JP3676061B2 - 樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエチレンやポリプロピレン等の非極性被着体および金属や紙等の極性被着体のいずれにも優れた粘着特性を示し、且つ耐候性、透明性および耐熱性にも優れた樹脂組成物、並びに該樹脂組成物からなる粘着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラベル、粘接着テープ、両面テープ等に使用される粘着剤組成物は、これらの使用環境等を考慮して、接着性、タック、凝集力等の粘着特性の他に、色調、透明性、耐候性などにも優れていることが要求されるため、従来からアクリル系重合体をベースポリマーとするアクリル系粘着剤が使用されている。アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステルに、アクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチルなどの官能基を有するビニル系単量体を少量共重合させたアクリル系重合体が一般に用いられている。アクリル系の粘着剤は、金属、紙等の極性被着体に対して優れた粘着特性を示し、官能基を有するビニル系単量体の共重合量を増やすことにより、金属板、紙、写真面、木材などの親水性面に対し、より高い粘着力を発現することが知られている。
【0003】
近年では、工業用資材、消費材としてポリオレフィン系プラスティック製品の占める割合が著しく増大しており、ポリオレフィン系プラスティックに対して良好な粘着特性を有する粘着剤の必要性が増大している。しかしながら、アクリル系粘着剤は、一般に、極性被着体に対する粘着特性には優れているものの、ポリエチレン、ポリプロピレン等の非極性ポリオレフィンを主体とした被着体に対する粘着力が小さいという欠点がある。このアクリル系粘着剤の欠点を解決するため、例えば、アクリル系重合体の分子量を低下させたり、架橋密度を小さくすることにより、非極性被着体に対する粘着力を得ようとする方法が試みられているが、この方法では非極性被着体に対する粘着力の大幅な向上は望めないばかりか、極端に凝集力が低下して、耐熱性が低下するといった問題点を有している。また、アクリル系粘着剤に、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂、α−ピネン樹脂、ロジン樹脂、ロジン変性樹脂、石油樹脂等の粘着付与樹脂を添加する方法も試みられているが、この方法では、非極性被着体に対する粘着力の改善効果は小さく、しかも、アクリル系粘着剤の透明性、色調等が悪くなるといった欠点を有している。さらに、アクリル系重合体に塩素化ポリプロピレンを共重合することにより、非極性被着体に対する粘着力を向上させる方法が提案されているが(特開平2−155976号公報参照)、この方法では、塩素化ポリプロピレンの共重合量を増加することにより、非極性被着体に対する粘着力は向上するものの、透明性および耐候性が著しく低下する。さらに、塩素化ポリプロピレンの共重合量の増加にともない、極性被着体への粘着力が低下するという欠点も有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、アクリル系粘着剤の特性を損なうことなく、金属や紙等の極性被着体とポリプロピレン、ポリエチレン等の非極性被着体のいずれに対しても優れた粘着特性を発現するアクリル系粘着剤を設計することは困難とされ、どれかの特性をある程度犠牲にして、各特性のバランスをとるといった方法が一般的に行われている。
【0005】
本発明の目的は、ポリエチレンやポリプロピレン等の非極性被着体および金属や紙等の極性被着体のいずれにも優れた粘着特性を示し、且つ耐候性、透明性および耐熱性にも優れた樹脂組成物、並びに該樹脂組成物からなる粘着剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、オレフィン系単量体単位を50〜100重量%含有する重合体ブロック(A)と、(メタ)アクリル酸エステル単位を55〜100重量%含有する重合体ブロック(B)から構成されるブロック共重合体を、(メタ)アクリル酸エステル単位を主成分とするアクリル系共重合体に配合することにより、耐候性、透明性、耐熱性等を低下させることなく、ポリエチレンやポリプロピレン等の非極性被着体および金属や紙等の極性被着体のいずれにも高い粘着力を発揮しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、(メタ)アクリル酸エステル単位を70〜99.9重量%および官能基を有するビニル系単量体単位を30〜0.1重量%含有する共重合体(I)100重量部に対して、オレフィン系単量体単位50〜100重量%および該単量体と共重合可能なビニル系単量体単位50〜0重量%よりなる重合体ブロック(A)、並びに(メタ)アクリル酸エステル単位55〜100重量%および該単量体と共重合可能なビニル系単量体単位45〜0重量%よりなる重合体ブロック(B)から構成されるブロック共重合体(II)を1〜200重量部配合してなる樹脂組成物、並びに該樹脂組成物からなる粘着剤に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する共重合体(I)は、主として(メタ)アクリル酸エステル単位から構成されている。(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量は、全構造単位に対して70〜99.9重量%であり、80〜99.9重量%であるのが好ましく、85〜99.9重量%であるのがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0009】
共重合体(I)を構成する、官能基を有するビニル系単量体単位の含有量は、全構造単位に対して30〜0.1重量%であり、20〜0.1重量%であるのが好ましく、15〜0.1重量%であるのがより好ましい。官能基を有するビニル系単量体としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、N−メチロール基、エポキシ基等の官能基を有するビニル系単量体を挙げることができる。これらの単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸エチレングリコール、アクリル酸ジプロピレングリコール、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0010】
上記、共重合体(I)は必要に応じて、さらに共重合可能なビニル系単量体単位を20重量%以下の割合で含有していてもよい。このようなビニル系単量体としては、例えば、スチレン、p−スチレンスルホン酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩などのスチレン系単量体;(メタ)アクリロニトリル類;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル類;(メタ)アクリルアミド;N−ビニル−2−ピロリドンなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0011】
共重合体(I)の重量平均分子量は、一般的に100,000〜1,000,000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は4〜15であるのが好ましい。なお、本明細書でいう重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリメチルメタクリレート検量線から求めた値である。
【0012】
共重合体(I)のガラス転移温度は、好ましくは−70℃〜0℃、より好ましくは−60℃〜−10℃の範囲内であるのがよい。ガラス転移温度が0℃を越える場合には、タックが低下する傾向がある。
【0013】
上記、共重合体(I)の製造法としては、公知のラジカル重合反応によって製造することができ、塊状重合、溶液重合、分散重合、乳化重合などの任意の公知の重合方法で行えばよい。重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、アゾビスイソブチロニトリル等の熱重合開始剤や、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン等の光重合開始剤等の公知の重合開始剤を用いることができる。
【0014】
本発明に使用するブロック共重合体(II)は、以下に述べる重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)から構成されており、例えば、A−B型ジブロック共重合体、A−B−A型トリブロック共重合体、B−A−B型トリブロック共重合体などを挙げることができる。これらのなかでも、A−B型ジブロック共重合体が好ましい。
【0015】
ブロック共重合体(II)を構成する重合体ブロック(A)は、オレフィン系単量体単位を全構造単位に対して50〜100重量%含有しており、70〜100重量%含有しているのが好ましく、80〜100重量%含有しているのがより好ましい。オレフィン系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン、ビニルシクロヘキサン、シクロペンタジエン、β−ピネンなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも、エチレン、プロピレン、イソブチレン、イソプレンを用いるのが好ましい。さらに、共役ジエンを用いる場合には、重合後に残存する不飽和結合を更に水素添加してもよい。
【0016】
重合体ブロック(A)は、必要に応じて、上記のオレフィン系単量体と共重合可能なビニル系単量体単位を50重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下の割合で含有していてもよい。オレフィン系単量体と共重合可能なビニル系単量体単位としては、例えば、スチレン、p−スチレンスルホン酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩などのスチレン系単量体;(メタ)アクリロニトリル類;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸およびそのエステル類;(メタ)アクリルアミド;N−ビニル−2−ピロリドンなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリルを用いるのが好ましい。
【0017】
ブロック共重合体(II)を構成する重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル酸エステル単位を全構造単位に対して55〜100重量%含有しており、70〜100重量%含有しているのが好ましく、90〜100重量%含有しているのがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0018】
重合体ブロック(B)は、必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体単位を、全構造単位に対して45重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは10重量%以下の割合で含有していてもよい。(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体単位としては、例えば、スチレン、p−スチレンスルホン酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩などのスチレン系単量体;(メタ)アクリロニトリル類;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル類;(メタ)アクリル酸類;(メタ)アクリルアミド;N−ビニル−2−ピロリドン;(メタ)アクリル酸グリシジルエステルなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0019】
重合体ブロック(A)の数平均分子量は、1,000〜100,000であるのが好ましく、2,500〜50,000であるのがより好ましい。重合体ブロック(B)の数平均分子量は、1,000〜100,000であるのが好ましく、2,500〜50,000であるのがより好ましい。ブロック共重合体(II)全体の数平均分子量は、2,000〜200,000であるのが好ましく、5,000〜100,000であるのがより好ましい。なお、本明細書でいう数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求めた値である。
【0020】
ブロック共重合体(II)の製造法は、特に制限はないが、例えば、末端にメルカプト基を有するオレフィン系重合体ブロック(A)の存在下に、重合体ブロック(B)を構成する単量体成分をラジカル重合することによりブロック共重合体(II)を製造する方法が、目的とする数平均分子量および分子量分布を有するブロック共重合体を簡便かつ効率的に得ることができるので好ましい。
【0021】
なお、末端にメルカプト基を有するオレフィン系重合体ブロック(A)は、各種方法により合成可能であり、例えば、末端に二重結合を有するポリオレフィン系樹脂に、チオ酢酸、チオ安息香酸、チオプロピオン酸、チオ酪酸またはチオ吉草酸などを付加させた後、酸またはアルカリで処理する方法や、オレフィンのアニオン重合において、停止剤としてエチレンスルフィドなどを用いる方法により合成することができる。
【0022】
本発明の樹脂組成物は、前記した共重合体(I)100重量部に対して、上記のブロック共重合体(II)を1〜200重量部、好ましくは10〜150重量部配合することにより得られる。ブロック共重合体(II)の配合割合が200重量部を超える場合には、得られる樹脂組成物の粘着性、耐熱性等が低下する。一方、1重量部未満の場合には、得られる樹脂組成物の非極性被着体に対する粘着性が十分に改善されない。
【0023】
本発明の樹脂組成物は、凝集力を向上させるため、必要に応じてさらに公知の架橋剤を適量含ませることができる。この架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トランスビニリレンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンジイソシアネート等の多官能ジイソシアネート化合物;これらのジイソシアネート化合物とジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールを反応させて得られるイソシアネート末端付加物;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の三量体、トリス−(イソシアネートヘキシル)ビュレットポリイソシアネート、メチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネートなどの化合物のイソシアネート基の全部または一部を、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン化合物、エタノール、プロパノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール類、アセトアミド、コハク酸イミド等の酸アミド又は酸イミド類、シクロヘキシルオキシム、アセトオキシム等のケトン又はアルデヒド等のオキシム類等のブロック化剤で保護したブロック化イソシアネート化合物などが挙げられる。
【0024】
本発明の樹脂組成物は、上記の他に必要に応じて、さらに以下の添加剤を配合することもできる。例えば、軟化点が80℃以上のロジン系、フェノール系あるいは石油変性樹脂等の粘着付与樹脂等が挙げられる。また、このような粘着付与樹脂に加えて、あるいはこの粘着付与樹脂に変えて、多官能オリゴマーを添加し、被着体への接着後、紫外線、放射線を照射して重合硬化させることでさらに大きな接着強度を得ることもできる。その他、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を含ませることもできる。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、前記した共重合体(I)、ブロック共重合体(II)および必要に応じて、上記した他の成分を混合することにより製造することができる。さらに、該樹脂組成物を適当な溶剤に溶解して使用することもできる。この溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、四塩化炭素、クロロホルム等の塩素系溶剤を挙げることができる。このようにして製造した、樹脂組成物を溶解した溶液は、ロールコーター、スプレー塗装等の方法で容易に塗布することができ、粘着剤として各種用途に使用することができる。
【0026】
本発明の樹脂組成物は、粘着特性に優れていて、極性の大小や有無を問わず、各種の他の材料(例えば、プラスティック、ゴム、金属、木材、セラミック、紙)と強固に粘着することができる。粘着しうるプラスティックとしては、例えば、ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体などの塩素含有ビニル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、半芳香族系ナイロンなどのポリアミド系樹脂;ポリスルフォン系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;ポリフッ化ビニリデン系樹脂などを挙げることができる。また、金属材料としては、例えば、鉄、アルミニウム、銅やステンレス、ブリキ、トタンなどの合金等を挙げることができる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、粘着力、保持力、ボールタック、透明性、耐候性は、下記の方法により測定または評価した。
【0028】
〔試験片の作成〕
各実施例または比較例で製造した樹脂組成物溶液を、厚さ38μmのポリエチレンフィルムにサイコロ型アプリケーターを用いて塗布し、次いで溶剤を除去して粉厚25μmの粘着テープを製造した。この粘着テープを以下の試験方法により評価した。
【0029】
〔粘着力〕
(1)ステンレス粘着力:試験板として、厚さ×幅×長さ=2×40×150mmのステンレス板を用い、「JIS−Z−0237、8.粘着力(180度引き剥がし法)」に規定されている試験方法に従って、ステンレスに対する粘着力(g/25mm)を評価した。
(2)PP粘着力:試験板として、厚さ×幅×長さ=2×40×150mmのポリプロピレン樹脂板を用い、「JIS−Z−0237、8.粘着力(180度引き剥がし法)」に規定されている試験方法に従って、ポリプロピレンに対する粘着力(g/25mm)を評価した。
(3)PE粘着力:試験板として、厚さ×幅×長さ=2×40×150mmのポリエチレン樹脂板を用い、「JIS−Z−0237、8.粘着力(180度引き剥がし法)」に規定されている試験方法に従って、ポリエチレンに対する粘着力(g/25mm)を評価した。
【0030】
〔保持力〕
「JIS−Z−0237、11.保持力」に規定されている試験方法によって保持力を評価した。但し、試験温度は80℃、荷重は1kgとし、15時間経過後のずれ距離を測定した。
【0031】
〔ボールタック〕
「JIS−Z−0237、12.タック(球転法)」に規定されている試験方法に従って試験し、ボールの最大径の大きさでタックを評価した。
【0032】
〔透明性〕
作成した粘着テープについて、日本精密光学社製のポイック積分球式ヘイズメーターを用いてへーズ値を測定した。ヘーズ値が大きい程、透明性が悪いことを示している。
【0033】
〔耐候性〕
粘着テープの糊面20cmの距離より、紫外線ランプ(1.1kw)により紫外線を80時間照射した後、色調を目視で評価した(○:照射前と照射後で色調に変化なし、×:照射後着色した)。
【0034】
参考例1
アクリル酸2−エチルヘキシル645g、アクリル酸ブチル230g、酢酸ビニル100g、アクリル酸25g、アクリル酸ヒドロキシエチル5gおよび酢酸エチル1000gを重合槽に仕込み、80℃で充分窒素置換した後、重合速度が15%/時間になるようにラジカル重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)を重合槽内に添加して重合を行った。重合率が99%以上になったことを確認し、重合を停止した。反応液を冷却後固形分濃度が40%になるように酢酸エチルを加えた。得られた共重合体(以下、「共重合体(I)」と称する)の重量平均分子量は670,000であった。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は5.6であった。
【0035】
参考例2
(1) ポリプロピレン(三菱化学株式会社製「三菱ノーブレンMH8」)を2軸押出機に供給し、420℃で溶融混練して熱分解させて、末端に二重結合を有するポリプロピレンを製造した。
(2) 上記(1)で得られた末端に二重結合を有するポリプロピレン100重量部、トルエン1000重量部およびチオ−S−酢酸30重量部を反応器に入れて、内部を充分窒素置換した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル10重量部を添加して、90℃で6時間反応させて、末端にチオアセチル基を有するポリプロピレンを製造した。
(3) 上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有するポリプロピレン60重量部を、トルエン100重量部とn−ブタノール20重量部の混合溶媒中に溶解し、水酸化カリウムの7%n-ブタノール溶液1重量部を添加して、窒素中トルエン環流温度で6時間反応させることにより、末端にメルカプト基を有するポリプロピレンを製造した。
(4) 上記(3)で得られた末端にメルカプト基を有するポリプロピレン50重量部をトルエン184重量部に溶解し、それにアクリル酸2−エチルヘキシル90重量部、アクリル酸ヒドロキシエチル10重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が一時間あたり約10%になるように1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を添加し、重合率が95%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後固形分濃度が40%になるようにトルエンを加えた。
(5) 上記の製造方法により、ポリプロピレンブロック(A)およびアクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体ブロック(B)〔アクリル酸2−エチルヘキシル:アクリル酸ヒドロキシエチル=90:10(重量比)〕から構成されるA−B型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(II−1)」と称する)を含有するトルエン溶液が得られた。得られたブロック共重合体(II−1)の重合体ブロック(A)の数平均分子量は11,000、重合体ブロック(B)の数平均分子量は20,000、ブロック共重合体(II−1)全体の数平均分子量は31,000であった。
【0036】
参考例3
(1) ポリエチレン(三井石油ポリエチ株式会社製「ハイゼックスHD700F」)を二軸押押出機に供給し、420℃で溶融混練して熱分解させて、末端に2重結合を有するポリエチレンを製造した。
(2) 上記(1)で得られた末端に二重結合を有するポリエチレン100重量部、トルエン1000重量部およびチオ−S−酢酸30重量部を反応器に入れて、内部を充分窒素置換した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル10重量部を添加して、90℃で6時間反応させて、末端にチオアセチル基を有するポリエチレンを製造した。
(3) 上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有するポリエチレン60重量部を、トルエン100重量部とn−ブタノール20重量部の混合溶媒中に溶解し、水酸化カリウムの7%n-ブタノール溶液1重量部を添加して、窒素中トルエン環流温度で6時間反応させることにより、末端にメルカプト基を有するポリエチレンを製造した。
(4) 上記(3)で得られた末端にメルカプト基を有するポリエチレン50重量部をトルエン184重量部に溶解し、それにアクリル酸2−エチルヘキシル90重量部、アクリル酸ヒドロキシエチル10重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が一時間あたり約10%になるように1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を添加し、重合率が95%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後固形分濃度が40%になるようにトルエンを加えた。
(5) 以上の製造方法により、ポリエチレンブロック(A)およびアクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体ブロック(B)〔アクリル酸2−エチルヘキシル:アクリル酸ヒドロキシエチル=90:10(重量比)〕から構成されるA−B型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(II−2)」と称する)を含有するトルエン溶液が得られた。得られたブロック共重合体(II−2)の重合体ブロック(A)の数平均分子量は8,200、重合体ブロック(B)の数平均分子量は17,000、ブロック共重合体(II−2)全体の数平均分子量は25,200であった。
【0037】
参考例4
(1) イソブチレン210重量部、塩化メチレン800重量部、メチルシクロヘキサン1200重量部、2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン6.5重量部、2,6−ジメチルピリジン0.98重量部およびピリジン3.5重量部を反応容器に仕込み、四塩化チタン12.3重量部を添加して、−78℃で4時間反応させることによりポリイソブチレンを製造した。このポリイソブチレン140重量部をテトラヒドロフラン6800重量部に溶解し、カリウム−t-ブトキシド280重量部を加えて20時間撹拌環流することによって、片末端に2重結合を有するポリイソブチレンを製造した。
(2) 上記(1)で得られた末端に二重結合を有するポリイソブチレン100重量部、トルエン200重量部およびチオ−S−酢酸11重量部を反応器に入れて、内部を充分窒素置換した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル10重量部を添加して、70℃で6時間反応させて、末端にチオアセチル基を有するポリイソブチレンを製造した。
(3) 上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有するポリイソブチレン80重量部を、トルエン200重量部とメタノール20重量部の混合溶媒中に溶解し、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液10重量部を添加して、窒素中65℃で6時間反応させることにより、末端にメルカプト基を有するポリイソブチレンを製造した。
(4) 上記(3)で得られた末端にメルカプト基を有するポリイソブチレン50重量部をトルエン284重量部に溶解し、それにアクリル酸2−エチルヘキシル90重量部、アクリル酸ヒドロキシエチル10重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が一時間あたり約10%になるように1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を添加し、重合率が95%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後固形分濃度が40%になるようにトルエンを加えた。
(5) 以上の製造方法により、ポリイソブチレンブロック(A)およびアクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体ブロック(B)〔アクリル酸2−エチルヘキシル:アクリル酸ヒドロキシエチル=90:10(重量比)〕から構成されるA−B型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(II−3)」と称する)を含有するトルエン溶液が得られた。得られたブロック共重合体(II−3)の重合体ブロック(A)の数平均分子量は8,000、重合体ブロック(B)の数平均分子量は16,000、ブロック共重合体(II−3)全体の数平均分子量は24,000であった。
【0038】
参考例5
アクリル酸2−エチルヘキシル612g、アクリル酸ブチル215g、酢酸ビニル98g、アクリル酸20g、アクリル酸ヒドロキシエチル5gおよび酢酸エチル950gを重合槽に仕込み、80℃で充分窒素置換した後、重合速度が15%/時間になるようにラジカル重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)を重合槽内に添加して重合を行った。その後、重合槽内に塩素化ポリプロピレン(三洋国策パルプ社製「スーパークローンS−206」)100gおよびアゾビスイソブチロニトリル10g、トルエン500g加えて80℃で3時間重合反応を行った後、冷却することで重合を停止した。冷却後固形分濃度が40%になるようにトルエンを加えた。以下、得られた共重合体を「塩素化PP共重合体」と称する。
【0039】
実施例1〜4
参考例1で製造した共重合体(I)含有溶液に、参考例2〜4で製造したブロック共重合体(II−1)〜ブロック共重合体(II−3)含有溶液を、固形分が下記の表1に示す割合となるように配合し、完全に均一になるまで混合した後、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製「コロネート L」)を溶液の固形分100重量部に対して1.5重量部の割合で加え、均一に混合することにより樹脂組成物溶液を製造した。これを用いて、上記した方法で試験片を作成し、粘着力、保持力、ボールタック、透明性、耐候性を上記した方法で評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0040】
比較例1
参考例1で製造した共重合体(I)含有溶液の固形分100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製「コロネート L」)を1.5重量部の割合で加え、均一に混合することにより樹脂組成物溶液を製造した。これを用いて、上記した方法で試験片を作成し、粘着力、保持力、ボールタック、透明性、耐候性を上記した方法で評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0041】
比較例2
参考例5で製造した塩素化PP共重合体含有溶液の固形分100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製「コロネート L」)を1.5重量部の割合で加え、均一に混合することにより樹脂組成物溶液を製造した。これを用いて、上記した方法で試験片を作成し、粘着力、保持力、ボールタック、透明性、耐候性を上記した方法で評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0042】
比較例3
参考例1で製造した共重合体(I)含有溶液に、参考例2で製造したブロック共重合体(II−1)含有溶液を、固形分が下記の表1に示す割合となるように配合し、完全に均一になるまで混合した後、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製「コロネート L」)を溶液の固形分100重量部に対して1.5重量部の割合で加え、均一に混合することにより樹脂組成物溶液を製造した。これを用いて、上記した方法で試験片を作成し、粘着力、保持力、ボールタック、透明性、耐候性を上記した方法で評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、ポリエチレンやポリプロピレン等の非極性被着体および金属や紙等の極性被着体のいずれにも優れた粘着特性を示し、且つ耐候性、透明性および耐熱性にも優れる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエチレンやポリプロピレン等の非極性被着体および金属や紙等の極性被着体のいずれにも優れた粘着特性を示し、且つ耐候性、透明性および耐熱性にも優れた樹脂組成物、並びに該樹脂組成物からなる粘着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラベル、粘接着テープ、両面テープ等に使用される粘着剤組成物は、これらの使用環境等を考慮して、接着性、タック、凝集力等の粘着特性の他に、色調、透明性、耐候性などにも優れていることが要求されるため、従来からアクリル系重合体をベースポリマーとするアクリル系粘着剤が使用されている。アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステルに、アクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチルなどの官能基を有するビニル系単量体を少量共重合させたアクリル系重合体が一般に用いられている。アクリル系の粘着剤は、金属、紙等の極性被着体に対して優れた粘着特性を示し、官能基を有するビニル系単量体の共重合量を増やすことにより、金属板、紙、写真面、木材などの親水性面に対し、より高い粘着力を発現することが知られている。
【0003】
近年では、工業用資材、消費材としてポリオレフィン系プラスティック製品の占める割合が著しく増大しており、ポリオレフィン系プラスティックに対して良好な粘着特性を有する粘着剤の必要性が増大している。しかしながら、アクリル系粘着剤は、一般に、極性被着体に対する粘着特性には優れているものの、ポリエチレン、ポリプロピレン等の非極性ポリオレフィンを主体とした被着体に対する粘着力が小さいという欠点がある。このアクリル系粘着剤の欠点を解決するため、例えば、アクリル系重合体の分子量を低下させたり、架橋密度を小さくすることにより、非極性被着体に対する粘着力を得ようとする方法が試みられているが、この方法では非極性被着体に対する粘着力の大幅な向上は望めないばかりか、極端に凝集力が低下して、耐熱性が低下するといった問題点を有している。また、アクリル系粘着剤に、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂、α−ピネン樹脂、ロジン樹脂、ロジン変性樹脂、石油樹脂等の粘着付与樹脂を添加する方法も試みられているが、この方法では、非極性被着体に対する粘着力の改善効果は小さく、しかも、アクリル系粘着剤の透明性、色調等が悪くなるといった欠点を有している。さらに、アクリル系重合体に塩素化ポリプロピレンを共重合することにより、非極性被着体に対する粘着力を向上させる方法が提案されているが(特開平2−155976号公報参照)、この方法では、塩素化ポリプロピレンの共重合量を増加することにより、非極性被着体に対する粘着力は向上するものの、透明性および耐候性が著しく低下する。さらに、塩素化ポリプロピレンの共重合量の増加にともない、極性被着体への粘着力が低下するという欠点も有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、アクリル系粘着剤の特性を損なうことなく、金属や紙等の極性被着体とポリプロピレン、ポリエチレン等の非極性被着体のいずれに対しても優れた粘着特性を発現するアクリル系粘着剤を設計することは困難とされ、どれかの特性をある程度犠牲にして、各特性のバランスをとるといった方法が一般的に行われている。
【0005】
本発明の目的は、ポリエチレンやポリプロピレン等の非極性被着体および金属や紙等の極性被着体のいずれにも優れた粘着特性を示し、且つ耐候性、透明性および耐熱性にも優れた樹脂組成物、並びに該樹脂組成物からなる粘着剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、オレフィン系単量体単位を50〜100重量%含有する重合体ブロック(A)と、(メタ)アクリル酸エステル単位を55〜100重量%含有する重合体ブロック(B)から構成されるブロック共重合体を、(メタ)アクリル酸エステル単位を主成分とするアクリル系共重合体に配合することにより、耐候性、透明性、耐熱性等を低下させることなく、ポリエチレンやポリプロピレン等の非極性被着体および金属や紙等の極性被着体のいずれにも高い粘着力を発揮しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、(メタ)アクリル酸エステル単位を70〜99.9重量%および官能基を有するビニル系単量体単位を30〜0.1重量%含有する共重合体(I)100重量部に対して、オレフィン系単量体単位50〜100重量%および該単量体と共重合可能なビニル系単量体単位50〜0重量%よりなる重合体ブロック(A)、並びに(メタ)アクリル酸エステル単位55〜100重量%および該単量体と共重合可能なビニル系単量体単位45〜0重量%よりなる重合体ブロック(B)から構成されるブロック共重合体(II)を1〜200重量部配合してなる樹脂組成物、並びに該樹脂組成物からなる粘着剤に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する共重合体(I)は、主として(メタ)アクリル酸エステル単位から構成されている。(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量は、全構造単位に対して70〜99.9重量%であり、80〜99.9重量%であるのが好ましく、85〜99.9重量%であるのがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0009】
共重合体(I)を構成する、官能基を有するビニル系単量体単位の含有量は、全構造単位に対して30〜0.1重量%であり、20〜0.1重量%であるのが好ましく、15〜0.1重量%であるのがより好ましい。官能基を有するビニル系単量体としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、N−メチロール基、エポキシ基等の官能基を有するビニル系単量体を挙げることができる。これらの単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸エチレングリコール、アクリル酸ジプロピレングリコール、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0010】
上記、共重合体(I)は必要に応じて、さらに共重合可能なビニル系単量体単位を20重量%以下の割合で含有していてもよい。このようなビニル系単量体としては、例えば、スチレン、p−スチレンスルホン酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩などのスチレン系単量体;(メタ)アクリロニトリル類;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル類;(メタ)アクリルアミド;N−ビニル−2−ピロリドンなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0011】
共重合体(I)の重量平均分子量は、一般的に100,000〜1,000,000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は4〜15であるのが好ましい。なお、本明細書でいう重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリメチルメタクリレート検量線から求めた値である。
【0012】
共重合体(I)のガラス転移温度は、好ましくは−70℃〜0℃、より好ましくは−60℃〜−10℃の範囲内であるのがよい。ガラス転移温度が0℃を越える場合には、タックが低下する傾向がある。
【0013】
上記、共重合体(I)の製造法としては、公知のラジカル重合反応によって製造することができ、塊状重合、溶液重合、分散重合、乳化重合などの任意の公知の重合方法で行えばよい。重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、アゾビスイソブチロニトリル等の熱重合開始剤や、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン等の光重合開始剤等の公知の重合開始剤を用いることができる。
【0014】
本発明に使用するブロック共重合体(II)は、以下に述べる重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)から構成されており、例えば、A−B型ジブロック共重合体、A−B−A型トリブロック共重合体、B−A−B型トリブロック共重合体などを挙げることができる。これらのなかでも、A−B型ジブロック共重合体が好ましい。
【0015】
ブロック共重合体(II)を構成する重合体ブロック(A)は、オレフィン系単量体単位を全構造単位に対して50〜100重量%含有しており、70〜100重量%含有しているのが好ましく、80〜100重量%含有しているのがより好ましい。オレフィン系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン、ビニルシクロヘキサン、シクロペンタジエン、β−ピネンなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも、エチレン、プロピレン、イソブチレン、イソプレンを用いるのが好ましい。さらに、共役ジエンを用いる場合には、重合後に残存する不飽和結合を更に水素添加してもよい。
【0016】
重合体ブロック(A)は、必要に応じて、上記のオレフィン系単量体と共重合可能なビニル系単量体単位を50重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下の割合で含有していてもよい。オレフィン系単量体と共重合可能なビニル系単量体単位としては、例えば、スチレン、p−スチレンスルホン酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩などのスチレン系単量体;(メタ)アクリロニトリル類;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸およびそのエステル類;(メタ)アクリルアミド;N−ビニル−2−ピロリドンなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリルを用いるのが好ましい。
【0017】
ブロック共重合体(II)を構成する重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル酸エステル単位を全構造単位に対して55〜100重量%含有しており、70〜100重量%含有しているのが好ましく、90〜100重量%含有しているのがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0018】
重合体ブロック(B)は、必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体単位を、全構造単位に対して45重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは10重量%以下の割合で含有していてもよい。(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体単位としては、例えば、スチレン、p−スチレンスルホン酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩などのスチレン系単量体;(メタ)アクリロニトリル類;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル類;(メタ)アクリル酸類;(メタ)アクリルアミド;N−ビニル−2−ピロリドン;(メタ)アクリル酸グリシジルエステルなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0019】
重合体ブロック(A)の数平均分子量は、1,000〜100,000であるのが好ましく、2,500〜50,000であるのがより好ましい。重合体ブロック(B)の数平均分子量は、1,000〜100,000であるのが好ましく、2,500〜50,000であるのがより好ましい。ブロック共重合体(II)全体の数平均分子量は、2,000〜200,000であるのが好ましく、5,000〜100,000であるのがより好ましい。なお、本明細書でいう数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求めた値である。
【0020】
ブロック共重合体(II)の製造法は、特に制限はないが、例えば、末端にメルカプト基を有するオレフィン系重合体ブロック(A)の存在下に、重合体ブロック(B)を構成する単量体成分をラジカル重合することによりブロック共重合体(II)を製造する方法が、目的とする数平均分子量および分子量分布を有するブロック共重合体を簡便かつ効率的に得ることができるので好ましい。
【0021】
なお、末端にメルカプト基を有するオレフィン系重合体ブロック(A)は、各種方法により合成可能であり、例えば、末端に二重結合を有するポリオレフィン系樹脂に、チオ酢酸、チオ安息香酸、チオプロピオン酸、チオ酪酸またはチオ吉草酸などを付加させた後、酸またはアルカリで処理する方法や、オレフィンのアニオン重合において、停止剤としてエチレンスルフィドなどを用いる方法により合成することができる。
【0022】
本発明の樹脂組成物は、前記した共重合体(I)100重量部に対して、上記のブロック共重合体(II)を1〜200重量部、好ましくは10〜150重量部配合することにより得られる。ブロック共重合体(II)の配合割合が200重量部を超える場合には、得られる樹脂組成物の粘着性、耐熱性等が低下する。一方、1重量部未満の場合には、得られる樹脂組成物の非極性被着体に対する粘着性が十分に改善されない。
【0023】
本発明の樹脂組成物は、凝集力を向上させるため、必要に応じてさらに公知の架橋剤を適量含ませることができる。この架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トランスビニリレンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンジイソシアネート等の多官能ジイソシアネート化合物;これらのジイソシアネート化合物とジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールを反応させて得られるイソシアネート末端付加物;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の三量体、トリス−(イソシアネートヘキシル)ビュレットポリイソシアネート、メチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネートなどの化合物のイソシアネート基の全部または一部を、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン化合物、エタノール、プロパノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール類、アセトアミド、コハク酸イミド等の酸アミド又は酸イミド類、シクロヘキシルオキシム、アセトオキシム等のケトン又はアルデヒド等のオキシム類等のブロック化剤で保護したブロック化イソシアネート化合物などが挙げられる。
【0024】
本発明の樹脂組成物は、上記の他に必要に応じて、さらに以下の添加剤を配合することもできる。例えば、軟化点が80℃以上のロジン系、フェノール系あるいは石油変性樹脂等の粘着付与樹脂等が挙げられる。また、このような粘着付与樹脂に加えて、あるいはこの粘着付与樹脂に変えて、多官能オリゴマーを添加し、被着体への接着後、紫外線、放射線を照射して重合硬化させることでさらに大きな接着強度を得ることもできる。その他、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を含ませることもできる。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、前記した共重合体(I)、ブロック共重合体(II)および必要に応じて、上記した他の成分を混合することにより製造することができる。さらに、該樹脂組成物を適当な溶剤に溶解して使用することもできる。この溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、四塩化炭素、クロロホルム等の塩素系溶剤を挙げることができる。このようにして製造した、樹脂組成物を溶解した溶液は、ロールコーター、スプレー塗装等の方法で容易に塗布することができ、粘着剤として各種用途に使用することができる。
【0026】
本発明の樹脂組成物は、粘着特性に優れていて、極性の大小や有無を問わず、各種の他の材料(例えば、プラスティック、ゴム、金属、木材、セラミック、紙)と強固に粘着することができる。粘着しうるプラスティックとしては、例えば、ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体などの塩素含有ビニル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、半芳香族系ナイロンなどのポリアミド系樹脂;ポリスルフォン系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;ポリフッ化ビニリデン系樹脂などを挙げることができる。また、金属材料としては、例えば、鉄、アルミニウム、銅やステンレス、ブリキ、トタンなどの合金等を挙げることができる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、粘着力、保持力、ボールタック、透明性、耐候性は、下記の方法により測定または評価した。
【0028】
〔試験片の作成〕
各実施例または比較例で製造した樹脂組成物溶液を、厚さ38μmのポリエチレンフィルムにサイコロ型アプリケーターを用いて塗布し、次いで溶剤を除去して粉厚25μmの粘着テープを製造した。この粘着テープを以下の試験方法により評価した。
【0029】
〔粘着力〕
(1)ステンレス粘着力:試験板として、厚さ×幅×長さ=2×40×150mmのステンレス板を用い、「JIS−Z−0237、8.粘着力(180度引き剥がし法)」に規定されている試験方法に従って、ステンレスに対する粘着力(g/25mm)を評価した。
(2)PP粘着力:試験板として、厚さ×幅×長さ=2×40×150mmのポリプロピレン樹脂板を用い、「JIS−Z−0237、8.粘着力(180度引き剥がし法)」に規定されている試験方法に従って、ポリプロピレンに対する粘着力(g/25mm)を評価した。
(3)PE粘着力:試験板として、厚さ×幅×長さ=2×40×150mmのポリエチレン樹脂板を用い、「JIS−Z−0237、8.粘着力(180度引き剥がし法)」に規定されている試験方法に従って、ポリエチレンに対する粘着力(g/25mm)を評価した。
【0030】
〔保持力〕
「JIS−Z−0237、11.保持力」に規定されている試験方法によって保持力を評価した。但し、試験温度は80℃、荷重は1kgとし、15時間経過後のずれ距離を測定した。
【0031】
〔ボールタック〕
「JIS−Z−0237、12.タック(球転法)」に規定されている試験方法に従って試験し、ボールの最大径の大きさでタックを評価した。
【0032】
〔透明性〕
作成した粘着テープについて、日本精密光学社製のポイック積分球式ヘイズメーターを用いてへーズ値を測定した。ヘーズ値が大きい程、透明性が悪いことを示している。
【0033】
〔耐候性〕
粘着テープの糊面20cmの距離より、紫外線ランプ(1.1kw)により紫外線を80時間照射した後、色調を目視で評価した(○:照射前と照射後で色調に変化なし、×:照射後着色した)。
【0034】
参考例1
アクリル酸2−エチルヘキシル645g、アクリル酸ブチル230g、酢酸ビニル100g、アクリル酸25g、アクリル酸ヒドロキシエチル5gおよび酢酸エチル1000gを重合槽に仕込み、80℃で充分窒素置換した後、重合速度が15%/時間になるようにラジカル重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)を重合槽内に添加して重合を行った。重合率が99%以上になったことを確認し、重合を停止した。反応液を冷却後固形分濃度が40%になるように酢酸エチルを加えた。得られた共重合体(以下、「共重合体(I)」と称する)の重量平均分子量は670,000であった。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は5.6であった。
【0035】
参考例2
(1) ポリプロピレン(三菱化学株式会社製「三菱ノーブレンMH8」)を2軸押出機に供給し、420℃で溶融混練して熱分解させて、末端に二重結合を有するポリプロピレンを製造した。
(2) 上記(1)で得られた末端に二重結合を有するポリプロピレン100重量部、トルエン1000重量部およびチオ−S−酢酸30重量部を反応器に入れて、内部を充分窒素置換した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル10重量部を添加して、90℃で6時間反応させて、末端にチオアセチル基を有するポリプロピレンを製造した。
(3) 上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有するポリプロピレン60重量部を、トルエン100重量部とn−ブタノール20重量部の混合溶媒中に溶解し、水酸化カリウムの7%n-ブタノール溶液1重量部を添加して、窒素中トルエン環流温度で6時間反応させることにより、末端にメルカプト基を有するポリプロピレンを製造した。
(4) 上記(3)で得られた末端にメルカプト基を有するポリプロピレン50重量部をトルエン184重量部に溶解し、それにアクリル酸2−エチルヘキシル90重量部、アクリル酸ヒドロキシエチル10重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が一時間あたり約10%になるように1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を添加し、重合率が95%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後固形分濃度が40%になるようにトルエンを加えた。
(5) 上記の製造方法により、ポリプロピレンブロック(A)およびアクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体ブロック(B)〔アクリル酸2−エチルヘキシル:アクリル酸ヒドロキシエチル=90:10(重量比)〕から構成されるA−B型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(II−1)」と称する)を含有するトルエン溶液が得られた。得られたブロック共重合体(II−1)の重合体ブロック(A)の数平均分子量は11,000、重合体ブロック(B)の数平均分子量は20,000、ブロック共重合体(II−1)全体の数平均分子量は31,000であった。
【0036】
参考例3
(1) ポリエチレン(三井石油ポリエチ株式会社製「ハイゼックスHD700F」)を二軸押押出機に供給し、420℃で溶融混練して熱分解させて、末端に2重結合を有するポリエチレンを製造した。
(2) 上記(1)で得られた末端に二重結合を有するポリエチレン100重量部、トルエン1000重量部およびチオ−S−酢酸30重量部を反応器に入れて、内部を充分窒素置換した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル10重量部を添加して、90℃で6時間反応させて、末端にチオアセチル基を有するポリエチレンを製造した。
(3) 上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有するポリエチレン60重量部を、トルエン100重量部とn−ブタノール20重量部の混合溶媒中に溶解し、水酸化カリウムの7%n-ブタノール溶液1重量部を添加して、窒素中トルエン環流温度で6時間反応させることにより、末端にメルカプト基を有するポリエチレンを製造した。
(4) 上記(3)で得られた末端にメルカプト基を有するポリエチレン50重量部をトルエン184重量部に溶解し、それにアクリル酸2−エチルヘキシル90重量部、アクリル酸ヒドロキシエチル10重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が一時間あたり約10%になるように1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を添加し、重合率が95%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後固形分濃度が40%になるようにトルエンを加えた。
(5) 以上の製造方法により、ポリエチレンブロック(A)およびアクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体ブロック(B)〔アクリル酸2−エチルヘキシル:アクリル酸ヒドロキシエチル=90:10(重量比)〕から構成されるA−B型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(II−2)」と称する)を含有するトルエン溶液が得られた。得られたブロック共重合体(II−2)の重合体ブロック(A)の数平均分子量は8,200、重合体ブロック(B)の数平均分子量は17,000、ブロック共重合体(II−2)全体の数平均分子量は25,200であった。
【0037】
参考例4
(1) イソブチレン210重量部、塩化メチレン800重量部、メチルシクロヘキサン1200重量部、2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン6.5重量部、2,6−ジメチルピリジン0.98重量部およびピリジン3.5重量部を反応容器に仕込み、四塩化チタン12.3重量部を添加して、−78℃で4時間反応させることによりポリイソブチレンを製造した。このポリイソブチレン140重量部をテトラヒドロフラン6800重量部に溶解し、カリウム−t-ブトキシド280重量部を加えて20時間撹拌環流することによって、片末端に2重結合を有するポリイソブチレンを製造した。
(2) 上記(1)で得られた末端に二重結合を有するポリイソブチレン100重量部、トルエン200重量部およびチオ−S−酢酸11重量部を反応器に入れて、内部を充分窒素置換した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル10重量部を添加して、70℃で6時間反応させて、末端にチオアセチル基を有するポリイソブチレンを製造した。
(3) 上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有するポリイソブチレン80重量部を、トルエン200重量部とメタノール20重量部の混合溶媒中に溶解し、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液10重量部を添加して、窒素中65℃で6時間反応させることにより、末端にメルカプト基を有するポリイソブチレンを製造した。
(4) 上記(3)で得られた末端にメルカプト基を有するポリイソブチレン50重量部をトルエン284重量部に溶解し、それにアクリル酸2−エチルヘキシル90重量部、アクリル酸ヒドロキシエチル10重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が一時間あたり約10%になるように1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を添加し、重合率が95%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後固形分濃度が40%になるようにトルエンを加えた。
(5) 以上の製造方法により、ポリイソブチレンブロック(A)およびアクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体ブロック(B)〔アクリル酸2−エチルヘキシル:アクリル酸ヒドロキシエチル=90:10(重量比)〕から構成されるA−B型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(II−3)」と称する)を含有するトルエン溶液が得られた。得られたブロック共重合体(II−3)の重合体ブロック(A)の数平均分子量は8,000、重合体ブロック(B)の数平均分子量は16,000、ブロック共重合体(II−3)全体の数平均分子量は24,000であった。
【0038】
参考例5
アクリル酸2−エチルヘキシル612g、アクリル酸ブチル215g、酢酸ビニル98g、アクリル酸20g、アクリル酸ヒドロキシエチル5gおよび酢酸エチル950gを重合槽に仕込み、80℃で充分窒素置換した後、重合速度が15%/時間になるようにラジカル重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)を重合槽内に添加して重合を行った。その後、重合槽内に塩素化ポリプロピレン(三洋国策パルプ社製「スーパークローンS−206」)100gおよびアゾビスイソブチロニトリル10g、トルエン500g加えて80℃で3時間重合反応を行った後、冷却することで重合を停止した。冷却後固形分濃度が40%になるようにトルエンを加えた。以下、得られた共重合体を「塩素化PP共重合体」と称する。
【0039】
実施例1〜4
参考例1で製造した共重合体(I)含有溶液に、参考例2〜4で製造したブロック共重合体(II−1)〜ブロック共重合体(II−3)含有溶液を、固形分が下記の表1に示す割合となるように配合し、完全に均一になるまで混合した後、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製「コロネート L」)を溶液の固形分100重量部に対して1.5重量部の割合で加え、均一に混合することにより樹脂組成物溶液を製造した。これを用いて、上記した方法で試験片を作成し、粘着力、保持力、ボールタック、透明性、耐候性を上記した方法で評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0040】
比較例1
参考例1で製造した共重合体(I)含有溶液の固形分100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製「コロネート L」)を1.5重量部の割合で加え、均一に混合することにより樹脂組成物溶液を製造した。これを用いて、上記した方法で試験片を作成し、粘着力、保持力、ボールタック、透明性、耐候性を上記した方法で評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0041】
比較例2
参考例5で製造した塩素化PP共重合体含有溶液の固形分100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製「コロネート L」)を1.5重量部の割合で加え、均一に混合することにより樹脂組成物溶液を製造した。これを用いて、上記した方法で試験片を作成し、粘着力、保持力、ボールタック、透明性、耐候性を上記した方法で評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0042】
比較例3
参考例1で製造した共重合体(I)含有溶液に、参考例2で製造したブロック共重合体(II−1)含有溶液を、固形分が下記の表1に示す割合となるように配合し、完全に均一になるまで混合した後、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製「コロネート L」)を溶液の固形分100重量部に対して1.5重量部の割合で加え、均一に混合することにより樹脂組成物溶液を製造した。これを用いて、上記した方法で試験片を作成し、粘着力、保持力、ボールタック、透明性、耐候性を上記した方法で評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、ポリエチレンやポリプロピレン等の非極性被着体および金属や紙等の極性被着体のいずれにも優れた粘着特性を示し、且つ耐候性、透明性および耐熱性にも優れる。
Claims (2)
- (メタ)アクリル酸エステル単位を70〜99.9重量%および官能基を有するビニル系単量体単位を30〜0.1重量%含有する共重合体(I)100重量部に対して、オレフィン系単量体単位50〜100重量%および該単量体と共重合可能なビニル系単量体単位50〜0重量%よりなる重合体ブロック(A)、並びに(メタ)アクリル酸エステル単位55〜100重量%および該単量体と共重合可能なビニル系単量体単位45〜0重量%よりなる重合体ブロック(B)から構成されるブロック共重合体(II)を1〜200重量部配合してなる樹脂組成物。
- 請求項1記載の樹脂組成物からなる粘着剤。
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