JP3678760B2 - 多段エゼクタ装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、多段エゼクタ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エゼクタによる空気の吸入量または吸引力を大きくするために、ノズルを複数個設けた多段エゼクタ装置は、例えば特公昭63−29120号公報によって既に知られている。
しかしながら、上記公知の多段エゼクタ装置は、別体に形成した複数個のノズルをボディの軸線方向に個別に設置しているために、これらのノズルのボディへの組み付け作業が面倒で高価なものになる。
また、直列に設けた複数個のノズルの軸線位置がずれると、多段エゼクタによる吸引機能が低下するという問題がある。
【0003】
本発明の発明者らは、上記問題を解決した多段エゼクタ装置を、特願平5−96625号において提案した。
この既提案の多段エゼクタ装置は、複数個のノズルを多段エゼクタ構造体として一体に成形したことにより、複数個のノズルをボディに個々に組み付ける公知の多段エゼクタ装置における上記問題を解決したものであるが、ボディと多段エゼクタ構造体との関係についての配慮に欠けるところがあり、多段エゼクタ構造体をボディに組み付ける作業が必ずしも簡単ではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、複数のノズルの軸線位置のずれがなく、かつ多段エゼクタ構造体のボディへの組み付けが簡単な、多段エゼクタ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、吸引ポートを有するボディと、該ボディに組み付けられた多段エゼクタとを備え、該多段エゼクタに供給される圧縮空気によって、上記吸引ポートに真空圧を作用させる多段エゼクタ装置において、上記多段エゼクタが、上下両面が開口する枠体、ほぼ同一軸線上に配設した複数のノズル、並びに上記枠体及びノズル周囲の区画壁によって区画された複数の真空発生室を有し一体成形された多段エゼクタ構造体と、枠体に上記ノズルとほぼ同一軸線上に取付けた主ノズルと、多段エゼクタ構造体の下側開口を覆うディフューザカバーとを備え、上記ボディの下面に気密に組み付けられていて、上記複数の真空発生室が、ボディに開設した複数の吸引通路によって上記吸引ポートに連通され、上記ボディには、上記吸引ポートに取付けられたワンタッチ管継手と、該吸引ポート周りに配設されたサクションフィルタと、上記多段エゼクタが発生する真空圧を検出して信号を出力する真空スイッチとが設けられており、さらに、上記主ノズルに圧縮空気を給排するための供給弁と、上記吸引ポートに圧縮空気を供給するための真空破壊弁とを一体に備えている、ことを特徴としている。
また、同様の課題を解決するため、上記多段エゼクタ装置において、上記真空発生室から吸引通路への空気の流出を阻止する逆止弁が、上記ボディの下面と上記ノズル周囲の区画壁との間に挟持されて組み付けられていることを特徴としている。
【0006】
【作用】
多段エゼクタ構造体が、上下両面が開口する枠体と、ほぼ同一軸線上に配設した複数のノズルと、枠体及びこれらのノズル周囲の区画壁によって区画された複数の真空圧発生室とを備えているので、該多段エゼクタ構造体を一体成形することができ、これによって上記複数のノズルの軸心のずれもない。
また、上記多段エゼクタ構造体に主ノズルを取付け、この多段エゼクタ構造体を、その下面開口を覆うディフューザカバーとともにボディの下面に気密に組み付けることにより多段エゼクタ装置が構成されるので、多段エゼクタのボディへの組み付けがきわめて簡単である。
さらに、上記真空発生室から吸引通路への空気の流出を阻止する逆止弁を、上記ボディの下面と上記ノズル周囲の区画壁との間に挟持させて組み付けたことにより、多段エゼクタのボディへの組み付けによって逆止弁も組み付けることができる。
【0007】
【実施例】
図1ないし図3は本発明の第1実施例を示し、この多段エゼクタ装置1は、ボディ2と該ボディ2の下面に組み付けられる多段エゼクタ3とを備えている。
上記ボディ2は、軸線方向両側と上方の三方が開口する凹溝5と、該凹溝の底壁2aに形設した後記する空気の吸引通路6a,6b,6cとを有し、金属またはプラスチックの射出成型によって一体に形成されている。
また、ボディ2と多段エゼクタ3の軸線方向の両端にフロントカバー7とエンドカバー8が、凹溝5にサクションカバー9が、それぞれ取付ねじ10a,・・と10b,・・によって気密に取付けられている。
【0008】
上記多段エゼクタ3は、上下方向が開口する枠体13、及び該枠体の軸線方向中間の区画壁付きの複数(図に示す実施例においては3個)のノズル14a,14b,14cを有し、これらをボディ2と同様に金属またはプラスチックの射出成型によって一体に形成した多段エゼクタ構造体12と、上記枠体13の軸線方向一端に形成した取付孔13aに取付けられた主ノズル15と、枠体13の下面開口を覆うディフューザカバー17とを備え、主ノズル15と各ノズル14a,14b,14cは、その中心がほぼ同一軸線上に配設されるとともに、ノズルの径が下流に向けて順次大きくされている。そして、枠体13とノズル14aの区画壁18間に前段の真空発生室19aが、ノズル14a,14b,14cの区画壁18,・・間に後段の真空発生室19bと19cが形成され、上記空気の吸引通路6a,6b,6cは、これらの真空発生室に個別に開口している。
【0009】
上記多段エゼクタ3は、枠体13の上下両縁に取付けたガスケット20,20とディフューザカバー17とともに、取付ねじ10c,・・によってボディ2の底壁2aに気密に取付けられ、区画壁18,・・及び底壁2aに形成した取付溝に、後段の真空発生室19b,19cから吸引通路6b,6cへの空気の流出を阻止する逆止弁21a,21bが取付けられている。
【0010】
フロントカバー7は、先端が主ノズル15に開口する圧縮空気の供給流路22を有し、該流路基端の圧縮空気の供給ポート23に、チューブを接続するためのいわゆるワンタッチ管継手24が取付けられている。
一方、エンドカバー8は、ボディ2側と上方の二方が開口する凹部を有し、該凹部の下方に、枠体13他端の取付孔13bを通してノズル14cの先端に取付けられた中空円筒状の第1サイレンサ26が位置し、中間の段部にブロック状の第2サイレンサ27が設置され、上方の開口に、多数の排気口29,・・が開設されかつ下面に第2サイレンサ27の押え部30,・・を有するサイレンサカバー28が取付けられている。なお、これらのサイレンサ26,27が、吸音性を有する素材で形成されていることは、勿論である。
【0011】
ガスケット32を介してボディ2の凹溝5に気密に取付けられた上記サクションカバー9は、上面のほぼ中心部分に開設した吸引ポート33に、一端に吸着パッド34が取付けられたチューブ35(図3参照)を挿入するための、ワンタッチ管継手24が取付けられている。また、サクションカバー9の側壁内部に、吸引ポート33を囲む箱型のサクションフィルタ36が取付けられている。
サクションカバー9のエンドカバー8側には、真空圧検出部9aが一体に形成され、該真空圧検出部9aに形成した取付孔38,38に、角筒状の真空ブロックベース39が突起40,・・によって取付けられ、真空圧検出部9aに形成した、サクションカバー9内の空間に連通する通路41の先端は、ボール等の適宜の閉鎖手段によって閉鎖されている。また真空ブロックベース39の上方は、多数の排気口43,・・を有するサイレンサカバー42が、係止突起44,・・によって取付けられている。
【0012】
図1中の符号45aは、多段エゼクタ装置に後記する真空破壊弁を取付けた場合における真空破壊通路の一部を構成するためのボディ2に形設した通路、符号47は、エンドカバー8に開設した取出孔46を閉鎖する止め栓である。
【0013】
上記第1実施例は、多段エゼクタ構造体12が、上下方向が開口する枠体13と、該枠体の軸線方向中間の区画壁18付きのノズル14a,14b,14cとを有しているために、ボディ2と同様に金属またはプラスチックの射出成型によって一体に形成することができるので、多段エゼクタ構造体12を容易に形成することができ、かつ枠体13と各ノズルの区画壁18,・・によって、真空発生室19a,19b,19cを形成することができ、しかも各ノズルの軸線のずれもない。
【0014】
また、枠体13の取付孔13aに主ノズル15を取付けた多段エゼクタ構造体12と、枠体13の下面開口を覆うディフューザカバー17とを、取付ねじ10c,・・でボディ2の底壁2aに取付けることによって、多段エゼクタ3をボディ2に組み付けることができるので、多段エゼクタ3のボディ2への組み付けがきわめて容易である。
さらに、逆止弁21a,21bを区画壁18,・・とボディ2の底壁2aとの間に挟持させて設けたことにより、多段エゼクタ3のボディ2への組み付けによって、逆止弁を取付けることができる。
【0015】
多段エゼクタ3のボディ2への組み付け後、多段エゼクタ3に第1サイレンサ26を取付け、次いでボディ2の凹溝5に、真空ブロックベース39やサクションフィルタ36等を組み付けたサクションカバー9を、ボディ2及び多段エゼクタ3の両端に、ワンタッチ管継手24を組み付けたフロントカバー7と第2サイレンサ27等を組み付けたエンドカバー8とをそれぞれ取付けると、多段エゼクタ装置1が組み立てられる。
【0016】
上記第1実施例においては、供給ポート23から供給通路22に圧縮空気を供給し、その圧縮空気をノズル本体15から多段エゼクタ構造体12の第1のノズル14aに向けて噴出させると、前段の第1の真空発生室19aの空気が吸引されて、該真空発生室19aに真空圧が発生する。そして、順次、第2,第3のノズル14b、14cへと圧縮空気が噴出されることにより、後段の第2,第3の真空発生室19b、19cの空気も吸引されて、該真空発生室19b,19cにも真空圧が発生する。その結果、これら各真空発生室19a,19b,19cに連通された上記吸引通路6a,6b,6cを通じて吸引ポート33に真空圧が作用するようになっている。この場合、逆止弁21a,21bは、ワークを吸着した吸着パッド34に生ずる真空圧と真空発生室19b,19cで発生した真空圧との差圧によって、吸引通路6b,6cを開閉する。
多段エゼクタ3から排出された空気は、サイレンサ26と27によって消音され、サイレンサカバー28と42の排気口29,・・と43,・・から外部に排出される。
なお、図示を省略しているが、ワークの吸着時における真空圧保持のために、必要に応じて、多段エゼクタ3に真空発生室19aから吸引ポート33への空気の流れを阻止する逆止弁を、逆止弁21a,21bと同様の態様で設置することができる。
【0017】
図4ないし図6は本発明の第2実施例を示し、第2実施例の多段エゼクタ装置51は、主ノズル15に圧縮空気を給排する供給弁52と、吸引ポート33に圧縮空気を供給する真空破壊弁53と、これらの弁52,53とフロントカバー7との間のバルブプレート54とを備えている。
【0018】
図6に概略を示す上記供給弁52と真空破壊弁53は、ソレノイドの励磁と励磁解除によって、出力ポートAを、供給ポート23に連通する入口ポートPと排気ポートRとに切換えて連通させる周知の3ポート電磁弁として構成されているが、排気ポートRは閉鎖されている。したがって、これらの弁は、入口ポートと出力ポート間の流路を通断する2ポート弁とすることができる。また、これらの弁52,53は電磁弁に限定されるものではなく、例えばパイロット空気圧等によって作動する弁とすることもできる。
なお、サクションフィルタ36と吸引ポート33の間に、後記する真空スイッチ56に連動する2方弁(図示省略)を設けると、逆止弁よりも信頼性の高い真空保持を行なうことができる。
【0019】
上記供給弁52の出力ポートAは、供給通路22を介して主ノズル15に、真空破壊弁53の出力ポートAは、バルブプレート54とフロントカバー7に形成した真空破壊通路45、及びボディ2に形成した上記真空破壊通路45aとによってサクションカバー9の空間にそれぞれ連通し、バルブプレート54に、真空破壊通路45を流れる空気の流量を調整するための流量調整弁55が取付けられている。
【0020】
真空圧検出部9aの取付孔38,38に取付けられた真空スイッチ56は、エゼクタの排気や異物等が入り込まない密閉構造で構成されている。該真空スイッチ56は、通路41の真空圧を検出してその変化をデジタル信号に変換して出力するとともに、検出した真空圧を目視可能に表示するものとして構成されており(具体的な構成及び作用は、特開平3−96492号公報及び当社発行のカタログ「真空用圧力スイッチZSE4シリーズ[カタロググ番号CAT.S100−13]」参照)、上記通路41に、該通路中の水分や異物等による上記スイッチの誤作動を防止するための疎水エレメント58(図6参照)が設けられている。また、上記信号を外部に出力するリード線57は、エンドカバー8の取出孔46から外部に取出されている。
第2実施例の他の構成は、第1実施例と同じであるから、図の主要な箇所に同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0021】
上記第2実施例の作用は、供給弁52の出力ポートAから圧縮空気が多段エゼクタ3に供給されること、真空破壊弁53によって吸引ポート33に真空破壊空気が供給されること、及び該真空破壊空気の流量が流量調整弁55によって調整できること以外は、第1実施例と同じであるから、詳細な説明は省略する。
【0022】
【発明の効果】
本発明の多段エゼクタ装置によれば、多段エゼクタ構造体を、上下方向が開口する枠体と区画壁付きのノズルとで構成したことにより、一体成形することができ、しかも主ノズルを組み付けた多段エゼクタ構造体と、ディフューザカバーとをボディの下面に組み付けることによって多段エゼクタ装置を構成できるので、多段エゼクタのボディへの組み付けがきわめて容易である。
また、多段エゼクタ構造体を一体に形成したことによって、複数個のノズルがほぼ同一軸線上に位置するので、個々のノズルの心合わせをする必要もない。
さらに、多段エゼクタのボディへの組み付けによって逆止弁が組み付けられるので、逆止弁の組み付けが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の縦断正面図である。
【図2】同じく分解斜視図である。
【図3】同じく構成図である。
【図4】第2実施例の縦断正面図である。
【図5】同じく分解斜視図である。
【図6】同じく構成図である。
【符号の説明】
1,51 多段エゼクタ装置
2 ボディ
3 多段エゼクタ
6a,6b,6c 吸引通路
12 多段エゼクタ構造体
13 枠体
14a,14b,14c ノズル
15 主ノズル
17 ディフューザカバー
18 区画壁
19a,19b,19c 真空発生室
21a,21b 逆止弁
33 吸引ポート
Claims (2)
- 吸引ポートを有するボディと、該ボディに組み付けられた多段エゼクタとを備え、該多段エゼクタに供給される圧縮空気によって、上記吸引ポートに真空圧を作用させる多段エゼクタ装置において、
上記多段エゼクタが、上下両面が開口する枠体、ほぼ同一軸線上に配設した複数のノズル、並びに上記枠体及びノズル周囲の区画壁によって区画された複数の真空発生室を有し一体成形された多段エゼクタ構造体と、枠体に上記ノズルとほぼ同一軸線上に取付けた主ノズルと、多段エゼクタ構造体の下側開口を覆うディフューザカバーとを備え、上記ボディの下面に気密に組み付けられていて、
上記複数の真空発生室が、ボディに開設した複数の吸引通路によって上記吸引ポートに連通され、
上記ボディには、上記吸引ポートに取付けられたワンタッチ管継手と、該吸引ポート周りに配設されたサクションフィルタと、上記多段エゼクタが発生する真空圧を検出して信号を出力する真空スイッチとが設けられており、
さらに、上記主ノズルに圧縮空気を給排するための供給弁と、上記吸引ポートに圧縮空気を供給するための真空破壊弁とを一体に備えている、
ことを特徴とする多段エゼクタ装置。 - 上記真空発生室から吸引通路への空気の流出を阻止する逆止弁が、上記ボディの下面と上記ノズル周囲の区画壁との間に挟持されて組み付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載した多段エゼクタ装置。
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