JP3681113B2 - 熱型赤外線検出器アレイ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱型赤外線検出器アレイの構造および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
非冷却赤外線検出器アレイは、小型、軽量、安価という利点を有することから、軍用、民生用を問わず研究開発が進められている。最近注目をあびているものに、酸化バナジウムを熱型赤外線検出器に用いたものがあるが、酸化バナジウムは通常のSi半導体プロセスラインに持ち込むことができない。一方、フルプロセスを通常のSi半導体プロセスラインで製造できる非冷却赤外線検出器アレイとして、 SOIダイオード方式熱型赤外線検出器アレイが考え出されている。これは、SOI(Silicon on Insulator)基板上に形成したPN接合ダイオード等のシリコン素子を、熱型赤外線検出器として利用するものである。
【0003】
SOIダイオード方式熱型赤外線検出器は、例えば、映像情報メディア学会技術報告(ITE Technical Report, Vol24, No.17, pp53-58)に上野らによって開示されている。図7は、上野らによって発表された従来のSOIダイオード方式熱型赤外線検出器アレイの画素部分を示す断面図である。図7に示すような画素の配列(320×240個)が、水平駆動回路及び垂直駆動回路と共にSOI基板上に形成され、イメージセンサを構成している。図7において、1はSOIウエハのSi基板、2はSOIウエハの埋め込み酸化膜(BOX酸化膜)、18はSOIウエハのSOI層である薄いSi層に形成されたPN接合ダイオードであり、これらが配線5’によって接続されてラテラルPN接合を形成し、検出器4が構成されている。
【0004】
検出器4は、支持脚10によって空洞15の上に保持されており、断熱構造が形成されている。検出器4と読出し回路(図示せず)の間の信号伝達は、支持脚10内の配線7’(=支持脚内配線)と、信号読出し用の配線8’とを介して行われる。6及び9は金属配線を保護し、電気的に絶縁するための層間酸化膜、14は受光面積を拡げ開口率を増大させるための薄膜赤外線吸収構造である。
【0005】
図7において、赤外線は上方より入射し、薄膜赤外線吸収構造14で吸収されて、ラテラルPN接合ダイオード18で形成された検出器4の温度を上昇させる。この温度上昇に伴って、ラテラルPN接合ダイオード18の順方向電圧が変化する。この電圧の変化を読み出し回路(図示せず)の中の積分器で増幅し、最終的に入射赤外線を画像信号に変換して出力する。
【0006】
温度変化に対する出力変化を増加させるために、検出器4中のPN接合ダイオード18は、図8に示すように、配線5’により複数個直列に連結されてラテラルPN接合ダイオードを形成している。また、図7において、入射赤外線を効率よくラテラルPN接合ダイオード18の温度変化に変換するため、ダイオード部は空洞15により中空化され、二本の支持脚10によりSi基板1から熱的に分離された断熱構造をとっている。
【0007】
次に、図7に示す熱型赤外線検出器アレイの製造方法について、図9(a)〜(c)及び図10(a)〜(c)を参照しながら説明する。図9(a)〜(c)及び図10(a)〜(c)では、説明の便宜から熱型赤外線検出器アレイの1画素の構造を示すが、図に示す画素構造がマトリックス状に複数個配置され、その周囲に読み出し回路(図示せず)が形成されて熱型赤外線検出器アレイとなる。
【0008】
まず、図9(a)に示すように、Si基板1上に埋め込み酸化膜2を介して薄いSi層を形成したSOI基板に、検出器4を構成する複数個のPN接合ダイオード18及び、読出し回路(図示せず)を構成するトランジスタを形成する。そして、層間膜を形成後、支持脚内配線7’を除いた残りの配線、即ち、PN接合ダイオード18を接続する配線5’、信号読出し用の配線8’、読出し回路の配線(図示せず)を形成する。各配線とPN接合ダイオード等のシリコン素子との間の接続は、層間膜に形成されたコンタクトホールを介して行う。
【0009】
支持脚内配線7’を除く熱型赤外線検出器アレイの配線は、シリコンプロセスに一般なアルミ化合物を用いて、500〜1000nm程度の膜厚で形成する。また、シリコンとの良好なコンタクトを確保するため、アルミ化合物層とシリコンの間に薄膜2層配線(図示せず)を形成する。この薄膜2層配線は、シリサイドを形成可能なコバルトやタンタルなどの金属層と、その上に形成するアルミのSiへの拡散を防止するための窒化タンタルなどの層との2層構造となっている。支持脚内配線7’を除く熱型赤外線検出器アレイの配線を形成後、層間絶縁膜6を形成する。
【0010】
次に、支持脚内配線7’を形成する。支持脚内配線7’は、良好な断熱構造を形成できるように他の配線とは異なるプロセスで形成される。即ち、支持脚内配線7’は薄膜に形成すると共に、その構成材料には熱伝導率の低い導電性物質を用いる。支持脚内配線7’を形成後、層間絶縁膜9を形成する。
【0011】
次に、図9(b)に示すように、層間酸化膜6及び9にSi基板1に到達する開口部11を形成する。次に、図9(c)に示すように、アモルファスSi12を基板全面に成膜し、図10(a)に示すように、検出器4上の一部の領域13が露出するように、アモルファスSi12をエッチングする。次に、図10(b)に示すように、画素の開口率を向上させるための薄膜赤外線吸収構造14を形成する。薄膜赤外線吸収構造14は、開口部13の部分で検出器4と接続し、この部分が薄膜赤外線吸収構造14の支柱となる。次に、図10(c)に示すように、アモルファスSi層12に到達するように薄膜赤外線吸収構造14に形成された開口部17から、アモルファスSi12およびSi基板1の一部を同時にエッチングすると、空洞15が形成される。これにより、検出器4および薄膜赤外線吸収構造14を支持脚10で支えた中空構造を形成することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のSOI方式熱型赤外線検出器には、さらなる感度の向上が求められていた。検出器4付近の構成部材の膜厚により熱容量は変化し、感度に大きく影響する。
【0013】
また、検出器4の表面に膜残渣が発生し易く製造工程が不安定となる問題もあった。即ち、検出器内の配線5’の段差が大きく、検出器内の狭い領域に高段差が密集していたため、図10(a)に示した工程において、開口部13を形成する際に配線5’の側壁にアモルファスSi12の残渣が発生し易かった。アモルファスSi12の残渣が残ると、中空化した際に、薄膜赤外線吸収構造14が支柱部分から剥離してしまう。一方、残渣を除去するためにエッチングをさらに追加すると、開口部13のサイドエッチが進むため、薄膜赤外線吸収構造14を形成した際に開口部13の側面で膜が切れる等の問題が発生し、次に中空化した際に薄膜赤外線吸収構造14の支柱部分が支えきれずに下地と接触して熱的ショートをもたらす。いずれにしろ熱型赤外線検出器アレイとしての特性を大いに損なう結果となる。またアモルファスSi12の残渣は、Siプロセスラインの異物汚染の原因としても問題である。
【0014】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、検出器の熱容量が低く感度を向上でき、また、検出器上の配線段差が少なく製造容易で性能的に安定した熱型赤外線検出器アレイを提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明の熱型赤外線検出器アレイは、基板上に、1次元又は2次元に配列された複数の熱型赤外線検出器と、前記熱型赤外線検出器の1次元又は2次元配列の周辺に配置された信号読出回路と、個々の前記熱型赤外線検出器から前記信号読出回路に電気信号を伝達する信号読出配線とを備え、前記熱型赤外線検出器中に、電気特性が温度によって変化するシリコン素子が複数個配置され、前記シリコン素子同士が素子接続配線によって電気接続された熱型赤外線検出器アレイにおいて、前記素子接続配線が、第1導電層と第2導電層とを積層した薄膜2層配線から成ると共に、前記第1導電層が、シリサイドを形成可能な金属から成り、前記第2導電層が、前記薄膜2層配線の上に形成される金属のシリコンへの拡散を防止可能な導電性物質から成り、前記信号読出配線が、前記薄膜2層配線の上に、金属から成る第3導電層を形成して成ることを特徴とする。
【0016】
即ち、本件発明は、信号読出し用の配線と検出器内の素子接続用の配線とは必要特性が異なることに着目してなされたものであり、両者に異なる構造を採用することにより、検出器の熱容量低減と検出器内の段差抑制を図るものである。信号読出配線は、アレイの画素数が多くなるほど配線長が長くなるため、検出器と読出し回路との間の信号伝達になまりが生じないように電気抵抗率の小さい金属材料(例えば、アルミニウム、銅、又はこれらを含む合金など)を用いて厚膜に形成することが必須となる。一方、素子接続配線は、安定したコンタクトが要求されるが、配線長が短いため電気抵抗率が多少大きくとも信号遅延は殆ど問題とならない。そこで、信号読出配線は、薄膜2層配線の上にアルミ化合物層等の電気抵抗率の低い低抵抗層(=第3導電層)を形成した構造とする一方、素子接続配線は、薄膜2層配線のみの構造とする。これにより、信号伝達のなまりを生じることなく、また、素子接続配線の安定したコンタクトを確保しながら、検出器内の配線を薄膜化することができる。そして、検出器内の配線を薄膜化することにより、検出器の熱容量を低下させ、検出器内の配線段差を抑制することができる。
【0017】
また、本件発明において、電気抵抗率の低い低抵抗層(=第3導電層)と薄膜2層配線の間に層間絶縁膜を形成し、低抵抗層(=第3導電層)と薄膜2層配線との接続を、層間絶縁膜に形成された開口部を介して行うことが好ましい。これにより、素子接続配線を構成する薄膜2層配線と、信号読出配線を構成する薄膜2層配線とを同時形成することが容易となり、製造容易な熱型赤外線検出器アレイを提供することができる。これは、薄膜2層配線と低抵抗層を連続して形成すると、素子接続配線の部分にある低抵抗層をエッチングする際に下側の薄膜2層配線も同時にエッチングされてしまうが、間に層間絶縁膜を形成することにより素子接続配線の部分の薄膜2層配線をエッチングから保護することができるからである。
【0018】
また、薄膜2層配線を第1導電層と第2導電層から構成する際に、第1導電層を、コバルト、タンタル、チタン、タングステン等又はこれら2種以上の合金等から成る群から選択された1種によって形成し、第2導電層を、タンタル、チタン、タングステン、窒化タンタル、窒化チタン、窒化タングステン、炭化タンタル、炭化チタン、炭化タングステン、ホウ化タンタル、ホウ化チタン、ホウ化タングステン等から成る群から選択された1種から形成することが好ましい。これにより、薄膜2層配線とシリコンとの間で安定したコンタクトを取ると共に、薄膜2層配線の上に形成されるアルミ等の低抵抗金属がシリコンに拡散することを防止することができる。
【0019】
基板上で熱型検出器が支持脚を介して中空に保持されている熱型赤外線検出器アレイの場合、支持脚内にあって熱型赤外線検出器と信号読出配線とを接続する支持脚内配線も薄膜2層配線によって形成することが可能である。熱伝導率が第3導電層に用いる材料よりも低く、かつさらに上の配線層の金属のSiへの拡散を防ぐことのできる材料を用いれば、薄膜2層配線を支持脚内の配線と兼ねて形成することができる。特に、薄膜2層配線の第2導電層がタンタル、チタン、タングステン等、又はこれらの窒化物等から成る場合に、熱伝導率が低くなり好ましい。これにより、素子接続配線を構成する薄膜2層配線と、信号読出配線を構成する薄膜2層配線と、支持脚内配線を構成する薄膜2層配線とを同時形成することが可能となり、製造容易な熱型赤外線検出器を提供することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の各図において、図7〜図10と同一の符号を付した部材は同一又は対応する部材を示す。
実施の形態1.
まず、本発明に係る熱型赤外線検出器の構成の概略について説明する。尚、本発明に係る熱型赤外線検出器アレイの動作は従来と同様である。図1に、本発明に係る熱型赤外線検出器アレイの全体の回路構成を示す。PN接合ダイオード等の複数のシリコン素子を接続してなる検出器4がマトリックス状に2次元配列されており、その周囲に、水平の読出し回路20と垂直の読出し回路21が配置されている。各々の検出器4と、水平読出し回路20及び垂直読出し回路21との間は、信号読出配線8によって接続されている。各検出器4がイメージセンサの1画素を構成しており、各検出器4の出力を順次に読み出すことによって、赤外線イメージの撮像を行うことができる。これらの回路構成がSOI基板上にモノリシックに形成されている。
【0021】
図2は、熱型赤外線検出器アレイの1画素分の構成を示す模式的断面図である。SOIウエハのSi基板1の上に、埋め込み酸化膜(BOX酸化膜)2を介して、SOI層である薄いSi層にPN接合ダイオード18が形成されている。これらが素子接続配線5によって接続されてラテラルPN接合を形成し、検出器4が構成されている。検出器4は、支持脚10によって空洞15の上に保持されており、断熱構造が形成されている。検出器4と読出し回路(図示せず)の間の信号伝達は、支持脚10内の配線7(=支持脚内配線)と、信号読出し用の配線8とを介して行われる。6及び9は金属配線を保護し、電気的に絶縁するための層間酸化膜、14は受光面積を拡げ開口率を増大させるための薄膜赤外線吸収構造である。
【0022】
次に、本発明に係る熱型赤外線検出器アレイの特徴である配線構造について説明する。PN接合ダイオード18同士を接続する素子接続配線5は、薄膜の2層配線のみから成る。薄膜2層配線は、シリサイドを形成可能な金属から成る第1導電層と、金属の拡散を防止可能な導電性物質から成る第2導電層とを積層した構造を有する。シリサイドを形成可能な金属として、コバルト、タンタル、チタン、タングステン等が好ましく、これら2種以上の合金であっても良い。金属の拡散を防止可能な導電性物質としては、タンタル、チタン、タングステン、窒化タンタル、窒化チタン、窒化タングステン、炭化タンタル、炭化チタン、炭化タングステン、ホウ化タンタル、ホウ化チタン、ホウ化タングステン等が好ましい。薄膜2層配線の合計膜厚は、好ましくは200nm以下とする。配線パターンを形成後、熱処理することにより第1導電層とPN接合ダイオードのシリコンとの界面にシリサイド層を形成する。こうして形成された素子接続配線5は、PN接合ダイオード18と安定したコンタクトを取ることができると共に、従来の1/2以下の膜厚となる。
【0023】
一方、検出器4から読出し回路(図示せず)に電気信号を伝達する信号読出配線8は、薄膜2層配線8aと、薄膜2層配線8aの上に層間絶縁膜6を介して積層された電気良導体の金属から成る低抵抗層8b(=第3導電層)とから成る。薄膜2層配線8aと低抵抗層8bとの間に層間絶縁膜6を形成することにより、素子接続配線の薄膜2層配線5と信号読出配線の薄膜2層配線8aとを同時形成することが可能となる。低抵抗層8bは、電気抵抗率の小さい金属材料、例えば、アルミニウム、銅、又はこれらを含む合金などを用いて、500〜1000nmの厚膜に形成する。これにより、検出器4と信号読出し回路との間の信号伝達のなまりを抑制することができる。
【0024】
図3(a)〜(d)及び図4(a)〜(c)は、図1及び図2に示す熱型赤外線検出器アレイの製造方法を、検出器4および読み出し回路への信号線の部分について示している図である。まず、図3(a)に示すように、Si基板1上に埋め込み酸化膜2を介して形成されたSOI基板に複数個のPN接合ダイオード18を形成し、水平及び垂直読出し回路20及び21のトランジスタ(図示せず)を形成する。層間膜を成膜後、素子接続配線5を、信号読出配線8及び読み出し回路の配線(図示せず)の薄膜2層配線8aと同一の材料を用いて同時に形成する。PN接合ダイオード18や読出し回路中のトランジスタと薄膜2層配線との接続は、層間膜に形成したコンタクトホールを介して行う。薄膜2層配線は、下層にSiとの界面にシリサイドを形成可能な金属を配し、上層にバリアメタル(別の配線層の金属のSiへの拡散を防ぐ)となる金属を配した積層構造で、合計の膜厚が好ましくは200nm以下となるように形成する。配線パターン形成後に熱処理を行い、薄膜2層配線とSiとの間にシリサイド層を形成する。
【0025】
次に、図3(b)に示すように、 層間膜6を成膜した後、信号読出配線8及び読み出し回路の配線(図示せず)の部分に、薄膜2層配線8aに接続する開口を形成する。そして、抵抗率の低い導電材料を用いて低抵抗層(=第3導電層)8bを形成し、層間絶縁膜9で覆う。次に、図3(c)に示すように、層間絶縁膜6及び9にSi基板1に到達する開口11を形成し、図3(d)に示すようにアモルファスSi層12を基板全面を埋めるように形成する。次に、図4(a)に示すように、PN接合ダイオード18上の一部の領域についてのみアモルファスSi層12をエッチングして、開口部13を形成する。素子接続配線5の段差が小さいため、アモルファスSi12の残渣は殆ど問題とならない。
【0026】
次に、図4(b)に示すように、薄膜赤外線吸収構造14を形成する。アモルファスSi層12に到達する開口部17から、アモルファスSi12およびSi基板1の一部を同時にエッチングすることで、図4(c)に示すように、空洞15を形成する。これにより検出器4及び薄膜赤外線吸収構造14を支持脚(図示せず)で支えた中空構造を形成することができる。また、こうして形成された薄膜赤外線吸収構造14は、検出器4の上面に接続した部分を支柱として画素のほぼ全面に張り出した断面翼状の形状となる。
【0027】
尚、本実施の形態では、薄膜2層配線8aと低抵抗層8bとの間に層間絶縁膜6を形成したが、薄膜2層配線8aにダメージを与えずに低抵抗層8bをエッチングできる手段があれば、薄膜2層配線8aと低抵抗層8bを連続しても良い。
【0028】
実施の形態2.
実施の形態1では、素子接続配線5と信号読出配線の薄膜2層配線8aとを同時に形成した。本実施の形態では、素子接続配線5と信号読出配線の薄膜2層配線8aに加えて、支持脚内の配線も同時に形成する。図5(a)〜(d)及び図6(a)〜(c)は、本実施の形態に係る熱型赤外線検出器アレイの製造方法を示す断面図である。
【0029】
まず、図5(a)に示すように、Si基板1の上にBOX酸化膜2を介してSi薄膜を形成したSOI基板に、複数個のPN接合ダイオード18、及び読み出し回路のトランジスタ(図示せず)を形成する。層間膜を成膜後、複数個のPN接合ダイオード18の間を電気的に接続する素子接続配線5と、読み出し回路への信号読出配線の薄膜2層配線8aと、検出器4の中空構造を保持する支持脚10に含まれる支持脚内配線7とを同時に形成する。これらの配線は、下層にSiとの界面にシリサイド層形成可能な金属を配し(=第1導電層)、上層に熱伝導率の低い導電物質(=第2導電層)を配した積層構造とする。シリサイド形成可能な金属としては、コバルト、タンタル、チタン、タングステン等、又はこれら2種以上の合金等を用いることが好ましい。また、熱伝導率の低い導電物質としては、タンタル、チタン、タングステン等、又はこれらの窒化物等を用いることが好ましい。配線パターン形成後、熱処理を実施し、Siと第1導電層の界面にシリサイド層を形成する。
【0030】
次に、図5(b)に示すように、 層間絶縁膜6を成膜した後、信号読出配線8及び読み出し回路の配線(図示せず)の部分に、薄膜2層配線8aに接続する開口を形成する。そして、抵抗率の低い導電材料を用いて低抵抗層(=第3導電層)8bを形成し、層間絶縁膜9で覆う。次に、図5(c)に示すように、層間絶縁膜6及び9にSi基板1に到達する開口11を形成し、図5(d)に示すようにアモルファスSi層12を基板全面を埋めるように形成する。次に、図6(a)に示すように、PN接合ダイオード18上の一部の領域についてのみアモルファスSi層12をエッチングして、開口部13を形成する。素子接続配線5の段差が小さいため、アモルファスSi12の残渣は殆ど問題とならない。
【0031】
次に、図6(b)に示すように、薄膜赤外線吸収構造14を形成する。アモルファスSi層12に到達する開口部17から、アモルファスSi12およびSi基板1の一部を同時にエッチングすることで、図6(c)に示すように、空洞15を形成する。これにより検出器4及び薄膜赤外線吸収構造14を支持脚10で支えた中空構造を形成することができる。
【0032】
尚、上記実施の形態では、検出器内の素子がPN接合ダイオードである場合を例に示したが、検出器内の素子はこれに限られず、シリコンをコンタクト部分に含むようなシリコン素子であれば本件発明を適用可能である。例えば、PN接合ダイオードの他に、バイポーラトランジスタ、接合電界効果トランジスタ、MOSトランジスタ等であっても良い。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、検出器内の素子接続配線を、信号読出配線のバリアメタル層およびシリサイド形成層である薄膜2層配線を用いて形成したため、検出器部分の熱容量が低減され、感度が向上する。また、検出器上の段差を低減でき、製造歩留まりを改善して性能的にも安定した熱型赤外線検出器アレイを製造できる。さらに、シリコン素子に含まれるSiとの界面にシリサイド層を形成して電気的に安定したコンタクトを形成できる。一方、信号読出配線及び読出し回路中の配線には、薄膜2層配線より上層に電気抵抗率の低い導電性材料層を追加形成したため、回路の駆動および信号伝達の際の配線抵抗による遅延の問題を回避できる。
【0034】
また、本件発明において、電気抵抗率の低い低抵抗層(=第3導電層)と薄膜2層配線の間に層間絶縁膜を形成したため、素子接続配線を構成する薄膜2層配線と、信号読出配線を構成する薄膜2層配線とを同時形成することが容易となり、製造容易な熱型赤外線検出器アレイを提供することができる。
【0035】
また、薄膜2層配線を第1導電層と第2導電層から構成する際に、第1導電層を、コバルト、タンタル、チタン、タングステン等又はこれら2種以上の合金等によって形成し、第2導電層を、タンタル、チタン、タングステン、窒化タンタル、窒化チタン、窒化タングステン、炭化タンタル、炭化チタン、炭化タングステン、ホウ化タンタル、ホウ化チタン、又はホウ化タングステン等によって形成することにより、薄膜2層配線とシリコンとの間に安定したコンタクトを取ると共に、薄膜2層配線の上に形成されるアルミ等の低抵抗金属がシリコンに拡散することを防止することができる。
【0036】
基板上で熱型検出器が支持脚を介して中空に保持されている熱型赤外線検出器アレイの場合、支持脚内にあって熱型赤外線検出器と信号読出配線とを接続する支持脚内配線も、薄膜2層配線によって形成することにより、素子接続配線と、信号読出配線を構成する薄膜2層配線と、支持脚内配線とを同時形成することが可能となり、製造容易な熱型赤外線検出器を提供することができる。さらに、薄膜2層配線の第2導電層を、タンタル、チタン、タングステン、又はこれらの窒化物から形成することにより、支持脚を介しての熱伝導を抑制して熱型赤外線検出器の感度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係る熱型赤外線検出器アレイの回路構成の一例を示す回路図である。
【図2】 図2は、本発明に係る熱型赤外線検出器アレイの1画素の断面構造の一例を示す模式的断面図である。
【図3】 図3(a)〜(d)は、本発明の実施の形態1に係る熱型赤外線検出器アレイの製造工程の前半を示す模式断面図である。
【図4】 図4(a)〜(c)は、本発明の実施の形態1に係る熱型赤外線検出器アレイの製造工程の後半を示す模式断面図である。
【図5】 図5(a)〜(d)は、本発明の実施の形態2に係る熱型赤外線検出器アレイの製造工程の前半を示す模式断面図である。
【図6】 図6(a)〜(c)は、本発明の実施の形態2に係る熱型赤外線検出器アレイの製造工程の後半を示す模式断面図である。
【図7】 図7は、従来の熱型赤外線検出器アレイの1画素の断面構造を示す模式的断面図である。
【図8】 図8は、図7に示す熱型赤外線検出器アレイの検出器部分を拡大して示す斜視図である。
【図9】 図9(a)〜(c)は、従来の熱型赤外線検出器アレイの製造工程の前半を示す模式断面図である。
【図10】 図10(a)〜(c)は、従来の熱型赤外線検出器アレイの製造工程の後半を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 Si基板、2 埋め込み酸化膜(BOX酸化膜)、4 検出器、5 素子接続配線、6 層間絶縁膜、7 支持脚内配線、8 信号読出配線、9 層間絶縁膜、10 支持脚、11及び17 開口部、12 アモルファスSi層、14 薄膜赤外線吸収構造、18 PN接合ダイオード。
Claims (8)
- 基板上に、1次元又は2次元に配列された複数の熱型赤外線検出器と、前記熱型赤外線検出器の1次元又は2次元配列の周辺に配置された信号読出回路と、個々の前記熱型赤外線検出器から前記信号読出回路に電気信号を伝達する信号読出配線とを備え、
前記熱型赤外線検出器中に、電気特性が温度によって変化するシリコン素子が複数個配置され、前記シリコン素子同士が素子接続配線によって電気接続された熱型赤外線検出器アレイにおいて、
前記素子接続配線が、第1導電層と第2導電層とを積層した薄膜2層配線から成ると共に、前記第1導電層が、シリサイドを形成可能な金属から成り、前記第2導電層が、前記薄膜2層配線の上に形成される金属のシリコンへの拡散を防止可能な導電性物質から成り、
前記信号読出配線が、前記薄膜2層配線の上に金属から成る第3導電層を形成して成ることを特徴とする熱型赤外線検出器アレイ。 - 前記第3導電層と前記薄膜2層配線の間に絶縁膜が形成されており、前記第3導電層が、前記絶縁膜に形成された開口部を介して前記薄膜2層配線と電気接続することを特徴とする請求項1記載の熱型赤外線検出器アレイ。
- 前記素子接続配線を構成する薄膜2層配線と、前記信号読出配線を構成する薄膜2層配線とが同時形成されたことを特徴とする請求項2記載の熱型赤外線検出器アレイ。
- 前記第1導電層は、コバルト、タンタル、チタン、タングステン及びこれら2種以上の合金から成る群から選択された1種から成り、前記第2導電層は、タンタル、チタン、タングステン、窒化タンタル、窒化チタン、窒化タングステン、炭化タンタル、炭化チタン、炭化タングステン、ホウ化タンタル、ホウ化チタン、及びホウ化タングステンから成る群から選択された1種から成ることを特徴とする請求項1記載の熱型赤外線検出器アレイ。
- 前記基板上で前記熱型赤外線検出器が支持脚を介して中空に保持されており、前記支持脚内にあって前記熱型赤外線検出器と前記信号読出配線とを接続する支持脚内配線が、前記薄膜2層配線から成ることを特徴とする請求項1又は2記載の熱型赤外線検出器アレイ。
- 前記薄膜2層配線の第2導電層が、前記第3導電層よりも熱伝導率が低く、かつ、前記薄膜2層配線の上に形成された金属のシリコンへの拡散を防ぐ材料から成ることを特徴とする請求項5記載の熱型赤外線検出器アレイ。
- 前記薄膜2層配線の第2導電層が、タンタル、チタン、タングステン、及びこれらの窒化物から成る群から選択された1種であることを特徴とする請求項5記載の熱型赤外線検出器アレイ。
- 前記素子接続配線を構成する薄膜2層配線と、前記信号読出配線を構成する薄膜2層配線と、前記支持脚内配線を構成する薄膜2層配線とが同時形成されたことを特徴とする請求項5記載の熱型赤外線検出器アレイ。
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