JP3673677B2 - 俯角格納式ブーム作業車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体上に設けられたブームの先端部に作業台を有し、ブームを全縮且つ俯角に倒伏させた状態で格納する構成の俯角格納式ブーム作業車に関する。
【0002】
【従来の技術】
俯角格納式ブーム式作業車は、車体上に取り付けられた起伏、伸縮、旋回動自在なブームの先端部に作業台を有しており、ブームは全縮且つ俯角(水平面よりも下方に取った角度)に倒伏させた状態で格納される。このような俯角格納式ブーム作業車では、ブーム長さを長めにとることができるので、広い作業範囲を確保することが可能である。
【0003】
このような作業車においては、ブームを自動で格納できる自動格納装置が設けられているものもある。このような装置では、先ず格納開始時におけるブームの起伏角度が所定の基準角よりも大きいか否かを判断し、ブームの起伏角度が基準角よりも大きいときにはブームを全縮状態にし、更にブームを旋回させてブーム受けの上方に位置させる。そしてブームを倒伏させていき、ブームをブーム受けに載置させて格納する。このような自動格納装置によれば、ブームの格納操作が容易となり、作業効率がよくなる。また、このような作業車では作業台を水平垂直方向に移動させることができるものもあり、これによれば作業台の移動操作が大変容易なものとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような俯角格納式ブーム作業車において、ブーム格納状態から作業台を垂直上昇させようとする場合、格納された状態のブームは全縮になっているため、このような状態から作業台を垂直上昇させる入力をしても、ブームの先端部に垂直直線軌道を描かせながらブームを起仰させることができず、コントローラにおいてシステムエラーが発生してブームの作動が規制されてしまう。このためブームが格納位置(俯角状態)から水平状態になるまでは垂直上昇入力により作業台を上昇移動させることができず、作業性が良くないという問題があった。
【0005】
また、ブームの自動格納時に一旦全縮にされたブームは、その後全縮条件が問われることはないので、格納の最終段階におけるブームの倒伏時等において、作業台に作用する重力とブームの機構的な不具合等(ガタやワイヤの伸びなど)によりわずかながら伸長してしまう場合があり、これによりブームと車体とが干渉してしまう虞があった。また、このように一旦全縮にしてもブームは伸長する可能性があったため、ブームが俯角状態にあるときに自動格納を開始した場合には、ブームの全縮後であっても格納方向に旋回させたときに車体と干渉する虞があり、このため、ブームが俯角状態であるときには一旦仰角状態にまで起仰させなければ自動格納を行うことができないという不都合があった。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、作業台をブーム格納状態から垂直上昇入力により上昇させることができるとともに、格納途中で俯角になってもブームが伸長して車体と干渉するようなことがなく、更には俯角状態からでもブームを自動格納させることが可能な構成の俯角格納式ブーム作業車を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、第1の本発明は、車体と、この車体上に設けられ、アクチュエータ(例えば、実施形態における起伏シリンダ18及び伸縮シリンダ17)の作動により少なくとも起伏、伸縮動が自在なブームと、このブームの先端部に取り付けられた作業台とを有し、ブームを全縮且つ俯角に倒伏させた状態で格納する構成の俯角格納式ブーム作業車(例えば、実施形態における高所作業車10)において、作業台を垂直昇降させる指令を行う垂直昇降指令手段(例えば、実施形態におけるブーム操作レバー27)と、ブームの先端部の位置を検出する位置検出手段(例えば、実施形態における起伏角度検出器41及び長さ検出器42)と、垂直昇降指令手段による上記指令が出力されたときに、位置検出手段からの検出情報に基づいて、ブームの先端部が垂直直線軌道を描いて昇降移動するようにアクチュエータの作動制御を行う制御手段(例えば、実施形態におけるコントローラ40)とを備え、この制御手段は、ブームが格納された状態から垂直昇降指令手段による作業台を垂直上昇させる指令が出力された場合には、位置検出手段により検出されるブームの先端部が所定の高さ(例えば、ブームの起伏軸を含む水平面の高さ)になるまでは、ブームが全縮状態まま起仰するようにアクチュエータを作動させる。ここで俯角とは、水平面よりも下方に取った角度である。
【0008】
このような構成の俯角格納式ブーム作業車においては、垂直昇降指令手段から作業台の垂直昇降指令を行うと、制御手段は、位置検出手段からの検出情報に基づいて、ブームの先端部が垂直直線軌道を描いて昇降移動するようにアクチュエータを作動させ、これにより作業台が垂直昇降するのであるが、作業台の垂直上昇指令を、ブームが格納された状態から行った場合には、ブームの先端部が所定の高さになるまでは、ブームが全縮状態まま起仰するようにアクチュエータを作動させる。このため、ブーム格納状態から作業台の垂直上昇指令を行っても制御手段にシステムエラーが生じることがなく、ブームの作動が規制されるようなことがないので、作業台をブーム格納状態から垂直上昇指令により上昇移動させることが可能であり、作業性が向上する。
【0009】
上記本発明において、制御手段は、ブームが格納された状態から垂直昇降指令手段による作業台を垂直上昇させる指令が出力された場合、位置検出手段により検出されるブームの先端部が所定の高さになるまで、ブームの全縮状態が保持されるようにブームを収縮作動させるようになっていることが好ましい。
【0010】
このような構成であれば、ブームの格納状態からブームの先端部が所定の高さに至るまでの間(起仰作動間)においてブームの機構的な不具合等(ガタやワイヤの伸びなど)によりブームが伸長してしまうようなことがないので、ブームと車体との干渉を防止できるとともに、ブームの先端部が上記所定の高さにまで起仰され、作業台の垂直上昇を開始する時点においてブームを確実に全縮状態にさせておくことができるので、作業台の垂直上昇制御をより正確に行うことができるようになる。
【0013】
また、第2の本発明は、車体と、この車体上に設けられ、アクチュエータの作動により少なくとも起伏、伸縮動が自在なブームと、このブームの先端部に取り付けられた作業台とを有し、ブームを全縮且つ俯角に倒伏させた状態で格納する構成の俯角格納式ブーム作業車において、ブームを格納させる指令を行う格納指令手段と、ブームの先端部の位置を検出する位置検出手段(例えば、実施形態における起伏角度検出器41及び長さ検出器42)と、格納指令手段による指令が出力されたときに、ブームが全縮状態にされた後俯角まで倒伏されるようにアクチュエータの作動制御を行う制御手段とを備え、この制御手段は、位置検出手段により検出されるブームの先端部が所定の高さ(例えば、ブームの起伏軸を含む水平面の高さ以下の高さ)になってからブームが格納姿勢になるまでの間、ブームの全縮状態が保持されるようにブームを収縮作動させる
【0014】
このような構成の俯角格納式ブーム作業車においては、格納指令手段によりブームを格納させる指令があったときには、制御手段は、ブームを全縮状態にした後格納位置まで倒伏させるが、この倒伏作動の間(ブームが格納姿勢になるまでの間)、ブームの全縮状態が保持されるようにブームを収縮作動させるようになっている。このため、ブームに機構的な不具合があってもブームが格納途中で俯角になったときに伸長するようなことがなく、ブームと車体との干渉が防止される。また、これにより俯角状態からでもブームを自動格納させることができるようになるので、特に天井の低い作業現場での作業性が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。図2は本発明に係る俯角格納式ブーム作業車である高所作業車10を示している。この高所作業車10の車体11は前方に運転席12を有し、後方に設けられた旋回台13には入れ子式に構成されたブーム14がフートピン15により取り付けられている。旋回台13はその下部に設けられた旋回モータ16によって水平旋回できるようになっており、ブーム14は自身に内蔵された伸縮シリンダ17により伸縮作動が可能である。また、ブーム14と旋回台13との間には起伏シリンダ18が跨設されており、これによりブーム14は上下に起伏可能である。車体11の前後左右には下方へ張り出して車体11を支持するジャッキ19が設けられており、車体11の後方に設けられた図示しないジャッキ操作レバーを手動操作することにより各ジャッキ19の張出格納が可能である。
【0016】
ブーム14の先端部14aには垂直ポスト20を介して作業者搭乗用の作業台21が設けられている。垂直ポスト20はレベリングシリンダ22によりブーム14の起伏状態によらず常に垂直に保たれる構成になっており、作業台21の床面を常時水平に保持する。作業台21内には首振モータ23が設けられており、これにより作業台21は垂直ポスト20まわりに首振り(水平旋回)することが可能である。
【0017】
作業台21及び車体11の後方にはそれぞれ上部操作装置25及び下部操作装置26が設けられており、これら操作装置25,26に備えられたブーム操作レバー27及び作業台操作レバー28を手動操作することにより、ブーム14の起伏、伸縮、旋回及び作業台21の首振りを行うことができるようになっている。ブーム操作レバー27は中立位置から前後、左右への傾動操作及び軸まわりの捻り操作ができるようになっており、前後傾動によりブーム14の起伏を、左右傾動によりブーム14の伸縮を、また捻りによりブーム14の旋回(旋回台13の旋回)を行うことができるようになっている。また、作業台操作レバー28は中立位置から左右への傾動操作ができるようになっており、これにより作業台21を垂直ポスト20まわりに水平旋回させて首振りを行うことができるようになっている。
【0018】
ブーム操作レバー27の近傍には通常モードと水平垂直移動モードとのいずれかを選択可能なモード選択スイッチ29が設けられている。このモード選択スイッチ29により通常モードを選択したときには、上述のようなブーム14の起伏、伸縮及び旋回が可能であるが、モード選択スイッチ29により水平垂直移動モードを選択したときには、ブーム14の先端部14a(すなわち作業台21)の水平・垂直移動が可能になる。すなわち、モード選択スイッチ29により水平垂直移動モードが選択されているときには、ブーム操作レバー27を前後左右に傾動操作することにより、作業台21をその操作方向に水平面内で移動させることが可能であり、ブーム操作レバー27を捻り操作することにより、作業台21を上下に垂直昇降移動させることが可能である。
【0019】
このブーム14の起伏、伸縮、旋回作動及び作業台21の首振作動について図1を用いてもう少し詳しく説明する。両操作レバー27,28を操作することにより操作信号が出力されるが、この操作信号はコントローラ40に入力される。ここで、旋回モータ16、伸縮シリンダ17、起伏シリンダ18及び首振モータ23はエンジン51により駆動される油圧ポンプ52から吐出される作動油を受けて作動し、コントローラ40は上記操作信号に基づいてブーム作動制御バルブ53及び作業台作動制御バルブ54を電磁駆動することにより、旋回モータ16、伸縮シリンダ17、起伏シリンダ18及び首振モータ23へ供給される作動油の制御を行う。これによりブーム14及び作業台21は両操作レバー27,28の操作に従って作動する。なお、ブーム作動制御バルブ53は車体11内に位置するが、作業台作動制御バルブ54は作業台21内に位置しており、作業台作動制御バルブ54へ作動油を供給する油路55はブーム14の内部を通って設けられている(図1に示すブーム14はこのことを示したものである)。
【0020】
ここで、モード選択スイッチ29により水平垂直移動モードが選択されているときには、コントローラ40における制御においてブーム14の先端部14aの位置情報が必要となるが、これは、ブーム14内に設けられた起伏角度検出器41及び長さ検出器42により検出されるブーム14の起伏角度θ、長さLの情報と、車体11内に設けられる旋回角度検出器43により検出される旋回台13の旋回角度φの情報とから算出される。また、作業台21には首振角度検出器44(図1には図示せず)が設けられており、これにより作業台21のブーム14先端部14aに対する首振角度rが検出される(この情報もコントローラ40に入力される)。
【0021】
このような構成の高所作業車10により高所作業を行うときには、先ず作業者(運転者)が運転席12内から運転して道路走行を行い、高所作業車10を作業現場へ移動させる。このように道路を走行するときには、ブーム14は図3に示すように、ブーム14を全縮にし、且つ俯角(水平面よりも下方に取った角度)である格納角θsにまで倒伏させた格納状態とする(ブーム14の格納については後述する)。なお、このようなブーム14の格納状態では、作業台21は運転席12の上方に位置する。作業現場へ到着したら、作業者はジャッキ操作レバー(前述。図示せず)を操作して各ジャッキ19を張り出させ、車体11を支持させる。車体11が全てのジャッキ19により支持されたら作業者は作業台21に搭乗し、上部操作装置25からブーム操作レバー27及び作業台操作レバー28を操作してブーム14の起伏、伸縮、旋回及び作業台21の首振を行って作業台21を所望の高所位置に移動させ、作業を行う。
【0022】
ここで、作業台21をブーム14格納状態から移動させるには先ず作業台21を上昇させる必要があるが、これにはモード選択スイッチ29により通常モードを選択してブーム14を単純に起仰させるほか、水平垂直移動モードを選択して作業台21を垂直上昇させる方法がある。しかし、ブーム14は格納状態においては全縮状態になっているため、ブーム14の先端部14aがフートピン15を含む水平面と同じ高さになるまでは、ブーム14の先端部14aに垂直直線軌道を描かせながらブーム14を起仰させることはできず、従ってこの間は作業台21を垂直上昇させることはできない
【0023】
このため、このコントローラ40では、水平垂直移動モードにおいてブーム操作レバー27が操作され、作業台21を垂直昇降させる指令が出力されたときには、起伏角度検出器41及び長さ検出器42からの検出情報に基づいて、ブーム14の先端部14aが垂直直線軌道を描いて昇降移動するように起伏シリンダ18及び伸縮シリンダ17を作動させ、これにより作業台21が垂直昇降するのであるが、作業台21を垂直上昇させる指令が、上記検出器41,42により検出されるブーム14の先端部14aがフートピン15を含む水平面よりも低い位置にある状態において出力された場合には、上記検出器41,42により検出されるブーム14の先端部14aが所定の高さ(例えば、フートピン15を含む水平面の高さ)になるまでは、ブーム14の先端部14aが垂直直線軌道を描くか否かに拘わらず、ブーム14が全縮状態を保持したまま起仰されるように上記両シリンダ18,17を作動させる。すなわち、コントローラ40は、ブーム14の先端部14aが上記所定の高さになるまではこれが垂直直線軌道を描くかどうかを不問とするか、この間における両検出器41,42の検出情報を無視するか、若しくはその間は水平垂直移動モードを通常モードに自動的に切り替える。
【0024】
ここで、ブーム14が上記所定の高さになるまで起仰される間は、ブーム14が確実に全縮状態になるようにブーム14を収縮作動させる。この収縮作動は、ブーム14の起仰を始めてから上記所定の高さに至るまで継続させて行ってもよいが、ブーム14が機構的な不具合等(ガタやワイヤの伸びなど)により全縮状態から伸長してしまったときのみ行ってもよい。このようにすれば、ブーム14の起仰時においてブーム14と車体11とが干渉することを防止できるとともに、ブーム14の先端部14aが上記所定の高さにまで起仰され、作業台21の垂直上昇を開始する時点においてブーム14を確実に全縮状態にさせておくことができるので、作業台21の垂直上昇制御をより正確に行うことができるようになる。
【0025】
この高所作業車10においては上記のような制御が行われるため、ブーム14格納状態から作業台21の垂直上昇指令を行ってもコントローラ40にシステムエラーが生じることがなく、ブーム14の作動が規制されるようなことがないので、作業台21をブーム14格納状態から垂直上昇入力(指令)により上昇移動させることができ、作業性が向上する。なお、上記所定の高さはフートピン15を含む水平面の高さであることが好ましいが、このの高さを少々越える高さであっても構わない。
【0026】
図4は、ブーム14格納状態から作業台21を垂直上昇させる入力をしたときのブーム14先端部14aの動きを旋回台13とブーム14とを取り出して描いたものである。ここでは、格納状態のブーム14を実線で、ブーム14の先端部14aがフートピン15を含む水平面と同じ高さになった状態のブーム14を一点鎖線で(水平線Hを併せて示す)、また、仰角(水平面よりも上方に取った角度)にまで起仰させた状態のブーム14を二点鎖線で示している。この図に示すように、ブーム14の先端部14aは、フートピン15を含む水平面と同じ高さになるまでは円弧状の軌道(フートピン15を中心とする円弧軌道)L1に沿って移動し、これを過ぎると垂直直線軌道L2に沿って移動するようになる。
【0027】
高所での作業を終えたら、作業台21に搭乗した作業者は、上部操作装置25に設けられた自動格納スイッチ30を操作する(この自動格納スイッチ30は下部操作装置26にも設けられている)。自動格納スイッチ30が操作されたら、コントローラ40は先ず作業台21を首振作動させてその向きを整えた後、ブーム14を全縮状態にして(或いは、先ずブーム14を全縮状態にした後、作業台21を首振作動させてその向きを整えて)ブーム受け31の上方(車体11前方)へ旋回させ、ブーム14を格納角θsまで倒伏し、車体11に設けられたブーム受け31に載置させる(図3参照)。なお、ブーム14がブーム受け31に載置されると、ブーム受け31に設けられた格納検出スイッチ32(リミットスイッチ)がオンとなり、これがコントローラ40へ出力されてブーム14の作動は油圧的にロックされた状態となる。
【0028】
この自動格納動作を図5のフロー図を用いて詳細に説明する。自動格納スイッチ30が操作されるとその信号はコントローラ40に入力されるが、これによりコントローラ40は、先ずブーム14の起伏角度θが予め定めた基準角θo以上であるか否かを判断する(S1)。ここで、ブーム14の起伏角度θが基準角θoよりも小さければ自動格納信号をキャンセルし(S2)、ブーム14の起伏角度θが基準角θo以上であれば、首振モータ23の作動させて作業台21を首振角度rを所定の角度に整えた後(作業台21の首振角度rは首振角度検出器44によりモニターする)、ブーム14を収縮させるための指令を出力する(S3)。続いて長さ検出器42によりモニターされるブーム14の長さLを全縮長さLoと比較し(S4)、ブーム14の長さLが全縮長さLoと一致していないときにはブーム14の収縮指令を継続して出力し(S3)、ブーム14の長さLが全縮長さLoに一致したらブーム14の収縮指令を継続しながらブーム14を旋回させる指令を出力する(S5)。
【0029】
続いて旋回角度検出器43によりモニターされるブーム14の旋回角度φをブーム14がブーム受け31の上方に位置する目標旋回角度φoと比較し(S6)、ブーム14の旋回角度φが目標旋回角度φoと一致していないときにはブーム14の旋回指令を継続して出力し(ブーム14の収縮指令も継続して出力)、ブーム14の旋回角度φが目標旋回角度φoに一致したら旋回指令の出力を終了し、ブーム14を倒伏させる指令を出力する(S7)。そして、起伏角度検出器41によりモニターされるブーム14の起伏角度θを格納角θsと比較し(S8)、ブーム14の起伏角度θが格納角θsと一致していないときにはブーム14の倒伏指令を継続して出力し(ブーム14の収縮指令も継続して出力)、ブーム14の起伏角度θが格納角θsに一致したら倒伏指令の出力を終了する。また、同時にブーム14の収縮指令の出力も併せて終了する。
【0030】
このように、この高所作業車10では、自動格納スイッチ30によりブーム14を格納させる指令があったときには、コントローラ40は、ブーム14が全縮され、且つこの全縮状態が保持されたまま格納位置まで倒伏されるように起伏シリンダ18及び伸縮シリンダ17を作動させるようになっている。このため、ブーム14に機構的な不具合等があってもブーム14が格納途中で俯角になったときに伸長するようなことがなく、ブーム14と車体11との干渉が防止される。
【0031】
ここで、上記基準角θoは仰角でもよいが、零度若しくは俯角に設定することもできる(但し、基準角θoを俯角に設定する場合には格納状態のブーム14の起伏角度θsよりも大である必要がある)。この基準角θoが俯角であっても、自動格納を開始してブーム14が全縮にされれば、以後はブーム14が伸長することがないので(前述のように、ブーム14の収縮動作が続行されるため)、その後ブーム14を旋回させても(上記フロー図におけるS5)ブーム14と車体11とが干渉する虞がない。また、このため俯角状態からでもブーム14の自動格納ができるので、特に天井の低い作業現場での作業性が向上する。
【0032】
なお、ブーム14を全縮にしてから格納角θsへ倒伏させる(格納位置に格納する)までの間においては、ブーム14が全縮状態から伸長してしまったときのみブーム14を収縮作動させるようにしてもよいが、上述のように、ブーム14を全縮にしてから格納位置に格納するまでの間継続してブーム14の収縮作動を行うことにより、或いは検出器41,42により検出されるブーム14の先端部14aが所定の高さ(例えば、フートピン15を含む水平面の高さ以下の高さ)になってからブームが俯角(格納角θs)に倒伏されるまでの間、ブーム14が収縮作動させてもよい。これにより、ブーム14を格納位置まで倒伏させる間、ブーム14を確実に全縮状態に保持しておくことができる。
【0033】
これまで本発明に係る俯角格納式ブーム作業車の実施形態について説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の適用対象は上記高所作業車10のような形態に限られることなく、ブームを全縮且つ俯角に倒伏させた状態で格納する構成の作業車(俯角格納式ブーム作業車)に対して広く適用可能である。また、ブームを作動させるアクチュエータは油圧式でなくてもよく、電気駆動式のものであっても構わない。更に、ブームは少なくとも起伏、伸縮動が可能であれば本発明の対象とすることができ、ブーム旋回ができない構成であっても適用可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、第1の本発明に係る俯角格納式ブーム作業車においては、垂直昇降指令手段から作業台の垂直昇降指令を行うと、制御手段は、位置検出手段からの検出情報に基づいて、ブームの先端部が垂直直線軌道を描いて昇降移動するようにアクチュエータを作動させ、これにより作業台が垂直昇降するのであるが、作業台の垂直上昇指令を、ブームが格納された状態から行った場合には、ブームの先端部が所定の高さになるまでは、ブームが全縮状態まま起仰するようにアクチュエータを作動させる。このため、ブーム格納状態から作業台の垂直上昇指令を行っても制御手段にシステムエラーが生じることがなく、ブームの作動が規制されるようなことがないので、作業台をブーム格納状態から垂直上昇指令により上昇移動させることが可能であり、作業性が向上する。
【0035】
また、ブームが格納された状態から垂直昇降指令手段による作業台を垂直上昇させる指令が出力された場合、位置検出手段により検出されるブームの先端部が所定の高さになるまで、ブームの全縮状態が保持されるようにブームを収縮作動させるようになっているのであれば、ブームの格納状態からブームの先端部が所定の高さに至るまでの間(起仰作動間)において、ブームの機構的な不具合等(ガタやワイヤの伸びなど)によりブームが伸長してしまうようなことがない。このため、ブームと車体との干渉を防止できるとともに、ブームの先端部が上記所定の高さにまで起仰され、作業台の垂直上昇を開始する時点においてブームを確実に全縮状態にさせておくことができるので、作業台の垂直上昇制御をより正確に行うことができるようになる。
【0036】
また、第2の本発明に係る俯角格納式ブーム作業車においては、格納指令手段によりブームを格納させる指令があったときには、ブームを全縮状態にした後格納位置まで倒伏させるが、この倒伏作動の間(ブームが格納姿勢になるまでの間)、ブームの全縮状態が保持されるようにブームを収縮作動させるようになっている。このため、ブームに機構的な不具合があってもブームが格納途中で俯角になったときに伸長するようなことがなく、ブームと車体との干渉が防止される。また、これにより俯角状態からでもブームを自動格納させることができるようになるので、特に天井の低い作業現場での作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る俯角格納式ブーム作業車の制御系を示すブロック図である。
【図2】上記俯角格納式ブーム作業車の構成を示す側面図である。
【図3】上記俯角格納式ブーム作業車がブームを格納させた状態を示す側面図である。
【図4】ブーム格納状態から作業台を垂直上昇させる入力をしたときのブームの先端部の動きを説明するための図である。
【図5】上記俯角格納式ブーム作業車の自動格納時におけるコントローラの処理の流れを示すフロー図である。
【符号の説明】
10 高所作業車(俯角格納式ブーム作業車)
11 車体
13 旋回台
14 ブーム
15 フートピン(起伏軸)
17 伸縮シリンダ(アクチュエータ)
18 起伏シリンダ(アクチュエータ)
21 作業台
27 ブーム操作レバー(垂直昇降指令手段)
30 自動格納スイッチ(格納指令手段)
40 コントローラ(制御手段)
41 起伏角度検出器(位置検出手段)
42 長さ検出器(位置検出手段)

Claims (3)

  1. 車体と、
    この車体上に設けられ、アクチュエータの作動により少なくとも起伏、伸縮動が自在なブームと、
    このブームの先端部に取り付けられた作業台とを有し、
    前記ブームを全縮且つ俯角に倒伏させた状態で格納する構成の俯角格納式ブーム作業車において、
    前記作業台を垂直昇降させる指令を行う垂直昇降指令手段と、
    前記ブームの先端部の位置を検出する位置検出手段と、
    前記垂直昇降指令手段による前記指令が出力されたときに、前記位置検出手段からの検出情報に基づいて、前記ブームの先端部が垂直直線軌道を描いて昇降移動するように前記アクチュエータの作動制御を行う制御手段とを備え、
    この制御手段は、前記ブームが格納された状態から前記垂直昇降指令手段による前記作業台を垂直上昇させる指令が出力された場合、前記位置検出手段により検出される前記ブームの先端部が所定の高さになるまでは、前記ブームが全縮状態まま起仰するように前記アクチュエータを作動させることを特徴とする俯角格納式ブーム作業車。
  2. 前記制御手段は、前記ブームが格納された状態から前記垂直昇降指令手段による前記作業台を垂直上昇させる指令が出力された場合、前記位置検出手段により検出される前記ブームの先端部が所定の高さになるまで、前記ブームの全縮状態が保持されるように前記ブームを収縮作動させることを特徴とする請求項1記載の俯角格納式ブーム作業車。
  3. 車体と、
    この車体上に設けられ、アクチュエータの作動により少なくとも起伏、伸縮動が自在なブームと、
    このブームの先端部に取り付けられた作業台とを有し、
    前記ブームを全縮且つ俯角に倒伏させた状態で格納する構成の俯角格納式ブーム作業車において、
    前記ブームを格納させる指令を行う格納指令手段と、
    前記ブームの先端部の位置を検出する位置検出手段と、
    前記格納指令手段による前記指令が出力されたときに、前記ブームが全縮状態にされた後前記俯角まで倒伏されるように前記アクチュエータの作動制御を行う制御手段とを備え、
    この制御手段は、前記位置検出手段により検出される前記ブームの先端部が所定の高さになってから前記ブームが格納姿勢になるまでの間、前記ブームの全縮状態が保持されるように前記ブームを収縮作動させることを特徴とする俯角格納式ブーム作業車。
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