JP3680361B2 - 空調装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、略平板状のドア本体が冷風通路開口部と温風通路開口部との間を移動することにより、ドア本体と、冷風通路開口部および温風通路開口部とが重なる面積を変化させることにより、冷風通路と温風通路に流入する空気の割合を調節する空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、空調装置としては、実開平6−71222号公報に開示されているように、通風方向に対してほぼ垂直な面に、冷風が通過する冷風通路の開口部と温風が通過する温風通路の開口部とを上下に形成し、エアミックスドアを上下にスライドさせて、各開口部とエアミックスドアとの重なり具合によって、冷風通路と温風通路に流入する空気の割合を調節するものが挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、冷風時の最大風量を温風時の最大風量よりも多くしたいというニーズがある。しかしながら、前記実開平6−71222号公報に開示されている、エアミックスドアをスライドさせることによって温風通路と冷風通路との開口割合が調節されるような構造の空調装置では、最大冷房時あるいは最大暖房時においては、エアミックスドアによって温風通路と冷風通路のうちどちらか一方を全開とすると同時に、他方を全閉とすることができるようにするために、温風通路の開口部と冷風通路の開口部の断面積をほぼ等しいものとしておかなければならない。そのため、最大冷房時にエバポレータから冷風通路に流入する空気量と、最大暖房時にエバポレータから温風通路に流入する空気量とは同程度となる。したがって、温風時の最大風量と冷風時の最大風量とが同程度となってしまい、上述した冷風時の最大風量を温風時の最大風量よりも大きくしたいというニーズに応えることができないという問題点がある。この問題点に対し、送風機の能力を増大させ、冷風時において必要とされる風量を得るといった解決策が提案されてはいるが、温風時における風量が過剰となってしまい、冷風時および温風時における必要最大風量をバランスよく得ることができないという問題点が依然として残っている。
【0004】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、最大冷房時において冷風通路に流入する空気量を増加させ、温風時の最大風量よりも冷風時の最大風量を増加させた空調装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
内部を空気が流れる空気通路を有するケースと、
このケースの内部に収められ、通過する前記空気を冷却するエバポレータと、
このエバポレータよりも前記空気の流れの下流側に配設され、前記エバポレータを通過した前記空気を加熱するヒータコアと、
前記ヒータコアが配置された温風通路と、
前記温風通路をバイパスする冷風通路と、
前記温風通路の前記空気の流れの最上流となる温風通路開口部、および前記冷風通路の前記空気の流れの最上流となる冷風通路開口部、がそれぞれ形成された内壁と、
前記エバポレータよりも前記空気の流れの下流側、かつ前記内壁よりも前記空気の流れの上流側において前記温風通路開口部および前記冷風通路開口部と重なるように配され、前記温風通路開口部および前記冷風通路開口部と重なる面積が変化するように移動し、前記温風通路と前記冷風通路とを通過する前記空気の割合を調節するドア本体、およびこのドア本体を前記内壁に沿って移動させる変位手段を有するエアミックスドアとを有する空調装置において、
前記内壁は、前記ドア本体が前記冷風通路開口部を最大限開口する際に、前記冷風通路開口部が前記温風通路開口部よりも前記空気の流れの下流側となるように傾斜しており、
前記エアミックスドアのドア本体は、空気を通過させる貫通部が形成された支持部材と、この支持部材を覆うように配設されたフィルム部材とを有するという技術的手段を採用するものである。
【0006】
また、請求項2に記載の発明では、
内部を空気が流れる空気通路を有するケースと、
このケースの内部に収められ、通過する前記空気を冷却するエバポレータと、
このエバポレータよりも前記空気の流れの下流側に配設され、前記エバポレータを通過した前記空気を加熱するヒータコアと、
前記ヒータコアが配置された温風通路と、
前記温風通路をバイパスする冷風通路と、
前記温風通路の前記空気の流れの最上流となる温風通路開口部、および前記冷風通路の前記空気の流れの最上流となる冷風通路開口部、がそれぞれ形成された内壁と、
前記エバポレータよりも前記空気の流れの下流側、かつ前記内壁よりも前記空気の流れの上流側において前記温風通路開口部および前記冷風通路開口部と重なるように配され、前記温風通路開口部および前記冷風通路開口部と重なる面積が変化するように移動し、前記温風通路と前記冷風通路とを通過する前記空気の割合を調節するドア本体、およびこのドア本体を前記内壁に沿って移動させる変位手段を有するエアミックスドアとを有する空調装置において、
前記内壁は、前記ドア本体が前記温風通路開口部を最大限閉鎖する際に、前記冷風通路開口部が前記温風通路開口部よりも前記空気の流れの下流側となるように傾斜しており、
前記エアミックスドアのドア本体は、空気を通過させる貫通部が形成された支持部材と、この支持部材を覆うように配設されたフィルム部材とを有するという技術的手段を採用するものである。
【0007】
さらに、請求項3に記載の発明は、
内部を空気が流れる空気通路を有するケースと、
このケースの内部に収められ、通過する前記空気を冷却するエバポレータと、
このエバポレータよりも前記空気の流れの下流側に配設され、前記エバポレータを通過した前記空気を加熱するヒータコアと、
前記ヒータコアが配置された温風通路と、
前記温風通路をバイパスする冷風通路と、
前記温風通路の前記空気の流れの最上流となる温風通路開口部、および前記冷風通路の前記空気の流れの最上流となる冷風通路開口部、がそれぞれ形成された内壁と、
前記エバポレータよりも前記空気の流れの下流側、かつ前記内壁よりも前記空気の流れの上流側において前記温風通路開口部および前記冷風通路開口部と重なるように配され、前記温風通路開口部および前記冷風通路開口部と重なる面積が変化するように移動し、前記温風通路と前記冷風通路とを通過する前記空気の割合を調節するドア本体、およびこのドア本体を前記内壁に沿って移動させる変位手段を有するエアミックスドアとを有する空調装置において、
前記内壁は、最大冷房時において、前記冷風通路開口部が前記温風通路開口部よりも前記空気の流れの下流側となるように傾斜しており、
前記エアミックスドアのドア本体は、空気を通過させる貫通部が形成された支持部材と、この支持部材を覆うように配設されたフィルム部材とを有するという技術的手段を採用するものである。
【0008】
さらに、請求項4は、請求項1ないし3のいずれか1つにおいて、常に、前記ドア本体の前記空気の流れの上流側の面を、前記空気の流れに対して垂直な面から、前記冷風開口部側となる部分が前記エバポレータから離れる向きに所定の角度傾斜しているという技術的手段を採用するものである。
さらに、請求項5は、請求項1ないし4のいずれか1つにおいて、前記温風通路開口部および前記冷風通路開口部の開口平面が同一平面となるように、前記温風通路開口部および前記冷風通路開口部を形成するという技術的手段を採用するものである。
【0009】
さらに、請求項6は、請求項5において、前記開口平面を、前記空気の流れに対して垂直な面から前記冷風開口部側が前記エバポレータから離れる向きに所定の角度だけ傾斜させ、前記ドア本体を略平板状とし、前記開口部の開口平面上を前記ドア本体が移動するという技術的手段を採用するものである。
さらに、請求項7は、請求項1ないし6のいずれか1つにおいて、前記冷風通路開口部と前記温風通路開口部とが隣接して配置されるという技術的手段を採用するものである。
【0010】
【作用および発明の効果】
請求項1に示したように、ドア本体が冷風通路開口部を最大限開口する際に、換言すれば請求項2に示したように、ドア本体が温風通路開口部を最大限閉鎖する際に、さらに換言すれば請求項3に示したように、最大冷房時において、エアミックスドアのドア本体の空気の流れの上流側の面、すなわちエバポレータ側となる面を、空気の流れに対して垂直な面から、エバポレータから離れる向きに所定の角度傾斜していることにより、ドア本体のエバポレータ側となる面とエバポレータとの距離を、温風通路側から冷風通路側となるにつれて大きくすることができる。したがって、ドア本体とエバポレータとの間にできる空間を、冷風通路開口部側となるにつれて大きくすることができる。その結果、冷風時にエバポレータを通過した空気のうち、温風通路側を通過した空気はドア本体によって遮られた後、ドア本体の板面に沿って冷風通路側へと移動し、冷風通路開口部へと流入する。したがって、従来のような構造のエアミックスドアを有する空調装置に比べて、冷風通路を通過する空気の割合が大きくなる冷風時に、エバポレータから冷風通路へと流入する空気の総量を増加させることができ、冷風時の最大風量を増加させることができる。さらに、ドア本体は上述したように傾斜しているため、ドア本体の板面に衝突した空気による力は、ドア本体の板面に沿った力と、このドア本体の板面に垂直な力とに分解される。これらの、分解されて生じる力のうち、ドア本体の板面に沿った力により、ドア本体を冷風通路側に移動させるのに必要な操作力を軽減することもできる。
【0011】
また、請求項4では、請求項1ないし3のいずれか1つと同様の作用と効果とが得られる。
また、請求項5では、請求項1ないし4のいずれか1つと同様の作用と効果とが得られる。
また、請求項6では、請求項5と同様の作用と効果とが得られる。
【0012】
また、請求項7では、請求項1ないし6のいずれか1つと同様の作用と効果とが得られる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を車両用空調装置のエアミックスドアに適用した実施例について、図面に基づいて説明する。
図1は、車両用空調装置の全体概略構成図である。車両用空調装置は、車室内に空気を導くためのケース1と、このケース1内に配設される空調機能部品とからなる。
【0014】
ケース1は、ポリプロピレンなどの樹脂からなる。このケース1内の最上流側には、ケース1中に吸入する空気を内気とするか外気とするかを選択する内外気切換装置(図示しない)が配置されている。
さらに、この内外気切換装置よりも下流側には、ケース1内に空気流を発生させる送風機(図示しない)が配設される。この送風機が回転すると、内気または外気がケース1内に吸引され、車室内に向かった空気流が発生する。
【0015】
ケース1内の送風機よりも下流側の部分には、通過する空気を冷却するエバポレータ2が配設されている。このエバポレータ2は、図示しないコンデンサ、コンプレッサ、リキッドタンクおよび膨張弁と配管結合されて冷凍サイクルを構成しており、ケース1の通路断面をほぼ塞ぐように立設されている。送風機によって内外気切換装置から流れ込んだ空気は、送風機連通口1aを介してケース1内に流入し、エバポレータ2へと流れ込む。
【0016】
ケース1の、エバポレータ2よりも下流側の部分は、冷風通路3と温風通路4との2つに分岐している。冷風通路3と温風通路4とは、ケース1内を流れる空気の流れに平行に設けられた仕切り壁8により区画されている。この仕切り壁8よりも上部が冷風通路3となっており、仕切り壁8よりも下部が温風通路4となっている。
【0017】
冷風通路3と温風通路4の分岐点となる位置には、ケース1の通路全面にわたって内壁7が形成されている。この内壁7には冷風通路開口部5と温風通路開口部6とが形成されており、両者の開口平面は同一平面上に形成される。詳述すると、内壁7の、冷風通路3の最上流側となる部分には、その開口形状が略長方形状である冷風通路開口部5が形成されている。また、内壁7の、温風通路4の最上流側となる部分には、その開口形状が略長方形状である温風通路開口部6が形成されている。
【0018】
また、内壁7は、冷風通路開口部5側が温風通路開口部6側よりも下流側となるように、つまりエバポレータ2から離れる向きに空気の流れ方向に対して垂直な面から所定の角度で傾斜している。つまり、内壁7は上方に向かうにつれてエバポレータ2から離れるように形成されている。
エバポレータ2を通過した空気は、冷風通路開口部5を介してケース1から冷風通路3へと、温風通路開口部6を介してケース1から温風通路4へと、それぞれ流入する。温風通路4に流入した空気は、全てヒータコア10に送られる。一方、冷風通路開口部5を介して冷風通路3へと流入した空気は、全てヒータコア10を迂回するようになっている。
【0019】
このヒータコア10は、温風通路4に、その通路断面をほぼ塞ぐように、立設されており、温風通路4を通過する空気は全てヒータコア10を通過することになる。ヒータコア10はエンジン冷却水を熱源とし、内部を流れるエンジン冷却水の水量や、エンジン冷却水の供給を断続的に行うことで、必要な加熱能力を得るものである。
【0020】
エバポレータ2よりも下流側かつ、内壁7よりも上流側となる部分には、冷風通路3へ流入する空気と温風通路4へ流入する空気とを所望する割合で流入させるエアミックスドア9が配設されている。このエアミックスドア9については、後で詳述する。
ケース1内の、冷風通路3および温風通路4よりも下流側の部分には、冷風通路3を通過した冷風と温風通路4を通過した温風とを混合させるエアミックス部11が設けられており、空調温度を調節することができる。
【0021】
ケース1内の、エアミックス部11よりも下流側の部分は、エアミックス部11で空調温度を調節された空気を車室内に導く連通ダクト16と連通ダクト17の2つに分岐している。図1において、連通ダクト16は上方に向かって延びており、連通ダクト17は下方に向かって延びている。
連通ダクト16の下流側には、乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すためのフェイス連通開口部13と、車両のフロントガラスの内面に向けて空調風を吹き出すためのデフロスタ連通開口部15とがそれぞれ開口している。一方、連通ダクト17の下流側には、乗員の下半身に向けて空調風を吹き出すためのフット連通開口部14が開口している。
【0022】
なお、連通ダクト16と連通ダクト17との分岐部には、エアミックス部11で空調温度を調節された空気を連通ダクト16に送風するか、連通ダクト17に送風するかを選択的に決定する切替ドア19が設けられている。さらに、連通ダクト16の、切替ドア19よりも空気下流側の部分には、連通ダクト16に送風された空気をフェイス連通開口部13から吹き出すか、デフロスタ連通開口部15から吹き出すかを選択的に決定する切替ドア18が配置されている。
【0023】
切替ドア19が図1中aとした回動位置である場合、空調風は全て連通ダクト16に送風される。一方、切替ドア19が図1中bとした回動位置である場合、空調風は全て連通ダクト17に送風され、フット連通開口部14から吹き出される。また、切替ドア19が図1中aとした回動位置であり、切替ドア18が図1中cとした回動位置である場合、空調風はデフロスタ連通開口部15から吹き出される。一方、切替ドア19が図1中aとした回動位置であり、切替ドア18が図1中dとした回動位置である場合、空調風はフェイス連通開口部13から吹き出される。
【0024】
このように、切替ドア18、19をフェイス、フット、デフ等の各モードに応じて移動させることにより、空気をフェイス連通開口部13から吹き出すか、フット連通開口部14から吹き出すか、デフロスタ連通開口部15から吹き出すかを選択的に決定する。
続いて、上述したエアミックスドア9について詳述する。
【0025】
エアミックスドア9は、略平板状のドア本体9aと、このドア本体9aを変位させる変位手段であり、その位置を調節する調節部材12とからなる。
図2は、エアミックスドア9をケース1内に取り付けた状態を示す図である。図3はドア本体9aの斜視図であり、図4はドア本体9aの分解図である。
図4に示したように、ドア本体9aは、略平板状の支持部材20とこの支持部材20を覆うように配設されるフィルム部材22とを有している。
【0026】
支持部材20は、例えばポリプロピレンなどの樹脂からなり、略長方形の板状に成形されている。ドア本体9aの板面となる、支持部材20の平面部21には4つの貫通部24a〜24dが形成されており、図2に示すように、ちょうど漢字の田の字のような枠体状を呈しており、十字状の支持部20aを有している。支持部材20の長辺側の両端部(図2中紙面手前側と紙面奥側における両端部)は略垂直に折り曲げられており、取付部25a、25bとなっている。この取付部25a、25bには、支持部材20の外側に向けて等間隔に突出した突起部26が形成されている。
【0027】
一方、支持部材20の短辺側の両端部には、ケース1内に支持部材20を保持するための円柱状の保持部32が突出して形成されている。さらに、支持部材20の支持部20aの上面には軸受溝37を有する軸受部27が突設されている。
フィルム部材22は、通気性がなく、柔軟性があり、しかも摩擦抵抗の小さい、例えば75μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどからなり、略長方形状を呈している。フィルム部材22の長辺側の両端部には支持部材20に形成された突起部26と同じ間隔で取付穴28が形成されている。また、フィルム部材22を支持部材20に取り付ける際に、軸受部27が重なるフィルム部材22の部分には、軸受部27が挿入される挿入穴30が形成されている。
【0028】
フィルム部材22の片側の取付穴28を支持部材20の突起部26に嵌合させ、軸受部27を挿入穴30に挿入しながら、反対側の取付穴28を支持部材20の突起部26に嵌合させる。さらに、加熱装置(図示しない)にて突起部26を溶融させることで、取付部25a、25bにフィルム部材22を熱溶着させることで、フィルム部材22は支持部材20に固定される。(図3参照)
なお、フィルム部材22の長辺側の長さ(図4中Zで示した長さ)は、支持部材20の長辺側の長さ(図4中Wで示した長さ)と同じとなっている。一方、フィルム部材22の短辺側の長さ(図4中Yで示した長さ)は、支持部材20の短辺側の長さ(図4中Xで示した長さ)と取付部25a、25bの幅(図4中Vで示した幅の2倍)とをあわせた長さよりも長い。
【0029】
したがって、図3に示すように、支持部材20の平面部21とフィルム部材22との間に空間ができるように、フィルム部材22がたわんだ状態で支持部材20に固定される。
調節部材12は、両端がケース1に回転可能に支持される駆動軸200と、この駆動軸200に取り付けられ、ケース1の空気流れ方向を調節する調節部34と、駆動軸200とエアミックスドア9とを連結する腕部35とを有している。
【0030】
駆動軸200の一端は外部に突出しており、レバー23が取り付けられている。このレバー23は、駆動軸200を駆動するコントロールケーブルやサーボモータなどの駆動手段(図示しない)と連結されている。
駆動軸200には、板状の部材である調節部34が取り付けられており、駆動軸200の回転に伴い、調節部34の板面の向きは変化する。
【0031】
腕部35は長尺状の板状の部材であり、その一端には円柱状の突起部36が形成されている。一方、腕部35の他端は,腕部35の板面が調節部34の板面にほぼ垂直となるように駆動軸200に取り付けられている。
続いて、エアミックスドア9のケース1内への取り付け方法について述べる。
図1に示すケース1は、紙面表側と紙面裏側とで2つに分割可能となっている。これらの分割可能なケース1の内側には、図2に示すように、断面長穴形状のガイド溝33が形成されている。このガイド溝33は、内壁7よりも空気の流れ上流側に、空気の流れに対して内壁7とほぼ同じの角度で傾斜して形成されている。(なお、図2では図1中紙面裏側に位置するガイド溝33のみ図示する。)支持部材20の平面部21がエバポレータ2を通過した空気に対するような向きで、支持部材20の保持部32はガイド溝33に嵌め込まれ、ドア本体9aはガイド溝33に沿って摺動できるようにケース1内に摺動可能な状態で保持される。したがって、エアミックスドア9は、空気の流れ上流側、つまりエバポレータ2側の面となる平面部21が、ケース1内を流れる空気の流れに対して垂直となる面から内壁7とほぼ同じ角度で傾いた状態で保持される。つまり、平面部21は、常にケース1内を流れる空気の流れに対して垂直となる面から内壁7とほぼ同じ角度で傾いた状態となっている。そのため、エアミックスドア9の、冷風通路開口部5側(図1において上方)の部分とエアバポレータ2との距離は、温風通路開口部6側(図1において下方)の部分とエアバポレータ2との距離よりも大きくなっている。
【0032】
また、調節部材12の腕部35の突起部36がドア本体9aの軸受部27に形成された軸受溝37に挿入され、駆動軸200とドア本体9aとが連結される。
次に、本実施例の作動について説明する。
エアミックスドア9の駆動軸200が回転すると、駆動軸200に取り付けられた腕部35が回転し、腕部35の突起部36が上下に変位する。この突起部36の変位に伴い、ドア本体9aもガイド溝33に沿って変位し、冷風通路3へ流入する空気と温風通路4へ流入する空気とが流入する割合を調節する。
【0033】
図1は、最大冷房時におけるエアミックスドア9の状態を示す図である。この際、エアミックスドア9は最も下方にあり、冷風通路開口部5を介して冷風通路3に流入する空気の割合は最大となっている。
内壁7は冷風通路開口部5側の部分が下流側となるように傾斜しており、この内壁7に沿って移動するドア本体9aの平面部21は、内壁7と同様の角度で空気の流れに対して傾いており、平面部21の、冷風通路開口部5側(図1において上方)の部分とエバポレータ2との距離は、温風通路開口部6側(図1において下方)の部分とエバポレータ2との距離よりも大きくなっている。
【0034】
したがって、ドア本体9aとエバポレータ2との間にできる空間は、冷風通路開口部5側になるにつれて大きくなっており、そのため、冷風時にエバポレータ2を通過した空気のうち、温風通路4側(図1中下部)を通過した空気は、ドア本体9の平面部21に沿って冷風通路3側へと移動し、冷風通路開口部5へと流入する。その結果、冷風通路3を通過する空気の割合が大きくなる冷風時に、エバポレータ2から冷風通路3へと流入する空気の総量を増加させることができ、最大冷房時における風量を増大させることができる。
【0035】
ところで、空気通路の内部を流れる空気は、エアミックスドア9のドア本体9aの平面部21に衝突するが、ドア本体9aの平面部21は空気の流れに対して上述したように傾いているため、ドア本体9aの平面部21に沿った上向きの力と、このドア本体9aの平面部21に垂直な力とに分解される。これらの、分解されて生じる力のうち、ドア本体9aの平面部21に沿った上向きの力により、ドア本体9aを上方に、つまり冷風通路3側に移動させるのに必要な必要な操作力を軽減することもできる。
【0036】
以上の実施例では、ドア本体の空気の流れの上流側の面が、常に空気の流れ方向に対して傾斜するよう配置したが、少なくとも冷風通路を通過する空気の割合が最大となる場合、つまり最大冷房時において、すなわちドア本体が冷風通路開口部を最大限開口する際に、さらに換言すればドア本体が温風通路開口部を最大限閉鎖する際に、ドア本体の空気の流れの上流側の面が傾斜している状態であればよい。例えば、エアミックスドアが最大暖房時において、ドア本体の空気の流れの上流側の面が空気の流れに対して略垂直となるような構造としてもよい。したがって、最大冷房時以外の、ドア本体のエバポレータ側の面の空気の流れに対する角度は特に限定されない。
【0037】
また、以上の実施例では、冷風通路を上部に、温風通路を下部にそれぞれ設けたが、冷風通路と温風通路の位置を上下逆としても同様の効果が得られる。また、冷風通路と温風通路とを上下ではなく、水平方向に並べても同様の効果が得られる。
また、以上の実施例では、冷風通路開口部および温風通路開口部が形成される内壁を空気の流れに対して垂直な面から、冷風通路開口部が下流側となるように傾斜させ、略平板状のドア本体をこの内壁に沿って移動させるような構造としたが、ドア本体の空気の流れの上流側の面が空気の流れに対して傾斜していればよく、ドア本体の形状は略平板状に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した車両用空調装置の全体概略構成図である。
【図2】エアミックスドア9をケース1内に取り付けた状態を示す図である。
【図3】ドア本体9aの斜視図である。
【図4】ドア本体9aの分解図である。
【符号の説明】
1 ケース
2 エバポレータ
3 冷風通路
4 温風通路
5 冷風通路開口部
6 温風通路開口部
9 エアミックスドア
9a ドア本体
12 変位手段である調節部材
21 ドア本体9aのエバポレータ2側の面となる平面部
Claims (7)
- 内部を空気が流れる空気通路を有するケースと、
このケースの内部に収められ、通過する前記空気を冷却するエバポレータと、
このエバポレータよりも前記空気の流れの下流側に配設され、前記エバポレータを通過した前記空気を加熱するヒータコアと、
前記ヒータコアが配置された温風通路と、
前記温風通路をバイパスする冷風通路と、
前記温風通路の前記空気の流れの最上流となる温風通路開口部、および前記冷風通路の前記空気の流れの最上流となる冷風通路開口部、がそれぞれ形成された内壁と、
前記エバポレータよりも前記空気の流れの下流側、かつ前記内壁よりも前記空気の流れの上流側において前記温風通路開口部および前記冷風通路開口部と重なるように配され、前記温風通路開口部および前記冷風通路開口部と重なる面積が変化するように移動し、前記温風通路と前記冷風通路とを通過する前記空気の割合を調節するドア本体、およびこのドア本体を前記内壁に沿って移動させる変位手段を有するエアミックスドアとを有する空調装置において、
前記内壁は、前記ドア本体が前記冷風通路開口部を最大限開口する際に、前記冷風通路開口部が前記温風通路開口部よりも前記空気の流れの下流側となるように傾斜しており、
前記エアミックスドアのドア本体は、空気を通過させる貫通部が形成された支持部材と、この支持部材を覆うように配設されたフィルム部材とを有することを特徴とする空調装置。 - 内部を空気が流れる空気通路を有するケースと、
このケースの内部に収められ、通過する前記空気を冷却するエバポレータと、
このエバポレータよりも前記空気の流れの下流側に配設され、前記エバポレータを通過した前記空気を加熱するヒータコアと、
前記ヒータコアが配置された温風通路と、
前記温風通路をバイパスする冷風通路と、
前記温風通路の前記空気の流れの最上流となる温風通路開口部、および前記冷風通路の前記空気の流れの最上流となる冷風通路開口部、がそれぞれ形成された内壁と、
前記エバポレータよりも前記空気の流れの下流側、かつ前記内壁よりも前記空気の流れの上流側において前記温風通路開口部および前記冷風通路開口部と重なるように配され、前記温風通路開口部および前記冷風通路開口部と重なる面積が変化するように移動し、前記温風通路と前記冷風通路とを通過する前記空気の割合を調節するドア本体、およびこのドア本体を前記内壁に沿って移動させる変位手段を有するエアミックスドアとを有する空調装置において、
前記内壁は、前記ドア本体が前記温風通路開口部を最大限閉鎖する際に、前記冷風通路開口部が前記温風通路開口部よりも前記空気の流れの下流側となるように傾斜しており、
前記エアミックスドアのドア本体は、空気を通過させる貫通部が形成された支持部材と、この支持部材を覆うように配設されたフィルム部材とを有することを特徴とする空調装置。 - 内部を空気が流れる空気通路を有するケースと、
このケースの内部に収められ、通過する前記空気を冷却するエバポレータと、
このエバポレータよりも前記空気の流れの下流側に配設され、前記エバポレータを通過した前記空気を加熱するヒータコアと、
前記ヒータコアが配置された温風通路と、
前記温風通路をバイパスする冷風通路と、
前記温風通路の前記空気の流れの最上流となる温風通路開口部、および前記冷風通路の前記空気の流れの最上流となる冷風通路開口部、がそれぞれ形成された内壁と、
前記エバポレータよりも前記空気の流れの下流側、かつ前記内壁よりも前記空気の流れの上流側において前記温風通路開口部および前記冷風通路開口部と重なるように配され、前記温風通路開口部および前記冷風通路開口部と重なる面積が変化するように移動し、前記温風通路と前記冷風通路とを通過する前記空気の割合を調節するドア本体、およびこのドア本体を前記内壁に沿って移動させる変位手段を有するエアミックスドアとを有する空調装置において、
前記内壁は、最大冷房時において、前記冷風通路開口部が前記温風通路開口部よりも前記空気の流れの下流側となるように傾斜しており、
前記エアミックスドアのドア本体は、空気を通過させる貫通部が形成された支持部材と、この支持部材を覆うように配設されたフィルム部材とを有することを特徴とする空調装置。 - 常に、前記ドア本体の前記空気の流れの上流側の面を、前記空気の流れに対して垂直な面から、前記冷風開口部側となる部分が前記エバポレータから離れる向きに所定の角度傾斜していることを特徴とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の空調装置。
- 前記温風通路開口部および前記冷風通路開口部の開口平面が同一平面となるように、前記温風通路開口部および前記冷風通路開口部を形成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の空調装置。
- 前記開口平面を、前記空気の流れに対して垂直な面から前記冷風開口部側が前記エバポレータから離れる向きに所定の角度だけ傾斜させ、前記ドア本体を略平板状とし、前記開口部の開口平面上を前記ドア本体が移動することを特徴とする請求項5記載の空調装置。
- 前記冷風通路開口部と前記温風通路開口部とが隣接して配置されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の空調装置。
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