JP3681150B2 - アンダーカット形状を有する熱成形品の製造方法および熱成形用雌型 - Google Patents

アンダーカット形状を有する熱成形品の製造方法および熱成形用雌型 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンダーカット形状を有する熱成形品の製造方法および熱成形用雌型に関し、特に、深めのアンダーカット形状を形成したい場合に好適なアンダーカット形状を有する熱成形品の製造方法および熱成形用雌型に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱成形では、熱可塑性樹脂板を加熱して可塑状態とし、型に吸引させて成形し、同型から離型する。熱可塑性樹脂板は硬化しても可撓性を残しているため、ある程度のアンダーカット形状は可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のアンダーカット形状を有する熱成形品の製造方法においては、安定して製造するために許容されるアンダーカット形状は小さく、例えば、カップ麺の椀として糸底を製造しようとするときには満足のいくものではないという課題があった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、より大きなアンダーカット形状でも安定して離型して製造することが可能なアンダーカット形状を有する熱成形品の製造方法および熱成形用雌型の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、椀型凹形状を有する雌型で熱成形用成形型を形成し、当該熱成形用成形型におけるアンダーカット形成部位近辺に真空・離型孔を集中して配置し、当該アンダーカット形成部位をこの椀型凹形状の椀底部から奥側に向けて末広がり状に形成し、離型時に同真空・離型孔より圧空を供給して成形品の椀底部を撓ませながらアンダーカット形成部位からの離型を補助する構成としてある。
上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、熱成形用成形型にはアンダーカット形成部位があり、この近辺に真空・離型孔を集中して配置している。従って、離型時に同真空・離型孔より圧空を供給すると、成形品のアンダーカット形状部位が撓み、アンダーカット形成部位との重なり代が減って外れやすくなる。
【0005】
ここで熱成形用成形型は、基本的に雄型でも雌型でも構成することができる。また、アンダーカット形状を有する熱成形品の製造方法において、椀型凹形状を有する雌型で上記熱成形用成形型を形成しつつ、上記アンダーカット形成部位をこの椀型凹形状の椀底部から奥側に向けて末広がり状に形成し、上記真空・離型孔より圧空を供給して成形品の椀底部を撓ませながら上記アンダーカット形成部位からの離型を補助する構成としてある。
【0006】
上記のような構成においては、熱成形用成形型が椀型凹形状を有する雌型となっており、この椀型凹形状の椀底部から奥側に向けて末広がり状に形成されている。従って、成形品をこの雌型から引き出すときに末広がり状の部分がアンダーカット形状となる。このアンダーカット形成部位の近辺には真空・離型孔を集中して配置してあるので、離型時に同真空・離型孔より圧空を供給すると、椀底部の外側から内側に向かって加圧される。椀形状の椀底側から加圧したとすれば、開口端から最も遠い椀底部を中心として内側に撓む。すると、椀底部から末広がりとなった出っ張り部位は雌型に設けられたアンダーカット形成部位の凹部に対して斜めとなり、すり抜けやすくなる。
【0007】
ところで、椀底部にアンダーカット形状が形成されるとして、その近辺に真空・離型孔を集中するとすると、開口端に近い側には配置されなくなってしまう。これにより、開口端側の部分で型の内周壁面に密着しなくなりかねない。このため、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のアンダーカット形状を有する熱成形品の製造方法において、上記雌型には、椀底部に上記真空・離型孔を形成しつつ、椀型凹形状の開口端寄り部位には大気連通孔を形成し、成形時に成形品の椀内側から圧空を供給する構成としてある。
【0008】
上記のように構成した請求項2にかかる発明においては、椀型凹形状の開口端寄り部位には大気連通孔を形成してあり、成形時に成形品の椀内側から圧空を供給する。椀底部の側には真空・離型孔を形成してあって、成型時には負圧をかけると、成形型の内周面形状に沿って吸引される。一方、成型時に成形品の椀内側から圧空を供給するようにもしているので、椀底部のみならず開口端寄り部位も成形型の内周面に向かって押しつけられる。両者の間にある空気は椀底部側では吸引孔から吸引されるし、開口端部よりの部位では大気連通口より排気されるので、椀型凹形状とした内周面全面にわたって密着する。
【0009】
離型時に圧空を供給するタイミングを他の動作に合わせるとより有効に作用する。その一例として、請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2のいずれかに記載のアンダーカット形状を有する熱成形品の製造方法において、ノックアウトに先がけて上記真空・離型孔からの圧空の供給を開始する構成としてある。
上記のように構成した請求項3にかかる発明においては、ノックアウトに先がけて圧空を供給するので、開口端寄りの部分が型に付着しているときから圧空を供給することになり、椀底部は撓みやすい。なぜなら、ノックアウトを開始して開口端寄りの部分と型との間に隙間ができてから圧空を供給しても漏れ出てしまって撓ませられなくなるからである。
【0010】
なお、上述したように雌型でなく雄型であっても不可能ではない。椀を形成する雄型の場合は型の外面に軟化した熱可塑制樹脂を吸引することになるが、離型時に圧空を供給すると外側に膨らんで撓むのであるからアンダーカット形成部位から外れやすくなる。
このように、離型直前の成形品を撓めて離型を補助する手法は実体のある装置において実現され、その意味で本発明を実体のある装置としても適用可能であることは容易に理解できる。この場合、圧空を供給して撓ませることが離型しやすくなる作用を生じるという観点より、請求項4にかかる発明は、椀型凹形状に形成され、その椀底部に真空・離型孔を集中して配置し、開口端寄り部位には大気連通孔を配置した型であって、離型時に上記椀型凹形状の椀底部に集中して配置した真空・離型孔より圧空を供給することにより型内で成形品の椀底部を内側に撓める離型用圧空供給機構を具備する構成としてある。
【0011】
上記のように構成した請求項4にかかる発明においては、椀型凹形状に形成された椀底部に真空・離型孔を集中して配置しており、同真空・離型孔より圧空を供給すれば椀底部が撓むし、また、開口端寄り部位に大気連通孔を配置したので、成形時に型の内周面との間に存在する空気を上記真空・離型孔から排気できないとしても型外部の大気へと開放される。
むろん、上記給排気制御を行う構成を含めた一体のものとして構成することもできる。そのような一例として、離型時に上記椀型凹形状の椀底部に集中して配置した真空・離型孔より圧空を供給することにより型内で成形品の椀底部を内側に撓める離型用圧空供給機構を具備する構成としてある。
【0012】
この離型用圧空供給機構が上述したように真空・離型孔より圧空を供給すると、椀底部が撓む。
椀底部を撓ませるのはアンダーカット形状の有無にかかわらず離型を補助しうるが、最も真価を発するのはアンダーカット形状を形成する場合である。このため、請求項5にかかる発明は、請求項4に記載の熱成形用雌型において、上記椀型凹形状の椀底部から末広がり状に形成されたアンダーカット形成部位を有し、上記真空・離型孔より圧空を供給して成形品の椀底部を撓ませて同アンダーカット形成部位から離型させる構成としてある。
【0013】
上記のように構成した請求項5にかかる発明においては、椀型凹形状の椀底部から末広がり状に形成されたアンダーカット形成部位を有しており、通常のとおりに成形品を引き出そうとしてもアンダーカット形成部位と成形品のアンダーカット形状が干渉する。しかしながら、椀底部が内側に撓めば成形品のアンダーカット形状がアンダーカット形成部位からすり抜けるようにして外れやすくなる。
【0014】
このほか、以上のような熱成形用雌型を使用し、アンダーカット形成部位を有する熱成形品を製造する場合には、一連の動作をシーケンサにて制御することが多い。この場合に、上記真空・離型孔の給排気や、離型及びノックアウトのタイミングは、同シーケンサにて制御されるから、かかる制御プログラムとしても本発明を適用することができ、かかる制御プログラムを記録した媒体としても本発明を実施していることに代わりはない。
【0015】
むろん、その記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地無く同等である。その他、供給方法として通信回線を利用して行なう場合でも本発明が利用されていることにはかわりない。
さらに、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現されている場合においても発明の思想において全く異なるものではなく、一部を記録媒体上に記憶しておいて必要に応じて適宜読み込まれるような形態のものとしてあってもよい。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、成形品のアンダーカット形状部位を撓ませながらアンダーカット形成部位の離型を補助するようにしたので、より大きなアンダーカット形状でも安定して離型して製造することが可能なアンダーカット形状を有する熱成形品の製造方法を提供することができる。
また、椀底部から奥側に向けて末広がり状となるような形状、すなわち、糸底のような形状を形成できるようになる。
【0017】
さらに、請求項2にかかる発明によれば、真空・離型孔を椀底部に集中させたとしても、椀型凹形状の開口端寄り部位も所望のとおりの形状に成形することができる。
さらに、請求項3にかかる発明によれば、ノックアウトに先がけて圧空の供給を開始するので確実にアンダーカット形状部位を撓ませることができる。
一方、請求項4にかかる発明によれば、離型を保持しやすくした熱成形用雌型を提供することができる。
【0018】
また、請求項5にかかる発明によれば、椀底部に末広がり状のアンダーカット形状を形成することが可能な熱成形用雌型を提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる熱成形装置を要部断面図により示しており、図2は同熱成形装置の動作シーケンスをタイミングチャートにより示している。
【0020】
まず、上基板11と下基板31は図示しない上テーブルと下テーブルとに固定されて駆動装置M1,M2にて所定ストロークの範囲でそれぞれ上下動可能となっている。上基板11には所定距離だけ隔ててキャビベース12がボルト固定されており、このキャビベース12にキャビホルダ13がボルト固定され、さらに、同キャビホルダ13に複数のメインキャビティ21が装着されている。
熱成形用雌型20は、図3に拡大して示すように、このメインキャビティ21と、底型22とから構成されている。メインキャビティ21は、概ね椀型の凹形状に形成されているが、その底部に貫通口21aを形成してあり、当該貫通口21aを塞ぐように略円筒状の底型22が上下動可能に支持されている。
【0021】
椀の形状は、開口端より周壁面を経て底壁面へと連続するが、当該貫通口21aは当該底壁面に形成され、周壁面から一旦は狭まった開口径が奥方向に向かうにつれて末広がり状に拡径した後、再度、最初の開口径程度に縮径し、その後は一定径となるように形成されている。ここの末広がり状に拡径する部位は椀の底に形成される糸底の外形を形成する部分であり、型抜き方向に対してアンダーカットを形成する。
【0022】
底型22は上記凹形状の底面を形成し、同底面には同心円状に形成した二段の段差部22aを形成してある。底型の外形は上記貫通口21aにおける一定内径部分と略一致しているが、同貫通口21aの開口端径は同一定内径部分よりも若干小さめとなっている。
この底型22はキャビベース12を貫通しており、同キャビベース12と上記基板11との間に保持された底型ベース14に支持されている。この底型ベース14は駆動装置M3にて所定ストロークの範囲で上下動可能となっており、そのストロークは上記糸底の終端からほぼ糸底の高さだけ後退した位置から同糸底の始端までを当該底型22の底面が往復動する距離となっている。
【0023】
この熱成形用雌型20の内周面には真空・離型孔23を多数配置するが、特に上述したアンダーカットを形成する部位である椀底部に集中させてある。図3を参照すると、周壁面から椀底部へと連続する部位や、糸底の最外周端の部位や、二段の段差部22aの部位に形成してあることが分かる。この真空・離型孔23の数や配置については、椀型の内周形状に沿って密着せしめるという最低限の条件に加えて後述するように同真空・離型孔23から圧空を供給したときに成形品の椀底部位を内側に撓ませることができるような条件で決定している。
【0024】
これらの真空・離型孔23は互いに底型22内に設けられた中空路と上記底型ベース14に形成された中空路を介して外部の図示しない圧力制御機構に対して制御弁V1,V2を介して連通されており、同圧力制御機構にて図2に示すタイミングチャートのように負圧が供給されたり圧空が供給されるようになっている。なお、真空・離型孔23に負圧を供給するタイミングについては「真空・離型孔(真空)」と表示し、圧空を供給するタイミングについては「真空・離型孔(離型)」と表示している。
一方、メインキャビティ21の開口端にはこのような真空・離型孔23を形成しておらず、その代わりに開口端形状に沿った凹部には大気連通孔24を形成してある。従って、後述するように成型時にプラグ側から加圧したときでも、成形体とメインキャビティ21の間に空気だまりが形成されることはない。
【0025】
この他、キャビホルダ13における下基板31の側にノックアウトプレート15が配置され、駆動装置M4にて離型時に所定ストロークだけ離反及び接近動可能となっている。
下基板31の側にはプラグベース32がスペーサ33を挟んでボルト固定され、全体として閉じた圧空箱を形成している。プラグベース32には上記メインキャビティ21に対面する位置にプラグ41がボルト固定されており、また、同プラグ41の植設部位周辺に連通口32aを形成してある。さらに、上記メインキャビティ21の開口端と対面するように上記プラグ41を取り囲んで貫通口が形成されたシールプレート34を配置することにより、上基板11と下基板31とが互いに近接した状態では、上記シールプレート34と上記メインキャビティ21との間に熱可塑性樹脂板を挟み込みつつ上記圧空箱と連通する密閉空間を形成する。そして、この圧空箱も上記圧力制御機構に対して制御弁V3,V4を介して連通されており、同圧力制御機構にて図2に示すタイミングチャートのように負圧が供給されたり圧空が供給されるようになっている。
なお、上述した駆動装置M1〜M4および制御弁V1〜V4はシーケンサなどからなる駆動制御装置C1にて図2のタイミングチャートに対応した駆動制御を実施されている。
【0026】
次に、上記構成からなる本実施形態の動作を図2のタイミングチャートを参照しながら説明する。なお、この熱成形装置の前段にはヒータや送り装置などが配置されているが、一般的なものを使用することができるので説明は省略する。
まず、タイミングT1にて上テーブルが下降し始め、この上テーブルに固定されている上記上基板11や熱成形用雌型20などが下降し始める。上テーブルの下降はタイミングT3にて終了するが、それに先だつタイミングT2から下テーブルが上昇を開始し、上テーブルの下降完了後、やや遅れたタイミングT4にて上昇を完了する。
【0027】
図4はタイミングT4における型閉状態の各構成を示しているが、熱可塑性樹脂板だけは省略している。この時点では底型22はメインキャビティ21から奥まった位置(上昇位置)にある。また、熱可塑性樹脂板は、メインキャビティ21の開口端とシールプレート34とで円形に挟持され、その中央でプラグ41がメインキャビティ21の内側へと引き延ばした状態となっている。
タイミングT50 にて圧空箱の側から圧空を供給し、同時に真空・離型孔23に負圧を供給する。すると、熱可塑性樹脂板はプラグ41の側からメインキャビティ21内へと押しつけられつつ、真空・離型孔23へと吸引されて雌型内周面の奥まった細部形状までも確実に形成される。図5はこのようにして形成される熱可塑性樹脂板に注目して断面図を示している。この状態では椀の底に形成される糸底の外形は形成されるものの、本来の椀底が糸底よりもさらに奥まった位置に形成された中間形状となっている。
【0028】
ただし、タイミングT50 にわずかに遅れてタイミングT51 には、図6に示すように底型ベース14がアクチュエータによって下降され、底型22が貫通口21a内を下降する。底型22が貫通口21a内を下降してくるにつれて本来の椀底が貫通口21aの開口端側へと移動されるとともに、糸底の終端から貫通口21aの内周面に沿って椀底へと連続していた部分がまくれ上がって新たに糸底の内側壁面を形成する。また、底型22の下降がわずかな遅れで実施されているので熱可塑性樹脂板自体はまだ軟化状態であり、上述したように底型22の下端は貫通口21aの開口端径よりもやや大径となっているので、それぞれ軟化状態にある椀底の周縁と糸底の始端部分とを押しつけて溶着させ、隙間が無くなる。この状態を図7に示している。
【0029】
メインキャビティ21の開口端寄りの部分にも段差形状が形成されているが、真空・離型孔23は椀底部に集中させてあって当該段差部分には形成されていない。しかしながら、当該段差部分には代わりに大気連通孔24を形成してあり、プラグ41の側から圧空を供給したときに開口端寄りの部分で熱可塑性樹脂板が同段差部分に押しつけられると、その間に残っている残留空気は同大気連通孔24から外部に排気される。従って、メインキャビティ21の内周面形状に沿って密着して硬化する。
【0030】
所定の硬化時間を経たタイミングT6にて圧空箱からの圧空の供給を停止し、外気に連通して排気させる。また、タイミングT7にて真空・離型孔23への負圧の供給を停止するとともに底型22を上昇させる。図8は底型22を上昇させた直後の成形体の断面を示している。貫通口21a内では末広がり状に拡径しているので、糸底は確実にアンダーカット形状となっており、このままではノックアウトを行ったとしても確実に離型させうるとは限らない。そして、一つでも離型できないものがあれば、次の送り工程で他の成形体、全てが傷ついてしまうことになる。
【0031】
本実施形態では、上テーブルと下テーブルを離反させるのに先立ち、まず、タイミングT8にて真空・離型孔23から圧空を供給する。離型する前であるから椀の形の成形体は開口端を押さえつけられており、この状態で椀の底に圧空を送るのであるから、椀底部は当然に内側に撓もうとする。そして、これにわずかだけ遅れたタイミングT9にて下テーブルを下降させ始める。図9は椀底部が内側に撓もうとしている状態を示しており、糸底がアンダーカット形状となっていても椀底部の中心を押し下げればその周囲はわずかながら内側に引き込まれる。このように引き込まれると糸底の終端部分も内側に引き寄せられ、アンダーカット形成部位からすり抜けられるような形となる。その状態で下テーブルが下がるとシールプレート34が下降して成形体の下端が自由になる。この時点で糸底が外れるのが殆どであるが、これに遅れたタイミングT10 ではノックアウトプレート15も押し下げられるので、これで確実に離型を完了する。
【0032】
ノックアウトプレート15が押し下げられ始めたときに上テーブルも上昇を開始するが、最初はゆっくりと上昇し始め、成形体が離型が確実に完了したと考えられるタイミングT11 の頃から速度を上げて上昇する。また、離型の完了とともにタイミングT12 にて真空・離型孔23からの圧空の供給も停止する。
ノックアウトプレート15の下降とともに下テーブルが下がり始めたら圧空箱を大気に連通させておく必要はなくなり、タイミングT10 にて排気を停止する。上テーブルと下テーブルが完全に停止したらノックアウトプレート15もキャビホルダ13に近接する本来の位置に引き戻す。図10は上テーブルと下テーブルとが完全に停止し、まだ、ノックアウトプレート15が引き戻されていない時点での状態を示している。
【0033】
以上を一回の熱成形サイクルとして椀形状の成形体を製造していく。なお、このように椀底部から外方に広がる糸底を形成できると、椀がより椀らしく見えて質感が向上する。また、この糸底部分は熱可塑性樹脂板が二重になっているので十分に強度を有するし、さらに椀の内周面に糸底内部へと連通する隙間が生じないので衛生上も良好である。
なお、離型を促進する働きとなるのは椀底を撓ませることにあるから、椀底に集中して配置するのは離型の供給孔だけでも構わない。しかしながら、真空孔を別途形成してあれば圧空が漏れ出してしまうので、真空孔と離型孔を共通にしておくのが最良といえる。
【0034】
ところで、上述した実施形態においては、アンダーカットで糸底を形成する例を上げて説明したが、椀を撓ませることによってアンダーカット形状が型のアンダーカット形成部位をすり抜けられる手法はこれ以外にも適用可能である。例えば、雄型を使用する場合であってもアンダーカット形状の近辺から圧空を供給すれば型から離れる方向へと撓み、この撓み方向はまさにアンダーカット形成部位からすり抜けやすくなる方向となるからである。
【0035】
また、本実施形態においてはアンダーカット形状を備えた成形体を形成しているが、アンダーカット形状がないものにおいても離型しやすくする効果がある。なぜならば、離型前に椀の底部を撓ませて型から離すことになるので、その後の離型工程で外れやすくなるからである。
このように、椀底部にアンダーカット形状となる糸底を形成するにあたり、圧空を供給する真空・離型孔を椀底部に集中して配置したため、離型にあたって同真空・離型孔から圧空を供給すると椀底が内側に撓み、成形体のアンダーカット形状がアンダーカット形成部位から外れるので、確実に離型させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる熱成形装置の要部断面図である。
【図2】同熱成形装置の動作シーケンスを示すタイミングチャートである。
【図3】同熱成形装置の雌型の拡大概略断面図である。
【図4】同熱成形装置の型締状態の要部断面図である。
【図5】成形開始直後の成形体の概略断面図である。
【図6】同熱成形装置の底型を下降させた状態の要部断面図である。
【図7】同状態の成形体の概略断面図である。
【図8】底型を再度上昇させた状態の成形体の概略断面図である。
【図9】真空・離型孔から圧空を供給して椀底部を撓ませた状態の成形体の概略断面図である。
【図10】同熱成形装置のノックアウトプレートを押し下げた状態の要部断面図である。
【符号の説明】
11…上基板
12…キャビベース
13…キャビホルダ
14…底型ベース
15…ノックアウトプレート
20…熱成形用雌型
21…メインキャビティ
21a…貫通口
22…底型
22a…段差部
23…真空・離型孔
24…大気連通孔
31…下基板
32…プラグベース
32a…連通口
33…スペーサ
34…シールプレート
41…プラグ

Claims (5)

  1. 椀型凹形状を有する雌型で熱成形用成形型を形成し、当該熱成形用成形型におけるアンダーカット形成部位近辺に真空・離型孔を集中して配置し、当該アンダーカット形成部位をこの椀型凹形状の椀底部から奥側に向けて末広がり状に形成し、離型時に同真空・離型孔より圧空を供給して成形品の椀底部を撓ませながらアンダーカット形成部位からの離型を補助することを特徴とするアンダーカット形状を有する熱成形品の製造方法。
  2. 上記請求項1に記載のアンダーカット形状を有する熱成形品の製造方法において、上記雌型には、椀底部に上記真空・離型孔を形成しつつ、椀型凹形状の開口端寄り部位には大気連通孔を形成し、成形時に成形品の椀内側から圧空を供給することを特徴とするアンダーカット形状を有する熱成形品の製造方法。
  3. 上記請求項1または請求項2のいずれかに記載のアンダーカット形状を有する熱成形品の製造方法において、ノックアウトに先がけて上記真空・離型孔からの圧空の供給を開始することを特徴とするアンダーカット形状を有する熱成形品の製造方法。
  4. 椀型凹形状に形成され、その椀底部に真空・離型孔を集中して配置し、開口端寄り部位には大気連通孔を配置した型であって、離型時に上記椀型凹形状の椀底部に集中して配置した真空・離型孔より圧空を供給することにより型内で成形品の椀底部を内側に撓める離型用圧空供給機構を具備することを特徴とする熱成形用雌型。
  5. 上記請求項4に記載の熱成形用雌型において、上記椀型凹形状の椀底部から末広がり状に形成されたアンダーカット形成部位を有し、上記真空・離型孔より圧空を供給して成形品の椀底部を撓ませて同アンダーカット形成部位から離型させることを特徴とする熱成形用雌型。
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