JP3677537B2 - 車両の運転支援装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道列車などの交通システムにおける車両走行制御システムに係り、特に、車上に搭載され、運転士による車両の運転操作を補助する車両の運転支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
運転士による車両の運転操作を補助する運転支援装置には、運転操作を部分的に担うものから、全面的な自動化を意図したものまで多くの形態が存在する。
部分的な補助を担うものとしては、車両の走行速度を一定に保つことを目的とした定速制御装置がある。これは、車両の駆動系の内部に存在し、モータの回転数を一定に保つための制御装置であり、指定の回転数に対する実回転数の時々刻々の偏差をフィードバック制御により打ち消すことが制御の本質である。運転士の操作としては、望みの速度まで運転士操作で到達し、その後上記の定速制御を実施させることにより、指定速度での定速走行を行う。このような装置は、公知例として、特開平10−203198号公報に実現方法が記載されている。
また、全面的な自動化を意図したものとしては、自動運転装置が挙げられる。これは、車両の駆動系を制御する制御系に存在し、車両が指定の目標速度で走行するように、走行制御のための制御指令を順次選択し、駆動系に出力するものである。目標速度は、一定の速度あるいは出発地点から到着地点までの速度の動きを示した運転曲線の形で与えられる。運転士の操作としては、走行中において直接運転に携わることは皆無となる。このような装置は、公知例として、特開平07−067217号公報に実現方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、車両の運転においては、走行時分短縮や運行乱れ時の運転計画(ダイヤ)回復能力を高めるため、制限速度以下の許容速度領域を最大限に活用することによって、走行状況に臨機応変に対応する柔軟な運転が求められている。また、一方で制限速度の無用な超過による保安ブレーキ作動を排し、乗り心地や省エネを向上するといった質の高い運転が求められている。
しかし、上記従来の技術では、制限速度を超過せず、かつ、極めて接近するような運転を安定して行うことが難しい。特開平10−203198号公報に実現方法が示された定速制御装置では、路線条件の変遷に対し、その速度への影響を検知した後に制御を行うため、制御遅れによって制限速度を超過しやすい。一方、特開平07−067217号公報に実現方法が示された自動運転装置では、目標速度を制限速度に対して一定速度を減じた速度とするため、許容速度を十分に活用できない。また、いずれも指定速度に対して実際の速度が上下に変動することを許容するものであり、この方法に頼る限り、制限速度に対する速度超過の防止を確たるものとすることはできない。
【0004】
本発明の課題は、車両の運転において、制限速度を超過しないことを確保し、かつ、制限速度に肉薄するような運転を支援する車両の運転支援装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、車両の現在速度、現在位置、制限速度および運転士による操作指令の入力を受け、前記車両の車体の駆動系に与えられる車体指令を出力する車両の運転支援装置において、現在位置、現在速度から一定時分の未来時点における複数の想定指令に対応する予測軌跡を計算し、予測軌跡にかかる予測速度が制限速度を超過せず、かつ、最も近接する場合の想定指令を最高接近指令として出力する最高接近指令選択手段と、操作指令と最高接近指令を比較していずれか低位の指令を車体指令として設定し、出力する車体指令選択手段を具備する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる車両の運転支援装置の構成を示す。図1に示す通り、本実施形態の運転支援装置(1.01)は、車両の現時点での現在速度(1.11)、車両の現時点での現在位置(1.12)、車両の速度がその値に達すると、保安ブレーキが作動する制限速度(1.13)、運転士による操作指令(1.14)の入力を受け付け、実際に車両を制御すべく車体の駆動系に与えられる車体指令(1.15)を出力する。
運転支援装置(1.01)は、その内部手段として、最高接近指令選択手段(1.02)を備える。最高接近指令選択手段(1.02)は、運転支援装置(1.01)に入力される現在速度(1.11)、現在位置(1.12)、制限速度(1.13)の入力を受け付け、最高接近指令(1.16)を出力する。最高接近指令(1.16)は、現時点でそれを車体の駆動系に指令したとき、車両の速度が制限速度を超過せず、かつ、制限速度に最も近い速度に達することができるような制御指令である。
加えて、運転支援装置(1.01)は、その内部手段として、車体指令選択手段(1.03)を備える。車体指令選択手段(1.03)は、最高接近指令選択手段(1.02)から出力される最高接近指令(1.16)と、運転支援装置(1.01)にその外部から入力される操作指令(1.14)を受け付け、車体指令(1.15)を運転支援装置(1.01)の外部に出力する。車体指令(1.15)には、操作指令(1.14)による運転操作を制限速度の超過の恐れがない限り、そのまま適用される一方、制限速度の超過が予想される場合には、制限速度を超過しないような別の制御指令が適用される。
【0007】
以下に、本実施形態にかかる運転支援装置の内部手段の実現方法について詳細を記す。
図2は、最高接近指令選択手段(1.02)の内部構成を示す。最高接近指令選択手段(1.01)は、その内部手段として、予測速度計算手段(2.02)と、最高接近指令決定手段(2.03)を備える。
予測速度計算手段(2.02)は、最高接近指令選択手段(1.02)に入力される現在速度(1.11)と現在位置(1.12)を受け付け、予測速度(2.15)を出力する。予測速度(2.15)とは、車両に想定される選択可能な制御指令(想定指令)の各々について、現時点でそれを車体の駆動系に指令したときに予測される未来の速度を云う。そのため、予測速度(2.15)は、各想定指令に対して個別に値が存在し、想定指令の数だけ存在する。
最高接近指令決定手段(2.03)は、予測速度計算手段(2.02)から予測速度(2.15)と、最高接近指令選択手段(1.02)に入力される制限速度(2.13)を受け付け、最高接近指令(2.14)を出力する。
【0008】
図3は、図2で示す予測速度計算手段(2.02)の内部構成を示す。予測速度計算手段(2.02)は、その内部手段として、予測軌跡計算手段(3.02)と、車両の走行路線の線路特性に関する情報を集積した路線条件データ保持手段(3.03)と、車両の車体の特性に関する情報を集積した車両条件データ保持手段(3.04)を備える。
予測軌跡計算手段(3.02)は、入力される現在速度(3.11)と現在位置(3.12)を、路線条件データ保持手段(3.03)から路線条件データ(3.14)を、車両条件データ保持手段(3.04)から車両条件データ(3.15)を受け付け、予測速度(3.13)を出力する。なお、路線条件データ(3.14)には、路線の勾配に関し、その範囲と勾配の値を含む。また、車両条件データ(3.15)には、車両の車体に関し、各々の想定指令に対応する速度対加減速度特性を含む。想定指令に対応する速度対加減速度特性は、車両がある速度で走行している時、想定指令の車体の駆動系への出力を想定したときに車両運動に現れる加減速度を示す。
【0009】
図4は、予測軌跡計算手段(3.02)の処理の全体の流れを示す。図4において、ステップ(4.01)では、車両条件データ(3.15)に示される各想定指令Ciの場合について、ステップ(4.02)を繰り返し実行させる。ステップ(4.02)では、ある想定指令Ciについて、ある予測時分T[s]後の速度Viを計算する。ここで得られたViが想定指令Ciに関する予測速度Viである。なお、予測時分Tは、当該予測軌跡計算手段(3.02)に予め設定されている。最後にステップ(4.03)では、出揃った各想定指令Ciに関する予測速度Viを、当該予測軌跡計算手段(3.02)を備えた予測速度計算手段(2.02)の外部の最高接近指令決定手段(2.03)に出力する。
【0010】
図5は、予測軌跡計算手段(3.02)の処理の流れについて、上記のステップ(4.02)の具体的な処理の流れを示す。
ステップ(5.01)では、当該予測軌跡計算手段(3.02)に入力される現在速度Vo[km/h]と現在位置So[m]を認識する。
ステップ(5.02)では、処理変数である速度V[km/h]、位置S[m]、時間t[s]をそれぞれVo、So、0で初期化する。
ステップ(5.03)では、時間tが予測時分Tより小さい場合について、以下のステップ(5.04)からステップ(5.09)を繰り返し実行させる。
ステップ(5.04)では、速度Vにおける想定指令Cの加減速度特性a[km/h/s]を車両条件データ(3.15)から取得する。
ステップ(5.05)では、位置Sと速度Vにおける抵抗特性R[km/h/s]を取得する。抵抗特性Rは、位置Sでの勾配に起因する勾配抵抗Rg[kg重/ton]、位置Sでの明かり区間・トンネル区間種別と速度Vでのころがり・空気力学特性に起因する走行抵抗Rr[kg重/ton]から計算する。即ち、勾配抵抗Rgは、位置Sでの勾配G[パーミル]を路線条件データ(3.14)から取得し、次の式に従って計算する。
Rg=G
また、走行抵抗Rrは、位置Sでの区間種別を路線条件データ(3.14)から取得し、区間種別に応じた走行抵抗係数A0、A1、A2を車両条件データ(3.15)から取得し、速度Vについて次の式に従って計算する。
Rr=A0+A1×V+A2×V×V
勾配抵抗Rgと走行抵抗Rrから、抵抗特性Rは次の式に従って計算する。
R=(Rg+Rr)/28.33
ここで、28.33は単位系変換定数を表わす。
ステップ(5.06)では、速度V、加減速度特性a、抵抗特性Rから、時間ステップdt[s]後の未来速度Vn[km/h]を次の式に従って計算する。なお、時間ステップdtは、予測軌跡計算手段(3.02)に予め設定されている。
Vn=V+(a−R)×dt
ステップ(5.07)では、位置S、速度V、未来速度Vnから、時間ステップdt後の未来位置Sn[m]を次の式に従って計算する。
Sn=S+(V+Vn)×dt/7.2
ここで、7.2は単位系変換定数を表わす。
ステップ(5.08)では、位置Sと速度Vについて、それぞれ未来速度Vn、未来位置Snの値に更新する。
ステップ(5.09)では、時間tについて、時間ステップdtを加算して更新する。
ステップ(5.10)では、以上の処理の結果として得られた速度Vを当該予測軌跡計算手段(3.02)の出力とする。即ち、想定指令Cに関する予測速度として、最高接近指令決定手段(2.03)に出力される。
上記のごとく、予測速度計算手段(2.02)から出力された各想定指令に関する予測速度は、最高接近指令決定手段(2.03)において最高接近指令(1.16)の決定に用いられる。
【0011】
図6は、最高接近指令決定手段(2.03)の処理の流れを示す。
ステップ(6.01)では、最高接近指令決定手段(2.03)を備えた最高接近指令選択手段(1.02)に入力される制限速度Vlを取得する。
ステップ(6.02)では、最高接近指令決定手段(2.03)に入力される各想定指令Ciに関する予測速度Viを取得する。
ステップ(6.03)では、処理変数dVminを1000で初期化する。また、処理変数Cmaxを各想定指令の中で最低位(対応する加減速特性の値が最も低い)のものに初期化する。
ステップ(6.04)では、各想定指令Ciの場合について、以下のステップ(6.05)からステップ(6.08)を繰り返し実行させる。
ステップ(6.05)では、予測速度Viと制限速度Vlについて、Vi≧Vlの場合にはステップ(6.04)に戻らせ、それ以外ではステップ(6.06)に進ませる。
ステップ(6.06)では、処理変数dViに制限速度Vlと予測速度Viとの差Vl−Viを設定する。
ステップ(6.07)では、処理変数dViとdVminについて、dVi≧dVminの場合にはステップ(6.04)に戻らせ、それ以外ではステップ(6.08)に進ませる。
ステップ(6.08)では、処理変数dVminとCmaxについて、それぞれdViとCiの値に更新する。
ステップ(6.09)では、以上の処理の結果として得られた処理変数Cmaxを最高接近指令決定手段(2.03)の出力とする。即ち、最高接近指令決定手段(2.03)を備えた最高接近指令選択手段(1.02)の出力である最高接近指令(1.16)となる。
【0012】
次に、当該運転支援装置(1.01)が備える車体指令選択手段(1.03)の処理について詳細を記す。
既に述べたように、車体指令選択手段(1.03)は、最高接近指令選択手段(1.02)から最高接近指令(1.16)と、運転支援装置(1.01)の外部から操作指令(1.14)を受け付け、車体指令(1.15)を運転支援装置(1.01)の外部に出力する。車体指令(1.15)の選択については、最高接近指令(1.16)と操作指令(1.14)に基づき、最高接近指令(1.16)を上限とする制御指令の範囲において、操作指令(1.14)が前記範囲の内であれば、操作指令(1.14)が採用され、前記範囲の外であれば、最高接近指令(1.16)が採用される。即ち、
操作指令<最高接近指令の場合:車体指令=操作指令
操作指令≧最高接近指令の場合:車体指令=最高接近指令
【0013】
図7は、車体指令選択手段(1.03)の処理の流れを示す。図7において、ステップ(7.01)で最高接近指令と操作指令を取得する。ステップ(7.02)で操作指令と最高接近指令との比較が行われ、比較結果に応じた車体指令の設定処理が操作指令≧最高接近指令の場合にはステップ(7.03)、操作指令<最高接近指令の場合にはステップ(7.04)で行われる。設定された車体指令は、ステップ(7.05)で車体指令選択手段(1.03)から出力される。
【0014】
以上に述べた本実施形態にかかる運転支援装置について、それによる走行の例を図8と図9に示す。
図8は、時間を追った走行と制御指令選択の様子を示す。まず、(8.01)から(8.07)の示す走行状況を説明する。車両は、実軌跡(8.01)の先端である現時点(8.02)において、制限速度(8.03)に向けた加速を目指している。この時点で、運転士による操作指令はC1であるとする。一方、運転支援装置(1.01)は、その内部の最高接近指令選択手段(1.02)において各想定指令に関する予測軌跡(8.04)〜(8.07)を計算し、その予測軌跡から求める予測速度が制限速度(8.03)を超過せず、かつ、最も近接する場合の想定指令(予測軌跡(8.05)に対応する制御指令C2)を最高接近指令(1.16)として認識する。運転支援装置(1.01)は、その内部の車体指令選択手段(1.03)において操作指令C1と最高接近指令C2を比較し、制限速度(8.03)を超過せず、かつ、操作指令C1の意図、即ち制限速度(8.03)に向けて加速する意図を最も反映した車体指令として制御指令C2を出力する。
一方、図8の(8.11)から(8.17)は、車両が前記(8.01)から(8.07)の示す状況から時間を経た時点での走行状況を示す。実軌跡(8.11)は、前記(8.01)から(8.07)の示す状況で走行制御に供された車体指令C2を反映した走行を示す。現時点(8.12)では、引き続き制限速度(8.13)に向けた加速を目指しており、この時点で運転士による操作指令は引き続きC1であるとする。運転支援装置(1.01)は、予測軌跡(8.14)から(8.17)を計算し、制限速度(8.13)を超過せず、かつ、最も近接する場合の想定指令(予測軌跡(8.16)に対応する制御指令C3)を最高接近指令(1.16)とする。そして、操作指令C1と最高接近指令C3から、制限速度(8.13)を超過せず、かつ、操作指令C1の加速意図を最も反映した車体指令として制御指令C3を出力する。
図8に示された走行では、運転士による操作指令(8.12)は一貫して制御指令C1であり、これがそのまま車体に出力されれば、速度がやがて制限速度(8.13)を超過することが必至である。これに対し、本実施形態の運転支援装置によれば、操作指令の加速意図を反映し、かつ、制限速度を超過する恐れのない最適な制御指令が車体に出力されることになる。その結果として、実軌跡については制限速度を超過せず、かつ、可能な限り近接した推移が安定して実現される。
【0015】
図9は、本実施形態の運転支援装置による停車地点間走行を二例示す。まず、(9.01)から(9.05)の示す走行について説明する。走行実績(9.01)は当該停車地点間を左から右に向かう実軌跡を示す。制限速度(9.02)との関係においては、出発地点後の区間1(9.03)では制限速度(9.02)に向けて加速し、停車地点間の区間2(9.04)では制限速度(9.02)に肉薄した走行を安定に行い、到着地点前の区間3(9.05)では到着に向けて減速する。
運転操作については、この例では運転士は当該停車地点間を可能な限り短い時分で走行することを意図しているとする。区間1(9.03)では運転士の操作指令は最大加速指令であるが、この場合の運転支援装置(1.01)からの出力である車体指令(1.15)は同様に最大加速指令である。これは、当該区間での走行が制限速度(9.02)より低速側に離れた速度であるため、操作指令(1.14)がそのまま車体指令(1.15)として適用される。引き続く区間2(9.04)では、操作指令(1.14)は引き続き最大加速指令であるが、この場合での運転支援装置(1.01)からの車体指令(1.15)は、一般に操作指令(1.14)より低位の制御指令である最高接近指令である。これは、制限速度(9.02)への接近時において、運転支援装置(1.01)が運転士による操作指令(1.14)の加速意図を反映しつつも、制限速度(9.02)を超過しないよう、より低位の最適な制御指令(最高接近指令)を車体指令(1.15)としているためである。最後に区間3(9.05)では、運転士の操作指令(1.14)は到着地点での停止を意図したブレーキ指令であるが、制限速度(9.02)より自ずから低速側に移る意図であるため、運転支援装置(1.01)を介した車体指令(1.15)も同一のブレーキ指令となる。
【0016】
続いて、(9.11)から(9.17)の示す走行について説明する。走行実績(9.11)と制限速度(9.12)との関係では、区間1(9.13)では制限速度(9.12)に向けた加速と、ある一定速度での走行、区間2(9.14)では制限速度(9.12)に肉薄した走行、区間3(9.15)では再び制限速度(9.12)に向けた加速と、ある(位置,速度)からの惰行、区間4(9.16)では再び制限速度(9.12)に肉薄した走行、区間5(9.17)では到着に向けた減速を行う。
運転操作については、この例では運転士は当該停車地点間をある余裕時分を見込んだ時分で走行することを意図しているとする。区間1(9.13)では運転士の操作指令(1.14)はそのまま運転支援装置(1.01)の出力する車体指令(1.15)となるが、これは当該走行が制限速度(9.12)より低速側に離れているためである。
引き続く区間2(9.14)では、当該走行の減速部分では操作指令は制限速度(9.12)の接近を見越してブレーキ指令としているが、同時に制限速度(9.12)に肉薄した走行を意図した緩めのブレーキであり、そのまま車体に指令された場合にはやがて制限速度(9.12)を超過するものである。この場合、運転支援装置(1.01)からの車体指令(1.15)は、一般に操作指令(1.14)より低位の制御指令である最高接近指令(1.16)であり、特に、操作指令(1.14)より減速度性能の大きいブレーキで、一定時分後に制限速度(9.12)を超過せず、かつ、最も接近できるものである。また、区間2(9.14)内の一定速度部分では、低速の制限速度による走行時分の増大を最少とすべく制限速度(9.12)に肉薄した走行を意図して、操作指令(1.14)を中程度から高めの加速度性能の加速指令としており、やはりそのまま車体に指令された場合は間もなく制限速度(9.12)を超過する制御指令である。この場合も、運転支援装置(1.01)からの車体指令(1.15)は、一般に操作指令(1.14)より低位の制御指令である最高接近指令(1.16)である。このように区間2(9.14)での走行では、制限速度(9.12)への接近時において、運転支援装置(1.01)は運転士による操作指令の意図、即ち制限速度(9.12)に肉薄する意図を反映しつつも、制限速度(9.12)を超過しないよう、より低位の最適な制御指令(最高接近指令)を車体指令(1.15)として出力している。
引き続く区間3(9.15)では、区間1(9.13)と同様、当該走行が制限速度(9.12)より低速側に離れているため、運転士の操作指令(1.14)はそのまま車体指令(1.15)となる。
引き続く区間4(9.16)では、区間2(9.14)と同様、制限速度(9.12)への接近時において、運転支援装置(1.01)は運転士の操作指令(1.14)に示される制限速度への肉薄意図を反映しつつも、制限速度(9.12)を超過しないよう、より低位の最適な制御指令(最高接近指令)を車体指令(1.15)として出力している。この場合の最高接近指令(1.16)は、特に、操作指令(1.14)より減速度性能の大きいブレーキで、一定時分後に制限速度(9.12)を超過せず、かつ、最も接近できるものである。
最後に区間5(9.17)では、運転士の操作指令(1.14)は到着地点での停止を意図したブレーキ指令であるが、制限速度(9.12)から自ずから低位に離れることが意図であるため、運転支援装置(1.01)を介した車体指令(1.15)も同一のブレーキ指令となる。
【0017】
以上のように、本実施形態にかかる運転支援装置は、運転士の操作指令に示された運転意図を制限速度の超過しない限り尊重する一方、制限速度を超過しないよう、適宜、車体に与えられる制御指令を最適に調整する機能を果たす。これにより、車両の運転操作において制限速度を超過しないことを確保し、かつ、必要に応じて制限速度に肉薄するような運転を支援する。
【0018】
なお、本実施形態にかかる運転支援装置については、その入力として、車両の運転のための操作指令を運転士から与えられるものとしたが、本発明の適用は本実施形態に限られたものではない。別の実施形態として、運転支援装置に入力される操作指令が当該車両の走行における加速、減速の運転操作を包括的に行うことを特徴とした運転装置から与えられる場合がある。この場合でも、本発明の適用により、車両の速度が制限速度を超過しないことが確保され、かつ、制限速度に肉薄するような運転が安定して実現される。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、車両運転において、制限速度に肉薄するような運転が容易に行えるようになり、この結果、制限速度以下の許容速度領域を最大限に活用可能となり、走行時分短縮や運行乱れ時の運転計画(ダイヤ)回復能力を高めることができる。
また、車体に与えられる制御指令によって制限速度を超過しないことが確保され、無用な保安ブレーキ制御を排し、乗り心地や省エネの向上を図ることができる。
また、車両運転について、走行状況に臨機応変に対応する柔軟性を持ち、かつ、質の高い運転の実現に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる車両の運転支援装置の構成図
【図2】本発明の実施形態にかかる最高接近指令選択手段の構成図
【図3】本発明の実施形態にかかる予測速度計算手段の構成図
【図4】本発明の実施形態にかかる予測速度計算手段の処理の全体の流れを示す図
【図5】本発明の実施形態にかかる予測速度計算手段の処理において、予測速度の計算に関する具体的な処理の流れを示す図
【図6】本発明の実施形態にかかる最高接近指令決定手段の処理の流れを示す図
【図7】本発明の実施形態にかかる車体指令選択手段の処理の流れを示す図
【図8】本発明の実施形態による指令出力処理と車両走行との関係の様子を示す図
【図9】本発明の実施形態による車両走行の停止地点間での全体の様子を示す
【符号の説明】
1.01…運転支援装置、1.02…最高接近指令選択手段、1.03…車体指令選択手段、2.02…予測速度計算手段、2.03…最高接近指令決定手段、3.02…予測軌跡計算手段、3.03…路線条件データ保持手段、3.04…車両条件データ保持手段
Claims (3)
- 車両の現在速度、現在位置、制限速度および運転士による操作指令の入力を受け、前記車両の車体の駆動系に与えられる車体指令を出力する車両の運転支援装置において、前記現在位置、前記現在速度から一定時分の未来時点における複数の想定指令に対応する予測軌跡を計算し、前記予測軌跡にかかる予測速度が前記制限速度を超過せず、かつ、最も近接する場合の想定指令を最高接近指令として認識し、前記操作指令による前記車両の走行が前記制限速度を超過する場合には、前記最高接近指令を前記車体指令として出力することを特徴とする車両の運転支援装置。
- 請求項1において、前記操作指令による前記車両の走行が前記制限速度を超過しない場合には、前記車体指令を前記操作指令と同位に設定することを特徴とする車両の運転支援装置。
- 車両の現在速度、現在位置、制限速度および運転士による操作指令の入力を受け、前記車両の車体の駆動系に与えられる車体指令を出力する車両の運転支援装置において、前記現在位置、前記現在速度から一定時分の未来時点における複数の想定指令に対応する予測軌跡を計算し、前記予測軌跡にかかる予測速度が前記制限速度を超過せず、かつ、最も近接する場合の想定指令を最高接近指令として出力する最高接近指令選択手段と、前記操作指令と前記最高接近指令を比較していずれか低位の指令を前記車体指令として設定する車体指令選択手段を具備することを特徴とする車両の運転支援装置。
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