JP3669046B2 - インクジェットプリンタのインクカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタのインクカートリッジ、特にインク吸蔵部材(例えば多孔質体)が充填されてなるインクカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、印字ヘッドのノズル孔を通じてインク液滴を飛翔させて記録紙等の記録媒体に記録させるインクジェットプリンタにおいて、印字ヘッドにインクを供給するインクカートリッジを交換可能としたものが知られている。また、かかるインクジェットプリンタに用いるインクカートリッジとして、カートリッジ本体内にインクが吸蔵されているインク吸蔵部材が収容され、印字ヘッド側のインク供給管部をカートリッジ本体のインク供給孔に挿通して連結することで、インクを供給可能な状態とするものが知られている。
【0003】
このようなインクカートリッジにおいては、内部空間を大気圧に保持しかつインク吸蔵部材からインク供給孔を通じての印字ヘッドへのインクの供給を円滑にするために、上記インク供給孔とは別に大気連通孔が設けられている。そして、このようなインクカートリッジは、搬送時等におけるインクの漏れや蒸発を防止し、しかも使用する際には容易に開封してインクカートリッジを取り出すことができるように、まず、インクカートリッジのインク供給孔と大気連通孔をシール材で密閉し、それからそれを包装材でパッキングするようにしている。
【0004】
ところで、そのようなシール材で密閉する場合、図5に示すように、インクカートリッジaのインク供給孔bを密閉するシール材cの内面側に、インク吸蔵部材dよりのインクeが付着する場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、そのようにインクeがシール材cの内面側に付着していると、インクカートリッジaを使用する際に、インク供給孔bが上側位置となるようにインクジェットプリンタの使用者が左右一方の手で把持し、他方の手でシール材cを引き剥がすことになるが、その引き剥がす際に、インクが周囲に飛び散り、周囲を汚損するという課題があった。
【0006】
例えば特開平6ー320749号公報に記載されるように、非インク浸透性材料からなる破砕可能な封止部材にてインクタンクのタンク開口を封止し、一方、インクジェットヘッドのインク供給管端部周囲には、インクタンク装着時にてインク供給管がタンク開口の封止部材に圧接した際に封止部材が破砕される複数の突起を設けると共に、タンク開口に対応する封止部材が非破断部を残して破片状に破断されるよう少なくとも一対の突起間寸法を他の突起間寸法より大きく設定したものが提案されているが、かかるものは、突起により突き破るのにかなりの力を要するので、その際に封止部材の内面側にインクが付着していれば、やはりインクが周囲に飛び散るおそれがある。また、突き破る際に、破片が出てインクに混入するおそれもある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、シール材を引き剥がす際、インクが周囲に飛散するのを防止したインクジェットプリンタのインクカートリッジを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、インク供給孔を有すると共にインク吸蔵部材が充填されるカートリッジ本体と、該カートリッジ本体のインク供給孔の外壁面に該インク供給孔を閉塞するように貼着されるシール材とを備え、印字ヘッドを有するヘッドユニットに装着して用いられるインクジェットプリンタのインクカートリッジにおいて、前記インク供給孔を構成する周壁部がカートリッジ本体の内方に延び、該周壁部の先端がインク吸蔵部材に接触し、前記周壁部の深さとインク供給孔の半径との比が0.15以上である構成とする。
【0009】
請求項1の発明によれば、インク供給孔を構成する周壁部の深さとインク供給孔の半径との比が0.15以上であることから、シール材を引き剥がす際、インク吸蔵部材及び該インク吸蔵部材から滲み出たインクとシール材との接触が規制され、シール材へのインクの付着が抑制され、それによってシール材を引き剥がしても、インクが周囲に飛び散りにくくなる。
【0010】
また、前記周壁部がカートリッジ本体の内方に延び、その周壁部の先端がインク吸蔵部材に接触することで該インク吸蔵部材が押圧され、該インク吸蔵部材及び該インク吸蔵部材から滲み出たインクがインク供給孔内に進入し、インクがシール材に付着するのが抑制される。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1のインクジェットプリンタのインクカートリッジにおいて、前記周壁部の深さとインク供給孔の半径との比が0.25以上である。
【0012】
請求項2の発明によれば、インク供給孔を構成する周壁部がインクカートリッジ本体内に延び、周壁部の深さとインク供給孔の半径との比が0.25以上とされ、インク吸蔵材及び該インク吸蔵部材より滲み出たインクとシール材との接触が抑制され、シール材へのインクの付着がより確実に防止される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1はインクカートリッジがヘッドユニットに搭載された状態を、図2はインクカートリッジを搭載する前の状態をそれぞれ示す。尚、本例においては、4種類のインクを用いていることから、それぞれのインクに対応する4種類のインクカートリッジ1A〜1Dを備えている。
【0015】
上記各インクカートリッジ1A〜1Dは、基本的には、同一の構造で、それぞれ、内部にインク吸蔵部材2が収容されるカートリッジ本体3と、該カートリッジ本体3の上部開口を閉塞する蓋体4とを有する。上記インクカートリッジ1A〜1Dの各カートリッジ本体3には、インクを印字ヘッド11に供給するためのインク供給孔5(図3参照)と、そのインクの供給を円滑に行うための大気連通孔6とが設けられている。
【0016】
そして、上記各インクカートリッジ1A〜1Dのカートリッジ本体3のインク供給孔5及び大気連通孔6の外壁面側には、インクカートリッジ1内にインクが充填された後、該インクの蒸発防止等の理由から、図3及び図4に示すように、シール材7(インク供給孔5側のみ図示)がそれらを閉塞するように貼着され、インクカートリッジ1A〜1D内を外部と遮断するようになっている。よって、インクカートリッジの使用時には、まず、シール材7をカートリッジ本体3から引き剥がし、インク供給孔5を露出させるようにする必要がある。
【0017】
また、前記カートリッジ本体3のインク供給孔5は、該インク供給孔5を構成する周壁部5aがカートリッジ本体3の内方に延び、該周壁部5aの先端がインク吸蔵部材2に接触し、該インク吸蔵部材2を押圧している。ここで、インク供給孔5を構成する周壁部5aの深さLとインク供給孔5の半径Dとの比が0.15以上であることが必要であり、できれば0.25以上であることが望ましい。
【0018】
前記インク供給孔5の周壁部5aによって、インク吸蔵部材2がインク供給孔5内に進入するのが効果的に規制され、シール材7の裏面側にインク8が付着するのを防止する点で有利となるように構成されている。
【0019】
また、上記インクカートリッジ1A〜1Dは、印字ヘッド11を有するヘッドユニット12に装着されるようになっている。ヘッドユニット12は、基板部13の一側の縦壁部14には、インク流路15aを有するインク供給管15が挿通されている。尚、上記印字ヘッド11は、インク供給管15より供給されたインクを前面のノズル孔から飛翔させるアクチュエータを含む。
【0020】
また、上記インク供給管15は、縦壁部14より内側の部分には、凹部を介して筒状のシールラバー16が外嵌され、それによってインクカートリッジ1A〜1Dがヘッドユニット12に装着された際に、シールラバー16がインクカートリッジ1との間のシール性を確保するようになっている。
【0021】
上記のように構成すれば、インクカートリッジ1A〜1Dを使用する際には、図4に示すように、インク供給孔5が上側位置となるようにインクジェットプリンタの使用者が左右一方の手で把持し、他方の手でシール材7を引き剥がすことになるが、そのように使用者によって把持された状態では、インク供給孔5を構成する周壁部5aがカートリッジ3内に突出していることから、該周壁部5aによってインク吸蔵部材2が押圧され、それによって、インク吸蔵部材2及び該インク吸蔵部材2から滲み出たインクがインク供給孔5内に進入するのが効果的に抑制され、その結果、シール材7の、インク供給孔5に臨む裏面側へのインクの付着が防止されることになる。
【0022】
よって、インクカートリッジ1A〜1Dを使用するために、シール材7をカートリッジ本体3より引き剥がす際に、シール材7にはインクが付着していないので、インクが周囲に飛び散ることがない。
【0023】
続いて、上述したようにインク供給孔5の周壁部5aをカートリッジ本体3の内方に延ばしたことによる効果を確認するために、インク供給孔を構成する周壁部の深さLとインク供給孔の半径Dとの関係を変化させて、それによる、シール材へのインク付着の程度、引き剥がす際のインク飛散の程度を調べ、10段階で評価し、その結果を次の表1に示す。尚、数字が大きいほど、インク付着、インク飛散の程度が大きいものとする。
【0024】
具体的には、0〜40℃の温度サイクルの中で、運搬状況での揺れ等を想定して、インク供給孔が上下に反転するように20回揺動させた状態でシール材を引き剥がす試験を行った。尚、インクカートリッジとしては、図4に示すように、インク供給孔5を構成する周壁部5aがカートリッジ本体3の内方に延び、インク吸蔵部材2に接触しているものを用いた。
【表1】
上記表1より、インク飛散を防止するために、インク供給孔を構成する周壁部の深さLとインク供給孔の半径Dとの比が0.15以上であればインク飛散の防止に効果があるが、シール材へのインク付着を抑制しインク飛散も確実に防止するためには0.25以上であることが望ましいことが判る。
【0025】
【発明の効果】
請求項1の発明は、上記のように、インク供給孔を構成する周壁部の深さとインク供給孔の半径との比を0.15以上としているので、シール材をカートリッジ本体より引き剥がす際、インク吸蔵部材及びそれから滲み出たインクがシール材に付着するのを抑制することが可能となり、それによってシール材を引き剥がす際に、インクが周囲に飛び散ることを防止することができる。
【0026】
また、前記周壁部をカートリッジ本体の内方に延ばし、該周壁部の先端をインク吸蔵部材に接触させているので、シール材を引き剥がす際に、インク吸蔵部材及びインク吸蔵部材から滲み出るインクがシール材に付着するのを抑制して、インクが周囲に飛び散ることを防止することができる。
【0027】
請求項2の発明は、インク供給孔を構成する周壁部の深さとインク供給孔の半径との比が0.25以上となるようにしているので、シール材へのインクの付着を抑制してインクが周囲に飛び散るのを確実に回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るインクカートリッジがヘッドユニットに装着された状態を示す断面図である。
【図2】 同分解斜視図である。
【図3】 本発明に係るインクカートリッジの斜視図である。
【図4】 インクカートリッジのインク供給孔付近の断面図である。
【図5】 従来例の説明図である
【符号の説明】
1A〜1D インクカートリッジ
2 インク吸蔵部材
3 カートリッジ本体
5 インク供給孔
5a 周壁部
7 シール材
8 インク
12 ヘッドユニット
15 インク供給管
Claims (2)
- インク供給孔を有すると共にインク吸蔵部材が充填されるカートリッジ本体と、該カートリッジ本体のインク供給孔の外壁面に該インク供給孔を閉塞するように貼着されるシール材とを備え、印字ヘッドを有するヘッドユニットに装着して用いられるインクジェットプリンタのインクカートリッジにおいて、
前記インク供給孔を構成する周壁部がカートリッジ本体の内方に延び、該周壁部の先端がインク吸蔵部材に接触し、
前記周壁部の深さとインク供給孔の半径との比が0.15以上であることを特徴とするインクジェットプリンタのインクカートリッジ。 - 前記周壁部の深さとインク供給孔の半径との比が0.25以上であるところの請求項1記載のインクジェットプリンタのインクカートリッジ。
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JP10892696A JP3669046B2 (ja) | 1996-04-30 | 1996-04-30 | インクジェットプリンタのインクカートリッジ |
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JPH09295405A JPH09295405A (ja) | 1997-11-18 |
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Family Applications (1)
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JP10892696A Expired - Fee Related JP3669046B2 (ja) | 1996-04-30 | 1996-04-30 | インクジェットプリンタのインクカートリッジ |
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1996
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