JP3677259B2 - 水中構造物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波力や水流の影響を受けにくく、水中構造物を容易且つ安全に製造することができ、水中構造物の製造に伴う労力や費用を大幅に軽減することのできる水中構造物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
陸上でのコンクリート構造物の施工は、木製あるいは鋼製の型枠を組み立て、そこにコンクリートを流し込んで締め固め、硬化後に型枠を外してそのまま存置しているのが一般的である。
これに対して、多くの海洋構造物は、陸上で製作し水中に据え付けられており、そのため、広い作業用地が必要であり、また、出来上がったものを大型の起重機で運搬車に積み込み、陸上運搬し、取り降ろしてから、更に、運搬船に積み込み海上運搬し、そこから起重機船で吊って海底に据え付けるといった、多くの作業を伴う。特にコンクリート構造物は重量が大きく、作業機械は一般に大型となり、且つ、地方では大型の機械や船舶は入手が困難な場合が多いため、費用も多くかかる。
また、海上作業は、波高が1.0m以上になると危険であるため作業が中止となり、工程の問題や、待機のための機械器具の損料も大きな問題がある。また、据え付け時に、波高が1.0m未満である場合であっても、作業船や構造物は波と共に揺れるため海上作業は常に危険と困難を伴っている。
【0003】
従来、水中で鋼製型枠を組み立て、該型枠に直接コンクリートを打設することも試みられているが、特に波の高い水域では、波力や水流がまともに型枠に働くため、型枠を水中で組み立て固定することは非常に困難である。尚、小規模の水中コンクリートを打設する場合は、苦労をして水中で鋼製型枠を組み立てたり、袋の中にコンクリートを詰めたものを積み重ねて施工している。本発明は、斯かる事情に基づいてなされたものである。
【0004】
従って、本発明の目的は波力や水流の影響を受けにくく、水中構造物を容易且つ安全に製造することができ、水中構造物の製造に伴う労力や費用を大幅に軽減することのできる、水中構造物の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の網状の型枠材を水中に沈め、これらを水中で所定形状の型枠本体に組み立てた後、又は、網状の側面を有する型枠本体を水中に沈め、これを所定箇所に配置した後、前記型枠材の網目又は前記網状の側面から水中コンクリートが漏出するのを帆布からなるシート材で防止した状態において、前記型枠本体内に、水中不分離性混和剤が添加された水中コンクリートを注入し、上方を水中に開放した状態で、該水中コンクリートを硬化させる、水中構造物の製造方法を提供することにより、上記の目的を達成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の水中構造物の製造方法においては、複数の網状の型枠材を水中に沈め、これらを水中で所定形状の型枠本体に組み立てるか、又は、網状の側面を有する型枠本体を水中に沈め、これを所定箇所に配置する。型枠本体は、典型的には網状の型枠材により形成された側面を有するものである。但し、網状の側面を有する型枠本体は、複数の網状の型枠材を用いて製造されるものに限られない。
【0009】
状の型枠材及びそれにより形成される型枠本体、又は網状の側面を有する型枠本体は、水中で打設した後の軟らかいコンクリートを所定の形状に整え、目的とする形状に保持するためのものである。
【0010】
状の型枠材としては、例えば、枠体(例えば鉄枠)に、金網又は鋼棒、或いは溶接金網やメタルラスなどを張り付けたものを用いることができる。
型枠材の形状は、典型的には矩形(正方形、長方形)の平板体であるが、例えば横枠材が円弧状をなす枠体を有し、複数の型枠材を連結すると円形の型枠本体となるような曲面状の型枠材であっても良い。型枠材は、目的とする水中構造物の大きさや形状、型枠材の取り扱い性を考慮して適宜の大きさ及び製法で製作される。
型枠材の網目の大きさ(透水孔の開口面積)は、水の流れを透過し波力を緩和する観点及び網目からのシート材のはらみ出しを問題のない程度に抑制する観点から、1〜900cm2が好ましく、より好ましくは9〜400cm2であり、特に好ましくは100cm2である。型枠材の網目の形状は、水の流れを透過し波力を緩和することができる限り特に制限されず、矩形、菱形、円形、楕円、三角形、五角形等、任意の形状とすることができる。
【0011】
網状の型枠材は、その単数を円筒形等に変形させたり、複数を所定形状に組み立てて型枠本体とされる。
網状の型枠材を用いて型枠本体を形成する作業は、後述するように、水中で行っても良いし、陸上又は水上で行うこともできる。型枠材同士の連結には、ボルト、溶接等の各種公知の手段を用いることができる。
型枠本体の形状は、典型的には平面視して矩形状(正方形、長方形)であるが、平面視形状が、菱形、円形、楕円、三角形、五角形等の任意の形状とすることができる。
型枠本体は、底部が開放されており、該底部において、シート材の一部が型枠設置面に当接されるようになされていることが好ましい。
【0012】
型枠本体は、内部に水中コンクリート漏出防止用のシート材が配されて、水中コンクリート打設用型枠として用いられる
図1に示す水中コンクリート打設用型枠1は、型枠本体2と、該型枠本体2内に配された水中コンクリート漏出防止用のシート材4とからなる。水中コンクリート打設用型枠1は、型枠本体2の4側面が4枚の上述したような型枠材3により形成されている。そのため、型枠本体2は、網状の4側面を有し、上部と底部が開放されている。
【0013】
前記シート材は、型枠本体の網状の側面からの水中コンクリートの漏出を防止するためのものであり、該シート材としては、水中コンクリートの漏出を防止できる合成繊維や天然繊維からなる帆布を用いる。特に綾織フイルターシートで厚さ0.5mm以上のものが好ましい。シート材による水中コンクリートの漏出の防止は、実質的に問題とならないような量及び/又は成分の漏出までを防止するものである必要はない。
【0014】
前記シート材は、型枠材ないし型枠本体の網目を塞ぐことができれば、シート状(平面状)のものでも、型枠本体の内面形状に適合するような所定の立体形状に予め形成されているものであっても良い。
【0015】
図1に示す水中コンクリート打設用型枠1におけるシート材4は、上部が開放された升状の立体形状に形成されており、型枠本体2の側面に沿って配される側面対向部41と、該型枠本体の底部に配される底面部(図示せず)とを有している。また、シート材4に、該シート材4を該型枠本体2に固定可能な固定手段が設けられている。具体的には、型枠本体2の四つの角部に対応する部位に、固定手段としての紐42が設けられている。固定手段としての紐42は、図1に示すように、型枠本体2の深さ方向の複数箇所に設けられ、任意の部位から任意の順に、型枠本体42に縛り付けて固定することができるようになっている。
【0016】
発明において、水中コンクリート打設用型枠は、下記(1)又は(2)の方法で、内部に水中コンクリートが打設されて水中構造物の製造に用いられる。
<方法(1)> 複数の網状の型枠材を水中に沈め、これらを水中で所定形状の型枠に組み立てた後、該型枠本体内に、前記型枠材の網目からの水中コンクリートの漏出をシート材で防止した状態において、水中コンクリートを注入して硬化させる。
<方法(2)> 網状の側面を有する型枠本体を水中に沈め、これを所定箇所に配置した後、該型枠本体内に、前記網状の側面からの水中コンクリートの漏出をシート材で防止した状態において、水中コンクリートを送り込んで硬化させる。
【0017】
前記(1)の方法は、大型の水中構造物の製造に適した方法であり、該方法においては、例えば、各種の鉄網と鉄枠のあるフェンスの様な型枠材を陸上又は水上(好ましくは陸上)で製作し、型枠材を1枚ずつ海底に沈めて、海中で目的の形に組み立る。
前記(2)の方法は、比較的小型の水中構造物の製造に適した方法であり、例えば、該方法においては、各種の鉄網と鉄枠のあるフェンスの様な型枠材を製作し、これを陸上又は水上(好ましくは陸上)で目的の形に組み立てて型枠本体とした後、これを海底に沈めて、海底の所定の箇所に据え付ける。
【0018】
水中にて型枠本体を組み立てた後又は陸上若しくは水上で製造した型枠本体を水中に沈めた後の好ましい作業手順について以下に説明する。
先ず、型枠本体1を型枠設置面(型枠本体を設置する水底等)Gの所定の位置に配置し、図2(a)に示すように、予め袋状に形成したシート材又は平面状ではあるが袋状に変形させたシート材4を、型枠本体2内に入れ、該シート材4内に形成される空間内に水中コンクリート5を注入する〔図2(b)〕。この水中コンクリート5の注入により、該シート材4の波力や流れに対する抵抗性が増大するため、その安定したシート材4を固定手段としての紐42によって型枠本体2に順次固定し、該シート材4を型枠本体2の側面形状に沿った形状に変形させる〔図2(c)〕。
シート材4を、固定手段により型枠本体2に固定する場合には、少なくとも型枠本体2の底部に配される部分にコンクリート5を注入して該シートを安定化させた後に行うことが好ましい。先に固定した場合には、シート材が波に抵抗し型枠の動揺の原因になるためである。
【0019】
水中コンクリートの注入方法(打設方法)は、トレミー管を使用する方法を用いることもできるが、コンクリートポンプ車を使用する方が簡便で確実である。具体的には、先ず図2(a)に示すように、コンクリートポンプ車等のコンクリート圧装置のホースの筒先6に、袋状に形成されたシート材4又は袋状に変形させたシート材4を紐61で縛り付け、潜水士の誘導で海底の型枠本体2の中に筒先6を入れ、波で袋が移動しないように少量のコンクリート5を送り込み、袋状のシート材に重量を持たせて落ち着かせてから、固定用の紐で型枠本体の隅々に固縛する。四隅を固定後、機械的にコンクリートを圧送するだけで、波の上下による水圧が交互に加わるためコンクリートの上面がほぼ平らに仕上がり、均しも、締め固めも不要である。
【0020】
尚、水中コンクリートは、各種公知のものを用いることができるが、コンクリートを直接水中に打設した場合は、海が濁るため、コンクリートに水中不分離性混和剤を添加して濁りを防止する。水中不分離性混和剤としては、各種公知のものを用いることができ、例えば、エルコン(太平洋マテリアル社)、アスカクリーン(信越化学工業社)、アクリス12(ポゾリス物産社)等の市販のものを用いることができる。
【0021】
本発明の水中構造物の製造方法によれば、下記効果1)〜4)が奏される。
【0022】
1)網目を有する型枠材や型枠本体を用いるため、クレーン等で水中に吊り降ろす際、又は、水中で型枠材を型枠本体に組み立る際には、その網目を波力や流れが透過し、型枠材や型枠本体が波力や流れに抵抗しないため、少々の波浪があっても動揺等が少ない。このため、作業を容易且つ安全に行うことができる。これに対して、従来、用いられている鋼製型枠をクレーンで吊り込み水中に降ろした場合には、50cm程度の波でも波浪により翻弄されて動揺が激しく作業は危険であると共に、水中での型枠材の組立が非常に難しくなる。
【0023】
2)網目を有する型枠材及び型枠本体を用いるため、波力や流れの影響を受けにくい上に、比較的軽量である。そのため、水中で組み立てるか又は水中に吊り降ろした型枠本体を、潜水士が海底で据え付けする場所へ持ち運んだり、設置位置を調整することなどが容易である。また、型枠本体の据え付け作業は、小型の作業機械を用いて実施することができ、また、潜水服の中に空気を貯めることにより潜水士の浮力により自らが水中で横持ちすることが可能であり、早く簡単に確実に作業をすることができる。
【0024】
3)水中に直接コンクリートを流し込むだけで構造物を作ることができるため、陸上で製作した後移動させて海底(水底)に据え付ける場合に比べて、作業に必要な用地が不要ないし大幅に減少し、また、大型の作業機械も不要である。
【0025】
4)シート材により形成される空間中に、不分離性特殊水中コンクリートを流し込むだけで締め固めなくても所要の構造物ができる。即ち、コンクリートの上面の均しは、波の上下運動によって交互に水圧が加わるため、均さなくてもほぼ水平になるので打設したままでも水平に仕上がるので便利である。
【0026】
また、本発明の水中構造物の製造方法によれば、下記効果5)〜7)の何れか一以上が奏される。
5)網状の側面を有する型枠本体とシート材を使用してコンクリートを打設することにより大型の構造物でも容易に作ることができる。6)また、型枠材又は型枠本体の大きさや形を変える事によって、色々な形や小型のものでも大型のものでも製作することが出来る。また、型枠材又は型枠本体の組み合わせ枚数を適宜変えることで、平面的には三角にも四角にも五角にも様々な多角形の形にすることができる。7)型枠材又は型枠本体とシート材は埋め殺しとなり全損となり、材料費は従来施工のものより割高となる可能性があるが、一連の作業を総合的に考えると割安となる。
【0027】
更に、底部が開放された型枠本体を用い、該型枠本体の底部において、前記シート材の一部が型枠設置面に当接されるようにすることによって、下記効果8)が奏される。
8)構造物が上に載る水中の基礎石の均し精度は、従来は、±5cmの極めて高い精度で均しているが、型枠本体の底面をシート材のみにして、このシート材にたるみを持たせてコンクリートを打設する事によって、基礎石に凹凸があっても、基礎石の中にシート材とコンクリートが食い込みコンクリートと基礎石が一体となる丈夫な構造物となるため、潜水士による基礎石上面の均し作業を緩和することができる。
【0028】
本発明の製造対象物である水中構造物としては、特に制限されるものではないが、例えば図3に示すような、防波堤のケーソン7の周りの洗掘防止用に据え付けする根固ブロック8が挙げられる。防波堤の本体であるケーソン7は、基礎石という50kg/個程度の石の上に載っている。その周囲の基礎石が波で流失しない様に、四角い大きなコンクリートのブロックでケーソンの周囲を防護している。大きさは様々であるが、大きなものは1個、長さ4m×高さ4m×高さ1.5m程度で重量は約55トンであるが、従来においては、このケーソンの周りに据え付けするために、このような重量物を何処かで作り、それを運んで海底に据え付けなければならない。本発明では、型枠本体をかご状に組み立て海底に据え付けし、この型枠の中の袋にコンクリートを詰めるだけで根固めブロックを作ることが出来る上、任意の大きさのブロックを簡単に安全に作ることができる。
また、図4に示すように、ブロック堤本体7’を、本発明の水中構造物の製造方法で形成することもできる。図4に示す例においては、ブロックの下部構造体71を、第1の水中コンクリート打設用型枠を用いて製造し、次いで、第2の水中コンクリート打設用型枠を用いてブロックの中部構造体72を形成し、更に第3の水中コンクリート打設用型枠を用いてブロックの上部構造体73を形成している。但し、本発明は、上方を水中に開放した状態で水中コンクリートを硬化させ得るところにのみ適用される。型枠同士の接合には、図4中に拡大して示したボルト等の各種の連結手段を用いることができる。図4中の各水中コンクリート打設用型枠は、何れも4側面が網状の型枠材から形成されている。
【0029】
本発明の水中構造物の製造方法は、それぞれ上述した実施形態に制限されず、各発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、図5に示すように、型枠本体2に、網状の型枠材3からなる底部を設け、円筒形等の所定形状に形成した空間形成用型枠9を該型枠本体2内に設けることにより、揚圧力を低減させるための垂直な水抜き孔を設けることも可能である。また、水抜き孔以外の空洞や凹み等を空間形成用型枠の配置により形成することもできる。図5に示す空間形成用型枠9は、複数本の棒状材を接合してなる網状の円筒体であり、該円筒体を袋状のシート材41を被覆して該円筒体内にコンクリートが侵入しないようにして、型枠本体2内に、コンクリートを注入する。図6は、型枠本体内に空間形成用型枠9を設けた水中コンクリート打設用型枠を用いて製造した、上下に貫通する水抜き孔91を有する根固ブロックを6個並べた状態を示す図である。
【0030】
本発明におけるシート材は、多数に分割されていても良く、例えば予め小さな袋にコンクリートを詰めたものを積み上げても、型枠材ないし型枠本体の網目を塞ぐようなものであればシート材である。また、型枠材又は型枠本体の網目は、矩形状の枠体に、多数の棒状材を互いに平行に固定してなるようなものであっても良い。また、シート材を、型枠本体に固定するための固定手段としては、固定用の紐の他、リングとフックの組み合わせ等の係合によるもの等であっても良く、固定手段は、型枠本体側又はシート材側と型枠本体の両者に設けることもできる。また型枠本体は、網状の型枠材からなる3側面を有する平面視コ字状であって、開放された側面部はケーソン等の壁面等によって閉鎖されて用いられるものであっても良い。
【0031】
(試験例)
工事費を節減するため、水中で根固めブロックを製作することを考え、側面と底面に網目5mm程度のメタルラスを使用して、1辺1.5mの立方形のかご状の型枠本体を3個製作し、これを水深約3mの海底に据え付けし、水中不分離性混和剤を添加した水中特殊コンクリートをコンクリートポンプ車で圧送した。結果は、1個当たり約3.4m3で完成するものが、網目からコンクリートが漏出したため、約7m3圧送して1個を作って中止した。作業性は、かごの据付け時の波高が、約0.5m程度であるにも関わらず、クレーン車で海中に吊り降ろすと波により振り子の様に動揺し、これを止めようとした潜水士も一緒に動いて非常に危険な状態になった。
この実験から、小さな波浪でも、網目が小さいと吊り降ろし中は波の横抵抗を受けて翻弄され非常に危険なことや、網目が小さくてはコンクリートの漏出を止めることが出来ない事が判った。
【0032】
次に、図1に示すような、上面と底面は網目の無い1m四方の枠を作り、側面に溶接金網を固定して4側面が網状の型枠本体を形成した。溶接金網は直径6mm、網目寸法は四面を50mm、75mm、100mm、150mmに各々変えて製作し、縦枠、横枠は等辺山型鋼4mm×50mm×50mm、斜材は直径13mmの丸鋼を使用した。シート材としては帆布を用い、その材質は、綾織フイルターシートで厚さ0.5mm、形状は1.1m×1.1m×1.3mと枠より若干大きめにしたものにし、固縛のための紐を枠に取り付けた、広げると上面が無い升状の袋を製作した。
製造した型枠本体をクレーンで吊り、これを海中に吊り降ろし据え付けたが、動揺も少なく垂直に降りていった。次に、コンクリート打設であるが、コンクリートポンプ車のホースの筒先に帆布を別の紐で縛り、潜水士の指示でかごの中に吊り降ろし着底させてから、水中不分離性混和剤入りの特殊水中コンクリートを少し送り込み、袋に重さを付けて帆布を安定させてからホースの先端の袋を外し、紐で型枠本体の隅に固縛した。特殊水中コンクリートの設計強度は160kg/cm2でスランプフローは45cmとし、1m3当たり、水220kg、セメント294kg、細骨材765kg、粗骨材940kg、混和剤、ポゾリスNo70、0.74kg、水中不分離性混和剤の主材、アクリスー12SS、7.0kg、助剤アクリスーSP、1.47kgを使用した。2分後のスランプフロー値は50cm、空気量は3.5%であった。これを、コンクリートポンプ車で上端まで水中特殊コンクリートを送り込み、打設中は海水の濁りも無く問題なく打設が終了した。
【0033】
特殊水中コンクリート打設後、28日目にコンクリート塊を引き上げたが、帆布からコンクリートの漏出もなく、網目型枠の隅々までコンクリートが行き渡っていた。上面は、平坦に仕上がっていたが、底面は、基礎石の凹凸どおりの形をしており、特殊水中コンクリートのセルフレベリング性が実証された。格子状の各網目の面からのコンクリートのはらみ出しは、網目寸法50mm目面では1mmから6mm、平均3mm、75mm目面では3mmから11mm、平均8mm、100mm目面では9mmから22mm、平均13mm、150mm目面では24mmから41mm、平均32mm、ではらみ出しも問題がなかった。なお、コンクリート塊を海底から引き上げる際は、最大吊り荷重25トンのクレーン車を使用したが、海中における重量が約1.5トン程度であるにもかかわらず、基礎石の中のコンクリートと石がかみ合い、接地面から容易に離れず、引き揚げられないのではないかと思うほど抵抗が大きかった。コンクリート塊から、試料を採取し圧縮強度試験を行った結果の平均は、197kg/cm2で設計強度160kg/cm2に対しても問題が無かった。
【0034】
【発明の効果】
発明の水中構造物の製造方法によれば、波力や水流の影響を受けにくく、水中構造物を容易且つ安全に製造することができ、水中構造物の製造に伴う労力や費用を大幅に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の一実施態様において、水中コンクリート打設用型枠に、水中コンクリートを打設した後の状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、型枠本内に水中コンクリートを注入する様子を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明により製造される水中構造物の例としての根固ブロックを示す模式図である。
【図4】図4は、本発明により製造される水中構造物の他の例としてのブロック堤本体の施工を示す模式図である。
【図5】図5は、水抜き孔を設けた根固ブロックを製造するために、型枠本体内に、空間形成用の網状の型枠を設置した状態を示す図で、図5(a)は平面図であり、図5(b)は模式断面図である。
【図6】図6は、図5の型枠を用いて製造した水中構造物を6個並べて示す俯瞰図である。
【符号の説明】
1 水中コンクリート打設用型枠
2 型枠本体
3 網状の型枠材
4 シート材
5 水中コンクリート
7 ケーソン
8 根固めブロック(水中構造物)

Claims (2)

  1. 複数の網状の型枠材を水中に沈め、これらを水中で所定形状の型枠本体に組み立てた後、又は、網状の側面を有する型枠本体を水中に沈め、これを所定箇所に配置した後、
    前記型枠材の網目又は前記網状の側面から、水中コンクリートが漏出するのを帆布からなるシート材で防止した状態において、前記型枠本体内に、水中不分離性混和剤が添加された水中コンクリートを注入し、上方を水中に開放した状態で、該水中コンクリートを硬化させる、水中構造物の製造方法。
  2. 前記型枠本体は、底部が開放されており、該底部において、前記シート材及び前記水中コンクリートを、型枠設置面に存する基礎石の中に食い込ませて、該水中コンクリートを硬化させる請求項記載の水中構造物の製造方法。
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