JP3678375B2 - 放射線断層撮影装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線断層撮影装置に係り、特に線源にコーンビームを用いた場合の再構成手法に関する。
【0002】
【従来の技術】
短時間に被検体内部の3次元情報を画像化する技術としてコーンビームCTがある。コーンビームCTは、図7に示すように面検出器15と錐状X線(コーンビーム)を照射する線源4を組み合わせ、これらを一体的に被検体Pのまわりに回転させて投影データを収集する。このようにして収集された投影データをFeldkampらの提案した再構成アルゴリズムを用いて画像化することが広く行われている。その再構成演算は、フィルタ処理した投影データを3次元ボクセルに対してバックプロジェクションすることによって画像化する。
【0003】
また、大きな面検出器の性能やコストは、現在実用レベルに達していない場合も多く、その場合は使用目的により複数列の検出器列を有する図8に示すようなマルチスライスCTシステムを用いる。
一般に、前記再構成演算の中で用いられる3次元ボクセルのサイズは、図9に示すように検出器1素子のサイズに依存して決められる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
医用放射線断層撮影装置(以下、CT装置と呼ぶ)などでは、診断目的によって再構成する画像のスライス厚が異なる。例えば、肝臓等の臓器の診断の場合にはスライス厚を厚くし、頭部血管の診断の場合にはスライス厚を薄くする。Feldkampらの再構成アルゴリズムでは、3次元ボクセル上に画像データが生成されるが、そのボクセルのサイズは検出器素子のサイズなどによって決められている。このため、厚いスライス厚の画像を作成するためには、ボクセル間での束ね合わせ処理が必要となる。また、小さいボクセル上でまず画像データを生成するために、より多い演算を行わなければならない。
【0005】
本発明の目的は、診断目的によって異なる再構成画像のスライス厚に応じた最適な再構成手法を選択することができる放射線断層撮影装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、被検体に対して放射線を曝射するための線源と、この線源から曝射される放射線を検出するために2次元に配置された検出器とを備える放射線断層撮影装置において、前記線源および検出器を被検体の周囲を回転させて得た投影データを束ね合わせた後、フィルタ処理を行い、2次元ピクセル上にバックプロジェクションして画像を再構成する手段と、前記線源および検出器を被検体の周囲を回転させて得た投影データをフィルタ処理した後、3次元ボクセル上にバックプロジェクションして画像を再構成する手段と、再構成する画像のスライス厚と、所定のしきい値を比較することにより前記再構成する手段を選択する手段とを備えることを特徴とする。
又、請求項2記載の本発明は、被検体に対して錐状X線を曝射するための線源と、この線源から曝射される放射線を検出するために2次元に配置された検出器とを備え、前記線源および検出器を被検体の周囲を回転させて得た投影データに基づいて被検体内部の画像を再構成する放射線断層撮影装置において、前記投影データに基づいて、錐状X線のコーン角度の影響を無視したファンビーム再構成を行う第1の再構成手段と、前記投影データに基づいて、錐状X線のコーン角度の影響を考慮したFeldkamp再構成を行う第2の再構成手段と、再構成する画像のスライス厚と、所定のしきい値を比較することにより前記第1の再構成と前記第2の再構成手段を選択する手段を選択する手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の放射線断層撮影装置の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1は本実施例のシステムのブロック図である。スキャンに関する指示情報を入力する操作卓1と、線源4と検出器5から成るスキャナ3と、操作卓1により入力された指示情報に基づいてスキャナ3を制御する制御部2と、検出器5より出力される信号を収集して数値データに変換するデータ収集部6と、このデータ収集部6より出力される数値データから画像を再構成する画像再構成部7と、この画像再構成部7で再構成した画像を表示する画像表示部8とから構成される。さらに、画像再構成部7について、そのブロック図を示す図2を参照しながら説明する。システム操作卓1からの指示情報を受け、その指示情報に基づいて後述する各ユニットの制御を行うユニット制御部9と、データ収集部6から出力される数値データを保存するメモリA10と、この数値データをFeldkamp再構成手法により画像再構成をするFeldkamp再構成部11と、ファンビーム再構成手法により画像再構成をするファンビーム再構成部12と、これら再構成部にて再構成された画像を保存するメモリB13とから構成される。
【0008】
このシステムの動作を図3を参照しながら説明する。まず、システムの操作卓1よりスキャンに関する指示情報を入力し、スキャナ3の制御部2に出力する(STEP1)。この指示情報の中には、Feldkamp再構成あるいはファンビーム再構成のいずれの再構成手法を行うか、再構成を行う位置あるいは範囲、画像のスライス厚等がある。Feldkamp再構成あるいはファンビーム再構成のいずれの再構成手法を行うかという選択は、例えば薄いスライス厚の画像の場合にFeldkamp再構成、厚いスライス厚の画像の場合にファンビーム再構成と指定する。このいずれの再構成手法を用いるかという選択は、直接オペレータが入力してもよいが、あらかじめ所定のスライス厚のしきい値などを定めておき、このしきい値と再構成する画像のスライス厚との比較を行い、その結果を画像再構成部7に転送することにより自動的に行ってもよい。制御装置2は操作卓1で指定した情報に基づいてスキャナ3の制御を行う(STEP2)。スキャナ3により被検体Pに対して線源4と検出器5をスキャンさせ、この検出器5から出力される信号をデータ収集部6によって収集し(STEP3)、数値データに変換された後(STEP4)、画像再構成部7に転送される。画像再構成部7に転送された数値データは、メモリA10に一旦保存され、操作卓1よりユニット制御部9に転送された指示情報に基づき、Feldkamp再構成部11、ファンビーム再構成部12のいずれかを選択して画像再構成を行う(STEP5)。再構成された画像は、メモリBに一旦保存されるとともに、画像表示部8に転送され、順次表示される(STEP6)。
【0009】
上述の本実施例では、Feldkamp再構成部とファンビーム再構成部を別のユニットとしているが、これに限定されない。例えば、汎用演算装置等を用いて両方の再構成演算が可能なユニットを構成してもよい。
【0010】
次に、上記2種類の再構成手法について、コーンビームを曝射する線源4と検出器5との関係を示す図4、3次元ボクセルへの投影イメージを示す図5、投影データの束ね合わせ処理のイメージを示す図6を参照しながら説明する。
【0011】
マルチスライスCTなどにおいて、Feldkampらの再構成アルゴリズムを用いるのは、図4に示すコーン角度の影響を考慮して画像化を行うためである。Feldkampらの再構成アルゴリズムでは、投影データはまず各検出器列ごとにフィルタ処理を施され、図5に示すように、線源4と検出器5の各素子を結ぶ線分にかかる3次元ボクセルに対してバックプロジェクション処理される。これにより被検体内の3次元情報が画像化される。このため、Feldkampらの再構成アルゴリズムでは、ボクセルのサイズが小さく、そのため、その数が多いほどバックプロジェクション演算の演算量が増大する。
【0012】
一方、厚いスライス厚の画像を生成するには検出器列、投影デ−タ間のデータ束ね合わせを行い、所望のスライス厚の画像を得る。ボクセルのサイズに比べて厚いスライス厚の画像を再構成する場合、図6に示すように、斜線部の複数の投影データを束ね合わせて1本の投影データとし、コーン角度の影響を無視してファンビームにおけるフィルタ補正バックプロジェクション再構成処理を行う。このとき再構成画像に及ぼすコーン角度の影響は、薄いスライス厚の画像における影響よりも小さい。この場合、投影データ間においてデータの束ね合わせ処理がなされているので、バックプロジェクション処理における演算量は、3次元ボクセルに対してバックプロジェクションし、その後データの束ね合わせを行う場合に比べ格段に演算量が減る。投影データの束ね合わせ処理を行った後に画像再構成を行う場合、その画像のスライス厚は、その複数の投影データが走査する被検体内の範囲(厚み)になる。
【0013】
以上のような本発明の放射線断層撮影装置により、必要とする画像のスライス厚によって再構成処理のプロセスを切り換えれば、厚いスライス厚の画像の再構成時間を大幅に短縮することができる。
【0014】
【発明の効果】
本発明により、診断目的によって異なる再構成画像のスライス厚に応じた最適な再構成手法を選択することができる放射線断層撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例のシステムのブロック図
【図2】本実施例のシステムの画像再構成部のブロック図
【図3】本実施例のシステムの処理の流れ
【図4】コーンビームを曝射する線源と検出器との関係を示す図
【図5】3次元ボクセルへの投影イメージ
【図6】投影データの束ね合わせ処理のイメージ
【図7】コーンビームCTのイメージ
【図8】コーンビームを曝射する線源と検出器との関係を示す図
【図9】3次元ボクセルへの投影イメージ
【符号の説明】
1 操作卓
2 制御部
3 スキャナ
4 線源
5 検出器
6 データ収集部
7 画像再構成部
8 画像表示部
9 ユニット制御部
10 メモリA
11 Feldkamp再構成部
12 ファンビーム再構成部
13 メモリB
14 3次元ボクセル
15 面検出器
Claims (2)
- 被検体に対して放射線を曝射するための線源と、この線源から曝射される放射線を検出するために2次元に配置された検出器とを備える放射線断層撮影装置において、
前記線源および検出器を被検体の周囲を回転させて得た投影データを束ね合わせた後、フィルタ処理を行い、2次元ピクセル上にバックプロジェクションして画像を再構成する手段と、
前記線源および検出器を被検体の周囲を回転させて得た投影データをフィルタ処理した後、3次元ボクセル上にバックプロジェクションして画像を再構成する手段と、
再構成する画像のスライス厚と、所定のしきい値を比較することにより前記再構成する手段を選択する手段とを備えることを特徴とする放射線断層撮影装置。 - 被検体に対して錐状X線を曝射するための線源と、この線源から曝射される放射線を検出するために2次元に配置された検出器とを備え、前記線源および検出器を被検体の周囲を回転させて得た投影データに基づいて被検体内部の画像を再構成する放射線断層撮影装置において、
前記投影データに基づいて、錐状X線のコーン角度の影響を無視したファンビーム再構成を行う第1の再構成手段と、
前記投影データに基づいて、錐状X線のコーン角度の影響を考慮したFeldkamp再構成を行う第2の再構成手段と、
再構成する画像のスライス厚と、所定のしきい値を比較することにより前記第1の再構成と前記第2の再構成手段を選択する手段を選択する手段とを備えることを特徴とする放射線断層撮影装置。
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