JP3681438B2 - 昆虫類の包装方法及び昆虫類包装装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、釣餌として用いられるブドウ虫、玉虫、くり虫、ななお虫やハエ、てんとう虫等の生きた昆虫類を選別し、容器に投入して包装する昆虫類包装方法及びそれに用いる昆虫類包装装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
渓流釣り等に好んで用いられる釣餌としていわゆるブドウ虫があるが、このブドウ虫は入手可能な時期や供給量が限られているため、幻の餌と呼ばれ珍重されている。上記のニーズに応える形で、擬似ブドウ虫(例えば、ハチミツガの幼虫であり、以下、単にブドウ虫と呼ぶ)が養殖されて販売されている。
【0003】
このブドウ虫は、養殖であるため、1年中いつでも手に入れることができ、需要に応じた生産量の増大が容易であり、従来の天然のブドウ虫より安価に提供することができる。
【0004】
上記ブドウ虫の養殖の際に、ブドウ虫の個体差からサイズの大小が生じるが、、大きいブドウ虫は数が少なく、大きいものと小さいものとが同じ値段で販売されるのではユーザー間に不公平感を生じさせてしまう恐れがあるので、通常はその大きさごとに選別して包装し、販売している。
【0005】
そこで、従来は、以下のようにしてブドウ虫の選別を行っている。なお、以下では、選別段階として、例えば、大型品(300mg以上)、標準品(150mg以上300mg未満)、規格外品(150mg未満)に選別するものとして説明する。
この場合、300mgが標準規格上限値であり、150mgが標準規格下限値である。
【0006】
作業者は、まず数千匹の単位でブドウ虫が入れられたパレットから、適当に標準規格下限値に近いと思われるブドウ虫を一匹取り出して計量する。選びだしたブドウ虫の重さが、例えば、140mgや160mg辺りである場合には、さらに、ブドウ虫を取り出し、ほぼ150mg位のブドウ虫を選びだせるまで計量を続ける。そして、選びだしたブドウ虫に例えばマジックで印を付け、仮に基準ブドウ虫Aと呼ぶことにする。この基準ブドウ虫Aが標準規格下限品となる。
【0007】
続いて、このパレットより、標準規格上限値に近いと思われるブドウ虫を取り出す。この場合も、上記と同様に計量し、ほぼ300mg位のブドウ虫が選び出せたら、上記と同色のマジックで印を付け、これを仮に基準ブドウ虫Bと呼ぶことにする。この基準ブドウ虫Bが標準規格上限品となる。
【0008】
この場合、標準規格上限値は標準規格下限値の2倍の大きさであり、容易に識別可能であるため、同色のマジックで印を付けたが、選別段階を増やしたり、より狭い範囲での識別が要求される場合には、異なる色で着色する場合もある。
【0009】
上記のようにして選びだした基準ブドウ虫A、Bを基準とし、目視により選別しようとするブドウ虫と比較して1頭ごと選別を行う。この選別作業は伸び縮みするブドウ虫の状態を見ながら、同様に伸び縮みする基準ブドウ虫A、Bとの比較を行っており、選別の結果、基準ブドウ虫Bより大きいブドウ虫は大型品として、また、基準ブドウ虫Bよりも小さく基準ブドウ虫Aよりも大きいブドウ虫は標準品として選別して、容器内にそれぞれの所定頭数を入れて包装する。そして、基準ブドウ虫Aよりも小さいブドウ虫については、商品価値がなく通常は規格外品として廃棄している。
【0010】
また、ブドウ虫等の釣餌分野以外においても、昆虫類を使用する試験(例えば、化学薬品の生物検定試験や昆虫を生物農薬として活用したりまたその実施等)等の分野においても、供試する昆虫を大きさ等で選別し、所定頭数を包装することがあるが、やはり、上記と同様に熟練者による根気のいる作業に頼っているのが実情である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、大きいブドウ虫はそれ自体が付加価値であり、生育頭数の関係から1頭あたりの単価が高い値段で販売されることになるが、その場合、正確に選別されていないと、次のような問題が生じてしまう。
【0012】
例えば、標準品の包装容器内に大型品を混入させてしまうと、メーカーにとっては、大型品として販売可能なブドウ虫を標準品として安く販売してしまうのであるから損失になる一方、大型品の包装容器内に標準品を混入させてしまうと、ユーザー側は割高なものを買わされたと感じ、クレーム問題に発展したり、メーカーに対する信頼度を低下させてしまうことになる。
【0013】
従って、上記ブドウ虫が商品として販売されている以上、正確な選別がなされていることは、ユーザーに正しい選択を行わせ、また、商品に対する満足感を与える意味でも重要である。
【0014】
しかしながら、上記従来の選別方法には以下のような問題点がある。
【0015】
まず、ブドウ虫というのは生き物であるから、選別作業が長時間に渡ると、選別作業中に成長してサナギ化してしまったり、場合によっては死亡したりして、基準としての意味を成さなくなってしまう。
【0016】
従って、通常、各パレットごとに基準ブドウ虫A、Bを選びだし、基準となるブドウ虫を更新しながら選別作業を行う必要があるが、パレットごとに基準ブドウ虫を選び出す作業においては、熟練者とそうでないものとでは選び出すた1 の時間が異なり、作業能率に大きな影響を与える。
【0017】
また、基準ブドウ虫A、Bとしていつも正確に同じ重さの物を選ぶことは不可能であるから、選びだす上限の重さと下限の重さとの間で基準が変化してしまう。つまり、この場合パレットごとに基準ブドウ虫A、Bの重さが変化することになり、包装されるブドウ虫の個体差が大きくなってしまうという問題点があった。しかもこの個体差は、各作業者が、基準ブドウ虫A、Bの前後の大きさのブドウ虫をどのように判断するかによっても違い、これにより、選別の精度や出荷量等を大きく左右するものとなっていた。
【0018】
さらに、作業者の熟練度や、同じ作業者であってもその日の体調等によって、作業能率が一定でないので、出荷目標の設定が容易ではなく、例えば、熟練者用の出荷目標を見習いのものが満足させようとすると、選別の精度が低下し規格外品が混入した不良品を発生させることになる。
【0019】
一方、上記の選別作業において、例えば、パレットごとの差を低減するために変化しないダミーのブドウ虫Cを基準として用いようとすると、このブドウ虫Cは特定の固定状態、例えば、伸びきった状態だけを再現するものとなり、このブドウ虫Cと伸び縮みするブドウ虫との大小を比較して、各作業者の判断を統一することは困難であるとともに、同様に伸び縮みする基準ブドウ虫A、Bに対する相対比較を行う方が容易である。
【0020】
以上のように、従来の方法では、作業者の能力差やパレットごとに異なる基準から、選別の精度の信頼性が低下し、包装作業全体の効率にも非常に影響を与えるものとなっていた。
【0021】
特に、釣餌の場合には季節ごとに需要が異なり、例えば上記のブドウ虫の場合、冬場の需要と、春から夏にかけての需要とを比較すると2倍以上も異なり、前記のような方法では、この販売量の増減に対応が難しく、常に作業能率の個人差を考慮しつつ、最大生産量を確保できるように人員を配置する必要があり、需要の谷間の生産量低下にともなう生産効率低下がコストを押し上げる一因となっていた。
【0022】
また、昆虫類を使用した試験等の分野においても同様に、熟練者による根気のいる作業に頼っているために、作業精度、作業能率の低下という問題点を有している。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る昆虫類包装方法は、上記の課題を解決するために、生きた昆虫類が鎮静化する温度範囲に昆虫類の温度を保持可能な低温雰囲気下において、昆虫類を所定頭数ごとに包装容器に投入し、包装することを特徴としている。
【0024】
本発明に係る昆虫類包装装置は、昆虫類搬送手段と、容器搬送手段と、昆虫類搬送手段により搬送された昆虫類を容器搬送手段により搬送された包装容器に投入する投入手段とを備えるとともに、該昆虫類搬送手段には、生きた昆虫類が鎮静化する温度範囲に昆虫類の温度を保持するための冷却手段が設けられていることを特徴としている。
【0025】
また、本発明に係る昆虫類包装装置は、上記の昆虫類包装装置において、上記投入手段の前に、昆虫類の大小を選別するサイズ選別手段が設けられていることを特徴としている。
【0026】
また、本発明に係る昆虫類包装装置は、上記の昆虫類包装装置において、画像処理による色判定による体色判定手段が設けられているとともに、該判定により不良品と判断された昆虫類を除く昆虫類が包装容器に投入されるように上記投入装置を制御する制御装置が設けられていることを特徴としている。
【0027】
なお、本発明で選別する昆虫類の例としては、前記の〔ブドウ虫〕(ブドウスカシバ){〔〕内は通称釣餌としての名を示す。以下同じ。}、〔疑似ブドウ虫〕(ハチミツガ)以外に、〔くり虫〕(クリシギゾウムシ)、〔さなぎ〕(カイコガ)、〔さばさし〕(ヒツジキンバエ)、〔ななお虫〕(シマハナアブ)、〔玉虫〕(イラガ)、〔やなぎ虫〕(ボクトウガ)、〔ささ虫〕(スジツトガ)、〔いたどり虫〕(アズキノメイガ)、〔きく虫〕(キクスイカミキリ)、〔ちしや虫〕(エゴヒゲナガゾウムシ)、〔らぴっと〕(チャバネトゲハエバエ)等の昆虫釣餌、また、ハエやゴキブリ等を使用する薬品の生物検定試験、さらには、てんとう虫やハチ類のように生物農薬または生物資材として使用される多くの昆虫類が挙げられる。
【0028】
【作用】
本発明に係る昆虫類包装方法の構成によれば、昆虫類が鎮静化する温度範囲で昆虫類を取り扱うことにより、一般的な商品を取り扱うのと同様の公知の包装手段を適用することが可能となる。
【0029】
本発明に係る昆虫類包装装置の構成によれば、昆虫類搬送手段上にある昆虫類は、昆虫類が鎮静化する温度範囲に冷却保持されているため、搬送時に昆虫類が暴れたりすることがなく、昆虫類の包装作業が容易に行える。
【0030】
また、本発明に係る昆虫類包装装置の構成によれば、昆虫類搬送手段上にある昆虫類は鎮静化されているので、サイズ選別装置における誤判定が生じにくく正確な選別を行うことが可能となる。
【0031】
さらに、本発明に係る昆虫類包装装置の構成によれば、画像処理を用いた昆虫類の体色判定を行うとともに、不良品と判定された昆虫類が排除されるので、死亡した昆虫類等、商品として不良品である生き餌の包装容器内への混入を防止することができる。
【0032】
【実施例】
〔実施例1〕
本発明の一実施例について図1及び図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施例において選別を行う昆虫類は、渓流釣り等に好んで使用されるブドウ虫の代替品の擬似ブドウ虫(ハチミツガの幼虫)で、ブドウ虫と異なり養殖により大量に飼育することができることから安価であり、また、1年中入手可能で、ブドウ虫と同等の魚の食いつきが得られ、蜂蜜養殖で嫌な匂いもないことから天然のブドウ虫以上にユーザーに好評を博している。
【0033】
ここでは、以下簡単のため、上記擬似ブドウ虫をブドウ虫と呼ぶことにする。
【0034】
上記ブドウ虫は、パレットと呼ばれる飼育ケース内で、1パレットあたり数千頭単位で養殖されている。そして、出荷時期が近づくと、上記ブドウ虫は大きさごとに選別されるとともに、各大きさごとに決められた1容器当たりの所定頭数が投入され包装される。
【0035】
上記ブドウ虫3の選別及び包装を行う包装装置は、図1に示すように原料ホッパー4から等外廃棄入れ18までのブドウ虫供給ライン1と、容器供給のためのターンテーブル20から包装終了までの容器搬送ライン2とから構成されている。
【0036】
上記ブドウ虫供給ライン1側には、まずブドウ虫3を供給する原料ホッパー4が設けられ、その下方には取出コンベア5が設けられている。上記原料ホッパー4の下部には冷却風を導入する冷却ダクト40が取り付けられており、原料ホッパー4内、及び取出コンベア5内のブドウ虫3を冷却している。そして、該原料ホッパー4の下方にはこの取出コンベア5の出口側にはロータリーシュート6が設けられており、ロータリーテーブル7上に均等にブドウ虫3が分散して位置するように回動する。このロータリーテーブル7にも冷却風を導入する冷却ダクト41が取り付けられており、ロータリーテーブル7上のブドウ虫3を冷却している。
【0037】
このロータリーテーブル7上の別の場所には、内部に吸着ゾーン8を備えたバキュームコンベア9が設けられ、取出コンベア5からバキュームコンベア9までの間のロータリーテーブル7上には平滑ブラシ10が設けられている。
【0038】
また、バキュームコンベア9のブドウ虫3の搬送方向側には、原料コンベア11が設けられており、この原料コンベア11上でブドウ虫のサイズ選別、体色判定が行われる。上記したブドウ虫のサイズ選別、体色判定はサイズ選別カメラ12と体色判定カメラ13により得られた画像を用いて画像処理装置38(図2)において行われる。さらに、その先の原料コンベア11上には、ブドウ虫3のサイズ別に、ホッパー16・17及び選別エアーノズル14、選別エアーノズル15が設けられている。上記エアーノズルには、上記画像処理装置38に接続された制御装置39(図2)とエアーポンプ37(図2)が接続されている。そして、原料コンベア11の終端部下方には等外廃棄入れ18が設けられている。そして、上記原料コンベア11を覆う形で冷却ブース42が設けられており、搬送されるブドウ虫を冷却している。
【0039】
一方、容器搬送ライン2側には、ターンテーブル20、移送コンベア21、方向修正ターンテーブル22、移載プッシャー23、移載ガイド24、押出プッシャー25・26、容器コンベア27・28が設けられており、上記のホッパー16、17の先端がそれぞれ容器コンベア27・28上の容器19・19の開口部上方に位置するように配置されている。
【0040】
上記構成に基づいて、包装装置の動作を以下に説明する。
【0041】
まず、前記パレット内のブドウ虫3は、作業者により上記の原料ホッパー4内に投入される。そして、ブドウ虫3…は下方に設けられた取出コンベア5により数十頭単位で切り出され、ロータリーテーブル7方向に搬送される。該取出コンベア5の出口側のロータリーシュート6の回動により、ブドウ虫3…は、ロータリーテーブル7上に均等に分散するように排出される。該ロータリーテーブル7が回転して、バキュームコンベア9側にブドウ虫3…が移動させられ、該バキュームコンベア9により1頭ずつ原料コンベア11側に搬送される。上記のロータリーシュート6から排出された段階ではブドウ虫3は塊上になっており、そのままではバキュームコンベア9において、一頭ずつ吸着することが困難であるので、平滑ブラシ10により、ブドウ虫3の塊をほぐして、ロータリーテーブル7上に1頭ごと単独で満遍なく散分化されるようにする。同図では分かりやすいように、平滑ブラシ10は1ヵ所にしか配置されていないが、実際には、より均等にブドウ虫3が位置するように平滑ブラシ10は複数設けられている。
【0042】
そして、上記のようにほぐされたブドウ虫3…は、バキュームコンベア9により吸着されて搬送される。該バキュームコンベア9上には所定のピッチで穴が開けられており、吸着ゾーン8においては、上記の穴に図示しないバキュームポンプからの負圧がかけられており、この穴にブドウ虫3が位置すると、ブドウ虫3は上記のように吸着される。この負圧はブドウ虫3を傷つけること無く吸着するように設定されており、吸着ゾーン8を過ぎたバキュームコンベア9上の穴においては負圧が解除され、ブドウ虫3はバキュームコンベア9の終端側に設けられている原料コンベア11上に1頭ずつ、上記穴に見合った間隔で運ばれることになる。
【0043】
上記でバキュームコンベア9により吸着されなかったブドウ虫3は、吸着して搬送されるまでロータリーテーブル7上を回転移動することになるが、ブドウ虫3の吸着頭数と残留頭数とから取出コンベア5の取り出し速度が調整され必要以上にロータリーテーブル7上にブドウ虫3が滞留しないように設定されている。
【0044】
ブドウ虫3…は、この原料コンベア11上を搬送される際に、まず上方に設けられたサイズ選別カメラ12により、大きさが選別される。図2に示すように、サイズ選別カメラ12には画像処理装置38が接続されており、予め、標準規格下限値及び標準規格上限値のブドウ虫3の画像を画像処理装置38により、2値化処理して面積値の測定を行い、その値を記憶させておく。そして、原料コンベア11上を搬送されてきた選別しようとするブドウ虫3の画像を同様に2値化処理して面積値測定し、その結果と上記標準規格上限値または下限値の面積値と比較して、大型品、標準品、規格外品を選別する。
【0045】
本来はブドウ虫3の重量を測定して選別すべきであるが、上記ブドウ虫3の投影面積とその重量との間には相関関係があり、また、現状では、画像処理を用いたほうが判定時間を短くすることが出来るので、上記方法を採用しているが、重量測定による選別が精度良く短時間に行えるようになったり、また、その他、より短時間に精度良く測定可能な方法があれば、上記方法に制限されるものではない。
【0046】
続いて体色判定カメラ13により体色判定が行われる。ブドウ虫3は死んでしまうと商品価値が無くなり、また、ブドウ虫は体色が白いほど釣餌として好まれるので、包装の段階で死んでいるものや衰弱しているものあるいは着色しているものは不良品として排除する必要がある。ブドウ虫が衰弱したり死亡すると体の色が透明に近い乳白色から褐色ないしは黒色に変色する。そこで、画像処理によって、ブドウ虫全体の面積に占める変色部分の大小を判別したり、または、体色の変化を判定することにより、体色判定を行い、不良品を選別している。
【0047】
上記体色判定カメラ13にも上記の画像処理装置38が接続されており、予め乳白色のブドウ虫3の画像から、ブドウ虫3全体における乳白色部分の面積の割合のデータを測定しておき、このデータと、判定しようとするブドウ虫3のデータを比較して、乳白色部分の面積比が小さければ、不良品と判断する。
【0048】
上記のようにしてブドウ虫の選別及び体色判定は終了する。
【0049】
上記で得られた、サイズ選別データと体色判定データは制御装置39に送られる。このデータに基づき、制御装置39はエアーポンプ37から選別エアーノズル14・15とに送出されるエアーの制御を行う。
【0050】
そして、大型品と判定されたブドウ虫3が通過するときには選別エアーノズル14が作動し、ホッパー16に上記ブドウ虫が投入される。
【0051】
また、標準品と判定されたブドウ虫3が通過するときには、選別エアーノズル15が作動し、ホッパー17に上記ブドウ虫が投入される。
【0052】
なお、上記ホッパー16・17のそれぞれの内面にはブドウ虫3の傷みを極力少なくするためにクッション材が設けられている。
【0053】
さらに、規格外品または不良品(死亡等)と判定されたブドウ虫3が通過するときにはいずれのエアーノズルも作動せず、このブドウ虫3は原料コンベア11の終端部下方に設けられた等外廃棄入れ18に投入される。
【0054】
一方、ブドウ虫3を包装する容器19は、まず、作業者によりターンテーブル20上に供給される。ターンテーブル20上に供給された容器19は、ターンテーブル20上に設けられた容器ガイド20aとターンテーブル20の回転により移送コンベア21上に搬送される。そして、移送コンベア21の中央部の方向修正ターンテーブル22により容器19の蓋が特定方向(図において左方向)に向くように回転させる。
【0055】
そして、同一方向に揃えられた容器19が移載プッシャー23により、移載ガイド24上に押し出される。移載ガイド24は大型品用の容器コンベア27と標準品用の容器コンベア28との両方に容器19を供給するもので、容器コンベア27・28前端側にそれぞれ押出プッシャー25・26が設けられており、それぞれ容器コンベア27・28上に所定間隔で容器19が配置されるように、容器コンベア27・28の作動に伴って押出プッシャー25・26が該容器19をそれぞれ容器コンベア27・28上に押し出す。
【0056】
また、容器19…の開口部がそれぞれ該ホッパー16・17の真下に位置するように容器コンベア27・28が配置されるとともに、各容器コンベア27・28は個別に駆動可能とされている。
【0057】
そして、例えば大型品が所定頭数容器内に投入されると大型品側の容器コンベア27だけがコンベア上に載置された容器19の間隔分だけ移動し、次の容器19が該ホッパー16の真下に位置して停止する。これは、標準品の場合でも同様である。上記の所定数のカウントは前記画像処理部において行われており、エアーの吹き出し回数とともに制御されている。
【0058】
上記のように所定頭数のブドウ虫が投入された容器19は、次にシリカゲル粒投入装置29の下方に位置する。冬場は空気が乾燥しているので必要ないが、日本のように夏場の湿度の高い時期には容器19内に浸入する湿気により、ブドウ虫3が衰弱したり、病気になったりするので、湿気吸収用のシリカゲル粒を投入して、湿気を吸収させてやるとよい。なお、このシリカゲル粒投入装置29はホッパー16・17の前方に設置し、ブドウ虫3の投入前に容器19にシリカゲル粒を投入してもよい。
【0059】
シリカゲル粒が投入されたあと、図1に向かって容器コンベア27・28の左側方には、進むにしたがって容器コンベア27・28側に倒れ込むよう形状で蓋用ガイド30がそれぞれ設けられている。容器19がこの領域を進むにしたがって、蓋用ガイド30により容器19の蓋が閉じられてゆき、ガイドバー31により閉蓋が維持された状態で、容器プレスシリンダ32を用いてプレスすることにより蓋を完全に閉じた状態とすることができる。そして、シュート33を介して作業台36上に、大型品入りパック34、標準品入りパック35が取り出される。上記のように包装されたブドウ虫3の大型品入りパック34、標準品入りパック35にはそれぞれの規格別にラベルが貼着され、箱詰めされて出荷される。
【0060】
上記で述べた装置において、注目すべき点は、ブドウ虫供給ライン1側には複数の冷却手段、冷却ダクト40・41、冷却ブース42が設けられていることである。
【0061】
ブドウ虫は生きているので、上記の包装装置がブドウ虫3の活発な運動を促進する温度範囲にあれば、前記のように伸び縮みして動き回り、ロータリーテーブル7や原料コンベア11上から落ちて、商品価値を損なったり、上記の動きにより、サイズ選別の際の画像処理時に正確な選別ができなくなる恐れがある。
【0062】
そこで、低温状態においてはブドウ虫3の生態活動が鈍くなることを利用し、上記冷却装置を用いてブドウ虫3を鎮静化させて、スムーズなブドウ虫3の選別を行っている。
【0063】
本実施例で用いたブドウ虫についての以下のような実験を行い観察した。
(1)鎮静化実験
下記のような2種類の方法を用い、温度、接触時間を変えて低温下におけるブドウ虫の活動状態を観察した。
【0064】
(1) 冷却処理法
i.アルミ箔を巻いた氷上に載置
ii.低温度室内に持ち込み(5℃、10℃)
(2) 炭酸ガス処理法
ドライアイスを用いた酸素濃度の低減
上記の実験結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
実験の結果、冷却のみによるブドウ虫の鎮静化を行っても、0℃以上10℃以下では、虫の生存率は100パーセントであり、品質悪化の問題はないことが分かった。
【0067】
実際には、包装にあたって支障のない程度、すなわち原料ホッパー4に投入後から、最終的に容器19の蓋が閉じられる迄の時間、上記ブドウ虫の動きを鎮静化できればよく、その場合、およそ15℃以下に保持していれば、ブドウ虫の鎮静化は可能であることが実験により明らかになっている。
【0068】
本実施例では、原料ホッパー4に冷却ダクト40を取り付けて冷風を送り込み、まず、原料ホッパー4及び取出コンベア5にいるブドウ虫3を急冷する。ブドウ虫3を徐々に冷却した場合、ブドウ虫3が糸を吐き出してしまい、この糸により複数のブドウ虫3が絡まって数をカウントする際の障害になったり、釣餌として用いる際に魚の食いつきを妨害してしまうからである。そこで、上記のように糸を吐き出す時間を与えず急冷して鎮静化させる。
【0069】
さらに、ロータリーテーブル7上においては、ブドウ虫3に冷却ダクト41からの冷風を吹きつけて、ブドウ虫3の鎮静化を保持する。図では冷却ダクト41は1ヵ所にしか設けられていないが、複数設けて、ロータリーテーブル7上の全てのブドウ虫3を均等に所定温度以下に保持するほうが好ましい。また、ロータリーテーブル7全体をドーム状の冷却ブースで覆うようにしてもよい。
【0070】
さらに原料コンベア11上を覆うトンネル状の冷却ブース42が設けられており、同様にブドウ虫3の鎮静化を維持する。これは、ブドウ虫3の温度を鎮静化可能な温度に維持するもの、例えば、冷却装置を内蔵しコンベアベルト自体を冷却するようにした原料コンベア11等を用いてもよい。
【0071】
これにより、ブドウ虫供給ライン1の全域においてブドウ虫3の温度が15℃以下となるように保持されている。
【0072】
上記の温度設定は該ブドウ虫3を対象として、図示の容器18に包装することを前提としており、他の昆虫類に応用したり、また、袋詰め等のような容器構成の違いによっても、それぞれの場合に応じて適切な温度を設定する必要がある。
【0073】
以上のように、ブドウ虫3を低温雰囲気下に置き鎮静化させた状態で取り扱うことにより、画像処理による高速で正確な選別方法を用いることが可能となり、また、ブドウ虫の選別作業の自動化が容易に行えるので、速くて正確な選別を行いつつ、大量のブドウ虫に対して包装処理を行うことができる。
【0074】
すなわち、選別作業の高速化に伴い、季節による需要の増減への対応が容易になるとともに、より新鮮なブドウ虫をユーザーに提供することができ、また、正確な選別が行われるため、提供するブドウ虫の品質(大きさ)を安定化することができる。しかも、自動化による省力化が容易に行え製造コストを大幅に低減することができる。
【0075】
【発明の効果】
本発明に係る昆虫類の包装方法は、生きた昆虫類が鎮静化する温度範囲に昆虫類の温度を保持可能な低温雰囲気下において、昆虫類を所定頭数ごとに包装容器に投入し、包装する構成である。
【0076】
それゆえ、これにより、昆虫類の活動を鎮静化させることにより、昆虫類の取り扱いが容易に行えるようになる。そのため、通常の商品選別や包装等に用いる手法を応用することが可能になり、速くしかも正確な選別を行うことが可能となるという効果を奏する。
【0077】
本発明に係る昆虫類包装装置は、昆虫類搬送手段と、容器搬送手段と、昆虫類搬送手段により搬送された昆虫類を容器搬送手段により搬送された包装容器に投入する投入手段とを備えるとともに、該昆虫類搬送手段には、生きた昆虫類が鎮静化する温度範囲に昆虫類の温度を保持するための冷却手段が設けられている構成である。
【0078】
それゆえ、これにより、昆虫類は容器内に投入されるまで鎮静化されているので、包装における各工程が容易になり、自動化がすることができる。従って、高速な包装が可能になることから、昆虫類の処理頭数を増加させることができ、コスト低減が可能となるという効果を奏する。
【0079】
また、本発明に係る昆虫類包装装置は、上記の昆虫類包装装置において、上記投入手段の前に、昆虫類の大小を選別するサイズ選別手段が設けられている構成である。
【0080】
それゆえ、これにより、昆虫類包装装置の自動化の際に、目的に応じて、大きさの異なる昆虫類ごとに包装することができる。しかも、上記のように昆虫類は鎮静化されているため、該サイズ選別手段による誤判定が生じにくく、正確な選別が行えるという効果を奏する。
【0081】
さらに、本発明に係る昆虫類包装装置は、上記の昆虫類包装装置において、画像処理による色判定による体色判定手段が設けられているとともに、該判定により不良品と判断された昆虫類を除く昆虫類が包装容器に投入されるように上記投入装置を制御する制御装置が設けられている構成である。
【0082】
それゆえ、これにより、昆虫類包装装置の自動化の際に、死亡したり体色のよくない商品価値のない昆虫類の容器内への混入を防止することができ、その結果、さらに品質の安定した昆虫類を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の昆虫類包装装置の構成を示す概略斜視図である。
【図2】 ブドウ虫の選別、体色判定を行う際の画像処理装置及び制御装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 ブドウ虫供給ライン(昆虫類搬送手段)
2 容器搬送ライン(容器搬送手段)
3 ブドウ虫(昆虫類)
12 サイズ選別カメラ(サイズ選別手段)
13 体色判定カメラ(体色判定手段)
14 エアーノズル(投入手段)
15 エアーノズル(投入手段)
16 ホッパー(投入手段)
17 ホッパー(投入手段)
19 容器
40 冷却ダクト(冷却手段)
41 冷却ダクト(冷却手段)
42 冷却ブース(冷却手段)
Claims (2)
- 昆虫類搬送手段と、容器搬送手段と、昆虫類搬送手段により搬送された昆虫類のサイズの大小を選別するサイズ選別手段と、体色から不良品を判定する体色判定手段と、不良品を除く昆虫類をサイズの大小ごとに、かつ所定頭数ごとに容器搬送手段により搬送された包装容器に投入する投入手段とを備えるとともに、該昆虫類搬送手段には、生きた昆虫類が鎮静化する温度範囲に昆虫類の温度を保持するための冷却手段が設けられていることを特徴とする昆虫類包装装置。
- 上記サイズ選別手段が、サイズ選別カメラおよび画像処理装置からなり、サイズ選別カメラで昆虫類を撮影した画像を2値化処理して面積値を測定し、標準規格値と比較してサイズの大小を選別する手段であり、上記体色判定手段が、体色判定カメラおよび画像処理装置からなり、体色判定カメラで昆虫類を撮影した画像の変色部分の面積の大小から昆虫類の不良品を判定する手段であることを特徴とする請求項1記載の昆虫類包装装置。
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