JP3677399B2 - 患者の病変組織の部位特異的な治療方法に使用するための磁性体及びヒステリシス療法に使用するための装置 - Google Patents
患者の病変組織の部位特異的な治療方法に使用するための磁性体及びヒステリシス療法に使用するための装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、標的を定めたヒステリシス療法を用いた患者の組織を治療する改善方法に関する。特に、部位指向性ヒステリシス熱放出を用いた患者の病変組織の治療方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
悪性腫瘍の様な人体の病変は、一般に摘出、化学療法、放射線療法またはこれらの方法の組み合わせにより治療される。これらはそれぞれ臨床利用に影響を及ぼす制限がある。摘出は、病変が瀰漫性組織として存在する場合、あるいは外科的手術が不可能な部位にある場合には不適切である。化学療法剤は、一般に非特異的で、従って、正常細胞と病変細胞の両方の死滅を引き起こす。化学療法と同様に、放射線療法も非特異的で、電離放射線に曝露された正常組織の死滅をも引き起こす。更に、腫瘍の様な病変の中には電離放射線に比較的抵抗性を持つものもある。これは腫瘍組織の中心部に関して特に問題となっている。
【0003】
癌の治療法として、温熱療法が提唱されている。温熱療法が、癌腫の様な病変の治療に有効であることを確証する所見が多数発表されている。温熱療法による治療効果は、次の2つの主要機序によりもたらされる。すなわち、(1)42℃以上に温度を上げることによる組織に対する直接的殺腫瘍効果が、癌細胞に不可逆的損傷を引き起こすこと、および(2)温熱療法は、放射線療法の効果と特定の化学療法剤に対する癌細胞の感受性を高めることが知られていること、である。放射線療法や化学療法と対照的に、温熱療法には累積毒性がないため、温熱療法の改善されたシステムの開発は、更に正当化されることになる。
【0004】
哺乳動物細胞は、時間/温度および細胞周期に依存して、温熱による損傷を受ける。この熱に対する細胞の反応は、逆に種々の細胞内および細胞外環境因子により変化する。温熱療法による細胞損傷に影響する細胞内因子には、異なる種、器官、更に細胞系に固有の変動が挙げられる。細胞外因子には、細胞の酸素および栄養状態、細胞外環境のpH、絶対温度の上昇と温熱療法期間が挙げられる。新生物細胞が、対応する正常組織よりも温熱効果に対する感受性がより高いことを示す証拠もいくつかあるが、これは普遍的な所見でなく、幾つかの最近の研究では、温熱による損傷に対する感受性には、細胞が新生物であるか、正常であるかは密接な関係がないことが証明されている。
多くの研究により、温熱療法と放射線療法には共同作用があることが確認されている。温度が僅かに変化しても、放射線照射傷害に抵抗できる細胞に関して、予想が大きくずれる可能性がある。
【0005】
温熱療法と放射線療法の共同作用に影響を及ぼす因子には、温熱療法期間、温熱療法と放射線療法の順序、1回あたりの照射量と総照射量、細胞外環境のpH、細胞の酸素および栄養状態、細胞の組織学的タイプと悪性状態が挙げられる。腫瘍中心部の無血管部分の細胞は、常にアシドーシスの低酸素状態で、栄養欠乏状態にある。これらすべての因子は温熱療法の効果を独立に増強するようである。その上、重度の低酸素状態の細胞は、酸素が正常の細胞よりも電離放射線に対する抵抗性が約3倍高い。極めて重要なことは、これらの低酸素状態の細胞は放射線の作用に抵抗するかも知れないが、温熱療法はこの放射線に対する抵抗性を部分的に低下させ、放射線療法によりアシドーシスおよび低酸素状態の細胞を死滅させる作用を強化することができる。
【0006】
患者において臨床的温熱作用を引き起こす現在利用可能な方法には多くの問題を伴う。正常な人体組織および器官は、熱に対する感受性があり、42℃以上で、多くの組織が不可逆的損傷を受ける。現在利用可能な臨床的に温熱を伝える方法は非特異的で、腫瘍細胞と共に正常組織も加熱する。より限定された標的部位に集中的に熱を産生するために、超音波および電磁波による集束熱産生装置が現在開発されているが、殆ど全ての加熱技術が広範にわたる標的部位に熱産生を引き起こし、病変組織に対する特異性は極めて低い。
【0007】
特定の器官の選択された局所部位を局所的あるいは全身的に臨床的に加熱するために、幾つかの方法が現在利用可能である。
全身的加熱は、体内あるいは体外の熱源により引き起こされるが、一般に麻酔無しで42℃以上に耐えることはできない。局所的加熱技術には、臓器灌流、種々の形態の電磁波または超音波がある。
【0008】
単純波の電磁波または超音波加熱は、組織透過性が低く、深度が増すにつれ、迅速にエネルギーが減少する。
周波数0.3MHzから3MHzの超音波は、空気、骨などの組織の界面により発生する乱れにより制限される。しかし、これを深部組織を加熱するより許容可能な形態にできるように、改善された集束装置が現在開発中である。
【0009】
周波数434から2450MHzのマイクロ波加熱が使用されているが、一般に組織透過性は低い。整相列装置(Phase array device)により、深部組織においてマイクロ波エネルギーを集束させることが可能であるが、熱効果の変動が問題として残っている。
周波数434MHzまでの高周波が使用され、そのいくつかは成功を修めている。これらの加熱技術は、誘電および誘導法の両者が含まれ、比較的均等な組織加熱を引き起こすことができる。しかし、誘導電流を用いる深部臓器加熱のための集束が、なお問題として残っている。
【0010】
この様な治療法を有効にするには、2つの基本的必要条件がある。まず、治療を標的部位に限定する必要がある。次に、患者に対する安全操作の限界範囲内に温熱療法を維持しつつ、病変組織内部の加熱を最大限にする必要がある。
温熱療法を用いる表在性腫瘍の治療においては、多くの成功が認められているが、患者の病変に選択的に標的を定め、治療する方法がなお必要である。体外から照射されたマイクロ波または超音波光線の透過深度が不十分で、集束能が低いことにより、医師が、周辺健常組織に許容不可能な程度の損傷を同時に引き起こさずに、深部病変に十分な熱量を照射することが著しく制限される。本発明は、温熱療法を用いる際、少なくとも熱の透過深度と不十分な局部限定性に伴う問題を改善することを目的とする。
【0011】
本明細書を通じて、特に必要ない限り、「を包含する」または「を含んでなる」の様な「を含む」またはその変形の用語は、述べられている要素または要素群を包含することを意味するが、方法におけるステップを含むその他の要素または要素群をも含むことを除外するものではない。
【0012】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、
(i)回転磁場条件が約5×108A/m.S以下である場合、磁気発熱効率が少なくとも約4.5×10-8J.m./A.g.である少なくとも磁性体を選択するステップと、
(ii)物質の中に磁性体を導入するステップと、
(iii)磁性体を、周波数約10kHz以上、磁場強度、周波数および曝露された領域の半径の積が約7.5×107A/S未満となるように選択された磁場強度の回転磁場に曝露し、物質内でヒステリシス熱を産生するステップと
を含む、物質の加熱方法に関する。
本発明の一実施例において、物質は非生物学的性質を有し、ゴム、マイクロカプセル、プラスチックの様な材料を含む。
【0013】
本発明の別の実施例において、
(i)回転磁場条件が約5×108A/m.S以下である場合、磁気発熱効率が少なくとも約4.5×10-8J.m./A.g.である少なくとも磁性体を選択するステップと、
(ii)生体組織の中に磁性体を導入するステップと、
(iii)磁性体を、周波数約10kHz以上、磁場強度、周波数および曝露された領域の半径の積が約7.5×107A/S未満となるように選択された磁場強度の回転磁場に曝露し、病変組織内でヒステリシス熱を産生するステップと
を含む生体組織の治療方法が提供される。
【0014】
本発明は、温熱療法、化学療法または放射線療法、あるいは温熱療法および化学または放射線療法の組み合わせに感受性を有する全ての病変組織の治療に使用できる。好ましくは、本発明は、癌の成長体または1つ以上の腫瘍を含む組織の治療に使用される。
以下に癌/腫瘍治療法が論じられているが、本法の適応が単に癌/腫瘍治療に留まらないことは明らかである。病変細胞の死滅により治療可能な全ての病態が、本法により治療可能である。このことから、本法はヒステリシス熱生成によってのみ細胞を死滅させることに限定されない。
【0015】
上記方法は、治療される病変組織が患者から摘出できるかどうかにより、invitroでも生体内でも実施できる。好ましくは、本法は生体内で実施される。患者の治療とは、人間の治療に限定されないと理解すべきである。これには全ての動物の治療が含まれる。
好ましくは、本方法におけるステップ(iii)は、腫瘍温度を約42℃以上に上昇させるのに十分な熱を、投与された磁性体から生成させるのに十分な時間実施する。腫瘍の治療時間は、主に腫瘍の大きさ、位置、物理的構造に依存することは明らかである。最も好ましくは、ステップ(i)からステップ(iii)は、病気を改善するために病変組織が十分に破壊または治療されるまで繰り返される。
【0016】
好ましくは、本発明において使用される磁性体は、基質(matrix)内で結合されマイクロカプセルを形成する。マイクロカプセルの大きさを変えることは可能であるが、好ましくは、患者の血管網を通過し、病変組織内で分散、栓塞されるのに十分な大きさである。本法において使用されるマイクロカプセルは、例えば、ヒステリシス熱が予め決定された特定温度に到達した時のみ、特定の治療または毒性化学物質を放出するように作製される。
本法に使用される磁性体は、磁場条件が約5×108A/m.s.以下である場合、磁気発熱効率(MHE:magnetic heating efficiency)が約4.5×10-8J.m./A.g.以上である。好ましくは、磁場条件が約5×108A/m.s.以下である場合、MHEが約7×10-8J.m./A.g.以上である磁性体が選択される。最も好ましくは、磁場条件が約5×108A/m.s.以下である場合、MHEが約1×10-7J.m./A.g.以上である磁性体が選択される。
【0017】
MHEが高い磁性体を使用することによって得られる利点は下記の通りである。
1)より高い腫瘍温度をより迅速に達成できることにより、治療効果が改善される(温熱療法の効果は、温度が42℃以上に上昇するにつれ、大幅に改善される)。
2)以下の理由により毒性副作用が減少する。
i.腫瘍において治療のための加熱を達成するために使用しなくてはならないマイクロカプセルが少なくて済む(マイクロカプセルが何らかの内因性毒性を持っていれば、有利である)。
ii.より低い磁場強度、Hを利用できる。
iii.より迅速に腫瘍を加熱できるので、腫瘍に隣接する周辺健常組織に及ぼす影響が小さくなる(腫瘍を加熱するために必要な時間が長いほど、熱伝導により隣接する周辺組織はより高温に加熱される)。
3)さもなければ、僅かな効果しか予想できなかったであろう腫瘍に対し特に、治療が成功する可能性が高くなる。
4)本技術を、異なるタイプの癌の治療により幅広く応用できる。
5)より低い磁場強度を使用することにより、機器のデザインに伴う工学技術上の問題点を解決できる。
6)より低い磁場強度を使用するということは、機器作動時の電力消費量と冷却の必要が減少することを意味する。
本発明での使用に適した磁性体の選択は、磁性体のMHEに基づく。磁性体のMHEは、以下の式を用いて計算できる。
【0018】
【数1】
【0019】
式中、Phystは磁気ヒステリシス損失効果(単位W/g)、Hは作用させる磁場の振幅(単位A/m)、fは作用させる磁場の周波数である。病変組織の治療を目的として、磁気ヒステリシスによる熱産生を制限する主な要素は、経時的に変動する磁場が生体組織に及ぼす影響から生じる。一般に、これらの影響は、fとHの積が増大するにつれ、大きくなる。従って、fとHの積を最小限にすることを条件として、Phystを最大にすることが不可欠である。
Phystは、既知量の磁性粉末(例えば、125mg)を得て、それを一定容量の寒天ゲル(例えば、5mLの温水に溶解された3%寒天)に分散することにより測定される。次いで、温度プローブをゲル内に挿入し、所望の周波数と強度の回転磁場に全体を曝露する。得られた温度対時間曲線から、特定の周波数と磁場強度におけるPhystを計算することができる。
【0020】
ヒステリシスを示し、回転磁場条件が約5×105A/m.s以下の時、MHEが4.5×10-8J.m./A.g.より大きい磁性体は全て本発明に使用できる。好ましくは、磁性体は強磁性体またはフェリ磁性体である。強磁性体またはフェリ磁性体には、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、砒素、アンチモン、ビスマスなどの元素が含まれるが、これらの元素に限定されない。磁性体を選択できる一連の材料としては、CrO2、γ−酸化第二鉄(コバルト処理されたものと未処理の両者)、および金属鉄、コバルトまたはニッケル等がある。一般式MO.Fe2O3(式中MはMg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、CdまたはLi等の二価金属)、コバルト処理されたフェライトまたは一般式MO.6Fe2O3(式中Mは、Ba、SrまたはPb等の大きな二価イオン)のマグネトプランバイト型酸化物(M型)から成るフェライトは全て本出願において有用な磁性体となり得る。更に、超常磁性シングルドメイン粒子を磁性体として使用できる。最も好ましくは、強磁性体は、γ−酸化第二鉄(γFe2O3)として知られる一連の強磁性体から選択される。
【0021】
磁性体を選択できる適切な強磁性体の例として、Co処理γ−酸化第二鉄、幾つかのコバルト非処理γ−酸化第二鉄、コバルト処理フェライトおよび二酸化クロムが挙げられる。
本発明の方法は、病変組織部位の温度を41℃以上に上げ、悪性細胞の生存可能性を減少させる手段を提供する。悪性細胞の生存可能性の減少は、細胞死または電離放射線または化学療法剤の効果に対する感受性の増大を引き起こす。
治療中、患者は強さHと周波数fの回転磁場を発生する装置の中に入れられる。回転磁場は、位相差π/2の2つの直交する線形交流磁場を重ねた合わせたものとして、すなわち、
【0022】
【数2】
【0023】
(式中、HxとHyは線形交流磁場でこの2つを組み合わせることによりHが得られ、fはそれらの交流周波数である。)として数学的に説明できる。同じ周波数と振幅の線形交流磁場との比較による回転磁場を使用する利点は、磁性体のMHEがより高くなる点である。これは、所望により、本法においてより低い周波数と磁場強度を利用できることを意味する。この様にMHEが改善される理由は以下の通りである。
【0024】
(i)小さな磁場において、2つの直交する交流ヒステリシス効果の別々の測定値から高い信頼度で回転磁場の効果を推定することはできない。この場合、回転磁場により生成されるヒステリシス熱は、同じ振幅の線形交流磁場から生成される熱の少なくとも2倍と等しい。直交成分は、互いに無関係とは考えられず、回転磁場の効果はかけられた磁場と試料の磁化の位相の遅れを伴う回転効果の見地から回転磁気ヒステリシスを考慮するのがより賢明である(式(4)参照。)
【0025】
(ii)病変組織に送達される磁性体は、典型的には、多数の不規則な方向の針状のミクロン以下の大きさの強磁性粒子から成る。成分である強磁性粒子のそれぞれが互いに独立して作用すると考えると、線形交流磁場の方向にたまたま整列した粒子は、飽和磁場よりも小さい値の線形交流磁場と斜めの角度で整列した粒子よりも形状消磁により受ける影響は小さい。従って、線形磁場の場合、整列した粒子は、斜めの粒子よりも有効な発熱体である。これに反して、これらの粒子に回転磁場をかけると(上記式(3)によって説明される)、形状消磁効果が除去されるので、全ての粒子からの加熱ポテンシャルをより有効に利用することができる。
【0026】
マイクロカプセルにより十分なヒステリシス熱エネルギーを生成して、病変組織を加熱するために、本発明の方法において使用される回転磁場の周波数は比較的高くなくてはならない。周波数が高い程、磁性体を含む組織内の加熱速度は加速される。しかし、振幅が大きく、周波数の高い磁場に対する生理的反応により、あらゆる臨床適応において利用可能な磁場の振幅と周波数は制限される。これらの制限は、特に組織の電気伝導度に依存する神経筋活性化と渦巻電流加熱に起因する。これらは共に、磁場により組織内に誘導された電場の結果生じるものである。
【0027】
線形磁場の場合、これらの有害な可能性のある誘導電場の大きさは、H、fおよび磁場の方向と垂直な曝露面積の半径rの積の二乗に比例する。H、fおよびrの積により、磁場条件が定義される。望ましくは、これらの積は、約7.5×107A/sの値、すなわち、H.f.r≦7.5×107A/sを超えてはならない。この点を説明するために、体軸に沿って作用させた線形交流磁場の場合を検討してみる。この場合、rは典型的には、0.15mで、fとHの積は5×108A/m.s.を超えてはならない。
【0028】
式(3)により説明されるように、回転磁場を2つの直交する線形磁場を重ねたものと見なすことにより、これらの磁場条件は回転性にかけられた磁場の場合に拡大される。この場合、回転磁場の直交する線形磁場成分のそれぞれは独立して、H、fおよびrの積が約7.5×107A/sの値を超えないという条件を満たさなくてはならない。
【0029】
本発明において使用される磁性体は、本技術において公知の全ての手段により、患者の病変組織に送達できる。適切な投与経路には、腫瘍内、腫瘍周囲、血管内投与(例えば、動脈内、腹腔内、皮下または髄膜内注入)が含まれる。好ましくは、磁性体は、動脈または静脈血液供給を介して病変組織に送達できる。
【0030】
好ましくは、磁性体は、液体エマルジョンに混合されるか、あるいはマイクロカプセルの中に結合される。後者は次に、患者の体内に送達するために適切な生体適合媒質と混合できる。最も好ましくは、磁性体は基質材料の中に結合され、マイクロカプセルを形成する。多くの磁性体は、そのものが典型的に非常に小さく、非常に密度が高いため、病変組織部位に至適に送達することができない。従って、マイクロカプセルの中にカプセル化することが望ましい。マイクロカプセルの重要な特性は、それらの密度とそれらの直径である。密度は、病変組織血管網における固定部位に血流によりそれらを運搬する効率に影響し、一方大きさは固定点の病変組織に対する近接性を決定する。
【0031】
好ましくは、磁性体は、磁性粒子のヒステリシスまたは渦巻電流加熱特性に悪影響を及ぼさない基質材料(matrix material)内に結合される。毒性のない結合剤または基質(matrix)は、マイクロカプセル化技術において公知の適切な非毒性材料のいずれを含んでもよい。適切な材料には、例えば、タンパク質、スチレン−ジビニルベンゼンなどのポリマー樹脂、生体高分子、アルブミン、キトサン等が挙げられる。
【0032】
本発明の好ましい形態において、マイクロカプセルは、マイクロカプセルの加熱時に放出される細胞毒性物質を結合、または吸収、または含む様に改変される。例えば、マイクロカプセルは、多孔性の熱感受性物質から成り、これは非毒性で、好ましくは、動物組織に対して反応性を示さず、あるいは動物組織に適合し、かつその内部に適切な磁性体が埋め込まれている。その物質の孔には、望ましくは細胞毒性化合物が充填されている。ヒステリシス加熱時に、微粒子は膨張でき、これによって細胞毒性化合物を放出することができる。しかし、この様な粒子はヒステリシス加熱時の融解に抵抗性を持たなくてはならない。従って、本発明の方法においてこの様な粒子を使用することにより、患者の病変組織を治療するために、化学療法と温熱療法を組み合わせた1つのシステムが提供される。
【0033】
別の代替送達技術は、例えばリピオドール(lipiodol)の様な液体媒質に懸濁された磁性微粒子の懸濁液から成る、適切なフェロコロイドの注射または血管内注入である。この場合、磁性粒子の大きさはナノメーター以下から数ミクロンの範囲の大きさである。
多様な治療を行うために、異なる種類のマイクロカプセルの組み合わせも治療時に投与可能である。マイクロカプセルは、既述されている温熱療法用カプセルと共に放射性マイクロカプセルでも、化学療法用マイクロカプセルでもよい。更に、標的を定めた温熱療法は、従来の放射線療法および/または化学療法と組み合わせて使用することもできる。治療法の選択は、各症例の詳細によって異なる。
本発明の更なる実施例に従って、磁場と組み合わせて、電離放射線源を病変組織の場所に作用させることができ、前記組織は、本明細書に説明されているように、その中にマイクロカプセルを含んでいる。放射線源は、イットリウム−90の様な放射性化合物を含むマイクロカプセルであるか、あるいは体外放射線源から照射される。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下の図面、説明、例は本発明の説明を目的としているが、限定することを意図するものではない。
約41℃から42℃以上の熱産生(温熱療法)は、病変細胞に不可逆的損傷を引き起こす。従って、病変組織は、適切な磁性体からのヒステリシス熱損失の結果として、病変組織の温度を上昇させることにより治療される。好ましくは、ヒステリシス加熱により産生される熱は、42℃から約60℃の範囲である。
磁性体に、周期的に変動する強さの回転磁場を作用させると、ヒステリシス損失により熱が産生される。周期あたりの産生熱量は、種々の強磁性体毎に、また種々の磁場条件によって異なるヒステリシス損失に依存する。腫瘍部位周辺に埋め込まれ、振動磁場内に配置された磁性粒子は、その物質の磁性特性、磁場強度、振動周波数、腫瘍部位における血流の冷却能力に依存する温度に加熱される。
強磁性体試料に回転磁場を作用させると、強磁性体試料における磁気ヒステリシス損失の結果として熱の形態のエネルギーが産生される。ヒステリシス効果により産生される加熱力は、以下により求められる。
【0035】
【数3】
【0036】
式中、ρは強磁性体の密度で、Tはかけられた磁場の回転時間(=1/f)、Hはかけられた磁場、Mは強磁性体試料の磁化である。
【0037】
【数4】
【0038】
の量はW、かけられた磁場の各サイクルに磁性体により産生されるヒステリシスエネルギー量と等しい。Hの関数としてのWの典型的な曲線を図1に示す。Hが零から増加するにつれWに明確なピークが認められる。
有効な治療剤となるために磁性マイクロカプセルから産生されなくてはならない最小熱量を決定するには、Ptumor(W/cm3)を確認する必要がある。Ptumorは、以下により求められる。
【0039】
【数5】
【0040】
式中、fは、Hzで示される作用させた磁場の交流周波数、
Wcは、磁場の各周期において、注入された磁性マイクロカプセルにおけるヒステリシス効果により産生される熱エネルギー量で、単位はJ/g、
pは、g/cm3の単位で表される注入されたマイクロカプセルの密度、
vは、cm3の単位で表される各マイクロカプセルの容積、
nは、腫瘍組織1cm3あたりのマイクロカプセルの数。
【0041】
Ptumorは、本質的に腫瘍組織加熱率を表す。本発明に関しては、Ptumorは、合理的な期間にわたり、腫瘍組織の温度を体温から病変細胞にとって致死的な温度まで上昇させることができる程、十分大きな値でなくてはならない。更に、Ptumorは、血流および組織の熱伝導性の様な、組織を冷却する影響を抑制することができる程、十分大きな値でなくてはならない。好ましくは、Ptumorは60mW/cm3よりも大きい。最も好ましくは、80mW/cm3よりも大きく、望ましくは100mW/cm3よりも大きい。
好ましい範囲のPtumor値を得るには、変数f、Wc、p、v、nに関して適切な値を選択する必要がある。
【0042】
振動磁場に対するヒトの反応に関する利用可能なデータは限られている。この様なデータは、至適運転周波数の範囲を約10kHzから100MHzとしている。これよりも小さい周波数では、意図しない神経筋活性化の危険性があり、より高い周波数では、電磁エネルギーの組織内への透過性が低下することによる制限が発生し始める。従って、周波数は10kHzから100MHzの範囲内に維持すべきである。好ましくは、周波数は10kHzから500kHzの範囲内に維持される。最も好ましくは、周波数は10kHzから100kHzの範囲内に維持され、望ましくは50kHzを超えない。例えば、周波数は20kHzである。
【0043】
W(J/g)は、マイクロカプセルの中に組み込まれた磁性体固有の特性である。Hの関数としてWがどのように変化するかを示す典型的な曲線を図1に示す。しかし、本方法を患者に適用する場合、Hを増大できる量には限界がある。この様な限界も使用される周波数と、磁場に曝露された組織面積に依存する。マイクロカプセルに使用するために選択される磁性体は、回転磁場条件が患者にとって安全運転限界内に維持されている場合、MHE値は少なくとも約4.5×10-8J.m./A.g.でなくてはならない。好ましくは、磁場条件が約5×108A/m.s.以下の場合、MHEが約7×10-8J.m./A.g.よりも大きい磁性体が選択される。最も好ましくは、磁場条件が約5×107A/m.s.以下の場合、MHEが約1×10-7J.m./A.g.よりも大きい磁性体が選択される。
【0044】
磁場強度と周波数の必要条件も、マイクロカプセルの特性に左右される。これらの特性は、パラメーター:p(g/cm3)、v(cm3)およびcm3あたりのnによって説明される。
【0045】
本発明の方法において使用されるマイクロカプセルは、患者の脈管構造を通過し、病変組織内に分散され、栓塞するのに適切な大きさでなくてはならない(血管拡張剤を補助剤として使用しても、しなくてもよい。)。使用されるカプセルは、全身静脈循環に逆流せずに、器官、腫瘍または組織の毛細血管前および毛細血管網に捕獲されることが可能でなくてはくてはならない。好ましくは、マイクロカプセルは、腫瘍への血液供給血管内に留まるために直径約10ミクロンよりも大きく、腫瘍に到達する前に血管内に栓子を形成しないように、約500ミクロンよりも小さくなくてはならない。最も好ましくは、マイクロカプセルは約10から100ミクロンの大きさの範囲にあり、30から40ミクロンが最も望ましい。
【0046】
10ミクロンよりも小さなマイクロカプセルも、エンドサイトーシスの過程により腫瘍組織内に取り込まれるならば、本方法において使用可能である。
更に、強磁性体の密度も、患者の血流によるマイクロカプセルの運搬が可能となるようなものでなくてはならない。好ましくは、マイクロカプセルの密度は1から5g/cm3である。最も好ましくは、密度は1.8から3g/cm3である。望ましくは、密度は1.8から2.2g/cm3の範囲で、例えば、2g/cm3である。勿論、これらの範囲の全ての粒子を本発明に使用できる。
【0047】
広範にわたる基質材料と製造技術を用いてマイクロカプセルを調製するために、多種多様の方法が利用できる。本発明の好ましい一実施例において、マイクロカプセルは、Biopol基質((R)−3−ヒドロキシブチル酸と(R)−3−ヒドロキシ吉草酸の共重合体)を用いて結合されたコバルト処理γFe2O3粒子を強磁性体として含む。この基質を用いて、密度1.8〜2.2g/cm3、大きさ20〜50ミクロンの磁性マイクロカプセルが得られる。
磁性マイクロカプセルは、予め決定された最大値に腫瘍温度を調節する様に処方できる。これはキュリー温度、補償温度、マルテンス変態温度または、必要とされる温度でのその他の適切な磁気変態温度、いわゆるTcの強磁性体をマイクロカプセルの中に組み入れることにより達成される。この必要条件は、T<Tcの場合には適切に大きなMHEが、T>Tcの場合にはMHE≒0が利用できる。
【0048】
マイクロカプセルは、生物分解性または非生物分解性材料から形成できる。好ましくは、本発明において使用されるマイクロカプセルは非分解性で、腫瘍血管網に永久的に留まる。従って、腫瘍の局所的加熱にくり返し使用できる。腫瘍を含む器官を磁場に曝露することにより、マイクロカプセル内に含まれる強磁性体は高温となり、周囲の正常実質組織には影響を及ぼさず、高度に局所的な腫瘍の加熱を引き起こす。
【0049】
マイクロカプセルは、適切な公知の技術全てにより形成できる(例えば、"Encyclopedia of Chemical Technology" KIRCO-OTTHER, Vol. 15 Wiley-Interscienceを参照)。例えば、強磁性体粒子を、アルブミン溶液の様なタンパク質溶液に加えることができる。次に、得られた蛋白質溶液を、好ましくは、油相に加え、これを持続的に振とうし、エマルジョンを形成する。次に、この蛋白質様物質を熱またはグルタルアルデヒドのような化学物質を用いて架橋反応させ、強磁性体粒子がその中に捕獲されたマイクロカプセルを形成する。
【0050】
代替法において、強磁性体粒子を、ジクロロメタンにBipolを含む溶液に加えてもよい。次に、この混合物をポリビニルアルコールまたはその同等物を含むビーカーにホモジェナイジングミキサーで混合しながら滴下する。次に、混合物を適切な時間ゆっくりと混合した状態に置き、ジクロロメタンを蒸発させる。この様に形成されたマイクロカプセルを、次に洗浄し、サイズ分画して、本発明の方法における使用に好ましいサイズの粒子を選択する。好ましくは、この調製品の密度分画も行い、好ましい密度の粒子を選択する。
【0051】
本発明の一実施例において、動物に対して毒性と、好ましくは反応性を示さず、あるいは動物に適合性を示し、かつその内部に少なくとも磁性体が埋め込まれているマイクロカプセルを、患者の病変組織に標的を定めて(直接的あるいは間接的に)、送達する。次にマイクロカプセルを含む病変組織に、f、Hおよびrの積が7.5×107A/s未満となるように、病変組織を治療するのに十分な時間回転磁場をかける。この様な組織を治療するのに要する時間は、マイクロカプセルにおいて産生される熱に依存し、これは使用される磁場と使用されるマイクロカプセルの特性に依存する。
【0052】
ヒトまたは動物患者の治療に使用するために多様な投与経路が利用可能である。選択される特定の投与形式は、勿論治療される特定の状態と治療効果を上げるために必要なマイクロカプセルの数に依存する。本発明の方法は、臨床的副作用を引き起こさずに病変組織に選択的にマイクロカプセルを送達でき、マイクロカプセルが病変組織全体に実質的に均等に分布するように、患者の病変組織にマイクロカプセルを送達できる、一般に医学的に認められている全ての投与方法を用いて実施できる。この様な投与方法には、非経口(例えば、皮下、筋肉内、動脈内、静脈内)経路が含まれる。
【0053】
本発明の一実施例において、好ましくは、マイクロカプセルは、病変組織の動脈血供給血管(門脈)内にマイクロカプセル懸濁液の注入により送達される。非経口投与に適した組成は、好都合にはカプセルの滅菌水性製剤からなり、これは好ましくは、受容者の血液と等張である。滅菌製剤は、非毒性非経口可能な希釈剤または溶媒の注入溶液または懸濁液が可能である。使用できる許容可能な賦形剤および溶媒は、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液である。
【0054】
本方法において使用される単位容積の組織あたりのマイクロカプセルの数は、患者の治療すべき病変組織の量に完全に依存する。好ましくは、組織1gあたりのマイクロカプセルの数は、5,000から300,000(マイクロカプセル数/g)である。最も好ましくは、10,000から100,000の範囲で、40,000から70,000が望ましい。例えば、nは腫瘍組織1立法センチメートルあたりマイクロカプセル数約60,000である。
例えば、本発明を腫瘍または癌組織の治療に使用する場合、腫瘍区画内にカプセルが集中し、周辺正常実質組織には少なくなるように、マイクロカプセルは腫瘍を含む組織の血管網に栓塞しなくてはならない。
正常組織と浸潤する腫瘍の間の境界領域の脈管構造は、主にアドレナリン性受容体を含む細動脈から成り、腫瘍内部の血管はこれらの特徴を失っている。腫瘍の血管床は血流調節が殆ど無く、正常組織に隣接して存在する腫瘍への動脈血供給は正常の血管運動神経の調節を受けている。腫瘍におけるこの血流調節の欠失は、熱投入量が増大する条件に置かれた時、周囲の正常組織と同じ速度で腫瘍が熱を放散できない主な理由を強調するもので、このため腫瘍組織の加熱が有利となるのである。
【0055】
徐々に腫瘍が増殖するにつれ、腫瘍中心部は比較的無血管の低酸素状態となる。これらの部分は、通常なお虚脱した血管を含んでおり、血管作用薬の影響下に、血流を送ることが可能である。強磁性体を含むマイクロカプセルの腫瘍組織血管床への配置は、血管作用薬を用いて、腫瘍および周辺組織の血流を操作することにより強化できる。本発明の一実施例において、好ましくは、マイクロカプセルは血管作用薬の調節下に、病変組織に投与される。最も好ましくは、正常実質組織は、マイクロカプセルが組織に入るのを防止するために、血管収縮剤を投与する。
【0056】
強磁性体と、アンギオテンシンII、ノルアドレナリンとβ遮断薬、バソプレシン、エピネフリンまたはその他の血管作用薬等の血管作用薬を含むマイクロカプセルは、腫瘍中心部の虚脱した微小循環系を拡張し、これらの部分にマイクロカプセルを送達するための経路を供給する。血管作用薬の効果が停止すると、腫瘍中心部は血管および酸素が減少した状態に戻るかも知れないが、温熱療法による損傷を受け易くなっているものと思われる。
【0057】
腫瘍血管の生理的非反応性現象は、マイクロカプセルを腫瘍組織に選択的に標的を定めて投与できるように、この様に操作することが可能である。血管収縮薬を腫瘍を有する器官の動脈循環系に注入すると、正常組織に供給する血管の一過性血管収縮を引き起こすが、腫瘍に供給する血管には引き起こさない。血管作用薬の注入直後に動脈循環系にマイクロカプセルを導入すると、マイクロカプセルは正常組織ではなく、優先的に腫瘍の血管網に向けられ、捕獲される。血管作用薬の効果は、数分以内に徐々に消失する。しかし、その時までにマイクロカプセルは腫瘍の毛細血管網にしっかりと固定される。逆に言えば、正常非腫瘍組織に放射線防御薬または温熱防御薬を選択的に標的を定めて投与するために、血管拡張薬を使用できる。
【0058】
直接注入と比較して、血管経路を介する強磁性体マイクロカプセル送達の利点を以下の様に要約することができる:
(i)血管作用薬投与と組み合わせてマイクロカプセルを動脈から送達することにより、正常実質組織にマイクロカプセルを送達することなく、病変組織にマイクロカプセルを均等または殆ど均等に分布させることができる。これに反して、マイクロカプセルを直接病変組織に注入すると、均等または殆ど均等なマイクロカプセルの分布は得られない。この様な状況で、病変組織内に注入されると、マイクロカプセルは注入部位周辺に最も高濃度に集中する。病変組織の単位容積あたりのマイクロカプセルの密度は、注入の中心点から遠ざかるにつれ、徐々に低下する。
(ii)動脈からマイクロカプセルを送達することにより、マイクロカプセルを注入により送達する場合の様に、転移性腫瘍を見落とすリスクが減少する。
(iii)動脈からマイクロカプセルを送達することにより、全ての腫瘍に外科的手術によりアクセスする必要が回避される。
(iv)動脈からマイクロカプセルを送達することにより、腫瘍を針穿刺する場合に発生し得る腫瘍細胞が拡散される可能性が回避される。
本発明の更なる実施例に従って、1種類以上の血管作用薬と組み合わせて、強磁性体粒子を含むマイクロカプセルが腫瘍内、または腫瘍を含む組織内に導入される。次に、回転磁場を腫瘍部位に作用させ、強磁性体粒子のヒステリシス加熱または渦巻電流加熱により加熱を引き起こす。
所望の磁場強度と周波数を供給できれる全ての回転磁場を本発明において使用できる。回転磁場は、位相差π/2の2つの直交する線形交流磁場を重ねた合わせたものとして、すなわち(前記の様に)として数学的に説明できる。
【0059】
【数6】
【0060】
(式中、HxとHyは線形交流磁場でこの2つを組み合わせることによりHが得られ、Wはそれらの交流周波数である。)人体胴部を収容するのに十分な大きさの空間領域に式(3)により数学的に既述される磁場を発生できる装置は全て説明された適用において使用するのに適しているである。
回転磁場発生手段において使用される運転周波数と磁場強度は、マイクロカプセルに入れる強磁性体の特徴として選択される項目であることは明らかである。磁場強度と周波数は、f≧10kHzでf.Hの積≦5×108A/m.s(全身曝露を想定)の制約も満たさなくてはならない。好ましくは、回転磁場発生手段は、Wの最高値に対応する磁場の値で運転される(図1参照)。
【0061】
好ましくは、本法において使用される回転磁場発生手段は、人体の一部または全体を収容するのに十分大きい空間領域において、必要な回転磁場条件を生じることができる。
下記に、記載されている方法において使用できる回転磁場発生手段の2種類の形態を示す。しかし、本法における使用に適しているその他の可能性も存在しており、それらの可能性は本技術に精通する者にとって公知である。
4極装置:4極装置の運転原理と基本的デザインコンセプトは、強磁性試料の回転磁気ヒステリシス特性を測定するたに使用される図2に示す回路に関するものと同じである。回転磁場は、極間の間隙部分に発生する。間隙部分は人体胴部を収容するのに十分な大きさ、すなわち約60cm×60cmでなくてはならない。
【0062】
本形態の利点は、極片の形作りが優れているため患者にかける磁場をコントロールすることができ、更に電源必要量を最小限にすることも可能である。図2に示す回路の磁場分布のモデリングは、静磁場問題専用の有限要素モデリングパッケージ(Elcut 3.0A, TOR Cooperative Enterprise)を用いて実施された。図3に、磁場の大きさが上下極間で最大(Hyが最大)、左右極間では零(Hx=0)の場合の、間隙部分を斜めに横切る輪郭線に沿った3種類の極形態に関するHyの計算結果を示す。形態1においては、極片は先細ではなく、先端が接触しており、形態3においては各極の側面は先細で、形態2においては全体が除去された。
【0063】
4極装置を使用する際、装置の総重量とコア材料そのものの内部に望ましくない 熱発生を考慮する必要がある。この様な装置において数種類の異なるコア材料を使用することができ、これらには極薄無晶質積層、Fluxtrolとして知られる高周波用にデザインされた可削性金属コア材料、および焼結フェライトが含まれる。望ましくない熱発生を抑制するために、少なくともコア材料冷却手段を装置の中に組み入れるてもよい。例えば、、構造内に水コーディングチャネルを組み込むことができる。
直交コイル装置:4極装置に代わるのは直交コイル装置である。この装置では、互いに直交する2本の短い直径の大きなコイルが、回転磁場を発生するために使用されている(例えば、図4参照)。患者はコイルの内側に配置される。
【0064】
このシステムの利点は、デザインが比較的単純で、患者によりアクセスし易い可能性がある点である。欠点は、磁場分布のコントロール性が遥かに低く、このため患者の曝露量がより多くなり、磁場の均質性が低くなる点と、4極装置と比較して電源必要量が多く、コイルの互いに内側に位置する部分の渦巻電流喪失量が増大する点である。この最後の問題は、例えば、水冷リッツワイヤー(非常に細いワイヤーの束)を硬い銅管の代わりに使用することにより解決できる。周波数と磁場強度は4極装置と同じである。運転電力消費量を更に削減することは、高温超伝導材料のコイルを作製し、液体窒素で冷却することにより可能である。液体窒素で銅コイルを冷却するだけで、室温より電力消費量が60〜70%削減される。
【0065】
望ましくない熱と過剰の電力消費は、説明されている回転磁場発生装置の問題となる可能性がある。これらの問題を解決するために、回転磁場発生装置は好ましくは、リッツワイヤー、超伝導材料から作製され、液体窒素中で冷却されるか、あるいはコイル内の望ましくない熱蓄積に抵抗できるその他の材料から作製されたコイルを用いて製造される。
コイル(直交コイル装置の場合)の形状と大きさ、または極片(4極装置の場合)の形状と大きさは、使用される磁性によって、磁場分布と電気特性を改善するために改良され、至適化することもできる。例えば、コイルの形状は完全な円柱形である必要はなく、楕円形でもよい。
本発明の更なる特徴は、以下の例に更に詳細に説明されている。しかし、この詳細な説明は本発明を具体的に説明することのみを目的としており、上記の概説を制限するものと理解すべきではない。
【0066】
【実施例】
例1
磁性体の選択
本例は、回転磁場を作用させる多種の強磁性体の加熱効率を比較するものである。
磁性体は、種々の供給源から入手した(表1参照)。MHEは、角加速磁力計を用いて異なる回転磁場強度で得られた測定値から計算した。下記表1に、被験磁性体、材料供給源および少なくとも10kHzの周波数で5×108A/m.s.を超えない磁場条件を作用させた場合の最大MHEを示す。
【0067】
【表1】
【0068】
(角加速磁力計は以下の方法で作動する:少量(約5mg)の被験磁性体を、細い非磁性ロッド末端の試料ホルダーに入れ、電磁石の極片間に配置する。次に、試料ホルダー付きロッドを、磁性体試料に回転磁場がかかるように回転させる。ロッドが減速する速度を、光学読みとりシステムを用いて測定する。回転減速度測定値から、サイクルあたりに失われた回転磁気ヒステリシスエネルギーが得られる。次にこれを用いて、Phystを計算することができ、従って式(1)においてMHEを計算することができる。
【0069】
例2
交流磁場と比較した回転磁場による加熱の改善
図4に示す回路を用いて、線形交流磁場と対比した回転磁場をかけた場合の、2種類の磁性体における磁性加熱効率を比較した。回路は共通中心点で互いに直角に配置された2本のコイルから成る。交流電流がどちらかのコイルを通過すると、軸方向の交流磁場が発生する。両方のコイルに同じ周波数で、作用させた電流間に90度の位相差を維持した交流電流を同時に作用させると、コイルの中心部に回転磁場が発生する。これらのテストでは、周波数は21kHz、磁場振幅は24kA/mであった。
【0070】
2種類の被験試料を作製した。1つは2mlの寒天ゲルに分散された20mgのS11磁性体から成り、もう1つは1mlの寒天ゲルに含めた20mgのPCF35HT4磁性体から成る。非摂動温度プローブ(蛍光光学プローブ、Luxtron Corp)を試験中の試料の中心に挿入した。次に、被験試料を直交コイル対の中心部に配置した。試料温度を、まず片方のコイルに電流を作用させた場合、すなわち線形交流磁場のみに関して、次に両方のコイルに電流を作用させ回転磁場をかけた場合に関して、各材料毎に記録した。
図5は、2種類の磁場に関するS11試料の温度上昇の記録を示し、図6はPCF35HT4試料に関する温度上昇の記録を示す。線形磁場と比較して、回転磁場により加熱効率が改善されることは明白である。
【0071】
例3
回転磁場と交流磁場の磁性加熱効率の比較
例2に記載されている方法を用いて、3種類の磁場強度でPCF35HT4試料に関して温度上昇速度の測定を行った。各磁場強度におけるこのデータから、Phystを計算することが可能であり、従って式(1)を用いてMHEを計算することが可能である。磁場強度の変化に伴い、MHEは磁場条件の制限(すなわち、fとHの積が5×108A/m.s.を超えないという制限)を受けて計算される。回転磁場と線形交流磁場の両者に関する結果を図7に示す。明らかに、本例において回転磁場は優れた磁性加熱効率を提供する。
【0072】
例4
組織の部位特異的加熱
本実験は、磁性体のマイクロカプセル粒子を使用して、回転磁気ヒステリシスの機序により部位特異的に組織を加熱できることを示している。
50mgのPCF35HT4粒子を1mlの生理食塩水にまず分散した。2mlのシリンジを用いて、新鮮な摘出ラット肝臓数カ所に合計この混合物の20%を注入した。注入部位は全て互いに2mm以内であった。温度プローブを注入部位にて組織内に挿入し、別のプローブを約15mm離れた組織内に挿入した。次に、肝臓を図4の回路に示す解離によって発生させた回転磁場の領域に配置した。回転磁場をかけた時の各温度プローブにより記録された組織温度の上昇を図8に示す。データから、注入部位の肝臓組織が極めて顕著に加熱されたのに対し、15mm離れた組織は全く加熱されなかったことは明らかである。これは、小さな磁性粒子の回転磁気ヒステリシス加熱により、部位特異的に組織を有効に加熱できることを示す明白な証拠である。磁性体粒子を含む組織のみが加熱される。
【0073】
例5
強磁性マイクロカプセルの作製
1gのγFe2O3粒子(Bayer Chemicals社)を、ジクロロメタン中に15%Biopol(Fluka Chemie社、スイス)を含む6mlの溶液と十分に混合した。次に、ホモゲナイジングミキサーを用いて3900〜4000rpmで混合しながら、この混合物を0.25%ポリビニルアルコール(1Lの水に溶解された分子量124,000〜186,000の87〜89%加水分解された2.5gのポリビニルアルコール)の中に滴下する。次に、この混合物をそのまま10分間混合し、その後60分間非常にゆっくりと混合し、全てのジクロロベンゼンを蒸発させる。
この様にして形成したマイクロカプセルを63、45、20ミクロンの篩いを通して洗浄した。20から45ミクロンの分画を保存した。次に、カプセルをジヨードエタンに浮かべ、アセトンで軽く希釈し、比重2.2とした。沈んだマイクロカプセルを全て廃棄した。次に残りを洗浄し、比重1.8に希釈したジヨードメタンに浮かべた。沈んだマイクロカプセルを回収し、いつでも使用できるように洗浄した。
【0074】
上記に引用された原理、好ましい実施例、および具体例を含む本発明の前記説明は本発明を説明するためのもので、その範囲を制限するものと見なすべきでないことは明らかである。本発明に記載されている本発明の精神を逸脱することなく本発明に変更および改変を加えることは可能であり、この範囲内のこの様な変更および改変は、本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、作用された磁場Hの関数としての、サイクルあたりの回転仕事量Wの典型的な形態を示す。
【図2】図2は、回転磁場を発生させるために使用される回路を示す。
【図3】図3は、3種類の異なる極部品形態に関する計算による磁場の均質性を示す。
【図4】図4は、磁気試料における回転ヒステリシスを測定するための回転磁場を発生する直交するコイルシステムの図である(コイルは縁を重ねて示されている。)
【図5】図5は、S11磁性体に関する回転磁場と線形交流磁場の加熱を比較したものである。
【図6】図6は、PCF35HT4磁性体に関する回転磁場と線形交流磁場の加熱を比較したものである。
【図7】図7は、PCF35HT4磁性体に関する回転磁場と線形交流磁場に関する作用された磁場の関数としての磁気発熱効率(MHE)を比較したものである。
【図8】図8は、注入された磁性粒子による回転磁場を用いる組織の部位特異性加熱を示す。
Claims (18)
- 生体組織に導入された磁性体を、周波数約10kHz以上、磁場強度、周波数および曝露された領域の半径の積が約7.5×107A/s未満となるように選択された磁場強度の回転磁場に曝露して、組織においてヒステリシス熱を発生させるための手段であって、回転磁場条件が約5×108A/m.s以下である場合、該磁性体が少なくとも約4.5×10-8J.m./A.g.の磁気発熱効率(MHE)を有する手段を含むヒステリシス療法に使用するための装置。
- 上記磁性体が、基質(matrix)内で結合して、マイクロカプセルを形成する請求項1に記載の装置。
- 上記マイクロカプセルが、患者の脈管構造網を通過し、病変組織内に分散および栓塞するのに適切な大きさである請求項2に記載の装置。
- 上記磁性体が、磁性粒子のヒステリシスまたは渦巻き電流加熱特性に好ましくない影響を及ぼさない基質材料(matrix material)により拘束されている請求項1に記載の装置。
- マイクロカプセルが、マイクロカプセルの加熱時に放出される細胞毒性物質を、結合、吸収または含有するようにされた請求項2に記載の装置。
- 磁場条件が、約5×108A/m.s.以下である場合、該磁性体の磁気発熱効率(MHE)が約7×10-8J.m./A.g.以上である請求項1に記載の装置。
- 上記磁性体が、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、砒素、アンチモン、ビスマスからなる群から選択される成分を含む強磁性体または強磁性物質である請求項1に記載の装置。
- 磁性体が、CrO2、γ−酸化第二鉄(コバルト処理またはコバルト未処理の両者)、金属鉄、コバルトまたはニッケル、一般式MO.Fe2O3のフェライト類(ここでMはMg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、CdまたはLiのような二価の金属である)、コバルト処理されたフェライト類、または一般式MO.6Fe2O3のマグネトプランバイト型酸化物(M型)(ここでMはBa、SrまたはPbである)のうちの少なくとも一から選択される請求項1に記載の装置。
- 周波数が、約10kHzから100MHzである請求項1に記載の装置。
- 上記マイクロカプセルが、直径約10ミクロンより大きいが、約500ミクロンより小さい請求項2に記載の装置。
- 上記マイクロカプセルの密度が、マイクロカプセルが患者の血流により運搬される程十分に小さい請求項2に記載の装置。
- 上記マイクロカプセルの直径が、約10ミクロンより大きいが約500ミクロンより小さい請求項2に記載の装置。
- 上記マイクロカプセルの密度が、1g/cm3から5g/cm3の範囲である請求項2に記載の装置。
- 磁場と組み合わせて、電離放射線を病変組織の部位に作用させる請求項1に記載の装置。
- 放射線が、放射性化合物を含むマイクロカプセルにより送達される請求項12に記載の装置。
- 腫瘍組織加熱率が、60mW/cm3より大きい請求項1に記載の装置。
- 上記磁性体が、(R)−3−ヒドロキシブチル酸と(R)−3−ヒドロキシ吉草酸の共重合体を用いて互いに結合される請求項1に記載の装置。
- 前記手段が、4極型または直行コイル型回転磁場発生装置である請求項1〜17のいずれか一に記載の装置。
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