JP3669872B2 - 灰の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばごみ焼却設備を含む焼却設備、化学プラントからでる排ガス中の酸性ガス成分の脱酸処理を行なうとともに、それら焼却設備、化学プラントから排ガスとともに発生する複数の金属成分を含有する灰から金属成分を回収して灰を無害化する灰の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、廃棄物などの焼却灰,焼却飛灰,溶融飛灰等の複数の金属成分を有する灰類から重金属を回収しつつ、灰類を無害化する方法として、乾燥式精錬法,湿式精錬法およびキレート吸着法などが用いられている。
【0003】
前記乾燥式精錬法は、灰を蒸発固化した上で加熱溶融し、湯状にした後、比重分離を行い、アルカリ金属および各種金属を回収する方法である。しかしながら、この乾燥式精錬法では多量のエネルギーを要するという問題点があるとともに、灰中に含有されている重金属を個別に分離する際に合金化したり、比重の分離が困難もしくは不完全であるなど回収された重金属の純度が低いという問題点がある。また、蒸気圧の高い重金属については、その回収が困難であるという問題点がある。
【0004】
前記湿式精錬法は、灰を酸で溶解して重金属成分を液側に移行させた上で、その溶液に水酸化ナトリウム、硫化ナトリウム、アンモニア、酢酸、炭酸ナトリウム、アンモニア、酢酸、炭酸ナトリウム等の薬剤を添加し、溶解度差を利用して各種金属を硫化物、水酸化物、アンモニア錯体等の沈澱物のかたちで分離回収する方法である。しかしながら、この方法では、回収された重金属の純度が高くなく、さらに多種の薬剤を要するという問題点があるとともに、硫化物が沈殿物として生成されるため、操作を誤ると硫化水素等の有害ガスを発生する危険性があるという問題点がある。
【0005】
前記キレート吸着法は、灰を酸で溶解して重金属成分を液側に移行させた上で、その溶液を配位子に窒素等を有するキレート性イオン交換樹脂に通液し、重金属イオンを吸収回収する方法である。しかしながら、この方法では、キレート性イオン交換樹脂による重金属の選択性が低いため、各重金属を高純度に分離することが困難であるという問題点を有するとともに、キレート性イオン交換樹脂に捕捉された金属は結合力が強く、脱離させることが困難であるため、キレート性イオン交換樹脂の再生使用が困難であるという問題点がある。
【0006】
そこで、本出願人は前述の問題点を解消するため、特開平10−174950号公報において、複数の金属成分を含有する灰を酸又はアルカリを用いて一部溶解させて懸濁液を得た後、この懸濁液を固液分離して固体分を除去して分離液を得、この分離液中に溶解した溶解金属成分と選択的に結合し得る大環状化合物を固定化した担体に前記分離液を接触させて、その溶解金属成分を前記担体に結合させた後、その担体に溶離液を接触させ、前記担体に結合した金属成分を溶離させてその金属成分を回収する灰の処理方法を提案している。この灰の処理方法によれば、各種灰から高選択性,高純度で種々の金属成分を回収することが可能である。
【0007】
一方、前記焼却灰、焼却飛灰、溶融飛灰等と同時に排出される排ガス中には、HCl,SO等の酸性ガス成分が含まれており、これを脱酸処理する方法(以下、排ガスの処理方法という)としては、これら酸性ガス成分を、苛性ソーダ等のアルカリ剤を含んだ水溶液との中和反応をpH6〜7で行なわせることにより塩に変えて回収するという方法が最も一般的に採られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記公報に記載の灰の処理方法では、複数の金属成分を含有する灰を一部溶解させる酸又はアルカリが多量に必要となり、これら酸又はアルカリを購入する必要があるため、非常にコストがかかるという問題点がある。
【0009】
また、前記排ガスの処理方法では、酸性ガス成分を中和させるために苛性ソーダが必要になるとともに、苛性ソーダによる中和によって塩が生成されるが、この塩は従来の排水処理設備では除去できず、その処理水を特に河川等に放流した場合に、地域によっては塩害が発生する等の問題点がある。
【0010】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、排ガスの処理に必要な苛性ソーダ量および灰の処理に必要な酸又はアルカリの購入量を極端に少なくしてコストダウンを図ることができる灰の処理方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前述された目的を達成するために、第1発明による灰の処理方法は、複数の金属成分を含有する灰から金属成分を回収して灰を無害化する灰の処理方法であって、
(a)排ガス中に含まれる酸性ガス成分中のHClガスを一旦HCl濃度0.04〜10重量%の洗浄液に吸収させる排ガス洗浄工程と、
(b)このHClガス吸収後の洗浄液からプロトン選択透過性陽イオン交換膜を用いた電気透析によりHClを分離回収するHCl回収工程と、
(c)このHCl回収工程にて分離回収されたHClを用いて複数の金属成分を含有する灰を一部溶解させて懸濁液を得る溶解工程と、
(d)前記懸濁液を固液分離して、固体分を除去した分離液を得る分離工程と、
(e)前記分離液中に溶解した溶解金属成分と選択的に結合し得る大環状化合物を固定化した担体に、前記分離液を接触させて、その溶解金属成分を前記担体に結合させる結合工程と、
(f)前記担体に溶離液を接触させて、その担体に結合した金属成分を溶離させる溶離工程と、
(g)前記分離液および溶離液に溶解する金属成分をそれぞれ析出させる析出工程と
を有することを特徴とするものである。
【0012】
第1発明においては、排ガス洗浄工程にて排ガス中に含まれるHCl,SO等の酸性ガス成分のうちHClガスが洗浄液にて選択的に吸収され、HCl回収工程にて前記吸収後の洗浄液がプロトン選択透過性陽イオン交換膜によって水溶液中のカチオンのうちプロトンのみが透過することを利用して、排ガス中の酸性ガス成分を中和することなく、脱酸処理が行なわれ、純度の高い塩酸が回収される。なお、前記排ガス処理時に中和のための苛性ソーダ等のアルカリ剤が不要であり、また塩の排出を削減することが可能である。
【0013】
次に、前記HCl回収工程にて分離回収された純度の高い塩酸を用いて複数の金属成分を含有する灰を一部溶解させて、すなわち灰中に存在する金属単体,金属塩化物,金属酸化物,金属水酸化物等の金属成分を金属イオン,金属化合物イオン等にして可溶化して懸濁液を得て(溶解工程)、分離工程にてその懸濁液を固液分離して固体分を除去することにより不溶性の残渣を除去した分離液を得る。その分離液中の溶解金属成分と選択的に結合し得る大環状化合物を固定化した担体に、分離液を接触させて、その溶解金属成分を前記担体に溶解状態のまま又は何らかの変化を受けた状態で高選択性に結合させる(結合工程)。
【0014】
続いて、溶離工程にて前記金属成分を結合した担体に溶離液を接触させて、その金属成分を高純度に溶離させる。こうして溶離液中に溶離した金属成分を不溶化させて析出させるとともに、前記担体に接触させた後の分離液中に担体に結合されずにそのまま存在する金属成分を不溶化させて析出させて、高純度の金属成分を水酸化物,酸化物,硫化物等の形で高純度に得る(析出工程)。
【0015】
第1発明によれば、排ガスの処理中に得られる高純度な塩酸を用いて灰の処理を行なうことができ、大幅なコスト低減を図ることができるという効果を奏する。また、灰中から回収する金属の選択性および回収された金属の純度に優れるとともに、金属成分の回収操作が容易である。
【0016】
第1発明においては、前記結合工程と溶離工程とを前記担体の種類を変えて繰り返して行なうことにより、複数の金属を順次回収することができる。この場合、結合工程により特定の金属成分のみが担体に結合され、他の金属成分はそのまま分離液に残存するので、引き続き担体の種類を変えて結合工程を好適に行なうことができ、また各担体から別個に金属成分の溶離を行なえば、各担体より複数の金属成分を高純度に順次回収することができる。また、この場合、亜鉛成分以外の金属成分を順次回収した後、亜鉛成分を回収することが好ましい。前記亜鉛成分のみを選択性よく前記担体に結合させるのが困難であるため、亜鉛成分以外の金属成分を順次回収した後、亜鉛成分を回収すれば高純度の亜鉛成分を回収することができるからである。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による灰の処理方法の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1には、本発明の一実施形態に係る灰の処理装置のシステム構成図が示されている。
【0025】
本実施形態に係る灰の処理装置は、図示されないごみ焼却設備より排出されるガス(以下、排ガスという)に含まれる酸性ガス成分中のHClガスを選択的に脱酸処理する排ガス処理装置Bと、ごみ焼却設備より排出される灰(焼却灰,焼却飛灰,溶融飛灰など)に含まれる金属成分を回収する金属回収装置Dとにより構成されている。
【0026】
前記排ガス処理装置Bにおいては、第1洗浄塔1と第2洗浄塔2と電気透析槽3とが備えられている。前記ごみ焼却設備より煙道4を介して送られてきた排ガスは、第1洗浄塔1の頂部からその第1洗浄塔1内へ導入され、この第1洗浄塔1の下部に溜められた洗浄液5が循環ポンプ6にて上方へ循環されて上部のスプレーノズル7から塔内に噴霧され、これによって第1洗浄塔1内に導入された排ガスを冷却するとともに、排ガス中のHClガスを吸収するようにされている(排ガス冷却・洗浄工程)。このHClガスの吸収に伴って洗浄液5中のHCl濃度は高くなるので、後述の電気透析槽3によって処理してその濃度が例えば0.04〜10重量%の範囲になるように制御される。ここで、HCl濃度を上記範囲に規定したのは、0.04重量%未満になると回収HCl濃度が薄くなって効率が悪くなるためであり、10重量%以上になるとHClガス吸収率の低下が大きくなるからである。洗浄液のpHが酸性側になるほど、SO成分はほとんど洗浄液に吸収されなくなるため、HCl成分のみの回収が可能となる。
【0027】
このHClガス吸収後の洗浄液5はポンプ8により送液され、前処理装置9にて固形物(SS),重金属等、電気透析槽3の安定運転にとって有害なものが除去された後、水冷却器10にて温度が60℃以下に下げられて、電気透析槽3に送入される。この前処理装置9と水冷却器10は、順序を逆に設置しても何ら問題がないことは勿論である。
【0028】
前記電気透析槽3は、両端に陽極11と陰極12とがそれぞれ配されるとともに、これら電極11,12間に後述のプロトン選択透過性陽イオン交換膜Cと陰イオン交換膜Aとが交互に多数設けられてなるものである。なお、陽極,陰極に隣接するプロトン選択透過性陽イオン交換膜Cは、少なくとも1枚以上設けるものとする。ここで、このプロトン選択透過性陽イオン交換膜の一例としては、カチオン交換膜の上にアニオン交換膜の薄層を積層してなるものであって、このアニオン交換膜の膜厚を従来のものに比して著しく薄くするために、薄く製膜できる溶媒可溶型のポリマーを用いるとともに、アニオン交換層として、溶媒に可溶なポリスルホン骨格のアニオン交換ポリマーを用いてなるものである(「硫酸と工業」平成8年4月号、P51〜P58参照)。こうして、前処理装置9および水冷却器10を介して送入される洗浄液は原液室13内に流され、この電気透析槽3における処理によってHCl濃度の低くなった洗浄液が配管14を介して第1洗浄塔11に戻される。
【0029】
一方、前記電気透析槽3の透過室15には、HClタンク16からポンプ17によって希薄HCl液が送入される。この希薄HCl液は、原液室13からイオン交換膜を透過するHイオンとClイオンとによって濃縮され、この濃縮HCl液が配管18からHClタンク16に戻される(HCl回収工程)とともに、その一部が配管19から抜き出されて、金属回収装置Dに供給される。なお、このHCl液の抜き出し量に対応する純水が配管20を介してHClタンク16に供給される。
【0030】
また、陽極11と陰極12の接液流路には使用目的に応じNaNO,NaSO等の中性塩やHNO,HSO,HCl等の水溶液が流通されている。これらの水溶液は循環タンク21に貯留され、ポンプ22によって陽極11側および陰極12側に送液されるとともに、電気透析槽3を出た後、再度循環タンク21に戻される。なお、循環タンク21およびポンプ22は、陽極11側,陰極12側それぞれ別個に専用のものを設けることもできる。
【0031】
SOを主とする酸性ガス成分および前記第1洗浄塔1にて吸収されなかったHClガスなどの酸性ガス成分を吸収するために、第1洗浄塔1を出た排ガスは煙道23によって第2洗浄塔2に導入される。この第2洗浄塔2においては、下部に溜められた洗浄液24が循環ポンプ25にて上方へ循環されて投入され、これによって第2洗浄塔2内に導入された排ガスと気液接触させて、この排ガス中のSOガスおよび第1洗浄塔1では吸収されなかったHClガスなどの酸性ガス成分を吸収するようにされている。また、この第2洗浄塔2における洗浄液24のpHを6〜7に維持するために、苛性ソーダなどのアルカリ剤がヘッドタンク26から洗浄液24に補給される。なお、この第2洗浄塔2を出た排ガスは配管27からガス再加熱器等を経て煙突(いずれも図示せず)から大気に放出される。
【0032】
次に、電気透析槽3における処理について、図2を参照しつつより詳細に説明する。
【0033】
この電気透析槽3においては、陽極11と陰極12との間にプロトン選択透過性陽イオン交換膜Cと陰イオン交換膜Aとが交互に多数枚配されるとともに、各電極11,12に近接する側にはプロトン選択透過性陽イオン交換膜Cが1枚以上重ねて配され、これらイオン交換膜C,Aによって多数の区画室が形成されている。そして、第1洗浄塔1より抽出されて前処理装置9および水冷却器10を介して送入される洗浄液(HCl水溶液)は、プロトン選択透過性陽イオン交換膜Cと陰イオン交換膜Aとにより画成される1つおきの区画室内に供給される(図において実線の矢印にて示す)。電気透析によりそのHCl水溶液中の水素イオンHプロトン選択透過性陽イオン交換膜Cを通過するが、陰イオン交換膜Aを通過せず、またNa,K,Mg2+,Ca2+等の陽イオンはプロトン選択透過性陽イオン交換膜Cを通過しない。したがって、隣接する区画室においてはプロトン選択透過性陽イオン交換膜Cを通過した水素イオンHと、陰イオン交換膜Aを通過した塩素イオンClとが結びついてHClが回収・濃縮される。この回収・濃縮されたHClは前述のように濃縮HCl液として配管18からHClタンク16に戻される(図において一点鎖線の矢印にて示す)。なお、洗浄液の循環ライン中には、Na ,K ,Mg 2+ ,Ca 2+ 等の陽イオンが濃縮されるため、適宜ブローされる。また、陽極11と陰極12との接液流路には前述のように循環タンク21から金属塩水溶液が流通され(図において破線の矢印にて示す)、陽極11には酸素のみ、陰極12には水素のみが生成されるようになっている。
【0034】
次に、前記金属回収装置Dにおいては、前記ごみ焼却設備から排出される灰を溶解させて懸濁液を生成する溶解槽30と、この溶解槽30の下流側に前記懸濁液の固液分離を行ない固体残渣を除去した分離液を得る濾過装置31と、この濾過装置31の下流側に三方弁32を介して前記分離液と溶離処理液槽33に貯留される溶離液とが選択的に通液されるカラム34とが設けられている。このカラム33の下流側には、三方弁35の切換えにより、前記分離液を貯留してその分離液から溶解金属成分を析出させる第1析出槽36と、前記溶離液を貯留してその溶離液から溶解金属成分を析出させる第2析出槽37とが設けられている。それら第1析出槽36および第2析出槽37の下流側には、前記溶解金属成分を回収する第1濾過装置38と第2濾過装置39とがそれぞれ設けられ、これら第1濾過装置38および第2濾過装置39をそれぞれ通過する処理液を合せて回収する処理水槽40が設けられている。また、前記処理水槽40には、処理水を溶解槽30へ供給する循環配管41が接続されている。
【0035】
前記溶解槽30には、前記排ガス処理装置Bの配管19を介して供給されるHCl水溶液に塩素イオン源としてのNaCl又はCaClが加えられた溶解液が貯留されており、この溶解液中に前記ごみ焼却設備より灰供給道42を介して送られてきた灰が投入され、これらがモータMを駆動力として撹拌する撹拌装置43によって混合されて前記灰中の金属成分が抽出,溶解して懸濁液が生成される(溶解工程)。なお、前記溶解液中にNaClやCaClが添加されるのは、鉛成分が過剰の塩素イオンの存在下で高い溶解性を得るためであり、具体的には塩酸に対して塩素イオン濃度で好ましくは0.5〜10モル倍、より好ましくは1〜3モル倍となるように用いられる。
【0036】
前記溶解槽30で生成された懸濁液は、前記濾過装置31によって不溶性の固体残渣が除去され(分離工程)、前記鉛および亜鉛等の金属成分が溶解されている分離液が三方弁32を経て前記カラム34に供給される。
【0037】
前記カラム34には、前記分離溶液中に溶解した溶解金属成分と選択的に接合し得る大環状化合物を固定化した担体44が充填されている。この担体44は、クラウン化合物等の大環状化合物をスペーサを介してシリカ等の担体に共有結合させたものであり、その環径と結合対象物の径との関係や両者の化学的親和性等に基づき、溶解金属成分と選択的に結合し得る性質を発現する。特に、本実施例では、鉛成分を鉛イオンまたは含鉛塩化物イオンとして結合することができ、鉛成分を対象とする結合に18−クラウン−6エーテル、またはこれに類する化合物からなる群より選ばれる1種以上を用いることとする。また、前記担体44の形態としては、微粒子状,ビーズ状(多孔質,無孔質),膜状(多孔質,無孔質)のものが挙げられるが、多孔質ビーズが接触効率や取り扱いのし易さから好ましい。
【0038】
このカラム34に供給された分離液は前記担体44に接触し、その分離液中の鉛成分を担体44に結合させる(結合工程)。一方、前記担体44に結合されなかった溶解金属成分(亜鉛成分)は分離液中にそのまま存在する。
【0039】
前記カラム34を通過した分離液は、前記三方弁35の切換えにより第1析出槽36に貯留される。この第1析出層36には、50%のNaOH液が貯留されている不溶化剤槽45が連結されており、その不溶化剤槽45から第1析出槽36中の分離液に前記NaOH液が添加され、モータMを駆動力として撹拌する撹拌装置43によって混合される。こうして分離液中の亜鉛成分が水酸化物として析出する(析出工程)。
【0040】
前記第1析出槽36から析出した亜鉛成分とともに排出された分離液は、第1濾過装置38に供給されて固液分離が行なわれ、析出した亜鉛成分が回収される。一方、前記第1濾過装置38を通過して亜鉛成分が除去された分離液は、処理水として前記処理水槽40内に貯留される。
【0041】
前記カラム34内に供給された分離液が全て第1析出槽36に供給された後、三方弁32が切換えられて溶離処理液槽33から溶離液がカラム34内に供給される。この溶離液が前記担体44に接触して、その担体44に結合している鉛成分を溶離液中に遊離させる。なお、本実施例においては、溶離液として水(特に蒸留水)が用いられている。
【0042】
前記カラム34から排出された鉛成分を含有する溶離液は、三方弁35の切換えにより、第2析出槽37に貯留される。前記第2析出層37には、第1析出槽36と同様に、50%のNaOH液が貯留されている不溶化剤槽45が連結されており、この不溶化剤槽45から第2析出槽37中の溶離液に前記NaOH液が添加され、モータMを駆動力として撹拌する撹拌装置43によって混合されることによって、溶離液中の鉛成分が水酸化物として析出する(析出工程)。なお、本実施例においては、第1析出槽36および第2析出層37にそれぞれ不溶化剤槽45が付設されているが、同一の不溶化剤が用いられているため、1つの不溶化剤槽45を第1析出槽36および第2析出層37の双方に連結させるようにしてもよい。
【0043】
前記第2析出槽37から析出した鉛成分とともに排出された溶離液は、第2濾過装置39に供給されて固液分離され、析出した鉛成分が回収される。一方、前記第2濾過装置39を通過して鉛成分が除去された溶離液は、処理水として前記処理水槽40内に貯留される。
【0044】
また、前記処理水槽40内の処理水は、循環配管41を経て溶解槽30に供給され、リサイクルされる。前記第1析出槽36および第2析出槽37にて各種金属成分を不溶化させる際に水酸化ナトリウムが用いられることにより、前記処理水は塩化ナトリウムを含有している。このため、この処理水を溶解槽30に供給することにより、溶解槽30に投入するNaClやCaCl量を減らすことができる。
【0045】
本実施形態によれば、排ガス処理装置より純度の高いHClを回収することができ、さらにその排ガス処理時に苛性ソーダなどのアルカリ剤の消費量を極端に少なくできる効果を奏する。また、塩の排出量を最小限に抑えることができ、塩害の発生や塩のリサイクル時における各種問題点を解消することが可能である。
【0046】
本実施形態の処理装置を用いることによって、例えば100ton/日の都市ごみを焼却する際に、約6%の鉛および約12%の亜鉛を含有する溶融飛灰1000kg/日から約60kg/日の鉛および約120kg/日の亜鉛を回収することができる。また、この場合に必要とする濃度12%のHClは約3600kg/日である。
【0047】
また、例えば100ton/日の都市ごみを焼却する際に前記排ガス処理装置Bにより回収される濃度12%のHClは排ガス中のHCl濃度が500ppmの条件では約3300kg/日であるため、この回収されたHClを前記灰処理に必要な塩酸の一部として充当することができ、またその充当率は約90%である。したがって、前述のように排ガス処理時に苛性ソーダなどのアルカリ剤の消費量を極端に少なくできるとともに、灰処理時に必要な塩酸の購入量を極めて少なくすることができるため、コストを大きく削減できるという効果を奏する。さらに、排ガス処理装置Bにより得られた塩酸は焼却設備外へ搬送する必要がなく、全て焼却設備内で利用することができる。
【0048】
本実施形態においては、灰中に含有される金属成分のうち鉛成分と亜鉛成分とを回収する場合について説明したが、前記灰中の金属成分を構成する金属元素としては鉛,亜鉛の他に例えばカリウム,カルシウム,銅,鉄,マンガン,カドミウム,アルミニウム,マグネシウム,ナトリウム等が挙げられ、これら金属元素を有する金属成分としては、これら金属元素単体に加え、その酸化物,水酸化物,硫化物,塩化物等の種々のものが挙げられ、前記結合工程で結合されなかった溶解金属成分は担体44と接触後の分離液にそのまま存在することになるが、アルカリ等を用いてすべてを析出・回収してもよく、また更に個別の金属成分を回収する操作を行なってもよい。つまり、前記結合工程と溶離工程を前記担体の種類を変えて繰り返し行なうことにより、複数の金属成分を順次回収することができる。このとき、選択性の高い金属成分から順に回収することが好ましい。なお、複数の金属成分を回収する場合、図1に示される装置において、各金属成分に応じた担体を有するカラムと、析出槽と、濾過装置とをそれぞれ増設し、溶離液が異なる場合にはそれぞれ溶離液槽を設ければよい。
【0049】
また、本実施形態においては、溶離液として水が用いられているが、これに限らず、この溶離液は、結合した各種金属成分に応じて適宜選択することができるが、担体に結合した金属イオンを脱離させるキレート化剤又は錯形成剤や金属イオンを再び可溶化させる酸や溶解工程で用いた塩酸の濃度を低下させることにより金属イオンを脱離させる溶媒などを用いることができる。
【0050】
本実施形態においては、析出工程の不溶化剤として水酸化ナトリウムが用いられているが、溶解した金属成分に応じて適宜選択することができ、一般的には水酸化アルカリ金属、水酸化アルカリ土類金属などが用いられ、水酸化物として金属成分が回収される。その他、硫化水素ガス(HS),硫化ナトリウム(NaS),硫化水素ナトリウム(NaHS)を用い硫化物の形態で金属成分を回収することもできる。また、鉛等については硫酸等を用いることができ、硫酸鉛として回収することができる。また、電気化学的手法により金属を析出させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の一実施形態に係る灰の処理装置のシステム構成図である。
【図2】 図2は、本実施形態における電気透析槽の詳細構造を示す図である。
【符号の説明】
1 第1洗浄塔
2 第2洗浄塔
3 電気透析槽
5 洗浄液
9 前処理装置
10 冷却器
11 陽極
12 陰極
13 原液室
15 透過室
16 HClタンク
21 循環タンク
24 洗浄液
26 ヘッドタンク
30 溶解槽
31 濾過装置
33 溶離処理液槽
34 カラム
36 第1析出槽
37 第2析出槽
38 第1濾過装置
39 第2濾過装置
40 処理水槽
41 循環配管
44 担体
45 不溶化剤槽
A 陰イオン交換膜
ロトン選択透過性陽イオン交換膜
B 排ガス処理装置
D 金属回収装置

Claims (1)

  1. 複数の金属成分を含有する灰から金属成分を回収して灰を無害化する灰の処理方法であって、
    (a)排ガス中に含まれる酸性ガス成分中のHClガスを一旦HCl濃度0.04〜10重量%の洗浄液に吸収させる排ガス洗浄工程と、
    (b)このHClガス吸収後の洗浄液からプロトン選択透過性陽イオン交換膜を用いた電気透析によりHClを分離回収するHCl回収工程と、
    (c)このHCl回収工程にて分離回収されたHClを用いて複数の金属成分を含有する灰を一部溶解させて懸濁液を得る溶解工程と、
    (d)前記懸濁液を固液分離して、固体分を除去した分離液を得る分離工程と、
    (e)前記分離液中に溶解した溶解金属成分と選択的に結合し得る大環状化合物を固定化した担体に、前記分離液を接触させて、その溶解金属成分を前記担体に結合させる結合工程と、
    (f)前記担体に溶離液を接触させて、その担体に結合した金属成分を溶離させる溶離工程と、
    (g)前記分離液および溶離液に溶解する金属成分をそれぞれ析出させる析出工程と
    を有することを特徴とする灰の処理方法。
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