JP3670991B2 - 伸縮性織物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、伸縮性織物に関し、特に、ズボンやスカート等に使用される芯織物等として好適な伸縮性織物に関する。
【0002】
【従来の技術及び解決しようとする課題】
従来、ズボンやスカート等のインナーベルト等に、人間工学に基づいて装着感等を向上させるように設計した伸縮性を備えた帯状の織物が使用されている。この織物は、帯状に織り上がったものをそのまま芯材等として使用する場合には特に問題はないが、図7に示すように、織物51にボタン穴等を設けるために穴52、53を穿設したような場合には、穴52、53の周囲の経糸と緯糸とが解れ、ボタン穴等をスムーズに形成することができないという問題があった。また、ボタン穴等を穿設しない場合でも、経糸が容易に横方向へ移動して織り組織が安定しないという問題もあった。
【0003】
そこで、織り組織を安定させたり、経糸と緯糸との解れを防止するため、通常より多くの経糸を使用して、経糸の緯糸との絡み具合を密にしてボタン穴等をスムーズに形成することができるようにした伸縮性織物が使用されることもあった。
【0004】
しかし、この場合、経糸の使用量が従来よりも20%程度も増加することがあり、伸縮性織物の製造コストが上昇するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来の伸縮性織物における問題点に鑑みてなされたものであって、製造コストの上昇を伴うことなく、織り組織が安定し、ボタン穴等を形成する際の経糸と緯糸との解れを防止してボタン穴等を容易に形成することのできる伸縮性織物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、伸縮性織物であって、伸縮性及び非伸縮性経糸と、非伸縮性緯糸とで織り組織を構成した伸縮性織物において、前記非伸縮性経糸の一部を、該伸縮性織物が織り上がった状態で他の非伸縮性経糸よりも長く織り込まれた留糸としたことを特徴とする。
【0007】
そして、請求項1記載の発明によれば、非伸縮性経糸の一部を留糸としたため、留糸と他の経糸及び緯糸との摩擦力が大きくなって経糸同士及び経糸と緯糸との間の結合が強くなり、従来のようにより多くの経糸を使用して、経糸の緯糸との絡み具合を密にしなくとも、織り組織が安定するとともに、ボタン穴等を形成する際の経糸と緯糸との解れを防止してボタン穴等を容易に形成することができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の伸縮性織物において、前記留糸を前記他の非伸縮性経糸の間に介在させたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、他の非伸縮性経糸の間に留糸を介在させたため、経糸同士の間の結合がさらに強くなり、ボタン穴等を形成する際の経糸と緯糸との解れ等をさらに確実に防止することができ、留糸織物の表面または裏面に現れることもない。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の伸縮性織物において、前記伸縮性経糸に隣接する経糸に溶着糸を使用したことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、溶着糸を伸縮性経糸に隣接させたため、伸縮糸の横方向への移動を抑制することができ、より安定した織り組織を得ることができ、ボタン穴等を形成する際の経糸と緯糸との解れをさらに確実に防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明にかかる伸縮性織物の実施の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1乃至図3は、本発明にかかる伸縮性織物の第1実施例を示し、この伸縮性織物1は、図1に示すように、ポリウレタン繊維等からなる伸縮糸3と、非伸縮性の経糸4〜8とで構成される。尚、図中、参照番号2は、金筬を示す。
【0014】
ここで、経糸4、7は表糸、経糸6は留糸、経糸5、8は裏糸であって、これらは、同一種類の非伸縮性のポリエステル繊維等からなるが、留糸6は、表糸4、7及び裏糸5、8よりも長いものが使用される。すなわち、伸縮性織物1が織り上がった状態で、表糸4、7及び裏糸5、8に対して150%〜200%長いものが織り込まれている。尚、表糸4、7及び裏糸5、8は、伸縮性織物1が織り上がった状態で同一の長さとなるように織り込まれている。
【0015】
図2は、伸縮性織物1の織り組織を示し、斜線で示した部分は、経糸4〜8または伸縮糸3が上側にある場合を示している。伸縮糸3は平織りであって、留糸6は2つ飛ばしで織り上げている。また、表糸4、7は、3つが表で1つが裏というように表に出る箇所が多く、逆に、裏糸5、8は、3つが裏で1つが表というように裏に出る箇所が多くなっている。
【0016】
図3は、伸縮性織物1を横方向に切断した断面を示している。図中、ハッチングをした円形部分が緯糸10である。破線で示した伸縮糸3は、平織りの状態で緯糸10に織り込まれ、留糸6は、2つ飛ばしで緯糸10に織り込まれている。そして、留糸6は、表糸4(7)及び裏糸5(8)に間に挟まれた状態で織り込まれる。従って、留糸6が伸縮性織物1の表面または裏面に現れることはない。
【0017】
このように伸縮性織物1を構成すると、留糸6が存在する分だけ、留糸6と表糸4、7及び裏糸5、8、さらに留糸6と緯糸10の摩擦力が大きくなり、伸縮性織物1にボタン穴等を穿設した場合でも、経糸同士及び経糸と緯糸との間の結合が強くなるため、従来のようにより多くの経糸を使用して、経糸の緯糸との絡み具合を密にしなくとも、安定した織り組織を得ることができるとともに、経糸と緯糸との解れを防止してボタン穴等を容易に形成することが可能となる。そのため、製造コストが上昇することはない。
【0018】
次に、本発明にかかる伸縮性織物の第2実施例について、図4乃至図6を参照しながら説明する。
【0019】
本実施例にかかる伸縮性織物11は、図4に示すように、ポリウレタン繊維等からなる伸縮糸3及び溶着糸9と、非伸縮性の経糸4〜8とで構成される。尚、図中、参照番号2は、金筬を示す。
【0020】
ここで、経糸3〜8は、第1実施例と同様のものが使用され、本実施例では、伸縮糸3に隣接する経糸に溶着糸9を使用したことを特徴としている。
【0021】
図5は、伸縮性織物11の織り組織を示し、斜線で示した部分は、経糸4〜8、伸縮糸3または溶着糸9が上側にある場合を示している。伸縮糸3は平織りであって、留糸6及び溶着糸9は2つ飛ばしで、表糸4、7は、3つが表で1つが裏というように表に出る箇所が多く、裏糸5、8は、3つが裏で1つが表というように裏に出る箇所が多くなっている。
【0022】
図6は、伸縮性織物11を横方向に切断した断面を示している。図中、ハッチングをした円形部分が緯糸10である。破線で示した伸縮糸3は、平織りの状態で緯糸10に織り込まれ、留糸6及び溶着糸9は、2つ飛ばしで緯糸10に織り込まれ、留糸6及び溶着糸9は、表糸4(7)及び裏糸5(8)に間に挟まれた状態で織り込まれる。
【0023】
このように伸縮性織物11を構成すると、留糸6が存在することにより、第1実施例の場合と同様の作用効果を得ることができるとともに、伸縮糸3に隣接して溶着糸9を設けたため、伸縮糸3の移動を防止することができ、より安定した織り組織を得ることができる。
【0024】
尚、上記実施例においては、非伸縮性経糸4〜8をポリエステル繊維で構成したが、綿、スフ、アクリル、ナイロン等の短繊維、ナイロン、ウーリー加工糸、モノフィラメント等の長繊維を使用することも可能である。特に、本発明では、熱処理することなくソーピングのみで上記特長を備えた伸縮性織物を製造することができるため、ポリプロピレン、アクリル等の熱に弱い繊維にも適用することができて好適である。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、製造コストの上昇を伴うことなく、織り組織が安定し、ボタン穴等を形成する際の経糸と緯糸との解れを防止してボタン穴等を容易に形成することのできる伸縮性織物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる伸縮性織物の第1実施例における経糸の並びを示す図である。
【図2】図1の伸縮性織物の織り組織を示す図である。
【図3】図1の伸縮性織物の横断面図である。
【図4】本発明にかかる伸縮性織物の第2実施例における経糸の並びを示す図である。
【図5】図4の伸縮性織物の織り組織を示す図である。
【図6】図4の伸縮性織物の横断面図である。
【図7】伸縮性の帯状織物にボタン穴を穿設した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 伸縮性織物
2 金筬
3 伸縮糸
4 経糸(表糸)
5 経糸(裏糸)
6 経糸(留糸)
7 経糸(表糸)
8 経糸(裏糸)
9 溶着糸
10 緯糸
11 伸縮性織物

Claims (3)

  1. 伸縮性及び非伸縮性経糸と、非伸縮性緯糸とで織り組織を構成した伸縮性織物において、
    前記非伸縮性経糸の一部を、該伸縮性織物が織り上がった状態で他の非伸縮性経糸よりも長く織り込まれた留糸としたことを特徴とする伸縮性織物。
  2. 前記留糸を前記他の非伸縮性経糸の間に介在させたことを特徴とする請求項1記載の伸縮性織物。
  3. 前記伸縮性経糸に隣接する経糸に溶着糸を使用したことを特徴とする請求項1または2記載の伸縮性織物。
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