JP3677098B2 - インクジェット式記録ヘッド - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、インクジェット式記録ヘッド、より詳細には板材に通孔を穿設して各流路を形成した積層型記録ヘッド本体を固定するホルダの取り付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
入力情報に応じて複数のノズルからインク滴を噴射して文字や図形を出力するオンデマンド型インクジェツトヘツドは、ワイヤドット式記録ヘッドに比較して印字品質が高く、かつ騒音が低く、さらにページプリンタに比較してランニングコストが低いため急速に普及している。
【0003】
このインクジェツト式記録ヘツドの中で、基板に複数のノズル開口を穿孔してプレートの面に垂直な方向にインク滴を吐出させる積層型インクジェット式記録ヘッドは、特開昭62-111758号公報等に見られるように、平面上に配列された圧力発生室を区画するスペーサと、これの一方の面を封止するとともに、圧力発生室に対応して配置された圧電振動板を持つ弾性板と、他方の面を封止する蓋板からなるアクチュエータユニット、及びインクタンクに連通する流路と接続するインク供給口形成基板と、圧力発生室にインクを供給するリザーバ室を区画するリザーバ室形成基板と、圧力発生室に連通するノズル開口を備えたノズルプレートとを一体とした流路ユニットから構成されている。
【0004】
このような積層構造を採るインクジェツト式記録ヘツドは、典型的にはその厚みが0.5ミリ程度で、機械的強度が低いため、インクタンク保持体に設けられたヘッドホルダに固定されてキャリッジに搭載される。
【0005】
図10は、このようなインクジェット式記録ヘッドの一例を示すものであって、ヘッドホルダAの開口面に形成された凹部Bに接着剤C、C、Cを塗布し、この凹部Bにヘッド本体Dを挿入、固定して構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このため、ヘッドホルダAのインク供給流路Eの端面Fと、記録ヘッド本体Dのインク供給口Gの端面Hとの間から接着剤Cがインク供給路側に流れ込んで、インクタンクから記録ヘッド本体Dへのインクの供給に障害を生じたり、また精密な接着塗布作業を必要として製造工程が複雑化するという問題がある。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、接着剤の塗布作業を不要として、接着剤の流れ込みによる印刷不良発生の防止と、記録ヘッド本体とヘッドホルダとの固定作業の簡素化を図ることができるインクジェット式記録ヘッドを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解消するために本発明においては、ノズル開口が形成された流路ユニットと、インクを加圧して前記ノズル開口からインク滴を吐出させるアクチュエータユニットとからなる記録ヘッド本体を、載置面に当接させて、インクカートリッジと前記記録ヘッド本体のインク供給口とをインク流路により接続するヘッドホルダとからなるインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記記録ヘッド本体の周辺を取り囲む弾性のリブ部と、前記リブ部に連続し、かつ前記インク供給口の周縁を取り囲む環状の弾性のパッキン部とを備えた結合部材を前記載置面と前記記録ヘッド本体との間に介装して、前記流路ユニットとヘッドホルダとを固定枠により固定し、もって記録ヘッド本体の特定の位置に強い圧力を作用させることなく、前記インク供給口とインク流路とを液密に接合し、もって記録ヘッド本体とヘッドホルダとの固着に接着剤を不要とした。
【0009】
【実施例】
そこで以下に本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。
図1、図2は、それぞれ本発明が適用されたインクジェット式記録ヘッドの一実施例を示す組立斜視図と、断面構造を示す図であって、図中符号1は、ヘッドホルダで、記録ヘッド本体20のアクチュエータユニット24、25(図5)や、フレキシブルケーブル26を収容するために収容室2を備えた筒状体として形成されている。
【0010】
一方の開口面には、記録ヘッドの流路ユニット23を固定するための載置面3が形成され、ここにはインクタンクからの流路1aに連通する接続口4、4が突出形成され、またこれの両側には位置決めピン5、5が立設されている。また載置面3の両側下方には後述する固定枠31を固定するための段部6、6が形成され、固定のためのネジ孔7、7が穿設されている。
【0011】
10は、接合部材で、ヘッドホルダ1の載置面3の外周形状とほぼ同形で、かつヘッドホルダ1の開口とほぼ一致する窓11を有するとともに、前述の接続口4、4が貫通する通孔12、12と、前述の位置決めピン5と係合する位置決め孔13、13を有する基板14に、ヘッドホルダ1の接続口4、4の外周に液密に嵌合するとともに、先端が後述する記録ヘッド本体20のインク供給口27の周囲に弾接するパッキン部15、15と、これらパッキン部15と連続し、窓11を取り囲むように輪状に形成されたリブ部16とからなる弾性部材を固定して構成されている。
【0012】
図3は、パッキン部15の断面構造を示すものであって、流路を接続する開口12にはこれを封止するように、気泡やごみ等を除去できる程度の網目を有するメッシュ材17がサンドイッチ状に液密に接合されて構成されている。
【0013】
また、リブ部16は、その下面に図4(イ)、(ロ)に示したように凸状体16aや溝16bが形成されていて、基板14の上面に形成されている溝14aや凸状体14bに係合させて固定されている。
【0014】
また必要に応じてパッキン部15、及びこれの近傍を除くリブ部16を接着剤により基板14に固定されている。いうまでもなく、パッキン部15の領域以外はインクの供給流路に関係がないから、たとえ塗布した接着剤がはみ出してもインク流路を詰まらせることはない。
【0015】
20は、前述の記録ヘッド本体で、ノズル開口21、22を備えた流路ユニット23と、図5に示したように流路ユニット23の裏面に固定されて駆動信号により圧力発生室を収縮、膨張させるアクチュエータユニット24、25とからなり、駆動回路からの信号を供給するフレキシブルケーブル26が各アクチュエータユニット24、25に接続されている。
【0016】
流路ユニット23の接合部材10との対向面、つまり裏面には、前述の接続口4、4と対向する位置にインク供給口27が、また位置決めピン5、5と対向する位置には位置決め孔28、28が形成されている。
【0017】
このように構成された各部材は、ヘッドホルダ1の載置面3を上方に向けてセットし、この載置面3に接合部材10を、その位置決め孔13、13がヘッドホルダ1の位置決めピン5、5に嵌合するように位置合わせて載置する。これにより接続口4、4の外周にパッキン部15、15が係合する。
【0018】
ついで、ノズル開口21、22を上面にしてフレキシブルケーブル26を収容室2に引き込んで、ヘッド本体20をその位置決め孔28、28が位置決めピン5、5に嵌合するように位置合わせしてセットする。これによりインク供給口27、27が接続口4、4に対向する位置に位置決めされる。
【0019】
最後に、記録ヘッド本体20のノズル開口21、22を露出させる窓30を備えた固定枠31を載置面3に填めて、外周32をネジ34によりヘッドホルダ1の段部6に固定すると、ヘッド本体20は、外周をリブ部16で弾性支持され、またインク供給口27がパッキン部15により接続口4と液密に接続される。
【0020】
この実施例によれば、各部材の接合工程に接着剤の塗布作業を必要としないから、組立作業の簡素化が可能となるばかりでなく、記録ヘッド本体20のインク供給口27への接着剤の流れ込みが皆無となり記録ヘッド本体20にインクを安定して供給することができる。
【0021】
また、記録ヘッド本体20と接合部材10とはヘッドホルダ1の位置決めピン5、5に係合し、かつリブ部16の弾性により弾圧状態で保持されているから、振動等で位置ずれを起こすことはない。
【0022】
なお、上述の実施例においてはネジ34により固定枠31をヘッドホルダ1に固定してるが、熱溶着カシメや超音波カシメ等の他の固着方法を適用して固定することもできる。
【0023】
図6(イ)は、リブ部16の他の実施例を示すもので、一定のピッチで、例えば高さ0.3mm、底面の幅0.3mm程度の微小な突起40、40、40‥‥を形成して構成されている。
【0024】
この実施例によれば、微小な突起40、40、40‥‥がヘッドの流路ユニットの裏面に当接することになり、流路ユニットの若干の平坦度の相違を各突起40、40、40‥‥の変位で吸収して、ヘッド本体20をヘッドホルダ1に安定して固定することができる。
【0025】
図6(ロ)は、リブ部16の他の実施例を示すもので、断面を山型として形成するとともに、開口に対向する斜面41と外側に位置する斜面42の勾配を異ならせて構成されている。
【0026】
この実施例によれば、流路ユニット23の裏面に当接して頂点42が弾圧を受けた時、リブ16がその斜面の傾斜の大きさにより内側、または外側に一方にのみ傾くから、流路ユニット23との当接時にリブ部16のしわや曲がりを防止することができる。
【0027】
また、同様にパッキン部15にも図7に示したように開口側と外側とで傾斜が異なる斜面15a、15bを形成することで、その斜面の傾斜の大きさにより内側、または外側に一方にのみ傾くからしわや曲がりを生じることなくパッキン部15を記録ヘッド本体20のインク供給口27に当接させることができる。
【0028】
なお、上述の実施例においては、接合部材を基板14とパッキン部15及びリブ部16とに分離して構成しているが、図8に示したようにメッシュ材45を中心にしてその上面、及び下面にパッキン部15及びリブ部16をサンドイッチ状に形成することで、パッキン部15の開口12に位置するメッシュ材45aをフィルター材として、またリブ部16に位置するメッシュ材を補強材として機能させることができ、基板14が不要となる。
【0029】
メッシュ材45として布を用いた場合にはコストの引き下げを、また金属網体を用いた場合には高い強度を得ることができてヘッドホルダ1への自動組込みが可能となる。
【0030】
このように構成された接合部材は、これの固定面3との対向面に図9(イ)、(ロ)に示したように凸状体16a、または溝16bを形成し、またヘッドホルダ1の固定面3に前記凸状体16a、溝16bに対応する溝1a、凸状体1bを形成しておくことにより結合部材を固定面3に正確に位置決め固定することができる。
【0031】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、接合部材が、記録ヘッド本体の周辺を取り囲むリブ部と環状のパッキン部とを連続するように構成されているので、記録ヘッド本体の特定の位置に強い圧力が作用させることなく、均等な圧力で記録ヘッド本体をヘッドホルダに固定でき、記録ヘッド本体とヘッドホルダとの固着に接着剤が不要となり、インク流路への接着剤の浸入に起因するインク供給不良を確実に防止することができるばかりでなく、接着剤の塗布作業が不要となって製造工程の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す組立斜視図である。
【図2】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図3】パッキン部の断面構造を示す図である。
【図4】図(イ)、(ロ)は、それぞれリブ部と基板との固定構造を示す断面図である。
【図5】記録ヘッド本体の裏面側の構造を示す斜視図である。
【図6】図(イ)、(ロ)は、それぞれリブ部の他の実施例を示す図である。
【図7】パッキン部の他の実施例を示す断面図である。
【図8】結合部材の他の実施例を示す断面図である。
【図9】図(イ)、(ロ)は、それぞれ同上結合部材とヘッドホルダとの接合構造を示す断面図である。
【図10】インクジェット式記録ヘッド本体とヘッドホルダとの従来の固定方法を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ヘッドホルダ
3 載置面
4 接続口
5 位置決めピン
10 接合部材
13 位置決め孔
14 基板
15 パッキン部
16 リブ部
17 メッシュ材
20 記録ヘッド本体
21、22 ノズル開口
23 流路ユニット
24、25 アクチュエータユニット
26 フレキシブルケーブル
28 位置決め孔
30 窓
31 固定枠
Claims (6)
- ノズル開口が形成された流路ユニットと、インクを加圧して前記ノズル開口からインク滴を吐出させるアクチュエータユニットとからなる記録ヘッド本体を、載置面に当接させて、インクカートリッジと前記記録ヘッド本体のインク供給口とをインク流路により接続するヘッドホルダとからなるインクジェット式記録ヘッドにおいて、
前記記録ヘッド本体の周辺を取り囲む弾性のリブ部と、前記リブ部に連続し、かつ前記インク供給口の周縁を取り囲む環状の弾性のパッキン部とを備えた結合部材を前記載置面と前記記録ヘッド本体との間に介装して、前記流路ユニットとヘッドホルダとを固定枠により固定して前記インク供給口とインク流路とを液密に接合してなるインクジェット式記録ヘッド。 - 前記パッキン部にはその開口を封止するようにメッシュ部材がサンドイッチ状に設けられている請求項1のインクジェット式記録ヘッド。
- 前記パッキン部にはその開口を封止するように、また前記リブ部には補強材としてメッシュ部材がサンドイッチ状に設けられている請求項1のインクジェット式記録ヘッド。
- 前記リブ部の前記流路ユニットに当接する面に微小な突起が形成されている請求項1のインクジェット式記録ヘッド。
- 前記リブ部の前記流路ユニットに当接する面が断面山型に形成されていて、各斜面の勾配が異なっている請求項1のインクジェット式記録ヘッド。
- 前記ヘッドホルダに前記記録ヘッド本体に到達する複数の位置決めピンが設けられ、また前記結合部材、及び流路ユニットに前記位置決めピンに係合する位置決め孔が穿設されている請求項1のインクジェット式記録ヘッド。
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