JP3679500B2 - 光分割膜、ndフィルター及び光分割素子 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、光学系のビームスプリッタやハーフミラー等の光分割素子に用いられる光分割膜、この光分割膜を用いたND(Neutral Density )フィルター、及び光分割素子に関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
ビームスプリッタやハーフミラー等の光分割素子、あるいはNDフィルターは、ガラスまたはプラスチックからなる透明基板上に光分割膜を付着させて形成されている。この光分割膜は、可及的に平滑な透過率、反射率特性を有することが好ましいが、従来の光分割膜は、これが困難であった。すなわち、光分割膜としては、金、銀、アルミニウム、銅、各種合金などの金属薄膜、誘電体コート材料を積層した誘電体薄膜、あるいは金属薄膜と誘電体薄膜の合成薄膜が知られているが、誘電体光分割膜は、透過率−反射率特性にばらつきがあり、特に可視域における短波長側、長波長側の両端では、平滑性が得られない。金属光分割膜は、可視域の中間においては誘電体膜に比べてより好ましい平滑性が得られるが、その短波長側、長波長側の両端で透過率と反射率の大きさが逆転し、平滑性が得られない。金属合金光分割膜は、透過率、反射率特性自体は、誘電体薄膜、金属薄膜より優れているが、成膜を行う場合に、膜の合金の組成比を一定に保持することが困難で、製造が困難という問題がある。
【0003】
【発明の目的】
本発明は、可視域の全域にわたり、より平滑な透過率、反射率特性が得られ、しかもその製造も容易な光分割膜、NDフィルター、及び光分割素子を得ることを目的とする。
【0004】
【発明の概要】
本発明は、Ni薄膜とCr薄膜の透過率−反射率特性に着目したところ、短波長側から長波長側への反射率−透過率特性がちょうど逆の傾向を示し、両者を組み合わせると、可視域全域で平滑な反射率−透過率特性が得られることを見出して完成されたものである。すなわち、本発明の光分割膜は、Ni薄膜層と、Cr薄膜層とを積層することにより、可視域全域に渡り、平滑な透過率−反射率特性を得ることを特徴とするものである。反射率/透過率の比は、Ni薄膜層とCr薄膜層の膜厚比を変えることで変化させることができる。特にNi薄膜層とCr薄膜層の膜厚比を2.5:1〜3.0:1とすると、可視域の波長において反射率/透過率≒一定の特性が得られる。
【0005】
本発明のNDフィルターは、透明基板上にNi薄膜層を、このNi薄膜層上にCr薄膜層を順次形成してなることを特徴とするものである。また、本発明の光分割素子は、Ni薄膜層とCr薄膜層とを積層することにより、可視域全域に渡り、平滑な透過率−反射率特性を得る光分割膜を有することを特徴とするものである。本発明のNDフィルター、光分割素子は、Ni薄膜層とCr薄膜層の基板上への積層の順序は、問わない。
【0006】
【発明の実施形態】
図2と図3は、Crの単層コート膜の基準波長に対する可視域での透過率と反射率のそれぞれの比を示し、図4と図5は、Niの単層コート膜の基準波長に対する可視域での透過率と反射率のそれぞれの比を示している。これらの図において、Rは任意の波長の光の反射率、Tは同透過率、R550は波長550nmでの反射率、T550は波長550nmでの透過率、λは任意の波長(nm)、λ550は基準波長が550nmであることを意味する。
【0007】
図2と図3から明らかなように、Cr単層コート膜は、透過率に着目すると、短波長側で低くて長波長側では逆に高く、しかもその変化は、波長の増減に対してほぼ単調である。反射率に着目すると、短波長側で高くて長波長側では逆に低く、しかもその変化は、波長の増減に対してほぼ単調である。
【0008】
他方、図4と図5から明らかなように、Ni単層コート膜は、透過率に着目すると、短波長側で高くて長波長側では逆に低く、しかもその変化は、波長の増減に対してほぼ単調である。反射率に着目すると、短波長側で低くて長波長側では逆に高く、しかもその変化は、波長の増減に対してほぼ単調である。
【0009】
本発明は、このCr単層コート膜とNi単層コートの反射率−透過率特性を利用して、平滑な反射率−透過率特性を得たものである。図1は、透明基板11上にNi単層コート膜12とCr単層コート膜13を積層形成した平行平面板タイプのビームスプリッタ(光束分割素子)の模式図である。Ni単層コート膜12とCr単層コート膜13の成膜の順序は、逆でもよい。
このビームスプリッタは、例えば次のように製造される。真空蒸着装置内に、透明蒸着基板(平行平面ガラスまたは樹脂材料)をセットし、同装置内のルツボ内に、NiとCrのコート材料をセットする。蒸着釜内部を真空ポンプを用いて排気して、釜内部の真空度が高真空状態(例えば1.5×10-5Torr程度)に至ったとき、電子ビーム蒸着法により、NiとCrの成膜を行なう。上述のように、成膜の順序は、一層目にNi、二層目にCrでも、一層目にCr、二層目にNiのいずれでもよい。
【0010】
図6は、透明基板11としてガラス(BK7、波長550nmでの屈折率1.518)を用い、この透明基板上に、約7nmのNi単層コート膜12と、約2.3nmのCr単層コート膜13を積層形成したビームスプリッタを、光軸に対して45゜をなす角度でおいたときの反射率−透過率特性を示している。また、図7、図8は、基準波長(550nm)に対する可視域における透過率比と反射率との比を示している。これらの図から明らかなように、可視域での透過率と反射率の分光比は、ほぼ1:1であり、きわめて平滑な透過率−反射率特性が得られる。ほぼ1:1の透過率:反射率比を得るには、Ni膜厚を6.0〜7.5nm、Cr膜厚を2.0〜2.4nmにするとよい。
【0011】
以上のNiとCrのコート膜の厚さは、可視域での透過率と反射率の分光比をほぼ1:1とするための例であり、他の分光比を得ることも勿論可能である。すなわち、透過率−反射率特性は、NiとCrの膜厚比を変えることにより変化させることができ、いずれの分光比でも、可視域の波長における平滑な透過率−反射率特性を得ることができる。特に、NiとCrの膜厚比が2.5:1〜3.0:1の範囲で、平滑な分光特性が得られる。
【0012】
【発明の効果】
本発明の光分割膜によれば、可視域全域に渡り、より平滑な透過率、反射率特性が得られる。しかも、その膜構成は、NiとCrの2つの膜だけからなるから、製造も容易であり、NDフィルターや光分割素子を安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるビームスプリッタの模式図である。
【図2】Cr単層コート膜のある波長における反射率特性を示す図である。
【図3】Cr単層コート膜のある波長における透過率特性を示す図である。
【図4】Ni単層コート膜のある波長における反射率特性を示す図である。
【図5】Ni単層コート膜のある波長における透過率特性を示す図である。
【図6】本発明による光分割膜の反射率−透過率特性の一例を示す図である。
【図7】同透過率特性を示す図である。
【図8】同反射率特性を示す図である。
【符号の説明】
11 透明基板
12 Ni単層コート膜
13 Cr単層コート膜
Claims (9)
- Ni薄膜層と、Cr薄膜層とを積層することにより、可視域全域に渡り、平滑な透過率−反射率特性を得ることを特徴とする光分割膜。
- 請求項1において、Ni薄膜層とCr薄膜層の膜厚比は、2.5:1〜3.0:1である光分割膜。
- 透明基板上にNi薄膜層を、このNi薄膜層上にCr薄膜層を順次形成してなることを特徴とするNDフィルター。
- 透明基板上にCr薄膜層を、このCr薄膜層上にNi薄膜層を順次形成してなることを特徴とするNDフィルター。
- 請求項3または請求項4において、Ni薄膜層とCr薄膜層の膜厚比は、2.5:1〜3.0:1であるNDフィルター。
- Ni薄膜層とCr薄膜層とを積層することにより、可視域全域に渡り、平滑な透過率−反射率特性を得る光分割膜を有することを特徴とする光分割素子。
- 請求項6において、Ni薄膜層とCr薄膜層は、基板側から、Ni薄膜層、Cr薄膜層の順に形成されている光分割素子。
- 請求項6において、Ni薄膜層とCr薄膜層は、基板側から、Cr薄膜層、Ni薄膜層の順に形成されている光分割素子。
- 請求項6〜請求項8のいずれか1項において、Ni薄膜層とCr薄膜層の膜厚比は、2.5:1〜3.0:1である光分割素子。
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JP10527296A Expired - Fee Related JP3679500B2 (ja) | 1996-04-25 | 1996-04-25 | 光分割膜、ndフィルター及び光分割素子 |
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1996
- 1996-04-25 JP JP10527296A patent/JP3679500B2/ja not_active Expired - Fee Related
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