JP3668206B2 - アンテナ駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アンテナ駆動装置、例えば自動車に搭載されるレーダのアンテナを駆動する際に使用される比較的小型のアンテナ駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図15、16は、従来のこの種アンテナ駆動装置(アクチュエータ)の構成を示す概略図である。これらの図のうち、図15に示すものは、ボイスコイル形と呼ばれる一対の電磁駆動要素を用いたアクチュエータである。このボイスコイル形の各電磁駆動要素は、固定部100に間隔を介して固定された一対の筒状コア1の底面上に磁石2を配置し、この磁石2の上に棒状コア3を設け、この棒状コア3の上端部周囲と筒状コア1との間の環状の空隙に筒状の可動コイル4を設け、この可動コイル4をアンテナが装着される被駆動部材5に連結したものである。被駆動部材5は、一対の筒状コア1の中間部に設けられた支持台100Aに支承されたベアリング6と、このベアリング6によって支持された回転軸7により中間部が支承されて回転可能とされ、可動コイル4の上下方向の移動によって駆動されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のボイスコイル形のアクチュエータは、上記のように構成されており、可動コイル4がそれを流れる電流の方向及び電流量に応じて、筒状コア1による吸引力を受ける状態から、筒状コア1による反発力を受ける状態まで被駆動部材5を駆動することができるが、可動コイル4を使用するために不都合がある。
例えば、可動部であるにもかかわらず可動コイル4への配線4aが必要であり、また、可動部を高速で動かすためには、可動部を構成する可動コイル4を軽量にする必要があるため、可動コイル4の巻回数を増やすのに制約がある。
また、同じ理由で可動コイル4の線径を太くするにも制約があり、可動コイル4による磁束を大きくすることができない。このため、電磁駆動要素による電磁駆動力を大きくするには、磁石2を強くすること、筒状コア1の磁気抵抗を小さくすること、可動コイル4と筒状コア1との空隙を小さくすることなどが必要であり、その組み立てに高い組み立て精度が要求されるという問題点があった。
【0004】
また、図16に示す従来のアクチュエータは、固定部100に間隔を介して固定されたソレノイド形と呼ばれる一対の電磁駆動要素を用いたものである。
各電磁駆動要素は、固定された筒状コア1内に筒状の固定コイル8を設け、被駆動部材5に取り付けた可動コア9を、固定コイル8内に吸引し得るような構成とされている。被駆動部材5の支持構造は図15と同様である。このように構成されたソレノイド形のアクチュエータは構造が簡単であるが、可動コア9を固定コイル8によって吸引する方向にしか駆動できないため、被駆動部材5の駆動範囲に制約があり、また、可動コア9のために可動部の重量が大きくなり、被駆動部材5を高速で制御しにくいという問題点があった。
【0005】
この発明は、上記のような従来のアンテナ駆動装置の不都合を改善し、被駆動部材に取り付けた可動部材を固定部材に設けた制御コイルによって連続的に駆動力を制御することができ、しかも可動部材を軽量化し、併せて高い組み立て精度を必要とせず、かつ故障検出機能を具備したアンテナ駆動装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るアンテナ駆動装置は、固定部材に回動可能に軸支されたアンテナと、このアンテナに固定された可動側磁石と、この可動側磁石に対向して上記固定部材に設けられ上記可動側磁石に所定の磁力を与える固定側磁石と、上記可動側磁石と固定側磁石の中間部に配設されたコア及び制御コイルを有し、上記制御コイルへの通電状態を制御することにより上記可動側磁石に対する磁力を制御して上記アンテナの回動量を制御する電磁石と、上記アンテナに設けられ、上記アンテナの振り角に応じた出力を生ずるセンサと、上記アンテナの振り角の範囲を規制するストッパと、上記制御コイルの目標電流を設定し、目標電流に向けて上記制御コイルの電流を制御するインターフェース回路と、上記目標電流を操作して上記アンテナの振り角を制御する手段と、上記アンテナの正常動作時に上記目標電流を操作して上記アンテナを上記ストッパに当接させ、当接時における上記センサの出力値を予め不揮発性メモリに記憶させる手段と、上記アンテナの動作時に上記アンテナが上記ストッパに当接した時の上記センサの出力値を揮発性メモリに記憶させる手段と、上記揮発性メモリ及び不揮発性メモリに記憶された上記センサの出力値を比較し、その差にもとづいて故障の有無及び故障時における故障個所を推定する故障個所推定手段とを備えたものである。
【0007】
この発明に係るアンテナ駆動装置は、また、上記センサが磁気を利用した磁気センサとして構成されるものである。
【0008】
この発明に係るアンテナ駆動装置は、また、上記センサが光を利用した光センサとして構成されるものである。
【0009】
この発明に係るアンテナ駆動装置は、また、上記アンテナが中央部で軸支され、上記可動側磁石を両端部にそれぞれ固定し、上記固定側磁石及び電磁石は両端部の各可動側磁石に対応してそれぞれ設けられると共に、上記両電磁石は互いに逆方向に電磁力を生ずるようにされたものである。
【0011】
この発明に係るアンテナ駆動装置は、また、上記制御コイルの目標電流を複数個設定し、指定された目標電流に向けて上記制御コイルの電流を制御するインターフェース回路と、上記目標電流を操作して上記アンテナの振り角を制御する手段と、上記アンテナの正常動作時に各目標電流に対応した上記アンテナの振り角における上記センサの出力値をそれぞれ求め、各振り角に対応したセンサの出力値と目標電流とにもとづいて電流−角度特性を算出し、初期値として不揮発性メモリに記憶させる手段と、指定された目標電流に対応した上記アンテナの振り角における上記センサの出力値を、各目標電流について求め、それぞれの目標電流と共に揮発性メモリに記憶させる特性元データ記憶手段と、上記揮発性メモリに記憶されたセンサの出力値と目標電流とにもとづいて電流−角度特性を算出する電流−角度特性算出手段と、上記電流−角度特性算出手段によって算出された電流−角度特性と上記初期値とを比較し、その差にもとづいて故障の有無及び故障時における故障個所を推定する故障個所推定手段とを備えたものである。
【0012】
この発明に係るアンテナ駆動装置は、また、上記制御コイルの目標電流を複数個設定し、指定された目標電流に向けて上記制御コイルの電流を制御すると共に、上記制御コイルに流れる実電流を検出するインターフェース回路と、上記目標電流を操作して上記アンテナの振り角を制御する手段と、上記アンテナの正常動作時に各目標電流に対応した上記アンテナの振り角における上記センサの出力値をそれぞれ求め、各振り角に対応したセンサの出力値と上記制御コイルに流れる実電流とにもとづいて電流−角度特性を算出し、初期値として不揮発性メモリに記憶させる手段と、指定された目標電流に対応した上記アンテナの振り角における上記センサの出力値を、各目標電流について求め、各振り角時に制御コイルに流れる実電流と共に揮発性メモリに記憶する特性元データ記憶手段と、上記揮発性メモリに記憶されたセンサの出力値と実電流とにもとづいて電流−角度特性を算出する電流−角度特性算出手段と、上記電流−角度特性算出手段によって算出された電流−角度特性と上記初期値とを比較し、その差にもとづいて故障の有無及び故障時における故障個所を推定する故障個所推定手段とを備えたものである。
【0013】
この発明に係るアンテナ駆動装置は、また、上記電流−角度特性算出手段が、予め設定した複数のデータ取得ポイントにおいて取得されたアンテナの振り角及び目標電流値または実電流値を構成要素とした複数の多項式にもとづいて連立方程式を構成すると共に、上記連立方程式を解くことにより電流−角度特性を算出するようにしたものである。
【0014】
この発明に係るアンテナ駆動装置は、また、上記電流−角度特性算出手段が、予め設定した複数のデータ取得ポイントにおいて取得されたアンテナの振り角及び目標電流値または実電流値にもとづいて最小二乗法を用いて電流−角度特性を算出するようにしたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図にもとづいて説明する。図1は、この発明の実施の形態1によるアンテナ駆動装置の構成を示す概略図である。
この実施の形態は、被駆動部材10を駆動するものであり、被駆動部材10は、例えば自動車に搭載されるレーダのアンテナである。このレーダは、自動車の周辺を監視するために使用されるレーダであり、電波を自動車の周辺に発射してその反射波から自動車の周辺の障害物などを検知する。またこのレーダは、光を自動車の周辺に照射し、その反射光によって自動車の周辺を監視するように構成することもできる。何れにせよ、アンテナ10は電波または光を自動車の周辺に向けて発射し、また、その反射波を受信するために使用され、電波、または光の照射方向を変更するために、その向きまたは角度が変化される。アンテナ10は、重力や外乱振動などに影響されないように、その中央部の重心近傍に支点11を有し、この支点を中心にして、揺動可能に支持されている。支点11はベアリング12で回転可能に支持された回転軸13であり、この回転軸13を中心にして、アンテナ10が回転可能に支持される。ベアリング12はプレート14上に載せられた支持台15上に固定されている。支持台15上には、アンテナ10の位置を検出するセンサ16が付設されている。このセンサ16は、例えば磁気を利用した磁気センサ、または光を利用した光センサである。
【0016】
また、アンテナ10の左右両側に一対の電磁駆動要素20A、20Bを有する。第1の電磁駆動要素20Aはアンテナ10の支点11の図において右側に配置され、その右端部を上下に駆動し、また、第2の電磁駆動要素20Bはアンテナ10の支点11の図において左側に配置され、その左端部を上下に駆動する。
これらの電磁駆動要素20A、20Bは互いに同じ構成とされているため、以下、電磁駆動要素20Aについてのみ説明する。電磁駆動要素20Aは可動部材30と固定部材40を有している。可動部材30は、被駆動部材であるアンテナ10に取り付けられた可動側磁石32を有する。この可動側磁石32は円柱状に作られた永久磁石であり、N極として着磁された第1磁極32aと、S極として着磁された第2磁極32bを有し、第2磁極(S極)32bをアンテナ10に接合して取り付けられている。しかしながら、第1磁極32aと第2磁極32bとを逆にしてアンテナ10に接合し得ることは云うまでもない。
【0017】
電磁駆動要素20Aの固定部材40は、可動部材30に対向して配置される。この固定部材40は、支持台15を載置しているプレート14の図において右端に固定されている。このプレート14は、磁性材料、例えば鉄板で形成されている。固定部材40は、まず固定側磁石42を有する。この固定側磁石42は、可動側磁石32と同様に、円柱状に作られた永久磁石であり、N極として着磁された第1磁極42aと、S極として着磁された第2磁極42bを有する。この固定側磁石42は、可動側磁石32と対向する位置に配置されており、かつ第2磁極(S極)42bがプレート14に接合されて固定されている。従って、固定側磁石42の第1磁極(N極)42aは、可動側磁石32の第1磁極(N極)32aと対向することになる。もちろん、可動側磁石32の第1磁極32aがアンテナ10に接合される形で取り付け方向が変更される場合には、固定側磁石42もそれに合わせて、第1磁極42aをプレート14に接合するものであることは云うまでもない。
【0018】
電磁駆動要素20Aの固定部材40は、さらに樹脂で形成されたボビン44、このボビン44の中心部に装着された制御コア46、及び制御コア46の周囲に配設されるようにボビン44に巻装された制御コイル48を有する。ボビン44は、固定側磁石42を覆うように設けられ、固定側磁石42の上に制御コア46が位置するように制御コア46を保持する。この制御コア46は、円形断面を持った棒状の鉄心であり、可動側磁石32の第1磁極(N極)32aと、固定側磁石42の第1磁極(N極)42aとの間に配置されている。制御コア46の上端は空隙50を介して可動側磁石32の第1磁極(N極)32aに対向しており、また、その下端と固定側磁石42の第1磁極(N極)42aとの間にも空隙52が形成されている。ボビン44は、制御コア46の外周に、巻枠44aを有し、この巻枠44aに制御コイル48が巻回されている。このため、制御コイル48は、可動側磁石32の第1磁極32aと、固定側磁石42の第1磁極42aの各中心とを結ぶ直線の周りに巻回され、上記直線に沿って磁束を発生する。
なお、符号48aは、制御コイル48に対する接続リード線であり、制御コイル48はこの接続リード線48aを経て、図示しない励磁回路に接続される。
【0019】
このような構成において、電磁駆動要素20Aの固定部材40は、可動部材30に対して第1、第2の2つの磁力F1、F2をトータルした電磁力F0を与える。第1の磁力F1は、固定側磁石42から可動側磁石32に与えられる磁力である。固定側磁石42の第1磁極(N極)42aが、可動側磁石32の同極性の第1磁極(N極)32aに向き合っているために、固定側磁石42から可動側磁石32に与えられる第1の磁力F1は、可動部材30を固定部材40から引き離す方向の反発力であり、この反発力は磁石32、42が永久磁石であるために、常時ほぼ一定の磁力である。
【0020】
固定部材40から対応する可動部材30に対して与えられる第2の電磁力F2は、制御コイル48によって発生される。制御コイル48は、通電時に各磁石32、42の第1磁極32a、42aを結ぶ直線に沿って磁束を発生し、この磁束にもとづいて可動部材30に与えられる電磁力F2は、制御コイル48に流れる励磁電流の方向と大きさに比例して、その電磁力の方向と大きさが制御される。制御コイル48に所定方向の励磁電流を流せば、この制御コイル48による電磁力F2は、固定側磁石42と同方向に、即ち可動部材30を固定部材40から引き離す方向に、可動部材30に与えられ、その強さはその励磁電流の大きさに比例する。制御コイル48の励磁電流の方向を上記と逆にすれば、制御コイル48による電磁力F2は、固定側磁石42による反発力とは逆に、可動部材30を固定部材40に吸引する方向の電磁力となり、その大きさは励磁電流に比例する。
【0021】
固定側磁石42による反発方向の磁力F1の方向を正極性とすると、トータル電磁力F0は、F0=F1±F2となり、制御コイル48の励磁電流の方向と大きさを変えることによって、トータル電磁力F0を幅広く制御することができる。アンテナ10は、各電磁駆動要素20A、20Bからのトータル電磁力のバランスで、その向きまたは角度が制御される。
【0022】
この実施の形態において、制御コイル48は固定部材40に設けられているので、その巻回数を大きくして、制御コイル48による磁束を大きくする上で特別な制限はない。また、制御コイル48の線径も大きくして、十分大きな励磁電流を流し、その磁束を大きくすることにも特別な制約はない。このため、制御コイル48の巻回数と線径を大きくし、制御コイル48による電磁力F2を十分に大きくすることができる。また、制御コア46は、制御コイル48による電磁力をより大きくするために有効であるが、この制御コア46も固定部材40に設けられているので、可動部材30の重量を増やす心配がなく、可動部材30を可能な限り軽量とすることにより、アンテナ10をより高速で駆動することが可能となる。
【0023】
さらに、制御コイル48が可動側磁石32の第1磁極32aと、固定側磁石42の第1磁極42aとの間に設けられていることも重要である。制御コイル48はこれらの磁極32a、42aとの間に、必要な間隔を取ることが可能となる。この間隔にもとづき、制御コイル48による磁束を磁石32、42に直接流さずに、少なくともその磁束の一部を磁石32、42を側路するように流すことができる。この結果、制御コイル48の磁束が磁石32、42による磁束と逆方向に流れる場合においても、制御コイル48による磁石32、42の保持力の減少を軽減することができ、従って、固定部材40から必要な電磁力を可動部材30により正確に与えて、アンテナ10をより正確に駆動できる。
【0024】
また、制御コア46と磁石32との空隙50及び制御コア46と磁石42との空隙52も、制御コイル48による制御性を向上する上で有効である。これらの空隙50、52は、制御コイル48による磁束に対する磁石32、42による磁束の影響をより少なくし、制御コイル48による磁束の変化をより大きくし、その励磁電流による制御性能を向上させる。また、磁性体からなるプレート14は、固定側磁石42の第2磁極42bが接合されており、磁極板の作用をする。
このプレート14は第2磁極42bからの磁束及び制御コイル48による磁束をこの磁極42bの周辺に拡げ、固定側磁石42と可動側磁石32との磁気的結合及び制御コイル48と可動側磁石32との磁気的結合を強化して、可動部材30への電磁力を、より大きくする。
【0025】
図2は、実施の形態1による電磁駆動要素20A、20Bの各制御コイル48に対する励磁回路を示す回路図である。この図に示す励磁回路は、一対のスイッチング回路60、70を有し、これらの各スイッチング回路60、70は直流電源の正極端子E1と負極端子E2の間にそれぞれ接続されている。負極端子E2はアース電位とされている。スイッチング回路60は、一対のスイッチ素子61、62を含み、これらのスイッチ素子61、62は例えばNPN形のパワートランジスタで構成されている。スイッチ素子61のコレクタは正極端子E1に接続され、そのエミッタはスイッチング回路60の出力端子63に接続されている。スイッチ素子62のコレクタは、上記出力端子63に、また、そのエミッタは負極端子E2にそれぞれ接続されている。スイッチング回路70は一対のスイッチ素子71、72を含み、これらはNPN形パワートランジスタで構成されている。スイッチ素子71のコレクタは正極端子81に接続され、そのエミッタはスイッチング回路70の出力端子73に接続されている。スイッチ素子72のコレクタは出力端子73に、また、そのエミッタは負極端子E2にそれぞれ接続されている。各スイッチ素子61、62、71、72は、パワーFETと呼ばれるフィールドエフェクトトランジスタで構成することもできる。
【0026】
電磁駆動要素20A、20Bの各制御コイル48は、スイッチング回路60の出力端子63と、スイッチング回路70の出力端子73との間に、互いに直列に接続されており、互いに関連して制御される。スイッチ素子62、71がOFFし、スイッチ素子61、72がONした第1の状態では、出力端子63から出力端子73に向かって、各制御コイル48に直列に電流が流れ、逆にスイッチ素子61、72がOFFし、スイッチ素子62、71がONした第2の状態では、出力端子73から出力端子63に向かって、各制御コイル48に電流が流れる。
各制御コイル48の励磁電流は、各制御コイル48に付したドットで正極を示しているように、互いに逆方向となっている。このため、直列接続された各制御コイル48に流れる電流によって、電磁駆動要素20A、20Bの一方の、例えば電磁駆動要素20Aの制御コイル48が、その固定側磁石42と同極性になり、その可動部材30に反発力(+F2)を与えるときには、他方の電磁駆動要素20Bの制御コイル48は、その固定側磁石42と逆極性になり、その可動部材30に吸引力(−F2)を与える結果となる。この場合、電磁駆動要素20Aのトータル電磁力F0は、F0=F1+F2、電磁駆動要素20Bのトータル電磁力F0は、F0=F1−F2となる。
【0027】
制御コイル48による電磁力F2の大きさを、磁力F1の大きさより小さい範囲で調整するモードでは、各電磁駆動要素20A、20Bは共に、可動部材30に反発力を与える範囲で、その反発力の大きさが互いに逆方向に調整される。
例えば、スイッチ素子61、72がONとなる第1の状態において、一方の電磁駆動要素20Aのトータル電磁力F0=F1+F2が、固定側磁石42による反発力F1を増大するときには、他方の電磁駆動要素20Bのトータル電磁力F0=F1−F2は、その固定側磁石42から可動部材30への反発力F1を減少させるように調整される。例えば、図1のアクチュエータにおいて、第1の電磁駆動要素20Aによる反発力が増大し、第2の電磁駆動要素20Bによる反発力が減少すると、アンテナ10は、回転軸13を中心に、反時計方向に回動される。また、スイッチ素子62、71がONとなる第2の状態では、逆方向の調整が行われ、アンテナ10は時計方向に回動される。このように、アンテナ10は、2つの電磁駆動要素20A、20Bの各トータル電磁力F0のバランスで、その向きまたは角度が制御されることになる。
【0028】
制御コイル48による電磁力F2の大きさを、磁力F1の大きさを超える範囲で調整するモードを採用することもできる。このモードでは、例えばスイッチ素子61、72がONとなる第1の状態において、電磁駆動要素20Aのトータル電磁力F0が、その固定側磁石42による反発力F1の2倍以上の反発力となるよう調整されるときには、他方の電磁駆動要素20Bのトータル電磁力F0は、その固定側磁石42による反発力F1と反対方向の吸引力となり、アンテナ10は反時計方向に、より大きく動かされる。また、スイッチ素子62、71がONとなる第2の状態でも、逆方向の調整が行われ、アンテナ10は大きく時計方向に動かされる。
【0029】
各電磁駆動要素20A、20Bの制御コイル48の励磁電流の大きさは、例えば各スイッチ素子のON/OFF時間比率を変化させることによっても調整される。例えば、スイッチ素子61、72がONする第1の状態について、その単位時間にこれらのスイッチ素子61、72がONする比率が変化させられると、そのON/OFF時間比率に応じた大きさの励磁電流が各制御コイル48に供給される。同様に、スイッチ素子62、71がONとなる第2の状態において、これらのスイッチ素子62、71の単位時間当たりのON/OFF時間比率を調整することにより、励磁電流の大きさが変えられる。これらのON/OFF時間比率の調整は、各スイッチ素子のベースへの駆動パルスの幅を変えることによって行われる。
【0030】
実施の形態1のアンテナ駆動装置は、一対の電磁駆動要素20A、20Bの各制御コイル48の励磁電流のバランスにより、アンテナ10の角度を制御するものであり、オープン制御で制御可能であるが、アクチュエータを高速で駆動する場合には、センサ16からの信号によって制御コイル48をフィードバック制御する。このフィードバック制御は、各スイッチ素子61、62、71、72のベース駆動電流を制御することによって行われる。
【0031】
図3は、実施の形態1によるアンテナ駆動装置の制御系の構成を示す概略図である。この図において、符号101はアンテナ10の振り角を規制するためのストッパであり、16はアンテナ10の位置、即ち振り角に応じた出力を生ずるセンサである。このセンサ16は、例えば、磁気を利用した磁気センサであり、その出力信号はセンサ信号リード線102を経由して入力インターフェース回路107に与えられる。入力インターフェース回路107に読み込まれたセンサ出力信号は、バス111を経てCPU110へと送られる。同様にして、制御コイル48に流れる実電流値も、実電流リード線103を介して入力インターフェース回路107に取り込まれ、バス111を経てCPU110に読み込まれる。
【0032】
上述のように、この実施の形態によるアンテナ駆動装置は、一対の電磁駆動要素20A、20Bの各制御コイル48に流れる励磁電流のバランスによって制御されるが、制御コイル48はコイルリード線48aにより、図2に示す励磁回路を含む出力インターフェース回路106へと接続されている。この出力インターフェース回路106は、バス111によりCPU110へと接続されている。
アンテナ10を所定の振り角まで駆動させるために必要な電流値、即ち目標電流をCPU110で決定し、その目標電流値にもとづいて、出力インターフェース回路106に含まれる励磁回路を構成するトランジスタ61、62、71、72のON/OFF時間比率(Duty)を変化させることによって、アンテナ10の角度制御を行うものである。
【0033】
この実施の形態によるアンテナ駆動装置は、また、アンテナ10の駆動制御及び後述する故障検出処理に必要なデータを取り扱うために、RAM108及びROM109を備えており、これらRAM108、ROM109、及び出力インターフェース回路106、入力インターフェース回路107、CPU110は、バス111によって接続されている。なお、電源は、電源回路105により供給される。また、104は後述する故障検出処理をCPU110内で行った結果を出力する際、出力インターフェース回路106を介して警報を発するスピーカである。
【0034】
次に、この実施の形態によるアンテナ駆動装置の駆動制御処理内容を、図4に示すメインルーチンのフローチャートを用いて説明する。
まず、駆動制御の概要について説明する。メインルーチンでは、まず初期化処理を行う。その後、入力処理、角度制御処理、故障検出処理及び出力処理を行うが、これらの処理は1ms毎に行い、200msを1周期とする。この実施の形態における角度制御処理では、センサ16の出力値にもとづいてフィードバックを行うことにより、制御コイル48に流す目標電流値を指定する。即ち、1周期分のアンテナ10の振り角が図14(a)に示すように設定されており、この1周期分のアンテナ10の目標振り角が1ms刻みでスケジューリングされていて、これとセンサ16の出力値とにもとづいてフィードバック制御を行うことで目標電流を図14(b)に示すように設定している。
【0035】
次に、この実施の形態で使用される変数及び定数について説明する。
iは、1周期分がスケジューリングされている目標振り角にもとづいて設定される目標電流値のカウンタを表す変数であり、RAM108に格納される。
z_FStageは、故障検出処理でのモードを表す変数であり、RAM108に格納される。
z_TWaitは、制御カウンタを表す変数であり、RAM108に格納される。
x_iMaxは、目標電流カウンタiの最大値を表す定数であり、ROM109に格納される。
z_Aglは、アンテナ10の振り角値に相当するセンサ16の出力値を表す変数であり、RAM108に格納される。
z_Crntは、制御コイル48に流れる実電流値を表す変数であり、RAM108に格納される。
x_TgtCrnt[i]は、1周期分がスケジューリングされた目標振り角にもとづいて決定されている目標電流値を表す定数であり、ROM109に格納される。
z_TgtCrntは、制御コイル48に流す目標電流値を表す変数であり、RAM108に格納される。
x_TgtCrntは、アンテナ10をストッパ101に当接させるに十分な目標電流値を表す定数であり、ROM109に格納される。
x _TWaitは、アンテナ10をストッパ101に当接させるに十分な時間を表す定数であり、ROM109に格納される。
z_AglStpは、ストッパ101に当接した状態でのセンサ16の出力値を代入するための変数であり、RAM108に格納される。
x_AglStpは、故障判定を行う際に使用するため、故障していない正常状態でストッパ101に当接した状態でのセンサ16の出力値を表す定数で、ROM109に格納される。
x_DifAglは、故障の有無判定のために設定されるセンサ16の出力値の差分値を表す定数であり、ROM109に格納される。
z_FTrblは、故障の有無の判定結果を表す変数であり、RAM108に格納される。
z_Dutyは、目標電流値にもとづいて出力インターフェース回路106で設定されるDutyを表す変数であり、RAM108に格納される。
【0036】
次に、駆動制御の手順を図4のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップ401で上述のRAM108の内容及び入出力ポートの初期化処理を行う。次に、ステップ402で目標電流カウンタiを0にリセットする。
なお、目標電流カウンタiは、0〜199の200カウントとする。
次いで、ステップ403で、故障検出処理において、実行する処理毎のモードを設定し、モード番号z_FStageで識別するが、このモード番号z_FStageを初期化するために1とする。続いて、ステップ404で処理実行周期であることの判定を行う。この実施の形態では、1ms毎に入力処理、角度制御処理、故障検出処理、出力処理を行うようにしている。制御周期であればステップ405へ移行し、そうでなければステップ404を再度実行する。
ステップ405では、電源投入直後より動作を開始する制御カウンタz_TWaitを設定し、1ms毎にカウントアップさせる。次回分処理の準備として、この制御カウンタz_TWaitを+1する。
【0037】
その後、ステップ406で入力処理を行う。処理内容については後述する。
次に、ステップ407でモード番号z_FStageが3かどうかを判定する。3であれば、続いて角度制御処理を行うためにステップ408へ移行し、そうでなければ角度制御処理を行わずにステップ409へ移行する。
ステップ408では、角度制御処理を行う。処理内容については後述する。
また、ステップ409では、故障検出処理を行う。処理内容については後述する。続いて、ステップ410で出力処理を行う。処理内容については後述する。
次いで、ステップ411で次回分処理の準備として、目標電流カウンタiを+1する。続いて、ステップ412で予めスケジューリングされた1周期が完了したことの判定を行う。目標電流カウンタiと目標電流カウンタ最大値x_iMaxとを比較し、目標電流カウンタiが目標電流カウンタ最大値x_iMaxより大きいならば1周期分完了と判定し、目標電流カウンタiをリセットするためにステップ413へ移行し、そうでなければステップ404へ戻る。
ステップ413では、目標電流値が予め設定された処理1周期分の末尾まで到達したので、目標電流カウンタiを0にリセットする。
【0038】
次に、上述したステップ406の入力処理の手順を図5に示すフローチャートを用いて説明する。入力処理は、200msを1周期として1ms毎に行われる。
まず、ステップ501でセンサ16より出力されるアンテナ10の振り角値を読み込み、アンテナ角度z_Aglに代入する。次に、ステップ502で制御コイル48に流れる電流値を入力インターフェース回路107を介することで取得し、この値を、実電流z_Crntに代入する。
【0039】
次に、上述したステップ408の角度制御処理の手順を図6に示すフローチャートを用いて説明する。角度制御処理は、200msを1周期として1ms毎に行われる。1周期分のアンテナ10の目標振り角は、図14(a)に示すように横軸を1ms刻みとし(ただし、0、100、200以外の目盛りは図示していない)、それぞれに対応する振り角を縦軸にセットする形でスケジューリングされており、これとセンサ16の出力値にもとづいてフィードバック制御を行うことにより、図14(b)に示すように、目標電流値が設定される。この目標電流値に対応する電流を制御コイル48に与えることで、角度制御が行われる。即ち、ステップ601に示すように、目標振り角のiカウント目に対応する目標電流値x_TgtCrnt[i]を、目標電流z_TgtCrntに代入するものである。
【0040】
次に、上述したステップ409の故障検出処理の手順を図7に示すフローチャートを用いて説明する。故障検出処理は、ストッパ101にアンテナ10を当接した際のセンサ16の出力値をROM109に記憶された値と比較することで行う。具体的には、指示した目標電流を制御コイル48に与えるモード1、アンテナ10がストッパ101に当接して静定した時点で故障の有無判定を行うモード2及び故障検出処理が完了済みであるモード3より構成される。なお、この実施の形態における故障検出処理は、電源投入直後に行われるものである。
まず、ステップ701でモード番号z_FStage=1であることを確認する。これは故障検出処理における第1の段階で、指示した目標電流にもとづきアンテナ10を指定角度まで駆動させる処理である。モード番号z_FStageが1ならば、ステップ702へ移行してステップ704までの作業を行う。そうでなければ、ステップ705へ移行する。
【0041】
ステップ702ではアンテナ10がストッパ101に当接するために十分な電流x_TgtCrntを目標電流z_TgtCrntに代入する。次いで、ステップ703で目標電流印加後の経過時間を把握するために、図4のステップ405で+1している制御カウンタz_TWaitを0にリセットする。次に、ステップ704で次のモードへ移行するために、モード番号z_FStageを2とする。
ステップ705ではモード番号z_FStage=2であることを確認する。これは故障検出処理における第2の段階で、指定角度でアンテナ10が静定した状態でのセンサ16の出力値にもとづいて故障の有無判定を行う処理である。モード番号z_FStageが2ならば、ステップ706へ移行し、そうでなければ、即ち第3の段階ならば、故障検出処理がすでに完了されているとして本故障検出処理を終了する。
【0042】
ステップ706ではアンテナ10が指定角度で静定していることの判定を行う。制御カウンタz_TWaitが、アンテナ10がストッパ101に当接するのに十分な時間x_TWaitより大きいならば、ステップ707へ移行し、そうでなければ、本故障検出処理を終了する。ステップ707ではストッパ101に当接した状態でのアンテナ角度を記憶する。アンテナ角度値z_Aglを当接角度値としてz_AglStpに代入する。続いてステップ708で故障個所の有無判定を行う。
当接角度z_AglStpと、予めROM109に記憶されたストッパ101に当接した状態でのアンテナ角度x_AglStpとの差分値を算出する。この差分値が所定範囲x_DifAglを超えているならば、ステップ709へ移行し、そうでなければ、ステップ711へ移行する。ステップ709では故障個所有りとして、故障検出フラグz_FTrblを1とし、ステップ710で故障個所を推定する処理を行う。
また、ステップ711では故障個所なしとして、故障検出フラグz_FTrblを0とする。次に、ステップ712では故障検出処理が完了したとして、モードを第3の段階へ移行させるため、モード番号z_FStageを3とする。
【0043】
次に、上述したステップ410の出力処理の手順を図8に示すフローチャートを用いて説明する。出力処理は、故障検出処理の結果を出力し、また、最終的に制御コイル48に流す電流を設定するものである。
まず、ステップ801で故障検出処理の結果にもとづき、移行すべきステップを選択する。故障検出フラグが1、即ち故障個所有りと判定されたならば、ステップ802へ移行し、そうでなければ、ステップ804へ移行する。
ステップ802ではアンテナ10の駆動制御を停止させるために、目標電流z_TgtCrntを0とする。次いで、ステップ803で故障を検出したことを、スピーカ104を使用して警報を発することにより外部に出力する。ステップ804では指示された目標電流z_TgtCrntにもとづき、制御コイル48に流すDuty値z_Dutyを決定する。次に、ステップ805でステップ804において設定されたDuty値z_Dutyを出力する。
【0044】
実施の形態1は以上のように構成され、故障検出処理は、電源投入直後にアンテナをストッパ101に当接させて、その際のセンサ16の出力値をROM109に記憶された値と比較し、その差分値が所定範囲外ならば故障個所有りと判定して、その判定結果をスピーカにより警報として外部に出力するものである。
従って、この実施の形態によれば、アンテナ駆動装置自身の異常制御を事前に防ぐことができ、また、その故障検出結果を外部に知らせることにより、本アンテナ駆動装置を使用する他の装置あるいはユーザーに2次的な故障や被害が及ぶことを防止することができるものである。
【0045】
故障検出結果の出力手段に関して、実施の形態1では故障の検出結果をスピーカにより警報を発生する例を示したが、これに限られるものではなく、故障の検出結果を視覚的に表示するもの、あるいは本アンテナ駆動装置とシリアル通信をはじめとする通信線により接続された機器へ故障の検出結果を伝達することにより外部に知らせるものであってもよい。
【0046】
また、実施の形態1は、電源投入直後に故障検出処理を行うものであったが、アクチュエータの制御を停止することが許される任意のタイミングにおいて故障検出処理を実施しても同様な効果が期待できる。
【0047】
また、実施の形態1では、アンテナ駆動装置の励磁回路を図2に示すような形態としたが、別の形態として図9に示すようなものでもよい。図9に示す励磁回路は、各電磁駆動要素20A、20Bの制御コイル48が、スイッチング回路60、70の出力端子63、73の間に、互いに並列に接続され、図2に示す励磁回路と同様に、互いに関連して、互いに逆極性の電磁力F2をそれぞれの電磁駆動要素20A、20Bに与えるように制御されるものである。
【0048】
さらに、図10に示すような励磁回路にすることもできる。図10に示す励磁回路は、各電磁駆動要素20A、20Bの制御コイル48が、互いに独立した励磁回路80A、80Bによって励磁される。電磁駆動要素20Aの制御コイル48は、励磁回路80Aによって、また、電磁駆動要素20Bの制御コイル48は、励磁回路80Bによって励磁される。励磁回路80A、80Bは、電源端子E1、E2の間に、互いに並列に接続され、それぞれ図2、図9と同様に、一対のスイッチング回路60、70を含む形で構成されている。
電磁駆動要素20Aの制御コイル48は、励磁回路80Aの各スイッチング回路60、70の出力端子63、73の間に接続され、電磁駆動要素20Bの制御コイル48は、励磁回路80Bの各スイッチング回路60、70の出力端子63、73の間に接続されている。このような回路構成とすることにより、各電磁駆動要素20A、20Bの制御コイル48を、互いに独立した方向、大きさの励磁電流で励磁することができ、各駆動要素で独立した電磁力をアンテナ10に与えることができる。
【0049】
さらに、また、励磁回路は、図11に示すような構成とすることもできる。
図11に示す励磁回路は、各電磁駆動要素20A、20Bの制御コイル48を、それぞれ1つのパワートランジスタ91A、91Bによって互いに独立して励磁するものである。この励磁回路構成は、最も簡単なものであり、各制御コイル48の励磁電流の大きさは、各トランジスタ91A、91BのON/OFF時間比率を変えることにより、制御することができるが、励磁電流の方向は変えることができない。
【0050】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2を図にもとづいて説明する。基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、故障検出処理の方法が実施の形態1とは異なる。
まず、この実施の形態の故障検出処理の概要について説明する。即ち、複数点のアンテナ振り角位置を予め設定しておき、これら複数の振り角位置をデータ取得ポイントとして、各取得ポイントで取得したデータにもとづいて電流−角度特性を算出し、これをROM109に記憶された値と比較することで行う。
なお、この実施の形態では、データ取得ポイントはx_NChar個とし、そのカウンタをnとする。故障検出処理は、データ取得ポイントまでアンテナ10を駆動させるために目標電流を制御コイル48に与えるモード1、指示した位置でアンテナ10が静定した時点でデータを取得し、全ての取得ポイントでデータの取得が完了した時点で電流−角度特性を算出し、故障の有無判定を行うモード2、及び本故障検出処理が完了済みであるモード3より構成される。
【0051】
次に、この実施の形態で使用される変数及び定数について説明する。
z_FStageは、故障検出処理でのモードを表す変数であり、RAM108に格納される。
x_TgtCrntCtrl[n]は、データ取得ポイントまでアンテナ10を駆動させる上で必要となる目標電流値を表す定数であり、ROM109に格納される。
z_TgtCrntは、制御コイル48に流す目標電流値を表す変数であり、RAM108に格納される。
z_TWaitは、制御カウンタを表す変数であり、RAM108に格納される。
x_TWaitは、所定のデータ取得ポイントでアンテナ10が静定するために十分な時間を表す定数であり、ROM109に格納される。
z_Aglは、アンテナ10の振り角値に相当するセンサ16の出力値を表す変数であり、RAM108に格納される。
z_AglChar[n]は、所定のデータ取得ポイントでのアンテナ角度を表す変数であり、RAM108に格納される。
z_CrntChar[n]は、所定のデータ取得ポイントでの電流値を表す変数であり、RAM108に格納される。
nは、電流−角度特性を算出する上で必要となるデータの取得カウンタを表す変数であり、RAM108に格納される。
x_NCharは、電流−角度特性を算出する上で必要となるデータ取得ポイント数を表す定数であり、ROM109に格納される。
z_Charは、電流−角度特性を表す変数であり、RAM108に格納される。
x_Charは、故障判定を行う際に使用する電流−角度特性のしきい値を表す定数であり、ROM109に格納される。
x_DifCharは、故障の有無判定のために設定される電流−角度特性の差分値を表す定数であり、ROM109に格納される。
z_FTrblは、故障の有無の判定結果を表す変数であり、RAM108に格納される。
【0052】
次に、この実施の形態の故障検出処理の手順を図12のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップ1201でモード番号z_FStage=1であることを確認する。これは故障検出処理における第1の段階で、指示した目標電流にもとづきアンテナ10を指定角度まで駆動させる処理である。モード番号z_FStageが1ならば、ステップ1202へ移行し、そうでなければ、ステップ1205へ移行する。ステップ1202では電流−角度特性を算出するために、複数用意されたデータ取得ポイントまでアンテナ10を駆動させる必要があり、これら所定の角度まで駆動させるために、予め目標電流を指定値として用意しておく。
この目標電流指定値x_TgtCrnt[n]はデータ取得ポイント数分x_NChar個用意され、nはそのカウンタである。予め定められた所定角度までアンテナ10を駆動させるために、この目標電流指定値x_TgtCrnt[n]を目標電流z_TgtCrntに代入する。次に、ステップ1203で目標電流印加後の経過時間を把握するために、図4のステップ405で+1している制御カウンタz_TWaitを0にリセットする。次いで、ステップ1204で次のモードへ移行するために、モード番号z_FStageを2とする。
【0053】
ステップ1205ではモード番号z_FStage=2であることを確認する。これは故障検出処理における第2の段階で、所定のデータ取得ポイントでアンテナ10が静定した状態での電流値及び角度値を取得し、それらデータがx_NChar個揃った時点で故障の有無判定を行う処理である。モード番号z_FStageが2ならば、ステップ1206へ移行し、そうでなければ、即ち第3の段階ならば、故障検出処理がすでに完了されているとして本故障検出処理を終了する。
ステップ1206ではアンテナ10が所定のデータ取得ポイントで静定していることの判定を行う。制御カウンタz_TWaitが、アンテナ10が指定角度で安定するために十分な時間x_TWaitより大きいならば、ステップ1207へ移行し、そうでなければ、本故障検出処理を終了する。
【0054】
ステップ1207では所定のデータ取得ポイントでのアンテナ10の角度値を記憶する。アンテナ角度z_Aglを、取得角度値z_AglChar[n]に代入する。
続いて、ステップ1208で所定のデータ取得ポイントでの電流値を記憶する。この実施の形態では、目標電流値を電流値として使用するため、目標電流z_TgtCrntを、取得電流値z_CrntChar[n]に代入する。
次に、ステップ1209で次回分処理の準備として、データ取得カウンタnを+1する。その後、ステップ1210でデータの取得が完了したことの判定を行う。データ取得カウンタnがデータ取得ポイント数x_NCharより大きいならば、データ取得完了としてステップ1211へ移行し、そうでなければ、ステップ1212へ移行する。
【0055】
ステップ1211では取得した電流値z_CrntChar[n]及び角度値z_AglChar[n]より電流−角度特性の連立方程式を作成する。この連立方程式を解くことで、電流−角度特性z_Charを求める。ステップ1212では次回分処理の準備として、故障検出処理のモードを第1段階に戻すために、モード番号z_FStageを1とする。ステップ1213では故障個所の有無判定を行う。
電流−角度特性z_Charと予めROM109に記憶された電流−角度特性x_Charとの差分値を算出する。その差分値が所定の範囲x_DifCharを超えているならばステップ1214へ移行し、そうでなければ、ステップ1216へ移行する。ステップ1214では故障個所有りとして、故障検出フラグz_FTrblに1を代入する。続いて、ステップ1215で故障個所を推定する処理を行う。
ステップ1216では故障個所なしとして、故障検出フラグz_FTrblに0を代入する。その後、ステップ1217で故障検出処理が完了したとして、モードを第3の段階へ移行させるため、モード番号z_FStageを3とする。
【0056】
実施の形態2は以上のように構成され、故障検出処理は、予め設定した複数のデータ取得ポイントにおいて目標電流値及び角度値を取得し、それらにもとづいて作成した連立方程式を解くことで電流−角度特性を算出し、それをROMに記憶していた値と比較して、その差分値が所定範囲外ならば故障個所有りと判定するものである。従って、この実施の形態によれば、実施の形態1と同様な効果を期待することができる。
【0057】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3を図にもとづいて説明する。基本的な構成は実施の形態1及び2と同様であるが、故障検出処理の方法が上記両実施の形態とは異なる。まず、この実施の形態の故障検出処理の概要について説明する。即ち、1周期200msで制御が行われるアンテナ駆動装置の駆動制御中において、予め複数設定されたデータ取得ポイントでの電流値及び角度値にもとづいて電流−角度特性を算出し、これをROM109に記憶された値と比較するようにしたものである。なお、電流−角度特性の算出及び故障検出処理は、1周期完了後に行われる。
【0058】
次に、この実施の形態で使用される変数及び定数について説明する。
z_FStageは、故障検出処理でのモードを表す変数であり、RAM108に格納される。
nは、電流−角度特性を算出する上で必要となるデータの取得カウンタを表す変数であり、RAM108に格納される。
x_NCharは、電流−角度特性を算出する上で必要となるデータ取得ポイント数を表す定数であり、ROM109に格納される。
iは、1周期分がスケジューリングされている目標振り角にもとづいて設定される目標電流値のカウンタを表す変数であり、RAM108に格納される。
x_CharCnt[n]は、1周期中、即ち目標電流カウンタiの0〜199カウントの間に複数点用意されたデータ取得ポイントを表す定数であり、ROM109に格納される。
z_Aglは、アンテナ10の振り角値に相当するセンサ16の出力値を表す変数であり、RAM108に格納される。
z_AglChar[n]は、所定のデータ取得ポイントでのアンテナ角度を表す変数であり、RAM108に格納される。
x_TgtCrnt[i]は、1周期分がスケジューリングされた目標振り角にもとづいて決定されている目標電流値を表す定数であり、ROM109に格納される。
z_CrntChar[n]は、所定のデータ取得ポイントでの電流値を表す変数であり、RAM108に格納される。
x_iMaxは、目標電流カウンタiの最大値を表す定数であり、ROM109に格納される。
z_Charは、電流−角度特性を表す変数であり、RAM108に格納される。
x_Charは、電流−角度特性を表す定数であり、ROM109に格納される。
x_DifCharは、故障の有無判定のために設定される電流−角度特性の差分値を表す定数であり、ROM109に格納される。
z_FTrblは、故障の有無の判定結果を表す変数であり、RAM108に格納される。
【0059】
次に、この実施の形態の故障検出の処理の手順を図13のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップ1301でモード番号z_FStageが3であることを確認する。モード番号z_FStageが3、即ち故障検出処理の第3の段階にあるならば、ステップ1302へ移行し、そうでなければ、本故障検出処理を終了する。ステップ1302では変数nについて、初期値0、増分1、制限値x_NCharとしてループさせる。このx_NCharは、電流−角度特性を算出する上で必要となる電流値及び角度値の取得個数であり、nはそのカウンタである。
次に、ステップ1303で目標電流カウンタiがデータ取得ポイントx_CharCnt[n]と一致するかどうかを判定する。この実施の形態は、アンテナ駆動制御中において、予め定められたデータ取得ポイントx_CharCnt[n]時での電流値及び角度値を取得するのが特徴であるため、目標電流カウンタiがデータ取得ポイントx_CharCnt[n]と一致するならば、ループ1を抜けてステップ1304へ移行する。そうでなければ、ステップ1302のループ1を制限値x_NCharまで繰り返し行う。
【0060】
ステップ1304では所定のデータ取得ポイントでのアンテナ10の角度値を記憶する。アンテナ角度z_Aglを、取得角度値z_AglChar[n]に代入する。
次に、ステップ1305で所定のデータ取得ポイントでの電流値を記憶する。
なお、この実施の形態では、目標電流を電流値として使用するため、目標電流z_TgtCrntを、取得電流値z_CrntChar[n]に代入する。
続いて、ステップ1306で予めスケジューリングされたアンテナ駆動制御1周期が完了したことの判定を行う。目標電流カウンタiと目標電流カウンタ最大値x_iMaxを比較し、両者が一致するならば、ステップ1307へ移行し、そうでなければ、ステップ1311へ移行する。
ステップ1307では取得した電流値z_CrntChar[n]及び角度値z_AglChar[n]より電流−角度特性の連立方程式を作成する。この連立方程式を解くことで、電流−角度特性z_Charを求める。次いで、ステップ1308で故障個所の有無判定を行う。電流−角度特性z_Charと予めROM109に記憶された電流−角度特性x_Charとの差分値を算出する。その差分値が所定の範囲x_DifCharを超えているならばステップ1309へ移行し、そうでなければ、ステップ1311へ移行する。ステップ1309では故障個所有りとして、故障検出フラグz_FTrblに1を代入する。続いて、ステップ1310で故障個所を推定する処理を行う。
ステップ1311では故障個所なしとして、故障検出フラグz_FTrblに0を代入する。
【0061】
実施の形態3は以上のように構成され、故障検出処理は、アクチュエータの駆動制御中において、予め設定した複数のデータ取得ポイントで取得した目標電流値及び角度値にもとづいて連立方程式を作成し、それを解くことで電流−角度特性を算出し、その結果とROMに記憶された値とを比較して、その差分値が所定範囲外ならば故障個所有りと判定するものである。
従って、この実施の形態によれば、実施の形態1と同様な効果を期待することができると共に、アクチュエータ駆動中に故障の有無判定を行うので、故障検出することを目的としてアクチュエータ駆動を無駄に停止させる必要がない。
【0062】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4について説明する。
この実施の形態は、実施の形態2または3の故障検出処理において、電流−角度特性を算出するために電流値として使用した目標電流を、インターフェース回路を介して取得した制御コイルに流れる実電流としたものである。
故障検出処理は、予め設定された複数ポイントで取得した実電流値及び角度値にもとづいて電流−角度特性を算出し、それをROM109に記憶された値と比較して、その差分値が所定範囲外ならば故障個所有りと判定する。
従って、この実施の形態によれば、実施の形態1と同様な効果を期待することができると共に、電流−角度特性を算出する上で実電流を使用する構成となっているために、実施の形態2及び3のように、目標電流を使用する場合と比較して、より正確な特性値を得ることができるものである。
【0063】
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5について説明する。この実施の形態は、実施の形態2または3にの故障検出処理において、連立方程式を解くことで電流−角度特性を算出することに代えて、最小二乗法を用いて電流−角度特性を算出するようにしたものである。算出された電流−角度特性と、ROMに記憶された値とを比較し、その差分値が所定範囲外ならば故障個所有りと判定する。
従って、この実施の形態によれば、実施の形態1と同様な効果を期待することができると共に、電流−角度特性を算出する際に最小二乗法を用いるため、実施の形態2及び3のように、連立方程式を解く場合と比較して、より正確な特性値を算出することができるものである。
【0064】
【発明の効果】
この発明に係るアンテナ駆動装置は、固定部材に回動可能に軸支されたアンテナと、このアンテナに固定された可動側磁石と、この可動側磁石に対向して上記固定部材に設けられ上記可動側磁石に所定の磁力を与える固定側磁石と、上記可動側磁石と固定側磁石の中間部に配設されたコア及び制御コイルを有し、上記制御コイルへの通電状態を制御することにより上記可動側磁石に対する磁力を制御して上記アンテナの回動量を制御する電磁石と、上記アンテナに設けられ、上記アンテナの振り角に応じた出力を生ずるセンサとを備えたものであるため、可動部材を軽量化することができ、かつ制御コイルの巻回数や線径に制約を受けることがなく、アンテナの回動に対する制御性を向上することができる。
【0065】
この発明に係るアンテナ駆動装置は、また、上記アンテナの振り角の範囲を規制するストッパと、上記制御コイルの目標電流を設定し、目標電流に向けて上記制御コイルの電流を制御するインターフェース回路と、上記目標電流を操作して上記アンテナの振り角を制御する手段と、上記アンテナの正常動作時に上記目標電流を操作して上記アンテナを上記ストッパに当接させ、当接時における上記センサの出力値を予め不揮発性メモリに記憶させる手段と、上記アンテナの動作時に上記アンテナが上記ストッパに当接した時の上記センサの出力値を揮発性メモリに記憶させる手段と、上記揮発性メモリ及び不揮発性メモリに記憶された上記センサの出力値を比較し、その差にもとづいて故障の有無及び故障時における故障個所を推定する故障個所推定手段とを備えたものであるため、アンテナ駆動装置自身の故障を事前に検出することができ、効果的に防止することができる。
【0066】
この発明に係るアンテナ駆動装置は、また、上記制御コイルの目標電流を複数個設定し、指定された目標電流に向けて上記制御コイルの電流を制御するインターフェース回路と、上記目標電流を操作して上記アンテナの振り角を制御する手段と、上記アンテナの正常動作時に各目標電流に対応した上記アンテナの振り角における上記センサの出力値をそれぞれ求め、各振り角に対応したセンサの出力値と目標電流とにもとづいて電流−角度特性を算出し、初期値として不揮発性メモリに記憶させる手段と、指定された目標電流に対応した上記アンテナの振り角における上記センサの出力値を、各目標電流について求め、それぞれの目標電流と共に揮発性メモリに記憶させる特性元データ記憶手段と、上記揮発性メモリに記憶されたセンサの出力値と目標電流とにもとづいて電流−角度特性を算出する電流−角度特性算出手段と、上記電流−角度特性算出手段によって算出された電流−角度特性と上記初期値とを比較し、その差にもとづいて故障の有無及び故障時における故障個所を推定する故障個所推定手段とを備えたものであるため、的確な故障検出が可能となるものである。
【0067】
この発明に係るアンテナ駆動装置は、また、上記制御コイルの目標電流を複数個設定し、指定された目標電流に向けて上記制御コイルの電流を制御すると共に、上記制御コイルに流れる実電流を検出するインターフェース回路と、上記目標電流を操作して上記アンテナの振り角を制御する手段と、上記アンテナの正常動作時に各目標電流に対応した上記アンテナの振り角における上記センサの出力値をそれぞれ求め、各振り角に対応したセンサの出力値と上記制御コイルに流れる実電流とにもとづいて電流−角度特性を算出し、初期値として不揮発性メモリに記憶させる手段と、指定された目標電流に対応した上記アンテナの振り角における上記センサの出力値を、各目標電流について求め、各振り角時に制御コイルに流れる実電流と共に揮発性メモリに記憶する特性元データ記憶手段と、上記揮発性メモリに記憶されたセンサの出力値と実電流とにもとづいて電流−角度特性を算出する電流−角度特性算出手段と、上記電流−角度特性算出手段によって算出された電流−角度特性と上記初期値とを比較し、その差にもとづいて故障の有無及び故障時における故障個所を推定する故障個所推定手段とを備えたものであるため、より正確な故障検出が可能となるものである。
【0068】
この発明に係るアンテナ駆動装置は、また、上記電流−角度特性算出手段が、予め設定した複数のデータ取得ポイントにおいて取得されたアンテナの振り角及び目標電流値または実電流値を構成要素とした複数の多項式にもとづいて連立方程式を構成すると共に、上記連立方程式を解くことにより電流−角度特性を算出するようにしたものであるため、容易に電流−角度特性を得ることができる。
【0069】
この発明に係るアンテナ駆動装置は、また、上記電流−角度特性算出手段が、予め設定した複数のデータ取得ポイントにおいて取得されたアンテナの振り角及び目標電流値または実電流値にもとづいて最小二乗法を用いて電流−角度特性を算出するようにしたものであるため、より正確な電流−角度特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるアンテナ駆動装置の構成を示す概略図である。
【図2】 実施の形態1による電磁駆動要素の制御コイルに対する励磁回路を示す回路図である。
【図3】 実施の形態1によるアンテナ駆動装置の制御系の構成を示す概略図である。
【図4】 実施の形態1におけるメインルーチンのフローチャートである。
【図5】 実施の形態1における入力処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】 実施の形態1における角度制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】 実施の形態1における故障検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】 実施の形態1における出力処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】 実施の形態1によるアンテナ駆動装置の励磁回路の他の例を示す回路図である。
【図10】 実施の形態1によるアンテナ駆動装置の励磁回路の更に他の例を示す回路図である。
【図11】 実施の形態1によるアンテナ駆動装置の励磁回路の更に他の例を示す回路図である。
【図12】 この発明の実施の形態2における故障検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】 この発明の実施の形態3における故障検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】 この発明の実施の形態1によるアンテナ駆動装置のアンテナ振り角及び目標電流の設定状態を示す説明図である。
【図15】 従来のアンテナ駆動装置の構成を示す概略図である。
【図16】 従来の他のアンテナ駆動装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
10 アンテナ、 16 センサ、 20A、20B 電磁駆動要素、
30 可動部材、 32 可動側磁石、 40 固定部材、
42 固定側磁石、 46 コア、 48 制御コイル。

Claims (8)

  1. 固定部材に回動可能に軸支されたアンテナと、このアンテナに固定された可動側磁石と、この可動側磁石に対向して上記固定部材に設けられ上記可動側磁石に所定の磁力を与える固定側磁石と、上記可動側磁石と固定側磁石の中間部に配設されたコア及び制御コイルを有し、上記制御コイルへの通電状態を制御することにより上記可動側磁石に対する磁力を制御して上記アンテナの回動量を制御する電磁石と、上記アンテナに設けられ、上記アンテナの振り角に応じた出力を生ずるセンサと、上記アンテナの振り角の範囲を規制するストッパと、上記制御コイルの目標電流を設定し、目標電流に向けて上記制御コイルの電流を制御するインターフェース回路と、上記目標電流を操作して上記アンテナの振り角を制御する手段と、上記アンテナの正常動作時に上記目標電流を操作して上記アンテナを上記ストッパに当接させ、当接時における上記センサの出力値を予め不揮発性メモリに記憶させる手段と、上記アンテナの動作時に上記アンテナが上記ストッパに当接した時の上記センサの出力値を揮発性メモリに記憶させる手段と、上記揮発性メモリ及び不揮発性メモリに記憶された上記センサの出力値を比較し、その差にもとづいて故障の有無及び故障時における故障個所を推定する故障個所推定手段とを備えたアンテナ駆動装置。
  2. 固定部材に回動可能に軸支されたアンテナと、このアンテナに固定された可動側磁石と、この可動側磁石に対向して上記固定部材に設けられ上記可動側磁石に所定の磁力を与える固定側磁石と、上記可動側磁石と固定側磁石の中間部に配設されたコア及び制御コイルを有し、上記制御コイルへの通電状態を制御することにより上記可動側磁石に対する磁力を制御して上記アンテナの回動量を制御する電磁石と、上記アンテナに設けられ、上記アンテナの振り角に応じた出力を生ずるセンサと、上記制御コイルの目標電流を複数個設定し、指定された目標電流に向けて上記制御コイルの電流を制御するインターフェース回路と、上記目標電流を操作して上記アンテナの振り角を制御する手段と、上記アンテナの正常動作時に各目標電流に対応した上記アンテナの振り角における上記センサの出力値をそれぞれ求め、各振り角に対応したセンサの出力値と目標電流とにもとづいて電流−角度特性を算出し、初期値として不揮発性メモリに記憶させる手段と、指定された目標電流に対応した上記アンテナの振り角における上記センサの出力値を、各目標電流について求め、それぞれの目標電流と共に揮発性メモリに記憶させる特性元データ記憶手段と、上記揮発性メモリに記憶されたセンサの出力値と目標電流とにもとづいて電流−角度特性を算出する電流−角度特性算出手段と、上記電流−角度特性算出手段によって算出された電流−角度特性と上記初期値とを比較し、その差にもとづいて故障の有無及び故障時における故障個所を推定する故障個所推定手段とを備えたアンテナ駆動装置。
  3. 固定部材に回動可能に軸支されたアンテナと、このアンテナに固定された可動側磁石と、この可動側磁石に対向して上記固定部材に設けられ上記可動側磁石に所定の磁力を与える固定側磁石と、上記可動側磁石と固定側磁石の中間部に配設されたコア及び制御コイルを有し、上記制御コイルへの通電状態を制御することにより上記可動側磁石に対する磁力を制御して上記アンテナの回動量を制御する電磁石と、上記アンテナに設けられ、上記アンテナの振り角に応じた出力を生ずるセンサと、上記制御コイルの目標電流を複数個設定し、指定された目標電流に向けて上記制御コイルの電流を制御すると共に、上記制御コイルに流れる実電流を検出するインターフェース回路と、上記目標電流を操作して上記アンテナの振り角を制御する手段と、上記アンテナの正常動作時に各目標電流に対応した上記アンテナの振り角における上記センサの出力値をそれぞれ求め、各振り角に対応したセンサの出力値と上記制御コイルに流れる実電流とにもとづいて電流−角度特性を算出し、初期値として不揮発性メモリに記憶させる手段と、指定された目標電流に対応した上記アンテナの振り角における上記センサの出力値を、各目標電流について求め、各振り角時に制御コイルに流れる実電流と共に揮発性メモリに記憶する特性元データ記憶手段と、上記揮発性メモリに記憶されたセンサの出力値と実電流とにもとづいて電流−角度特性を算出する電流−角度特性算出手段と、上記電流−角度特性算出手段によって算出された電流−角度特性と上記初期値とを比較し、その差にもとづいて故障の有無及び故 障時における故障個所を推定する故障個所推定手段とを備えたアンテナ駆動装置。
  4. 上記電流−角度特性算出手段は、予め設定した複数のデータ取得ポイントにおいて取得されたアンテナの振り角及び目標電流値または実電流値を構成要素とした複数の多項式にもとづいて連立方程式を構成すると共に、上記連立方程式を解くことにより電流−角度特性を算出するようにしたことを特徴とする請求項2または請求項3記載のアンテナ駆動装置。
  5. 上記電流−角度特性算出手段は、予め設定した複数のデータ取得ポイントにおいて取得されたアンテナの振り角及び目標電流値または実電流値にもとづいて最小二乗法を用いて電流−角度特性を算出するようにしたことを特徴とする請求項2または請求項3記載のアンテナ駆動装置。
  6. 上記センサは磁気を利用した磁気センサであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載のアンテナ駆動装置。
  7. 上記センサは光を利用した光センサであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載のアンテナ駆動装置。
  8. 上記アンテナは中央部が軸支され、上記可動側磁石を両端部にそれぞれ固定し、上記固定側磁石及び電磁石は両端部の各可動側磁石に対応してそれぞれ設けられると共に、上記両電磁石は互いに逆方向に電磁力を生ずるようにされたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載のアンテナ駆動装置。
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