JP3677390B2 - 粉砕装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はセラミックピンを配設したケーシング内に被粉砕物を投入して、セラミックピンの回動により粉砕する粉砕装置に関し、たとえばケージ型粉砕装置などのケ−シング内に円盤を配し、この円盤にセラミックピンを配設し、円盤の回転によりセラミックピンを回動させて、岩石や砂利、あるいは天然または人工の鉱石などの被粉砕物を小さく粉砕する衝撃型の粉砕装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のような硬質の被粉砕物を粉砕するには、セラミックピンから構成されたケ−ジ部材を円盤上に同心円状に配設し、この円盤の回転によりセラミックピンを回動させ、粉砕をおこなうケージ型粉砕装置が使用されている。
【0003】
ところが、長期間にわたって使用するとセラミックピンが磨耗したり、チッピングするという問題があり、そのためにアルミナ質焼結体、ジルコニア質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化珪素質焼結体などで構成し、これによって曲げ強度が30kg/mm2 (294MPa)以上、ビッカース硬度が1200kg/mm2 (11.8GPa)以上になることが提示されている(特開平9−10610号参照)。
【0004】
また、このようなケージ型粉砕装置において、磨耗や破損したセラミックピンのみを交換できるようにするために、セラミックピンの一方端のみを円盤に取り付ける技術も提案されている(特開平9−70548号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかるセラミックピンを使用した粉砕装置の場合には、その長尺形状のために、さらに優れた耐磨耗性および高強度、ならびに高靱性のセラミックピンを用いることが求められているが、いまだ満足し得る程度のセラミックピンが存在しなかった。
【0006】
とくに一端を固定し、他端を開放状態にしたセラミックピンでもって粉砕するものである場合には、両端を固定したセラミックピンと比べ、耐磨耗性、高強度および高靱性がもっとも要求されるのであるが、そのための材料開発が進められていなかった。
【0007】
したがって、より長い寸法のピンにすることに限界があり、そのために被粉砕物が投入されるケーシング内の容積を大きくすることができず、この結果、粉砕効率が低下していた。
【0008】
本発明は叙上に鑑みて完成されたものであり、その目的は硬度、靱性、強度などをさらに高めた窒化珪素質焼結体を開発し、それでもってセラミックピンを構成し、これによって磨耗や破損を低減し、長手寸法をさらに増し、その結果、粉砕効率を高めて生産コストを下げた粉砕装置を提供することにある。
【0009】
なお、特開平8−206524号には3点曲げ強度で90kgf/mm2 (883MPa)のサイアロン焼結体もしくは85kgf/mm2 (834MPa)の窒化珪素質焼結体からなるセラミックピンが提示されているが、硬度や靱性をさらに高めてセラミックピンを長くする技術について、記載されていない。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の粉砕装置は、セラミックピンを配設したケーシング内に被粉砕物を投入し、このセラミックピンの回動により被粉砕物を粉砕する構成であって、上記セラミックピンはβ−窒化珪素結晶相と、Yおよび/または希土類元素と珪素とアルミニウムと酸素とからなる粒界相を含む窒化珪素質焼結体からなり、この窒化珪素質焼結体は窒化珪素を75%〜95重量%、Yおよび/または希土類元素を酸化物換算量で1〜10重量%、アルミニウムを酸化物換算量で0.01〜5重量%、不純物的酸素を酸化珪素換算で10重量%以下の割合で含み、密度が3.2g/cm3 以上、気孔率が3%以下、平均ボイド径が5μm以下であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の粉砕装置を衝撃型の装置を例にして詳述する。
ケージ型粉砕装置
図1はケージ型粉砕装置の断面図、図2はセラミックピンの一部拡大断面図、図3は図2における切断面線X−Xによる横断面図である。また、図4は他のケージ型粉砕装置の断面図、図5はセラミックピンの一部拡大断面図である。
【0012】
図1のケージ型粉砕装置1において、2はケ−シング、3はケ−シング2の内壁面に形成した保護ライナ−、4は被粉砕物の投入口、5は破砕されたものの排出口である。また、ケ−シング2内には2つのケ−ジ部材A、Bが配設され、ケ−ジ部材Aについては、回転円盤6とバンド8に回転軸12を貫通させ、さらに回転円盤6上に複数のセラミックピン10を同心円状に、かつ等間隔となるように立設し、そのセラミックピン10の他方端をバンド8に係止させ、各セラミックピン10を回転円盤6とバンド8との間で挟持した構造である。
【0013】
他方のケ−ジ部材Bについても、回転円盤7とバンド9に回転軸13を貫通させ、さらに回転円盤7上に複数のセラミックピン11を同心円状に、かつ等間隔になるように立設し、そのセラミックピン11の他方端をバンド9に係止させ、各セラミックピン11を回転円盤7とバンド9との間で挟持している。
【0014】
このようにサイズの異なる2つのケ−ジ部材A、Bを回転軸12、13に対し同軸となるように配設するとともに、各回転軸12、13を駆動軸14を介してモ−タ(不図示)を接続し、そして、回転軸12、13の回転にともなって回転円盤6、7が回転し、セラミックピン10、11が回動するようになっている。
【0015】
上記構成のケージ型粉砕装置1でもって被粉砕物を粉砕するには、モ−タによりケ−ジ部材A、Bを、相互に逆方向に回転させた状態でもって、投入口4より被粉砕物を投入すると、小径で回動しているケ−ジ部材Bのセラミックピン11と衝突し、次いで大径で回動しているケ−ジ部材Aのセラミックピン11と衝突し、続けてケ−シング2の保護ライナ−3と衝突し、これにより、相当に小さくなった粒子に粉砕され、かかる粉砕粒子はケ−シング2の排出口5より取り出される。
【0016】
次に図2および図3に示すケージ部材Aのセラミックピン10を述べる。ただし、ケージ部材Bのセラミックピン11も同様である。
【0017】
このセラミックピン10は中空の円柱状もしくは円筒状であって、その長尺状の孔15には両端部にメネジ部17を備えた金属軸18を挿入させている。この孔15の一方もしくは両方の端の内面付近にはキー溝16を形成し、セラミックピン10の端の内面にもキー溝19を形成している。そして、孔15に金属軸18を挿入し、セラミックピン10のキー溝19と金属軸18のキー溝16との双方で間隙を形成し、その間隙にセラミックス、金属、硬質ゴム、プラスチック、および樹脂などからなるキー20を係合させ、これにより、金属軸18に対しセラミックピン10を固定する。
【0018】
また、上記金属軸18とセラミックピン10は、双方の長手寸法をほぼ同等にし、さらにセラミックピン10の両端面にリング状をしたスペーサ21と弾性部材22とを配し、これらを介して回転円盤6とバンド8を配設している。しかも、金属軸18の各メネジ部17にボルト23を螺入し、これにより、セラミックピン10を回転円盤6およびバンド8との間で挾持している。また、回転円盤6およびバンド8の周囲全体には、被粉砕物との衝撃による磨耗を防止するためにセラミックスからなる保護ライナー24、25、26が固着されている。
【0019】
上記のように弾性部材22を設けることで、セラミックピン10の長手方向が精度よく位置決めでき、さらにキー20が抜けないようにする防止できる。しかも、金属軸18の一方端のメネジ部17は逆ネジとし、ボルト23の締め付け時に他方端のボルト23が緩まないようにする方がよい。
【0020】
上記構成のケージ型粉砕装置1では、各セラミックピン10、11を回転円盤6とバンド8、または回転円盤7とバンド9とでもって挾持しているが、これに代えて図4に示すように各セラミックピン10a、11aを回転円盤6、7、円盤9aだけで固定してもよい。
【0021】
すなわち、図4のケージ型粉砕装置1aのように前記ベルトを使用しないで、回転円盤6、7、円盤9aの上に先細りの金属軸18aを立設し、この金属軸18aに、その先細り形状と密着させるようにセラミックピン10aを貫通させている。そして、円盤9aについては、ライナー(内貼り)8aで固定されている。
【0022】
また、図5のセラミックピン10aについては、27は金属軸18aの一端に設けたオネジ部であり、このオネジ部27にネット28を設けている。29はセラミックピン10aに対するクッション部である。
【0023】
上記構成のケージ型粉砕装置1aによれば、下記のような利点がある。
すなわち、ケージ部材は被粉砕物との衝撃により磨耗するために、定期的なメンテナンスが必要となり、とくにセラミックピンおよびバンドの磨耗が激しく、位相角をずらしたり、反転させて再使用しているが、このような作業の度にクレーンやレッカー等を用いた大がかりな作業でもってケージ部材をケーシング内から取り出しており、さらにケージ部材の組立に多大な労力と時間を要し、作業効率が低下していた。これに対し、ケージ型粉砕装置1aにおいては、ケージ部材をケーシングより外さないでも、1本もしくは数本のセラミックピンが交換でき、それを熟練技術者でなくても調整して接合することができ、その結果、メンテナンスが非常に容易になる。
【0024】
セラミックピンの材質
前記セラミックピン10、11については、窒化珪素質焼結体に対し下記のように成分組成、密度、気孔率およびボイド径を規定することで、優れた強度を得られ、靱性を高め、これによって粉砕に当たって摩耗の少ない優れたセラミックピン10、11となる。
【0025】
このような窒化珪素質焼結体はβ−窒化珪素結晶相と、Yおよび/または希土類元素と珪素とアルミニウムと酸素とからなる粒界相とから構成する。そして、窒化珪素(Si3 N4 )を75〜95重量%、好適には80〜90重量%、Yおよび/または希土類元素(RE)を酸化物(Y2 O3 および/またはRE2 O3 )換算量で0.5〜10重量%、好適には3〜8重量%、アルミニウムを酸化物(Al2 O3 )換算量で0.01〜5重量%、好適には1〜3重量%、不純物的酸素を酸化珪素(SiO2 )換算で10重量%以下、好適には8重量%以下の割合で含む。また、密度を3.17g/cm3 以上、好適には3.23g/cm3 以上に、気孔率を3%以下、好適には1.5%以下、平均ボイド径を5μm以下にするとよい。
【0026】
窒化珪素が75重量%未満の場合には、焼結助剤が多くなるために、硬度が低下し、耐磨耗性が劣化し、95重量%を越えると、焼結性が劣り、緻密化しなくなる。
【0027】
Yおよび/または希土類元素が酸化物換算量で0.5重量%未満の場合には、焼結性が劣り、緻密化しなくなり、10重量%を越えると、硬度が低下し、耐磨耗性が劣化する。上記希土類元素としては、Er、Yb、LuおよびSm等がある。
【0028】
アルミニウムが酸化物換算量で0.01重量%未満の場合には、焼結性が劣り、緻密化しなくなり、5重量%を越えると、硬度が低下し、耐磨耗性が劣化する。
【0029】
不純物的酸素が酸化珪素換算で10重量%を越えると、SiO2 量が増して耐磨耗性が劣化する。なお、不純物的酸素とは、焼結体中の全酸素量から焼結体中のYまたは希土類元素(RE)およびAlに対して化学量論組成(RE2 O3 およびAl2 O3 )で結合していると仮定される酸素量を差し引いた残りの酸素量であり、そのほとんどは窒化珪素粉末中の不可避的酸素または意図的に添加されたSiO2 成分より構成される。
【0030】
密度が3.17g/cm3 未満の場合には粉砕時において、セラミックピンの磨耗が大きくなる。
【0031】
気孔率が3%を越えると、大きな脱粒が生じやすくなり、耐磨耗性が劣化する。
【0032】
また、平均ボイド径が5μmを越えると、ボイドが破壊源となり、強度や耐衝撃性が低下し、微小な欠け、脱粒が増し、これによって耐磨耗性が劣化する。好適には5〜30μmのボイド径が30%以下の割合で、30μmを越えるボイド径が5%以下の割合で、残部が5μm未満のボイド径になるようなボイド分布にするとよい。このようなボイド分布にすると、ボイドを均一に点在させることができ、破壊源であるクラックが発生した場合でも、その進展を防止することができ、これにより、高い耐衝撃性が達成できる。
【0033】
このようにボイドを均一に点在させるには、窒化珪素原料を混合粉砕し、造粒なしに、成形、焼成したり、混合粉末を一旦造粒した後、この造粒した粉体を成形時に成形圧力を十分に上げて造粒粉体をつぶすことにより、均一に点在させることができる。なお、ボイド径分布は、原料粉末と成形時の圧力、さらには焼成温度などの焼成条件による緻密化の程度など周知の手法によって制御できる。
【0034】
また、窒化珪素質焼結体をβ−窒化珪素結晶相と上述のような粒界相により構成するには、α−Si3 N4 含有量の大きい成形体を作製し、これを焼成すると針状のβ−窒化珪素結晶相の生成を増加させ、これにより、焼結体の強度および靱性が高くなる。そこで、窒化珪素原料としてα化率が90%以上の窒化珪素粉末を用いると、窒化後の成形体のα−Si3 N4 の含有量を高めることができる点でよい。もしくは窒化珪素原料の80重量%以下の範囲内の相当量を珪素粉末に置き換え、その珪素粉末を低温で窒化しても同様である。
【0035】
かくして得られた窒化珪素質焼結体によれば、ビッカ−ス硬度は14GPa以上、破壊靱性値(K1C) は6.0MPa√m以上、強度は800MPa以上が達成され、被粉砕物との衝撃に対し十分に耐えられるような強度と耐磨耗性が得られた。
【0036】
したがって、図4に示すケージ型粉砕装置1aであれば、セラミックピンの付け根の部分に大きな応力がかかり、そのためにクラックや折れなどの破損が生じやすく、しかも、長期間にわたる使用によりセラミックピンが磨耗して、強度低下を引き起こしやすいのであるが、上記の程度にまで高硬度、高靱性、高強度が達成されたことで、セラミックピンを従来よりもさらに長くすることができた。
【0037】
また、上記窒化珪素質焼結体には、Mg、W、Mo、Mn、CuおよびFeの酸化物、窒化物、酸窒化物もしくは珪化物の群から選ばれる少なくとも1種を8重量%以下の割合で含有させてもよく、これにより、焼結性を高め、緻密化を促進し、その結果、焼結体の強度および靱性を向上させる。
【0038】
さらにまた、上記窒化珪素質焼結体によれば、ラマン分光分析法によって検出される程度に微量のSiを焼結体中に存在させると、強度および靱性を向上させる点でよい。好適にはβ−窒化珪素の206cm-1付近に存在するピークの強度をX1 、Siの521cm-1付近のピークの強度をX2 としたとき、X2 /X1 で表されるピーク比が0.2〜3、最適には1〜2になるように存在させるとよい。
【0039】
次に本発明の窒化珪素質焼結体の製造方法を述べる。
【0040】
窒化珪素粉末としては、平均粒径が0.4〜1.2μm、不純物酸素量が1.5重量%以下、たとえば0.5〜1.5重量%にするよく、結晶相としてはα−Si3 N4 、β−Si3 N4 のいずれでもよい。焼結性を高めるためにはα化率を90%以上にするとよい。
【0041】
また、上記窒化珪素粉末の80重量%以下の相当量に対し珪素粉末に置き換え、珪素粉末を低温で窒化し、成形体中のα−Si3 N4 含有量を高めてもよい。
【0042】
このようにα−Si3 N4 含有量の大きい成形体を焼成すると、前述した柱状のβ−窒化珪素結晶相の生成を増加させることができ、焼結体の強度および靱性を高くできる。
【0043】
このような窒化珪素粉末に対して、希土類元素酸化物粉末、Al2 O3 粉末、必要に応じてSiO2 粉末を混合し、焼成前の成形体組成が、Yまたは希土類元素のうちの少なくとも1種の酸化物換算量が0.5〜10重量%、好適には3〜8重量%、アルミニウムが酸化物換算で0.01〜5重量%、好適には1〜3重量%、さらには成形体中の全酸素量から希土類元素酸化物粉末およびAl2 O3 粉末中の各酸素分を差し引いた残りの酸素量が、SiO2 換算で10重量%以下、好適には8重量%以下となるように添加する。
【0044】
さらに必要に応じ、Mg、W、Mo、Mn、CuおよびFeの酸化物、窒化物、酸窒化物もしくは珪化物のうちの少なくとも1種の粉末を8重量%以下の割合で添加混合する。
【0045】
このような混合粉末をメッシュパス造粒、スプレー造粒、乾式造粒等により30〜300μmの大きさの造粒体を形成し、次いで公知の成形法、たとえばプレス成形、鋳込み成形、押し出し成形、射出成形、冷間静水圧成形などにより所望の形状に成形する。
【0046】
そして、成形体をSiOを含む窒素雰囲気下で1650〜1950℃の温度で常圧焼成する。SiOの雰囲気は、SiO2 +Si、もしくはSiO2 +Si3 N4 の混合粉末を成形体が収納される焼成鉢内に一緒に入れて焼成することで得られる。
【0047】
そして、この焼成によって焼結体密度が3.20g/cm3 以上となる条件で焼成緻密化する。すなわち、焼成温度を、窒化珪素が常圧にてSi3 N4 が珪素と窒素ガスに分解する平衡温度よりも約30℃低い温度範囲でもって焼成し、ごく微量のSi3 N4 を分解させるとよい。この分解によって、生成されたSiが粒界中に粒子として存在することになる。なお、Si量は、上記温度範囲での保持時間などにより任意に制御することが可能である。
【0048】
さらに上記のようにして常圧焼成によってSiが特定範囲にて析出した焼結体を熱間静水圧焼成によって、1600〜1800℃の温度で窒素ガスまたはアルゴンガス中で1000〜2000atmの圧力下で焼成し、いっそう緻密化を図ることもできる。
【0049】
【実施例】
(例1)
窒化珪素(Si3 N4 )粉末、各種のYまたは希土類元素の酸化物(RE2 O3 )、酸化アルミニウム(Al2 O3 )および酸化珪素(SiO2 )の各粉末を用いて、各成分が表1および表2に示す組成になるように調合し、スプレードライによって粒径が40〜200μmの造粒体を作製した。その後、1〜3ton/cm2 の圧力でもってラバープレス(アイソスタテイックプレス)成形をおこなった。なお、SiO2 量はSi3 N4 粉末中の不純物酸素をSiO2 換算したものも含む。
【0050】
各成形体を炭化珪素質の匣鉢に入れ、カーボンヒータを用いて、成形体重量の5%のSiO2 +Si(重量比で1:1)混合粉末を配置し、表1、2の条件で5時間、常圧焼成した。ただし、試料No.26については、SiO2 +Si混合粉末を配置せずに焼成した。
【0051】
成形体中にSi粉末を含まない場合には、窒素圧9気圧の窒素中、表1、2の焼成温度で5時間焼成し、その後に炉冷して焼結体を得た。また、Si粉末を含む場合には、1150℃で5時間加熱して窒化させ、その後に表1、2の焼成温度で5時間焼成し、続けて炉冷して焼結体を得た。なお、ボイドの大きさは成形時の圧力によって制御した。
【0052】
比較例としてアルミナ焼結体やジルコニア焼結体も作製した。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
かくして得られた各焼結体に対して、密度、気孔率、強度、靭性、硬度、ボイド分布状態を以下の方法で測定したところ、表3、4に示すような結果が得られた。
【0056】
密度および気孔率は、JISR1601にて規定された条件の形状にまで加工し、アルキメデス法に基づく比重測定から求めた。
【0057】
強度は、JISR1601に基づき室温の4点曲げ抗折強度試験をおこなって求めた。 靭性は鏡面仕上げをおこなった試料に対して、JIS−R1607に基づく室温での破壊靱性を測定することで求めた。
【0058】
硬度はビッカース硬度(荷重2kg)により測定した。
【0059】
さらにボイドの状態はSEMや実体顕微鏡を用いて平均ボイド径、ボイドの分布状態を調べた。
【0060】
さらに、得られた焼結体に対して、ラマン分光分析法により窒化珪素の206cm-1のピーク強度X1 と、Siの521cm-1のピーク強度X2 とのX2 /X1 比を求めた。
【0061】
摩耗試験として下記のとおり摩耗率を求める試験をおこなった。摩耗率については、60mm×30mm×6mmの試料板を作製し、表面を平滑に仕上げて評価面となし、この面に対してメディアとして水を含んだSiC製GC#240番(80〜130μm)を噴射圧力3.0kg/cm2 で、3分間、試料板に直角(90°)にあてることで、試料板の重量変化を測定し、これを摩耗率とした。なお、上記噴射のノズル径はφ7.6mmとし、衝突距離は10mmとした。
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
これらの表から明らかなとおり、本発明の試料については、強度、靭性、硬度ならびに耐磨耗性のいずれの特性とも優れていることがわかる。
【0065】
(例2)
次にアルミナ(試料No.28)、炭化珪素(SiC約98%、Y2 O3 約0.5%、Al2 O3 約1.5%)、従来の窒化珪素質焼結体(試料No.22)および本発明の窒化珪素質焼結体(試料No.10)について、長さ170mm、内径φ20mm、φ50mm、外径φ80mmのセラミックピンを作製し、図4の粉砕装置1aに装着し、稼働試験をおこなった。すなわち、砂利100kgを投入し、40時間粉砕し、経時的にクラック発生の状況を調べたところ、アルミナでは10時間経過で、炭化珪素では20時間経過で、従来の窒化珪素質焼結体では30時間でクラックが発生したのに対し、本発明の窒化珪素質焼結体では40時間経過してもまったくクラックが発生しなった。
【0066】
(例3)
従来の窒化珪素質焼結体(試料No.22)および本発明の窒化珪素質焼結体(試料No.10)について、内径φ20mm、φ50mm、外径φ80mmのセラミックピンを作製し、さらに長さを変えることで、各種セラミックピンを作製した。そして、図4の粉砕装置1aに装着し、稼働試験をおこなった。砂利100kgを投入し、40時間粉砕し、経時的にクラック発生の状況を調べたところ、表5に示すとおりの結果が得られた。この表においてはクラックが発生した経過時間を表す。
【0067】
【表5】
【0068】
この表から明らかなとおり、いずれもセラミックピンが長くなるとクラックが発生しやすいが、本発明の170mm寸法のセラミックピンでは40時間経過してもまったくクラックが発生しなかった。
【0069】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の粉砕装置によれば、組成を規定した硬度、靱性、強度に優れた窒化珪素質焼結体でもってセラミックピンを構成したことで、磨耗や破損を低減したり、なくすことができ、これによって長手寸法をさらに増し、粉砕の容積を大きくすることができ、その結果、粉砕効率を高めて生産コストが低減できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のケージ型粉砕装置の断面図である。
【図2】セラミックピンの一部拡大断面図である。
【図3】図2における切断面線X−Xによる横断面図である。
【図4】本発明の他のケージ型粉砕装置の断面図である。
【図5】セラミックピンの一部拡大断面図である。
【符号の説明】
A、B ケ−ジ部材
1 ケージ型粉砕装置
2 ケ−シング
4 投入口
5 排出口
6 回転円盤
8、9 バンド
10、11 セラミックピン
12、13 回転軸
Claims (1)
- セラミックピンを配設したケーシング内に被粉砕物を投入して、上記セラミックピンの回動により被粉砕物を粉砕せしめる粉砕装置であって、上記セラミックピンはβ−窒化珪素結晶相と、Yおよび/または希土類元素と珪素とアルミニウムと酸素とからなる粒界相を含む窒化珪素質焼結体からなり、この窒化珪素質焼結体は窒化珪素を75%〜95重量%、Yおよび/または希土類元素を酸化物換算量で0.5〜10重量%、アルミニウムを酸化物換算量で0.01〜5重量%、不純物的酸素を酸化珪素換算で10重量%以下の割合で含み、さらに密度が3.17g/cm3 以上、気孔率が3%以下、平均ボイド径が5μm以下であることを特徴とする粉砕装置。
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