JP3676142B2 - エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法 - Google Patents
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- H10K—ORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレクトロルミネッセンス(以下、ELという)表示装置の製造方法に関するものであり、特に大面積化されたEL表示装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、情報機器の多様化等に伴い、一般に使用されているCRTに比べて消費電力が少なく軽量化された平面表示素子のニーズが高まっている。このような平面表示素子の1つとして、EL素子が注目されている。EL素子は、使用する材料によって無機EL素子と有機EL素子に大別される。
【0003】
無機EL素子は、一般に発光部に高電界を作用させ、電子をこの高電界中で加速して発光中心に衝突させ、これにより発光中心を励起させて発光させている。
これに対し、有機EL素子は、電子注入電極とホール注入電極からそれぞれ電子とホールを発光中心で再結合させて、有機分子を励起状態にし、この有機分子が励起状態から基底状態に戻るときに蛍光を発光することを利用している。
【0004】
無機EL素子の場合、高電界を必要とするため、駆動電圧として100V〜200Vの高い電圧を必要とするのに対し、有機EL素子の場合、5V〜20V程度の低い電圧で駆動できるという利点を有している。また、有機EL素子の場合には、発光材料である蛍光物質を選択することにより、適当な色彩に発光する発光素子を得ることができ、マルチカラーやフルカラーの表示装置としても利用できるという利点がある。
【0005】
これらのEL素子は、自発光であること、視野角に依存しないこと、液晶ディスプレイのようにバックライトを必要としないため薄型が可能である等の液晶ディスプレイにはない優れた特徴を有しており、大面積ディスプレイとしての研究開発が活発に進められている。
【0006】
このようなEL素子を用いた表示装置においては、液晶ディスプレイと同様に種々の駆動方式が検討されているが、高いコントラスト比及び中間調表示などの点から、TFTなどのスイッチング素子を各画素に配置した駆動方式が注目されている。有機EL素子の場合は、電流駆動型の発光素子であるため、20〜30mA程度の電流を各画素に供給する必要がある。このような電流値を、非晶質シリコンのTFTによるセルアレイ及びドライバ回路で実現することは困難であり、多結晶シリコンを用いたTFTによるセルアレイ及びドライバ回路が必要となる。ガラス基板等を用いる場合には、低温で結晶化することが必要となり、低温多結晶シリコンを用いたTFTをスイッチング素子として用いることが必要になる。
【0007】
しかしながら、低温多結晶シリコンを大面積の基板の上に、均一に成膜することは困難であり、有機EL表示装置の大面積化の障害の1つとなっていた。
本発明の目的は、大きな面積で形成することが困難な回路(例えばスイッチング素子)を用いたEL表示装置であっても大型化することができるEL表示装置の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のEL表示装置の製造方法は、各画素領域にスイッチング素子からなる回路を備えた回路基板が形成された小型パネルを大型基板に複数枚貼り合わせて大型化した後、画素領域の上にエレクトロルミネッセンス素子を形成し、次いでエレクトロルミネッセンス素子全体を封止することを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、回路(例えばTFTなどのスイッチング素子)が形成された小型パネルを大型基板に複数枚貼り合わせて大型化している。このため、各画素領域に形成される回路は、小型パネル上で形成される均一なものにすることができる。従って、大型基板に回路を形成する場合に比べ、回路における欠陥の発生等を著しく低減することができる。
【0010】
本発明によれば、小型パネル上で回路を形成することができるので、例えば、非晶質シリコンを結晶化した低温多結晶シリコンからTFTなどのスイッチング素子の回路を形成することができる。特に、非晶質シリコンをレーザーアニーリングして結晶化する場合に適している。
【0011】
本発明においては、小型パネルを大型基板に貼り合わせた後、この貼り合わせにより形成される小型パネル間の隙間に埋め込み部を形成することが好ましい。このような埋め込み部を形成することにより、封止した内部に水分が侵入するのを防ぐことができ、EL素子が水分を含んで劣化するのを抑制することができる。
【0012】
本発明においては、小型パネルを大型基板に複数枚貼り合わせて大型化した後、EL素子を形成し、次いでEL素子全体を封止する。封止の方法は特に限定されるものではないが、封止用密閉部材を取り付けることにより行うことができる。このような封止用密閉部材を取り付ける場合、封止用密閉部材が取り付けられる領域部の高さが、埋め込み部の高さと同じになるように、封止用密閉部材が取り付けられる領域部に台座部を形成することが好ましい。
【0013】
ここで、封止用密閉部材としては、アルミニウムまたはステンレス等の金属成形体や、SiO2、AlO3等の無機セラミック成形体、さらにプラスチック等を含有した撥水性成形体等も使用することができる。
【0014】
上記埋め込み部及び上記台座部は、例えばネガ型感光性材料からフォトリソグラフィー法により形成することができる。さらに、埋め込み部または台座部の上には、これらの部分から封止した内部に水分が浸透するのを防ぐため、パッシベーション膜を設けることが好ましい。このようなパッシベーション膜としては、例えば、SiO2膜、SiN膜、Al2O3膜、AlN膜などを用いることができ、これらの膜は例えばスパッタリング法により形成することができる。
【0015】
また、小型パネル内のスイッチング素子を駆動するための駆動回路または外部駆動回路との接続部を同じ小型パネル内に設けておくことにより、小型パネル間で画素電極を電気的に接続する必要がなくなる。従って、より簡易にEL表示装置を大型化することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に従う一実施例の製造工程を示す断面図である。図1(a)は、小型パネルを大型基板に貼り合わせた状態を示している。図4は、この状態を示す斜視図である。図4に示すように、小型パネル1〜4の4枚を、大型基板5に貼り合わせている。本実施例では、大型基板5としてガラス基板を用いている。小型パネル1〜4には画素領域が設定されており、各画素領域にはスイッチング素子が既に形成されている。スイッチング素子は、小型パネルの基板上に非晶質シリコン膜を形成し、これをレーザーアニーリングにより結晶化させて低温多結晶シリコン膜とした後、これを用いてTFTを形成することにより形成されている。また、このスイッチング素子と接続されたITOなどからなる透明電極が形成されており、この透明電極は、垂直方向に延びる信号画素電極に接続されている。小型パネル1,2,3,4内の信号画素電極は、それぞれの駆動回路または外部駆動回路との接続部1a,2a,3a,4aに接続されている。また、図4に示すように、各小型パネル1,2,3,4には、水平方向に延びる走査画素電極を駆動するための駆動回路または外部駆動回路との接続部1b,2b,3b,4bが予め形成されている。
【0017】
図1(a)は、図4に示す小型パネル1と小型パネル2を通る水平方向の線で切断した断面図である。なお、図4に示す駆動回路または接続部は図示省略している。大型基板5と小型パネル1,2は、接着剤を用いて貼り合わせている。ここでは、大型基板5に粘性の低いアクリル系接着剤を均一に塗布した後、アライメント位置を確認しながら、小型パネルを貼り合わせている。貼り合わせ終了後、例えばホットプレート上で200℃1時間ベーキングを行うことにより接着剤を硬化させている。本実施例では、駆動回路または外部駆動回路との接続部1a〜4a及び1b〜4b(図4に図示)より内側の部分で貼り合わせている。これは、外部回路との接続との関係を考慮したものであるが、本発明はこのような貼り合わせに限定されるものではなく、小型パネルの全面を大型基板5と貼り合わせてもよい。図1(a)及び図4に示すように、大型基板5に貼り合わせた際、小型パネル間には隙間10が形成される。
【0018】
次に、図1(b)に示すように、隙間10を埋めるように埋め込み部11を形成するとともに、後工程において封止用密閉部材を取り付ける領域部に台座部12を形成する。このような埋め込み部11及び台座部12は、例えばネガ型レジスト材料から形成することができる。例えば、ネガ型レジスト材料をスピンコート法により全体に塗布した後、埋め込み部11及び台座部12を形成する部分が露光されるマスクパターンを用いて露光する。このようにして露光し現像した後、ポストベークを行い、さらに真空中(5Torr)で200℃2時間ベーキングを行いレジスト材料を硬化させる。
【0019】
図2は、このようにして形成した埋め込み部11及び台座部12のパターン形状を示す平面図である。図2に示すように埋め込み部11は小型パネル間の隙間10に沿って十字状となるように形成され、台座部12は封止用密閉部材が取り付けられる領域部に形成される。
【0020】
本実施例のように、埋め込み部11及び台座部12をネガ型レジスト材料を用いて形成した場合、TFTなどのスイッチング素子が形成された部分に紫外線を照射しなくともよい。このため、スイッチング素子などの駆動部分の損傷を抑えることができる。
【0021】
また、本実施例では、真空中200℃でベーキングすることによりレジスト材料を硬化させているが、窒素雰囲気でベーキングしても同様にレジスト材料を硬化させることができる。
【0022】
次に、図1(c)に示すように、埋め込み部11及び台座部12の上に、パッシベーション膜13を形成する。パッシベーション膜13の形成は、例えば、ポジ型レジスト材料をスピンコート法により全面に塗布し、プリベークした後、上記埋め込み部11及び台座部12を形成したときに使用したマスクパターンと同じものを用いて露光し現像する。これにより、埋め込み部11及び台座部12の上以外の領域にレジスト膜を形成することができる。その後、SiO2膜をスパッタリング法により、例えば厚み2000Åとなるように成膜し、次にレジスト膜を有機系剥離液で除去する。これにより、埋め込み部11及び台座部12の上にのみSiO2膜からなるパッシベーション膜13を形成することができる。
【0023】
本実施例では、パッシベーション膜としてSiO2膜を用いているが、SiN膜やAl2O3膜、AlN膜を用いてもよい。また、ケイ素を含有したネガ型のスピンコート剤を用いても同様にパッシベーション膜を形成することができる。
【0024】
次に、図1(d)に示すように、小型パネルの台座部12の内側の領域に、有機EL層14を形成し、さらにその上に走査画素電極15を形成する。
図3は、有機EL層14を含む有機EL素子を示す断面図である。有機EL層14は、ITO(インジウム−スス酸化物)膜などからなる透明電極18の上に形成される。この透明電極18は、本実施例のように予め小型パネルに形成されていてもよいし、小型パネルを貼り合わせた後に形成してもよい。この透明電極18は、小型パネルに予め形成されたTFTなどのスイッチング素子に接続されている。透明電極18の上には、ホール輸送層14aが形成されており、ホール輸送層14aの上には、発光層14bが形成されており、発光層14bの上には、電子輸送層14cが形成されている。電子輸送層14cの上にMgIn膜などからなる走査画素電極15が形成されている。
【0025】
次に、図1(e)に示すように、台座部12のパッシベーション膜13の上に、接着剤を介して封止用密閉部材16のフランジ部16aを取り付けることにより封止する。封止用密閉部材16の内側空間内には、乾燥剤17が保持されている。乾燥剤17は、例えば多孔質フィルムによりCaOなどの乾燥剤を保持することにより封止用密閉部材16の内側に取り付けられている。乾燥剤17を封止した空間内に配置することにより、有機EL層の劣化を防止することができる。また、上記の封止工程は、乾燥した窒素雰囲気中で行うことが好ましい。
【0026】
図5は、封止用密閉部材16を用いて封止した後の状態を示す斜視図である。本実施例では、上述のように、埋め込み部11及び台座部12の高さが同じになるように形成されているので、封止用密閉部材を取り付ける際の接着部分の高さをほぼ一定にすることができ、隙間を生じないようにして封止することできる。また、有機EL素子全体を1つの封止用密閉部材で封止しているので、フランジ部16aの幅を広くし、接着部分の幅(封止幅)を広くすることができる。このような封止幅を広くすることによる効果を以下に説明する。
【0027】
図6は、比較のための有機EL表示装置を示す斜視図である。この比較例では、各小型パネル1,2,3,4毎に、封止用密閉部材6,7,8,9を用いて封止している。図7は、小型パネル3の部分を拡大した斜視図である。図7に示すように、封止用密閉部材8のフランジ部8aの部分で接着することにより封止がなされている。
【0028】
図6に示すように各小型パネルにおいて封止用密閉部材を用いて封止すると、それぞれの封止用密閉部材においてフランジ部が必要となり、各フランジ部の幅が狭くなる。図8は、封止用密閉部材のフランジ部の幅、すなわち封止幅と、有機ELディスプレイの発光強度が50%劣化する指標としての信頼性との関係を示す図である。図8に示されるように、封止幅が広くなるにつれて、有機ELディスプレイの信頼性が高くなっていることがわかる。これは、封止部分の幅を広くすることにより、封止した内部空間への水分の侵入を有効に防止することができるからである。図6に示すように、小型パネル毎に封止を行うと、この封止幅が狭くなる。これに対し、上記実施例のように、有機EL素子全体に1つの封止用密閉部材を用いて封止すれば、封止幅を広くすることができ、有機EL表示装置の信頼性を高めることができる。
【0029】
本実施例では、スイッチング素子からなるTFTを用いたアクティブ型の有機EL表示装置の例を示したが、TFTを使わないパッシブ型の有機EL表示装置とすることもできる。さらに、有機EL素子を用いた例を示したが、無機EL素子を用いて表示装置とすることもできる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、大きな面積で形成することが困難な回路を用いたEL表示装置を大型化して製造することができる。従って、低温多結晶シリコンを用いたTFTをスイッチング素子とするEL表示装置の大型化に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う一実施例の有機EL表示装置の製造工程を示す断面図。
【図2】図1に示す実施例における埋め込み部及び台座部のパターン形状を示す平面図。
【図3】図1に示す実施例における有機EL素子を示す断面図。
【図4】図1(a)に示す小型パネルの貼り合わせ状態を示す斜視図。
【図5】図1(e)に示す封止用密閉部材により封止した後の状態を示す斜視図。
【図6】比較の有機EL表示装置を示す斜視図。
【図7】図6に示す比較の有機EL表示装置における1つの小型パネルを示す拡大斜視図。
【図8】封止用密閉部材による封止幅(封止幅)と有機EL表示装置の信頼性との関係を示す図。
【符号の説明】
1,2,3,4…小型パネル
1a,2a,3a,4a…駆動回路または外部駆動回路との接続部
1b,2b,3b,4b…駆動回路または外部駆動回路との接続部
5…大型基板
10…小型パネル間の隙間
11…埋め込み部
12…台座部
13…パッシベーション膜
14…有機EL層
15…走査画素電極
16…封止用密閉部材
16a…封止用密閉部材のフランジ部
17…乾燥剤
18…透明電極
Claims (10)
- 各画素領域にスイッチング素子からなる回路が形成された小型パネルを大型基板に複数枚貼り合わせて大型化した後、前記画素領域の上にエレクトロルミネッセンス素子を形成し、次いでエレクトロルミネッセンス素子全体を封止することを特徴とするエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法の製造方法。
- 前記スイッチング素子がTFTにより形成されている請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
- 前記TFTが非晶質シリコンを結晶化した低温多結晶シリコンから形成されている請求項2に記載のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
- 前記小型パネルを大型基板に貼り合わせた際に形成される小型パネル間の隙間に埋め込み部を形成した後、前記エレクトロルミネッセンス素子を形成する請求項1〜3のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
- 前記エレクトロルミネッセンス素子の封止を、封止用密閉部材の取り付けにより行う請求項4に記載のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
- 前記封止用密閉部材が取り付けられる領域部の高さが前記埋め込み部の高さと同じになるように前記領域部に台座部を形成する請求項5に記載のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
- 前記埋め込み部または前記台座部をネガ型感光性材料から形成する請求項4または6に記載のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
- 前記埋め込み部または前記台座部の上にパッシベーション膜を形成する請求項4、6または7に記載のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
- 小型パネル内のスイッチング素子を駆動するための駆動回路または外部駆動回路との接続部が同じ小型パネル内に設けられている請求項1〜8のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
- 前記エレクトロルミネッセンス素子が有機エレクトロルミネッセンス素子である請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
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