JP3676868B2 - 安全性電子式遅延電気雷管 - Google Patents

安全性電子式遅延電気雷管 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、破壊対象(例えば岩盤や建造物)に複数の爆薬体を装薬し、これらを順次起爆する発破作業において、起爆遅延時間を高精度に制御する電子式遅延電気雷管に関し、特に不発領域をなくした極めて安全性の高い安全性電子式遅延電気雷管に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、発破器から供給された電気エネルギーをエネルギー蓄積回路に蓄積し、その蓄積エネルギーにより動作し、所望の遅延時間後にスイッチングを行う電子式遅延電気雷管が知られている。
【0003】
この電子式遅延電気雷管に関する従来技術として、例えば、RC回路における充電時定数を基準に起爆時間を制御する技術として、特開昭58−83200号公報、特開昭62−91799号等が知られている。また、水晶振動子等の固定振動子の固有周波数を基準に、極めて高い時間精度で起爆時間を制御する技術として、USP4445435、DE3942842、特開平5−79797号公報、WO95/04253等が提案されている。
【0004】
これらの電子式遅延電気雷管は、一般に図1に示す通り、発破器1と電子タイマー部10と電気雷管部60とから成り、電子タイマー部10はエネルギー蓄積回路2、電子式遅延回路3および電子スイッチ4を有する。そして発破の際には、発破器1から電気エネルギーの供給を受け、その電気エネルギーをエネルギー蓄積回路2で蓄積し、発破器1からの電気エネルギーの供給終了後は、エネルギー蓄積回路2に蓄積された電気エネルギーにより電子式遅延回路3を駆動させ、所定の遅延時間経過後、電子式遅延回路3により電子スイッチ4を閉じ、上記エネルギー蓄積回路2に蓄積されている電気エネルギーを電気雷管部60に通電して点火するように構成されている。従って、電子式遅延回路3を含む電子タイマー部10が何等かの原因により動作しない場合には、電気雷管部60は起爆されない。
【0005】
また、上記のような電子式遅延電気雷管の主な用途としては、発破による地盤振動あるいは騒音の軽減等が挙げられるが、特開平1−285800号公報に示されているように、これらの目的を達成するためには、起爆時間精度として、
【0006】
【数1】
Figure 0003676868
の条件を満足する必要がある。起爆時間間隔tが10ms以内に設定されることもあるため、起爆時間間隔精度σは少なくとも±1ms以内に押さえることが望ましい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
実際の発破作業においては、電子式遅延電気雷管を装填した複数の爆薬体を用い、それらの爆薬体を所定の発破パターンに基づいて穿孔された爆薬孔に装填し、起爆・破砕するので、その発破パターンによっては上記爆薬孔が極めて短い距離で隣接することが予想され、爆薬体が隣接孔の激烈な爆破衝撃を受けることが懸念される。特に、トンネル掘削のための発破作業を行う場合において、心抜き部分のVカットと呼ばれる破砕工法においては、その破砕効果を上げるために隣接孔の孔底は近接するように穿孔され、孔底が20cm以下になることも少なくない。このような場合等において、電子式遅延電気雷管は極めて大きな爆発衝撃を受けることになる。
【0008】
また、電子式遅延電気雷管が受ける爆発衝撃の形態としては、(1)発破現場で発生が想定される湧水を介して全方向からの圧縮を生じる場合、(2)岩盤の弾性範囲内の振動によってはじかれて変位加速度を生じる場合、(3)岩盤の亀裂を介して爆発ガスが侵入し、一方向からの圧縮あるいは変位加速度を生じる場合、(4)破壊により岩磐が移動してこの岩磐により圧縮を受けるば場合、等の様々な衝撃形態が想定される。
【0009】
ところで電子タイマーではなく延時薬を使う在来の電気雷管においては、上記のような衝撃を受けた場合でも、個々の電気雷管の点火薬に全部同時に点火されるため、雷管としての起爆力が低下(半爆)することがあっても、雷管として不発に至ることはほとんど無い。また、この様な電気雷管では、受ける衝撃が極めて激烈な場合には、起爆薬もしくは添装薬が圧縮あるいは打撃を受け、延時薬による起爆に先立って殉爆する場合もある。
【0010】
しかしながら、電子タイマーを用いる従来の電子式遅延電気雷管(電子雷管とも称されている)においては、激烈な爆発衝撃すなわち圧縮や変位加速度を受ける場合、雷管部が殉爆に至る衝撃レベルよりも低いレベルの衝撃力において電子タイマー部が破損する領域があり、その殉爆に至る領域と電子タイマー部が動作し得る領域との間に雷管部が爆発しない不発領域が存在していた。
【0011】
特に、電子タイマー部を構成する電子式遅延回路の振動素子として水晶振動子を利用する高精度の電子式遅延電気雷管にあっては、変位加速度のために水晶片がたわみ、そのたわみが著しいと水晶片がケースシリンダに衝突して破損することがある。このように、水晶振動子は他の部品よりも破損に至る対衝撃レベルが低く、電子タイマー部の作動領域を低下させて不発を発生させる大きな要因となっていた(図6参照)。
【0012】
既述の文献WO95/04253によれば、水晶発振回路とRC発振回路が連動しており、水晶振動子が破損した場合、RC発振回路に動作が切り替わる技術が提案されているが、RC発振回路を含むHIC(ハイブリット回路)自体が破損するような衝撃を受ける場合においては不発領域の発生は避けられないこと、また、RC発振回路に切り替わった後の精度が低下するなどの問題を有していた。
【0013】
本発明は、上記のような課題を解決するため、電子タイマー部と雷管部を結合してなる電子式遅延電気雷管において、外部からの衝撃に対して、雷管部の誘爆領域の衝撃値の下限と電子タイマー部の作動する領域の衝撃値の上限が実質的に重なり、前述のような不発領域を解消した安全性電子式遅延電気雷管を提供することを目的とする。
【0014】
ここにいう誘爆領域とは、従来の殉爆と後述する自爆の少なくとも一つを含む領域である。即ち、外部からの衝撃によって雷管が起爆するいわゆる殉爆と、電子タイマーの不作動を内部的に検知して雷管を起爆させる自爆のいずれかを含む領域である。いずれの原因による起爆も電子タイマーの計時とは無関係に起爆される。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の安全性電子式遅延電気雷管は、発破器により供給された電気エネルギーを蓄積するためのエネルギー蓄積回路と、該エネルギー蓄積回路に蓄積された電気エネルギーを雷管部の点火用抵抗に通電させるスイッチング回路と、該スイッチング回路による通電を時間遅延させる電子式遅延回路とを有する電子タイマー部を備え、該電子タイマー部と前記雷管部を結合してなる電子式遅延電気雷管において、外部からの衝撃に対して、前記雷管部の誘爆領域の衝撃値の下限と、前記電子タイマー部の作動する領域の衝撃値の上限とが実質的に重なっていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明はその一実施態様として、前記電子式遅延回路が水晶振動子の固有周波数を基準として計時動作をすることを特徴とすることができる。
【0017】
また、本発明は他の実施態様として、前記水晶振動子の水晶片の長さTが、2.0mm〜3.5mmであって、且つ該水晶片の長さTと幅Aの比T/A=2.0〜3.5であることを特徴とすることができる。
【0018】
また、本発明は他の実施態様として、前記電子式遅延回路が、前記水晶振動子の固有周波数を基準とする水晶発振回路と、該水晶発振回路からのパルスを基準として最小時間間隔が最小起爆時間間隔に等しく互いに異なる予め定めた第1ないし第n(≧2)固定時間間隔を作成する第1ないし第n固定時間間隔作成手段と、前記水晶発振回路とは別の発振回路と、該別の発振回路からのパルス列を基準として、予め定めた遅延時間を、前記第1ないし第n固定時間間隔により逆順でそれぞれ予め定めた回数だけ区切る第1ないし第n区切り手段と、該第1区切り手段により前記第1固定時間間隔で予め定めた回数だけ区切り終わった時点で、前記スイッチング回路を閉じる制御手段とを備えたことを特徴とすることができる。
【0019】
また、本発明は他の実施態様として、前記第1ないし第n固定時間間隔作成手段は、前記水晶発振回路からのパルス列を第1固定時間間隔の間カウントする第1固定時間間隔作成カウンタと、前記水晶発振回路からのパルス列を前記第2ないし第n固定時間間隔の間カウントする第2ないし第n固定時間間隔作成カウンタとを備えたことを特徴とすることができる。
【0020】
また、本発明は他の実施態様として、前記第1ないし第n区切り手段は、前記第1ないし第n固定時間間隔をラッチするラッチ回路と、該ラッチ回路によりラッチされた第1ないし第n固定時間間隔がそれぞれ設定されるカウンタであり、前記別の発振回路からのパルス列をカウントしカウントアップするごとにパルス信号を出力する第1ないし第n区切りカウンタと、該第1ないし第n区切りカウンタがカウントアップするごとにそれぞれ出力されるパルスをカウントする第1ないし第nカウンタであって、第m(≦n)カウンタのカウントアップにより第(m−1)カウンタのリセットを解除するように、直列に作動する第1ないし第nカウンタとを備えたことを特徴とすることができる。
【0021】
また、本発明は他の実施態様として、前記雷管部の点火薬層と起爆薬層との間に空間を設け、該空間長が、4mm〜14mmであることを特徴とすることができる。
【0022】
また、本発明は他の実施態様として、前記電子タイマー部に、さらに、前記水晶振動子が破損したことを検知して破損検知信号を出力する振動子破損検知手段と、該破損検知信号に応じて前記スイッチング回路を強制的に閉じて通電させる手段とを備えたことを特徴とすることができる。
【0023】
また、本発明は他の実施態様として、前記タイマー部にさらに、前記エネルギー蓄積回路の充電が終了した後、該エネルギー蓄積回路の電圧値を検出し、該電圧値が、雷管部点火のための最小発火電圧値に達したことを判定し、前記スイッチング回路を強制的に閉じて通電させる手段と、を備えたことを特徴とすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態では、電子式遅延電気雷管の電子タイマー部の動作領域の衝撃値を殉爆領域の衝撃値の下限に至るまで拡大して電気雷管部を起爆できるように構成する(図6のC−(1)参照)。水晶振動子の固有周波数を基準として計時動作する電子式遅延電気雷管の電子タイマー部の動作領域の衝撃値を殉爆領域の衝撃値の下限に至まで拡大して、電気雷管部を起爆できるように構成した場合には、計時精度を損なうことなく不発領域を解消することができる。
【0025】
電子タイマー部の動作領域を拡大する具体的手段としては次のものが挙げられる。
【0026】
(1)まず、衝撃圧による圧縮に対する耐性を向上させるために、電子タイマー部を変形しない、あるいは変形の少ない剛体のケース内に装入して構成する。このようなケースの材質はステンレス鋼、鉄、しんちゅう、アルミ、銅等の金属製、あるいは合金製が好ましい。
【0027】
(2)上記ケース内での電子タイマー部の移動・衝突を避けるために、電子タイマー部をこのケース内に固定する。この固定の方法としては、接着剤等で基板を直接ケースの固定するか、スペーサを介して基板をケースに固定するか、あるいは基板をケースに装入した上で樹脂等により封入する方法がある。このケース内封入樹脂の材質は熱硬化性樹脂が好ましく、中でもエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、発泡ウレタン樹脂の歪みを伝播しにくい樹脂が好ましい。また、変位加速度を低減するために、例えばシリコンオイル等の粘性のある液体、シリコンゴム、シリコンシール等の弾性体、ワセリン、グリース等のゲル状物質、ゲル状シリコン、ゲル状ウレタン樹脂等で電子タイマー部を封入しても構わない。或いは、電子タイマー部を樹脂で成型・封入(モールド)した上でケースに装入・固定しても良い。この成型・封入材質は上記のエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂等の歪みを伝播しにくい樹脂でもよいし、シリコン樹脂、弾性ゴム材であってもよい。
【0028】
(3)水晶振動子の固有周波数を基準に計時を行えば、電子式遅延電気雷管として高精度の起爆遅延時間を達成できる。この水晶振動子は水晶片の形状で大別すると、図5に示すように、厚さのほぼ等しい平板状あるいは中心付近が厚く、端に近付くにつれて薄くなる凸レンズ状の形状を持つAT型(a)と、厚さが等しいE形の板状の形状を持つE型(b)と、厚さが等しく音叉形の板状の形状を持つ音叉型(c)の3つの型式に分類される。
【0029】
上記水晶片の3つの型式に関わらず、水晶振動子の水晶片の長さTが2.0mm〜3.5mmであって、かつ水晶片の長さTと幅Aの比T/Aが2.0〜3.5、さらに好ましくは、水晶振動子の水晶片の長さTが2.0mm〜3.0mmであって、かつ水晶片の長さTと幅Aの比T/Aが2.0〜3.0である水晶振動子を用いると、対加速性能が向上し、電子タイマー部の動作領域を拡大することができる。この場合、水晶片の厚みは100μmないし200μmが適当である。尚、水晶片の長さが2mm以下になると回路的にインピーダンスが高くなり、また製造も困難でコストも高くなり、好ましくない。
【0030】
(4)電子タイマー部を、水晶発振回路と、この水晶発振回路からのパルスを基準として最小時間間隔が最小起爆時間間隔に等しく互いに異なる予め定めた第1ないし第n(≧2)固定時間間隔を作成する第1ないし第n固定時間間隔作成手段と、上記水晶発振回路とは別の発振回路と、この別の発振回路からのパルス列を基準として予め定めた遅延時間を上記第1ないし第n固定時間間隔により逆順でそれぞれ予め定めた回数だけ区切る第1ないし第n区切り手段と、この第1区切り手段により上記第1固定時間間隔で予め定めた回数だけ区切り終わった時点で、スイッチング回路を閉じる制御手段とで構成することにより、水晶振動子の低耐衝撃性の問題を完全に解消し、かつ高精度に計時できる。
【0031】
上記(1)ないし(4)項の手法は、目的と用途によって、単一あるいは複合して用いることができる。
【0032】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態では、雷管部の殉爆領域の衝撃値の下限を電子タイマー部の動作領域の上限に至まで拡大して不発領域を解消するように構成する(図6のC−(2)参照)。雷管の誘爆感度は点火薬層と起爆薬層との間の空間長(図4のL)によって変わる。特に、この空間長を4mm〜14mmとすることによって殉爆領域を顕著に拡大することができる。
【0033】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態では、電子タイマー部が、衝撃を主とする不慮の理由により、不作動となるか、若しくは不作動となる兆候をとらえて、強制的に雷管部を起爆する手段を備える。
【0034】
上記の電子タイマー部が不作動となるか、若しくはその兆候が現れる直接原因としては、
・水晶振動子が破損して、発信動作すなわち計時動作をしなくなる場合、
・エネルギーコンデンサの充電エネルギーが、異常放電あるいは充電不十分で起爆できなくなる場合が挙げられる。
【0035】
すなわち、この種の電子式遅延電気雷管は、上記エネルギーコンデンサに充電された電気エネルギーを用いて計時動作あるいは電気雷管部の起爆動作を行うが、特に、爆発衝撃などが加えられると、上記エネルギーコンデンサに異常な放電現象が発生し、計時中に上記電気雷管部を発火するに足りる電気エネルギーを下回り、例えば計時動作が正常になされても起爆ができない場合、等が懸念される。
【0036】
そこで、上記電子タイマー部の不作動の原因となる水晶振動子の破損を検知して破損検知信号を出力する振動子破損検知手段を備え、この破損検知信号によって雷管部を強制的に起爆するように構成する。
【0037】
または、エネルギーコンデンサの充電エネルギーレベルを電圧として常時検出し、不慮の事由で、上記充電エネルギーレベルが点火可能エネルギー最小レベル、すなわち点火可能電圧最小レベルに達すると、起爆指令信号を出力する電圧判定起爆手段を備え、この起爆指令信号によって雷管部を強制的に起爆するように構成する(図6のC−(3)参照)。
【0038】
これらの構成により、例えば不発領域に相当する衝撃値を受けると、強制起爆により自爆するので、誘爆領域が電子タイマー部の動作領域に連続することになる。これは、等価的には、殉爆領域が電子タイマー部の動作領域にまで拡大したことになる。
【0039】
なお、上記2つの手段は、単一あるいは複合して用いることができる。
【0040】
以上、3つの実施形態は、目的と用途によって、単一あるいは複合して用いるべきである。これらの実施形態の概念を図6に示す。
【0041】
【実施例】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。
【0042】
(第1の実施例)
図2は本発明の第1の実施例の本電子式遅延電気雷管のハイブリット回路(HIC)の構成を示す。図3は図2のハイブリット回路を実際に基板上に搭載したHICモジュールを示す。尚、本例は、前述の本発明の第1の実施形態の(1)ないし(3)項と第2の実施形態に対応する一実施例である。
【0043】
図2に示すように、発破の際には、発破器(図示せず)から発破母線および補助母線(図示せず)を介して脚線24′(図3)を通り、電気エネルギーが供給されるようにこのHICは構成される。その脚線24は図2のHICの入力端子11−A,11−Bにはんだ付けして接続される。発破器から供給された電気エネルギーを受ける入力端子11−A,11−Bに対し、入力の極性を内部回路と整合させるように整流回路14が接続される。
【0044】
この整流回路14によって双方向からの入力を充電できるようにエネルギーコンデンサ2が接続され、このコンデンサ2と並列にかつ整流回路14の入力側にバイパス用抵抗器13が接続される。さらに、コンデンサ2と並列に定電圧回路15の入力端子が接続され、このコンデンサ2と並列に、かつ定電圧回路15の入力側に放電促進用抵抗器23が接続される。バイパス用抵抗器13は発破現場で発生が懸念される迷走電流によってコンデンサ2が充電されないようにするためのものであり、放電促進用抵抗器23は発破器から電気エネルギーが供給された後、何らかの原因によって不発残留した場合において、充電された電気エネルギーを速やかに放電させるためのものである。
【0045】
定電圧回路15の出力を安定させるためのフィルターコンデンサ16と、抵抗器17およびコンデンサ18とで構成されたタイマーIC30の内部機能のリセット保持時間作成用時定数回路と、タイマーIC30の電源端子とが、定電圧回路15の出力端子に接続される。上記リセット保持時間作成用時定数回路の出力電圧はタイマーIC30に入力されて、タイマーIC30内部のコンパレータ(図示せず)により、同じくタイマーIC30内に構成される基準電圧発生回路(図示せず)の出力電圧と比較され、これら2つの電圧レベルが一致したところでリセット解除信号を出力するように、タイマーIC30が構成される。また、タイマーIC30は水晶振動子21の固有周波数を基準とする発振回路(図示せず)、上記リセット解除信号を受けてその発振回路の出力パルスを1ms周波数の基準パルスに分周する分周回路(図示せず)、およびこの分周回路の出力パルスをスイッチ回路22によって決定される個数だけ計数し、計数終了後にトリガ信号TSを出力する計数回路(図示せず)から構成される。水晶振動子21には発振用インバータ(図示せず)のゲート容量20とドレイン容量19とが図2に示す通りに接続される。
【0046】
電子スイッチ4は上記トリガ信号TSを受けると閉じ、出力端子12−A,12−Bにはんだ付けされた電気雷管用リード線25を介して、コンデンサ2に充電された電気エネルギーを電気雷管点火用抵抗(図示せず)に放電するよう接続される。
【0047】
以上述べた全チップ形状部品あるいはパケッジ形状部品はプリンと基板26上に搭載され、脚線24′,25および電解コンデンサ2、水晶振動子21は基板26に形成されるスルーホールに通した上ではんだ付けされる。
【0048】
さらに本例では、好適な具体例として次のように構成した。すなわち、上記のコンデンサ2を電解コンデンサ(1,000μF)、抵抗器13,23を各々15オーム,200kΩのチップ型抵抗器で構成した。整流回路14,定電圧回路15はパッケージ化されたチップ状の部品で各々構成した。上記抵抗器17はチップ型抵抗器で構成し、コンデンサ16、18は積層セラミックコンデンサで構成した。タイマーIC30は1チップCMOS・ICで製作し、パッケージ化して構成した。上記ドレイン容量19とゲート容量20は積層セラミックコンデンサで構成した。また、電子スイッチ4はパッケージ化されたチップ形状のSCR(シリコン制御整流器)で各々構成した。
【0049】
図4は本発明の第1の実施例の電子式遅延電気雷管の構造を示す。本例においては図2、図3を用いて説明した通り構成したHICモジュールを、ステンレス製の金属管73(外径15mmφ/肉厚1.5mm)内に装入した上で樹脂層72が形成されるように、樹脂封入した。この樹脂封入には、遅硬性で可撓性のある2液性エポシキ配合樹脂(製品名:TB2023(主剤)/TB2105F(硬化剤);Three Bond社製)を用いた。
【0050】
また、電気雷管部60は、起爆薬83、添装薬84を装填した管体86と、点火用抵抗線81と点火薬82を備える塞栓部87とが結合した構造で成り、リード線88で、上記HICモジュールと結合される。
【0051】
電気雷管部60の各部材の配置・構成は、点火用抵抗線81の周囲に点火薬82を配置し、点火薬層82から空間部87′を経て内管85,86間に起爆薬83を配置し、その起爆薬83の底部に添装薬84を配置して成る。
【0052】
以上のように構成した電子式遅延電気雷管を種々構造および衝撃印加条件を変えて、水中において爆発衝撃印加試験を行った。水中において受ける爆発衝撃は、発破現場で発生が想定される湧水を介して全方向からの圧縮を生じる場合に相当するものと想定される。爆発衝撃の発生源として、含水爆薬(製品名:サンベックスえのき:薬径1インチ−100g)を用い、水深2mの位置において、その爆薬から所定の距離Lに試料を配置し、距離Lを種々変更し、試料の種類を変更して行った。
【0053】
点火薬層82から起爆薬層83までの空間長(図4のL)を変更して実施した結果を表1に示す。
【0054】
表1の結果によれば、電気雷管部60の形状すなわち点火薬層82から起爆薬層83までの空間距離を4m〜14mにすれば、殉爆領域が拡大することが分かる。また、最も好ましい条件として、上記空間距離Lを8m〜14mにすれば、本実施例で使用した水晶振動子を用いても、衝撃によって水晶振動子が破損した場合でも電気雷管部60が殉爆し、不発を回避できることが分かる。
【0055】
更に、上記条件と同一衝撃条件下で、上記空間長を0mmに固定し、殉爆されにくい条件において、水晶片サイズを変更して実施した結果を表2に示す。
【0056】
表2の結果によれば、水晶振動子の水晶片の長さTが3.5mm以下であって、水晶片の長さTと幅Aの比T/Aが3.5以下である水晶振動子を用いた場合においては、他のものと比較して電子タイマー部10の作動領域が著しく拡大されていることが分かる。特に、水晶片の長さTが2.48mmであって、かつ、水晶片の長さTと幅Aの比T/Aが2.48である水晶振動子を用いた場合に最も良好な結果を得ている。
【0057】
また、同じく上記同一衝撃条件下において上記空間長と水晶片サイズを様々に組み合わせて実施した結果を表3に示す。
【0058】
表3の結果によれば、水晶片の形状を選択することにより電子タイマー部10の作動限界を拡大し、空間距離を変更することによって、不発が発生しないように種々耐衝撃レベルを設定できることが分かる。
【0059】
さらに、上記と同一衝撃条件下において、ステンレス製金属管73(外径15mmφ/肉厚1.5mm)内に、上記HICモジュールを封入する際の封入材の材質を種々変更して比較した結果を表4に示す。
【0060】
表4の結果によれば、ゲル状シリコン樹脂を封入材として用いることにより、水晶振動子の耐衝撃性が向上することがわかる。
【0061】
【表1】
Figure 0003676868
【0062】
【表2】
Figure 0003676868
【0063】
【表3】
Figure 0003676868
【0064】
【表4】
Figure 0003676868
【0065】
(第2の実施例)
次に、図7ないし図10を参照して、本発明の第2の実施例について説明する。尚、本例は前述の本発明の第1の実施形態の(4)に対応する実施例である。
【0066】
本例の理解を容易にするため、まず最初に本例の原理を説明する。
【0067】
(1) 本例では、時間間隔Tk1をM回発生させるとともに、時間間隔Tk1より長い所定の時間間隔Tk2をN回発生させて作成した所望の遅延時間T、すなわち、
【0068】
【数2】
T=(Tk2×N)+(Tk1×M)
の誤差の方が最小起爆時間間隔に等しい時間間隔Tk1のみをJ回発生させて作成した所望の遅延時間Tの誤差より小さいことを利用している。すなわち、M+N<Jという関係が成り立つので、計数誤差をΔtとすると、遅延時間Tの誤差、すなわち、積算計数誤差は、Δt・(M+N)<Δt・Jという関係が成り立つことを利用している。実際には、遅延時間Tは、タイマ時間が時間Tk2のタイマで連続してN回計時し、N回目の計時の直後に、タイマ時間が時間Tk1のタイマで連続してM回計時することにより実現することができる。そして、タイマ時間が時間Tk2のタイマと、タイマ時間が時間Tk1のタイマを、耐衝撃性が大きい、例えば、1つのCR発振回路と、ラッチ回路と、カウンタにより構成する。
【0069】
(2) このように構成したタイマのCR発振回路を、予め、このCR発振回路より精度の高い1つの水晶発振回路とカウンタにより構成したタイマにより校正しておき、このタイマは、一旦、CR発振回路の校正に用いられた後は用いないようにする。よって、校正後に、隣接する爆薬の爆発衝撃のような衝撃により、水晶発振回路が壊れても、CR発振回路等は壊れずに動作を続行し、遅延時間経過後に、雷管が作動することになる。
【0070】
(3) 時間間隔Tk2は、時間間隔Tk2の発生回数Nと、所望の最大遅延時間Tmax と、Nから求められる時間間隔Tk1の発生回数M、すなわち、
【0071】
【数3】
M={Tmax−(Tk2×N)}/Tk1
から求めた積算計数誤差が最小になる2のべき数が選定される。例えば、Tmaxを8192msとし、時間間隔Tk1を1msとした場合、時間間隔Tk2を64msにすると、積算計数誤差が最小になる。
【0072】
以下、本実施例を図面を参照して説明する。
【0073】
図7は本実施例におけるのタイマーIC30の内部構成の一例を示す。このタイマーIC30は図2の同様の配置において接続され、定電圧回路15の電圧で駆動される。図8は図7のタイマーIC30の動作タイミングを示す。
【0074】
図7において、101-A ,101-B は入力端子であり、図示しない発破器からの電気エネルギーを受けるためのものである。103はバイパス用抵抗器であり、入力端子101-A ,101-B 間に接続してあり、迷走電流をバイパスするためのものである。104はダイオードブリッジであり、入力端子101-A ,101-B に印加されるDC電圧の極性に関わらずエネルギーコンデンサ105に一定の極性の電圧がかかるようにするとともに、エネルギーコンデンサ105から入力端子101-A ,101-B に向けて電流が流れないようにするためのものである。106は定電圧回路であり、エネルギーコンデンサ105を電源としており、一定の電圧を出力するものである。
【0075】
111は水晶発振回路であり、その発振周波数は例えば3MHzである。112は1msカウンタであり、水晶発振回路111からのパルスP1を、リセット回路107によりリセット解除されてから1ms(最小起爆時間間隔)分に相当する個数だけカウントし、カウントアップした時点でパルス信号CLK1を出力するものである。113は64msカウンタであり、水晶発振回路111からのパルスP1を、リセット回路107によりリセット解除されてから64ms分に相当する個数だけカウントし、カウントアップした時点でパルス信号CLK2を出力するものである。
【0076】
121は発振回路であり、その発振周波数は水晶発振回路111とほぼ同一である。発振回路121は、機械的強度が強く、隣接する爆薬の爆発衝撃に耐えることができる発振回路であればよく、このような発振回路としては、CR発振回路、リングオシレータ、LC発振回路のような共振現象を利用した発振回路等、PUT(programmable unijunction transistor) 等の負性抵抗を利用した発振回路が好ましい。122はラッチ回路であり、発振回路121からのパルスP2を、リセット回路107によりリセット解除された時点でカウント開始し、1msカウンタ112からパルス信号CLK1が入力された時点で、その時点までのカウント値をラッチするものである。123はカウンタであり、ラッチ回路122にラッチされている数だけ、発振回路121からのパルスP2をカウントし、カウントアップした時点で、パルス信号CLK11を出力するとともに自らをリセットするサイクルを繰り返すものである。124はラッチ回路であり、発振回路121からのパルスP2を、リセット回路107によりリセット解除された時点でカウント開始し、64msカウンタ113からパルス信号CLK2が入力された時点で、その時点までのカウント値をラッチするものである。125はカウンタであり、ラッチ回路124にラッチされている数だけ、発振回路121からのパルスP2をカウントし、カウントアップした時点で、パルス信号CLK12を出力するとともに自らをリセットするサイクルを繰り返すものである。カウンタ123,125も、リセット回路107によりリセット解除される。
【0077】
126は1msパルスカウンタであり、カウンタ123からのパルス信号CLK11を、6桁(2進数)の設定スイッチ127により設定された数だけカウントし、カウントアップした時点でパルス信号S1を出力するものである。128は64msパルスカウンタであり、カウンタ125からのパルス信号CLK12を、7桁(2進数)の設定スイッチ129により設定された数だけカウントし、カウントアップした時点でパルス信号S2をリセット解除信号として1msパルスカウンタ126に出力するものである。64msパルスカウンタ128もリセット回路107によりリセット解除される。102-A ,102-B は出力端子であり、図示しない点火用抵抗線が接続されている。108はサイリスタであり、出力端子102-A ,102-B を介してエネルギーコンデンサ105に並列に接続してあり、1msパルスカウンタ126からのパルス信号S1によりターンオンされる。
【0078】
サイリスタ108を除く図1の各部には、図示していないが、定電圧回路106の電圧がかかるように電気的に接続してある。
【0079】
次に、動作を説明する。入力端子101-A ,101-B 間に発破器が接続されるとともに、出力端子102-A ,102-B 間に点火用抵抗線が接続された状態で、発破器が起動されると、ダイオードブリッジ104を介して、DC電圧(図8の(a))がエネルギーコンデンサ105に印加され、同時に、出力端子102-A ,102-B 間に接続した点火用抵抗線を介してサイリスタ108に印加される。そして、図8の(c)に示すタイミングで、定電圧回路106から一定電圧が出力されると、この一定電圧が図7に示す各部に印加される。その結果、水晶発振回路111および発振回路121が発振を開始し(図8の(e),(f))、ついで、定電圧回路106から一定電圧が出力されてから、例えば、5ms経過した後、リセット回路107により、1msカウンタ112と、64msカウンタ113と、ラッチ回路122,124のリセットが解除される(図8の(d))。 1msカウンタ112と、64msカウンタ113のリセットが解除されると、1msカウンタ112および64msカウンタ113は、水晶発振回路111からのパルスP1のカウトを開始し、ラッチ回路122,124は発振回路121からのパルスP2のカウントを開始する。一方、ラッチ回路122およびラッチ回路124のリセットが解除されると、ラッチ回路122,124はそれぞれ発振回路121からパルスP2のカウントを開始する。
【0080】
そして、1msカウンタ112は、カウントアップすると、パルスCLK1をラッチ回路122に出力し(図8の(g))、自らのカウント動作を停止する。パルスCLK1が入力されたラッチ回路122は、カウント動作を停止し、停止時点のカウント値をラッチし、ラッチされた値をカウンタ123に設定し、カウンタ123のリセットを解除する。一方、64msカウンタ113は、カウントアップすると、パルスCLK2をラッチ回路124に出力し(図8の(h))、64msパルスカウンタ128のリセットを解除し、自らのカウント動作を停止する。パルスCLK2が入力されたラッチ回路124は、カウント動作を停止し、停止時点のカウント値をラッチし、ラッチされた値をカウンタ125に設定し、カウンタ125のリセットを解除する。従って、以後、カウンタ123は1msカウンタとして動作し、カウンタ125は64msカウンタとして動作することになる。カウンタ123,125のリセットが解除されると、カウンタ123,125はそれぞれ発振回路121からのパルスP2のカウントを開始する。
【0081】
そして、カウンタ123はカウントアップするごとに、パルスCLK11を1msパルスカウンタ126に出力する(図8の(i))ものの、1msパルスカウンタ126のリセットが解除されていないので、パルスCLK11は1msパルスカウンタ126によりカウントされない。一方、カウンタ125はカウントアップするごとに、パルスCLK112を64msパルスカウンタ128に出力し(図8の(j))、出力されたパルスCLK12は、既にリセット解除されている64msパルスカウンタ128によりカウントされる。そして、64msパルスカウンタ128がカウントアップすると、64msパルスカウンタ128によりトリガ信号S2(図8の(k))が1msパルスカウンタ126に出力され、1msパルスカウンタ126のリセットが解除される。すると、1msパルスカウンタ126はカウンタ123からのパルスCLK11のカウントを開始し、その後、カウントアップすると、トリガ信号S1(図8の(l))をサイリスタ108のゲートに印加する。
【0082】
サイリスタ108のゲートにトリガ信号S1が印加されると、サイリスタ108がターンオンし、エネルギーコンデンサ105がサイリスタ108と、出力端子102-A ,102-B 間に接続された点火用抵抗線とを介して放電され、エネルギーコンデンサ105のエネルギーが点火用抵抗線により熱エネルギーに変換される。
【0083】
なお、実際に設定される時間は、所望の遅延時間から、定電圧回路106により一定電圧が出力されてからリセット解除されるまでの時間と、リセット解除されてからパルスCLK2が出力されるまでの時間を引いた値になる。例えば、5ms経過した後、リセット回路107により、1msカウンタ112と、64msカウンタ113と、ラッチ回路122,124と、64msパルスカウンタ128のリセットが解除され、リセット解除されてからパルスCLK2が出力されるまで64ms経過した場合は、設定される時間は、所望の遅延時間から、5ms+64msを引いた値になる。
【0084】
(1) 発振回路121の発振周波数を3MHz+20%(周期:0.33×10-6 sec±20%)とする。実施例では、すなわち、時間間隔Tk1を1msとし、時間間隔Tk2を64msとした場合、6桁(2進数)の設定スイッチ127と、7桁(2進数)の設定スイッチ129により設定可能な最大時間(リセット保持時間を除く)は、213−1=8191[ms]となる。遅延時間をこの最大時間にした場合、この最大時間は、カウンタ125の出力パルスCLK12を64msパルスカウンタ128により127回カウントし、カウンタ123の出力パルスCLK11を1msパルスカウンタ126により63回カウントすることにより作成される。この場合、計数誤差Δtを0.33×10-3とすると、積算誤差Δεは、
【0085】
【数4】
Figure 0003676868
となる。
【0086】
(2) この例の積算誤差と比較するため、固定時間間隔として、時間間隔Tk1と、時間間隔Tk2の他に、時間間隔Tk3を用いた例を説明する。この例の電子式遅延雷管は、図9に示すように、実施の形態の電子式遅延雷管に、さらに、1024 ms カウンタ114と、ラッチ回路126と、カウンタ127と、1024 ms パルスカウンタ130とを備えたものである。追加した構成要素は、1024 ms パルスカウンタ130の出力パルスS3により64msパルスカウンタ128のリセットが解除され、1024 ms パルスカウンタ130がCLK3によりリセットが解除される点と、設定スイッチの設定可能な桁数がそれぞれ6桁(2進)と、4桁(2進)と、3桁(2進)である点を除けば、それぞれ、実施の形態の64msカウンタ113と、ラッチ回路124と、カウンタ125と、64msパルスカウンタ128の動作と本質的に相違しないので、詳細な説明は省略する。
【0087】
時間間隔Tk1を1msとし、時間間隔Tk2を64ms、時間間隔Tk3を1024msとした場合、8191msの遅延時間は、カウンタ127の出力パルスCLK13 1024msパルスカウンタ130により7回カウントし、カウンタ125の出力パルスCLK12を64msパルスカウンタ128により15回カウントし、カウンタ123の出力パルスCLK11を1msパルスカウンタ126により63回カウントすることにより作成される。同様に、係数誤差Δtを0.33×10-3とすると、積算誤差Δεは、
【0088】
【数5】
Figure 0003676868
となる。
【0089】
(3) 参考のために、固定時間間隔として、時間間隔Tk1のみを用いた例を説明する。この例の電子式遅延雷管の構成は、実施の形態の電子式遅延雷管の構成から、64msカウンタ113と、ラッチ回路124と、カウンタ125と、64msパルスカウンタ128を除いたものになり、図10に示すようになる。
【0090】
8191msの遅延時間は、カウンタ123の出力パルスCLK11を1msパルスカウンタ126により8191回カウントすることにより作成される。同様に、係数誤差Δtを0.33×10-3とすると、積算誤差Δεは、
【0091】
【数6】
Figure 0003676868
となる。
【0092】
上記(1),(2),(3) の総合計数誤差をまとめて表5に示す。
【0093】
表5から分かるように、時間間隔の個数が1個の場合より2個、2個の場合より3個の場合の方が、積算計数誤差が低下していることが分かる。特に、積算計数誤差の低下は、時間間隔の個数が2個の場合、1個の場合よりも顕著である。このように、本実施例によれば、衝撃により強く、遅延時間の変動をより小さくすることができ、従って、より精度の高い起爆時間制御を行うことができる。
【0094】
さらに、以上述べた機能を付加した本例のタイマーIC30を使用して、前述の本発明の第1実施例と同様に図2、図3に従ってHICモジュールを構成し、このHICモジュールを第1実施例と同様に、図4に示すように、ステンレス製の金属管73(外径15mmφ/肉厚1.5mm)内に装入した上で樹脂層72が形成されるよう、樹脂封入した。この樹脂封入には、遅硬性で可撓性のある2液性エポシキ配合樹脂(製品名:TB2023(主剤)/TB2105F(硬化剤);Three Bond社製)を用いた。
【0095】
また、電気雷管部60は点火用抵抗線81の周囲に点火薬82を配置し、点火薬層82から空間部87′を経て内管85,86間に起爆薬83を配置し、その起爆薬83の底部に添装薬84を配置した。
【0096】
以上のように構成した電子式遅延電気雷管を種々構造および衝撃印加条件を変えて、水中において爆発衝撃印加試験を行った。爆発衝撃の発生源として、含水爆薬(製品名:サンベックスえのき:薬径1インチ−100g)を用い、水深2mの位置において、その爆薬から所定の距離Lに試料を配置し、距離Lを種々変更し、試料の種類を変更して行った。その試験結果を表6に示す。
【0097】
表6の結果によれば、起爆時間精度を低下させることなく、電子タイマー部30の作動領域を拡大し、不発を回避することができることが分かる。
【0098】
【表5】
Figure 0003676868
【0099】
【表6】
Figure 0003676868
【0100】
(第3の実施例)
次に、図11を参照して、本発明の第3の実施例について説明する。尚、本例は前述の本発明の第3の実施形態に対応する実施例である。
【0101】
図11は本発明に係るタイマーIC30の内部構成の別の実施態様を示す。このタイマーIC30は図2の同様の配置において接続され、定電圧回路15の電圧で駆動される。図11に示すように、本実施例のタイマーIC30は、水晶発振回路31、シフト信号発生装置32、リセット回路33、振動子破損検知回路37、分周回路38、プリセットカウンタ39、リセット回路40およびOR回路41からなる。シフト信号発生装置32の発振回路としては、CR発振回路、リングオシレータ、LC発振回路のような共振現象を利用した発振回路等、PUT等の負性抵抗を利用した発振回路が好ましい。
【0102】
本実施例の計時の基準クロックは水晶発振回路31により作成される。水晶発振回路31の出力パルスCK1は分周回路38に送出され、分周回路38はリセット回路33によりリセット解除された後、パルスCK1を分周し、水晶発振動作検出用クロック信号CLK2を出力する。
【0103】
プリセットカウンタ39はリセット回路33によりリセット解除された後、上記計数用クロック信号CLK1をプリセットスイッチ22により予め決定された個数計数し、この計数が終了するとOR回路41を通じてトリガ信号TSを出力する。トリガ信号TSはタイマーIC30の外部の電子スイッチ4(図2参照)に送出され、放電回路(図示せず)を形成する。
【0104】
一方、クロック信号CLK2は振動子破損検知回路37に送出される。この検知回路37はリセット回路40によりリセット解除された後、絶えず水晶発振回路31のパルスCLK2の有無を監視し、パルスCLK2がローレベル(Low レベル)あるいはハイレベル(Highレベル)の一方に固定されたら、即時に強制的にOR回路41を通してトリガ信号TSを出力し、外部の放電回路を形成する。
【0105】
この振動子破損検知回路37は例えば、パルス充電回路(図示せず)と充電電圧レベル判定論理回路(図示せず)とから構成することができる。そのパルス充電回路がパルス信号CLK2によって充電が繰返され、この充電パルスが停止すると、電位が電源電圧Vccあるいは「0」電圧(GNDレベル)に充放電される。
【0106】
また、振動子破損検知回路37は多段(例えば10段〜16段)のシフトレジスタ回路(図示せず)およびそのレジスタ値の一致検出論理回路(図示せず)から構成されても良い。この場合、そのシフトレジスタ回路はシフト信号発生装置32からのシフト信号によって信号CLK2の電位を取り込み、次段レジスタへシフトする。上記一致検出論理回路は、所定の破損検知時間ΔTの間、各レジスタの出力がすべてローレベルあるいはハイレベルの一方に固定されないか否かを絶えず検知動作するように構成される。本実施例では、16段のシフトレジスタ回路を用いている。
【0107】
さらに、以上述べた機能を付加した本例のタイマーIC30を使用して、前述の本発明の第1の実施例と同様に図2、図3に従ってHICモジュールを構成し、このHICモジュールを第1実施例と同様に、図4に示すように、ステンレス製の金属管73(外径15mmφ/肉厚1.5mm)内に装入した上で樹脂層72が形成されるよう、樹脂封入した。この樹脂封入には、遅硬性で可撓性のある2液性エポシキ配合樹脂(製品名:TB2023(主剤)/TB2105F(硬化剤);Three Bond社製)を用いた。
【0108】
また、電気雷管部60は点火用抵抗線81の周囲に点火薬82を配置し、点火薬層82から空間部87′を経て内管85,86間に起爆薬83を配置し、その起爆薬83の底部に添装薬84を配置した。
【0109】
(1)以上のように構成した電子式遅延電気雷管を種々構造および衝撃印加条件を変えて、水中において爆発衝撃印加試験を行った。爆発衝撃の発生源として、含水爆薬(製品名:サンベックスえのき:薬径1インチ−100g)を用い、水深2mの位置において、その爆薬から所定の距離Lに試料を配置し、距離Lを種々変更し、試料の種類を変更して行った。その試験結果を表7に示す。
【0110】
表7の結果によれば、前述の表2の結果を参考として、水晶振動子が破損する衝撃値の領域において自爆(誘爆)することが分かった。
【0111】
(2)また、本例の上記と同じ構造の電子式遅延電気雷管を種々構造および衝撃印加条件を変えて、砂中において爆発衝撃印加試験を行った。砂中において受ける爆発衝撃は、岩盤の弾性範囲内の振動によって弾かれ、変位加速度を生じる場合、岩盤の亀裂を介して爆発ガスが進入し、一方向からの圧縮あるいは変位加速度を生じる場合に相当するものと想定される。爆発衝撃の発生源として、含水爆薬(製品名:サンベックスえのき:薬径1インチ−100g)を用い、深さ80cmの位置において、その爆薬から所定の距離Lに試料を配置し、距離Lを種々変更し、試料の種類を変更して行った。その試験結果を表8に示す。
【0112】
砂中においては上記試料爆薬からの距離Lが10cmまで殉爆されないことが経験上分かっており、従って表8の結果によれば、水晶振動子が破損する衝撃値の領域において自爆(誘爆)することが分かった。
【0113】
【表7】
Figure 0003676868
【0114】
【表8】
Figure 0003676868
【0115】
(第4の実施例)
次に、図12を参照して、本発明の第4の実施例について説明する。なお、本例は前述の本発明の第3の実施形態に対応する実施例である。
【0116】
図12は、本発明の第4の実施例の本電子式遅延電気雷管のハイブリッド回路(HIC)の構成を示す。図12に示すように、発破の際には、発破器(図示せず)から発破母線および補助母線、各雷管が備える脚線(図示せず)を介して、入力端子11−A,11−Bに電気エネルギーが供給される。上記入力端子11−A,11−Bに対し、入力の極性を内部回路と整合させるように整流回路14が接続される。
【0117】
この整流回路14によって、双方向からの入力を充電できるようにエネルギーコンデンサ2が接続され、このコンデンサ2と並列にかつ整流回路14の入力側にバイパス用抵抗器13が接続される。さらに、コンデンサ2と並列に定電圧回路15の入力端子が接続され、このコンデンサ2と並列に、かつ定電圧回路15の入力側にコンデンサ充電電圧検知用抵抗器23,24が接続される。
【0118】
定電圧回路15の出力端子には、その定電圧回路15の出力を安定させるためのフィルターコンデンサ16と、抵抗器17およびコンデンサ18とで構成されたタイマーIC30の内部機能のリセット保持時間作成用時定数回路と、タイマーIC30の電源端子とが接続される。上記リセッット保持時間作成用時定数回路の出力電圧は、タイマーIC30に入力されて、タイマーIC30内部のコンパレータ(図示せず)により、同じくタイマーIC30内部に構成される基準電圧発生回路(図示せず)の出力電圧と比較され、これら2つの電圧レベルが一致したところでリセット解除信号を出力するように、タイマーIC30が構成される。
【0119】
また、タイマーIC30は、水晶振動子21の固有周波数を基準とする発振回路(図示せず)、上記リセット解除信号を受けてその発振回路の出力パルスを1ms周期の基準パルスに分周する分周回路(図示せず)、およびこの分周回路の出力パルスをスイッチ回路22によって決定される個数だけ計数し、計数終了後に出力信号OS1を出力する計数回路(図示せず)から構成される。
【0120】
さらに、タイマーIC30は、上記コンデンサ2の充電が終了する時間よりも長い時間経過後に、リセット解除信号Sd1を電圧比較回路203に対して出力するように構成される。
【0121】
水晶振動子21には、ゲート容量20とドレイン容量19とが図12に示す通り接続される。
【0122】
コンデンサ2の充電圧Vc を抵抗器23,24によって分圧したサンプル電圧Vc1は、電圧比較回路203の比較電圧入力端子に入力される。さらに本実施例では、上記定電圧回路15の出力端子に、比較基準電圧発生用の抵抗器201,202が接続され、この抵抗器201,202により分圧作成された比較基準電圧VC2が、電圧比較回路203の基準電圧入力端子に入力される。
【0123】
電圧比較回路203は、タイマーIC30によって作成される上記リセット解除信号Sd1によってリセット解除されて、比較動作を開始し、上記のサンプル電圧VC1と比較基準電圧VC2とが等しくなると、OR回路204に出力信号OS2を出力するように構成される。
【0124】
ここで、例えば、コンデンサ2の充電電圧最大値VCPを15(V)とし、定電圧回路15の出力定電圧Vconst.を3(V)に設定する場合、VCP=15(V)のときに、VC1=3(V)となるように抵抗器23,24の分圧比を決定する。また、サンプル電圧VC1が60%まで低下すると、電圧比較回路203から信号OS2が出力されるように、常時VC2=1.8(V)となるように抵抗器201,202の分圧比を決定する。これによって、コンデンサ2の充電電圧レベルが、9(V)より低下すると信号OS2が生成されるように構成できる。
【0125】
OR回路204は、タイマーIC30からの計数終了信号OS1あるいは電圧比較回路203からの信号OS2が入力されると、トリガ信号TSを出力し、スイッチ回路4を閉じるように構成される。
【0126】
本実施例では、上記比較基準電圧発生用の抵抗器23,24および電圧比較回路20、OR回路204をタイマーIC30外部に構成したが、これらをタイマーIC30内部に包含してもかまわない。
【0127】
爆発衝撃実験結果を表1〜表4および表6〜表8にまとめる。
【0128】
(各表の特徴)
表1.水晶振動子−AT型:
(水中)空間長8〜14mmによって、T/A=4.1でも使用可能を示す。
【0129】
(ただし、空間長0〜4mmでは、不発領域が存在する。)
表2.水晶振動子−音叉型(T/A=3.5以下):
(水中)空間長0mmでも使用可能を示す。
【0130】
(ただし、T/A=2.5以上では、不発領域が存在する。)
表3.水晶振動子−AT型〜音叉型と、
(水中)空間長0〜14mmの組み合わせにより、欲する設計条件を満たすことを示す。
【0131】
表4.水晶振動子−AT型:
(水中)空間長0mmの組み合わせに対して、ケース内封入材(ゲル状シリコン樹脂)の効果を示す。
【0132】
表6.水晶振動子−AT型の水晶振動子を基準として、
(水中)第2発振回路の校正を行うことで、空間長0mmでも使用可能を示す。
【0133】
表7.水晶振動子−AT型を用いても、
(水中)自爆回路(水晶破損検知)を備えることで、空間長0mmでも使用可能を示す。
【0134】
表8.水晶振動子−AT型を用いても、
(砂中)自爆回路(水晶破損検知)を備えることで、空間長0mmでも使用可能を示す。
【0135】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、電子タイマー部の耐衝撃性を向上させることにより電子タイマー部の作動領域を雷管部の殉爆領域の下限と実質的に重なるまで広げる、および/あるいは雷管部の殉爆性能を向上させることにより雷管部の殉爆領域を電子タイマー部の作動領域の上限と実質的に重なるまで広げる、および/あるいは電子タイマー部が不作動となるか、若しくはその兆候が現われるのを検知して強制的に雷管部を起爆(自爆)するように構成し、これにより外部からの衝撃に対して雷管部の誘爆領域の衝撃値の下限と電子タイマー部の作動する領域の衝撃値の上限とが実質的に重なるようにしているので、色々な使い方をしても、また外部からの衝撃値が高まっても不発領域の発生を防止できる極めて安全な電子式遅延電気雷管を提供できる。
【0136】
その結果、本発明によれば、通常の発破作業においては、水晶振動子やセラミック振動子を基準とする電子タイマー部の特質を活かした高精度な起爆時間による制御発破が可能となり、かつ広範な使用環境下においても、不発残留することがないという顕著な効果が得られる。
【0137】
特に、電子タイマー部に水晶振動子を用いる場合には、水晶振動子の固定周波数を基準とする第1の発振周期を基準に、水晶振動子とは別の発振基準を有する振動子の第2の発振周期を高精度に校正することが可能となり、衝撃を受ける時点において、水晶振動子の固有周波数によらずその第2の発振周期を基準にしても、秒時精度を損なうことなく計時動作を行うことができる。
【0138】
また特に、電子式遅延電気雷管が受ける爆発衝撃の形態が破壊により岩盤移動してこの岩磐により圧縮を受ける場合などにおいては、極めて大きな衝撃圧を受けることが予想され、電子式遅延電気雷管自体が潰されてしまうことが想定されるが、本発明によれば、衝撃を受けて水晶振動子が破損してから岩磐によって雷管が圧縮されるまでに存在する時間差の間に水晶振動子が破損したことを検知し、この検知信号に電気雷管部を起爆するように構成することで、等価的に殉爆領域を電子タイマー部の動作領域の衝撃値の上限に至まで拡大することができ、この問題も回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な電子式遅延電気雷管の概略回路構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の電子式遅延電気雷管の電子タイマー部の構成例を示す回路図である。
【図3】図2のHICを実際に基板上に搭載したHICモジュールの外観の一例を示し、(a)は側面図、(b)は裏面図である。
【図4】本発明の電子式遅延電気雷管の構造例を示す断面図である。
【図5】本発明の電子タイマー部に用いる水晶振動子の水晶片形状の外観を示す図であり、(a)はAT型水晶振動子の水晶片形状、(b)はE型水晶振動子の水晶片形状、(c)は音叉型水晶振動子の水晶片形状を示す斜視図である。
【図6】本発明の安全性電子式遅延電気雷管における誘爆領域と電子タイマー作動領域の特徴を従来型の雷管と比較して説明する概念図である。
【図7】図2のタイマーICの本発明の実施例を示すブロック図である。
【図8】図7に示す各部のタイミングの一例を示すタイムチャートである。
【図9】図7のタイマーICの変形例で、3つの時間間隔を用いた例の構成を示すブロック図である。
【図10】図7のタイマーICの別の変形例で、1つの時間間隔を用いた例の構成を示すブロック図である。
【図11】図2のタイマーICの本発明の別の実施例を示すブロック図である。
【図12】本発明の電子タイマー部の別の実施例の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1 発破器
2 エネルギー蓄積回路(エネルギーコンデンサ、電界コンデンサ)
3 電子式遅延回路
4 電子スイッチ
10 電子タイマー部
13 バイパス用抵抗器
14 整流回路
15 定電圧回路
21 水晶振動子
22 スイッチ回路
23,24 抵抗器
24′ 脚線
25 電気雷管用リード線(脚線)
26 基板
30 タイマーIC
31 水晶発振回路
32 シフト信号発生装置
33、40 リセット回路
37 振動子破損検知回路
38 分周回路
39 プリセットカウンタ
41 OR回路
60 電気雷管部(雷管部)
72 樹脂層
73 金属管
81 点火用抵抗線
82 点火薬
83 起爆薬
84 添装薬
85、86 内管(管体)
87 塞栓部
87′ 空間部
103 バイパス用抵抗器
104 ダイオードブリッジ
105 エネルギーコンデンサ
106 定電圧回路
107 リセット回路
108 サイリスタ
111 水晶発振回路
112 1msカウンタ
113 64msカウンタ
121 発振回路
122,124 ラッチ回路
123,125 カウンタ
126 1msパルスカウンタ
127,129 設定スイッチ
128 64msパルスカウンタ
201,202 比較基準電圧発生用の抵抗器
203 電圧比較回路
204 OR回路

Claims (9)

  1. 発破器により供給された電気エネルギーを蓄積するためのエネルギー蓄積回路と、該エネルギー蓄積回路に蓄積された電気エネルギーを雷管部の点火用抵抗に通電させるスイッチング回路と、該スイッチング回路による通電を時間遅延させる電子式遅延回路とを有する電子タイマー部を備え、該電子タイマー部と前記雷管部を結合してなる電子式遅延電気雷管において、
    外部からの衝撃に対して、前記雷管部の誘爆領域の衝撃値の下限と、前記電子タイマー部の作動する領域の衝撃値の上限とが実質的に重なっていることを特徴とする安全性電子式遅延電気雷管。
  2. 請求項1において、前記電子式遅延回路が水晶振動子の固有周波数を基準として計時動作をすることを特徴とする安全性電子式遅延電気雷管。
  3. 請求項2において、前記水晶振動子の水晶片の長さTが、2.0mm〜3.5mmであって、且つ該水晶片の長さTと幅Aの比T/A=2.0〜3.5であることを特徴とする安全性電子式遅延電気雷管。
  4. 請求項2または3において、前記電子式遅延回路が、
    前記水晶振動子の固有周波数を基準とする水晶発振回路と、
    該水晶発振回路からのパルスを基準として最小時間間隔が最小起爆時間間隔に等しく互いに異なる予め定めた第1ないし第n(≧2)固定時間間隔を作成する第1ないし第n固定時間間隔作成手段と、
    前記水晶発振回路とは別の発振回路と、
    該別の発振回路からのパルス列を基準として、予め定めた遅延時間を、前記第1ないし第n固定時間間隔により逆順でそれぞれ予め定めた回数だけ区切る第1ないし第n区切り手段と、
    該第1区切り手段により前記第1固定時間間隔で予め定めた回数だけ区切り終わった時点で、前記スイッチング回路を閉じる制御手段と
    を備えたことを特徴とする安全性電子式遅延電気雷管。
  5. 請求項4において、前記第1ないし第n固定時間間隔作成手段は、
    前記水晶発振回路からのパルス列を第1固定時間間隔の間カウントする第1固定時間間隔作成カウンタと、
    前記水晶発振回路からのパルス列を前記第2ないし第n固定時間間隔の間カウントする第2ないし第n固定時間間隔作成カウンタと
    を備えたことを特徴とする安全性電子式遅延電気雷管。
  6. 請求項4において、前記第1ないし第n区切り手段は、
    前記第1ないし第n固定時間間隔をラッチするラッチ回路と、
    該ラッチ回路によりラッチされた第1ないし第n固定時間間隔がそれぞれ設定されるカウンタであり、前記別の発振回路からのパルス列をカウントしカウントアップするごとにパルス信号を出力する第1ないし第n区切りカウンタと、
    該第1ないし第n区切りカウンタがカウントアップするごとにそれぞれ出力されるパルスをカウントする第1ないし第nカウンタであって、第m(≦n)カウンタのカウントアップにより第(m−1)カウンタのリセットを解除するように、直列に作動する第1ないし第nカウンタと
    を備えたことを特徴とする安全性電子式遅延電気雷管。
  7. 請求項1ないし6のいずれかにおいて、前記雷管部の点火薬層と起爆薬層との間に空間を設け、該空間長が、4mm〜14mmであることを特徴とする安全性電子式遅延電気雷管。
  8. 請求項2ないし7のいずれかにおいて、前記電子タイマー部に、さらに、前記水晶振動子が破損したことを検知して破損検知信号を出力する振動子破損検知手段と、
    該破損検知信号に応じて前記スイッチング回路を強制的に閉じて通電させる手段と
    を備えたことを特徴とする安全性電子式遅延電気雷管。
  9. 請求項1ないし8のいずれかにおいて、前記電子タイマー部に、さらに、前記エネルギー蓄積回路の充電が終了した後、該エネルギー蓄積回路の電圧値を検出し、
    該電圧値が、雷管部点火のための最小発火電圧値に達したことを判定し、
    前記スイッチング回路を強制的に閉じて通電させる手段と、
    を備えたことを特徴とする安全性電子式遅延電気雷管。
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