JP3668477B2 - 地盤改良工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は地盤改良工法に関し、特に、掘削孔の形成により生じた発生残土にセメントと水溶液形態の硬化補助組成物とを混合し、掘削孔へ埋め戻すことにより、高強度のパイル状の硬化体を造成し、地盤を改良する工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、掘削孔の形成により生じた発生残土に地盤固化剤を混合した後、掘削孔に埋め戻しパイル状の硬化体を造成する地盤改良工法が知られている。
【0003】
例えば、穿孔機により掘削孔を形成し、掘削孔の形成により発生した発生残土に、石膏と高炉スラグとポルトランドセメントと硬化促進剤とを含む粉末状の地盤固化剤を混合し、その地盤固化剤混合土を掘削孔に締め固めつつ埋め戻し、パイル状の硬化体を造成する工法がある(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平1−22403号公報(例えば、請求項1)
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる工法では、発生残土と混合される地盤改良剤は、粉体であるために発生残土との混合物は不均一になりがちである。地盤改良材の混合具合が不均一であると、得られた硬化体の内部で強度にバラツキがでるため、部分的に脆弱な部分が生じてしまう。一般に、このような地盤改良工法は、その上に建造物を施工するために行うので、パイル状硬化体に脆い部分があることは問題となる。また、この工法で用いられる地盤固化剤は、発生残土中の水分を利用して硬化作用を得るものであるので、非常に吸水性があり、取り扱いの困難なものである。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、掘削孔の形成により生じた発生残土にセメントと水溶液形態の硬化補助組成物とを混合し、掘削孔へ埋め戻すことにより、パイル状の硬化体を造成し、地盤を改良する工法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1記載の地盤改良工法は、穿孔機を正転しながら所定深さの掘削孔を形成し、発生残土を地上へ掘り出す掘削工程と、その掘削工程により掘り出した前記発生残土に粉末状のセメント組成物を散布し、攪拌するセメント混合工程と、そのセメント混合工程により得られたセメント混合土に、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと、少なくとも塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを含む塩と、ノニオン性界面活性剤とを含む硬化補助組成物の水溶液を散布し、攪拌する硬化補助組成物混合工程と、前記穿孔機を逆回転させ、前記硬化補助組成物混合工程により得られた改良混合土を、転圧をかけながら前記掘削孔に埋め戻す埋戻工程とを備えている。
【0007】
請求項1記載の地盤改良工法によれば、まず、穿孔機を正転させることによって所定深さの掘削孔が形成されると共に、発生残土が地上へ掘り出される。次いで、その掘り出された前記発生残土に粉末状のセメント組成物が散布され、攪拌混合されることによって、セメント混合土が得られる。そのセメント混合土に、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと、少なくとも塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを含む塩と、ノニオン性界面活性剤とを含む硬化補助組成物の水溶液が散布され、攪拌混合されることにより、改良混合土が得られる。更に、前記穿孔機を逆回転させることにより、その改良混合土が転圧をかけられながら前記掘削孔に埋め戻される。硬化補助組成物は水溶液の形態で発生残土に散布されるため、発生残土と硬化補助組成物との混合を均一に行うことができる。
【0008】
請求項2記載の地盤改良工法は、請求項1記載の地盤改良工法において、前記埋戻工程により埋め戻された改良混合土の天端部分を、測量機計を用いて設計高さに調節する調節工程を更に備えている。
【0009】
請求項2記載の地盤改良工法によれば、請求項1記載の地盤改良工法と同様に作用する上、前記埋戻工程により埋め戻された改良混合土の天端部分が、測量機計を用いて設計高さに調節される。
【0010】
請求項3記載の地盤改良工法は、請求項1又は2記載の地盤改良工法において、前記シロキサン結合形成性側鎖が、下記式(I)で表されるものである。
【0011】
【化4】
Figure 0003668477
(式中、M、M’、及びM''は、同一または異なっても良く、それぞれ独立して、C-C12アルキル基、H、Na、又はKを示す。)
請求項4記載の地盤改良工法は、請求項1から3のいずれかに記載の地盤改良工法において、前記シロキサン結合性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーを、総重量に対して0.1〜10.0重量%含むものである。
【0012】
請求項5記載の地盤改良工法は、請求項1から4のいずれかに記載の地盤改良工法において、前記シロキサン結合性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーを、総重量に対して1.0〜3.0重量%含むものである。
【0013】
請求項6記載の地盤改良工法は、請求項1から5のいずれかに記載の地盤改良工法において、前記シロキサン結合性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーが、下記構造単位(IIa)〜(IIc)を有するポリマーであるものである。
【0014】
【化5】
Figure 0003668477
(式中、RはC-Cアルキル基であり、M、M’、及びM''は、同一または異なっても良く、それぞれ独立して、C-C12アルキル基、H、Na、又はKを示す。また、m+n>lかつm>nである。)
請求項7記載の地盤改良工法は、請求項1から6のいずれかに記載の地盤改良工法において、前記シロキサン結合性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーが、下記構造単位(IIIa)〜(IIIc)を有するポリマーであるものである。
【0015】
【化6】
Figure 0003668477
(式中、mは1000〜1200であり、nは280〜450であり、lは60〜120である。)
請求項8記載の地盤改良工法は、請求項1から7のいずれかに記載の地盤改良工法において、前記塩は、金属塩化物、アンモニウム塩、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、及び金属水酸化物からなる群から選択され、少なくとも塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを含むものである。
【0016】
請求項9記載の地盤改良工法は、請求項1から8のいずれかに記載の地盤改良工法において、前記塩が、塩化コバルト(II)、塩化アンモニウム、アルカリ金属塩化物、及びアルカリ金属炭酸塩からなる群から選択され、少なくとも塩化コバルト(II)と塩化アンモニウムとを含むものである。
【0017】
請求項10記載の地盤改良工法は、請求項1から9のいずれかに記載の地盤改良工法において、前記塩として、総重量に対して、0.001〜4.0重量%の前記塩化コバルト(II)と、0.003〜12.0重量%の前記塩化アンモニウムとを含むものである。
【0018】
請求項11記載の地盤改良工法は、請求項1から10のいずれかに記載の地盤改良工法において、前記塩として、総重量に対して、0.05〜0.8重量%の前記塩化コバルト(II)と、1.3〜2.5重量%の前記塩化アンモニウムとを含むものである。
【0019】
請求項12記載の地盤改良工法は、請求項10又は11記載の地盤改良工法において、前記塩として、総重量に対して、塩化ナトリウム5.0〜7.5重量%、炭酸ナトリウム5.5〜10.0重量%、炭酸カリウム4.5〜8.0重量%を更に含むものである。
【0020】
請求項13記載の地盤改良工法は、請求項1から12のいずれかに記載の地盤改良工法において、前記ノニオン性界面活性剤が、親水性−親油性バランス(HLB)値が8〜20であるものである。
【0021】
請求項14記載の地盤改良工法は、請求項1から13のいずれかに記載の地盤改良工法において、前記ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンC12-C18アルキルエーテル、ポリオキシエチレンC-Cアルキルフェノールエーテル、及び、ポリオキシエチレンソルビタンC12-C18脂肪酸エステルからなる群から選択されるものである。
【0022】
請求項15記載の地盤改良工法は、請求項14記載の地盤改良工法において、総重量に対して、0.05〜2.0重量%の前記ノニオン性界面活性剤を含むものである。
【0023】
請求項16記載の地盤改良工法は、請求項1から15のいずれかに記載の地盤改良工法において、前記ノニオン性界面活性剤が、総重量に対して、0.4〜1.2重量%のポリオキシエチレンラウリルエーテル、0.1〜0.7重量%のポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、又は0.1〜0.8重量%のポリオキシエチレンソルビタンオレエートのいずれかであるものである。
【0024】
請求項17記載の地盤改良工法は、請求項1から16記載の地盤改良工法において、総重量に対して0.5〜4.0重量%のエチレングリコール又はプロピレングリコールを更に含むものである。
【0025】
請求項18記載の地盤改良工法は、請求項1から17のいずれかに記載の地盤改良工法において、前記硬化補助組成物が、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと、少なくとも塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを含む塩と、ノニオン性界面活性剤とを混合することにより得られるものである。
【0026】
請求項19記載の地盤改良工法は、請求項18記載の地盤改良工法において、前記塩が水溶液の形態で混合されるものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
[地盤改良工法]本発明の地盤改良工法の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施例における地盤改良工法の作業工程の一部を模式的に示した図である。図1(a)は、掘削機を正転することにより地盤(地面)に掘削孔が形成された状態を示す模式図であり、図1(b)は、地盤の掘削により生じた発生残土にセメントと硬化補助組成物を添加した改良混合土を、掘削機を逆回転しながら埋め戻す工程を示す模式図である。
【0028】
本発明の地盤改良工法は、まず、図1(a)に示すように、予め決定されたパイル状硬化体を造成すべき場所の地盤(地面)5に、アースオーガー(掘削機)10を使用して掘削孔2を形成させる。掘削孔2の形成は、アースオーガー10のスクリュー1を矢印X方向に正転させつつ、軸心方向に所定の速度で降下させて、地盤5に掘削孔2を形成する。
【0029】
次いで、この掘削孔形成作業において掘り出された発生残土3に粉末状セメント組成物が散布され混合される。発生残土3に散布される粉末状セメント組成物は、少なくともセメント(例えば、ポルトランドセメント等)を含み、必要に応じて強化補助剤(例えば、無機充填剤、岩石粉砕物、鉱滓、スラグ、汚泥、焼却灰、土砂、砂、顔料等)を含む組成物である。本発明の地盤改良工法において使用される粉末状セメント組成物は、発生残土3の土質の状態、性状、及び量に応じて、予め設定されている添加量で使用される。なお、発生残土3へのセメント組成物の散布及び混合は、種々の方法が利用でき、例えば、特公平1−22403号公報(「現地土固化パイルの造成方法」)に記載されるように、アースオーガーのスクリュー部分を正転させることによる掘進と、発生残土に混合されるべき物質の散布とを段階的に繰り返すことによって攪拌、混合する方法が利用できる。また、掘削孔2から全ての発生残土3を掘り出してから、発生残土3の量に対する規定量のセメント組成物を散布し、専用の攪拌混合機で攪拌混合してもよい。
【0030】
更に、発生残土3とセメント組成物とを混合により得られたセメント混合土に、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと、少なくとも塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを含む塩と、ノニオン性界面活性剤とを含む硬化補助組成物の水溶液を散布し、混合を行う。
【0031】
ここで、前記硬化補助剤は、(1)シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと、(2)少なくとも塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを含む塩と、(3)ノニオン性界面活性剤とを含むものである。この硬化補助組成物をセメント組成物に混合して用いると、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと、塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを少なくとも含む塩との相溶性及び安定性が、ノニオン性界面活性剤により保たれ、その結果、シロキサン結合形成性側鎖に基づくビニルアルコール系ポリマーの三次元網目構造化による効果と、塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とから生成されるアンミン系コバルト錯化合物による効果との相乗効果により、強度の高いセメント硬化物を得ることができるものである。
【0032】
なお、本発明の地盤改良工法においては、前記硬化補助組成物は水溶液の形態で散布される。硬化補助組成物が水溶液の形態で散布されるため、発生残土3と均一に混合することが容易である。発生残土3と硬化補助組成物とが均一に混合されることにより、高強度のパイル状硬化体が造成できる。よって、地盤の強度を十分に改良することができる。
【0033】
前記硬化補助組成物は、発生残土3の土質の状態、性状、及び量に応じて、予め設定されている添加量で使用される。なお、セメント混合土への硬化補助組成物水溶液の散布及び混合は、種々の方法が利用できる。例えば、発生残土3を、一旦、掘削孔2に埋め戻し、上述した発生残土3とセメント組成物との混合と同様に、特公平1−22403号公報(「現地土固化パイルの造成方法」)に記載される方法が利用できる。また、発生残土3の量に対する規定量のセメント組成物をセメント混合土に散布し、専用の攪拌混合機で攪拌混合してもよい。
【0034】
セメント混合土と硬化補助組成物とが混合された後、図1(b)に示すように、アースオーガー10のスクリュー1を矢印Y方向に逆回転させつつ、改良混合土4を順次掘削孔に戻す。ここで、スクリュー1を矢印Y方向に逆回転させつつ、ゆっくり引き上げることによって、改良混合土4が転圧によって締め固められる。
【0035】
改良混合土4が掘削孔2へ埋め戻された後、その天端部分が測量機計を用いて設計高さに調節される。これにより、パイル状硬化体を地盤に精度良く造成できる。
【0036】
なお、上記のようなパイル状硬化体の造成は、予め設定された各施工位置において同じ作業で行われる。
【0037】
[硬化補助組成物]本発明の地盤改良工法で使用される硬化補助組成物は、(1)シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと、(2)少なくとも塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを含む塩と、(3)ノニオン性界面活性剤とを含むものである。この硬化補助組成物によれば、少なくともセメントを含むセメント組成物に混合された場合、ノニオン性界面活性剤の添加によって、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと、塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを少なくとも含む塩との混合物に相溶性及び安定性が提供される。その結果、シロキサン結合形成性側鎖に基づくビニルアルコール系ポリマーの三次元網目構造化による効果と、塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とから生成されるアンミン系コバルト錯化合物による効果との相乗効果を得ることができ、強度の高いセメント硬化物を得ることができる。
【0038】
前記硬化補助組成物は、水溶液の形態であることが好ましい。水溶液であることにより、前記硬化補助組成物を、少なくともセメントを含むセメント組成物と混合する場合、均一に混合することが容易となり、その結果として、シロキサン結合形成性側鎖に基づく三次元網目構造がセメント硬化体において均一に生成され、強度の高いセメント硬化体を得ることができる。なお、硬化補助組成物の水溶液は、溶存する各成分の溶存状態に影響を与えない程度の有機溶媒を含んでいても良い。
【0039】
前記硬化補助組成物に、必要に応じて、総重量に対して、0.5〜4.0重量%程度(好ましくは2.0〜2.5重量%程度)のエチレングリコール又はプロピレングリコールを耐寒剤として添加してもよい。耐寒剤を添加することによって、前記硬化補助組成物を寒冷地においても不都合なく使用することができる。
【0040】
前記硬化補助組成物は、(1)シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと、(2)少なくとも塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを含む塩と、(3)ノニオン性界面活性剤とを混合することによって製造される。好ましくは、少なくとも塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを含む塩の水溶液にノニオン界面活性剤を溶解したものと、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーを溶解した水溶液とを混合することによって製造される。
【0041】
[シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマー]前記硬化補助組成物に含まれるシロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーは、ビニルアルコール系ポリマー主鎖に下記式(I)
【0042】
【化7】
Figure 0003668477
(式中、M、M’、及びM''は、同一または異なっても良く、それぞれ独立して、C-C12アルキル基、H、Na、又はKを示す。)
で表されるシロキサン結合性側鎖を有する(シロキサン結合性側鎖で修飾された)ポリマーである。前記硬化補助組成物を少なくともセメントを含むセメント組成物に混合すると、シロキサン結合性側鎖の加水分解重縮合によりポリマーが三次元網目状に架橋され、得られるセメント硬化体に十分な強度を付与することができる。
【0043】
なお、式(I)のシロキサン結合性側鎖において、好ましいM、M’、及びM''は、C-Cアルキル基又はHであり、より好ましくは、C-Cアルキル基又はHである。最も好ましいシロキサン結合性側鎖は、下記式(IV)である。
【0044】
【化8】
Figure 0003668477
また、ビニルアルコール系ポリマー主鎖とは、ビニルエステル(酢酸ビニルなど)の単独又は共重合体をケン化することにより得られるポリビニルアルコール(PVA)、ビニルエステル(酢酸ビニルなど)と他の共重合性モノマーとの共重合体(酢酸ビニル系共重合体など)などをケン化することにより得られる変性ポリビニルアルコール(変性PVA)などが含まれる。上記ポリビニルアルコールとしては、例えば、クラレ(株)製「ポバール」(重合度500〜600)等が挙げられる。
【0045】
前記シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーは、上記ビニルアルコール系ポリマーに対し、一般的方法を用いてシロキサン結合形成側鎖を修飾することによって得ることができる。
【0046】
前記硬化補助組成物において、好ましいシロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーは、下記式(IIa)〜(IIc)で表される構造単位を有する。
【0047】
【化9】
Figure 0003668477
ここで、上記式において、RはC-Cアルキル基(好ましくはC-Cアルキル基)であり、M、M’、及びM''は、同一または異なっても良く、それぞれ独立して、C-C12アルキル基(好ましくはC-Cアルキル基、より好ましくはC-Cアルキル基)、H、Na、又はKを示す。また、m+n>lかつm>nである。
【0048】
特に好ましいシロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーは、下記構造単位(IIIa)〜(IIIc)を有するポリマーであるものである。
【0049】
【化10】
Figure 0003668477
ここで、上記式において、mは1000〜1200であり、nは280〜450であり、lは60〜120である。
【0050】
前記硬化補助組成物において、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーの量は、総重量に対して、0.1〜10.0重量%で使用でき、好ましくは0.5〜8.0重量%であり、より好ましくは1.0〜5.0重量%であり、更に好ましくは1.0〜3.0重量%である。シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーの量が0.1重量%より少ないと、セメント組成物と混合した場合に、セメント硬化体の強度向上にほとんど影響しない。一方、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーの量が10.0重量%を越えると、このポリマーが高度にゲル化するため、硬化補助剤としての使用が困難となる。
【0051】
[塩]前記硬化補助組成物に含まれる塩としては、金属塩化物、アンモニウム塩、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、及び金属水酸化物等が使用でき、少なくとも塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを必須として含む。 前記硬化補助組成物を、少なくともセメントを含むセメント組成物に混合した場合、塩化コバルト(III)とアンモニウム塩とにより形成されるアンミン系コバルト錯化合物(錯体、錯塩)の作用により、得られるセメント硬化体の強度を向上させることができる。
【0052】
金属塩化物の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等のアルカリ土類金属塩化物、塩化コバルト(II)、塩化コバルト(III)、塩化クロム(III)等の重金属塩化物、錯化合物(錯体、錯塩)の塩化物(例えば、クロロヘキサアンミンコバルト(III)、クロロペンタアンミンコバルト(III)等)等が挙げられる。
【0053】
アンモニウム塩の例としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等の、アンモニアと酸とにより形成される塩が挙げられる。
【0054】
金属炭酸塩の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩等が挙げられる。
【0055】
金属重炭酸塩の例としては、重炭酸水素ナトリウム、重炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩、重炭酸マグネシウム、重炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属重炭酸塩等が挙げられる。
【0056】
金属水酸化物の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。
【0057】
なお、必要に応じて、金属硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等のアルカリ金属硫酸塩等のアルカリ土類金属硫酸塩等)、金属亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩等)、金属硝酸塩(例えば、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等のアルカリ金属硝酸塩等)、金属リン酸系塩(例えば、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム等のアルカリ金属リン酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム等のアルカリ金属リン酸一水素塩、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等のアルカリ金属リン酸二水素塩等)を使用してもよい。
【0058】
前記硬化補助組成物に含まれる塩は、好ましくは、塩化コバルト(II)と塩化アンモニウムとアルカリ金属塩化物とアルカリ金属炭酸塩との組み合わせたものであり、より好ましくは、塩化コバルト(II)と塩化アンモニウムと塩化ナトリウムと塩化カリウムと炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの組み合わせたものである。
【0059】
前記硬化補助組成物において、必須とされる塩化コバルト(II)の量は、硬化補助組成物の総重量に対して、0.001〜4.0重量%程度で使用できる。好ましくは、0.01〜2.0重量%程度、より好ましくは0.01〜1.5重量%程度、更に好ましくは0.02〜1.0重量程度、最も好ましくは0.05〜0.8重量%程度である。塩化コバルト(II)が4.0重量%を越えると、セメント硬化体の強度へ与える効果は塩化コバルト(II)の量にほとんど依存しなくなるので、これ以上の量の添加は不経済である。
【0060】
また、第2の必須塩であるアンモニウム塩のうち、塩化アンモニウムは、硬化補助組成物の総重量に対して、0.003〜12.0重量%程度の量で使用でき、好ましくは0.03〜6.0重量%程度、より好ましくは0.05〜5.0重量%程度、更に好ましくは0.08〜4.0重量%程度、最も好ましくは、1.3〜2.5重量%程度である。
【0061】
上述のような量の塩化コバルト(II)及び塩化アンモニウムと共に、総重量に対して、5.0〜7.5重量%程度(好ましくは5.5〜7.0重量%程度、より好ましくは5.5〜6.5重量%程度)の塩化ナトリウム、5.5〜10.0重量%程度(好ましくは6.0〜9.0重量%程度、より好ましくは6.5〜8.0重量%程度)の炭酸ナトリウム、4.5〜8.0重量%程度(好ましくは5.0〜7.5重量%程度、より好ましくは5.5〜7.0重量%程度)の炭酸カリウムを加えることが好ましい。
【0062】
[ノニオン性界面活性剤]前記硬化補助組成物に含まれるノニオン性界面活性剤は、三次元網目構造を提供するシロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと、塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを少なくとも含む塩との混合物において相溶性及び安定性を付与する。更に、前記硬化補助組成物を、少なくともセメントを含むセメント組成物と混合して用いた場合に、セメント組成物の硬化速度と、シロキサン結合形成性側鎖に基づくシロキサン結合形成速度とのバランスを制御し、高強度のセメント硬化体を提供することができる。
【0063】
このような優れた効果を提供するために使用されるノニオン性界面活性剤としては、親水性−疎水性バランス(HLB)の値が8〜20程度、好ましくは10.0〜19.5程度のノニオン性界面活性剤を使用できる。
【0064】
好ましいノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンC12-C18アルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等)、ポリオキシエチレンC-Cアルキルフェノールエーテル(例えば、ポリオキシエチレンオクタフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等)、及び、ポリオキシエチレンソルビタンC12-C18脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート(ポリオキシエチレンソルビタンオレインエステル)等)等のポリオキシエチレン系ノニオン性界面活性剤が挙げられる。なお、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、モノエステルであってもトリエステルであってもよく、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンオレエートは、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート及びポリオキシエチレンソルビタントリオレエートを含む。
【0065】
更に好ましいノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンオレエートが挙げられる。
【0066】
なお、ポリオキシエチレン系ノニオン性界面活性剤において、好ましいエチレンオキサイド付加モル数は10〜40モル程度、より好ましくは12〜35モル程度である。
【0067】
前記硬化補助組成物において、ノニオン性界面活性剤は、総重量に対して、0.05〜2.0重量%程度の量で含まれる。好ましい量は、0.1〜1.5重量%程度である。ノニオン性界面活性剤の量が2.0重量%を越えると、硬化補助組成物の安定性を却って低下させる。
【0068】
前記硬化補助組成物において、総重量に対して、0.1〜1.5重量%程度(好ましくは0.2〜1.2重量%程度、より好ましくは0.4〜1.2重量%程度)のポリオキシエチレンラウリルエーテル、0.1〜0.7重量%程度(好ましくは0.15〜0.6重量%程度、より好ましくは0.2〜0.5重量%程度)のポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、又は、0.1〜0.8重量%程度(好ましくは0.15〜0.7重量%程度、より好ましくは0.2〜0.6重量%程度)のポリオキシエチレンソルビタンオレエートが好ましく用いられる。
【0069】
[セメント硬化体]前記硬化補助組成物を、少なくともセメントを含むセメント組成物と混合して用いると、得られるセメント硬化物の強度を高めることができる。セメントとしては、各種セメントを用いることができるが、代表的にはポルトランドセメントが挙げられる。セメント組成物におけるセメントの量は、好ましくは10〜60重量%で使用される。また、セメント組成物には、強化補助剤としては、無機充填剤(例えば、ゼオライト、ベントナイト、パーライト、珪石、けい藻土等)、岩石粉砕物(例えば、岩石粉等)、鉱滓、スラグ(例えば、水砕スラグ等)、汚泥(例えば、界面活性汚泥等)、焼却灰、土砂、砂、顔料等が利用できる。好ましい強化補助剤としては、砂、水砕スラグ、岩石粉、ゼオライト等である。これらの強化補助剤は、その粒径が0.02〜2.0mmの範囲内にあれば、単一分布の粒子のものであっても、広範囲の粒径分布を有する粒子のものであってもよい。
【0070】
また、前記硬化補助組成物は、セメント組成物に対して、10〜30重量%程度の量で添加されることが好ましい。前記硬化補助組成物の量が、10重量%より少ないと十分な強度を付与することができず、30重量%を越えるとセメント組成物の粘性が高まりセメントの取り扱い性が低下する。
【0071】
なお、本発明の硬化補助組成物は、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと、少なくとも塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを含む塩と、ノニオン性界面活性剤とを混合して1液としたものを使用してもよいし、少なくとも塩化コバルト(II)及びアンモニウム塩を含む塩の水溶液と、ノニオン界面活性剤とシロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーとの水溶液との2液を別々にセメント組成物に添加し、混合して使用してもよい。
【0072】
セメント硬化体は、前記硬化補助組成物とセメント組成物とを混合し、硬化させることによって得られる。このように得られたセメント硬化体に対し、前記硬化補助組成物に含まれるシロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーを単独で含む水溶液、又は、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと、合成樹脂エマルジョン、天然又は合成ゴムラテックス、エチレン酸ビニル、共重合ラテックス、シリコンエマルジョン、ワックスエマルジョン、水溶性繊維素誘導体、ポリビニルアルコール、又は、ポリアクリル酸ナトリウム等の補助剤の中から一種又はそれ以上とを混合した水溶液を用いて、浸積、塗布、又は噴霧などによる後処理を行ってもよい。このような後処理を行うことにより、セメント硬化体の強度を一層高めることができる。
【0073】
後処理を行うためにシロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマー水溶液を用いる場合、その濃度は0.5〜12.0重量%程度であればよい。
【0074】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に基づいて限定されるものではない。
【0075】
なお、下記試験により試験片の物性を評価した。
(圧縮強度試験)JIS A−1108に準じて、コンクリート供試体(直径5cm、長さ10cm)に対して圧縮荷重を加え、破壊するまでの強度を測定した。なお、試験は3本の供試体に対して行い、その平均値を求めた。
(吸水試験)JIS A−1404に準じて行い、コンクリート供試体(直径5cm、長さ10cm)の質量測定後、試験体の充填面を上面として、下部2cmを浸水させ、各実施例毎に設定した時間後に取り出し、表面水をふき取った後、質量を測定した。試験は3本の供試体に対して行い、その平均値を求めた。
【0076】
[実施例1及び比較例1〜3]本発明の地盤改良工法で使用される硬化補助組成物を含むセメント硬化体の圧縮強度及び吸水率を評価した。なお、実施例1及び比較例1〜2で使用する硬化補助組成物の組成及び調製方法を下記に示す。
【0077】
Figure 0003668477
上記量の塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、塩化アンモニウム、及び塩化コバルト(II)と、水55重量部とを混合して第1液を調製した。一方、上記量のポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマー、及び水酸化ナトリウムと、水21.15重量部とを混合し、この混合物を85℃まで加熱し透明溶液とした後、常温に戻し、第2液を調製した。第1液と第2液とを攪拌、混合して、処理液Aを調製した。処理液AのpHは11.9であった。
【0078】
Figure 0003668477
上記の組成に従って混合し、処理液Bを調製した。
【0079】
Figure 0003668477
上記(1)の組成に従って混合し、その混合物を80℃で加熱すると透明溶液とした後、常温に戻し、第1液とした。一方、上記(2)の組成に従って混合物を調製し、第2液とした。第1液と第2液を上記割合で混合し、処理液Cを調製した。処理液CのpHは10.2であった。
【0080】
表1の組成に従ってセメント組成物(水セメント比0.5)を調製し、円筒(直径5cm、長さ10cm)に入れ、10日間養生に供した後、セメント硬化体の圧縮強度及び吸水率(6時間後、12時間後、24時間後)を測定し評価した。また、セメントと砂と水から作成した供試体について比較例3で評価した。なお、比較例2では、硬化促進剤として水ガラス(珪酸ソーダ(NaO:SiO=1:3.1))を添加した。
結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
Figure 0003668477
表1の結果から明らかなように、本発明の地盤改良工法で使用される硬化補助組成物を含むセメント硬化体は、従来の硬化補助組成物を用いた場合に比べ、より高い圧縮強度及びより低い吸水率(吸水性)を示した。
【0082】
[実施例2及び比較例4〜5]本発明の地盤改良工法で使用される硬化補助組成物を含む界面活性汚泥含有セメント硬化体の圧縮強度及び吸水率を評価した。なお、実施例2及び比較例1〜2で使用する硬化補助組成物の組成及び調製方法を下記に示す。
【0083】
Figure 0003668477
上記量の塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、塩化アンモニウム、及び塩化コバルト(II)と、水55重量部とを混合して第1液を調製した。一方、上記量のポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマー、及び水酸化ナトリウムと、水21.3重量部とを混合し、この混合物を85℃まで加熱し透明溶液とした後、常温に戻し、第2液を調製した。第1液と第2液とを攪拌、混合して、処理液Dを調製した。
【0084】
Figure 0003668477
上記の組成に従って混合し、処理液Eを調製した。
【0085】
表2の組成に従って界面活性汚泥含有セメント組成物(水セメント比0.55)を調製し、円筒(直径5cm、長さ10cm)に入れ、4週間養生に供した後、圧縮強度及び72時間後の吸水率を評価した。
結果を表2に示す。
【0086】
[実施例3]本発明の硬化補助組成物を含む界面活性汚泥硬化体を、2.8重量%のシロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと15%重量%エチレン酸ラテックスを含む水溶液に浸積して後処理し、その後の圧縮強度及び72時間後の吸水率を評価した。
【0087】
表2の組成に従って界面活性汚泥含有セメント組成物を調製(水セメント比0.55)し、円筒(直径5cm、長さ10cm)に入れ、2週間養生に供した後、後処理液に数秒間浸積した。後処理を行った硬化体を、室温で表面を乾燥させた後、さらに2週間養生した。
結果を表2に示す。
【0088】
【表2】
Figure 0003668477
表2の結果から明らかなように、本発明の硬化補助組成物を用いて作製された界面活性汚泥含有セメント硬化体は、従来の硬化補助組成物を用いた場合に比べ、より高い圧縮強度及びより低い吸水率を示した。また、本発明の硬化補助組成物を含む界面活性汚泥含有セメント硬化体を、本発明の硬化補助組成物を含む水溶液で後処理することによって、更に高い圧縮強度と低い吸水率(吸水性)を有する硬化体が得られた。
【0089】
【発明の効果】
請求項1記載の地盤改良工法によれば、まず、穿孔機を正転させることによって所定深さの掘削孔が形成されると共に、発生残土が地上へ掘り出される。次いで、その掘り出された前記発生残土に粉末状のセメント組成物が散布され、攪拌混合されることによって、セメント混合土が得られる。そのセメント混合土に、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと、少なくとも塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを含む塩と、ノニオン性界面活性剤とを含む硬化補助組成物の水溶液が散布され、攪拌混合されることにより、改良混合土が得られる。更に、前記穿孔機を逆回転させることにより、その改良混合土が転圧をかけられながら前記掘削孔に埋め戻される。硬化補助組成物が水溶液の形態で散布されるため、発生残土との混合を均一に行うことができる。よって、パイル状硬化体に脆弱な部分ができることなく、高強度のパイル状硬化体が造成できる。
【0090】
また、前記硬化補助剤は、ノニオン性界面活性剤は、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと、塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを少なくとも含む塩との混合物に対して相溶性及び安定性を提供する。よって、シロキサン結合形成性側鎖に基づくビニルアルコール系ポリマーの三次元網目構造化による効果と、塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とから生成されるアンミン系コバルト錯化合物による効果との相乗効果により、強度の高いセメント硬化物を得ることができる。
【0091】
請求項2記載の地盤改良工法によれば、請求項1記載の地盤改良工法と同様に作用する上、前記埋戻工程により埋め戻された改良混合土の天端部分が、測量機計を用いて設計高さに調節される。よって、精度の高いパイル状硬化体を地盤に造成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例における地盤改良工法の作業工程の一部を模式的に示した図である。(a)は、掘削機を正転することにより地盤(地面)に掘削孔が形成された状態を示す模式図であり、(b)は、地盤の掘削により生じた発生残土にセメントと硬化補助組成物を添加した改良混合土を、掘削機を逆回転しながら埋め戻す工程を示す模式図である。
【符号の説明】
2 掘削孔
3 発生残土
4 改良混合土
10 アースオーガー(穿孔機)

Claims (19)

  1. 穿孔機を正転しながら所定深さの掘削孔を形成し、発生残土を地上へ掘り出す掘削工程と、
    その掘削工程により掘り出した前記発生残土に粉末状のセメント組成物を散布し、攪拌するセメント混合工程と、
    そのセメント混合工程により得られたセメント混合土に、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと、少なくとも塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを含む塩と、ノニオン性界面活性剤とを含む硬化補助組成物の水溶液を散布し、攪拌する硬化補助組成物混合工程と、
    前記穿孔機を逆回転させ、前記硬化補助組成物混合工程により得られた改良混合土を、転圧をかけながら前記掘削孔に埋め戻す埋戻工程とを備えていることを特徴とする地盤改良工法。
  2. 前記埋戻工程により埋め戻された改良混合土の天端部分を、測量機計を用いて設計高さに調節する調節工程を更に備えていることを特徴とする請求項1記載の地盤改良工法。
  3. 前記シロキサン結合形成性側鎖は、下記式(I)で表されることを特徴とする請求項1又は2記載の地盤改良工法。
    Figure 0003668477
    (式中、M、M’、及びM''は、同一または異なっても良く、それぞれ独立して、C-C12アルキル基、H、Na、又はKを示す。)
  4. 前記シロキサン結合性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーを、総重量に対して0.1〜10.0重量%含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の地盤改良工法。
  5. 前記シロキサン結合性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーを、総重量に対して1.0〜3.0重量%含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の地盤改良工法。
  6. 前記シロキサン結合性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーは、下記構造単位(IIa)〜(IIc)を有するポリマーであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の地盤改良工法。
    Figure 0003668477
    (式中、RはC-Cアルキル基であり、M、M’、及びM''は、同一または異なっても良く、それぞれ独立して、C-C12アルキル基、H、Na、又はKを示す。また、m+n>lかつm>nである。)
  7. 前記シロキサン結合性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーは、下記構造単位(IIIa)〜(IIIc)を有するポリマーであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の地盤改良工法。
    Figure 0003668477
    (式中、mは1000〜1200であり、nは280〜450であり、lは60〜120である。)
  8. 前記塩は、金属塩化物、アンモニウム塩、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、及び金属水酸化物からなる群から選択され、少なくとも塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを含むことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の地盤改良工法。
  9. 前記塩は、塩化コバルト(II)、塩化アンモニウム、アルカリ金属塩化物、及びアルカリ金属炭酸塩からなる群から選択され、少なくとも塩化コバルト(II)と塩化アンモニウムとを含むことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の地盤改良工法。
  10. 前記塩として、総重量に対して、0.001〜4.0重量%の前記塩化コバルト(II)と、0.003〜12.0重量%の前記塩化アンモニウムとを含むことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の地盤改良工法。
  11. 前記塩として、総重量に対して、0.05〜0.8重量%の前記塩化コバルト(II)と、1.3〜2.5重量%の前記塩化アンモニウムとを含むことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の地盤改良工法。
  12. 前記塩として、総重量に対して、塩化ナトリウム5.0〜7.5重量%、炭酸ナトリウム5.5〜10.0重量%、炭酸カリウム4.5〜8.0重量%を更に含むことを特徴とする請求項10又は11記載の地盤改良工法。
  13. 前記ノニオン性界面活性剤は、親水性−親油性バランス(HLB)値が8〜20であることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の地盤改良工法。
  14. 前記ノニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンC12-C18アルキルエーテル、ポリオキシエチレンC-Cアルキルフェノールエーテル、及び、ポリオキシエチレンソルビタンC12-C18脂肪酸エステルからなる群から選択されることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の地盤改良工法。
  15. 総重量に対して、0.05〜2.0重量%の前記ノニオン性界面活性剤を含む請求項14記載の地盤改良工法。
  16. 前記ノニオン性界面活性剤は、総重量に対して、0.4〜1.2重量%のポリオキシエチレンラウリルエーテル、0.1〜0.7重量%のポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、又は0.1〜0.8重量%のポリオキシエチレンソルビタンオレエートのいずれかであることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の地盤改良工法。
  17. 総重量に対して0.5〜4.0重量%のエチレングリコール又はプロピレングリコールを更に含むことを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の地盤改良工法。
  18. 前記硬化補助組成物は、シロキサン結合形成性側鎖を有するビニルアルコール系ポリマーと、少なくとも塩化コバルト(II)とアンモニウム塩とを含む塩と、ノニオン性界面活性剤とを混合することにより得られることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の地盤改良工法。
  19. 前記塩が水溶液の形態で混合されることを特徴とする請求項18記載の地盤改良工法。
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