JP3679078B2 - 硬質皮膜被覆工具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、金属材料等の切削加工に使用される硬質皮膜被覆工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来はTiN、Ti(CN)等を被覆した切削工具が汎用的かつ一般的であった。TiNは比較的耐酸化性に優れるため、切削時の発熱によって生じる工具のすくい面摩耗に対して、優れた耐摩耗性を示すだけでなく、基体との密着性も良好であることが特長である。また、Ti(CN)は、TiNに比べ高硬度かつ被加工物から排出される切り粉との接触抵抗が低いため工具表面の発熱が抑制される。このことから、被削材との機械的な擦り摩耗によって工具逃げ面に生じるフランク摩耗を抑制することができる。しかしながら、金属加工の高能率化を目的とした切削速度の高速化傾向に対し、上記硬質皮膜では、十分な耐酸化性、耐摩耗性を示さなくなった。この様な背景から、皮膜の耐酸化性、耐摩耗性をより向上させる研究がなされ、その結果、特許第3248897号公報には(TiSi)N皮膜をa層とし、(TiAl)N皮膜をb層として、a層とb層とを1層以上交互に被覆することによって得られた皮膜が耐酸化性、耐摩耗性を有するという技術が開示されている。一方、特開2001−293601号公報では、耐摩耗性皮膜中に、BN、TiB、TiB等の超微粒化合物を含む皮膜についての開示があり、この超微粒化合物が非晶質構造を有し、皮膜の硬度を向上させる働きがあると記載されている。これにより耐摩耗性、高滑り性、高焼き付き性、被削材の加工精度向上が図れるとのことであるが、超微粒化合物の特性や存在状態についての詳細な記述はなされていない。(TiAl)N皮膜は、その皮膜中に含有するTiとAlの成分比率又はSiやCの皮膜中の含有量により異なるが、概略2300〜2800のビッカース硬さを有する。また、耐酸化性が前記TiN、Ti(CN)に比べ著しく優れるため、刃先が高温に達する切削条件下においては、切削工具の性能をめざましく向上させる。また、(TiAlSi)(CN)皮膜は、(TiAl)N皮膜よりも耐酸化性を向上させようとSiを含有させたものである。更に同じ効果を目論み、(TiAl)系に第3元素としてZrやHf、Bの含有が試みられている。近年では、こうした硬質皮膜被覆切削工具が使用される環境は益々過酷になり、例えば、切削速度の高速化傾向、また従来使用されていた湿式での切削加工が環境問題上重要視されるなかで、乾式での切削加工が注目されている。また、金型用鋼材の多種含有元素の影響による鋼材の難削化、高能率加工を重視した高送り加工の傾向にあり、硬質皮膜被覆切削工具の使用環境は益々過酷なものとなってきている。しかしながら、このように耐酸化性や耐摩耗性の向上に主眼をおいて研究がなされてきた(TiAl)Nや(TiAlSi)(CN)に代表される硬質皮膜は、皮膜中の結晶格子の歪が大きく、皮膜の残留応力が従来のTiN、Ti(CN)よりも大きくなる。硬質皮膜被覆工具における硬質皮膜の残留応力の大小は、硬質皮膜と基体との密着性に大きな影響を及ぼす。従来までに開発されてきた(TiAl)Nや(TiAlSi)(CN)などは、皮膜自身の残留応力が大きいために密着性が不十分であり、近年の高速切削加工においては、容易に皮膜剥離が発生し、優れた皮膜特性を引き出すに至っていない。これまでの硬質皮膜被覆工具の改善は、皮膜特性の改善が目立ち、被覆工具に最も重要な要素である密着性からのアプローチがほとんどなかった。このような問題点を解決するために、特開平7−328812号公報に代表されるように、基体表面に低硬度で且つ低応力膜であるTiN又は、TiやTiAl合金などの皮膜を中間層として施すことによって上層の(TiAl)Nなどの残留応力を緩和させ、密着性を向上させる事例がある。このように、中間層として軟らかい膜を用いると、例えばロックウェル硬度計やビッカース硬度計を用いる圧痕試験に代表される静的な密着性は向上するものの、動的な切削試験においては、切削加工時の衝撃などで皮膜剥離が発生し十分な工具性能を得ることができない。
【0003】
本発明者の研究によると、TiNの中間層を密着性向上用の皮膜として用いた場合、上層の(TiAl)Nなどの皮膜の残留応力を緩和させ、静的密着性を向上させることを確認したが、切削中に発生する摩耗などにより中間層であるTiN層が露出してしまうと、耐酸化性が不十分なため、中間層の方が早く酸化してしまいポーラスなTiO層を形成してしまう。酸化されたポーラスな中間層の直上に被覆される(TiAl)Nなどの皮膜は、皮膜としての優れた特性を保つことができても、本来密着性向上用の皮膜として設けたTiNの酸化のために、容易に皮膜剥離が発生してしまうことを確認した。また、TiやTiAl合金膜の中間層を設けた場合もTiN同様の役割を果たし、上層の(TiAl)Nなどの硬質皮膜の残留応力を緩和させ、密着性が向上する。しかしながら、Tiの場合、前記同様に材料そのものの耐酸化性が十分ではないため、本来密着性向上のために用いたTiが酸化しTiOを形成し、近年市場で要求されている過酷な切削条件では、皮膜剥離が発生してしまう。一方、TiAl合金膜を中間層に用いた場合、TiAl合金の材料そのものは非常に耐酸化性に優れる報告がなされているが、Tiの窒化物などに対し、ヤング率が非常に大きいため、中間層として用いたときに切削加工中のせん断方向からの力に弱く、皮膜内の破壊が発生し、強いては皮膜全体の破壊や剥離に至り、十分な切削性能を得ることができない。特開平9−170067号公報や特開平9−170068号公報にあるように、基体と硬質皮膜の結晶との間にヘテロエピタキシャルの関係を作る事例が開示されている。しかしこれは、性能向上をもたらす(TiAl)Nなどの硬質皮膜と基体との間にTiNの中間層を用いる方法であり、基体とTiNからなる中間層との間にヘテロエピタキシャルの関係を作ったとしても、TiN層の耐酸化性が不十分なため、切削中にポーラスなTiO層を形成し、このポーラスな中間層の直上に被覆される(TiAl)Nなどの硬質皮膜はTiNの酸化のために、容易に皮膜剥離が発生し、十分な工具寿命が得られないのが現状である。また、本発明者の研究によれば、大気中における(TiAl)N皮膜の酸化開始温度は、TiNの450℃に対し、Alの含有量に依存して750〜900℃に向上する。しかしながら、前述の乾式高速切削加工においては、使用する工具の刃先温度が900℃以上の高温に達する。このような過酷の条件下で行われている切削加工では、硬質皮膜の耐酸化性が重要であることは言うまでもないが、それよりも先に硬質皮膜被覆切削工具の刃先部と被加工物が化学反応を起こすことで発生する、溶着現象を防ぐことが不可欠である。近年の金型用鋼材には金型の性能を著しく向上させるために様々な元素の含有が行われるようになり、切削工具への溶着現象は益々発生しやすくり、硬質皮膜の酸化による摩耗よりも先に硬質皮膜中への被加工物元素の拡散が発生しやすい状況になってきている。このため、従来のTiとAlの窒化物などは、大気中における酸化抵抗は著しく優れるものの、高温状態での切削においては、前記化学反応の1種である溶着や被加工物の拡散を防ぐことが困難であり、十分な工具寿命が得られないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこうした事情に鑑みなされたものであって、従来の耐酸化性の優れる(TiAl)N皮膜など、耐酸化性の優れる硬質皮膜の耐摩耗性並びに密着性を犠牲にすること無く、更に高温状態での耐溶着性並びに硬質皮膜中への被加工物元素の拡散を改善し、切削加工の乾式化、高速化、高送り化に対応する硬質皮膜被覆工具を提供することが目的である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、硬質皮膜の耐溶着性、耐摩耗性、基体との密着性に及ぼす、様々な元素との影響および皮膜の最適な層構造について鋭意研究を重ねた結果、金属成分が、TiとBで構成される窒化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭窒化物のいずれかであるa層と、金属成分がAlとTiで構成される窒化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭窒化物のいずれかであるb層とが、それぞれ一層以上交互に被覆され、b層を第1層とし、硬質皮膜の(000)入射の電子線回折における該b層の(200)面と、基体である超硬合金中のWC粒子の(100)面がヘテロエピタキシャルの関係にあり、かつ第2層目以降のa層がラマン分光分析において、c−BN並びにh−BNのピークが検出され、そのときのc−BNのピーク強度をQ1、またh−BNのピーク強度をQ2としたとき、ピーク強度比Q1/Q2≧1.0となることを特徴とする硬質皮膜被覆工具とすることで、乾式の高速切削加工、高送り加工において、切削工具の性能が極めて良好となることをつきとめ本発明に到達した。ここでの高送り加工とは、切削条件中の1刃当たりの送り量が0.3mm/刃を越えるような切削と定義する。
【0006】
【発明の実施の形態】
a層の構成について詳細を述べる。一般に(TiAl)N皮膜は、大気中で酸化テストを行うと、皮膜表面近傍のAlが最表面に向かって外向拡散し、Al層を形成する。この現象により、その後の皮膜内への酸素の進入が抑制される。本発明者の研究によれば、このことが耐酸化性向上の理由と考えられるが、この時、最表層に形成されるAl層直下には、Alを含有しない非常にポーラスなTi酸化物が形成する。静的な酸化テストにおいては、酸化の進行である酸素の内向拡散に対し、最表面に形成されたAl層が、酸化保護膜として機能するものの、動的な切削においては、最表面のAl層は、その直下のポーラスなTi酸化物層より容易に剥離してしまい、酸化の進行に対し十分な効果を発揮しない。また、この最表面に形成されたAl層が動的な切削に対し、剥離しなければ、Alの化学的安定性から被加工物との溶着現象を防ぐことができるのだが、現状この化学的に安定なAlの剥離を防ぐことは困難である。つまり、高温下で発生する溶着現象は最表層に形成されるAlが剥離してしまうために発生することが明らかとなった。また、(TiAlSi)(CN)膜や(TiAlZrB)N、(TiAlB)N、(TiAlSiB)Nについても、従来の(TiAl)N膜にSi、Zr、Bなどを含有させることで硬質皮膜そのものの高硬度化や耐酸化性を若干良好にさせるが、前述同様、酸化物に対する生成自由エネルギーの差から表面の酸化保護膜のAl層が直ちに形成され、更にその直下にポーラスなTiの酸化物を形成してしまい、その結果切削中の皮膜剥離をもたらす。よって、動的な切削における溶着現象を防ぐには至らないのである。溶着現象の原因となるAlを除く、TiとBで構成される窒化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭窒化物等は、皮膜自体の耐酸化性は、従来のTiとAlの窒化物と同程度であり、高温下における溶着現象に対しては、TiとAlの窒化物などよりも優れている。本発明者は、各種元素の溶着発生現象への抵抗性、つまり鋼に含まれる元素と、硬質皮膜中に含まれる元素との濡れ性という観点から鋭意研究を重ねた結果、本発明硬質皮膜は高温下における被加工物の溶着を防ぐのに効果があることをつきとめた。本発明者は、硬質皮膜中に含有させるBについて、切削工具に適用した際に生じる現象を詳細に調査した結果、Bの有効性は、硬質皮膜の高硬度化や耐酸化性向上ではなく、切削時におけるFeとの親和性が低いことや被加工物の膜中への拡散現象がほとんど発生しないことである。図1に本発明のa層を用いた硬質皮膜被覆切削工具の切削加工後の切刃近傍を、基体方向に元素分析を行った結果を示す。また、図2に従来の(TiAl)Nを同様に分析した結果を示す。図1、2の比較により、図1には皮膜内部に被加工物であるFe元素は見られないが、図2の従来膜である(TiAl)Nでは膜の最表層にAlの酸化物が形成されており、被加工物であるFeが膜中に拡散していることがわかる。図2に示した傾向は従来の(TiAlSi)(CN)や(TiAlZrB)N、(TiAlB)Nなどにも見られることを確認した。つまり、本発明のa層を使用することで、被加工物との高温下における化学反応が発生しにくい特性を持っているのである。また、同時に、耐酸化性も従来のTiとAlの窒化物とほぼ同程度であることを見出したのである。本発明者等は更に、鋭意研究を重ね、(TiAlB)Nといった耐酸化性の優れる従来の(TiAl)NにBを含有させる実験を試み、その硬質皮膜の耐溶着性に着目し、評価を行った結果、前述Alを含有させている従来の皮膜は、そのなかに含まれるAlはTiやBよりも高温下におけるFeとの親和性が高いため、最表層に酸素の内部拡散を防ぐAl層を形成させる前に、被加工物中の含有物と化学反応が発生していることを得た。切削工具にこのようなAlを含有させている硬質皮膜を適用した場合、この溶着現象により、工具すくい面に異常なクレーター摩耗の進行促進、更に境界部には溶着物が多量に貯め込まれ、チッピングをもたらすのである。このような実験結果からも硬質皮膜被覆工具の最表面には耐酸化性を十分にもった皮膜を被覆するよりも、従来使用してきたTiとAlの窒化物などの特異的な酸化機構を発生させるまでに硬質皮膜被覆工具表面に溶着を防ぐための、いわば自己潤滑皮膜が必要になるのである。つまり、本発明の硬質皮膜を切削工具最表層に被覆させることで、被加工物との溶着を防ぎ、その結果異常摩耗を防ぐことで、従来使用してきたTiとAlの窒化物などを被覆した硬質皮膜被覆工具の寿命よりも著しく伸びることを確認した。
【0007】
a層は、静的及び動的条件下において優れた耐溶着性を有すものの、皮膜自身がもつ残留圧縮応力が大きいため基体との密着性においては十分でない。そのため、基体表面直上には、密着性、耐摩耗性、耐酸化性等をバランス良く適度に付与するため、AlとTiで構成される窒化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭窒化物等のb層を被覆することが好ましい。また、基体表面直上には、上記記載の硬質皮膜の他に元素周期表に記載される4a、5a、6a族の金属を1種以上含んだ合金膜をもちいてもよい。(TiAl)系窒化物等の皮膜であるb層におけるAlの役割は、皮膜の耐摩耗性及び耐酸化性を向上させることである。そのため、密着性、耐摩耗性、耐酸化性をバランス良く得るためには、好ましくはb層のAl含有量Fを、皮膜の金属成分のみの原子%で、30≦F≦75に調整することが好ましい。b層における好ましいAlの含有量Fを設定した理由については、Fが30原子%以上のときに耐酸化性が著しく向上し始めるためである。また、75原子%以下に調整する理由は、耐酸化性が向上しても、皮膜硬度が著しく低下し耐摩耗性が劣化してしまうためである。以上のように本発明においては、基体との密着性、皮膜自体の耐摩耗性および耐酸化性をバランス良く有するb層を基体表面直上に被覆し、その上に著しく耐溶着性や被加工物元素拡散性に優れるa層を被覆することが極めて重要であり、その結果、乾式の高速切削並びに高送り切削に対応する切削工具を得ることが可能となる。このような近年の過酷な切削条件に対し、硬質皮膜と基体の密着性を十分に引き上げなければならない。そのためには、硬質皮膜と基体界面の分子間力を強めることが重要なのである。本発明者は、この分子間力を極めて高くすべく鋭意研究を行った結果、基体に含まれるWC粒子の(100)面と、金属成分がAlとTiで構成される窒化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭窒化物のいずれかであるb層の(200)面とを整合させることが、最も密着性を向上することを見出したのである。本発明は、基体直上に被覆される硬質皮膜の配向面を制御し、更に同じ配向面をもつTiとBの化合物を被覆することで驚くべき切削性能を得るに至った。更に、第2層以降となるTiとBの化合物は、本発明の課題であるクレーター摩耗に対する耐久性を如何なく発揮させるために、自己潤滑性を有するBN結晶を介在させることが重要である。a層はラマン分光分析において、c−BNとh−BNのピークを検出することができ、そのときのc−BNのピーク強度をQ1、h−BNのピーク強度をQ2としたときに、ピーク強度比がQ1/Q2≧1.0の関係でなければならない。これは、硬質皮膜の潤滑性を維持したまま硬度を向上させるためである。本発明の硬質皮膜におけるa層内部には、図3に示すようにc−BNとh−BNのピークが検出される。c−BNとh−BNの硬度を比較すると、c−BNの方が高い硬度を示す。従って、硬質皮膜中にc−BNが多く含まれるようにコーティング条件を制御することによって皮膜硬度が高くなり、耐摩耗性を向上させることができるのである。また、各層は必要に応じて窒化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭窒化物のいずれかに調整でき、それらを被覆した工具についても同様の切削性能が得られる。
【0008】
Bの含有量Mについて限定した理由を述べる。Tiに対してBの含有量が0.1原子%未満の場合、本発明の目的とする溶着や元素拡散を防ぐ効果が得られない。従って、目標とする近年の過酷な切削加工に対応できないため、著しく効果の出はじめる0.1原子%以上としたのである。また、TiとBで構成される本発明の硬質皮膜は、TiNなどで良く見られるような柱状晶を呈するが、Bの含有量が40原子%を越えると柱状晶から微細粒状結晶構造に変化することが認められた。このようにBの含有量が多い硬質皮膜は、内部の欠陥が多く、密度も低くなることが認められた。また、皮膜密着性を阻害する内部応力が非常に大きくなり容易に剥離現象が発生することを確認した。更には、硬質皮膜の結晶が微細であるために切削加工中に発生する粒界破壊の頻度が高く、それに起因する異常摩耗が認められた。本発明者等は、以上の様な知見を得るに至り、本発明の硬質皮膜中のB含有量Mを、原子%で、0.1≦M≦40に限定したのである。本発明の硬質皮膜を作成するにあたっては、物理蒸着法が好ましい。従って成膜のもととなるターゲットが必要になる。そのターゲットはTiとBからなる2種を用いても良いが、組成のばらつきや、放電の安定性を考慮するとTiとBの合金ターゲットがより好ましい。硬質皮膜中に含有させるB含有量によって、TiとBで構成される硬質皮膜中の金属元素の存在形態に特徴があることを確認した。従来の硬質皮膜であるTiとAlの窒化物などは、その組成によって異なるが、実用化されている皮膜を取り上げると、一般にTiNと同じ結晶格子形態であるNaCl型B1構造をとることがわかっており、TiN格子中のTiがAlに置き換わっている形態をとり、いわば、Alが固溶された状態にある。しかしながら、本発明のTiとBで構成される硬質皮膜は、Bの含有量に左右されるものの、その含有量が0.1原子%以上になると、前記TiとAlの窒化物などとは異なった形態を示す。Bの含有量が0.1原子%以上になるとBはTiN格子中のTiに置き換わる形態の他に、Bの化合物が単独で存在するような形態になる。つまり、Bの含有量が0.1原子%以上になると、例えば、本発明の硬質皮膜であるTiとBの窒化物の場合、硬質皮膜中にはTiNの結晶とBNの結晶が混在する形態をとるのである。Bの含有量が0.1原子%未満ではBがTiN結晶格子の中に完全に取り込まれ、固溶体の形態を呈する。この結晶形態の変化が切削性能に多大な影響を及ぼす。本発明の組成範囲にある窒化物の場合、TiN類似の結晶のほかにBNの結晶が存在する。このBNは自己潤滑が優れるという事やFeとの濡れ性が低いという事が知られており、このBN結晶の存在が、主として化学反応が起因のクレーター摩耗を著しく抑制させる効果があるものと考えられる。また、BNは酸化に対する自由生成エネルギーの面からも酸化に対する抵抗力があるため、高温下における硬質皮膜の特性が劣化しない。これらの驚くべき事実は、本発明者が鋭意研究を重ねることで得られた結果である。しかしながら、Bの含有量が40原子%を越えると、上記BNの結晶は存在するが、内部応力が非常に大きくなるために、良好な密着性を維持することが困難となる。つまり、切削加工の様に硬質皮膜に外部からの衝撃を与えると硬質皮膜が自身の内部応力に耐えられず、容易に剥離が発生してしまい、硬質皮膜被覆工具としての役割を果たさなくなることが認められた。従って、本発明者等の目標である切削工具を提供するためには、硬質皮膜中に含有されるBの量は40原子%を越えてはいけないことになり、かつ、硬質皮膜中にBNの結晶を存在させるような、新しい技術を創生しなければならないのである。
【0009】
表面粗度を規定した理由について述べる。本発明の硬質皮膜は基本的にアーク放電型イオンプレーティング法によって製膜されるが、本コーティング手法においては、アークスポットによりドロップレットとよばれる金属液滴が発生し、工具表面にマクロ粒子が付着する。その結果、硬質皮膜被覆工具表面に凹凸が発生する。その凹凸はコーティング条件にも依存する。しかしながら、マクロ粒子の付着は硬質皮膜の特長そのものの変化には悪影響を及ぼさないが、切削加工時に切屑の排出抵抗を増長させる。その結果、被加工物の凝着が発生しやすく硬質皮膜の優れた特長を生かしきれないのである。そのために、工具に被覆した後、このマクロ粒子を削除するために、ブラストなどの手法により表面を平滑化させることで、切削工具の性能は飛躍的に向上するのである。近年の過酷な切削条件において、マクロ粒子の影響を出さないためには、上記の平滑化処理によって面粗さを、Ry<3.0μmにしなければならないことが確認されたため、本規定値を設定したのである。
【0010】
膜厚Dを規定した理由について述べる。本硬質皮膜の特性が近年の過酷な切削加工に対応するためには、D≧0.1μmを被覆しなければならない。つまり、それよりも薄い場合は、硬質皮膜の特性が発揮されないのである。また、本発明に記載の硬質皮膜を工具すくい面に厚く被覆し、すくい面摩耗が著しく発生するような切削加工に適用した場合、従来の硬質皮膜である(TiAl)Nや(TiAlSi)(CN)、(TiAlZrB)N、(TiAlB)Nでは、すでに説明したようにクレーター摩耗が容易に発生し、高能率加工を満足させるにいたらない。本発明者は、適用する金属成分がTiとBで構成される硬質皮膜の効果を十分に発揮させるための最適膜厚を詳細に調査した結果、その膜厚DがD≧0.1μmであることを明らかにした。この調査に基づき、被覆される工具すくい面の膜厚DがD≧0.1μmであることがより好ましい。
【0011】
本発明の硬質皮膜被覆工具は、その被覆方法については、特に限定されるものではないが、被覆基体への熱影響、工具の疲労強度、皮膜の密着性等を考慮した場合、比較的低温で被覆でき、被覆した皮膜に圧縮応力が残留するアーク放電方式イオンプレーティング、もしくはスパッタリング等の被覆基体側にバイアス電圧を印加する物理蒸着法であることが望ましい。以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0012】
【実施例】
小型アークイオンプレーティング装置を用い、金属成分の蒸発源である各種合金製ターゲット、並びに反応ガスであるN2ガス、CH4ガス、ArとO2混合ガスから目的の皮膜が得られるものを選択し、被覆基体温度400℃にて、被覆基体である超硬合金製インサートに−40Vから−150Vの範囲の電位を印加させて被覆を行った。得られた硬質皮膜被覆インサートを用い、次に示す乾式の高能率切削条件にて、刃先の欠けないしは摩耗等により工具が切削不能となるまで加工を行い、その時の切削長を工具寿命とした。表1に本発明例、比較例及び従来例に関する硬質皮膜の詳細及びその切削結果を示す。
【0013】
【表1】
Figure 0003679078
【0014】
インサート切削条件は、切削工具は正面フライス(インサート形状:SEE42TN特殊形)を使用し、切削方法はセンターカット方式、被削材形状は巾100mm、長さ250mm、被削材はS50C(HRC30)、切込みは2.0mm、切削速度は150m/min、1刃送り量は0.30mm/刃、切削油は無しである。表1に示したように、本発明の硬質皮膜は、基体中に含まれるWC粒子の(100)面と硬質皮膜の(200)面とがヘテロエピタキシャルの関係にあるかどうかや、ラマン分光分析におけるc−BNとh−BNの強度比の大小が切削性能に大きく影響を及ぼすことは明らかである。つまり、本発明例1から15に示す様に、WC粒子の(100)面と硬質皮膜の(200)面とがヘテロエピタキシャルの関係にあり、更にラマン分光分析によるc−BN、h−BNが検出され、そのときのc−BNのピーク強度(Q1)並びにh−BNのピーク強度(Q2)の比、Q1/Q2≧1.0の時は、材料の特性を如何なく発揮し、大幅な切削寿命の向上をもたらし、十分満足できる結果が得られている。しかし例えば、比較例16は、基体のWC粒子とb層の硬質皮膜とのヘテロエピタキシャルの関係が成り立っていてもa層内部にc−BN、h−BNといった自己潤滑作用をもたらす結晶の存在が認められなかった。そのため、高能率切削条件下での切削に耐えることができず、満足な工具寿命を得ることができなかった。この現象に類似した事例として比較例18があげられるが、ねらいの結晶が存在しないだけでなく、ヘテロエピタキシャルの関係も成り立っておらず、基体のWC粒子と第1層硬質皮膜であるb層の界面における分子間力が弱いために、切削初期に硬質皮膜が破壊し、刃先にチッピングが発生し工具寿命に至った。比較例17のように基体のWC粒子と第1層であるb層との間のヘテロエピタキシャル関係が成立していても、高能率加工におけるクレーター摩耗を抑制させるa層中において、c−BNとh−BNのピーク強度比がねらいの範囲から外れてしまっているため、早期摩耗が発生してしまった。また、表1に示したように、本発明の硬質皮膜は、BN結晶の存在は重要であり、耐溶着性はもとより、耐熱性にも優れるため、著しい工具性能向上をもたらすことは明らかである。例えば、比較例16、18に示した様に、硬質皮膜中に添加されるB量が微量のため、TiN結晶格子の中に取り込まれ、固溶体の形態をとっており、その結果、皮膜としてはTiとBで構成される硬質皮膜であるが、本発明の目的である工具性能の改善には遠く至らないのである。また、比較例17、19、20に示したようにTiとBで構成される硬質皮膜中にBNの結晶が存在することが認められても、添加されるB添加量がTiに対して50原子%を越えてしまっている。このような場合、切削加工においては、硬質皮膜が自身の内部応力に負けて、容易に剥離が発生する。特に比較例20は、硬質膜全体の内部応力が最も高くなり、約−6GPaにも到達してしまうことが認められた。比較例20にて切削試験を行ったところ、切削初期に工具逃げ面、すくい面に大きな剥離が発生し、切削続行が不可能となった。従って本発明の硬質皮膜は、皮膜中のBN結晶を存在させることも非常に重要な技術であるが、単に存在させるのではなく、添加するBの量も含め、硬質皮膜被覆工具の設計を行わない限り、著しく優れた性能を発揮する工具の提供は不可能であることは明らかである。一方、従来例21の(TiSi)N皮膜と(TiAl)N皮膜との2層膜とした試料、また従来例22から26の(TiAl)系の窒化物層に第3元素としてZr、B、Siを添加した試料に対し、本発明例は、いずれの場合も工具寿命で優っていることが確認された。本発明皮膜の成膜実施にあたっては、使用する導入ガスの検討も同時に行った。その結果、著しく優れた耐溶着性を保つためには、金属成分がTiとBで構成される窒化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭窒化物いずれかで、Bの含有量Mが金属成分のみの原子%で、0.1≦M≦40.0であることが望ましいが、工具の発熱並びに被加工物との摩擦を考慮した場合、成膜時に上記記載の皮膜を製膜する上で必要となる窒素、酸素を含むガスの他に、炭素を含むガスを導入し、炭窒化物、酸炭窒化物を被覆することにより更に優れた工具性能を発揮する。本発明硬質皮膜の適用は、実施例で示したインサートだけでなく、旋削用途など他の高能率切削加工にも十分対応できうるものである。表1中に、硬質膜被覆工具表面の機械的に平滑化を行い、その効果を調査した結果を示す。表1に示すように、自己潤滑を有する硬質皮膜の適用のみならず、コーティング中に発生するマクロ粒子を除去すれば、工具性能は飛躍的に向上することが認められる。比較例16は、自己潤滑皮膜のラマンピーク強度比が本発明者のねらい値にならなかった硬質皮膜であるが、それだけでなく、硬質皮膜の表面粗度Ryが3.89と大きいため、切削初期に被加工物の刃先への凝着が著しく、早期に切刃境界部の欠損を招いてしまった。同様の事例が比較例18にも観察された。その他の比較例の17、19、20においても、BN結晶の化学結合状態を制御することが必要なだけでなく、被覆後のインサートの表面粗度が、切削性能に大きくかかわっていることは明らかである。
【0015】
【発明の効果】
本発明を適用することにより、優れた耐溶着、耐拡散性、耐酸化性、耐摩耗性を達成することにより、乾式高能率切削加工において著しく長い工具寿命が得られ、切削加工における生産性の向上に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明例の皮膜を被覆した工具の切削後の刃先近傍における元素分析結果を示す。
【図2】図2は、従来例の皮膜を被覆した工具の切削後の刃先近傍における元素分析結果を示す。
【図3】図3は、本発明例の皮膜のラマン分光解析結果で、c―BNとh―BNとの回折ピークを示す。

Claims (4)

  1. 金属成分が、TiとBで構成される窒化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭窒化物のいずれかであるa層と、金属成分がAlとTiで構成される窒化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭窒化物のいずれかであるb層が、それぞれ一層以上交互に被覆され、該b層を基体側より第1層とし、該硬質皮膜の(000)入射の電子線回折における該b層の(200)面と、基体である超硬合金中のWC粒子の(100)面がヘテロエピタキシャルの関係にあり、基体側より第2層目以降のa層がラマン分光分析において、c−BN並びにh−BNのピークが検出され、そのときのc−BNのピーク強度をQ1、h−BNのピーク強度をQ2としたときに、ピーク強度比Q1/Q2≧1.0となることを特徴とする硬質皮膜被覆工具。
  2. 請求項1記載の硬質皮膜被覆工具において、該a層はTiとBの合金ターゲットを用いて被覆され、皮膜の組成が、該a層に含まれるBの含有量Mを金属成分のみの原子%で示すと、0.1≦M≦40であることを特徴とする硬質皮膜被覆工具。
  3. 請求項1又は2記載の硬質皮膜被覆工具において、該a層の膜厚Dが、D≧0.1μmであることを特徴とする硬質皮膜被覆工具。
  4. 請求項1乃至請求項3記載の硬質皮膜被覆工具において、被覆後のすくい面を機械的に平滑化させ、面粗さRyが、Ry<3.0μmであることを特徴とする硬質皮膜被覆工具。
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