JP3678490B2 - すべり軸受装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂材料を用いたすべり軸受装置に係り、特に、伝熱特性が良好で摺動熱を良好に除去することができる、許容すべり速度、許容面圧が高いすべり軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂、或いは比較的短い炭素繊維又はガラス繊維等を封入した繊維強化樹脂製の軸受は、樹脂の有する良好な潤滑性能のため、事務機械、ターボポンプ等の回転機械等にドライ摺動可能なすべり軸受として広く使用されている。これらの樹脂或いは繊維強化樹脂製のすべり軸受は、ふっ素、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン等をベースとなる樹脂として、これに特殊充填材を加え成形したものである。これらの軸受はベースとなる樹脂材料によりそれぞれ特徴があり、例えばふっ素樹脂を用いた軸受は、低摩擦・耐磨耗性、非粘着性、耐熱性、耐薬品性、耐候性に極めて優れているという特徴がある。またポリイミド系の樹脂軸受は、優れた耐熱性、強度特性を有するという特徴がある。
【0003】
高許容すべり速度、高許容面圧を指向した樹脂軸受としては、樹脂に炭素繊維、ガラス繊維、固体潤滑材などを混合して成形した繊維強化樹脂材が用いられている。これらの軸受の使用限界はポリイミドを基材とした軸受材料でも許容すべり速度3.3m/sec、限界pv値(許容すべり速度と許容面圧との積)3.3MPam/sec、と報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した軸受を構成する樹脂は潤滑材であるとともに断熱材として働く。このため軸受が接触する軸スリーブ(相手材料)との摺動熱が伝熱せず、樹脂温度が上昇する。樹脂の耐熱性が良好でない場合には、樹脂の溶解あるいは熱劣化が生じ、低い限界pv値となる。また一般に円筒状の軸受の外周が金属シェルで拘束されているので、軸スリーブ(相手材料)との摺動による発熱で軸受の内径が減少し、ステイックが生じるという問題がある。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みて為されたもので、良好な伝熱特性による冷却効果が高く、許容すべり速度、許容面圧が高い樹脂材料からなるすべり軸受を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のすべり軸受装置は、回転機械に使用するすべり軸受であって、該軸受部分は熱可塑性の樹脂でコーティングした長尺の連続した炭素繊維を軸芯に対してコイル状に巻回して、加温加圧加工により成形した炭素繊維強化樹脂材料からなるものであり、摺動による熱で軸受の内径が減少しないことを特徴とする。
【0007】
熱伝導率の高い長尺の炭素繊維がコイル状に巻回されているので、軸スリーブ(相手材料)との摺動熱を速やかに除去することができる。また、炭素繊維は、樹脂材料と比較して線膨張係数が極めて低い。このため、円筒状の軸受の外周が金属セルで拘束されていても、摺動による発熱で内径が減少し、ステイックが生じるという問題が防止され、軸受の高許容すべり速度、高許容面圧が達成される。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1(A)は、本発明の一実施例のすべり軸受装置を示す。この実施例の軸受の外形は、通常の樹脂軸受と同様である。この実施例の場合は、内径が75mmФ、外径が90mmФ、長さ32mm程度のものである。この軸受1は、樹脂コーティングした炭素繊維を軸芯に対してコイル状に巻回して形成されたものであり、炭素繊維強化樹脂材料の一種である。
【0010】
図1(B)は、軸芯に平行な断面での軸受内部の部分拡大断面図である。図1(B)に示すように、太さ数μm程度の極細の炭素繊維を縒り合せたストランド状の炭素繊維2が、樹脂3中に埋込まれて成形されている。この樹脂3は、炭素繊維の回りにコーティングされた熱可塑性樹脂、例えばPEEK(ポリ・エーテル・エーテル・テトン)又はPI(ポリイミド)等が、加温と加圧により塑性変形して融合した後に、固化して形成されたものである。即ち、熱伝導率が大きく、線膨張係数が小さい、長尺の炭素繊維が耐熱性、潤滑性の高い熱可塑性樹脂中に埋められた構造となっている。
【0011】
本発明の炭素繊維強化樹脂は、長尺の連続性のある繊維であるので、軸受の軸スリーブとの摩擦により摺動熱が生じた場合に、急速な熱伝導が生じ、熱を速やかに逃がすことができる。これは、従来技術の比較的短い炭素繊維又はガラス繊維を、熱可塑性樹脂に混入した場合と異なり、強化繊維が分散していることによる異材間の伝熱による熱伝達率の低下を生じることなく、速やかな軸受の冷却を行うことができる。また、炭素繊維の線膨張係数が小さいことから、発熱時の円周方向の伸びを抑えることができ、軸受の外側が金属シェルで拘束されていても、軸スリーブとの摺動による発熱で内径が減少し、スティックが生じるという問題が防止される。
【0012】
図2は、本発明の一実施例のすべり軸受の使用状態を示す図である。回転軸10には、その外周に軸受の相手材料であるステンレス鋼等の金属製のスリーブ11が嵌着されている。スリーブ11の外周面は、上述したすべり軸受1の内周面と摺動する。すべり軸受1は、その外周が金属の軸受ケース12によりつば部13を介して回転機械のケーシングに固定されている。
【0013】
乾燥摺動試験の結果では、上述した実施例のすべり軸受(種類D)は、オーステナイト系ステンレス綱を摺動の相手材料として、次に示すような良好な摺動特性が得られている。
【0014】
【0015】
即ち、軸受種類AはPI(ポリイミド樹脂)からなる軸受で、比較的低い軸受すべり速度(3.9m/s)で120秒後にトルク大で停止している。軸受種類BはPEEK(ポリ・エーテル・エーテル・テトン)からなる軸受で、比較的低い軸受すべり速度(3.9m/s)で起動直後にトルク大で停止している。軸受種類Cは比較的短いガラス繊維を混入した繊維強化樹脂軸受で、比較的低い軸受すべり速度(3.9m/s)で摺動面の溶融が生じている。
【0016】
軸受種類Dは、上記実施例の軸受であり、従来の使用限界を超えて、すべり速度13m/sec.以上、軸受面圧0.30MPa、限界PV値3.9MPa/sを超える良好な特性が得られている。
【0017】
図3は、上述したすべり軸受の製造工程を示す図である。長尺の炭素繊維をPEEKでコーティングした極細線をより合わせたストランド状の細線2をボビン20に温度と圧力をローラ21で加えながら巻き付ける。ローラ21の加温と加圧により、炭素繊維をコーティングしている樹脂(PEEK)が熱可塑性を有するため、軟化して相隣接する細線2の樹脂と融和する。そして、ローラ21による加温加圧部分を過ぎると、冷却されるので、樹脂が固化する。そして、図1(B)の拡大断面図に示すような連続した長尺の炭素繊維1を樹脂2で包み込んだ繊維強化樹脂が成形される。そして、ボビン20を引き抜き、必要な寸法に切削加工することにより、軸受1が製造される。
【0018】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のすべり軸受は、連続した炭素繊維をコイル状に巻回し、その間を熱可塑性樹脂で埋めたものであるので、高伝熱性が得られ、高い冷却効果が得られる。それとともに、PEEK或いはPI等の樹脂の有する低摩擦・耐磨耗性、非粘着性、耐熱性、耐薬品性等の優れた特徴をそのまま発揮することができる。これにより、従来の樹脂軸受或いは繊維強化樹脂軸受に見られる軸スリーブとの摩擦熱による内径が減少し、スティックが生じる等の問題点が解決され、高い許容すべり速度、許容面圧が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のすべり軸受装置の(A)斜視図、(B)その軸芯に沿った拡大断面図。
【図2】図1のすべり軸受の使用状態の説明図。
【図3】図1のすべり軸受の製造工程を示す説明図。
【符号の説明】
1 すべり軸受
2 炭素繊維
3 熱可塑性樹脂
10 回転軸
11 スリーブ
12 軸受ケース
20 ボビン
21 ローラ
Claims (2)
- 回転機械に使用するすべり軸受であって、該軸受部分は熱可塑性の樹脂でコーティングした長尺の連続した炭素繊維を軸芯に対してコイル状に巻回して、加温加圧加工により成形した炭素繊維強化樹脂材料からなるものであり、摺動による熱で軸受の内径が減少しないことを特徴としたすべり軸受装置。
- 前記炭素繊維強化樹脂材料からなる軸受部分が、金属の軸受ケーシングに固定されたことを特徴とした請求項1記載のすべり軸受装置。
Priority Applications (1)
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JP09744196A JP3678490B2 (ja) | 1996-03-27 | 1996-03-27 | すべり軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP09744196A JP3678490B2 (ja) | 1996-03-27 | 1996-03-27 | すべり軸受装置 |
Related Child Applications (2)
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Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country Status (1)
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- 1996-03-27 JP JP09744196A patent/JP3678490B2/ja not_active Expired - Lifetime
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