JP3674925B2 - 車両の空調システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リアクーラ付き車両におけるアイドリングストップ時等のエンジン自動停止時に、車室内のリア席側の空調を快適に行う車両の空調システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ハイブリッド車両では、アイドリングストップ時などのエンジン自動停止時において、モータによって送風機のみを回して車室内の空調を行ったり、車室内の環境温度が高い場合には一時的にエンジンを再始動させることで冷媒を循環させるコンプレッサを駆動させ、車室内を冷風により快適温度にした上で再度アイドリングストップを行うようにして車室内の空調を行っている。このような技術では、コンプレッサを制御するために、車室内の環境温度などをパラメータとして利用している(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−88541号公報(〔0051〕〜〔0078〕、図10)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では、一般的にフロント席側のみを快適性基準としているため、たとえリア席側にクーラが設けられた車両であってもリア席側の空調制御を積極的に行っていなかった。具体的には、アイドリング時などにおいて、フロント席側には冷風が供給されるが、リア席側には冷却されていない空気が供給されていた。そのため、アイドリング時などにおいては、リア席側が不快な環境となる場合があった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、アイドリングストップ時などのエンジン自動停止時であっても、リア席側の快適性を確保することができる車両の空調システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決した本発明のうちの請求項1に記載の発明は、エンジンおよびモータのうち少なくとも一方で駆動可能なコンプレッサによって車両のフロント席側およびリア席側の空調を行う車両の空調システムにおいて、前記フロント席側およびリア席側の環境温度を検出する温度検出手段と、前記フロント席側に冷媒を供給する第1の冷媒供給手段と、この第1の冷媒供給手段に接続され、前記リア席側に冷媒を供給する第2の冷媒供給手段と、前記第1の冷媒供給手段と第2の冷媒供給手段に流れる冷媒の流量を調整する弁機構とを備え、所定の条件下で前記エンジンを自動停止させた場合において、前記温度検出手段がリア席側の環境温度が所定値以上であることを検出したときに、前記弁機構の前記第2の冷媒供給手段側に対する弁開度を大きくし、かつ前記モータにより前記コンプレッサの出力を増加させることで、第2の冷媒供給手段に流す冷媒の量を増加させるように制御することを特徴とする。
【0007】
ここで、「冷媒供給手段」とは、冷媒を循環させるための配管や、この配管に設けられる蒸発器などの冷却サイクルに必要な機器のことをいう。また、「所定の条件下でエンジンを自動停止させた場合」とは、アイドリングストップ時や燃料を節約するためにモータのみで走行する場合などをいう。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、たとえばアイドリングストップ中において、リア席側の環境温度が所定値以上になった場合には、弁機構がリア席側に大きく開放されるとともに、モータによりコンプレッサの出力が増加されることで、リア席側に流れる冷媒の量が増加する。これにより、アイドリングストップ時であっても、リア席側に多くの冷風を供給できるので、リア席側の快適性を確保することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成において、前記弁機構と前記コンプレッサの制御は、リア席側の送風機が駆動しているときのみに行われることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による作用に加え、たとえばアイドルストップ中にリア席側の送風機が駆動しているとき、すなわちリア席側のエアコンスイッチがONとなっているときのみに、リア席側に多くの冷媒が供給されることとなる。このように空調システムを制御することで、リア席にいる乗員が好みに応じて車室環境を適宜設定することができる。また、たとえばリア席に乗員がいない場合には、フロント席側だけを冷却するので、その分電力消費を抑えることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明の構成において、前記弁機構と前記コンプレッサの制御は、リア席側の送風機が停止しているときには、予め決められた条件により一定時間おきに行われることを特徴とする。
【0012】
ここで、「予め決められた条件」とは、時間的要因、アイドルストップの累積回数、リア席側の送風機の停止時間などをいう。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明による作用に加え、リア席側の送風機が停止している場合には、第2の冷媒供給手段であるリア席側の配管に冷媒が一定時間おきに供給されることとなる。これにより、配管内に冷媒が長時間溜まったままになることがないので、その溜まった冷媒がコンプレッサに戻らなくなってコンプレッサが焼き付くという問題を防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両の空調システムの詳細について説明する。まず、車両の空調システムを含む駆動装置の全体構成について説明する。なお、以下に説明する各図面において同一部分は同一符合を付すことにする。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る車両の空調システムを含む駆動装置の概略構成図である。図1に示す駆動装置1は、車両用制御装置であるECU(Electronic Control Unit)2によって制御され、エンジン3とモータ/ジェネレータ(以下、単にモータと表現する)4とが回転軸5で直結されたハイブリッド型の構成を有し、エンジン3およびモータ4の回転力が、変速機6を経て回転軸5の一端側に連結された駆動輪Wに伝達されるようになっている。また、この駆動装置1には、回転軸5の他端側に間接的に連結されたエンジン駆動コンプレッサ7と、モータ4にPDU(Power Drive Unit)13を介して接続される蓄電手段10からの電力供給により駆動する電動コンプレッサ8、および補機9が設けられている。蓄電手段10は、高圧バッテリ11、低圧バッテリ12、およびDC−DCコンバータ14などから構成されている。さらに、ECU2は、フロント席温度センサ(温度検出手段)41およびリア席温度センサ(温度検出手段)42が検知した温度によって所定の空調制御を行う。
【0016】
ここで、本実施の形態における駆動装置1は、ECU2の制御によりエンジン3の自動停止、自動再始動によるアイドリングストップを行っている。さらに、アイドリングストップ中は、電動コンプレッサ8をECU2で適宜制御することによって、フロント席側やリア席側について所定の空調制御が行われるようになっている。
【0017】
次に、図1の駆動装置1を構成する各種機器について説明する。まず、エンジン3は、ガソリンなどを燃料とする内燃機関であり、図示しない燃料噴射弁を介して噴射される燃料とスロットル弁を介して吸入される空気を吸気弁から吸い込んで、点火プラグにより点火して燃焼する。燃焼ガスは、図示しない排気弁、排気管を介して触媒処理されて排出される。このエンジン3は、駆動輪Wを回転させる役割、モータ4を回転させて蓄電手段10に電気エネルギを蓄積させる役割、およびエンジン駆動コンプレッサ7を駆動させる役割などを有している。
【0018】
モータ4は、駆動手段としての機能、つまりエンジン3やエンジン駆動コンプレッサ7を駆動させたり、運転状態に応じてエンジン3の出力補助を行ったりする役割、また、エンジンを始動する際にエンジンを回転させる役割に加えて、発電電動機としての機能、つまり、車両の制動時に発電して回生エネルギを発生させる役割、ならびに車両の運転状態に応じてエンジン3の出力で発電する役割などを有している。
【0019】
モータ4に接続されているPDU(Power Drive Unit)13は、インバータなどから構成され、モータ4の駆動および回生動作をECU2からの指令値に基づいて行う。インバータは、例えばパルス幅変調によるPWM(Pulse Width Modulation)インバータであり、複数のスイッチング素子をブリッジ接続した図示しないブリッジ回路を備える。
【0020】
蓄電手段10は、高圧バッテリ11と、DC−DCコンバータ14を介して接続される低圧バッテリ12とからなる。高圧バッテリ11は、ニッケル水素電池を多数本まとめて直列接続した組電池になっている。DC−DCコンバータ14は、PDU13または高圧バッテリ11から供給される電圧を補機9の稼動に適した電圧(例えば12V)まで降下させる。なお、高圧バッテリ11と電動コンプレッサ8はインバータ15を介して接続されており、このインバータ15としては、例えばPWMインバータが使用できる。
【0021】
エンジン駆動コンプレッサ7は、車内エアコンの稼動のために用いられるエアコンプレッサであり、回転軸5の回転力が伝達されることで駆動する。回転伝達機構としては、エンジン駆動コンプレッサ7の回転軸16に取り付けられたプーリ17と、エンジン3側の回転軸5の他端に取り付けられたプーリ18と、プーリ17,18の間に巻き掛けられたベルト19とからなる。また、エンジン駆動コンプレッサ7側の回転軸16は電磁クラッチ20で断続可能になっている。また、電動コンプレッサ8は、乗員が要求する車内目標温度と実際の車内温度との差が大きい場合に、エンジン駆動コンプレッサ7をアシストしたり、エンジン3を自動停止させているときにエンジン駆動コンプレッサ7の代わりに駆動したりするエアコンプレッサである。
【0022】
図2は、本発明の実施の形態に係るエアコンディショナ(空調システム)の一部を示す構成図である。図2に示すように、電動コンプレッサ8は、コンプレッサ8aと、このコンプレッサ8aを駆動するDCモータ8bとが内蔵された構成となっている。
【0023】
本発明の実施の形態におけるコンプレッサは、エンジン駆動コンプレッサ7と、DCモータ8bで駆動されるコンプレッサ8a(つまり、電動コンプレッサ8)の2つからなるコンプレッサCOMPで構成される。これらの2つのコンプレッサ(エンジン駆動コンプレッサ7および電動コンプレッサ8)の吐出ポートは合流して1つの冷凍サイクル50を循環する。冷凍サイクル50は、車両のフロント席側に配設されるフロント席配管FPと、リア席側に配設されるリア席配管RPとを主に備えている。そして、このフロント席配管FPには、凝縮機51、受液器52、フロント席温度式膨張弁53、フロント席蒸発器54が設けられ、リア席配管RPには、リア席温度式膨張弁55、リア席蒸発器56が設けられている。さらに、このフロント席配管FPとリア席配管RPとの接続部には、リア席用第1空調弁(弁機構)57とリア席用第2空調弁(弁機構)58が設けられている。なお、リア席用第1空調弁57とリア席用第2空調弁58は本実施形態のように両方設けてもよいが、何れか一方だけを設けてもよい。
【0024】
なお、本実施形態において、特許請求の範囲にいう「第1の冷媒供給手段」はフロント席配管FP、凝縮機51、受液器52、フロント席温度式膨張弁53およびフロント席蒸発器54であり、「第2の冷媒供給手段」はリア席配管RP、リア席温度式膨張弁55およびリア席蒸発器56である。
【0025】
凝縮機51、受液器52、膨張弁53,55、蒸発器54,56は、従来より公知のものである。簡単に説明すると、コンプレッサCOMPから吐出される冷媒ガスは凝縮機51で液化されて受液器52に貯溜され、この受液器52から液化した冷媒ガスが膨張弁53,55や蒸発器54,56で気化して周囲から熱を奪っている。すなわち、この膨張弁53,55や蒸発器54,56によって、フロント席やリア席側にそれぞれ設けられる図示しないファン(送風機)からの空気が冷却される構造となっている。
【0026】
リア席用第1空調弁57およびリア席用第2空調弁58は、それぞれ三方弁となっており、その弁開度がECU2によって調整されることでフロント席配管FPやリア席配管RPに適切な量の冷媒ガスを供給するようになっている。
なお、この実施の形態ではエンジン駆動コンプレッサ7と電動コンプレッサ8の2つのコンプレッサを使用しているが、本発明はこれに限定されず、たとえば本実施形態におけるエンジン駆動コンプレッサ7にDCモータ8bをクラッチを介して連結することにより、1つのコンプレッサで本発明を実現することもできる。
【0027】
図1に示すように、ECU2は、電気・電子回路と所定のプログラムとからなり、エンジン3への燃料の供給や、蓄電手段10への充放電の切り替えなど、駆動装置1の全体を制御している。また、このECU2は、所定の条件下でエンジン3を自動停止、または再始動(たとえば、アイドリングストップ)させる制御を自動停止再始動制御手段21で行い、このエンジン自動停止時における電動コンプレッサ8の制御を空調制御手段22で行っている。
【0028】
自動停止再始動制御手段21は、前記のような制御を行うとともに、エンジン3を自動停止させた場合には、自動停止したことを示す信号を空調制御手段22に出力している。空調制御手段22は、自動停止再始動制御手段21からの前記信号と、リア席温度センサ42から出力されるリア席側の環境温度を示す信号と、図示しないリア席側のエアコンスイッチから出力される信号(スイッチがONされたか否かを示す信号)とに基づいて、リア席用第1空調弁57、リア席用第2空調弁58および電動コンプレッサ8の制御を行っている。
【0029】
次に、フローチャートを用いて本発明における車両の空調システムのアイドリングストップ時における動作を説明する。図3は、本発明の車両の空調システムにおけるリア席側の空調制御の流れを示すフローチャートである。図3に示すように、まず、アイドリングストップの実施がされたか否かが判断される(ステップS1)。このとき、アイドリングストップの実施がされていないときは、実施されるまで状態監視を続けるが(ステップS1でNOの場合)、アイドリングストップの実施がされると(ステップS1でYESの場合)、次にリア席側のエアコンスイッチがONされたか否かが判断される(ステップS2)。
【0030】
ステップS2において、スイッチがONされていないと判断された場合は(NO)、リア席に乗員がいないと推定されるので、ECU2によるリア席側の空調制御は終了する。ステップS2において、スイッチがONされたと判断された場合は(YES)、リア席用空調弁(つまり、リア席第1空調弁57、リア席第2空調弁58)の弁開度が、所望の空調を行うのに必要な設定開度1(例えば、弁開度0〜20%)に制御されているか否かが判断される(ステップS3)。
【0031】
ステップS3において、弁開度が設定開度1に制御されていないと判断された場合は(NO)、その弁開度が設定開度1に制御されて(ステップS4)、ステップS5に進み、弁開度が設定開度1に制御されていると判断された場合は(YES)、そのままステップS5に進む。このステップS5では、電動コンプレッサ8を設定回転速度(例えば、2000〜3000rpm)で駆動し、フロント席側とリア席側の送風機を設定電圧(例えば、4〜12Vの所望の電圧)で駆動してフロント席側およびリア席側へ送風を行う(ステップS4)。
【0032】
つまり、アイドリングストップの初期段階では、ステップS3〜S5によって弁開度や電動コンプレッサの回転速度を低めに制御することで、フロント席側を優先的に冷却し、かつ電力を節約するような空調制御が行われている。
【0033】
次に、リア席側の環境温度が快適性を保つための基準値となる設定温度以上であるか(つまり、リア席側の環境温度≧設定温度か)否かを判断する(ステップS6)。ステップS6において、リア席側の環境温度が設定温度よりも低い場合は(NO)、リア席側の環境は快適状態にあるので、ステップS4に戻って、省電力による空調制御が維持される。一方、ステップS6で、リア席側の環境温度が設定温度以上となる場合は(YES)、リア席側の環境は快適状態ではないので、リア席用空調弁57,58の弁開度を、設定開度1より開度が大きい設定開度2(例えば、弁開度80〜100%)に設定する(ステップS7)。
【0034】
その後、電動コンプレッサ8の設定回転速度を当初の回転速度より高い回転速度α(例えば、4000〜5000rpm)まで上昇させる(ステップS8)。このようにして、リア席用空調弁57,58の弁開度を大きくし、かつ電動コンプレッサ8の回転速度を上昇させることによって、リア席側の空調能力を向上させる。そして、リア席側の環境温度が快適性を保つための基準値となる設定温度以下であるか(つまり、リア席側の環境温度≦設定温度か)否かを判断する(ステップS9)。
【0035】
ステップS9において、リア席側の環境温度が設定温度よりも高い場合は(NO)、リア席側はまだ快適環境ではないので、環境温度が設定温度よりも低くなるまで、リア席側を優先して冷却しつつ、その環境温度の監視を続ける。一方、ステップS9でリア席側の環境温度が設定温度以下になった場合は(YES)、リア席側は快適な環境状態に空調されているので、リア席用空調弁57,58の弁開度を当初の設定開度1に戻すとともに(ステップS10)、電動コンプレッサ8の回転速度を当初の設定回転速度に戻す(ステップS11)。このような空調制御を行うことにより、アイドリングストップ時において、リア席側を快適な環境状態にすることができるとともに空調システム全体の省電力化を図ることができる。
【0036】
続いて、図4および図5を参照しながら前記した空調システムの動作の詳細について説明する。参照する図面において、図4は本発明の車両の空調システムにおけるアイドリングストップ開始時の動作モードを示す制御タイムチャートであり、図5は本発明の車両の空調システムにおけるアイドリングストップ中の動作モードを示す制御タイムチャートである。なお、図4および図5における制御タイムチャートは、横軸に時間を示し、縦軸にそれぞれの機能の動作状態を示している。
【0037】
図4において、まず、(a)「アクセル開度」を閉にした時刻T1において、(b)「ブレーキ動作」を行うと(c)「車速」が減速し始め、同時に(d)「エンジン回転速度」も減少し始める。そして、(c)「車速」が減速中の所定の時刻T2において(d)「エンジン回転速度」がゼロになり、アイドリングストップが開始される。このとき、図4では、車両の走行中から継続して、アイドリングストップ中においても(e)「フロント席送風機」および(f)「リア席送風機」がONとなっているが、少なくとも(f)「リア席送風機」がONしていれば、(g)「リア席用空調弁開度」(つまり、図2のリア席用第1空調弁57およびリア席用第2空調弁58の弁開度)の設定開度が省電力で空調するための設定開度1に制御される。つまり、アイドリングストップが開始したときに、(f)「リア席送風機」がONしていれば、(g)「リア席用空調弁開度」がたとえば設定開度2から設定開度1(ただし、設定開度1<設定開度2)に切り替えられる。
【0038】
図5に示すように、アイドリングストップ中の時刻T4において(a)「リア席環境温度」が快適性を保つための基準値である設定温度より高くなると、(c)「リア席用空調弁開度」が設定開度1から設定開度2に切り替えられる。つまり、図2のリア席用第1空調弁57、リア席用第2空調弁58の何れかまたは両方の弁開度が、0〜20%の設定開度1から80〜100%の設定開度2に制御される。さらに、時刻T4において、(d)「電動コンプレッサ回転速度」が所定の回転速度まで上昇するように制御される。つまり、図1の電動コンプレッサ8の回転速度が2000〜3000rpmから4000〜5000rpmにまで上昇する。このとき、(b)「リア席送風機電圧」と(e)「フロント席送風機電圧」は4〜12Vの範囲の一定電圧で維持されるとともに、(f)「エアコンスイッチ」もONのまま維持されていれば、リア席側とフロント席側に供給される送風量は同じとなるが、リア席側に多く冷媒ガスが流れるためリア席側が優先的に冷却されることとなる。
【0039】
このような空調制御の動作によってリア席側が冷却されると、アイドリングストップ中の所定の時刻T5において、(a)「リア席環境温度」が設定温度よりも低くなり、リア席側が快適な温度状態となる。このようにして、(a)「リア席環境温度」が設定温度よりも低くなった時刻T5以降においては、(c)「リア席用空調弁開度」は再び設定開度1に戻り、さらに、(d)「電動コンプレッサ回転速度」は4000〜5000rpmから2000〜3000rpmへ降下する。これによって、リア席側を快適な温度に制御するとともに空調システムの省電力化を図ることができる。
【0040】
以上によれば、本実施形態において、次のような効果を得ることができる。
アイドリングストップ中などにおいて、リア席側の環境温度が設定温度以上になった場合には、リア席側に冷風が多く供給されるので、リア席側の快適性を確保することができる。
リア席側のエアコンスイッチがONとなる場合のみにリア席側が優先的に冷却されるので、リア席にいる乗員が好みに応じて車室環境を適宜設定することができるとともに、省電力化を図ることができる。
【0041】
以上、本発明は、前記実施形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。
本実施形態では、リア席側のエアコンスイッチがONでない場合は、リア席側に冷媒ガスを積極的に供給しないようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、リア席側のエアコンスイッチがONでない場合、すなわちリア席側の送風機が停止しているときには、空調弁57,58や電動コンプレッサ8の制御を予め決められた条件により一定時間おきに行うようにしてもよい。これによれば、リア席側の送風機が停止していても、第2の冷媒供給手段であるリア席配管RPに冷媒ガスが一定時間おきに供給されるので、リア席配管RP内に液化した冷媒ガスが溜まったままになるのを防止して、コンプレッサの焼き付きを防止することができる。
【0042】
また、リア席側のエアコンスイッチがONでなければ、空調弁57,58のリア席配管RP側に対する弁開度を0%にするように、この空調弁57,58を制御してもよい。これによれば、リア席に乗員がいない場合には、フロント席側を集中して冷却することができるので、フロント席側の温度環境が快適になるとともにリア席側に冷媒を供給しない分だけ、電力消費を抑えることができる。
【0043】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、アイドリングストップ中などにおいて、リア席側の環境温度が所定値以上になった場合には、リア席側に冷風が多く供給されるので、リア席側の快適性を確保することができる。
【0044】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加え、リア席側のエアコンスイッチがONとなる場合のみにリア席側が冷却されるので、リア席にいる乗員が好みに応じて車室環境を適宜設定することができる。
【0045】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明による効果に加え、リア席側の送風機が停止していても、第2の冷媒供給手段であるリア席側の配管に冷媒が一定時間おきに供給されるので、配管内に冷媒が溜まったままになるのを防止して、コンプレッサの焼き付きを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両の空調システムを含む駆動装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るエアコンディショナ(空調システム)の一部を示す構成図である。
【図3】本発明の車両の空調システムにおけるリア席の空調制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の車両の空調システムにおけるアイドリングストップ開始時の動作モードを示す制御タイムチャートである。
【図5】本発明の車両の空調システムにおけるアイドリングストップ中の空調制御を示す制御タイムチャートである。
【符号の説明】
1 駆動装置
2 ECU(Electronic Control Unit)
21 自動停止再始動制御手段
22 空調制御手段
3 エンジン
4 モータ/ジェネレータ(モータ)
7 エンジン駆動コンプレッサ
8 電動コンプレッサ
8a コンプレッサ
8b DCモータ
41 フロント席温度センサ
42 リア席温度センサ
50 冷凍サイクル
57 リア席用第1空調弁
58 リア席用第2空調弁
COMP コンプレッサ
Claims (3)
- エンジンおよびモータのうち少なくとも一方で駆動可能なコンプレッサによって車両のフロント席側およびリア席側の空調を行う車両の空調システムにおいて、
前記フロント席側およびリア席側の環境温度を検出する温度検出手段と、
前記フロント席側に冷媒を供給する第1の冷媒供給手段と、
この第1の冷媒供給手段に接続され、前記リア席側に冷媒を供給する第2の冷媒供給手段と、
前記第1の冷媒供給手段と第2の冷媒供給手段に流れる冷媒の流量を調整する弁機構とを備え、
所定の条件下で前記エンジンを自動停止させた場合において、前記温度検出手段がリア席側の環境温度が所定値以上であることを検出したときに、前記弁機構の前記第2の冷媒供給手段側に対する弁開度を大きくし、かつ前記モータにより前記コンプレッサの出力を増加させることで、第2の冷媒供給手段に流す冷媒の量を増加させるように制御することを特徴とする車両の空調システム。 - 前記弁機構と前記コンプレッサの制御は、リア席側の送風機が駆動しているときのみに行われることを特徴とする請求項1に記載の車両の空調システム。
- 前記弁機構と前記コンプレッサの制御は、リア席側の送風機が停止しているときには、予め決められた条件により一定時間おきに行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の空調システム。
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