JP3675942B2 - 吸着材 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は主として空気中の微量の悪臭成分を除去するために使用される、吸着速度が早く取扱性に優れた吸着材である。主な用途分野は、家庭用もしくは自動車用に搭載するエアーコンディショナー及び空気清浄機用に使用されるフィルターエレメントで、低圧損、高寿命の特徴を有し高速で空気を流した場合にも1パスで高い浄化度を達成できる。また、原料として天然素材を使用しているため使用後廃棄すれば土壌になり、焼却しても有害・有毒ガスが発生しないメリットがある。
【0002】
【従来の技術】
従来から微量成分の吸着材として活性炭が広く使用されているが、形状は一般に粉体または粒体で必ずしも取扱い易いとは言い難い。そこで活性炭粒子をフォーム材、不織布等の多孔性物質中に固定させた吸着材が試みられている。これらは粉体の様に、粉塵が発生するおそれがないので取扱いが便利であり、しかもガスは多孔性物質中の空隙を自由に流通し得るので、抵抗が少ないという利点もある。
【0003】
しかしながら従来からつくられているこのタイプの吸着材は、多孔性物質に含有されている活性炭粒子の表面がバインダーで被覆されているため、吸着能力のごく一部しか使用できないデメリットが指摘されていた。これは多孔性物質内部の組織に活性炭粒子を接着させる場合、活性炭粒子とバインダーを混合した場合には、粒子表面の大部分がバインダー層で被覆されることは避けられないからである。
【0004】
また、ポリウレタンフォームを生成させる時、プレポリマーに活性炭粒子を混合して調製する方法もある。この場合はかなり多量の活性炭粒子を混合すると、ポリウレタンフォームの発泡性が抑制されると共に、活性炭粒子の表面のかなり多くの部分がポリウレタン樹脂で被覆されたり、或いは細孔が目詰まりするため吸着能力が大幅に低下する。
【0005】
またこれらの問題点を解決するため、発泡ポリウレタン成型体の表面及び内部組織の外気との接触面にバインダー層を形成させた後、吸着材粒子を付着する方法も開示されている。特公平 4-35201号には発泡ポリウレタン成型体の表面及び内部組織の上にウレタン系プレポリマーを塗布した後、吸着材粒子を吹き付けて付着させる方法が開示されている。
【0006】
更に、これら吸着材の担体となる多孔性物質は殆どプラスチックでつくられているため、使用後土壌中に埋めたり或いは焼却処理する場合、公害を発生させることが多い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は活性炭原料を椰子殻から得る際に、多量に発生する椰子ハスクの多孔性構造を利用して、これに粒子表面の1部が露出している状態の活性炭粒子を接着させることによって、圧損失が低く吸着速度が高い吸着材を開発し、使用後土壌中に廃棄しても、また焼却しても有害・悪臭ガス等が発生しない吸着材を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は活性炭原料を椰子殻から得る際に、多量に発生する椰子ハスクの多孔性構造に注目した。激しい乱気流状態のガスが、充填密度が低い吸着剤層を通過するときには、ガスと吸着材の接触効率が著しく高められて悪臭ガスの除去性能が向上するため、圧損失が低く高風量のガス処理に適した構造となることに留意し、椰子殻ハスクを利用してその内部に吸着剤粒子があたかも空間に浮遊しているような状態で保持させ、通気性を阻害する度合いを極力低下できる構造について研究した。その結果、椰子殻ハスクを通気性が高い三次元構造に成型せしめ、ハスクを構成する繊維の表面に活性炭粒子をバインダーで点接着させることにより、吸着剤粒子が吸着材の内部で適度な空隙率を保持した状態とすることができることを見出し、これに基づいて本発明に到達した。
【0009】
すなわち、椰子殻ハスクを成型して得られた多孔性シートの表面及び内部組織の外気との接触面に、ラテックス或いはエマルジョンまたは溶媒を含まないポリマー系接着剤からなるバインダー層を形成させ、該バインダー層に活性炭粒子を接着せしめ、粒子表面の一部が露出された状態に保持されている吸着材である。または更に、多孔性シートの表面にこれらのバインダーのコート層を形成させた吸着材である。またはハスクを構成する繊維の表面にバインダー層を形成させ活性炭粒子を接着させた後、シート状に成型した吸着材も本発明に含まれている。ここで、活性炭粒子の粒径が多孔性シートの内部組織の平均空隙の30分の1以上、3分の1以下が好ましい。
【0010】
また、椰子殻ハスク成型体シートの表面及び、内部組織の外気との接触面にバインダー層を形成させた後、成型体シートを活性炭粒子の流動層中を通過させることにより、シートの表面及び内部組織の外気との接触面に活性炭粒子を付着させ、粒子表面の一部が露出された状態に保持させることを特徴とする吸着材の製法である。
【0011】
以下本発明について詳しく説明する。
【0012】
本発明の吸着材において、活性炭粒子の担体としては椰子殻ハスクを成型して得られた多孔性シートを使用する必要がある。ハスクは椰子殻から取り出された状態では繊維がラフに包絡された状態になっているが、これを叩解してシート状とし、ラテックス或いはエマルジョンまたは溶媒を含まないポリマー系接着剤を含浸させてロールで絞り、更に充分な通気性を付与すると共に多孔性を高めるためエアーブローした後、乾燥することによりハスクのシート状の多孔質成型体が得られる。乾燥後バインダー層の粘着性が低下した場合は更にバインダーを加えて粘着性を高めてもよい。
【0013】
または椰子殻から取り出したハスクをそのままのバルクの状態で、組織内部の繊維表面にバインダー層を形成させ活性炭粒子を接着させた後、ハスクをニードルパンチ或いはキルティング等によりシート状に成型してもよい。
【0014】
尚ここで、椰子殻ハスクの成型に使用されたラテックス或いはエマルジョンまたは溶媒を含まないポリマー系接着剤は、成型体組織の表面及び内部の繊維の外面に、これらのバインダーのコート層が生成された状態となっている。これが後述の様に活性炭粒子を担持させる時のバインダーの機能を有する。
【0015】
本発明の吸着材に含まれている活性炭は、通常1gあたり数100 m2或いはそれ以上の大きな表面積を有し、高い吸着性を示す炭素材料であれば広範囲に使用できる。活性炭の原料は通常ヤシ殻または木材等の炭化物或いは石炭が使用されるが何れでもよい。また賦活法も水蒸気或いは二酸化炭素により高温でまたは塩化亜鉛、リン酸、濃硫酸処理等いづれの方法により得られたものでもよい。
【0016】
活性炭は無極性吸着剤として極めて優れた吸着性を有する特異な物質で、殆どすべてのガス状或いは液状物質に対して高い吸着性を示すことが知られている。
【0017】
多孔性シートに担持させる活性炭粒子の大きさは特に限定せず、広範囲の粒度の粒子にその効果が認められる。しかし、吸着容量を保持すると共に圧損失を抑制するためには、粒子の平均粒径は内部組織の平均空隙の30分の1以上、3分の1以下が好ましい。粒子径が小さい程吸着速度が高くなるが、単位面積当たりの担持量が低下するため、悪臭ガス等の吸着容量が低下する傾向があるからである。また、粒子径が内部組織の平均空隙の3分の1以上になると、圧損失が上昇する度合いが高まるからである。
【0018】
更に、活性炭粒子の担体である椰子殻ハスク成型体は通気性も非常に高く、内部の空隙率がかなり高い組織であるが、活性炭粒子を内部組織の奥深い繊維の外面に充分接着させるためには、これより大きい粒子は不適当である。粒子径が大きくなると粒子を表面からスプレーして接着する場合、多孔性成型体シートの組織の内部深く迄侵入させることが困難で、大部分は成型体シートの表面或いは表面から浅い部分に付着し、使用中も摩擦その他で脱落し易い。これは後述の多孔性成型体シートへの活性炭粒子の接着方法とも関連するが、活性炭粒子をいかにして成型体シートの内部組織の奥深くまで均一に浸透させて接着するかは、本発明の吸着材の製法においてその性能を左右する最も重要な問題である。
【0019】
本発明において、椰子殻ハスク成型体シートまたはバルク状のハスクに活性炭粒子を接着させるためには、ラテックス或いはエマルジョンまたは溶媒を含まないポリマー系接着剤を使用する必要がある。尚、活性炭粒子の細孔の目詰まりを生じ難いものが好ましいため、ラテックス或いはエマルジョンは固形成分が多いものが適し、30%以上が好ましく、より好ましくは50%以上である。
【0020】
ここで、ラテックス或いはエマルジョンとは分散媒である水中に、ゴム系粒子或いは接着性を有するポリマー粒子が分散された状態を指している。ラテックスとしてはクロロプレン、ニトリルゴム、SBR 等各種合成ゴム系のラテックス等が挙げられ、エマルジョンとしてはアクリル酸エステルとアクリル酸、メタクリル酸エステルを共重合させたアクリル系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン或いは酢酸ビニル樹脂エマルジョンが使用出来る。
【0021】
溶媒を含まないポリマー系接着剤としては有機溶媒または水を含まない、接着性を有するプレポリマー等で、本発明の接着材には合成ゴム系の分室が好ましく、例えば、NCO 過剰のウレタン系プレポリマー、より好ましくは MDI(メチレンジイソシアネート)ベースのウレタン系プレポリマーが好ましい。 MDIベースのプレポリマーは TDI(トリレンジイソシアネート)ベースのプレポリマーより遊離イソシアネートが発生し難く、吸着体粒子への吸着が少ないため好ましい。
【0022】
NCO 過剰のウレタン系プレポリマーを使用する場合、粘度を調節するために、場合によっては少量の有機溶剤を加えて多孔性成型体シートに含浸或いは塗布した後、温風乾燥等により大部分の有機溶剤を除去して成型体シートの表面及び内部組織の繊維表面に、バインダー層を形成させその上に活性炭粒子を付着させてもよい。
【0023】
多孔性ハスク成型体シートの表面及び内部組織の繊維外面にバインダーを付着させるには、このシートをラテックスまたはエマルジョン等のバインダーを満たした浴に浸漬した後、過剰のバインダーをロールで除去する方法、或いはスプレーやコーターで表面に塗布した後、ロールで絞り付着しているバインダーを組織の内部まで浸透させる方法等がある。更に、エアーブローして包絡した繊維間に生成した皮膜を除去した後乾燥させる方法によって、シートの表面及び内部の繊維組織の外気との接触面にバインダー層を形成させることができる。
【0024】
または椰子殻から取り出したハスクをバルクの状態で、前述の様に組織内部の繊維表面にバインダー層を形成させることができる。表面及び内部組織の繊維表面にバインダー層が形成されている、ハスク成型体シート或いはバルク状のハスクに活性炭粒子を接着させるには、流動層通過法或いは粉体スプレー法、篩落下法等適宜の方法を採用することができる。
【0025】
流動層通過法は組織内部の繊維外面にバインダー層を形成せしめた多孔性シートを、活性炭粒子の流動層の中を通常水平に通過させることにより、シート組織の内部に粒子を浸透させる方法である。流動層は活性炭粒子を一定の深さに充填した槽に、下部の分散板を通してガスを吹き込んで流動層を形成させるが、ガスの吹込速度は最小流動化速度に比較的近いガス速度領域で、多孔性シートを通過させた場合にも、粒子はシート組織の奥深く迄均等に浸透させることができる特徴がある。
【0026】
その他の方法では、大部分の粒子が表面或いは表面近くの浅い組織に付着し易く、内部には充分付着させことが困難である。しかし流動層通過法は、流動状態を活性炭粒子の粒度に合わせて、ガス吹込速度によって調節し、更にシートの流動層内の滞留時間を調節することにより、シートの内部組織に、活性炭粒子を均一に付着することができるため、本発明の吸着材の粒子付着工程に最も適している。
【0027】
粉体スプレー法或いは篩落下法の場合には、成型体シートまたはバルク状のハスクを適宜反転させて、シートの両側から活性炭粒子を吹き付け、または粒子を落下させることにより、組織の内部にまで粒子を付着させることができる。更に、シートに活性炭粒子付着工程中或いは付着させた後、成型体シートまたはバルク状のハスクを振動させることによって、組織内部の奥深い部分への粒子の進入及び、組織を構成する繊維外面のバインダー層への付着を促進させることができる。
【0028】
成型体シートに活性炭粒子を付着させた後、一組または複数組のピンチ・ロールの間を通してシートを軽く圧迫することにより、粒子をバインダー層に強固に接着させることができる。この際ロールの1部或いは全部に加熱ロールを使用して接着を促進させることもできる。
【0029】
前記の様にして得られた多孔性シートに含まれる活性炭粒子は、流動層通過法等によって一旦その内部組織のバインダー層の表面に付着された後、加熱圧着工程によって強固にバインダー層に接着されるため、粒子表面のかなり多くの部分が露出した状態となっている。これは本発明の吸着材の構造の最も大きな特徴の一つである。
【0030】
活性炭粒子を付着させたバルクの状のハスクは、軽くプレスして粒子をバインダー層に接着させた後、シート状に引き揃えニードルパンチ或いはキルティング等によりシート状に成型され、要すれば更に圧着処理を施して成型体シートが得られる。
【0031】
従来活性炭粒子を担体に担持させる場合、主として粒子をラテックスまたはエマルジョン等のバインダーと混合して塗布する方法が用いられた。この方法では活性炭粒子の表面がバインダーで被覆されているため、活性炭の吸着性が阻害されることが避けられなかった。しかし、前述の様に本発明で得られた多孔性シートは活性炭粒子表面が露出した状態となっているため、個々の活性炭粒子の吸着容量が大きく吸着速度も高い特徴がある。
【0032】
ピンチ・ロールのクリアランスは適宜設定できるが、シートの厚さの50〜80%が好ましい。また、ポリウレタン系のプレポリマー層に活性炭粒子を接着させる場合には、加熱水蒸気処理によって接着力を更に向上させることができる。
【0033】
成型体シート表面に接着された粒子は、使用中摩擦その他のため脱落し易いから、これを防止するためシートの表面に更にラテックス或いはエマルジョンまたは溶媒を含まないポリマー系接着剤を塗布することができる。
【0034】
バインダーの種類は、シート組織内部に含浸させたものと必ずしも同一でなくてもよく、その適用性を考慮して異なった種類のバインダーを使用してもよい。バインダーを塗布した部分の活性炭粒子表面は、薄いバインダー層で被覆されているため、吸着性は低下するが、被覆される表面の粒子の比率は全体からみるとごく一部であるから、吸着材全体の機能低下は僅少である。
【0035】
更に、本発明の吸着材は一層でも使用することができるが、複数枚積層またはプリーツ状として用いることも可能である。プリーツ状に加工する際には吸着材シートに紙、不織布、エレクトレット不織布、導電性シート、磁性シート或いは酸化触媒性を有するシート等を重ねて成型することもできる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0037】
(実施例1)
椰子殻ハスクを通気性を有する三次元構造に成型せしめた、厚み5mmの多孔性シートに SBRラテックスを含浸させ、絞り用ゴムロールでラテックスの目付量を調整し、エアーブローをかけることにより、この成型体組織内部に生成したラテックスの膜を取り除き、成型体シートの表面及び内部組織の外面にもバインダー層を生成させた。そのシートを椰子殻を原料とした粒度28〜70 mesh に調整した破砕状活性炭粒子の流動層の中を通過させて、活性炭粒子を多孔性シートの表面及び内部組織のバインダー層に付着させた。
【0038】
更に、多孔性シートを押さえロールに通し、バインダー層に付着していた活性炭粒子を圧着して強固に接着させた。過剰に付着している活性炭粒子を充分に振り落とした後、140 ℃で乾燥して活性炭粒子を含む椰子殻ハスク成型体シートを得た。
【0039】
(実施例2)
椰子殻ハスクを通気性を有する三次元構造に成型せしめた厚み10mmの多孔性成型シートを、SBR ラテックスに含浸させ絞り用ゴムロールでラテックス目付量を調整し、エアーブローをかけることによりこの成型体組織内部に生成したラテックスの膜を取り除き、成型体シートの表面及び内部組織にもバインダー層を生成させた。そのシートを椰子殻を原料とした粒度70〜100mesh に調整した破砕状活性炭及び同サイズのアニリン、リンゴ酸、鉄塩を担持させた活性炭混合物の流動層の中を通過させ、活性炭粒子を多孔性シートの表面及び内部組織外面のバインダー層に付着させた。
【0040】
更に多孔性シートを押さえロールに通し、バインダー層に付着していた活性炭粒子を圧着して強固に接着させた。過剰に付着している活性炭粒子及び強固に接着されていない粒子を振り落とした後、更に多孔性シートの表面に SBRラテックスを吹き付け、140 ℃で乾燥して活性炭粒子を含む椰子殻ハスク成型体シートを得た。
【0041】
(実施例3)
椰子殻から取り出したハスクをバルクの状態で実施例1と同様にして、SBR ラテックスに浸漬し、軽くプレスしてラテックスの目付量を調整し、エアーブローをかけて、バルクの組織内部に生成したラテックスの膜を取り除き、バルクの表面及び内部組織の繊維外面にもバインダー層を生成させた。
【0042】
そのバルクに椰子殻を原料とした粒度70〜100mesh に調整した破砕状活性炭粒子を組織内部に浸透する様に吹き付け、活性炭粒子をバルクの表面及び内部組織のバインダー層に付着させた。
【0043】
更に、バルクをシート状に引き揃え加熱したピンチ・ロールで圧着して、付着していた活性炭粒子をバインダー層に強固に接着させた。更に、ニードル・パンチによりシート状に成型し過剰に付着している活性炭粒子を充分に振り落とした後、140 ℃で乾燥して活性炭粒子を含む椰子殻ハスク成型体シートを得た。
【0044】
実施例1及び2で得られた椰子殻ハスク成型体シートの活性炭粒子接着量はそれぞれ 0.25 及び0.10g/mlであり、また JIS K1474 -1975によって測定したベンゼン吸着量はそれぞれ 0.10 及び 0.04 g/mlとなって、いずれも良好な吸着性を有することが分かった。また、実施例3で得られた成型体シートもほぼ実施例1と同じ吸着性能を有することが分かった。
【0045】
また、実施例2で得られた椰子殻ハスク成型体シート 200×200 ×10mmをそれぞれ悪臭成分である硫化水素 500 ppmまたはトリメチルアミン 100 ppm及びアセトアルデヒド 50 ppm を含む容量1m×1m×1mのボックス中に入れ、空気を循環しながら放置した結果、いずれも20分で臭気が殆ど総て除去された。
【0046】
更に、前述の様にして得られた椰子殻ハスク成型体吸着剤と、比較のためポリウレタン発泡体を担体として同様に活性炭粒子を接着した吸着剤を作成し、適度な湿気を含む土壌中に埋め6ケ月経過後の状態を調べた。
【0047】
その結果、ポリウレタン発泡体に活性炭粒子接着した吸着材は原形のままであったが、椰子ハスク成型体シートに活性炭粒子接着した吸着材は、ベースのハスクは腐ってぼそぼそな状態となり、活性炭粒子と混合した状態になっていた。腐ったハスクは堆肥及び多孔性による土壌改良作用があり、また活性炭粒子も経験的に土壌改良効果を有することが知られている。従って、吸着材として使用した後埋めることにより、公害を発生させない様に処理することが可能である。
【0048】
ポリウレタン発泡体に活性炭粒子を接着した吸着剤は燃焼すると、有害ガス
(CO,HCN)が発生するが、天然素材の椰子ハスク成型体に活性炭粒子を接着した吸着材は燃焼しても、ポリウレタンの様な有害ガスは検知されなかった。
【0049】
【発明の効果】
本発明の吸着材は吸着剤粒子間の空隙率が高い状態で均一に分散され、且つ活性炭粒子の表面が露出した状態で保持されているため、吸着速度が高く吸着容量も大きい。更に、圧損失が低いためガスの流動性が乏しい雰囲気或いは風量が大きい状態での使用に適している。また、本吸着材の担体は天然素材である椰子殻ハスクであるから使用後土壌中に埋めても、焼却しても公害を起こすおそれがない。
【発明の属する技術分野】
本発明は主として空気中の微量の悪臭成分を除去するために使用される、吸着速度が早く取扱性に優れた吸着材である。主な用途分野は、家庭用もしくは自動車用に搭載するエアーコンディショナー及び空気清浄機用に使用されるフィルターエレメントで、低圧損、高寿命の特徴を有し高速で空気を流した場合にも1パスで高い浄化度を達成できる。また、原料として天然素材を使用しているため使用後廃棄すれば土壌になり、焼却しても有害・有毒ガスが発生しないメリットがある。
【0002】
【従来の技術】
従来から微量成分の吸着材として活性炭が広く使用されているが、形状は一般に粉体または粒体で必ずしも取扱い易いとは言い難い。そこで活性炭粒子をフォーム材、不織布等の多孔性物質中に固定させた吸着材が試みられている。これらは粉体の様に、粉塵が発生するおそれがないので取扱いが便利であり、しかもガスは多孔性物質中の空隙を自由に流通し得るので、抵抗が少ないという利点もある。
【0003】
しかしながら従来からつくられているこのタイプの吸着材は、多孔性物質に含有されている活性炭粒子の表面がバインダーで被覆されているため、吸着能力のごく一部しか使用できないデメリットが指摘されていた。これは多孔性物質内部の組織に活性炭粒子を接着させる場合、活性炭粒子とバインダーを混合した場合には、粒子表面の大部分がバインダー層で被覆されることは避けられないからである。
【0004】
また、ポリウレタンフォームを生成させる時、プレポリマーに活性炭粒子を混合して調製する方法もある。この場合はかなり多量の活性炭粒子を混合すると、ポリウレタンフォームの発泡性が抑制されると共に、活性炭粒子の表面のかなり多くの部分がポリウレタン樹脂で被覆されたり、或いは細孔が目詰まりするため吸着能力が大幅に低下する。
【0005】
またこれらの問題点を解決するため、発泡ポリウレタン成型体の表面及び内部組織の外気との接触面にバインダー層を形成させた後、吸着材粒子を付着する方法も開示されている。特公平 4-35201号には発泡ポリウレタン成型体の表面及び内部組織の上にウレタン系プレポリマーを塗布した後、吸着材粒子を吹き付けて付着させる方法が開示されている。
【0006】
更に、これら吸着材の担体となる多孔性物質は殆どプラスチックでつくられているため、使用後土壌中に埋めたり或いは焼却処理する場合、公害を発生させることが多い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は活性炭原料を椰子殻から得る際に、多量に発生する椰子ハスクの多孔性構造を利用して、これに粒子表面の1部が露出している状態の活性炭粒子を接着させることによって、圧損失が低く吸着速度が高い吸着材を開発し、使用後土壌中に廃棄しても、また焼却しても有害・悪臭ガス等が発生しない吸着材を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は活性炭原料を椰子殻から得る際に、多量に発生する椰子ハスクの多孔性構造に注目した。激しい乱気流状態のガスが、充填密度が低い吸着剤層を通過するときには、ガスと吸着材の接触効率が著しく高められて悪臭ガスの除去性能が向上するため、圧損失が低く高風量のガス処理に適した構造となることに留意し、椰子殻ハスクを利用してその内部に吸着剤粒子があたかも空間に浮遊しているような状態で保持させ、通気性を阻害する度合いを極力低下できる構造について研究した。その結果、椰子殻ハスクを通気性が高い三次元構造に成型せしめ、ハスクを構成する繊維の表面に活性炭粒子をバインダーで点接着させることにより、吸着剤粒子が吸着材の内部で適度な空隙率を保持した状態とすることができることを見出し、これに基づいて本発明に到達した。
【0009】
すなわち、椰子殻ハスクを成型して得られた多孔性シートの表面及び内部組織の外気との接触面に、ラテックス或いはエマルジョンまたは溶媒を含まないポリマー系接着剤からなるバインダー層を形成させ、該バインダー層に活性炭粒子を接着せしめ、粒子表面の一部が露出された状態に保持されている吸着材である。または更に、多孔性シートの表面にこれらのバインダーのコート層を形成させた吸着材である。またはハスクを構成する繊維の表面にバインダー層を形成させ活性炭粒子を接着させた後、シート状に成型した吸着材も本発明に含まれている。ここで、活性炭粒子の粒径が多孔性シートの内部組織の平均空隙の30分の1以上、3分の1以下が好ましい。
【0010】
また、椰子殻ハスク成型体シートの表面及び、内部組織の外気との接触面にバインダー層を形成させた後、成型体シートを活性炭粒子の流動層中を通過させることにより、シートの表面及び内部組織の外気との接触面に活性炭粒子を付着させ、粒子表面の一部が露出された状態に保持させることを特徴とする吸着材の製法である。
【0011】
以下本発明について詳しく説明する。
【0012】
本発明の吸着材において、活性炭粒子の担体としては椰子殻ハスクを成型して得られた多孔性シートを使用する必要がある。ハスクは椰子殻から取り出された状態では繊維がラフに包絡された状態になっているが、これを叩解してシート状とし、ラテックス或いはエマルジョンまたは溶媒を含まないポリマー系接着剤を含浸させてロールで絞り、更に充分な通気性を付与すると共に多孔性を高めるためエアーブローした後、乾燥することによりハスクのシート状の多孔質成型体が得られる。乾燥後バインダー層の粘着性が低下した場合は更にバインダーを加えて粘着性を高めてもよい。
【0013】
または椰子殻から取り出したハスクをそのままのバルクの状態で、組織内部の繊維表面にバインダー層を形成させ活性炭粒子を接着させた後、ハスクをニードルパンチ或いはキルティング等によりシート状に成型してもよい。
【0014】
尚ここで、椰子殻ハスクの成型に使用されたラテックス或いはエマルジョンまたは溶媒を含まないポリマー系接着剤は、成型体組織の表面及び内部の繊維の外面に、これらのバインダーのコート層が生成された状態となっている。これが後述の様に活性炭粒子を担持させる時のバインダーの機能を有する。
【0015】
本発明の吸着材に含まれている活性炭は、通常1gあたり数100 m2或いはそれ以上の大きな表面積を有し、高い吸着性を示す炭素材料であれば広範囲に使用できる。活性炭の原料は通常ヤシ殻または木材等の炭化物或いは石炭が使用されるが何れでもよい。また賦活法も水蒸気或いは二酸化炭素により高温でまたは塩化亜鉛、リン酸、濃硫酸処理等いづれの方法により得られたものでもよい。
【0016】
活性炭は無極性吸着剤として極めて優れた吸着性を有する特異な物質で、殆どすべてのガス状或いは液状物質に対して高い吸着性を示すことが知られている。
【0017】
多孔性シートに担持させる活性炭粒子の大きさは特に限定せず、広範囲の粒度の粒子にその効果が認められる。しかし、吸着容量を保持すると共に圧損失を抑制するためには、粒子の平均粒径は内部組織の平均空隙の30分の1以上、3分の1以下が好ましい。粒子径が小さい程吸着速度が高くなるが、単位面積当たりの担持量が低下するため、悪臭ガス等の吸着容量が低下する傾向があるからである。また、粒子径が内部組織の平均空隙の3分の1以上になると、圧損失が上昇する度合いが高まるからである。
【0018】
更に、活性炭粒子の担体である椰子殻ハスク成型体は通気性も非常に高く、内部の空隙率がかなり高い組織であるが、活性炭粒子を内部組織の奥深い繊維の外面に充分接着させるためには、これより大きい粒子は不適当である。粒子径が大きくなると粒子を表面からスプレーして接着する場合、多孔性成型体シートの組織の内部深く迄侵入させることが困難で、大部分は成型体シートの表面或いは表面から浅い部分に付着し、使用中も摩擦その他で脱落し易い。これは後述の多孔性成型体シートへの活性炭粒子の接着方法とも関連するが、活性炭粒子をいかにして成型体シートの内部組織の奥深くまで均一に浸透させて接着するかは、本発明の吸着材の製法においてその性能を左右する最も重要な問題である。
【0019】
本発明において、椰子殻ハスク成型体シートまたはバルク状のハスクに活性炭粒子を接着させるためには、ラテックス或いはエマルジョンまたは溶媒を含まないポリマー系接着剤を使用する必要がある。尚、活性炭粒子の細孔の目詰まりを生じ難いものが好ましいため、ラテックス或いはエマルジョンは固形成分が多いものが適し、30%以上が好ましく、より好ましくは50%以上である。
【0020】
ここで、ラテックス或いはエマルジョンとは分散媒である水中に、ゴム系粒子或いは接着性を有するポリマー粒子が分散された状態を指している。ラテックスとしてはクロロプレン、ニトリルゴム、SBR 等各種合成ゴム系のラテックス等が挙げられ、エマルジョンとしてはアクリル酸エステルとアクリル酸、メタクリル酸エステルを共重合させたアクリル系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン或いは酢酸ビニル樹脂エマルジョンが使用出来る。
【0021】
溶媒を含まないポリマー系接着剤としては有機溶媒または水を含まない、接着性を有するプレポリマー等で、本発明の接着材には合成ゴム系の分室が好ましく、例えば、NCO 過剰のウレタン系プレポリマー、より好ましくは MDI(メチレンジイソシアネート)ベースのウレタン系プレポリマーが好ましい。 MDIベースのプレポリマーは TDI(トリレンジイソシアネート)ベースのプレポリマーより遊離イソシアネートが発生し難く、吸着体粒子への吸着が少ないため好ましい。
【0022】
NCO 過剰のウレタン系プレポリマーを使用する場合、粘度を調節するために、場合によっては少量の有機溶剤を加えて多孔性成型体シートに含浸或いは塗布した後、温風乾燥等により大部分の有機溶剤を除去して成型体シートの表面及び内部組織の繊維表面に、バインダー層を形成させその上に活性炭粒子を付着させてもよい。
【0023】
多孔性ハスク成型体シートの表面及び内部組織の繊維外面にバインダーを付着させるには、このシートをラテックスまたはエマルジョン等のバインダーを満たした浴に浸漬した後、過剰のバインダーをロールで除去する方法、或いはスプレーやコーターで表面に塗布した後、ロールで絞り付着しているバインダーを組織の内部まで浸透させる方法等がある。更に、エアーブローして包絡した繊維間に生成した皮膜を除去した後乾燥させる方法によって、シートの表面及び内部の繊維組織の外気との接触面にバインダー層を形成させることができる。
【0024】
または椰子殻から取り出したハスクをバルクの状態で、前述の様に組織内部の繊維表面にバインダー層を形成させることができる。表面及び内部組織の繊維表面にバインダー層が形成されている、ハスク成型体シート或いはバルク状のハスクに活性炭粒子を接着させるには、流動層通過法或いは粉体スプレー法、篩落下法等適宜の方法を採用することができる。
【0025】
流動層通過法は組織内部の繊維外面にバインダー層を形成せしめた多孔性シートを、活性炭粒子の流動層の中を通常水平に通過させることにより、シート組織の内部に粒子を浸透させる方法である。流動層は活性炭粒子を一定の深さに充填した槽に、下部の分散板を通してガスを吹き込んで流動層を形成させるが、ガスの吹込速度は最小流動化速度に比較的近いガス速度領域で、多孔性シートを通過させた場合にも、粒子はシート組織の奥深く迄均等に浸透させることができる特徴がある。
【0026】
その他の方法では、大部分の粒子が表面或いは表面近くの浅い組織に付着し易く、内部には充分付着させことが困難である。しかし流動層通過法は、流動状態を活性炭粒子の粒度に合わせて、ガス吹込速度によって調節し、更にシートの流動層内の滞留時間を調節することにより、シートの内部組織に、活性炭粒子を均一に付着することができるため、本発明の吸着材の粒子付着工程に最も適している。
【0027】
粉体スプレー法或いは篩落下法の場合には、成型体シートまたはバルク状のハスクを適宜反転させて、シートの両側から活性炭粒子を吹き付け、または粒子を落下させることにより、組織の内部にまで粒子を付着させることができる。更に、シートに活性炭粒子付着工程中或いは付着させた後、成型体シートまたはバルク状のハスクを振動させることによって、組織内部の奥深い部分への粒子の進入及び、組織を構成する繊維外面のバインダー層への付着を促進させることができる。
【0028】
成型体シートに活性炭粒子を付着させた後、一組または複数組のピンチ・ロールの間を通してシートを軽く圧迫することにより、粒子をバインダー層に強固に接着させることができる。この際ロールの1部或いは全部に加熱ロールを使用して接着を促進させることもできる。
【0029】
前記の様にして得られた多孔性シートに含まれる活性炭粒子は、流動層通過法等によって一旦その内部組織のバインダー層の表面に付着された後、加熱圧着工程によって強固にバインダー層に接着されるため、粒子表面のかなり多くの部分が露出した状態となっている。これは本発明の吸着材の構造の最も大きな特徴の一つである。
【0030】
活性炭粒子を付着させたバルクの状のハスクは、軽くプレスして粒子をバインダー層に接着させた後、シート状に引き揃えニードルパンチ或いはキルティング等によりシート状に成型され、要すれば更に圧着処理を施して成型体シートが得られる。
【0031】
従来活性炭粒子を担体に担持させる場合、主として粒子をラテックスまたはエマルジョン等のバインダーと混合して塗布する方法が用いられた。この方法では活性炭粒子の表面がバインダーで被覆されているため、活性炭の吸着性が阻害されることが避けられなかった。しかし、前述の様に本発明で得られた多孔性シートは活性炭粒子表面が露出した状態となっているため、個々の活性炭粒子の吸着容量が大きく吸着速度も高い特徴がある。
【0032】
ピンチ・ロールのクリアランスは適宜設定できるが、シートの厚さの50〜80%が好ましい。また、ポリウレタン系のプレポリマー層に活性炭粒子を接着させる場合には、加熱水蒸気処理によって接着力を更に向上させることができる。
【0033】
成型体シート表面に接着された粒子は、使用中摩擦その他のため脱落し易いから、これを防止するためシートの表面に更にラテックス或いはエマルジョンまたは溶媒を含まないポリマー系接着剤を塗布することができる。
【0034】
バインダーの種類は、シート組織内部に含浸させたものと必ずしも同一でなくてもよく、その適用性を考慮して異なった種類のバインダーを使用してもよい。バインダーを塗布した部分の活性炭粒子表面は、薄いバインダー層で被覆されているため、吸着性は低下するが、被覆される表面の粒子の比率は全体からみるとごく一部であるから、吸着材全体の機能低下は僅少である。
【0035】
更に、本発明の吸着材は一層でも使用することができるが、複数枚積層またはプリーツ状として用いることも可能である。プリーツ状に加工する際には吸着材シートに紙、不織布、エレクトレット不織布、導電性シート、磁性シート或いは酸化触媒性を有するシート等を重ねて成型することもできる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0037】
(実施例1)
椰子殻ハスクを通気性を有する三次元構造に成型せしめた、厚み5mmの多孔性シートに SBRラテックスを含浸させ、絞り用ゴムロールでラテックスの目付量を調整し、エアーブローをかけることにより、この成型体組織内部に生成したラテックスの膜を取り除き、成型体シートの表面及び内部組織の外面にもバインダー層を生成させた。そのシートを椰子殻を原料とした粒度28〜70 mesh に調整した破砕状活性炭粒子の流動層の中を通過させて、活性炭粒子を多孔性シートの表面及び内部組織のバインダー層に付着させた。
【0038】
更に、多孔性シートを押さえロールに通し、バインダー層に付着していた活性炭粒子を圧着して強固に接着させた。過剰に付着している活性炭粒子を充分に振り落とした後、140 ℃で乾燥して活性炭粒子を含む椰子殻ハスク成型体シートを得た。
【0039】
(実施例2)
椰子殻ハスクを通気性を有する三次元構造に成型せしめた厚み10mmの多孔性成型シートを、SBR ラテックスに含浸させ絞り用ゴムロールでラテックス目付量を調整し、エアーブローをかけることによりこの成型体組織内部に生成したラテックスの膜を取り除き、成型体シートの表面及び内部組織にもバインダー層を生成させた。そのシートを椰子殻を原料とした粒度70〜100mesh に調整した破砕状活性炭及び同サイズのアニリン、リンゴ酸、鉄塩を担持させた活性炭混合物の流動層の中を通過させ、活性炭粒子を多孔性シートの表面及び内部組織外面のバインダー層に付着させた。
【0040】
更に多孔性シートを押さえロールに通し、バインダー層に付着していた活性炭粒子を圧着して強固に接着させた。過剰に付着している活性炭粒子及び強固に接着されていない粒子を振り落とした後、更に多孔性シートの表面に SBRラテックスを吹き付け、140 ℃で乾燥して活性炭粒子を含む椰子殻ハスク成型体シートを得た。
【0041】
(実施例3)
椰子殻から取り出したハスクをバルクの状態で実施例1と同様にして、SBR ラテックスに浸漬し、軽くプレスしてラテックスの目付量を調整し、エアーブローをかけて、バルクの組織内部に生成したラテックスの膜を取り除き、バルクの表面及び内部組織の繊維外面にもバインダー層を生成させた。
【0042】
そのバルクに椰子殻を原料とした粒度70〜100mesh に調整した破砕状活性炭粒子を組織内部に浸透する様に吹き付け、活性炭粒子をバルクの表面及び内部組織のバインダー層に付着させた。
【0043】
更に、バルクをシート状に引き揃え加熱したピンチ・ロールで圧着して、付着していた活性炭粒子をバインダー層に強固に接着させた。更に、ニードル・パンチによりシート状に成型し過剰に付着している活性炭粒子を充分に振り落とした後、140 ℃で乾燥して活性炭粒子を含む椰子殻ハスク成型体シートを得た。
【0044】
実施例1及び2で得られた椰子殻ハスク成型体シートの活性炭粒子接着量はそれぞれ 0.25 及び0.10g/mlであり、また JIS K1474 -1975によって測定したベンゼン吸着量はそれぞれ 0.10 及び 0.04 g/mlとなって、いずれも良好な吸着性を有することが分かった。また、実施例3で得られた成型体シートもほぼ実施例1と同じ吸着性能を有することが分かった。
【0045】
また、実施例2で得られた椰子殻ハスク成型体シート 200×200 ×10mmをそれぞれ悪臭成分である硫化水素 500 ppmまたはトリメチルアミン 100 ppm及びアセトアルデヒド 50 ppm を含む容量1m×1m×1mのボックス中に入れ、空気を循環しながら放置した結果、いずれも20分で臭気が殆ど総て除去された。
【0046】
更に、前述の様にして得られた椰子殻ハスク成型体吸着剤と、比較のためポリウレタン発泡体を担体として同様に活性炭粒子を接着した吸着剤を作成し、適度な湿気を含む土壌中に埋め6ケ月経過後の状態を調べた。
【0047】
その結果、ポリウレタン発泡体に活性炭粒子接着した吸着材は原形のままであったが、椰子ハスク成型体シートに活性炭粒子接着した吸着材は、ベースのハスクは腐ってぼそぼそな状態となり、活性炭粒子と混合した状態になっていた。腐ったハスクは堆肥及び多孔性による土壌改良作用があり、また活性炭粒子も経験的に土壌改良効果を有することが知られている。従って、吸着材として使用した後埋めることにより、公害を発生させない様に処理することが可能である。
【0048】
ポリウレタン発泡体に活性炭粒子を接着した吸着剤は燃焼すると、有害ガス
(CO,HCN)が発生するが、天然素材の椰子ハスク成型体に活性炭粒子を接着した吸着材は燃焼しても、ポリウレタンの様な有害ガスは検知されなかった。
【0049】
【発明の効果】
本発明の吸着材は吸着剤粒子間の空隙率が高い状態で均一に分散され、且つ活性炭粒子の表面が露出した状態で保持されているため、吸着速度が高く吸着容量も大きい。更に、圧損失が低いためガスの流動性が乏しい雰囲気或いは風量が大きい状態での使用に適している。また、本吸着材の担体は天然素材である椰子殻ハスクであるから使用後土壌中に埋めても、焼却しても公害を起こすおそれがない。
Claims (5)
- 椰子殻ハスクを成型して得られた多孔性シートの表面及び内部組織の外気との接触面に、ラテックス或いはエマルジョンまたは溶媒を含まないポリマー系接着剤からなるバインダー層を形成させ、該バインダー層に活性炭粒子を接着せしめ粒子表面の一部が露出された状態に保持せしめてなる吸着材。
- 椰子殻ハスクを成型して得られた多孔性シートの表面及び内部組織の外気との接触面に、ラテックス或いはエマルジョンまたは溶媒を含まないポリマー系接着剤からなるバインダー層を形成させ、該バインダー層に活性炭粒子を接着せしめ粒子表面の一部が露出された状態に保持せしめ、更に多孔性シートの表面をラテックス或いはエマルジョンまたは溶媒を含まないポリマー系接着剤からなるコート層を形成せしめてなる吸着材。
- 椰子殻ハスクの表面及び内部組織の繊維表面に、ラテックス或いはエマルジョンまたは溶媒を含まないポリマー系接着剤からなるバインダー層を形成させ、該バインダー層に活性炭粒子を接着させ粒子表面の一部が露出された状態を保持して、ハスクをシート状に成型せしめてなる吸着材。
- 活性炭粒子の粒径が多孔性シートの内部組織の平均空隙の30分の1以上、3分の1以下である請求項1及び2、3記載の吸着材。
- 椰子殻ハスクを成型して得られた多孔性シートの表面及び内部組織の外気との接触面に、ラテックス或いはエマルジョンまたは溶媒を含まないポリマー系接着剤からなるバインダー層を形成させた後、該シートを活性炭粒子の流動層中を通過させることにより、シートの表面及び内部組織の外気との接触面に活性炭粒子を付着させ、粒子表面の一部が露出された状態に保持させることを特徴とする吸着材の製法。
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