JP3668777B2 - 研削工具の砥粒突出量測定装置及び測定方法 - Google Patents

研削工具の砥粒突出量測定装置及び測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、工具基体に砥粒を散設した面を砥面として使用する研削工具において、上記砥粒の突出量を測定するために使用する装置と方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
研削加工分野において研削工具として使用される無気孔砥石は、例えば図5に示すように砥石基体11の周面に砥粒20を結合剤13により固着させることにより砥面を形成したものとなっている。このような砥石10を使用して研削加工を行う場合には、例えば図6に示すように円盤又は円筒状をなす砥石10を矢印W方向に高速回転させた状態で、その砥面を被加工物としての工作物30の加工面に当接させる。そして、工作物30を矢印X方向に一定の速度で移動させる。そうすると、工作物30の加工面が砥粒20により一定の深さD分だけ削り取られ、これにより工作物30の表面が研削加工される。なお、31は上記砥粒20により削り取られた切り屑である。
【0003】
ところで、この種の研削加工では、工作物30の加工面の仕上げ品質が砥石10の砥面の状態によって左右される。砥面の状態は、切れ刃として機能する砥粒20の表面部分の形状や大きさ、砥粒20の分布状態、砥粒20の突出量によって決まる。このため、砥粒20の状態によっては工作物30の加工面に大きな研削条痕が残ってしまう。とりわけ、砥粒20の突出量は研削条痕の深さに大きな影響を及ぼす。図7は研削条痕32の一例を示した部分拡大図である。
【0004】
したがって、高品質の研削加工を行うには、砥面の状態つまり砥粒20表面部の形状や大きさ、砥粒20の分布状態、砥粒20の突出量等を正確に把握することが重要であり、特に砥粒20の突出量は研削条痕32の深さを決定するので、きわめて重要である。
【0005】
そこで従来では、例えば図8に示すようにダイヤルゲージ81を改造して触針81を設け、この触針81により砥粒20の先端から底部の結合剤13までの高さを測定する方法が提案されている。この測定方法は、横川和彦,横川宗彦共著:CBNホイール研削加工技術,工業調査会刊,1988年11月1日初版発行に詳しく記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来提案された測定方法は、触針81を砥粒底部に点接触させることで砥粒の高さを測定するものである。このため、触針81を接触させる位置によって測定値のばらつきが大きく、正確な測定値を得ることが難しい。また測定精度を高めるために多数の測定点にて測定を行い、その測定値を平均化して砥粒の高さを求めることも考えられる。しかし、このような方法では測定に多くの時間がかかり、作業能率がきわめて悪い。
【0007】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、研削工具における砥粒の突出量を短時間のうちに高精度に測定できるようにした研削工具の砥粒突出量測定装置及び測定方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためにこの発明に係わる研削工具の砥粒突出量測定装置及び測定方法は、上記砥面を撮像してその画像データを出力する撮像ユニットを砥面に対向配置すると共に、制御ユニットを設ける。そして、この制御ユニットにおいて、上記撮像ユニットの砥面に対する焦点位置を砥面の垂直方向に可変し、この可変設定される複数の焦点位置において上記撮像ユニットが撮像した画像データを取り込む。そして、この取り込まれた上記複数の焦点位置における画像データを予め用意した前記砥粒の基本画像パターンと比較してこの基本画像パターンと近似する画像データを検出し、この検出された画像データを得たときの焦点位置をもとに砥粒の突出量を算出するように構成したものである。
【0009】
したがってこの発明によれば、焦点位置を可変しながら砥面を撮像し、これにより得られた画像データをもとに砥粒の突出量が求められる。このため、従来の触針付きのダイヤルゲージを使用して測定する場合に比べ簡単かつ短時間に砥粒の突出量を求めることができる。
【0010】
またその際、上記焦点位置の可変を、撮像ユニットの焦点深度をもとに定めた間隔でステップ的に行う。そして、この焦点位置がステップ的に可変されるごとに、砥面の画像データを取得して基本画像パターンとの比較処理に供するようにする。
このようにすると、砥粒の先端部及び底部を含む画像データを、多数の焦点位置で撮像を行わなくても、見逃さずに取得することが可能となり、これにより砥粒突出量の算出に要する時間をさらに短縮することができる。
【0011】
さらに、上記基本画像パターンと近似する画像データを検出する際に、砥粒の先端部に焦点位置を設定したときに得られる画像に対応する第1の基本画像パターンと、砥粒の底部に焦点位置を設定したときに得られる画像に対応する第2の基本画像パターンとを予め記憶しておき、撮像ユニットにより撮像された複数の焦点位置における画像データを上記記憶された第1及び第2の基本画像パターンと比較する。
このようにすると、画像比較処理を多数回行わなくても、砥粒の先端部及び底部にそれぞれ合焦された時の画像データを検出することが可能となり、これによっても砥粒突出量の算出に要する時間をさらに短縮することができる。
【0012】
さらに、画像データを取り込んで基本画像パターンと比較する手段としては、次の2つの構成が考えられる。
【0013】
第1の構成は、可変設定される複数の焦点位置の画像データを撮像ユニットから順次取り込んでメモリに格納し、上記複数の焦点位置の画像データがすべてメモリに格納された後に、当該メモリから上記画像データを個別に読み出して基本画像パターンと比較する処理を繰り返し行うものである。
このように構成すると、複数の焦点位置の画像データがすべて取り込まれた後に基本画像パターンとの比較処理が行われるので、画像比較処理を処理速度の遅いプロセッサや画像処理回路を使用することが可能となる。
【0014】
第2の構成は、焦点位置が可変設定されるごとに撮像ユニットから砥面の画像データを取り込み、1つの焦点位置の画像データが取り込まれるごとに、この取り込まれた画像データを基本画像パターンと比較する処理を行うものである。 このように構成すると、1個の焦点位置の設定からこの焦点位置での砥面の撮像、この撮像により得られた画像データの比較処理までを、リアルタイムに実行することが可能になる。したがって、第1の構成に比べ短い時間で測定を終了することができる。
【0015】
さらに、研削工具と撮像ユニットとを相対的に移動させることで撮像ユニットの配置位置を砥面上に予め設定した複数の測定対象部位にそれぞれ位置合わせする手段をさらに備えるとよい。
このように構成すると、砥面上の複数の測定対象部位における砥粒の突出量を順次自動的に測定することが可能となり、これにより砥面の状態をその全面に亘って能率良く測定することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施形態に係わる砥粒突出量測定装置の概略構成図である。
砥石10は、円盤状又は円筒状をなす工具基体11の周面に図5に示したように砥粒20を結合剤13により固着させてこれを砥面としたものである。そして砥石10は、例えば図6に示したように回転軸に軸着された状態で駆動機構により矢印W方向に回転駆動される。
【0017】
ところで、上記砥石10の砥面と対向する位置にはカメラ付き顕微鏡40が配設されている。このカメラ付き顕微鏡40は、焦点調整機構50と共に撮像ユニットを構成している。カメラ付き顕微鏡40は、高倍率の金属顕微鏡にディジタルカメラを装着したもので、制御部60からの駆動指示に従い砥石10の砥面を所定の倍率で撮像し、その撮像画像データを制御部60へ出力する。焦点調整機構50は、制御部60からの焦点制御指示に従いカメラ付き顕微鏡40の光学系を図中H方向に移動させ、これにより砥面に対するカメラ付き顕微鏡40の焦点位置を砥面と垂直方向に可変する。
【0018】
制御部60は、入力部71、記憶部72及び表示部73と共に制御ユニットを構成する。制御部60は、マイクロコンピュータを主制御部として備え、この発明に関係する制御機能として砥粒突出量測定制御機能61を有している。この砥粒突出量測定制御機能61は、プログラムを上記マイクロコンピュータに実行させることにより実現される。そして、入力部71から与えられる検査開始指示により起動され、予め定められた手順に従い砥粒突出量の測定制御を実行する。
【0019】
次に、以上のように構成された砥粒突出量測定装置の動作と、砥粒突出量測定方法について説明する。図2は制御部60の制御手順及び制御内容を示すフローチャートである。
【0020】
測定に先立ち、検査対象の砥石10を回転軸に装着する。そして、この装着完了後に入力部71から測定開始指示を入力する。
【0021】
制御部60は、図2のステップ2aにより測定開始指示の入力を監視している。そして、この状態で測定開始指示の入力を検出すると、先ずステップ2bにより砥石10の回転駆動機構(図示せず)を駆動して砥石10を回動させ、その測定対象部位をカメラ付き顕微鏡40に対向するように位置合わせする。
【0022】
次に制御部60は、ステップ2cにおいて焦点調整機構50に対し焦点制御指示を与え、これにより砥面の測定対象部位に対するカメラ付き顕微鏡40の焦点位置を初期設定する。このとき、焦点の初期位置は、砥粒20の先端部より十分にカメラ付き顕微鏡40寄りの位置となるように設定する。
【0023】
続いて制御部60は、ステップ2dにおいて、カメラ付き顕微鏡40の焦点位置を予め定めたステップ量だけ光軸方向(砥面に対し垂直の方向)に移動させ、この第1番目の焦点位置でカメラ付き顕微鏡40に撮像動作を行わせる。この結果、上記設定された第1番目の焦点位置で砥面の測定対象部位がカメラ付き顕微鏡40により撮像され、そのディジタル画像データが制御部60に入力される。制御部60は、ステップ2eにより上記ディジタル画像データを取り込み、この取り込んだディジタル画像データを、上記第1番目の焦点位置を表す焦点位置情報に対応付けて記憶部72内の画像データ記憶エリアに格納する。
【0024】
そうして上記第1番目の焦点位置における撮像が終了すると、制御部60はステップ2fで全焦点位置(全ステップ)での撮像が終了したか否かを判定する。そして、未撮像の焦点位置が残っていれば、ステップ2dに戻ってカメラ付き顕微鏡40の焦点位置を上記ステップ量だけ砥面に向けて移動させ、この第2番目の焦点位置でカメラ付き顕微鏡40に撮像動作を行わせる。そして、この撮像動作により得られたディジタル画像データを、上記第2番目の焦点位置を表す焦点位置情報に対応付けて記憶部72内の画像データ記憶エリアに格納する。
【0025】
以下同様に、焦点位置を上記ステップ量ずつ砥面に向けて移動させ、これらの焦点位置ごとにカメラ付き顕微鏡40により得られたディジタル画像データを、焦点位置を表す焦点位置情報に対応付けて記憶部72内の画像データ記憶エリアに格納する。最後の焦点位置は、砥粒の底部つまり砥石基体11の表面より砥石10の内方へ若干入り込んだ位置に設定される。
【0026】
なお、上記焦点位置のステップ量は、カメラ付き顕微鏡40が持つ焦点深度と同等かもしくはそれより若干小さな値に設定される。このため、焦点位置はほぼ焦点深度分ずつステップ的に可変されることになり、この結果焦点深度間隔で砥面の画像データが得られる。
【0027】
さて、そうして全焦点位置における砥面の撮像動作が終了すると、続いて制御部60はステップ2gにおいて、上記記憶部72の画像データ記憶エリアから各焦点位置のディジタル画像データを順に読み出す。そして、この読み出したディジタル画像データを、記憶部72の基本パターン記憶エリアから読み出した基本画像パターンと比較する。
【0028】
このとき、記憶部72の基本パターン記憶エリアには、次のような基本画像パターンが予め記憶してある。図3及び図4はこの基本画像パターンの具体例を説明するための図である。
【0029】
すなわち、一般に砥粒20は図3(a)に示すように個々に離散した状態に配置されている。そして、これらの砥粒20を垂直上方より撮像すると、先ず焦点位置が図3(b)のLAの範囲にあるとき、つまり砥粒20の先端部を含む範囲にあるときには、図4のVAに示すように砥粒20の先端部の輪郭が疑似円形状となった画像データが得られる。また、焦点位置が図3(b)のLBの範囲にあるとき、つまり砥粒20の先端部と底部との中間にあるときには、図4のVBに示すように砥粒20の輪郭がドーナツ状となった画像データが得られる。さらに、焦点位置が図3(b)のLCの範囲にあるとき、つまり砥粒20の底部を含む範囲にあるときには、図4のVCに示すように砥粒20の輪郭が崩れて広がった形状の画像データが得られる。なお、焦点深度は上記LA,LB,LCに示す長さに相当するものとする。
【0030】
そこで、この実施形態では、砥粒20の先端部に焦点位置を設定したときに得られる上記第1の基本画像パターンVAと、砥粒20の底部に焦点位置を設定したときに得られる上記第2の基本画像パターンVCと、砥粒20の先端部と砥粒20の底部との中間に焦点位置を設定したときに得られる上記第3の基本画像パターンVBとを、記憶部72内の基本パターン記憶エリアに予め記憶する。
【0031】
制御部60は、ステップ2gにおいて、撮像して得られた各焦点位置のディジタル画像データをそれぞれ上記各基本画像パターンVA,VB,VCと比較し、その比較結果をもとに所定の誤差の範囲内で一致するディジタル画像データを検出する。次に、この検出されたディジタル画像データの中から、第1の基本画像パターンVAに対する誤差が最も少ないディジタル画像データVaと、第2の基本画像パターンVCに対する誤差が最も少ないディジタル画像データVcとをそれぞれステップ2hで抽出する。そして、この抽出されたディジタル画像データVa,Vcを撮像したときの焦点位置を記憶部72内の画像データ記憶エリアから読み出し、ステップ2iによりこれらの焦点位置の差を求めることで砥粒20の突出量を算出する。
【0032】
この算出された砥粒20の突出量は、ステップ2jにより砥面上の測定対象部位を表す情報に対応付けて記憶部72内の算出結果記憶エリアに記憶される。またそれと共に、表示部73に表示される。なお、印字装置が備えてある場合には、上記算出結果をこの印字装置でプリントアウトしてもよく、また接続ケーブル又は通信回線を介して他のコンピュータ等に伝送することも可能である。
【0033】
そうして一つの測定対象部位に対する測定処理が終了すると、制御部60は次の測定対象部位に対する測定処理を行うべくステップ2bに戻り、上記一連の制御を繰り返し実行する。なお、測定対象部位は、砥石10の砥面上において一定角度おきに設定される。そして、すべての測定対象部位に対する測定処理が終了したことをステップ2kで検出すると、1個の砥石10に対する測定処理を完了する。
【0034】
以上述べたようにこの実施形態では、砥石10上の測定対象位置について、カメラ付き顕微鏡40の焦点位置を砥面と垂直の方向にステップ的に可変しながら砥面を撮像する。そして、これにより得られた画像データを予め記憶しておいた砥粒20の先端部に対応する基本画像パターンVA及び砥粒20の底部に対応する基本画像パターンVCと比較して、この基本画像パターンVA,VCと最も近似する画像データを抽出し、この抽出された画像データを撮像したときの焦点位置の差から砥粒20の突出量を算出する。
【0035】
したがってこの実施形態によれば、焦点位置を可変しながら砥面を撮像し、これにより得られた画像データをもとに砥粒20の突出量が求められる。このため、従来の触針付きのダイヤルゲージを使用して測定する場合に比べ簡単かつ短時間に砥粒の突出量を求めることができる。
【0036】
また、比較対象の基本画像パターンを、砥粒20先端部に対応するものと砥粒20底部に対応するものとに制限しているので、画像比較処理を多数回行わなくても済み、これにより砥粒20の突出量の算出に要する時間を短縮することができる。
【0037】
さらに、焦点位置のステップ間隔をカメラ付き顕微鏡40が持つ焦点深度と同等かもしくは若干小さく設定し、上記ステップ間隔で焦点位置を可変し撮像するようにしている。このため、必要十分な焦点位置の画像データを得ることができ、この結果砥粒20の先端部を含む画像データ及び砥粒20の底部を含む画像データを、多数の焦点位置で撮像を行わなくても、見逃さずに取得することができる。したがって、砥粒20の突出量の算出に要する時間をさらに短縮することができる。
【0038】
さらに、各焦点位置で得られる画像データを一旦すべて記憶部72内の画像データ記憶エリアに格納し、各焦点位置の画像データがすべて格納された後に、当該記憶部72の画像データ記憶エリアから上記画像データを一つずつ順に読み出して基本画像パターンと比較するようにしている。したがって、処理速度の速い高性能で高価なプロセッサや画像処理回路を使用することなく実現できる利点がある。
【0039】
さらに、砥石10の砥面に対し一定角度おきに複数の測定対象部位を設定し、これらの測定対象部位に対するカメラ付き顕微鏡40の位置合わせ機能を備えている。このため、砥面上の複数の測定対象部位における砥粒20の突出量を順次自動的に測定することが可能となり、これにより砥面の状態をその全面に亘って能率良く測定することができる。
【0040】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、複数の焦点位置の画像データをすべて取り込んで記憶した後に、これらの画像データと基本画像パターンとの比較処理を行うようにした。しかし、これに限定されるものではなく、1個の焦点位置を設定するごとにこのときの砥面の画像データを取り込んで基本画像パターンと比較する処理を繰り返すようにしてもよい。このようにすると、1個の焦点位置の設定からこの焦点位置での砥面の撮像、この撮像により得られた画像データの比較処理までを、リアルタイムに実行することができ、これにより測定に要する時間を短縮することができる。
【0041】
また、前記実施形態ではカメラ付き顕微鏡40の焦点位置をステップ的に可変しその各焦点位置においてそれぞれ撮像を行うようにした。しかし、これに限らず、カメラ付き顕微鏡40の焦点を一定の変化速度で連続的に可変し、この可変期間中にカメラ付き顕微鏡40により得られる画像データの中から一定の時間間隔で画像データフレームを抽出して、これを基本画像パターンと比較するようにしてもよい。
【0042】
その他、焦点位置のステップ間隔や、用意する基本画像パターンの数、制御部による測定手順とその内容、撮像ユニットの種類とその構成、制御ユニットの種類とその構成等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明では、焦点位置を砥面の垂直方向に可変しながら当該砥面を撮像してその画像データを取得し、この取得した画像データを予め用意した前記砥粒の基本画像パターンと比較して基本画像パターンと近似する画像データを検出する。そして、基本画像パターンと近似する画像データを撮像したときの焦点位置をもとに、砥粒の突出量を算出するようにしている。
【0044】
したがってこの発明によれば、研削工具における砥粒の突出量を短時間のうちに高精度に測定することができる研削工具の砥粒突出量測定装置及び測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係わる砥粒突出量測定装置の一実施形態を示す概略構成図。
【図2】 図1に示した測定装置の制御部による砥粒突出量測定制御の手順と内容を示すフローチャート。
【図3】 砥粒の形状の一例を示す平面図と側面図。
【図4】 カメラの焦点を移動させたときに変化する砥粒の基本画像パターンを示す図。
【図5】 従来の砥石の砥面部分を拡大して示した模式図。
【図6】 図5に示した砥石を使用する研削加工の一例を示す図。
【図7】 研削加工後の被加工物の加工面の状態を拡大して示す図。
【図8】 従来の砥粒突出量測定方法を説明するための図。
【符号の説明】
10…砥石
11…砥石基体
12…砥石基体表面
13…結合剤
20…砥粒
30…被加工物
31…切り屑
32…研削条痕
40…カメラ付き顕微鏡
50…焦点調整機構
60…制御部
61…砥粒突出量測定制御機能
71…入力部
72…記憶部
73…表示部
80…ダイヤルゲージ
81…触針

Claims (7)

  1. 工具基体の砥粒を散設した面を砥面として使用する研削工具の上記砥粒の突出量を測定する装置において、
    前記砥面に対向して配置され、前記砥面を撮像してその画像データを出力する撮像ユニットと、
    前記撮像ユニットに接続された制御ユニットと
    を具備し、
    前記制御ユニットは、
    前記撮像ユニットの前記砥面に対する焦点位置を、前記砥面の垂直方向に可変する焦点可変手段と、
    前記焦点可変手段により可変設定される複数の焦点位置において前記撮像ユニットが撮像した画像データを取り込む画像入力手段と、
    前記砥粒の先端部に焦点位置を設定したときに得られる画像に対応する第1の基本画像パターンと、前記砥粒の底部に焦点位置を設定したときに得られる画像に対応する第2の基本画像パターンと、前記砥粒の先端部と底部との間の中間に焦点を設定したときに得られる画像に対応する第3の基本画像パターンとを記憶した記憶手段と、
    前記画像入力手段により取り込まれた前記複数の焦点位置における画像データを、前記記憶手段に記憶された第1、第2及び第3の基本画像パターンと比較し、これら第1、第2及び第3の基本画像パターンと近似する画像データを検出する画像比較処理手段と、
    前記画像比較処理手段により検出された画像データを得たときの焦点位置をもとに、前記砥粒の突出量を算出する算出手段と
    を備えることを特徴とする研削工具の砥粒突出量測定装置。
  2. 前記焦点可変手段は、前記撮像ユニットの焦点深度に基づいて定めた間隔で焦点位置を前記砥面の垂直方向にステップ的に可変し、
    前記画像入力手段は、前記焦点可変手段により焦点位置が可変設定されるごとに前記撮像ユニットが撮像した画像データをそれぞれ取り込むことを特徴とする請求項1記載の研削工具の砥粒突出量測定装置。
  3. 前記画像入力手段は、前記焦点可変手段により可変設定された複数の焦点位置において前記撮像ユニットがそれぞれ撮像した画像データを順次メモリに格納し、
    前記検出手段は、前記複数の焦点位置の画像データがすべてメモリに格納された後に、当該メモリから前記画像データを個別に読み出して基本画像パターンと比較する処理を繰り返し行うことを特徴とする請求項1記載の研削工具の砥粒突出量測定装置。
  4. 前記画像入力手段は、前記焦点可変手段により焦点位置が可変設定されるごとに前記撮像ユニットが撮像した砥面の画像データを取り込み、
    前記検出手段は、前記画像入力手段により1つの焦点位置の画像データが取り込まれるごとに、この取り込まれた画像データを基本画像パターンと比較する処理を行うことを特徴とする請求項1記載の研削工具の砥粒突出量測定装置。
  5. 前記制御ユニットは、
    前記砥面上に複数の測定対象部位を設定し、前記研削工具と撮像ユニットとを相対的に移動させることで、前記撮像ユニットの配置位置を前記複数の測定対象部位に対しそれぞれ位置合わせする位置合わせ制御手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1記載の研削工具の砥粒突出量測定装置。
  6. 工具基体の砥粒を散設した面を砥面として使用する研削工具の上記砥粒の突出量を測定する方法において、
    焦点位置を前記砥面の垂直方向に可変しながら当該砥面を撮像してその画像データを取得する工程と、
    前記取得された前記複数の焦点位置における画像データを、前記砥粒の先端部に焦点位置を設定したときに得られる画像に対応する第1の基本画像パターンと、前記砥粒の底部に焦点位置を設定したときに得られる画像に対応する第2の基本画像パターンと、前記砥粒の先端部と底部との間の中間に焦点を設定したときに得られる画像に対応する第3の基本画像パターンと比較し、これら第1、第2及び第3の基本画像パターンと近似する画像データを検出する工程と、
    前記検出された画像データを得たときの焦点位置をもとに、前記砥粒の突出量を算出する工程と
    を具備することを特徴とする研削工具の砥粒突出量測定方法。
  7. 前記焦点位置を、焦点深度をもとに定めた間隔でステップ的に可変し、この焦点位置がステップ的に可変されるごとに砥面を撮像してその画像データを取得することを特徴とする請求項6記載の研削工具の砥粒突出量測定方法。
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