JP3678796B2 - 磁気回転伝達装置、撹拌子、撹拌装置および磁気軸受 - Google Patents

磁気回転伝達装置、撹拌子、撹拌装置および磁気軸受 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、2つの軸が延長線上で直角またはある角度をなしている場合の軸間の回転伝達に用いる磁気回転伝達装置、撹拌子、撹拌装置および磁気軸受に係り、特に垂直回転軸を中心に回転する磁石(単に磁石というときは永久磁石をさす)から水平回転軸を持つ対向磁石に軸変換して回転を伝達する装置や、電磁石の交番磁界で対向磁石に回転を与える装置に好適なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に液体撹拌装置には、回転中心が垂直で液体を水平方向に回転させる方式と、回転中心が水平で液体を垂直方向に回転させる方式の2つがある。
【0003】
(1) 水平回転方式
液体を収容した容器の底部に棒磁石で構成した撹拌子を沈め、容器の下からU字形磁石をモータで回して、吸引力で撹拌子を水平に回転して液体を撹拌するマグネチックスターラと呼ばれるものである。
【0004】
構造が簡単であるものの、水平回転であるため、リング状の非混合領域が発生しやすく、未混合領域が残るか又は混合に多くの時間がかかる。また、一方向の水平回転撹拌であるため容器が円筒状の場合には、混合層に乱流が起こらず撹拌効率が悪い。混合層に乱流を起こさせるため、撹拌子を瞬時反転させると、過負荷になり撹拌子が離脱してしまう。
【0005】
また、異極間の吸引力のみに依存しているため、強い撹拌力を得るために磁界の強さを大きくしても、直線状の磁力線の数が増えるだけで、回転トルクが期待したほど大きくならず、却って駆動モータのスラスト方向の負荷増大による回転トルクの損失が生じたり、吸引力の増大による容器底壁と撹拌子との間の接触圧が高くなる。接触圧が高くなると、撹拌子の回転接触部が摩耗し、その摩耗粉が容器内の液体に混入し、また撹拌子の回転接触部の摩擦音による騒音の増大が生じるため、好ましくない。
【0006】
(2) 垂直回転方式
容器の側壁に孔を開け、その孔から水平回転軸を挿通し、先端に取り付けた撹拌翼を回転させて液体を垂直回転する(例えば特開昭62−244428号公報など)。垂直回転であるため強力な撹拌効果が得られ、容器と撹拌翼との接触がないため摩耗粉の発生もないが、液漏れ防止用のシール構造が複雑になる。しかも、撹拌装置を容器に一体的に取り付けるため、専用の容器が必要となり洗浄が困難で、容器を交換する場合には、複雑なシール構造をもつ撹拌装置を着脱しなければならない。
【0007】
上述したように(1) と(2) はいずれも一長一短がある。このため、構造が簡単でありながら、垂直回転による力強い撹拌を行うことができるという(1) と(2) の長所を生かした撹拌装置の開発が望まれている。
【0008】
これに応えるために、種々検討した結果、ブラインド装置に対するスラットの昇降等の手動操作のために考えられた公知技術であるが、駆動軸の回転を捩れの位置で交差する従動軸に磁気的に伝達させるようにした回転伝導機構(特開平2−46160号公報)が適用できるのではないかと思われた。
【0009】
これは図29に示すように、駆動軸291を共通にした2個の両面2極型磁石292、293を軸周りに位相を90°ずらして突き合せて駆動側磁石299とし、その突合せ面上に従動軸294をもつ両面2極型磁石295を対向配置して、磁石同士の磁気結合により駆動軸291の回転を従動軸294に伝達するようにしたものである。
【0010】
動作原理は次の通りである。従動側の磁石295と対向する駆動側の磁石292、293の対向磁極面296は、突合せ面を境にして2つに分割され、単一の磁極(N極またはS極)が現れる、一方の磁極面297は従動側磁石295の回転に寄与し、両方の磁極(N極及びS極)が同時に現れる他方の磁極面298は回転に寄与しない。したがって、
(a)では、駆動側磁石299の向う側のN極297が従動側磁石295のS極を吸引して従動側磁石295を矢印方向(b)に示す位置まで回転(90°回転)させる。(b)では、駆動側磁石299が90°矢印方向に回転しているため、今度は駆動側磁石299の手前側のS極298が従動側磁石295のS極と反発して従動側磁石295を矢印方向に(c)に示す位置まで回転させる。(c)では、駆動側磁石299の向う側のS極が従動側磁石295のN極を吸引して従動側磁石295を矢印方向にさらに90°回転させる。このようにして、駆動軸291を回転することにより捩れ交差している従動軸294を非接触で回転させることができる。
【0011】
この回転伝導機構を液体撹拌装置に適用すれば、簡単な構造で水平回転軸を中心に撹拌子を回転させることが可能となると考えられる。また、液体撹拌装置に限らず、駆動源が手動ではなくモータなどの自動駆動原をもつ磁気カップリング装置、例えばかさ歯車機構などにも広く適用することも考えられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平2−46160号公報のものは、次のような問題があることがわかった。
【0013】
(1) 汎用的な回転伝達装置に適さない。
【0014】
駆動軸の回転を捩れの位置で交差する従動軸に伝達させるものであるため、例えば2軸が延長線上で直交するかさ歯車のような磁気カップリング装置には適用できない。また、実験によると無負荷であるにもかかわらず大きな駆動力を必要とするため、手動操作機構として使用する場合には操作性や使用感を無視すれば実用上問題ないが、モータなどで自動操作しようとすると、モータ負荷が大きくなるため、容量の小さなモータを使うと円滑な回転がえられず、かといって必要以上にトルクの大きなモータを使うと、大型化する上経済的でない。
【0015】
(2) 撹拌装置に適さない。
【0016】
既述したように、吸引力が強く、したがって吸引力に逆らって大きな駆動トルクを駆動軸に与える必要がある。その理由は、構造上、吸引磁力線を従動磁石の磁極方向に無理やり伸ばすことになるので、吸引磁力線が回転トルクにあまり寄与しないことによると思われる。吸引力に逆らって駆動磁石を回すので、駆動に大きな力が必要となる。その結果、一般的なモータを使用する撹拌装置に適用した場合、滑らかなトルクが得ずらく、しかも振動が大きくなり、その振動は回転速度が上がるほど大きくなる。振動が大きいと騒音が大きくなるため好ましくなく、ひどい場合には共振現象を惹き起こす。そして振動によって容器が移動し落下して破損するおそれがある。また、平衡状態から初期回転がスムーズに始まらず、磁気バランスが少しずれている場合には反対方向に回ってしまう。
【0017】
したがって、液体撹拌装置に適用しても、水平回転軸を中心に撹拌子を回転させることはできても、安全で安定した撹拌装置としては採用できない。
【0018】
(3) なお、磁石の代りに電磁石を使う簡易な回転機構も考えられるが、従来の電磁石回転機構は、電磁石の働きをラチェット機構で間欠回転に変換するものであるため、滑らかな回転特性が得られず、しかも接触式のため摩耗しやすく、液体撹拌装置や他のアクチュエータには適さない。
【0019】
本発明の目的は、上述した従来技術の問題点を解消して、一の回転軸からその延長線と直交する他の回転軸に回転を磁気伝達させることが可能な磁気回転伝達装置を提供することにある。
【0020】
また、本発明の目的は、簡単な構造でありながら、電磁石に交番電流を供給することにより対向磁石を滑らかに非接触で回転させることができる磁気回転伝達装置を提供することにある。
【0021】
また、本発明の目的は、回転軸を傾斜させることにより、一の回転軸の延長線上にある角度で交差する他の回転軸に回転を磁気伝達させることが可能な磁気回転伝達装置を提供することにある。
【0022】
また、本発明の目的は、簡単な構造でありながら、力強い撹拌力を得ることが可能な撹拌子及び撹拌装置を提供することにある。
【0023】
また、本発明の目的は、磁気結合によって撹拌子を浮上保持でき、また容器からの撹拌子の出し入れが容易な磁気軸受を提供することにある。
【0024】
【発明を解決するための手段】
本発明の磁気回転伝達装置は、図1に示すように、一の回転軸101を中心に回転する左右に一対の磁極102を有する左右2極型磁石103と、一の回転軸101の延長線104と直交する他の回転軸105を中心に回転し、N極とS極とを周方向に交互に配置した周面多極型磁石106とを備え、周面多極型磁石106を左右2極型磁石103の磁極102が描く回転軌跡108の半径上に中心より外側に偏位させて配置したものである。周面多極型磁石106は、例えば、図1(a)に示すように両面2極型磁石としたり、図1(b)に示すように周面4極型磁石とすることができる。
【0025】
また、本発明の磁気回転伝達装置は、図2に示すように、他の回転軸205に周面多極型磁石206、207を2個並べるようにしてもよい。その場合、一方の周面多極型磁石206のN極と他方の周面多極型磁石207のN極との周方向の位相がずれるように配置し、また、2個の周面多極型磁石206、207を、左右2極型磁石203の磁極202が描く回転軌跡208の直径上に中心より偏位させて配置する。図2(a)は周面多極型磁石206、207が両面2極型磁石であり、図2(b)は周面4極型磁石である場合を示す。
【0026】
また、本発明の磁気回転伝達装置は、図3に示すように、他の回転軸305を中心に回転する磁石306と同様に、一の回転軸301を中心に回転する磁石を周面多極型磁石303としたものである。この場合にも、他の回転軸305を中心に回転する磁石306を図3(a)に示すように両面2極型磁石としたり、あるいは図3(b)に示すように周面4極型磁石とすることができる。
【0027】
また、本発明の磁気回転伝達装置は、図4に示すように、他の回転軸405に周面多極型磁石406、407を2個並べてもよい。図4(a)は他の回転軸405の周面多極型磁石406、407が両面2極型磁石であり、(b)は周面4極型磁石である場合を示す。
【0028】
また、本発明の磁気回転伝達装置は、図5に示すように、磁極502がN極とS極に交互に変化する電磁石503と、電磁石503の軸芯501から偏位させて延長した延長線504と直交する回転軸505を中心に回転し、N極とS極とを周方向に交互に配置した周面多極型磁石506とを備えたものである。
【0029】
また、本発明の磁気回転伝達装置は、図6に示すように、電磁石603、610と周面多極型磁石606、607を複数個一列に並べたものである。すなわち、磁極602、612の向きを平行にして一列に並べられ、磁極602、612がN極とS極に交互に変化する複数の電磁石603、610と、複数の電磁石603、610の各軸芯601、611から、電磁石603、610の列から離れる方向に偏位させて延長した各延長線604、614と直交する回転軸605に、複数の電磁石603、610の各磁極602、612と対応するように並べられ、回転軸605を中心に回転するN極とS極とを周方向に交互に配置した複数の周面多極型磁石606、607とを備えたものである。
【0030】
また、本発明の磁気回転伝達装置は、図7(a)〜(d)に示すように、他の回転軸705を傾斜して一の回転軸701の延長線704と斜めに交わるようにするか、あるいは図7(e)に示すように回転軸712を電磁石703の軸芯711から偏位させて延長した延長線704と斜めに交わるようにしたものである。なお、図7(a)は両面2極磁石706と左右2極型磁石703との組合わせ、(b)は周面4極型磁石707と左右2極型磁石703との組合わせ、(c)はともに両面2極型磁石706、710である場合、(d)は周面4極型磁石707と両面2極型磁石710との組合わせを示す。他の回転軸705または回転軸712の傾斜方向は、図に示すように、延長線に704に向かって低くなるようしても、あるいは反対に延長線704に向かって高くなるようにしてもよい。なお、図では傾斜した回転軸に1個の磁石を形成してある場合について示したが、磁石を軸方向に2個並べてもよい。
【0031】
なお、本発明の左右2極型磁石は、左右の磁極が同一面上にあるU字形磁石もしくは馬蹄形磁石の他に、左右の磁極が同一線上にある棒磁石でもよい。また、周面多極型磁石は断面角形の他、断面丸形等でもよい。
【0032】
【作用】
図8を用いて図1(a)の構成、すなわち垂直回転軸801(一の回転軸)をもつ左右2極型磁石を駆動磁石803とし、垂直回転軸801の延長線上にある水平回転軸805(一の回転軸と直交する他の回転軸)をもつ1個の両面2極型磁石(周面多極型磁石の一例である)を被駆動磁石806とした場合の動作を説明する。なお、図8は図1(a)のA−A矢視断面図であり、駆動磁石803が90゜回転するごとに被駆動磁石806に生じる回転角度の変化を示している。被駆動磁石806の変化状態図を矢印を介して2つ描いてあるのは、駆動磁石803の回転により磁気作用を受ける前と、磁気作用を受けた後の状態を便宜的に示したものである。
【0033】
(a)駆動磁石803のS極が被駆動磁石806の配置されている紙面の向う側に位置し、駆動磁石803のN極が紙面の手前側に位置しているときを、回転角度0°とする。このとき駆動磁石803のS極と被駆動磁石806のN極とは吸引作用で互いに引き合うから、被駆動磁石806はN極を下にS極を上に向けた状態で安定する。
【0034】
(b)駆動磁石803が90゜左側に回転すると、駆動磁石803のN極およびS極と、被駆動磁石806の下側にあるN極とは3極共存の磁場になり磁気力の作用は相殺され、その作用する力は、同極同士は反発しあい、異極同士は吸引しあって平行状態となる(この三極共存磁場についての説明は、特開平7−123698号公報に詳しい)。しかし、被駆動磁石806の上側にあるS極には、駆動磁石803のN極及びS極とが作用して、S極同士は反発作用が、N極とS極は吸引作用が生じる結果、被駆動磁石806は反時計方向へ90゜回転して左側にS極、右側にN極が来て止る。
【0035】
(c)駆動磁石803が左側にさらに回転して180゜になると、駆動磁石803のN極と被駆動磁石806のS極は吸引作用により近ずこうとし、被駆動磁石806のN極は反発作用により遠のこうとする。その作用で回転モーメントが働き被駆動磁石806は更に反時計方向へ90゜回転する。その結果、被駆動磁石806のS極は下側になりN極は上側になる。
【0036】
(d)駆動磁石803が270゜になると、駆動磁石803のS極及びN極と被駆動磁石806の下側のS極とは(b)のときと同様に3極共存の磁場になり磁気力の作用は相殺されるが、被駆動磁石806の上側のN極には駆動磁石803のN極及びS極とが作用して、N極同士は反発作用が、N極とS極は吸引作用が生じる結果、被駆動磁石806は反時計方向へさらに90°回転して左側にN極、右側にS極が来る。
【0037】
(e)駆動磁石803が360°回転すると、被駆動磁石806は(a)の初期位置に戻る。
【0038】
このように駆動磁石803を垂直回転軸801を中心にして回転させると、駆動磁石803は垂直回転軸801の延長線上にある水平回転軸805を中心として同期回転することが分かる。
【0039】
図9は、図3(a)の構成、すなわち、被駆動磁石906は両面2極型磁石のままとし、駆動磁石903を左右2極型磁石から両面2極型磁石に代えた場合の動作を説明しており、図3(a)のA−A矢視断面図である。これから分かるように、被駆動磁石906の回転は図8の場合と全く同じである。この理由は、両面2極型磁石は、左右2極型磁石の磁極間隔をゼロにした場合に相当し、両者のN極とS極の配置関係は同じであるから、左右2極型磁石も両面2極型磁石も基本的に被駆動磁石に与える磁気的作用は変らないからである。
【0040】
図10は、図3(b)の構成、すなわち両面2極型磁石を駆動磁石113とし、周面4極型磁石を被駆動磁石116とした場合の動作説明図であり、図3(b)のA−A矢視断面図を示す。被駆動磁石116の回転の様子を分かりやすくするために、一部のS極に丸印を付してある。なお、図10の最初に示した(a)の左側の図は駆動磁石113が0°のときの左側面図である。
【0041】
(a)駆動磁石113の左側にS極、右側にN極が位置しているときを、駆動磁石113の回転角度0°とすると、このとき駆動磁石113と被駆動磁石116の異極間に吸引作用が生じるから、被駆動磁石116の軸回りの姿勢は上下面が水平の正位置にあり、下半分の左側にN極、右側にS極が来る。
【0042】
(b)駆動磁石113が矢印方向へ90゜回転して、駆動磁石113のS極が被駆動磁石116の配置されている紙面の向う側に位置すると、被駆動磁石116の下側N極は吸引作用により近ずこうとし、被駆動磁石116の下側S極では反発作用により遠のこうとして回転モーメントが働き、被駆動磁石116は反時計方向へ回転する。しかし、駆動磁石113のS極と被駆動磁石116の左上にあるS極が反発して、45゜以上回転しない。
【0043】
(c)駆動磁石113がさらに回転して回転角度が180゜になると、駆動磁石113のN極、S極と被駆動磁石116の下端N極とは3極共存の磁場になり磁気力の作用は相殺される。そして駆動磁石113のN極と被駆動磁石116の丸印のS極との間では吸引作用が、駆動磁石113のS極と被駆動磁石116の無印のS極とは反発作用が働く。この2つの作用により被駆動磁石116はさらに反時計方向へ45゜回転する。
【0044】
(d)駆動磁石113の回転角度が270°になると、駆動磁石113のN極と被駆動磁石116の丸印S極は吸引作用により近ずこうとし、駆動磁石113のN極と被駆動磁石116の下側N極では反発作用により遠のこうとして回転モーメントが働き、被駆動磁石116は さらに反時計方向へ45゜回転する。
【0045】
(e)駆動磁石113の回転角度が360゜になると、駆動磁石113のS極、N極と被駆動磁石116の丸印のS極とは3極共存の磁場になり磁気力の作用は相殺される。そして駆動磁石113のS極と被駆動磁石116のN極との間では吸引作用、駆動磁石113のN極と被駆動磁石116のN極とは反発作用が生じる。この2つの磁場作用により被駆動磁石116はさらに反時計方向へ45゜回転する。ここで駆動磁石113は1回転し、被駆動磁石116は半回転したことになる。
【0046】
以下(f)〜(j)の被駆動磁石116の動きは、(b)から(e)と同じであり、駆動磁石113が2回転した(j)の状態で被駆動磁石116の丸印のS極が元の(a)の初期位置に戻り、被駆動磁石116は一回転したことになる。
【0047】
このように駆動磁石113を垂直回転軸111を中心にして2回転させると、被駆動磁石116は水平回転軸115を中心として1回転、すわなち1/2に減速回転することが分かる。これは駆動磁石と被駆動磁石との磁極数の関係を逆にすると、2倍に増速回転できることを意味し、駆動磁石と被駆動磁石の磁極数を異ならせると、磁極数に応じた増減速作用が得られることがわかる。
【0048】
次に、図11を用いて図5の電磁石によって両面2極型磁石を回転させる場合の動作を説明する。電磁石123のコイルに交番電流を流すと、電磁石123の磁極に交互にN極とS極が生じる。その軸芯121から左に偏位させた斜め左上方に、垂直回転軸125をもつ両面2極型磁石で構成した被駆動磁石126を対向配置してある。
【0049】
(a)電磁石123に電流を流していないときの初期状態を示し、このとき被駆動磁石126は、電磁石123の磁極に引き付けられるため、磁極面が45°傾いた状態で平衡状態になり、N極またはS極のいずれかが下側に位置する。ここでは、N極が下に来る場合を想定する。
【0050】
(b)電磁石123に電流を流して対向磁極をN極とすると、被駆動磁石126のN極は、電磁石123のN極と反発してより遠ざかろうとし、逆にS極は吸引作用により近づこうとするため、被駆動磁石126に回転モーメントが生じて反時計方向へ180°回転する。
【0051】
(c)電磁石123に逆向きの電流を流して磁極をS極とすると、被駆動磁石126のS極は、電磁石123のS極と反発してより遠ざかろうとし、N極は吸引作用により近づこうとするため、被駆動磁石126に回転モーメントが生じて更に反時計方向へ180°回転する。
【0052】
(d)再び電磁石123に元の向きに電流を流してN極とすると、被駆動磁石126のN極は、電磁石123のN極と反発してより遠ざかろうとし、S極は吸引作用により近ずこうとして、さらに左へ180°回転する。
【0053】
このようにして電磁石123に交番磁界を加えることにより、磁心121から偏位させた水平回転軸125を中心に被駆動磁石126を回転させることができる。なお、同図において、被駆動磁石126を電磁石123の左斜め上方ではなく、右斜め上方に配置すると、被駆動磁石126を時計方向に回転させることができる。
【0054】
次に、図1(a)、図1(b)、図3(a)、図3(b)の4つの構成についての回転伝達特性を図12〜図13を用いて説明する。なお、同図の横軸には駆動磁石の駆動角を、縦軸の左側に被駆動磁石の回転トルクを、縦軸の右側に被駆動磁石の従動角をとった。この回転トルクの値は、各々の従動角における磁気伝達されうる静止トルク値である。
【0055】
図12(a)に示すように、駆動側が左右2極型磁石、被駆動側が1個の両面2極型磁石(図1(a))の場合、トルクについては、駆動角が90°と315°近辺で若干低下する現象が見られるが、その他の駆動角では一定である。従動角については、ほとんどずれはなく駆動磁石と同期している。これによれば、トルクのほぼ一定な滑らかな回転を作り出すことができる。
【0056】
図12(b)に示すように、駆動側が左右2極型磁石、被駆動側が1個の周面4極型磁石(図1(b))の場合、トルクについては、駆動磁石が2回転する間にsin波に近似した2周期分の変動があり、滑らかでない回転を作り出している。従動角については、駆動トルクが正の半波にあるときは遅れ、負の半波にあるときは進んでいる。これによれば、トルクが大きく変動し、従動角が同期基準線を中心に一定の周期で蛇行する不安定で滑らかでない回転を作り出すことができる。
【0057】
図13(a)に示すように、駆動側と被駆動側とがともに両面2極型磁石(図3(a))の場合、トルクはフラットで、従動角は駆動側と完全に同期している。これによれば、トルクがより安定で滑らかな回転を作り出すことができる。
【0058】
図13(b)に示すように、駆動側が両面2極型磁石、被駆動側が周面4極型磁石(図3(b))の場合、トルクは駆動磁石が2回転する間にsin波に近似した4周期分の変動がある。従動角については、駆動トルクが正の半波にあるときは進み、負の半波にあるときは遅れる。これによれば、より頻繁にトルクと従動角を変動させる不安定で滑らかでない回転を作り出すことができる。
【0059】
以上、作用をまとめると次のようになる。
【0060】
(1) 被駆動磁石が駆動磁石の回転中心の左右いずれか一方に偏位して配置されているか、または左右両側に配置されているときは、駆動磁石によって被駆動磁石は捩り作用を受けて回転するが、被駆動磁石が回転中心上にあるときは回転せず停止する作用がある。これが本発明で被駆動磁石を駆動磁石に対して偏位させて配置する理由である。
【0061】
(2) 被駆動磁石は駆動磁石の吸引力のみならず反発力も受けて回転し、その吸引力と反発力の強さは同じである。これが本発明で円滑で安定した回転トルクが得られる理由である。
【0062】
(3) 異なる磁極数の磁石同士は、磁極数の比の逆数に比例する作用がある。例えば、駆動側の磁極数が2極で、被駆側の磁極数が4極の場合は1/2に減速される。逆に駆動側の磁極数が4極で、被駆動側の磁極数が2極の場合は2倍に増速される。
【0063】
次に、図14を用いて本発明と従来例の磁気回転伝達装置の駆動側回転角に対する駆動側トルク及び最大伝達トルクの特性を比較して説明する。図14(a)は被駆動側に1個の磁石をもつ第1の発明、(b)は被駆動側に2個の磁石をもつ第2の発明、図14(c)は前記公報の従来特性である。
【0064】
実体に即すため被駆動磁石は図17を用いて本発明の構成と従来例の構成を擬似装置を作製して行った。駆動側トルク特性については、被駆動側は無負荷にしておき、駆動側には簡易トルク計を介して手動で回転を与えた。また最大伝達トルク特性については、被駆動側に簡易トルク計を取り付けて、駆動側は手動で回転を与えた。なお、駆動側トルクは、言い換えれば磁気伝達をするための伝達効率で、駆動側の負担になる力である。
【0065】
第1及び第2の発明と従来のものとを比較すると、周期的に駆動側トルクのピークが発生する点では同じであるが、従来のものは本発明のものよりも駆動側トルクのピーク値が大きく、しかも最初から伝達トルクがかかって滑らかに回転を始める本発明のものと異なり、所定の駆動側回転角に達しなければ被駆動磁石に伝達トルクがかからず回転を始めない点で大きく異なる。この相違が、従来のものに滑らかでない回転と大きな振動をもたらすことになる。第1の発明と第2の発明とを比較すると、駆動側トルク、伝達トルクはともに同じ傾向をもつが、第2の発明の方がより大きな伝達トルクが得られていることがわかる。
【0066】
【実施例】
以下に本発明の磁気回転伝達装置を撹拌装置に適用した実施例について説明する。
【0067】
図15は、撹拌子141を磁気軸受142で支持し、回転負荷の軽減と軸受摩耗の軽減を図るようにした撹拌装置の第1実施例を示したものであり、(a)は概略断面図、(b)は要部の拡大斜視図である。駆動系を内蔵した筐体143の上に液体144を収容する容器145が載せられる。この容器145は無蓋型で非磁性体により形成される。
【0068】
容器145内には、水平回転軸146をもつ周面多極型磁石147から構成した撹拌子141が収容される。撹拌子141の両端には磁気浮上用の磁石148が取り付けられる。撹拌子141の長さは容器145の内径より僅かに短くしてある。なお、撹拌効率を上げるために、許容回転トルク内の範囲で撹拌子141の周囲にブレードを装着してもよい。
【0069】
筐体143内の容器底壁149近傍に駆動用の磁石150を撹拌子141と対向配置する。この駆動用磁石150は、図では両面2極型磁石としているが、4極以上の周面多極型磁石あるいは左右2極型磁石としてもよい。駆動用磁石150は駆動モータ151で垂直軸を中心に回転され、その回転運動が撹拌子141に伝達される。
【0070】
容器両側の筐体143上に一対の磁気軸受142が容器145を挟むように取り付けられている磁気軸受142は、容器145の径方向に進退自在、かつ上下動自在に設けられた磁石を有し、容器両側から容器145内の撹拌子141を吸引して容器底壁149から浮上支持する。
【0071】
撹拌子141に作用する駆動磁石150の吸引力又は反発力に打ち勝って水平浮上支持できるように、磁気軸受142が有する磁石を左右、上下に動かして撹拌子141の吸引力を調整する。左右の吸引力のバランスがとれれば、撹拌子141は完全に容器145から非接触の状態で浮上支持でき、容器内壁との接触圧はゼロになるが、現実にはバランスがとれないため、撹拌子141は左右いずれか一方の内壁に接触してしまう。
【0072】
筐体143内の取付台152に、撹拌子141を下方からラジアル方向に補助的に支承する複数個の補助磁石153を設ける。これらの補助磁石153は上下移動自在に設けるようにし、もし駆動用磁石150の吸引力又は反発力が強すぎる場合には、この補助磁石153の上下位置を動かしてそのバランスを調整するようにしてもよい。また、補助磁石153は撹拌子141の自重調整用として用いてもよい。
【0073】
本実施例によれば、駆動磁石を左右2極型磁石又は両面2極型磁石として垂直軸を中心に回転すれば、被駆動磁石とした周面多極型磁石は、水平回転軸を中心にして、吸引力と反発力の同時作用で回転する。したがって、液体144に滑らかで力強い回転を生じさせることができる。また、水平軸を中心に撹拌子を回すことにより、液体が上下に動き、気泡を巻き込まない液面を形成することができるとともに、液中の気泡を強制的に上に運ぶため気泡を有効に除去できる。このため、気泡の混入をさける撹拌には大きな効果がある。
【0074】
水平軸を中心に回転する撹拌を起こすようにしたので、ビーカ等円筒形の容器の撹拌においては、強制的に対流が起きて液体に乱流層が形成されるため、さほど高速で回さなくても十分な撹拌効果が得られる。また、水平回転軸の中心から軸方向に偏位させて磁石を配置したので、2つの乱流層のぶつかり合いを引き起こすことができ、高い撹拌効率が得られる。また、撹拌子を両側から吸引力でバランス保持する磁気軸受を採用したので、容器内壁との接触を可及的に低減することができ、接触摩耗による摩耗粉の混入を大幅に抑えることができる。
【0075】
なお、従来のマグネチックスターラでは、撹拌子が過負荷になると反発力により、その周速に近い速度で離脱して容器を破損することがあるが、本実施例の撹拌子はそのようなことはなく、過負荷になっても磁気軸受で保持されたまま同期が外れ、回転が止るだけで容器の破損は免れる。そして、離脱した撹拌子を元に戻す手間を必要とせず、そのまま回転速度を下げていけば過負荷でない位置から再び回り出す。
【0076】
図16〜図21は、上述した撹拌装置に使用される各種の撹拌子の実施例を示したものである。
【0077】
図16は1個の両面2極型磁石163を水平回転軸161上に軸方向に偏位させて取り付けた例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。撹拌子は水平回転軸161を有し、その両端には磁気浮上用の磁石162が取り付けられる。磁石162は円板状で構成し、必要ならばこれに皿状のヨークを付けて磁力を強くし、さらに全周を合成樹脂166で覆うとともに、好ましくは、その外側面に小さな丸みを有した突起165を形成し、容器との接触面積を減らして摩耗の軽減を図るようにする。また、垂直回転軸の延長線167と直交する水平回転軸161の中央から軸方向外方に偏位した位置に1個の両面2極型磁石163が取り付けられる。両面2極型磁石163の磁極面は水平回転軸161と平行になっている。この両面2極型磁石163の外周は好ましくは保護用の合成樹脂164で被覆するとよい。磁石163を水平回転軸161上に偏位して取り付けることにより、円滑で安定した回転トルクが得られる。
【0078】
このような撹拌子を作製するには、予め合成樹脂164を被覆した両面2極磁石163の磁極面と直交する両端面の中心部に貫通孔を開け、その貫通孔に水平回転軸161を挿通し、一方を長く、他方を短く調整してねじ止め等の手段で固定する。水平回転軸161の両端にも同様に磁石162をねじ止め等の手段で固定する。あるいは、異物の付着を避けるために、接合部は合成樹脂同士を溶接してもよい。
【0079】
図17は水平回転軸171の周方向に2個の両面2極型磁石173を並べた例を示したものであり、2個の両面2極型磁石173は、周方向にN極とS極が交互に並ぶように水平回転軸171に偏位して配置する。2個の磁石173間は空間的に離れていても、空間的に接触していても、ともに本発明の周面4極型磁石を構成する。
【0080】
図18は両面2極型磁石183を水平回転軸181の周方向に4個並べた例を示し、周面8極型磁石を構成する。なお(b)はA−A矢視図である。このとき使用する駆動磁石が両面2極磁石または左右2極型磁石であれば、駆動磁石が1回転につき被駆動磁石は1/2回転する。したがって、減速機能のある撹拌装置が実現でき、かきまぜ抵抗の大きい撹拌に有効である。さらに極数を多くして6極にすると1/3、8極で1/4に減速することができ、高粘度の液体の撹拌に有効である。
【0081】
なお、逆に周面多極型磁石を駆動側とし、両面2極型磁石を被駆動側としたときは、駆動側の磁極の数を増やすことにより、被駆動側の回転は増速される。例えば、4極で2倍、6極で3倍、8極で4倍に増速することができ、混ざりにくい液体を乳化することができる。
【0082】
図19は軸方向に2個の両面2極型磁石を並べた例を示し、垂直回転軸の延長線197と交わる水平回転軸191の左右に互いに磁極面を平行にし、かつ同一面側の磁極を異ならせて配置する。2個の磁石193は隣接させても、あるいは図に示すように間隔を開けてもよい。磁気作用を倍加でき、かつ表面積が大きくとれるので、撹拌力を強力にすることができる。なお、いずれか一方の磁石を取り除くと図16の撹拌子が得られる。
【0083】
図20は周方向に2個、軸方向に2個、都合4個の磁石を水平回転軸131上に配置したものである。磁石を片側半分だけにすると図17の撹拌子が得られる。
【0084】
図21は水平回転軸211に対して磁石213の軸芯218を傾けて配置した例を示す。このようにすると、液体に乱流が生じて強力な撹拌効果が得られる。
【0085】
図22は撹拌装置に使用される磁気軸受の例を示し、(a)は(b)のA−A矢視断面図、(b)は(a)のB−B矢視図である。磁気軸受は筐体または容器に対して着脱でき、2個一組で使用される。磁気軸受は、容器の外壁に接触する側面221と筐体に接触する底面222とを有する本体223と、本体223の底面222を筐体に吸着させて本体223を筐体に固定する取付磁石224と、容器内に収容される撹拌子を吸引・保持する保持磁石225とを備える。保持磁石225は本体223内の空間内に、側面221に対して進退自在かつ上下移動自在に収容され、その軸226を本体223の裏面に設けた長孔227から出し、ねじ228により任意の位置で固定できるようにしてある。
【0086】
一組の磁気軸受は、撹拌子を両側からしっかりと吸引・保持するため、撹拌子が離脱して飛び跳ねることもなく、容器を破損する心配もない。また、取付磁石224により筐体に強固に吸着固定されるので、撹拌子の回転に伴うトルクや振動を受けても、撹拌子の水平回転軸の軸ずれを阻止することができ、軸ずれにより撹拌子が容器と接触するのを防止できる。
【0087】
また、容器に撹拌子をセットするときは、磁気軸受を筐体から外し、容器の側壁を介して左右の磁気軸受で撹拌子を両側から吸着させながら容器底部へ運ぶことができる。また、撹拌子を取り出すときは容器の側壁に沿って左右の磁気軸受を両手で持ち上げていけば、吸引保持されている撹拌子も同時に持ち上がってくるので、撹拌子を容器から容易に取り出すことができる。また、磁気軸受は、2個で1組で着脱自在となっているから、容器の大きさに合わせてセットでき、不要になったら保管できる。
【0088】
図23は撹拌装置の第2実施例を示し、図15の第1実施例と異なる点は、磁気軸受を通常の機械軸受231に変更した点であり、容器232内の側壁233または底壁234に機械軸受231を固定する。なお、容器上部から撹拌子234を簡単に着脱するために、軸受形状をU字型にしてもよい。これによれば容器232側に軸受231を取り付ける必要があるが、第1実施例のものより構造を簡素化できる。
【0089】
図24は撹拌装置の第3実施例を示し、機械軸受を使用する点では第2実施例と同じであるが、容器241に蓋242を設けて有蓋とし、そこから容器241内に支柱243を懸垂し、下端に軸受244を取り付けるようにした点で異なる。撹拌子245が蓋242から懸垂された軸受244に支持されているので、撹拌子245を蓋242と共に着脱することができる。
【0090】
図25は撹拌装置の第4実施例を示し、第3実施例において、水平回転軸256を傾斜させるとともに、撹拌子255の磁石形状を台形または三角形に変形したものである。傾斜軸を中心に撹拌子を回転させると、強制的な対流で起こる乱流層と撹拌子の周速の違いによる乱流層とがぶつかり合って高い撹拌力が得られる。
【0091】
図26は撹拌装置の第5実施例を示し、1個の電磁石261と1個の磁石262をもつ撹拌子263とで構成したものである。筐体264内に磁極265の向きが垂直になるように電磁石261を設置する。容器266内に設置する撹拌子263は、電磁石261の磁極265に対して偏位して配置する。スイッチング電源267で交流を直流に変換し、交番電流発生器268により電磁石261のコイルに交番電流を流して、磁極265のN極とS極を交互に発生させて回転駆動源とする。
【0092】
図27は、2個の電磁石271と2個の磁石272をもつ撹拌子273とで構成した第6実施例例を示す。2個の電磁石272の磁極274は一方がN極のとき、他方はS極が生じるようにする。これによれば、電磁石271の磁極274の極性変化ごとに撹拌子273が1/2回転する。撹拌子273の回転速度は電磁石271に交互に流す電流の周波数に関係し、その周波数が高いほど撹拌子273の回転速度は早くなる。例えば、撹拌子273の回転速度を1分間に100回転させるには1分間に200回交互に電流を流せばよい。特に、複数個の容器を多連にしたような装置においては、電磁石を駆動源にすることにより装置を経済的に優れたものとすることができる。なお、2個の電磁石272に同一極性の磁極が生じるようにしてもよく、その場合には、撹拌子273に取り付けた2個の両面2極型磁石272の磁極面も同一極性とする。
【0093】
図28は第7実施例を示したもので、原理的には図26と同じであるが、撹拌装置としてではなく、簡易電動機又はアクチュータとして構成したものである。これによれば、回転子283の出力軸289に無接触で回転を伝達することができる。
【0094】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、周面多極型磁石を左右2極型磁石の回転軌跡の中心より偏位させて配置したので、軸延長線上で直交する2つの回転軸間に、大きな駆動トルクを要することなく、滑らかでトルクの安定した回転を伝達することができる。
【0095】
請求項2に記載の発明によれば、一方の回転軸に周面多極型磁石を2個並べたので、請求項1に比してより大きな伝達トルクを得ることができる。
【0096】
請求項3に記載の発明によれば、対向して配置される両方の磁石をともに周面多極型磁石としたので、より回転が滑らかで、より安定した伝達トルクを得ることができる。
【0097】
請求項4に記載の発明によれば、一方の回転軸に周面多極型磁石を2個並べたので、請求項3に比してより大きな伝達トルクを得ることができる。
【0098】
請求項5に記載の発明によれば、一方の磁石に電磁石を用いるので、回転駆動源が省略でき構造の簡素化を図ることができる。また、電磁石に対して対向磁石を偏位させて配置したので、磁石を非接触で回転させることができる。
【0099】
請求項6に記載の発明によれば複数の電磁石を用いるので、より大きな伝達トルクが回転軸に得られる。
【0100】
請求項7に記載の発明によれば、回転軸を傾斜させたので、ある角度で交差する2つの回転軸間で回転を伝達することができる。
【0101】
請求項8に記載の発明によれば、1個の周面多極型磁石を水平回転軸に偏位して取り付けただけの簡単な構造で、水平回転軸を中心に回転する力強い撹拌力を得ることができる。
【0102】
請求項9に記載の発明によれば、2個の周面多極型磁石を水平回転軸の左右に取り付けたので、請求項8に比して2倍の撹拌力を得ることができる。
【0103】
請求項10に記載の発明によれば、周面多極型磁石を水平回転軸に対して傾斜して取り付けたので、より強力で効果的な撹拌力を得ることができる。
【0104】
請求項11に記載の発明によれば、撹拌子の両端に磁石を設けたので、撹拌子を磁気浮上させることができる。
【0105】
請求項12に記載の発明によれば、周面多極型磁石で構成した撹拌子を磁気軸受で保持するだけの簡単な構造で、水平回転軸を中心に力強い撹拌力を得ることができ、しかも磁気結合であるため液漏れの心配がなく、容器との接触も大幅に低減することができる。
【0106】
請求項13に記載の発明によれば、取付磁石で磁気軸受を筐体に固定するので回転負荷や振動に伴う水平回転軸のずれを防止できる。また磁気軸受を着脱自在としたから、磁気軸受を容器の外壁に沿って上下に滑らすことにより撹拌子を保持したまま上下に動かすことができ、手をあまり汚さず、液体の飛び跳ねもなく撹拌子を容易に着脱できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気回転伝達装置の第1の基本構成を示す斜視図であり、(a)は左右2極型磁石と両面2極型磁石の組合わせ、(b)は左右2極型磁石と周面4極型磁石の組合わせを示す。
【図2】本発明の磁気回転伝達装置の第2の基本構成を示す斜視図であり、(a)は左右2極型磁石と2個の両面2極型磁石の組合わせ、(b)は左右2極型磁石と2個の周面4極型磁石の組合わせを示す。
【図3】本発明の磁気回転伝達装置の第3の基本構成を示す斜視図であり、(a)は両方とも両面2極型磁石の組合わせ、(b)は両面2極型磁石と周面4極型磁石の組合わせを示す。
【図4】本発明の磁気回転伝達装置の第4の基本構成を示す斜視図であり、(a)は両面2極型磁石と2個の両面2極型磁石の組合わせ、(b)は両面2極型磁石と2個の周面4極型磁石の組合わせを示す。
【図5】本発明の磁気回転伝達装置の一方の磁石を電磁石とした第5の基本構成を示す斜視図であり、電磁石と対向する磁石を両面2極型磁石とした図である。
【図6】本発明の磁気回転伝達装置の一方の磁石を電磁石とした第6の基本構成を示す斜視図であり、電磁石を2個とし、それらに対向する2個の磁石を両面2極型磁石とした図である。
【図7】本発明の磁気回転伝達装置の回転軸を傾斜させた第7の基本構成を示す斜視図であり、(a)は左右2極型磁石と両面2極型磁石の組合わせ、(b)は左右2極型磁石と周面4極型磁石の組合わせ、(c)は両面2極型磁石同士の組合わせ、(d)は両面2極型磁石と周面4極型磁石の組合わせ、(e)は電磁石と両面2極型磁石の組合わせを示す。
【図8】図1(a)の回転動作説明図を示す。
【図9】図3(a)の回転動作説明図を示す。
【図10】図3(b)の回転動作説明図を示す。
【図11】図5の回転動作説明図を示す。
【図12】本発明の磁気回転伝達装置の駆動角に対するトルク及び従動角の第1の基本特性図を示し、(a)は図1(a)の特性図、(b)は図1(b)の特性図である。
【図13】本発明の磁気回転伝達装置の駆動角に対するトルク及び従動角の第2の基本特性図を示し、(a)は図3(a)の特性図、(b)は図3(b)の特性図である。
【図14】本発明と従来例の磁気回転伝達装置の駆動側回転角に対する駆動側トルク及び最大伝達トルクの特性を比較した特性図である。
【図15】本発明の撹拌装置の第1実施例の構成を示し、(a)は概略縦断面図であり、(b)は要部の拡大斜視図である。
【図16】本発明の1個の両面2極型磁石を有する撹拌子の実施例の説明図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図17】本発明の2個の両面2極型磁石を周方向に有する撹拌子の実施例の説明図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図18】本発明の4個の両面2極型磁石を周方向に有する撹拌子の実施例の説明図であり、(a)は平面図、(b)はA−A矢視図である。
【図19】本発明の2個の両面2極型磁石を軸方向に有する撹拌子の実施例の説明図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図20】本発明の4個の両面2極型磁石を周方向と軸方向に有する撹拌子の実施例の説明図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図21】本発明の4個の両面2極型磁石を周方向と軸方向に傾斜して有する撹拌子の実施例の説明図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図22】本発明の磁気軸受の実施例を示し、(a)は(b)のA−A矢視断面図、(b)は(a)のB−B矢視図である。
【図23】本発明の撹拌装置の第2実施例の構成を示し、(a)は概略縦断面図、(b)は要部の拡大斜視図である。
【図24】本発明の撹拌装置の第3実施例の構成の概略縦断面図を示す。
【図25】本発明の撹拌装置の第4実施例の構成の概略縦断面図を示す。
【図26】本発明の撹拌装置の第5実施例の構成の概略縦断面図を示す。
【図27】本発明の撹拌装置の第6実施例の要部拡大斜視図を示す。
【図28】本発明の撹拌装置の第7実施例の概略縦断面図を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図29】従来例による磁気回転伝達装置の動作説明図である。
【符号の説明】
101 一の回転軸
102 磁極
103 左右2極型磁石
104 延長線
105 他の回転軸
106 周面多極型磁石
108 回転軌跡

Claims (13)

  1. 一の回転軸を中心に回転する左右に一対の磁極を有する左右2極型磁石と、
    上記一の回転軸の延長線と直交する他の回転軸を中心に回転し、N極とS極とを周方向に交互に配置した周面多極型磁石とを備え、
    上記周面多極型磁石を上記左右2極型磁石の磁極が描く回転軌跡の半径上に中心より偏位させて配置した磁気回転伝達装置。
  2. 一の回転軸を中心に回転する左右に一対の磁極を有する左右2極型磁石と、
    上記一の回転軸の延長線と直交する他の回転軸に沿って並べられ、該他の回転軸を中心に回転するN極とS極とを周方向に交互に配置した2個の周面多極型磁石であって、一方の周面多極型磁石のN極と他方の周面多極型磁石のN極との周方向の位相がずれている周面多極型磁石とを備え、
    上記他の回転軸に並べられた2個の周面多極型磁石を、上記左右2極型磁石の磁極が描く回転軌跡の直径上に中心より偏位させて配置した磁気回転伝達装置。
  3. 一の回転軸を中心に回転するN極とS極とを周方向に交互に配置した第1周面多極型磁石と、
    上記一の回転軸の延長線と直交する他の回転軸を中心に回転するN極とS極とを周方向に交互に配置した第2周面多極型磁石とを備え、
    第2周面多極型磁石を第1周面多極型磁石が描く回転軌跡の半径上に中心より偏位させて配置した磁気回転伝達装置。
  4. 一の回転軸を中心に回転するN極とS極とを周方向に交互に配置した第1周面多極型磁石と、
    上記一の回転軸の延長線と直交する他の回転軸に沿って並べられ、該他の回転軸を中心に回転するN極とS極とを周方向に交互に配置した2個の第2周面多極型磁石であって、一方の第2周面多極型磁石のN極と他方の第2周面多極型磁石のN極との周方向の位相がずれている第2周面多極型磁石とを備え、
    上記他の回転軸に並べられた2個の第2周面多極型磁石を、第1周面多極型磁石の磁極面が描く回転軌跡の直径上に中心より偏位させて配置した磁気回転伝達装置。
  5. 磁極がN極とS極に交互に変化する電磁石と、
    該電磁石の軸芯から偏位させて延長した延長線と直交する回転軸を中心に回転し、N極とS極とを周方向に交互に配置した周面多極型磁石と
    を備えた磁気回転伝達装置。
  6. 磁極の向きを平行にして一列に並べられ、磁極がN極とS極に交互に変化する複数の電磁石と、
    該複数の電磁石の各軸芯から、上記電磁石の列から離れる方向に偏位させて延長した各延長線と直交する回転軸に上記複数の電磁石の各磁極と対向して並べられ、上記回転軸を中心に回転するN極とS極とを周方向に交互に配置した複数の周面多極型磁石と
    を備えた磁気回転伝達装置。
  7. 上記他の回転軸を一の回転軸の延長線と直交させるに代えて、一の回転軸の延長線と斜めに交わるようにした請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気回転伝達装置、または上記回転軸を電磁石の軸芯から偏位させた延長線と直交させるに代えて、延長線と斜めに交わるようにした請求項5または6に記載の磁気回転伝達装置。
  8. 水平回転軸と、
    この水平回転軸に軸方向に偏位して取り付けられたN極とS極とを周方向に交互に配置した周面多極型磁石と
    を備えた撹拌子。
  9. 水平回転軸と、
    この水平回転軸の左右に取り付けられ、N極とS極とを周方向に交互に配置された2個の周面多極型磁石であって、一方の周面多極型磁石のN極と他方の周面多極型磁石のN極との周方向の位相をずらして配置した2個の周面多極型磁石とを備えた撹拌子。
  10. 請求項8または請求項9に記載の撹拌子において、上記周面多極型磁石の軸芯を水平回転軸に対して傾斜して取り付けた撹拌子。
  11. 請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の撹拌子において、水平回転軸の両端に磁石を設けた撹拌子。
  12. 液体を収容する容器の底部近傍に垂直回転軸を中心に回転自在に設けられ、左右に一対の磁極面を有する左右2極型磁石、またはN極とS極とを周方向に交互に配置した周面多極型磁石と、
    容器内に収容され、上記垂直回転軸を中心に回転する上記左右2極型磁石または周面多極型磁石の回転が磁力で伝達されて水平回転軸を中心に回転する請求項11に記載の撹拌子と、
    容器の両側部に着脱自在に取り付けられ、容器内に収容された撹拌子の両端に設けた磁石と吸引しあって撹拌子を容器の底部から磁気浮上させたまま保持する一対の磁気軸受と
    を備えた撹拌装置。
  13. 容器の側部に接触する側面と筐体に接触する底面とを有する本体と、
    上記本体の底面を筐体に吸着させて本体を筐体に固定する取付磁石と、
    本体の側面に対して進退自在かつ上下動自在に取り付けられ、容器内に収容される撹拌子を吸引する保持磁石と
    を備えた磁気軸受。
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