JP3678762B2 - ガスクロマトグラフ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、ガスクロマトグラフ、特に試料成分中の水分を良く除去することの出来るガスクロマトグラフに関する。
【0002】
【従来の技術】
試料を気化させてその成分を分析するガスクロマトグラフでは流量切換バルブと成分分離機能を有するプレカットバルブとを組み合わせて特定の成分を分離除去して分析カラムへ導入することが多い。特に、プレカットバルブには微量成分を分析する場合、流路途中に水分を分離するためのトラップ用カラムが配置されることがある。
【0003】
図7は従来のガスクロマトグラフによる成分分析の際のプレカラムから分析カラムへの炭化水素(HC)類試料の排出量と導入時間との関係を示すグラフである。この図からも分かるように、プレカラムでの炭化水素(HC)類と水分との保守時間に差はあるが、高沸点物質である炭化水素(HC)類成分を分析対象とする場合(T1 時間かけて導入する)水分の量の大半は分析カラムへ導入されてしまうことになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記するように、成分分離機能をもつプレカラムを設けたガスクロマトグラフでは測定成分によっては水分等の不要成分を除去することが難しい。特に、多量の水分を含む試料を分析する際この水分のために分離が悪くなったり(特に吸着カラムを使用するとき)、水素炎イオン化検出器の水素炎が消えたり、流路中に冷却用カラムトラップが構成されていたりするとここで結露が生じてカラムの閉塞が起き分析が出来なくなる等の問題があった。
この発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とする所は試料中に多量の水分等の不要成分があってもこれを殆ど除去することが可能でより正確な試料分析が可能なガスクロマトグラフを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわちこの発明に係るガスクロマトグラフは、上記課題を解決するために、サンプリングバルブと、プレカットバルブと、計量管と、濃縮管と、実質的に液相の塩化カルシウムを含有する担体が充填されかつ昇温可能である水分除去のためのプレカラムとを少なくとも備え、各バルブを切り換えつつパージガスを用いて試料の移送を行うガスクロマトグラフにおいて、試料の計量、濃縮、水分除去、分析カラムへの移送を順次行った後に、さらにパージガスによりバックフラッシュ操作を行ってプレカラムの再生を行うことを特徴とする。
【0006】
【作用】
ガスクロマトグラフを上記手段としたときの作用について添付図(図2乃至図5)及びこれらの符号を用いて説明する。
(1) 試料入口12より導入された試料は計量管5で採取され(図2)、(2) 次に濃縮管6へ送られ濃縮される(図3)。(3) 該濃縮管6を加熱してパ−ジガス入口18からパ−ジガスを導入し、濃縮管6で濃縮した試料をプレカラム7を通しここで試料中の水分を除去してカラム導入口17より導入する(図4)。更に、(4) プレカットバルブ2の流路を切り換えて元の流路に戻し、パ−ジガスをプレカラム7へ一定時間導入して不必要成分のバックフラッシュを行う(図5)。
以上の(1) 乃至(4) の動作により分析カラムへ導入される試料中の水分量等の不要成分を少なくすることが可能となり且つバックフラッシュによりプレカラム7も元の状態に再生される。
【0007】
【実施例】
以下、この発明の具体的実施例について図面を参照して説明する。
図1はこの発明のガスクロマトグラフで用いるサンプリングバルブ1とプレカットバルブ2とカラム3及び検出器4(通常水素炎イオン化検出器が使用されることが多い)の配管図である。サンプリングバルブ1には、流路を切り換えることによりガスの流入口或いは排出口となる8つのガス流通口A乃至Hが設けられている。当初、これらのガス流通口のうちCはパ−ジガス入口(計量管用)11に、Aは試料ガス入口12に、Eは試料ガス出口13にそれぞれ通じる管路によって接続されている。また、該サンプリングバルブ1の前記DとHとの間の管路には計量管5が接続されている。
【0008】
前記プレカットバルブ2には、流路を切り換えることによりガスの流入口或いは排出口となる10個のガス流通口I乃至Rが設けられている。これらのガス流通口のうちIは前記サンプリングバルブ1のガス流通口Gに、Rは前記パ−ジガス出口(計量管用)14に、Lは抵抗管8を介してパ−ジガス出口(プレカラム用)15に、Mは抵抗管9を介してキャリヤガス入口16に、Nはカラム導入口17に、Pはパ−ジガス入口(プレカラム用)18にそれぞれ通じる管路によって接続されている。また、該プレカットバルブ2のガス流通口JとQとの間には濃縮管6が管路によって接続され、ガス流通口KとOとの間にはプレカラム7が管路によって接続されている。
【0009】
次に、前記プレカットバルブ2に接続されたプレカラム7には、塩化カルシウム(CaCl2 )を珪藻土等の担体に保持させた充填剤を充填してある。該塩化カルシウム(CaCl2 )は、多くは2水塩であるが、炭酸カルシウム又は水酸化カルシウムを塩酸に溶かした水溶液を濃縮すると30°C以下で6水塩が得られ、30°C〜40°Cで4水塩が得られ、40°C以上で2水塩が得られ、175°Cで1水塩が得られ、300°C付近では無水塩が得られる。これらのうち有水塩はいずれも無色吸水性の結晶で、無水塩は斜方晶である。
【0010】
プレカラム7に前記塩化カルシウム含有の充填剤を充填したこの発明のガスクロマトグラフではカラム導入口17までの間のガス流路途中にサンプリングバルブ1とプレカットバルブ2とを配置し、試料ガス中の水分を除去し流路を切り換えてカラム3へ導入するようになっているが、その操作について図2乃至図5を参照して説明する。
(1) 試料入口12より導入され、サンプリングバルブ1の計量管5を流通し、試料出口13より排出されるように試料を流通させて該計量管5で試料を採取する(図2)。
(2) 次に、サンプリングバルブ1の流路を切り換え、パ−ジガス入口11からパ−ジガスを導入し、計量管5で採取した試料を計量後プレカットバルブ2に接続した濃縮管6へ送り、該濃縮管6を冷却して試料ガスを濃縮する(図3)。
(3) プレカットバルブ2の流路を切り換えると共に加熱(約100°Cに加熱)してパ−ジガス入口18からパ−ジガスを導入し、濃縮管6で濃縮した試料をプレカラム7を通しここで試料中の水分を除去してカラム導入口17より導入する(図4)。
(4) 更に、プレカットバルブ2の流路を切り換えて元の流路に戻し、パ−ジガス入口18よりパ−ジガスをプレカラム7へ導入し、一定時間(T3 時間まで)パ−ジガスを導入して不必要成分のバックフラッシュを行う(図5)。
以上の(1) 乃至(4) の動作により分析カラムへ導入される試料中の水分量を少なくすることが可能となり且つバックフラッシュによりプレカラム7も元の状態に再生される。
【0011】
図6はこの発明のガスクロマトグラフによる成分分析の際のプレカラムから分析カラムへの炭化水素(HC)類試料の排出量と導入時間との関係を示すグラフである。この図からも分かるように炭化水素(HC)類成分を分析対象とする場合(T2 時間かけて導入する)水分の量の大半は除去されることが分かる。そしてT3 時間までフラットな状態で水分が分離除去される。
【0012】
前記プレカラム7に充填した塩化カルシウム(CaCl2 )の充填剤が試料中の水分を分離除去し且つバックフラッシュにより再生されるのは次のような作用によるものと解される。即ち、上記するように約100°Cの恒温槽では塩化カルシウム(CaCl2 )は2水塩の状態である。そこに多量の水分が導入されると4水塩或いは6水塩となるが、その後バックフラッシュによる水分を含まないパ−ジガスにより元の2水塩の状態に再生される。
【0013】
尚、この発明ではプレカラム7に充填する充填剤は2価の金属であるカルシウム(Ca)とハロゲン元素の塩素(Cl)との化合物である塩化カルシウム(CaCl2 )を主成分とする充填剤としたが、2価の金属或いは1価の金属例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)と、ハロゲン元素例えば臭素(Ba)やヨウ素(I)との化合物の水塩で吸水性があり且つ再生可能なものであれば他の化合物も使用可能である。
【0014】
【発明の効果】
この発明のガスクロマトグラフは以上詳述したような構成としたので、多量の水分を含む試料から大部分の水分を除去しガスクロマトグラフによるより正確な分析が可能となる。特に、微量(ppm単位の量)の試料を分析する場合、検出限界を上げるため多量の試料を冷却してトラップするが、このとき多量の水分が存在すると分析の際障害となっていた。しかし本願の発明の構成により大部分の水分を除去することが可能となり水素炎イオン化検出器の水素炎の消失やカラムトラップでの結露による閉塞等を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のガスクロマトグラフで用いるサンプリングバルブとプレカットバルブとカラム及び検出器の配管図である。
【図2】サンプリングバルブの計量管で試料を採取する状態を示す図である。
【図3】計量管で採取した試料を計量後プレカットバルブに接続した濃縮管で試料ガスを濃縮する状態を示す図である。
【図4】プレカットバルブの濃縮管で濃縮し水分を除去した試料をカラム導入口へ導入する状態を示す図である。
【図5】プレカットバルブの流路を切り換えて元の流路に戻しパ−ジガスをプレカラムへ導入し不必要成分のバックフラッシュを行う状態を示す図である。
【図6】この発明のガスクロマトグラフによる成分分析の際のプレカラムから分析カラムへの炭化水素(HC)類試料の排出量と導入時間との関係を示す図である。
【図7】従来のガスクロマトグラフによる成分分析の際のプレカラムから分析カラムへの炭化水素(HC)類試料の排出量と導入時間との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 サンプリングバルブ 2 プレカットバルブ
3 カラム 4 検出器
5 計量管 6 濃縮管
7 プレカラム 8、9 抵抗管
11 パ−ジガス入口(計量管用)
12 試料ガス入口 13 試料ガス出口
14 パ−ジガス出口(計量管用)
15 パ−ジガス出口(プレカラム用)
16 キャリヤガス入口 17 カラム導入口
18 パ−ジガス入口(プレカラム用)

Claims (1)

  1. サンプリングバルブと、プレカットバルブと、計量管と、濃縮管と、実質的に液相の塩化カルシウムを含有する担体が充填されかつ昇温可能である水分除去のためのプレカラムとを少なくとも備え、各バルブを切り換えつつパージガスを用いて試料の移送を行うガスクロマトグラフにおいて、試料の計量、濃縮、水分除去、分析カラムへの移送を順次行った後に、さらにパージガスによりバックフラッシュ操作を行ってプレカラムの再生を行うことを特徴とするガスクロマトグラフ。
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