JP3675380B2 - ガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マット及びその製造方法、ガラス繊維強化スタンパブルシート及びその製造方法並びに成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス繊維層と熱可塑性樹脂繊維不織布層とで構成されるガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マット及びその製造方法と、このガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マットを用いた、樹脂含浸性に優れ、空隙率が小さく、かつプレス加工成形の際に優れた流動性を示す、ガラス繊維強化スタンパブルシート及びその製造方法と、このガラス繊維強化スタンパブルシートを成形してなる成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
補強用のガラス繊維に熱可塑性樹脂を含浸させてシート状に成形してなるガラス繊維強化スタンパブルシートは、主に自動車や建築、資材分野等の幅広い分野で、高強度を要する熱可塑性樹脂成形品の成形材料として使用されている。例えば、自動車分野では、フロントエンドパネル、バンパービームやグローブボックス芯材として、また、建築、産業資材分野ではコンクリート型枠パネル、ケーブルクロージャー等に適用されている。
【0003】
ガラス繊維強化スタンパブルシートのこのような部品への加工は、スタンパブル成形によって行われる。スタンパブル成形法は、まず、適当な寸法に切断したガラス繊維強化スタンパブルシートを遠赤外線炉によって加熱溶融して、金型に投入、配置し、プレス機にて流動成形を行うものである。スタンパブル成形法は、リブ等の複雑な形状部分を有する成形部品や薄く大きな成形品の成形に好適であるが、均一な強度と低圧力での成形性を実現するためには、ガラス繊維強化スタンパブルシートにおけるガラス繊維への樹脂含浸性が優れると共に均一なガラス繊維の分散性と良流動性が要求される。
【0004】
ガラス繊維強化スタンパブルシートの製造方法には、ラミネート法と分散法とがある。このうち、ラミネート法では、連続ガラス繊維マットを製造し、ガラス繊維マットと熱可塑性樹脂シートとを積層して加熱加圧し、ガラス繊維マットに熱可塑性樹脂を溶融含浸させることによりガラス繊維強化スタンパブルシートを製造する。ラミネート法によるガラス繊維強化スタンパブルシートは、ガラス繊維マットを構成するガラス繊維が連続繊維であるため、衝撃強度が高く、成形時の流動による局所的なガラス繊維の配向が起こり難く、強度等の物性の均一性に優れる等の利点がある。
【0005】
ラミネート法によるガラス繊維強化スタンパブルシートの製造に用いられる従来の一般的なガラス繊維マットは、例えば特開平6−306219号公報に記載されるように、連続ガラス繊維マットを上面側からニードリング処理することでガラス繊維を切断開繊させて製造されている。このニードリング処理時、ニードル針がガラス繊維マットを貫通すると共にガラス繊維ストランドを開繊し、繊維を絡めながら切断していくことで、熱可塑性樹脂の含浸性、流動性を高める。しかし、このようにガラス繊維マットの上面のみからニードリング処理した場合には、ガラス繊維マットの上面と下面とでガラス繊維の切断開繊の状態が大きく異なるものとなる。即ち、ニードル針が進入する側のマット上面では繊維は十分に開繊切断されるが、マット下面側にいくにつれ、ニードル針に掛かるストランドが少なくなるため、開繊切断が不十分になる。このため、このガラス繊維マットを用いて製造されたガラス繊維強化スタンパブルシートは、熱可塑性樹脂の含浸が不均一となり、従って、このようなガラス繊維強化スタンパブルシートの成形品は、リブ等へのガラス繊維の均一な分散や良流動性が得られにくい。
【0006】
この問題を改善するためにニードル針の貫通長を適当以上に長くするとガラス繊維の絡みが逆に強くなり、流動性が著しく悪くなるばかりか、成形加工時の遠赤外線炉での加熱溶融時に起こるガラス繊維のスプリングバックが大きくなり、それによって加熱中の材料の表面と内部とで少なからぬ温度差が生じ、表面の樹脂劣化が著しく進行して成形品外観等に問題を生じるようになる。
【0007】
また、特開平1−272636号公報や特開平7−178730号公報に記載されるように、ガラス繊維マットの上下両面からニードリング処理することで、マット上下面でのガラス繊維の切断開繊を均一にし、ガラス繊維の流動性を良好にする方法もある。しかしながら、この場合には、マット両面からのニードリング処理によりガラス繊維の切断が著しく、特に流動性を高めるために、ニードル針の貫通長を長くしたり、パンチ密度を上げた場合には、マット製造時の連続送り工程に耐え得るマット強力を維持することが難しくなる。更に、マット両面からのニードリング処理であっても、ニードル針の進入方向の基端側のガラス繊維マット両面のガラス繊維の切断開繊は顕著であるが、ニードル針の進入方向先端側のガラス繊維マット中央部ではガラス繊維の切断開繊よりも繊維同士の絡みの方が大きく、マットの厚み方向でガラス繊維の状態は不均一となる。このようなガラス繊維マットでは、成形品の強度発現に大きく寄与するマット中央部への樹脂含浸性が劣るものとなり、特に、マットの目付が大きい場合には、この部分の樹脂含浸性の悪さが問題となりやすい。
【0008】
また、PCT/JP96/01507(WO96/40477)に記載されるように、ニードリング処理したガラス繊維マットを挟圧することによってガラス繊維の流動性を高める方法もあるが、この場合には、挟圧することで、ガラス繊維の損傷が大きく、得られる成形品の強度低下の原因となる。また、挟圧によりガラス繊維マットが押し潰されるため、成形加工時の遠赤外線炉での加熱溶融時のガラス繊維のスプリングバックが起こり難く、そのためハンドリング性に問題が生じると共に、金型へ投入した時に材料と金型との密着面積が大きくなり、成形品の外観を損なうといった問題もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、ガラス繊維を均一に切断開繊し、流動性、樹脂含浸性に優れ、かつ連続送り工程に耐え得るガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維マット及びその製造方法を提供すると共に、このようなガラス繊維マットを用いて、ガラス繊維への樹脂含浸性が優れ、空隙率が少なく、しかも均一なガラス繊維の分散性と良流動性を兼備するガラス繊維強化スタンパブルシート及びその製造方法と、その成形品を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マットは、連続スワール状ガラス繊維ストランドで構成されたガラス繊維層(A)の複数層と、該複数のガラス繊維層(A)の間に介在された熱可塑性樹脂繊維不織布層(B)との積層体であって、ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)、ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)或いはガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)の順に積層されてなる積層体を、上下両面からニードルパンチ処理してなることを特徴とする。
【0011】
本発明のガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マットの製造方法は、連続スワール状ガラス繊維ストランドで構成されたガラス繊維層(A)の複数層を、該複数のガラス繊維層(A)の間に熱可塑性樹脂繊維不織布層(B)を介して積層し、ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)、ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)或いはガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)の順に積層されてなる積層体とし、得られた積層体を上下両面からニードルパンチ処理することを特徴とする。
【0012】
このガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マットでは、ガラス繊維層(A)と熱可塑性樹脂繊維不織布層(B)との積層体を、上下両面からニードルパンチ処理することで、ガラス繊維を効率良く均一に切断開繊することができる。この熱可塑性樹脂繊維不織布層(B)はニードル針により開繊されるだけであり、繊維自体の伸び量が大きく、比較的切断されにくいため、ガラス繊維層(A)中に効率良く均一に分散混合される。そのため、ニードル針の貫通長やパンチ密度の変更が必要な場合においても、連続送り工程に耐え得るマット強度を容易に維持することができる。
【0013】
本発明において、ガラス繊維層(A)の目付は100〜1000g/m2であることが好ましく、また、熱可塑性樹脂繊維不織布層(B)の目付は15〜40g/m2であることが好ましい。
【0014】
本発明のガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マットの引張強度は、連続送り工程に耐え得る50N/25cm幅以上であることが好ましい。
【0015】
本発明のガラス繊維強化スタンパブルシートは、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マット中に、前記不織布層(B)を構成する熱可塑性樹脂繊維に由来しない熱可塑性樹脂(C)を含有するガラス繊維強化スタンパブルシートであって、前記不織布層(B)を構成する熱可塑性樹脂繊維と熱可塑性樹脂(C)とが溶融固化した状態であることを特徴とする。
【0016】
本発明のガラス繊維強化スタンパブルシートでは、本発明のガラス繊維複合マットを用いることで、ガラス繊維強化スタンパブルシートの製造時の加熱時に、ガラス繊維層中へ均一に分散混合された熱可塑性樹脂繊維が溶融することでガラス繊維への樹脂含浸性が優れ、空隙率が少なく、さらに均一なガラス繊維の分散性と良流動性を持ったガラス繊維強化スタンパブルシートを得ることができる。
【0017】
本発明のガラス繊維強化スタンパブルシートにおいて、ガラス繊維複合マットの不織布層(B)を構成する熱可塑性樹脂繊維と、熱可塑性樹脂(C)が同系統の樹脂、好ましくはポリプロピレン樹脂で、熱可塑性樹脂(C)のガラス繊維強化スタンパブルシート中の含有量が30〜90重量%であり、その溶融によりガラス繊維層(A)への含浸性が向上され、空隙率が低減されていることが好ましい。
【0018】
このような本発明のガラス繊維強化スタンパブルシートは、本発明のガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マットを介して2層以上の熱可塑性樹脂層(C)とを積層し、得られた積層体を連続的に加圧及び加熱してシート状に成形する工程を有する、本発明のガラス繊維強化スタンパブルシートの製造方法により、容易かつ効率的に製造される。
【0019】
本発明の成形品は、このような本発明のガラス繊維強化スタンパブルシートを成形してなるものであり、空隙率が少なく、且つ均一なガラス繊維の分散性を有し、機械的強度等の物性及びその均一性に優れる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明のガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マットの実施の形態を示す模式的な断面図であり、図2は、本発明のガラス繊維強化スタンパブルシートの製造方法の実施の形態を示す模式的な断面図である。
【0022】
図1に示す如く、本発明のガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マットは、連続スワール状ガラス繊維ストランドで構成されたガラス繊維層(A)が2層以上と、このガラス繊維層(A)の間に介在された熱可塑性樹脂繊維不織布層(B)の1層以上の積層体を、その上下両面からニードリング処理してなるものである。
【0023】
このガラス繊維複合マット(1)を構成する熱可塑性樹脂繊維不織布層(B)の熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられるが、これらの中でもポリプロピレン樹脂が最も好ましい。
【0024】
また、熱可塑性樹脂繊維不織布層(B)は通常、目付が15〜40g/m2のものを用いるが、好ましくは15〜20g/m2のものを用いる。目付が40g/m2を超える不織布層を用いるとニードルパンチ機への負荷が大きく、ニードルパンチ機を破損するおそれがあり好ましくない。目付が15g/m2未満のものでは、不織布層(B)を設けることによる本発明の効果を十分に得ることできない場合が多い。
【0025】
一方、ガラス繊維層(A)の1層当たりの目付は、通常100g/m2〜1000g/m2、好ましくは150〜800g/m2である。目付が1000g/m2を超えるガラス繊維層(A)では、ニードルパンチ機への負荷が大きくなるため、好ましくない。目付が100g/m2未満のガラス繊維層(A)ではガラス繊維の分布が不均一になり、好ましくない。
【0026】
ガラス繊維層(A)と熱可塑性樹脂繊維不織布層(B)との積層数は、ガラス繊維層(A)を2層以上、不織布層(B)を1層以上であり、その積層数には特に制限はないが、ガラス繊維層(A),(A)同士の間は、不織布層(B)を介在させることが重要であり、
ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)
ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)
或いは
ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)
のような積層体とする。
【0027】
ガラス繊維層(A)と不織布層(B)との積層体の上下両面からニードリング処理する場合、両面ニードリング機によって行っても良く、或いは一面ニードリング機を用いて一方の面をニードリング処理した後、次いで他方の面をニードリング処理しても良い。
【0028】
ニードリングのニードルパンチ密度は通常、25〜60本/cm2、好ましくは27〜54本/cm2である。このパンチ密度が60本/cm2を超えるとガラス繊維の損傷が大きくなり、このガラス繊維複合マットを用いたガラス繊維強化スタンパブルシートの強度物性の低下が著しくなる。パンチ密度が25本/cm2未満であると、ガラス繊維の開繊、切断が不十分になり、ガラス繊維の分散性、流動性が劣るものとなる。
【0029】
ニードリング処理のニードル針の貫通長は上下面で同一であっても良く、異なるものであっても良い。このニードル針の貫通長は、繊維を絡め切断する役割を持つバーブの最上部から、針の先端までの長さに対して、70〜120%であることが好ましい。120%を超える場合、ガラス繊維の絡みが大きくなり、このガラス繊維複合マットを用いたガラス繊維強化スタンパブルシートでは流動性が著しく悪くなる。また、成形加工時の遠赤外線炉での加熱溶融時に起こるガラス繊維のスプリングバックが大きくなり、それによって加熱中の材料の表面と内部とで少なからぬ温度差が生じ、表面の樹脂劣化が著しく進行して成形品の外観等に問題を生じるようになる。一方70%未満であると、ガラス繊維の切断が不十分であり、ガラス繊維の分散性、流動性が劣るものとなる。
【0030】
このようにして得られる本発明のガラス繊維複合マットは、その製造時の連続送り工程に耐え得るマット強度である引張強度50N/25cm2幅以上を容易に維持することができる。
【0031】
本発明のガラス繊維強化スタンパブルシートは、このような本発明のガラス繊維複合マット中に、このマットの不織布層(B)を構成する熱可塑性樹脂に由来しない熱可塑性樹脂(C)を含有し、不織布層(B)を構成する熱可塑性樹脂繊維と熱可塑性樹脂(C)とが溶融固化したものである。
【0032】
この熱可塑性樹脂(C)としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられるが、これらの中でもポリプロピレン樹脂が最も好ましく、特に、熱可塑性樹脂繊維不織布層(B)を構成する熱可塑性樹脂と同系統であることが好ましく、これにより、ガラス繊維強化スタンパブルシートを製造する際に、溶融した熱可塑性樹脂(C)とガラス繊維層(A)中の溶融した熱可塑性樹脂繊維とが相溶し、樹脂含浸性を著しく向上させ、空隙率を低くすることが可能となる。
【0033】
このような本発明のガラス繊維強化スタンパブルシートは、本発明のガラス繊維強化スタンパブルシートの製造方法に従って、例えば、図2に示す方法で製造することができる。
【0034】
図2の方法では、熱可塑性樹脂(C)を押出機(10)に入れ、樹脂の融点以上に加熱押し出しして熱可塑性樹脂(C)のシート(2)を形成するとともに、押し出された熱可塑性樹脂シート(2)の両面に、本発明のガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マット(1),(1)を供給して積層し、さらにこれらガラス繊維複合マット(1),(1)と熱可塑性樹脂シート(2)の積層体の両面に、熱可塑性樹脂(C)のシート(3),(3)を積層した後、加熱加圧装置のローラ(4)で加熱及び加圧する。
【0035】
この時、ガラス繊維複合マット(1)中の熱可塑性樹脂繊維不織布を構成する熱可塑性樹脂繊維は完全に溶融する。そして、熱可塑性樹脂繊維不織布を構成する熱可塑性樹脂繊維と熱可塑性樹脂シート(2),(3)が同系統の樹脂である場合、熱可塑性樹脂シート(2),(3)の熱可塑性樹脂と共に相溶する。さらに冷却固化させることでシート状のガラス繊維強化複合体よりなるスタンパブルシート(5)を得ることができる。
【0036】
なお、熱可塑性樹脂として、例えばポリプロピレン樹脂を用いた場合、スタンパブルシート(5)成形時の加熱温度としては170〜250℃であることが好ましい。また、加圧力としては、0.1〜1MPaであることが好ましい。冷却時の温度としては熱可塑性樹脂の凝固点以下であれば特に制限されないが、室温〜80℃であることが好ましい。
【0037】
このようにして得られる本発明のガラス繊維強化スタンパブルシートにおいて、熱可塑性樹脂(C)の含有量(ガラス繊維複合マットの不織布層由来の熱可塑性樹脂を含まず)は、ガラス繊維強化スタンパブルシートの重量に対して30〜90重量%であることが好ましい。この熱可塑性樹脂(C)の含有量が90重量%を超えると樹脂量が多く、相対的にガラス繊維量が少ないために、ガラス繊維による十分な補強効果が得られない。熱可塑性樹脂(C)の含有量が30重量%未満であると樹脂量が少ないために成形性に劣るものとなる。
【0038】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0039】
<ガラス繊維複合マットの引張り強力と繊維長分布>
実施例1
1層当たりの目付が475g/m2の連続スワール状ガラス繊維層(ガラス繊維径11μm)2層を、間に目付が15g/m2のポリプロピレン樹脂繊維不織布層1層を介して積層し、この積層体を、上下両面からパンチ密度54本/cm2にてニードリング処理を行うことにより、本発明のガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マットを製造した。ニードリング処理に用いたニードル針は、針先端からバーブ最上部までの距離が16.5mmのものを用いた。その貫通長は、積層体の上面から侵入するとき13.5mm、下面から進入するとき15.0mmとした。
【0040】
得られたガラス繊維複合マットの任意の場所から、幅25cm、長さ33cmの試験片を6枚切り出し、万能試験機を用いて、試験速度20mm/minで引張り、その最大引張強度を求めた。その結果を表1に示した。
【0041】
また、ガラス繊維長分布の測定は、得られたガラス繊維複合マットから、ガラス繊維をピンセットで慎重に抜き取り、スケールで読み取った。一試験片あたり1000本測定を行った。結果を図3に示した。
【0042】
実施例2
実施例1において。ガラス繊維層に23μm径のガラス繊維を使用したこと以外は同様にしてガラス繊維複合マットを製造し、実施例1と同様に引張試験とガラス繊維長分布の測定を行った。その結果を表1及び図3に示した。
【0043】
比較例1
目付が950g/m2の連続スワール状ガラス繊維マット(ガラス繊維径11μm)をマットの上下両面からパンチ密度54本/cm2にてニードリング処理を行うことによりガラス繊維マットの製造を行った。なお、ニードリング処理時のニードル針の貫通長はマットの上面から進入するとき13.5mm、下面から進入するとき15.0mmとした。
【0044】
この比較例1で製造されたガラス繊維マットは、ガラス繊維が均一に切断されているが、連続送り工程に耐え得る引張強度を持たないため、送り工程でマットの分断が生じてしまい、マットを製造することができなかった。
【0045】
比較例2
比較例1において、23μm径のガラス繊維を使用したこと以外は同様にしてガラス繊維マットを製造した。この比較例2のマットも比較例1と同様に、ガラス繊維が均一に切断されているが、連続送り工程に耐え得る引張強度を持たないため、送り工程でマットの分断が生じてしまい、マットを製造できなかった。
【0046】
比較例3
比較例1において、ニードリング処理時のニードル針の貫通長をマット上面から進入するとき13.5mm、下面から進入するとき12.5mmとしたこと以外は同様にしてガラス繊維マットを製造し、実施例1と同様に引張試験とガラス繊維長分布の測定を行って、結果を表1及び図3に示した。
【0047】
比較例4
比較例3において、23μm径のガラス繊維を使用したこと以外は同様にしてガラス繊維マットを製造し、実施例1と同様に引張試験とガラス繊維長分布の測定を行った。その結果を表1及び図3に示した。
【0048】
比較例5
比較例1において、ニードリング処理をマット上面のみからパンチ密度27本/cm2、貫通長13.5mmで行ったこと以外は同様にしてガラス繊維マットを製造し、実施例1と同様に引張試験とガラス繊維長分布の測定を行って、結果を表1及び図3に示した。
【0049】
比較例6
比較例5において、23μm径のガラス繊維を使用したこと以外は同様にしてガラス繊維マットを製造し、実施例1と同様に引張試験とガラス繊維長分布の測定を行った。その結果を表1及び図3に示した。
【0050】
【表1】
【0051】
図3及び表1より次のことが明らかである。
【0052】
比較例1及び2では、ガラス繊維が均一に切断されているが、連続送り工程に耐え得る強度を持たないため、送り工程中にマットの分断が生じてしまい、生産できなかった。そのため、比較例3及び4では、ガラス繊維複合マットのニードリング処理時のニードル針の貫通長を短くすることで実施例1及び2と同様に送り工程に耐え得るマット強度を持つことができた。しかしながら、この比較例3及び4では、実施例1及び2に比べ、ガラス繊維長分布は均一でなく、さらに後述するが本マットを用いたガラス繊維強化スタンパブルシートではガラス繊維の分散性が良くない。
【0053】
比較例5及び6は、特開平6−306219号公報に記載されるガラス繊維マットと同様のものであり、連続送り工程に耐え得る強度を持つが、ガラス繊維の繊維長分布は不均一であることが分かる。
【0054】
これに対して、実施例1及び2に示す如く、本発明のガラス繊維複合マットでは繊維長分布が比較例3〜6に比べて非常に均一であり、しかも連続送り工程に耐え得るマット強度を保持している。
【0055】
<ガラス繊維強化スタンパブルシートの成形加工性>
実施例3
図2に示す如く、実施例1で製造したガラス繊維複合マット2層と3層のポリプロピレン樹脂層とを交互に積層した後に、ダブルスチールベルトにより連続的に0.3MPa、230℃で5分間加圧、加熱してポリプロピレン樹脂をガラス繊維層に含浸させ、その後冷却してガラス繊維強化スタンパブルシートを得た。このガラス繊維強化スタンパブルシートのポリプロピレン樹脂含有量(ガラス繊維複合マットの不織布層由来のポリプロピレン樹脂は含まず)は60重量%である。
【0056】
このガラス繊維強化スタンパブルシートを所定の大きさに切断した後、遠赤外線炉にて加熱溶融し、図4に示す金型に投入し、その成形可能な最低圧力を調べ、結果を表2に示した。
【0057】
なお、成形可能な最低圧力は、成形圧力を徐々に下げて成形を行い、良好な成形品を得ることができる(○)圧力と、欠陥が生じる圧力(×)とを調べることにより求めた。
【0058】
実施例4
実施例2で製造したガラス繊維複合マットを用いたこと以外は実施例3と同様にしてガラス繊維強化スタンパブルシートを製造し、同様に成形可能な最低圧力を調べ、結果を表2に示した。
【0059】
比較例7
ガラス繊維複合マットの代りに比較例3で製造したガラス繊維マットを用いたこと以外は実施例3と同様にしてガラス繊維強化スタンパブルシートを製造し、同様に成形可能な最低圧力を調べ、結果を表2に示した。
【0060】
比較例8
ガラス繊維複合マットの代りに比較例4で製造したガラス繊維マットを用いたこと以外は実施例3と同様にしてガラス繊維強化スタンパブルシートを製造し、同様に成形可能な最低圧力を調べ、結果を表2に示した。
【0061】
比較例9
ガラス繊維複合マットの代りに比較例5で製造したガラス繊維マットを用いたこと以外は実施例3と同様にしてガラス繊維強化スタンパブルシートを製造し、同様に成形可能な最低圧力を調べ、結果を表2に示した。
【0062】
比較例10
ガラス繊維複合マットの代りに比較例6で製造したガラス繊維マットを用いたこと以外は実施例3と同様にしてガラス繊維強化スタンパブルシートを製造し、同様に成形可能な最低圧力を調べ、結果を表2に示した。
【0063】
【表2】
【0064】
表2より、比較例9,10のスタンパブルシートでは高い成形圧力が必要であり、成形性に劣ることが分かる。一方、実施例3,4と比較例7,8のスタンパブルシートでは同様に良好な成形性を有することが分かる。また、本結果の中でもガラス繊維径が11μmである比較例9は著しく成形性が悪いのに対して、同じ繊維径である実施例1ならびに比較例7では、マットを両方からニードリング処理することで成形性が大幅に向上することが分かる。
【0065】
<ガラス繊維強化スタンパブルシートのガラス繊維分散性>
実施例3,4、及び比較例7〜10で製造したガラス繊維強化スタンパブルシートを用いて、図5に示すリブを有する成形品を製造し、その中央のリブへのガラス繊維の分散性を評価した。結果を表3に示した。
【0066】
【表3】
【0067】
この結果から、実施例3,4のガラス繊維強化スタンパブルシートは非常に良好なガラス繊維の分散性を示し、比較例7,8のガラス繊維強化スタンパブルシートはリブの先端へのガラス繊維の分散性が実施例3,4ほど良くなく、また、比較例9,10は非常に悪いことが確認された。
【0068】
<ガラス繊維強化スタンパブルシートの端部へのガラス繊維分散性>
実施例3,4及び比較例7〜10で製造したガラス繊維強化スタンパブルシートを、図4に示す金型に投入して、加圧力70トンで成形し、得られた成形品の底部とその成形品の端部(フランジ部)のガラス繊維含有量の比で、ガラス繊維の分散性を評価した。その結果を表4に示した。
【0069】
【表4】
【0070】
この結果から、実施例3,4のガラス繊維強化スタンパブルシートは非常に良好なガラス繊維の分散性を示し、比較例7,8のガラス繊維強化スタンパブルシートはリブ先端へのガラス繊維の分散性が実施例3,4ほど良くなく、また、比較例9,10は非常に悪いことが確認された。
【0071】
<ガラス繊維強化スタンパブルシートの空隙率>
実施例3、及び比較例7,9で製造したガラス繊維強化スタンパブルシートの空隙率をJIS K7053に準拠して測定し、結果を表5に示した。
【0072】
【表5】
【0073】
この結果から、実施例3のガラス繊維強化スタンパブルシートは比較例7,9のガラス繊維強化スタンパブルシートに比べて空隙率が低いことが分かる。
【0074】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明のガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マット及びその製造方法によれば、マット上下面両面からニードリング処理することで、均一なガラス繊維長を有すると共に、熱可塑性樹脂繊維がガラス繊維へ均一に分散しているため連続送り工程に十分に耐え得るマット強度を有し、生産性に優れたガラス繊維複合マットが提供される。
【0075】
また、このような本発明のガラス繊維複合マットを用いた本発明のガラス繊維強化スタンパブルシート及びその製造方法によれば、スタンパブルシート製造時の加熱加圧工程において、ガラス繊維中に均一に分散した熱可塑性樹脂繊維の溶融により、ガラス繊維への樹脂含浸性が向上し、空隙率の少ないスタンパブルシートが提供される。
【0076】
このような、本発明のガラス繊維強化スタンパブルシートを用いることにより、リブ等の複雑な形状を有する成形品であっても、均一なガラス繊維の分散性を有すると共に空隙率の少ない成形品を得ることができる。しかも、低い成形圧力での成形加工が可能になるため、容量の比較的小さい成形プレス機にて安価に成形加工を行うことが可能となる。
【0077】
従って、本発明のガラス繊維強化スタンパブルシートは、自動車分野や建築、産業資材分野において、リブ等の複雑な形状を有する部品や、流動性を必要とする薄肉の部品や、成形圧力を要する大型の部品の成形にも有効に適用可能であり、良好な特性を有する成形品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マットの実施の形態を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明のガラス繊維強化スタンパブルシートの製造方法の実施の形態を示す模式的な断面図である。
【図3】実施例1及び2で製造されたガラス繊維複合マット及び比較例3〜6で製造されたガラス繊維マットのガラス繊維長分布を示すグラフである。
【図4】ガラス繊維強化スタンパブルシートの成形加工性及びガラス繊維の分散性の調査に用いた金型を示す斜視図である。
【図5】ガラス繊維強化スタンパブルシートのガラス繊維分散性の調査のために成形した成形品を示す斜視図である。
【符号の説明】
(1) ガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マット
(A) ガラス繊維層
(B) 熱可塑性樹脂繊維不織布層
(2),(3) 熱可塑性樹脂シート
(4) ローラ
(5) ガラス繊維強化スタンパブルシート
(10) 押出機
Claims (11)
- 連続スワール状ガラス繊維ストランドで構成されたガラス繊維層(A)の複数層と、該複数のガラス繊維層(A)の間に介在された熱可塑性樹脂繊維不織布層(B)との積層体であって、
ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)、
ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)
或いは
ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)
の順に積層されてなる積層体を、上下両面からニードルパンチ処理してなることを特徴とするガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マット。 - 請求項1において、該ガラス繊維層(A)の目付が100〜1000g/m2であることを特徴とするガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マット。
- 請求項1又は2において、該熱可塑性樹脂繊維不織布層(B)の目付が15〜40g/m2であることを特徴とするガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マット。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、引張強度が50N/25cm幅以上であることを特徴とするガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マット。
- 連続スワール状ガラス繊維ストランドで構成されたガラス繊維層(A)の複数層を、該複数のガラス繊維層(A)の間に熱可塑性樹脂繊維不織布層(B)を介して積層し、
ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)、
ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)
或いは
ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)/不織布層(B)/ガラス繊維層(A)
の順に積層されてなる積層体とし、
得られた積層体を上下両面からニードルパンチ処理することを特徴とするガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マットの製造方法。 - 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マット中に、前記不織布層(B)を構成する熱可塑性樹脂繊維に由来しない熱可塑性樹脂(C)を含有するガラス繊維強化スタンパブルシートであって、前記不織布層(B)を構成する熱可塑性樹脂繊維と熱可塑性樹脂(C)とが溶融固化した状態であることを特徴とするガラス繊維強化スタンパブルシート。
- 請求項6において、前記不織布層(B)を構成する熱可塑性樹脂繊維と、熱可塑性樹脂(C)が同系統の樹脂であり、その溶融によりガラス繊維層(A)への含浸性が向上され、空隙率が低減されていることを特徴とするガラス繊維強化スタンパブルシート。
- 請求項7において、該同系統の樹脂がポリプロピレン樹脂であることを特徴とするガラス繊維強化スタンパブルシート。
- 請求項6ないし8のいずれか1項において、熱可塑性樹脂(C)の含有量が、30〜90重量%であることを特徴とするガラス繊維強化スタンパブルシート。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のガラス繊維強化スタンパブルシート用ガラス繊維複合マットを介して2層以上の熱可塑性樹脂(C)の層を積層し、得られた積層体を連続的に加圧及び加熱してシート状に成形する工程を有する、請求項6ないし9のいずれか1項に記載のガラス繊維強化スタンパブルシートの製造方法。
- 請求項6ないし9のいずれか1項に記載のガラス繊維強化スタンパブルシートを成形してなることを特徴とする成形品。
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