配部において配下の各装置へ基準クロック信号を分配する。交換システムでは信頼性を高く維持するため,DCS97や,基準クロック信号を分配するクロック分配部はそれぞれ二重化されている。
【0005】
図10は従来の二重化されたDCSとクロック分配部の説明図である。
DCSは,N(Normal) 系のDCS97aとE(Emergency)系のDCS97bの2つが設けられ,各DCSから発生するクロック信号は,それぞれ通話路または回線制御部に設けられた二重化された0系のクロック分配部100aと1系の100bの両方へ出力される。クロック分配部100a,100bのインタフェース部101a,101bはそれぞれ受信したAMI符号の信号を受信して各クロック周波数のクロック信号を抽出して,自系及び他系の選択部102a,102bへ出力する。
【0006】
2つの選択部102a,102bは何れも通常はN系のDCS97aから送信されたクロック信号を選択し,クロック部103a,103bから0系,1系の2つの基準クロックが発生する。0系の基準クロックはそれぞれ二重化された0系の装置(通話路部や制御部)へ供給され,1系の基準クロックも対応する1系の装置へ供給される。
【0007】
このように,通常は0系,1系のクロック分配部100a,100bから発生する各基準クロックは,何れも同一系(N系)のDCS97aからのクロックを用いてクロックを発生して分配することを基本とし,N系に障害が発生した場合,選択部102a,102bの制御信号が切替えられ,E系のDCS97bのクロックが選択されて,各クロック分配部100a,100bは何れもE系のクロックに基づいて動作する。この方式を片系現用方式という。なお,このような切替はN系のクロック分配部に電源断が発生した時にも起きる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記した,従来の方式ではN系の障害発生時または電源断実施時に0系及び1系のクロック分配部の双方でDCSの切替えが発生する。この場合,0系,1系のクロック分配部のクロックにより動作する各装置は,何れもそれまでのN系のDCSからのクロックから,E系のDCSからのクロックを受信するように切替えられる。この場合,クロックの切替えによりクロック位相がロックするまでの間,両系が障害検出状態となりシステムの各部がその影響を受けてしまうという問題があった。
【0009】
上記の問題を軽減する手段として,
▲1▼N系とE系のDCSを,他系を経由せず直接両系に引き込む。
▲2▼クロック分配の機能ブロックが他の機能ブロックと電源を共有している場合,クロック分配として独立した電源を設ける。
等の案が考えられるが,▲1▼の方式では,両系分のDCS接続ルートを追加し,DCSからの信号のAMI符号の受信,クロック抽出回路が必要となり,ハード量の増加を招くという問題がある。また,上記▲2▼の方式では他ブロックの障害等により電源断を実施する場合の影響は受けなくなるが,クロック分配部の電源断により同様に両方の系で切替えが発生し,上記と同様の問題が発生する。
【0010】
本発明は二重化されたディジタルクロック供給装置(DCS)からの出力を選択してクロックを分配する場合に,ディジタルクロック供給装置の障害または電源断によるクロック供給の停止による影響を最小限に抑えることができるクロック分配方式を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理構成図である。
図1において,1a,1bはN系及びE系のディジタルクロック供給装置(DCS),2a,2bは0系,1系のクロック分配部,3a,3bはそれぞれ対応するN系,E系のDCS1a,1bのクロック信号を受信して各周波数のクロックを抽出して出力すると共に,入力及び出力の信号を監視して入力異常,出力異常を検出するクロックインタフェース部,4a,4bは選択部,5a,5bは選択部4a,4bから入力するクロックから自系装置に必要なクロックを作成して対応する系の各装置へ出力すると共に出力を監視して異常を検出するクロック部,6a,6bは自系及び他系のクロックインタフェース部3a,3b及びクロック部5a,5bの監視結果を受け取って自系の選択部4a,4bの制御を行うと共に上位装置からの指令により選択部4a,4bの制御を行うクロック制御部である。
【0012】
本発明はディジタルクロック供給装置(DCS)の選択論理を基本的に同系選択(N系は0系,E系を1系)とし,ディジタルクロック供給装置からのクロック供給ルートを分散化し,問題発生時の影響を少なくするものである。また,ディジタルクロック供給装置(DCS)の系選択論理の切替えを可能とし,障害発生時の各系の障害情報を系選択論理に関係なく同じフォーマットで読み取れるようにするものである。
【0013】
【作用】
図1において,0系と1系のクロック分配部2a,2bのクロックインタフェース部3a,3bはそれぞれ対応するN系のDCS1a,E系のDCS1bからのAMI符号化されたクロック信号を受信すると,それぞれクロック信号を抽出し,それぞれ自系(実線で示す)と他系(点線で示す)の選択部4a,4bへ出力する。制御部6a,6bは初期状態で選択部4a,4bに対し,それぞれ自系のクロックインタフェース部3a,3bの出力を選択するよう設定され,選択部4aはN系のクロック信号を選択し,選択部4bはE系のクロック信号を選択し,両系現用方式の状態となる。この結果,実線で示すようにそれぞれ自系のクロック信号がクロック部5a,5bへ入力してそれぞれ自系の装置が必要とするクロック信号が発生する。
【0014】
0系と1系の各制御部6a,6bは,それぞれ自系及び他系のクロックインタフェース部3a,3b及びクロック部5a,5bにおける入力と出力の監視結果を受け取り,障害を判別して障害を検出すると,クロックルートを変更する選択信号を発生する。また,各制御部6a,6bは選択状態を上位装置へ通知すると共に上位装置からの指示により選択部4a,4bの制御を行う。
【0015】
制御部6aまたは6bの一方が,監視結果により障害発生を検出して自系の選択部4aまたは4bを制御して,正常なDCSのクロック信号を選択するよう切替えられると,切替えによりクロック信号が変化するのは,0系と1系のクロック分配部2a,2bの一方であり,その切替えによる影響を受けるのは一方の系の装置だけであり,従来のように両系の装置に影響を与えることがない。
【0016】
【発明の実施の形態】
図2は本発明が実施されるシステムの構成例である。
図2において,20は処理装置を表し,0系(#0)と1系(#1)に対応して設けられ,各処理装置20内には中央処理装置21,メモリ22,0系と1系のメモリ22を他系のメモリ22と交差接続する制御を行うメモリ交差制御部23が接続されている。各中央処理装置21は,バスを介してバス競合回路/バス交差制御部24,コンソール制御/緊急制御部25,ディスク制御部26,回線制御部27,モジュール間インタフェース制御部28,プロセッサインタフェース29と接続される。
【0017】
またプロセッサインタフェース29に本発明によるクロック分配部30が接続される。なお,クロック分配部は電話交換システム(図9参照)の各装置に設けられ,システムに共通のディジタルクロック供給装置(DCS)からそれぞれクロック信号を受信して内部の基本クロックを発生している。
【0018】
また,0系の処理装置20の場合にはプロセッサインタフェース29に保守用コンソール(WS)と接続し,遠隔監視制御及び情報転送を行う保守インタフェース31が接続されている。
【0019】
なお,回線制御部27は共通線信号装置(CS),フレームリレー装置により,他システムとの通信を行う回線の制御部である。
図3は二重化されたDCSとクロック分配部の構成図である。
【0020】
図3において,10a,10b・・・14a,14bは上記図1の1a,1b・・・5a,5bに対応し,10a,10bはそれぞれN系,E系のディジタルクロック供給装置(DCS),11a,11bはそれぞれ0系と1系のクロック分配部であり,上記図2のクロック分配部30に対応する。12a,12bは上記図1のクロックインタフェース部3a,3bに対応し,それぞれ0系と1系の対応するN系,E系のDCSからのAMI符号化されたクロック信号を受信して,各周波数のクロック信号を抽出すると共に入力信号と出力信号を監視して異常を検出するDCSインタフェース部(DCSIF),13a,13bはそれぞれ0系と1系のセレクタ(SEL),14a,14bはセレクタから出力されたクロック信号に基づいてそれぞれ0系,1系の装置で必要な8KHz,64KHz,1.5MHz,32MHz等のクロック信号を発生すると共に入力信号と出力信号を監視して異常を検出するクロック部である。
【0021】
また,15a,15bはそれぞれ対応するDCSインタフェース12a,12b及びクロック部14a,14bのそれぞれの入・出力の監視結果が入力され,セレクタ13a,13bの制御信号を発生するクロック制御部,16a,16bは上位のプロセッサから発生したオーダ(指令)を判定してクロック制御部15a,15bに出力すると共に,クロック制御部15a,15bから発生する監視結果をプロセッサ側へ中継するオーダ判定部,17a,17bはプロセッサからのオーダを受信すると共にプロセッサへクロック制御部からの監視結果を中継するオーダ受信部である。
【0022】
クロック制御部15a,15bは上記図1について説明した原理により,初期状態では,それぞれ自系のDCS10a,10bからのクロック信号に基づくDCSIF12a,12bの出力を選択するようSEL13a,13bを制御し,両系現用方式で動作を行う。クロック制御部15a,15bは,それぞれ自系及び他系のDCSIF12a,12bの入・出力信号の監視結果,及びクロック部14a,14bの入・出力信号の監視結果をクロス接続により相手側に通知し,,自系と他系の各監視結果(異常検出信号)の内容に基づいて障害の状態を判別し,障害を検出すると,異常を発生したDCSの系統のクロック信号を排除し,正常な系を選択する選択信号を発生し,SEL13aまたは13bの一方を切替える。これにより,正常な一方の系のDCS10aまたは10bの信号を両系で選択する。この切替え後の状態は片系現用方式となる。
【0023】
図4は,上記図3のクロック分配部の中のクロック供給ルート(DCSIF12a,12b,SEL13a,13b及びクロック部14a,14b)の構成を示す。図4において,各符号12〜14は上記図3の中の12a〜14bの同じ数字で表した各部を表す。
【0024】
図4において,DCSインタフェース部(DCSIF)12は,対応する系のDCS10からのAMI符号化されたクロック信号がAMI受信部120で受信されると,クロック抽出/障害監視部121においてAMI符号を解読して各周波数成分のクロックを抽出すると共に入力信号及び出力信号に異常があるかを監視する。抽出されたクロック信号は一方で他系のクロック分配部へ出力され,他方は自系のセレクタ(SEL)13へ入力する。セレクタ13は自系のクロック信号と共に他系のクロック分配部で抽出されたクロック信号が入力され,クロック選択信号により選択制御される。選択されたクロック信号は自系の各装置(自系の回線制御部等の内部の各装置)で必要とする各周波数のクロックを分周,逓倍により作成して,それらの装置へ出力する。
【0025】
図5はクロック制御部における障害情報表示の回路である。この回路は上記図3の各クロック分配部11a,11bのクロック制御部15a,15bに設けられている。
【0026】
図5の150〜155は2入力1出力のセレクタであり,セレクタ150,151にはセルフ系(自系)DCSIFの入力異常とメート系DCSIF入力異常を表す各信号が上記図3のDCSIF12a,12bにおける監視結果として入力され,セレクタ152,153にはセルフ系DCSIFの出力異常とメート系DCSIF出力異常の各信号が上記図3のDCSIF12a,12bから入力される。セレクタ154,155にはセルフ系クロック部異常(クロックを作成するフエーズロックループ回路(PLO)の異常)とメイト系クロック部異常(同じくPLOの異常)が図3のクロック部14a,14bにおける監視結果として入力される。
【0027】
156は排他的オア(EOR)であり,各セレクタ150〜155はEOR156の出力により制御され,EOR156の出力の“0”,“1”に応じて各セレクタ150〜155は0側の入力または1側の入力を選択して,それぞれ障害通知0〜障害通知5を発生する。
【0028】
この図5の回路は,クロック分配部が両方のDCSを現用(両系現用)とする場合と,片系のDCSを予備(片系予備と同じ)とする場合の両方に使用することができ,各場合における障害情報選択条件及び通知内容を図6及び図7に示す。
【0029】
図6は両系現用の場合の障害情報選択条件及び通知内容の説明図であり,図7は片系現用の場合の障害情報選択条件及び通知内容の説明図である。
図6,図7のクロック選択信号は,図5のEOR156の一方の入力信号であり,両系現用の場合は,図6に示すようにそのクロック制御部が設けられたクロック分配部が0系,1系の何れの場合にも“0”に設定され,片系現用の場合はクロック分配部の系に応じて“0”または“1”が設定される。次の系番号は,両系現用と片系現用の何れの場合にもクロック分配部の系に応じて“0”または“1”が設定される。
【0030】
このように設定されると両系現用の場合は,図6に示すようにEOR156の出力が,0系の場合は“0”,1系の場合は“1”となる。この結果,図5に示すセルフ系(自系)DCSIF入力異常とメート系(他系)DCSIF入力異常の入力に対して,自系が0系である場合は図5のセレクタ150〜155は入力0側の障害情報が選択され,図6に示す障害内容が出力される。自系が1系である場合は図5のセレクタ151〜155は入力1側の障害情報が選択され,図6に示す障害内容が出力される(0系,1系共に同一ビット位置に同一内容が表示される)。
【0031】
片系現用の場合は図7に示され,EOR156の2つの入力は,0系の場合両方とも“0”,1系の場合両方とも“1”であるため,EOR156の出力が,0系,1系の何れの場合にも“0”となる。この結果,自系が0系,1系に関係なく,図5の各セレクタ150〜155は入力0を選択し,図7の障害内容として示す障害通知0〜5が発生する。なお,図7の障害情報の欄の表示は,例えば,「DCSIF0入力異常」は0系DCSIFの入力異常,「DCSIF1出力異常」は1系DCSIFの出力異常をそれぞれ意味する。
【0032】
図5の回路により発生する各障害通知は,図3のそれぞれ自系の選択部13aまたは13bにおけるクロックルート選択信号を発生する回路(後述する図8に示す)に供給されると共に,図3に示すオーダ判定部16a,16b及びオーダ受信部17a,17bを介してプロセッサインタフェースへ送られ,そこからプロセッサ(図2の中央処理装置)へ通知される。
【0033】
アクト系のプロセッサは,対応する一方の系のクロック分配部からの障害通知0〜5を受け取ることにより,クロック分配部へのDCSの入力異常,DCSIFの出力異常,及びクロック部の出力異常について,自系だけでなく他系についても障害情報を得ることができる。プロセッサ(中央処理装置)は,この通知を受けることにより障害検出及び障害解析等の処理を速やかに実施できる。
【0034】
なお,従来は回線制御部への供給クロックが正常であるかどうかの監視をアクト系(現用系)だけしか行ってないため,他系(メイト系)のクロック部から同系の回線制御部へのクロック供給が異常となった場合,クロック部の障害検出としては通知されず,後で回線制御部から回線障害としてアクト系プロセッサに通知される。
【0035】
上記図5に示す障害表示の回路により,上記図6,図7に示すように両系現用または片系現用(従来の方式)の何れの場合にも,適切に対応する障害表示を行うことができる。すなわち,どちらのモード及びどちらの系(0系/1系)でも,障害内容及び表示ビットの位置を同一とする,同じフォーマットで上位のプロセッサへ障害表示を通知することができる。従って,この図5に示す回路は,システムが両系現用または片系現用の何れを採用するかに応じて柔軟にクロックの供給ルートを変更可能となる。
【0036】
図8はルート選択信号の発生回路を示し,上記図3の各クロック分配部のクロック制御部15a,15bに設けられ,初期設定状態において両系現用の状態または片系現用の状態に対応した選択信号を発生し,DCSIFからの入力異常の検出信号により選択信号が切替えられる。
【0037】
80は上位装置からの電源オン時に発生するパワーオン(PONで表示)リセット信号とルート設定の指令を表すルートセットオーダ信号が入力するオア回路,81は現用系(ACT系)またはセルフ系の入力異常の検出信号と切替え禁止フリップフロップ(INH−FFで表示)82の反転出力(QNで表示)とのアンド回路,82はクロックの切替えを1回に抑止するための切替禁止フリップフロップ(INF−FF)であり,既に自系または他系で障害が発生している場合,アクト系(またはセルフ系)が障害になっても切替わらないようにする機能を持つ。83は上位装置から選択ルートをリセット(初期状態)にする指令を表すルートリセットオーダ,84はクロック(CLK)選択信号であり,両系現用モードの場合はクロック制御部が0系,1系の何れの場合にも“0”を設定し,片系現用モードの場合はクロック制御部の0系,1系に対応して“0”,“1”が設定される。
【0038】
85はルート選択フリップフロップ(ROT−FFで表示)で,クロック端子(CP),セット端子(S),J,K端子及びリセット端子(R)の各入力端子と反転出力端子(QN)を備え,J,K端子に“1”が設定されているため,セット端子(S)への“1”入力でセットされ,リセット端子(R)への“1”入力でリセットされ,更にCP端子への“1”入力で反転する。86は排他的オア回路(EORで表示)である。
【0039】
図8の回路の動作を説明すると,電源投入時には,PONリセット信号の“1”の発生によりオア回路80を介してROT−FF85がセットされ,否定出力端子QNが“0”となる。この時,EORの他の入力であるCLK選択信号84は,両系現用の場合は“0”であるから,EOR86の出力として“0”が発生する。この出力はクロックルート選択信号であり,“0”の場合は自系選択を指示する。
【0040】
両系現用の場合,各系のクロック制御部で,自系選択を行っている状態で,現用(アクト系またはセルフ系)の入力異常を検出する信号が“1”になると,その時はINH−FF82はリセットしているためその否定出力QNは“1”であるため,アンド回路81を介して信号“1”がROT−FF85のクロック端子CPへ入力する。この入力でROT−FF85は状態を反転する。両系現用の場合,それまで否定出力QNは“0”であったのが“1”となり,クロックルート選択信号は他系を選択する指示を表す。なお,このアクト系(セルフ系)入力異常の検出信号は,INH−FF82のセット端子にも供給されてセット状態にし,その否定出力QNを“0”にする。これにより次のアクト(セルフ)系の入力異常の発生時には,アンド回路81により選択信号の切替を禁止する。これは,2回の切替えにより元の異常を発生したDCSに切替えられるのを防ぐためである。
【0041】
片系現用のモードの場合は,パワーオンリセット時にROT−FF85の否定出力QNが“0”で,CLK選択信号84には系番号に対応して“0”または“1”が設定されると,EOR86の出力は,それに対応して“0”または“1”が出力され,“0”の場合は自系を,“1”の場合は他系を選択する信号となる。この後,現用(アクト)系の入力異常の検出信号が発生すると,上記の両系現用の場合と同様にROT−FF85は状態を反転し,否定出力が“1”となり,EOR86の出力をそれまでと反対の状態にする。すなわち,0系の場合は,“0”から“1”となって,クロックルートとして他系を選択する指示を発生し,1系の場合は,“1”から“0”となってクロックルートとして他系から自系を選択する指示が発生する。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば二重化されたディジタルクロック供給装置(DCS)からクロックを受信し,通話路装置や回線制御部へ基本クロックを分配する場合に,両系のディジタルクロック供給装置を現用とすることで,ディジタルクロック供給装置の障害及びクロック分配部の電源断等によるシステムへの影響を軽減することができる。
【0043】
また,ディジタルクロック供給装置の選択モードを容易に変更可能とし,システムの方式変更や他のシステムへの適用等によるソフト側への影響を及ぼさないシステムを提供することができる。
また,一方の系のクロック分配部から他系のクロック部の障害情報を引き込むことができるため,クロック分配部から出力されるクロックにより動作する装置側での障害を事前にアクト系の処理装置で監視することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】本発明が実施されるシステムの構成例を示す図である。
【図3】二重化されたDCSとクロック分配部の構成図である。
【図4】クロック分配部の中のクロック供給ルートの構成図である。
【図5】クロック制御部における障害情報表示の回路構成を示す図である。
【図6】両系現用の場合の障害情報選択条件及び通知内容の説明図である。
【図7】片系現用の場合の障害情報選択条件及び通知内容の説明図である。
【図8】ルート選択信号の発生回路を示す図である。
【図9】従来の電話交換システムの構成例を示す図である。
【図10】従来の二重化されたDCSとクロック分配部の説明図である。
【符号の説明】
1a N系のディジタルクロック供給装置(DCS)
1b E系のディジタルクロック供給装置(DCS)
2a 0系のクロック分配部
2b 1系のクロック分配部
3a 0系のクロックインタフェース部
3b 1系のクロックインタフェース部
4a 0系の選択部
4b 1系の選択部
5a 0系のクロック部
5b 1系のクロック部
6a 0系のクロック制御部
6b 1系のクロック制御部
Claims (5)
- 電話交換機のクロック分配方式において,
二重化されたディジタルクロック供給装置からそれぞれ対応する一方のクロック信号を受け取る2系統のクロック分配部を備え,
前記各系統の各クロック分配部は,受信したクロック信号から複数の周波数のクロック信号を抽出して,自系と他系の選択部へ供給するクロックインタフェース部と,前記クロックインタフェース部からの2系統のクロック信号から一方を選択する選択部と,選択部から出力されたクロック信号から自系装置に必要なクロックを作成するクロック部と,前記選択部の切替制御を行う制御部とを備え,
前記各系の制御部は,通常状態において選択部に対しそれぞれ自クロック分配部に対応するディジタルクロック供給装置の系のクロック信号を選択し,選択した系のクロック信号に異常が検出されると,他系のクロック信号を選択するよう選択部を制御することを特徴とする電話交換機のクロック分配方式。 - 請求項1において,
前記2つの系の各クロック分配部のクロックインタフェース部は入力信号を監視して異常検出の信号を前記制御部へ供給し,
前記各制御部は,前記クロックインタフェース部からの入力異常の検出を受け取ると前記選択部に対し他系のクロックインタフェース部からの信号を選択する制御信号を発生する回路を備えることを特徴とする電話交換機のクロック分配方式。 - 請求項1において,
前記各クロックインタフェース部は入・出力信号を監視して異常を検出する手段を備え,
前記各クロック部の出力状態を監視して異常を検出する手段を備え,
前記各制御部は前記自系及び他系のクロックインタフェース部への入力異常,出力異常及びクロック部異常を表す信号を入力して,系の種別,障害位置に対応した障害通知を発生する回路を備え,
前記障害通知を交換機の処理装置へ通知することを特徴とする電話交換機のクロック分配方式。 - 請求項3において,
前記各制御部は自系のクロックインタフェース部の入力異常,出力異常及びクロック部異常を表す信号と共に他系の対応する各部からの各異常を表す信号を入力して,前記障害通知を発生する回路により異常通知を発生することを特徴とする電話交換機のクロック分配方式。 - 請求項3において,
前記各クロック分配部の各制御部は,初期設定時に選択部に対して自系に対応するディジタルクロック供給装置の系統のクロック信号を選択する両系現用モードで動作するか,片方の同じディジタルクロック供給装置の系統のクロック信号を選択する片系現用モードで動作するかを設定されると,対応する制御信号を発生して選択部を制御し,
前記障害通知を発生する回路は,前記両系現用モード及び片系現用モードの何れにおいても障害種別に応じて同じ内容の障害通知を発生することを特徴とする電話交換機のクロック分配方式。
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