JP3669590B2 - 熱交換器とその製造方法 - Google Patents
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Description
熱交換器は、温度の異なる2つの流れ媒体間の熱伝達に使用されている。従来のいわゆる熱回収式の熱交換器では、熱が高温媒体から仕切壁を介してより低温の媒体に伝達される。その構成は、1つの媒体が流れる内管と、他の媒体が流れる外管とからなっている。この形式の熱交換器は、チューブアンドシェルと称される熱交換器である。また、一般的な媒体の分離は、多かれ少なかれ平坦な分離プレートにより行なわれている。この形式の熱交換器は、プレート熱交換器と称されている。
熱交換器が熱伝達作用を行なう場合には、伝熱面積はできるだけ大きいことが重要である。これは、媒体の流れを多数の平行な部分流れに分割することにより達成され、この平行な流れは、所定容積内で大きな伝熱表面積を有するユニットに形成されている相互に並列の通路内を移動する。流れを平行な流れに分離する装置は、製造が複雑で高価になる。内部流れの漏れをシールすることに対する仕様も厳しくなっている。
蒸発又は凝縮される場合以外は、媒体は、熱交換器を通過する場合に熱変化する。熱い媒体の温度は概して減少し、より低温の媒体の温度は概して増大する。媒体間の温度差が小さいときに重要なことは、高温流体の最も高温部分(開始部)が低音流体の最も高温部分(終端部)を加熱し、高温流体の最も低温部分(終端部)が低温流体の最も低温部分(開始部)を加熱するように熱交換器内で幾何学的な流れになることである。このような熱交換器内で幾何学的な交差流れを作るように使用すると、低温流体の流出温度が高温流体の流出温度よりも高くなるというような熱交換状態を達成することができる。このような状態は、熱交換器を通って同一方向に媒体が移動する幾何学的な流れを用いる、つまり平行流の熱交換器には不可能である。
熱交換器内で最適な熱移動を達成するには、各媒体と仕切壁との間の熱伝達が可能な限り良好に行なわれる必要がある。これは、仕切壁と接触する媒体中に、乱流の発生、良好な混合、渦が充満した流れを作るような仕切壁を設計することによって達成される。ここに、熱交換器の設計時に考慮すべき3つの重要な目的があるが、これらのうち少なくとも1つあるいは好ましくは3つすべて達成されるべきである。
これら目的とは、
1)大きな全伝熱表面積をもつように、複数の通路を相互に並列関係とする手法を用い、流れを複数の平行通路に分配するように構成すること、
2)熱交換器の伝熱壁が良好に伝熱する乱流の発生に寄与すること、
3)熱交換器内で媒体が交差流となること。
これら目的は、達成が困難である。特に、目的番号1と3は、高価なケーシングを用いることなく達成することは困難であることが証明されている。
本発明は、3つの目的すべてを同時に達成し得る、コストの低減を保持した熱交換器に関する。
本発明は、添付図面を参照して一実施の形態によりより詳細に記載されるが、ここに、
図1は、本発明による熱交換器の製造の重要な工程を示す斜視図、
図2は、媒体の内部流れを示すため完全に閉鎖されていない状態で示された本発明による熱交換器の斜視図、
図3は、同熱交換器内の伝熱壁の一部の斜視図、
図4は、完全に閉鎖されていない状態で示された僅かに相違する実施の形態の本発明による熱交換器の斜視図である。
本発明による熱交換器は、好ましくは、図1に示すように、完成すれば伝熱壁として機能する金属、プラスチックあるいは他の適当な材料の1枚の連続したシート1から作られている。図1における参照番号2と3は、ローラを示し、その間に前記シートが矢印4の方向に送られる。前記ローラの表面は、傾斜した畝状突部と溝5,6のパターンを有するように形成されている。さらに、当該ローラは、同ローラの軸線に平行に伸延する畝状突部と溝7,8も形成されている。各畝状突部7は、対向するローラ上の溝8と対応している。したがって、前記シートがローラ間を通過するとき、畝状突部7と溝8は、シートに折れ線9を形成する。各ローラの外周面に沿って連続して1つの畝状突部7が1つの溝8に受け入れられるために、複数の折れ線9がシートの対向する側の一方と他方にそれぞれプレスされることになる。これは、折れ線でシートを簡単に折り、多数の平行な層を有するパッケージ10を作ることになる。前記ローラ上の傾斜したパターン5,6は、図1の円で囲まれた拡大部11に最適に図示されている波形状の溝を付与する。シートは、適当な厚さのパッケージ10が得られるように、適当な長さに切断される。図1において、最終的に完成したパッケージは符号12で表されている。パッケージ12の両端部は、カバー部材13により閉塞されているが、このカバー部材13は、例えば、パッケージ12の両端部を合成物内に浸漬することにより形成するようになっており、この合成物は、当初柔らかく、爾後化学反応や冷却により硬化するものである。符号14は、シール部材であり、このシール部材は、パッケージの一面、例えば底部に取り付けられている。図示していないが、対応するシール部材がパッケージの反対側にも取り付けられている。符号15は、箱状のケーシング全体を示し、この中にパッケージ12が矢印16で示すように置かれることになる。このようにパッケージがケーシング内に置かれると、シール部材14は、ケーシングの底部に対して押圧され、カバー部材13がケーシングの端壁17,18に対してシールされる。好ましくは、パッケージ12の幅Bは、実質的にケーシングの側壁19,20間のスペースと対応し、パッケージ12の高さHは、実質的にケーシングの高さに対応することである。前記ケーシング15は、図1においてケーシング15の上部開口に一致するような形状の蓋21を有している。ケーシング15の角部には、接続ポート22−25が設けられている。接続ポート22と25は、それぞれ一方の媒体の入り口ポートと出口ポートとして機能し、接続ポート23と24は、それぞれ他方の媒体の入り口ポートと出口ポートとして機能する。パッケージ12がケーシング15内に位置するときに前記蓋21が嵌合されると、蓋は、パッケージ12の頂部面をシールする。シール部材14とカバー部材13は、2つの媒体が混合状態になることを防止し、これにより媒体は、パッケージ12の各側部や折り曲げられたシートの各側部で分離状態とされる。パッケージの上部を明確に示すために、僅かに上昇されている図2は、2つの媒体の流れ経路を示している。媒体の一方の流れの方向は矢印26により、また媒体の他方を矢印27で示している。図3に最も明確に表されているように、折られたシートの1つの層における波形は、次の層の波形と交差して伸延されている。隣接する層の対向面に形成されたこれら交差した波形は、各層間を流れる媒体に乱流を生じさせる。これは、かなりの量に対して2つの媒体間の有効な熱交換に寄与する。
例示されたシートは、波形状のパターンが付与されているが、本発明の保護範囲内で、層間の内部で乱流を作るような他の形状の成形パターンも使用することができる。例示された成形パターンは、ローラ手段により作られたが、この成形パターンは、スタンプ手段によっても形成できる。上述したように、カバー部材13は、凝固するような合成物により作られている。しかしながら、パッケージの両端部に対して押し付けられる中程度の柔軟層をもつ分離蓋のようなカバー部材13で作ることも本発明の範囲内である。パッケージの両端部と外部ケーシングの両端壁との間に柔軟な材料の層を使用することも可能である。このケーシング15と蓋21は、有効に媒体の流れを分離したりシールしたりする手段を構成するパッケージ12上のシール13,14と共に外殼を形成している。しかしながら、図示されているシールは、非常に単純で安価な方法で作られている。シール用合成物あるいは他の柔軟な材料の適用は、高い精度あるいは幾何学的に正確さを必要とせず作ることができる。シールの効果は、そこで適当な材料が使用されると、良好な嵌合のみによっても、あるいは半田付けや溶接によっても達成され得る。
図4によれば、上述した例と比較すると、蓋21を有するケーシング15は、パッケージ12の周りの外殼を形成しているが、ここの外殼は断面形状が直角の箱28により形成されている。この箱の一側には一方の媒体用の入り口ポート29と出口ポート30が設けられ、他側には他方の媒体用の入り口ポート31と出口ポート32が設けられている。この例では、パッケージ12は、箱の1つの開口端を通って挿入され、この箱は、蓋34,35により閉塞されるケーシング33を形成している。この蓋34,35は、これら自体かあるいは中間のシール層のいずれかによりパッケージ12の端部に対してシールするように構成されている。図4における下方の蓋34には、例えば蓋に注がれた液体シール合成物が固着されているが、この液体シール合成物は、集合体28,12が浸漬された後に凝固するようなものである。他方の蓋35は、前記集合体28,12が反転された後に、同様な方法で固着される。この種のモールディングは、図1,2に示されている例にも使用され得る。適当なシール用合成物を使用するとき、蓋は、モールディング工程で型として使用するのみで、モールディング後に取り除いても良い。
シートの成形パターンは、少なくとも3つの目的がある。1つは、媒体が内部層の空間内で流れるように、折られたシート内の連続する層間に所定の距離あるいはピッチを確立することである。また、成形パターンは、前述したような流れの乱れを作る。
上述した単純なパターンは、前記両目的を果たす。上述したようにシートを折り曲げた後、傾斜した波形は、畝状突部が交差する方式で形成する。この畝状突部は、他の曲げとの間に所定の空間を維持したり、曲がりくねった、上述したように熱が壁に伝達するのを促進するように媒体に乱流を誘発する流路を作る。
この熱交換器の構成によれば、2つの媒体の流れは、多数の平行な溝を越えるとき乱され、次の位置では異なった状態に置かれる。前記成形パターンの第3の目的は、各溝内部及び各溝を越える横方向流れに等しく分配することを達成することである。このように2つの媒体間に確立された本質的に交差流のパターンは、それら入り口と出口ポートが前記流れ方向に延長部として存在していないときも同等に流す。
もし、横方向流れに対する抵抗が、溝内での縦方向流れの抵抗よりも低いならば、この種流れの横方向広がりは、有効性を発揮する。このような結果は、シートの長手方向延在部に対して波形の角度が45°以下の場合、換言すれば、流れの指向方向に対して波形の角度が45°以上の場合ならば、提案した単純な波形状シートで得られる。
上記例として使用されている単純な波形状パターンは、図1に示すように、螺旋状にカットされたローラ間で簡単に製造される。これは、また層間の空間を保つ目的、乱流を発生させたり、上述した流れの横方向分配する目的を果たすには適している。前述したように、他のスタンプされた多数のパターンも使用できる。シートの折り曲げを容易にするために、波形は、好ましくは図1に示すように、中断され、適当に離間した間隔の折れ線により置き換えられる。パターンの他の重要性は、熱交換器の主要部内に著しく高い長手方向流れの抵抗を生じることなく、有効な流れの横方向の分配を与えるために、シートの主要部とは異なるパターンとし、入り口及び出口の面積(シートの両外部)を提供することである。熱交換器の伝熱部分での流れ抵抗の低減は、大部分そこでの熱移動の減少を伴ない、好ましくない。
本発明は、上述した例に限定されるものではなく、本発明の保護範囲を逸脱することなく次の請求の範囲の枠内でその記述により変更可能である。
Claims (3)
- 2つの媒体間を横切る伝熱壁を、成形パターンを有する1枚のシートから形成し、当該シートは繰り返し折り畳んで多層のパッケージを形成し、当該パッケージは外部ケーシング内に収容され、前記シートは、折った後に成形することにより前記パッケージの2つの対向側部に2つの媒体のための接続ポート(22−25;29−32)を有する相互に異なる流路を形成してなる熱交換を行なうための熱回収式熱交換器において、
前記シートのパターンは、当該シートの長手方向延在部に対して所定の傾斜角で波形状に伸延するように形成され、かつ畝状突部を横切るようにしてシートの折り畳み状態を形成し、前記シートの長手方向側端部に形成された前記パッケージの端部はシール層(13)により覆われ、前記端部間に伸延された前記パッケージの相互に対向する両側部は、前記端部間に伸延するシール部材(14)が設けられ、前記パッケージは、前記外部ケーシング(15,21;28,34,35)の大きさに適合し得るようになっており、そして当該外部ケーシング内に配置されるとき、当該パッケージと外部ケーシングとの間を前記両シールにより取り囲み、これにより各媒体が連通される接続ポート(22−25;29−32)の連通状態の下で折り畳まれたシートの両側部の内の一方が他方から分離されるようにしたことを特徴とする熱回収式熱交換器。 - 前記シートの波形は、当該シートの好ましい折り曲げのために、折れ線(9)により適当間隔で断たれるように置き換えられていることを特徴とする請求の範囲1に記載の熱交換器。
- 前記シートの長手方向延在部に対する波形の角度は、45°以下であり、当該シートのパケットの端部方向の流れ抵抗が当該方向と直交する方向より指向する流れ方向で高くなり、前記シートのパッケージの中央部での流れ抵抗が指向する流れ方向で低いことを特徴とする請求の範囲1又は2に記載の熱交換器。
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