JP3673732B2 - アレーアンテナ送信パターン校正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アダプティブアレーアンテナ基地局装置における送信指向性パターンの校正を行うための手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話等のセルラーシステムが普及し、また高速データ通信の需要も伸びているためトラフィックが著しく増大している。そのため周波数利用効率を高めることが必須となっており、CDMA(Code Division Multi Accesses)などの周波数利用効率の高い方式が採用されている。
【0003】
また、周波数効率を更に高める方式として、CDMA方式を用いたアダプティブアレーアンテナ方式が考案されている。アダプティブアレーアンテナ送信装置は、通信相手の端末に対して指向性パターンのピークを向けたり、非通信相手の端末に対して指向性パターンのヌルを向けたりする制御により周波数利用効率を高める技術である。
【0004】
このアダプティブアレーアンテナ送信装置は、アレー状に並んだ各アンテナ素子に対応した送信回路を備え、位相や振幅の特性を制御して指向性パターンの制御を実現しているが、各送信系の位相や振幅特性に特性差があると、送信指向性パターンが希望のものとは異なった指向性パターンとなる。
【0005】
すなわち、アダプティブアレーアンテナ送信装置は、アレー状に並んでいるアンテナに位相及び振幅が制御された信号を給電し、指向性や放射方向を制御するシステムであるから、指向性や放射方向を正確に制御するためには各送信回路における位相特性や振幅特性が揃っていることが好ましいが、実際には送信回路毎に、その位相特性や振幅特性にはばらつきがある。
【0006】
さらに、送信部に用いられている半導体や濾波器等の構成部品による振幅特性や素子遅延量のばらつきは、温度や湿度、経年劣化等により時間と共にその特性が変化し、それに伴って特性のばらつきも変化するので、正確な指向性や放射方向を制御することが出来なくなる。
【0007】
このような問題点を解決する手段として、特開平10−336149号公報には、通信を開始する前に測定モードを設け、各送信回路の位相差や振幅の特性差を計算してキャリブレーション係数を求め、送信する通信信号の位相差や振幅に、算出されたキャリブレーション係数の位相成分および振幅成分をそれぞれ乗算することで特性を補償することにより、アレーアンテナ装置が正確な指向性パターンとなるように制御する方法が開示されている。
【0008】
上記公報記載の発明では、正確な特性変動の補償を行うために、通信に使用する拡散信号と同一の周波数帯の拡散信号をキャリブレーション用信号として用いており、また、送信機からの送信信号出力先をアンテナから校正信号用用受信器に切り替え、校正を行っている。
【0009】
図4は、上記公報に示されているものと同等なキャリブレーション機構を備えた従来のCDMA方式の送信機の系統図である。
【0010】
図4において、通信モード時には、アンテナn信号処理部(305-n)にはユーザー信号nが入力され、このユーザー信号nが直交変調され同一の拡散符号により拡散され、さらに各アンテナn信号処理部(305-n)毎に個別に設定された複素(振幅及び位相)係数が乗算された後、アンテナn送信部(304-n)により高周波に変換され、給電線(303-n)を経由して各アンテナ素子(302-n)に送出される。
【0011】
一方、校正モード時には、アレーアンテナ(301)の各アンテナ素子(302-n)と給電線(303-n)は、各アンテナn送信部(304-n)から切り離される。そして、アンテナn信号処理部(305-n)には校正信号発生部(310-n)から校正信号nが入力され、この校正信号nが直交変調されかつ互いに異なる拡散符号により拡散されるとともに、例えば無指向性のアンテナパターンとなるように各アンテナn信号処理部(305-n)の複素(振幅及び位相)係数を設定する。
【0012】
この互いに異なる拡散符号により拡散された校正信号nは、それぞれアンテナn送信部(304-n)により高周波に変換された後、加算器(306)で加算され、CDMA多重された高周波校正信号として、校正信号受信部(307)に入力される。このCDMA多重された高周波校正信号は、校正信号受信部(307)にてベースバンド信号に変換され、かつn分配されて各校正信号処理部(308-n)に入力される。
【0013】
図5は、従来の校正信号処理部(308-n)の詳細ブロック図である。図5に示すように、各校正信号処理部(308-n)では、相関器(401)にて特定の校正信号のみの相関値が出力され、遅延プロファイル推定部(402)にて遅延プロファイルが生成される。この遅延プロファイルを元にパス位置検出回路(403)にて校正信号のパスの位置を検出する。
【0014】
通常、図4に示した系ではマルチパスは発生しない。したがって1パスのみ検出できれば問題ない。検出されたパス位置を復調器(404)に通知し、そのパス位置を元に復調を行う。復調信号は同相加算器(405)にて必要なSIR(Signal to Interference Ratio)が得られるまで同相加算を行う。
【0015】
その信号を校正信号計算部(406)にて振幅、位相を特定し、図4の補正量計算部(309)にてそれぞれの補正値が計算され、各アンテナn信号処理部(305-n)に入力されることにより、校正が完了する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の校正装置では、校正を行う際には、アンテナ送信部から給電線及びアンテナ素子を切り離さなければならず、通信サービスを行いながらの校正ができないという問題があった。
【0017】
また、送信装置からの給電線は校正ループの外側にあり、補償の対象外になっているために、上記従来の校正装置では、アンテナ送信部より先のアンテナまでの給電線及びアンテナ素子を含めた校正は出来ないという問題があった。
【0018】
本発明の目的は、アンテナ送信部から給電線及びアンテナ素子を切り離すことなく、通信サービスを継続しながら上記校正が可能な手段を提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、アンテナ送信部より先のアンテナまでの給電線及びアンテナ素子を含めた精度の良い補償を可能にすることにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、符号分割多重接続(CDMA)方式を用いたアダプティブアレーアンテナ(適応アンテナ)送信装置において、アレーアンテナの各アンテナ素子に対して、同一の拡散符号により拡散されたユーザー信号と前記ユーザー信号用の拡散符号とは異なる拡散符号であってかつ前記各アンテナ素子毎に互いに異なる拡散符号により拡散された校正信号とを、前記各アンテナ素子毎に合成して送出するとともに、前記各アンテナ素子に送出される進行波の一部を抽出し、該抽出した進行波から前記各アンテナ素子毎に拡散符号による相関をとることにより、各アンテナ素子毎の前記校正信号をそれぞれ独立に復調し、該復調した各アンテナ素子毎の前記校正信号に基づいて、前記各アンテナ素子毎の送信信号に対する振幅特性及び位相特性を調整することを特徴とする。
【0021】
上記調整は、前記アレーアンテナによるユーザー信号の送出指向性パターンが無指向性パターンの時に行うのが好ましいが、通信相手端末に対する指向性パターン形成時であっても、該指向性パターンを考慮することにより前記各アンテナ素子毎の送信信号に対する振幅特性及び位相特性を調整することは可能である。
【0022】
また、本発明は、送信機毎に出力される校正信号の進行波及び反射波による2つのパスタイミングを検出することにより、各アンテナ素子までの給電線の経路長及びケーブル損出を含む送信装置全体の振幅特性、位相特性を補償して、正確な送信指向性ビームの制御を可能にすることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、校正を行うためにアンテナと校正装置とを繋ぎ変えることなく各送信部の振幅、位相変動を校正出来るので、校正操作が容易となる。また、アンテナ入力端における反射を利用することにより、簡易な構成にてアンテナまでの給電線を含めた各送信装置の振幅、位相変動を校正することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態を示すブロック図であり、図2は、本発明の実施の形態における一部詳細ブロック図である。
【0025】
図1において、アンテナアレー101は、N個のアンテナ素子(102-1〜102-n)から構成されていて、各々のアンテナ相関性が高くなるように接近して配置されている。
【0026】
給電線(103-1〜103-n)は、それぞれアンテナ素子(102-1〜102-n)と結合器(104-1〜104-n)に接続されている。結合器(104-1〜104-n)は、アンテナn送信部(105-1〜105-n)から来た信号(進行波)及びアンテナ素子(102-1〜102-n)から反射してきた信号(反射波)の一部を加算器(107)に出力する機能を持つ。
【0027】
アンテナn送信部(105-1〜105-n)は、低歪電力増幅器、帯域制限濾波器、ミキサ、局部発信器、ALC(Auto Level Controller)、直交変調器、アナログ/デジタル変換器などから構成され、アンテナ信号処理部(106-1〜106-n)から来たベースバンド信号を高周波送信信号に変換する機能を有する。
【0028】
アンテナ信号処理部(106-1〜106-n)には、それぞれユーザー信号nと校正信号発生部n(110-1〜110-n)からの校正信号nが入力される。各アンテナ信号処理部(106-1〜106-n)は、ユーザー信号nについては全てのアンテナ信号処理部が同一の拡散符号により拡散し、校正信号nについては互いに異なる拡散符号であってかつユーザー信号nに用いた拡散符号とも異なる拡散符号により拡散した後、両者を合成してベースバンド信号を生成する機能を有する。また補正量計算部(111)より入力される補正信号により振幅、位相などを補償する機能もあわせ持つ。
【0029】
校正信号発生部(110-1〜110-n)は、校正動作に必要な直交符号校正信号を生成してアンテナ信号処理部(106-1〜106-n)へ出力する。加算器(107)はnと同数の入力を持ち、合成した信号を校正信号受信部(108)へ出力する。
【0030】
校正信号受信部(108)は、ローノイズアンプ、帯域制限フィルタ、ミキサ、局部発信器、送受信電力検出部、AGC(Auto Gain Controller)、直交検波器、低域通過フィルタ、アナログ/デジタル変換器から構成され、加算器(107)の出力を入力とし、入力信号の増幅、無線帯域からベースバンド帯域への周波数変換、直交検波、アナログ/デジタル変換を行う。
【0031】
校正信号受信部(108)の出力信号は、n分配されて校正信号処理部(109-1〜109-n)にそれぞれ入力される。校正信号処理部(109-n)は、図2の詳細ブロック図に示すような構成となっており、校正信号受信部(108)の出力が各校正信号処理部(109-n)の相関器(201)と復調器(204)に入力される。
【0032】
図2において、相関器(201)は、希望のキャリブレーション信号の相関を遅延プロファイル推定部(202)へ出力し、遅延プロファイル推定部(202)で遅延プロファイルを生成してパス位置検出回路(203)へ出力する。パス位置検出回路(203)は、遅延プロファイルから、校正信号の進行波のパス位置と校正信号の反射波のパス位置を検出して復調器(204)に通知する。
【0033】
復調器(204)は、パス位置検出回路(203)から、校正信号の進行波のパス位置と校正信号の反射波のパス位置の情報を受けて、パス位置におけるベースバンド信号の復調を行い、進行波校正信号、反射波校正信号を別々に出力する。出力された2つ信号は、それぞれ同相加算器1(205)、同相加算器2(206)で所要SIRになるまで同相加算を行う。
【0034】
同相加算器1(205)、同相加算器2(206)の出力は、校正信号計算部(207)に入力され、振幅及び位相が特定される。補正量計算部(111)は、各校正信号処理部からの振幅及び位相情報を入力して補正量を計算し、アンテナ信号処理部(106-1〜106-n)に対して補正情報を通知する機能を持つ。
【0035】
図3は、遅延プロファイル推定部(202)における遅延プロファイル推定動作を説明するための波形図である。以下、本実施の形態の動作について、図1〜3を参照して説明する。なお、説明の都合上アンテナ1の校正信号を中心に説明するが、アンテナ2〜アンテナnの校正信号についても同様である。
【0036】
校正信号発生部(110-1)で生成されたベースバンドの校正信号は、アンテナ1信号処理部(106-1)でユーザー信号とは異なる拡散符号により拡散された後、符号拡散されたユーザー信号と合成される。その際、校正信号を拡散する拡散符号は、各アンテナ信号処理部(106-1〜106-n)で互いに異なる拡散符号が用いられる。
【0037】
合成された信号は、アンテナ1送信部(105-1)により周波数変換及び増幅され、結合器(104-1)に出力される。結合器としては、例えば結合量20dBの結合器が用いられる。
【0038】
結合器(104-1)に入力された送信波の一部は進行波出力として加算器(107)へ出力される。結合器(104-1)を通過した送信波は給電線(103-1)を介してアンテナアレー(101)のアンテナ素子(102-1)に給電される。
【0039】
従って本発明の場合、校正信号もCDMA多重されてアンテナ素子からユーザー信号と共に放射されるが、校正信号に用いている拡散符号は、ユーザー信号に用いている拡散符号とは異なる拡散符号が用いられているので、ユーザー信号に影響を与えることはない。
【0040】
また、給電された電力の一部は反射波として給電線(103-1)へ再度入力される。各アンテナのリターンロスは一定で、ここでは20dBとする。この反射波は、給電線(103-1)を経て結合器(104-1)に入力され反射波出力として加算器(107)へ出力される。
【0041】
加算器(107)に入力された進行波と反射波は、加算器(107)でCDMA多重されて校正信号受信部(108)に入力され、校正信号受信部(108)にてベースバンドに変換された後、校正信号処理部1(109-1)に入力される。
【0042】
ベースバンドに変換された信号は、図2に示す各校正信号処理部1(109-1)の相関器(201)と復調器(204)に入力される。相関器(201)は、アンテナ1校正信号の相関値を抽出して遅延プロファイル推定部(202)へ出力する。遅延プロファイル推定部(202)は、相関器(201)から入力された相関信号から、進行波の校正信号と反射波の校正信号遅延プロファイルの推定を行い、結果をパス位置検出回路(203)へ出力する。
【0043】
図3に示すように、反射波は進行波に対して必ず遅延を持っており、振幅もアンテナのリターンロスと同軸給電線の損失分だけ小さくなる。よって、パス位置検出回路(203)は、初めに検出された振幅の大きいパスを進行波校正信号、2番目に検出された振幅の小さいパスを反射波校正信号のパス位置として復調器(204)に出力する。
【0044】
復調器(204)は、その推定値を元にベースバンドに変換された進行波、反射波それぞれの校正信号の復調を行う。進行波、反射波それぞれの校正信号は所要SIR(Signal to Interference Ratio)になるまで同相加算器1(205)及び同相加算器2(206)によって同相加算される。
【0045】
アンテナのリターンロスは既知であるので、同相加算器1(205)及び同相加算器2(206)の同相加算回数の比からケーブルの損失を知ることが出来る。
【0046】
同相加算器1(205)の加算回数をx、同相加算器2(206)の加算回数をyとし、x:y=1:251とすると、y/x=251となる。よって進行波と反射波のレベル差Aは、
A=10log(y/x)=10log(251)=24dB
となる。
【0047】
アンテナのリターンロスは20dBであるから、24−20=4dBがケーブルにおける損失となるが、反射波は、進行波及び反射波として、2回同軸給電線を通過するので、ケーブルの損失は、4/2=2dBとなる。
【0048】
また、給電線(103-n)の長さをlとすると、反射波は進行波に対して2lの経路差を生じる。校正信号が給電線(103-n)を伝わる速度vは一定なので距離lだけ伝わるのにかかる時間tは、
t=l/v
となる。よって、進行波と反射波の遅延量2tを正確に測ることにより経路長を把握することができる。
【0049】
以上の動作を1〜nのブランチの全てで行い、それらを比較することにより各系の位相誤差、振幅誤差、給電線の線路長誤差による位相誤差、振幅誤差を正確に把握することが出来る。これをもとに補正量計算部(111)で補正量を決定してアンテナ1〜n信号処理部(106-1〜106-n)に送ることにより校正が完了し各系を補償することができる。
【0050】
なお、上記の実施形態では、結合器(104-1〜104-n)は、アンテナn送信部(105-1〜105-n)から来た信号及びアンテナ素子(102-1〜102-n)から反射してきた信号の一部を抽出しているが、アンテナ素子(102-1〜102-n)への進行波の一部のみを抽出し、該抽出信号から校正信号を復調して各アンテナ素子毎の送信ベースバンド信号に対する振幅特性及び位相特性を調整する構成とすれば、スイッチによるアンテナ及び給電線の切り離しを行うことなく、従来例と同様にアンテナ信号処理部及びアンテナ送信部の校正を実施できる。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、校正を行うためにアンテナから校正装置に給電線を切り替える必要がないのでサービスを断にすることなく通信を継続しながら校正を行うことができる。
【0052】
また、アンテナ入力端における反射波を用いることにより簡易な構成でアンテナまでの給電線を含めた各送信装置の振幅、位相変動を補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における一部詳細ブロック図である。
【図3】本発明の動作を説明するための波形図である。
【図4】従来例を示すブロック図である。
【図5】従来例における一部詳細ブロック図である。
【符号の説明】
101,301 アレーアンテナ
102−1〜102−n,302−1〜302−n アレーアンテナ素子
103−1〜103−n,303−1〜303−n 給電線
104−1〜104−n 結合器
105−1〜105−n,304−1〜304−n アンテナ1〜n送信部
106−1〜106−n,305−1〜305−n アンテナ1〜n信号処理部
107,306 加算器
108,307 校正信号受信部
109−1〜109−n,308−1〜308−n 校正信号処理部
110−1〜110−n,310−1〜310−n 校正信号発生部
111,309 補正量計算部
201,401 相関器
202,402 遅延プロファイル推定部
203,403 パス位置検出回路
204,404 復調器
205,206,405 同相加算器
207,406 校正信号計算部
Claims (4)
- アレーアンテナの各アンテナ素子に対して、同一の拡散符号により拡散されたユーザー信号と前記ユーザー信号用の拡散符号とは異なる拡散符号であってかつ前記各アンテナ素子毎に互いに異なる拡散符号により拡散された校正信号とを、前記各アンテナ素子毎に合成して送出するとともに、前記各アンテナ素子に送出される進行波の一部および前記各アンテナ素子から反射された反射波を抽出し、該抽出した進行波および反射波から前記各アンテナ素子毎に拡散符号による相関をとることにより2つのパスタイミングを検出して各アンテナ素子毎の前記校正信号をそれぞれ独立に復調し、該復調した各アンテナ素子毎の前記校正信号に基づいて、前記各アンテナ素子毎の送信信号に対する振幅特性及び位相特性を調整することにより前記各アンテナ素子まで含めた校正を行うことを特徴とするCDMA方式を用いたアダプティブアレーアンテナ送信装置の送信ビームパターン校正方法。
- 複数のアンテナ素子からなるアレーアンテナと、
同一の拡散符号により拡散されたユーザー信号と、前記ユーザー信号用の拡散符号とは異なる拡散符号であってかつ前記各アンテナ素子毎に互いに異なる拡散符号により拡散された校正信号とを、前記各アンテナ素子毎に合成して送信ベースバンド信号を生成する手段と、
前記生成した送信ベースバンド信号を高周波に変換して前記各アンテナ素子に送出する手段と、
前記各アンテナ素子に送出される進行波の一部及び前記各アンテナ素子により反射された反射波の一部を抽出する手段と、
前記抽出された進行波及び反射波に対して、前記各アンテナ素子毎の拡散符号による相関をとって前記校正信号をそれぞれ独立に復調する手段と、
前記復調した校正信号により、前記各アンテナ素子毎の送信ベースバンド信号に対する振幅特性及び位相特性を調整する手段と、
を備えていることを特徴とするCDMA方式を用いたアダプティブアレーアンテナ送信装置の送信ビームパターン校正方式。 - ユーザー信号に同一の拡散符号を乗算するとともに各々個別に設定された複素係数を乗算して送信ベースバンド信号を生成する複数のアンテナ信号処理部と、前記送信ベースバンド信号をそれぞれ無線周波数に変換する複数のアンテナ送信部と、前記複数のアンテナ送信部に各々個別に接続された複数の給電線及びアンテナ素子とを有するCDMA方式を用いたアダプティブアレーアンテナ送信装置において、
前記複数のアンテナ信号処理部にそれぞれ校正信号を入力する校正信号発生部と、
前記アンテナ送信部から出力される進行波の一部及び前記アンテナ素子からの反射波の一部を出力するために前記アンテナ送信部と前記給電線の間にそれぞれ接続された複数の結合器と、
前記複数の結合器の出力を加算する加算器と、
前記加算器の出力を送信ベースバンド信号に変換する校正信号受信部と、
前記校正信号受信部から出力される送信ベースバンド信号をそれぞれ入力して校正信号を生成する複数の校正信号処理部と
前記複数の校正信号処理部からの校正信号を入力し、前記複数のアンテナ信号処理部に各々個別に設定される複素係数値を補正するための補正量求めて前記複数のアンテナ信号処理部に通知する補正量計算部と、
を備え、
前記複数のアンテナ信号処理部は、前記ユーザー信号については全てのアンテナ信号処理部が同一の拡散符号により拡散し、前記校正信号については互いに異なる拡散符号であってかつ前記ユーザー信号に用いた拡散符号とも異なる拡散符号により拡散した後、両者を合成して前記送信ベースバンド信号を生成する機能を有しており、前記複数の校正信号処理部は、それぞれ前記校正信号を拡散した複数の拡散符号の一つと対応してそれぞれ相関処理を行うことにより前記校正信号を復調する機能を有していることを特徴とするCD MA方式を用いたアダプティブアレーアンテナ送信装置。 - 前記校正信号処理部は、前記校正信号受信部から出力される送信ベースバンド信号を入力して当該校正信号処理部の相関値を出力する相関器と、前記相関値から遅延プロファイルを生成する遅延プロファイル推定部と、遅延プロファイルから前記校正信号の進行波のパス位置と反射波のパス位置を検出するパス位置検出回路と、前記校正信号の進行波のパス位置情報及び反射波のパス位置情報を受けて各パス位置におけるベースバンド信号の復調を行って進行波校正信号及び反射波校正信号を出力する復調器と、前記進行波校正信号及び反射波校正信号を入力してそれぞれ所要のSIRになるまで同相加算を行う第1及び第2の同相加算器と、該第1及び第2の同相加算器の出力により振幅及び位相を特定して前記補正量計算部へ出力する校正信号計算部とを有していることを特徴とする請求項3に記載のCDMA方式を用いたアダプティブアレーアンテナ送信装置。
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