JP2004199289A - 周期的な目標値に追従する出力の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】種々の周波数成分をもつ外乱に対応することができ、周期的な目標値に追従性能のよい制御装置を提供する。
【解決手段】周期的に制御される出力の目標値に対応してフィードフォワード指令を生ずるフィードフォワード補償器1と、前記目標値の半周期毎に前記出力の追従誤差の積分値及び最大値を算出し、それぞれの値が所定の閾値を越えた時、前記フィードフォワード補償器のパラメータを修正するパラメータ学習器とを備え、前記パラメータ学習器は、目標値の符号と誤差の符号からパラメータの真値が現設定値より大きいかどうかを判断し、判断結果にもとづいて新設定値を算出すると共に、目標値の符号と誤差微分値の符号からパラメータの真値が現設定値より大きいかどうかを判断し、判断結果にもとづいて新設定値を算出する構成とする。
【選択図】 図3
【解決手段】周期的に制御される出力の目標値に対応してフィードフォワード指令を生ずるフィードフォワード補償器1と、前記目標値の半周期毎に前記出力の追従誤差の積分値及び最大値を算出し、それぞれの値が所定の閾値を越えた時、前記フィードフォワード補償器のパラメータを修正するパラメータ学習器とを備え、前記パラメータ学習器は、目標値の符号と誤差の符号からパラメータの真値が現設定値より大きいかどうかを判断し、判断結果にもとづいて新設定値を算出すると共に、目標値の符号と誤差微分値の符号からパラメータの真値が現設定値より大きいかどうかを判断し、判断結果にもとづいて新設定値を算出する構成とする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、周期的な目標値に追従する出力の制御装置、例えば自動車に搭載されるレーダのアンテナの振り角を角度指令値に対して追従性よく制御する制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種制御装置において、予め定められた周期的な目標値に対して高精度なサーボ系を構成する場合には、繰返し補償器を含む制御装置がよく用いられている。(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
中野 道雄,井上 悳,山本 裕,原 辰次著,「繰返し制御」,コロナ社,1989年12月25日,p.16−23,図B.1.2
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この種制御装置は、目標値と同様な周期を持つ外乱に対しては非常に優れた除去性能を持っている一方、目標値と異なる周期を持つ外乱やパラメータ誤差(変動)が制御対象に加わると、除去性能が著しく劣化してしまうという問題点があった。したがって、動作環境から色々な周波数成分をもつ外乱が加わり、なおかつ製造時の個体差や経年変化が必ず存在する車載装置の制御装置として、繰返し補償器を含む制御装置を使用するのは困難であった。
【0005】
この発明は、このような問題点に対処するためになされたもので、種々の周波数成分をもつ外乱にも対応することができ、周期的な目標値に追従性よく制御し得る車載装置としてのアンテナ等の制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る周期的な目標値に追従する出力の制御装置は、周期的に制御される出力の目標値に対応してフィードフォワード指令を生ずるフィードフォワード補償器と、前記目標値の半周期毎に前記出力の追従誤差の積分値及び最大値を算出し、それぞれの値が所定の閾値を越えた時、前記フィードフォワード補償器のパラメータを修正するパラメータ学習器とを備え、前記パラメータ学習器は、目標値の符号と誤差の符号からパラメータの真値が現設定値より大きいかどうかを判断し、判断結果にもとづいて新設定値を算出すると共に、目標値の符号と誤差微分値の符号からパラメータの真値が現設定値より大きいかどうかを判断し、判断結果にもとづいて新設定値を算出するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図にもとづいて説明する。図1は、この発明を適用するアンテナ駆動装置の構成の一例を示す概略図である。このアンテナ駆動装置は、被駆動部材10を駆動するものであり、被駆動部材10は、例えば自動車に搭載されるレーダのアンテナである。このレーダは、自動車の周辺を監視するために使用されるレーダであり、電波を自動車の周辺に発射してその反射波から自動車の周辺の障害物などを検知する。またこのレーダは、光を自動車の周辺に照射し、その反射光によって自動車の周辺を監視するように構成することもできる。何れにせよ、アンテナ10は電波または光を自動車の周辺に向けて発射し、またその反射波を受信するために使用され、電波または光の照射方向を変更するために、その向きまたは角度が変化される。
【0008】
アンテナ10は、重力や外乱振動などに影響されないように、その中央部の重心近傍に支点11を有し、この支点11を中心にして、揺動可能に支持されている。支点11はベアリング12で回転可能に支持された回転軸13であり、この回転軸13を中心にして、アンテナ10が回転可能に支持されている。
ベアリング12はプレート14上に載せられた支持台15上に固定されている。支持台15上には、アンテナ10の位置を検出するセンサ16が付設されている。このセンサ16は、例えば磁気を利用した磁気センサ、または光を利用した光センサである。
【0009】
図1のアンテナ駆動装置は、アンテナ10の左右両側に一対の電磁駆動要素20A、20Bを有する。第1の電磁駆動要素20Aはアンテナ10の支点11の図において右側に配置され、その右端部を駆動し、また第2の電磁駆動要素20Bはアンテナ10の支点11の図において左側に配置され、その左端部を駆動する。これらの電磁駆動要素20A、20Bは互いに同じ構成を有し、それぞれ可動部材30と固定部材40を有している。各電磁駆動要素20A、20Bの各可動部材30は、被駆動部材であるアンテナ10に取り付けられた可動側磁石32を有する。この可動側磁石32は円柱状に作られた磁石であり、N極として着磁された第1磁極32aと、S極として着磁された第2磁極32bを有し、第2磁極(S極)32bをアンテナ10に接合して取り付けられている。当然、第1磁極32aをアンテナ10に接合するように、変更可能である。
【0010】
電磁駆動要素20A、20Bの各固定部材40は、各可動部材30に対向して配置される。この各固定部材40は、支持台15を載せたプレート14の左右両側上に固定される。このプレート14は、磁性材料、例えば鉄板で作られている。各固定部材40は、先ず固定側磁石42を有する。この固定側磁石42は、可動側磁石32と同様に、円柱状に作られており、N極として着磁された第1磁極42aと、S極として着磁された第2磁極42bを持っている。この各電磁駆動要素20A、20Bの固定側磁石42は、各電磁駆動要素20A、20Bの各可動側磁石32と対向する位置に配置されており、それぞれの第2磁極(S極)42bをプレート14に接合されて固定されている。結果として、各固定側磁石42の第1磁極(N極)42aは、各可動側磁石32の第1磁極(N極)32aと対向する。もちろん、可動側磁石32の第1磁極32aがアンテナ10に接合されるように変更される場合には、固定側磁石42もそれに合わせて、第1磁極42aがプレート14に接合される。
【0011】
各電磁駆動要素20A、20Bの固定部材40は、さらに樹脂で作られたボビン44、制御コア46、及び制御コイル48を有する。ボビン44は、固定側磁石42を覆うように設けられ、固定側磁石42の上に制御コア46を保持する。この制御コア46は、円形断面を持った棒状の鉄心であり、可動側磁石32の第1磁極(N極)32aと、固定側磁石42の第1磁極(N極)42aとの間に配置されている。制御コア46の上端は空隙50を介して可動側磁石32の第1磁極(N極)32aに対向しており、またその下端と固定側磁石42の第1磁極(N極)42aとの間にも空隙52が形成されている。ボビン44は、制御コア46の外周に、巻枠44aを有し、この巻枠44aに制御コイル48が巻回されている。結果として、制御コイル48は、可動側磁石32の第1磁極32aと、固定側磁石42の第1磁極42aとを結ぶ直線の周りに巻回され、前記直線に沿って磁束を発生する。なお、符号48aは、制御コイル48に対する接続リード線であり、制御コイル48はこれら接続リード線48aを経て、図示しない励磁回路に接続される。
【0012】
各電磁駆動要素20A、20Bの各固定部材40は、それぞれの可動部材30に対して第1、第2の2つの電磁力F1、F2をトータルした電磁力F0を与える。第1の電磁力F1は、固定側磁石42から可動側磁石32に与えられる電磁力である。固定側磁石42の第1磁極(N極)42aが、可動側磁石32の同極性の第1磁極(N極)32aに向き合っているために、固定側磁石42から可動側磁石32に与えられる第1の電磁力F1は、可動部材30を固定部材40から引き離す方向の反発電磁力であり、この反発電磁力は磁石32、42が永久磁石であるために、常時ほぼ一定の電磁力である。
【0013】
各固定部材40から対応する各可動部材30に対して与えられる第2の電磁力F2は、制御コイル48によって発生される。制御コイル48は、各磁石32、42の第1磁極32a、42aを結ぶ直線に沿って磁束を発生し、この磁束にもとづいて可動部材30に与えられる電磁力F2は、制御コイル48に流れる励磁電流の方向と大きさに比例して、その電磁力の方向と大きさが制御される。
制御コイル48にある方向の励磁電流を流せば、この制御コイル48による電磁力F2は、固定側磁石42と同方向に、すなわち可動部材30を固定部材40から引き離す方向に、可動部材30に与えられ、その強さはその励磁電流の大きさに比例する。制御コイル48の励磁電流の方向を上記と逆にすれば、制御コイル48による電磁力F2は、固定側磁石42による反発力とは逆に、可動部材30を固定部材40に吸引する方向の電磁力となり、その大きさは励磁電流に比例する。
【0014】
固定側磁石42による反発方向の電磁力F1の方向を正極性とすると、トータル電磁力F0=F1±F2となり、制御コイル48の励磁電流の方向と大きさを変えることによって、トータル電磁力F0を幅広く制御することができる。
アンテナ10は、各電磁駆動要素20A、20Bからのトータル電磁力のバランスで、その向きまたは角度が制御される。
【0015】
この実施の形態において、制御コイル48は固定部材40に設けられているので、その巻回数を大きくして、制御コイル48による磁束を大きくする上で特別な制限はない。また制御コイル48の線径も大きくして、十分大きな励磁電流を流し、その磁束を大きくするにも特別な制約はない。このため、制御コイル48の巻回数と線径を大きくし、制御コイル48による電磁力F2を十分に大きくできる。また、制御コア46は、制御コイル48による電磁力をより大きくするために有効であるが、この制御コア46も固定部材40に設けられているので、可動部材30の重量を増やす心配がなく、可動部材30を可能な限り軽量とすることにより、より高速で駆動することが可能となる。
【0016】
さらに、制御コイル48が可動側磁石32の第1磁極32aと、固定側磁石42の第1磁極42aとの間に設けられていることも重要である。制御コイル48はこれらの磁極32a、42aとの間に、必要な間隔を取ることが可能となる。この間隔にもとづき、制御コイル48による磁束を磁石32、42に直接流さずに、少なくともその磁束の一部を磁石32、42を側路するように流すことができる。この結果、制御コイル48の磁束が磁石32、42による磁束と逆方向に流れる場合においても、制御コイル48による磁石32、42の保持力の減少を軽減することができ、従って、固定部材40から必要な電磁力を可動部材30に、より正確に与えて、被駆動部材10をより正確に駆動できる。
【0017】
また、制御コア46と磁石32との空隙50及び制御コア46と磁石42との空隙52も、制御コイル48による制御性を向上する上で有効である。これらの空隙50、52は、制御コイル48による磁束に対する磁石32、42による磁束の影響をより少なくし、制御コイル48による磁束の変化をより大きくし、その励磁電流による制御性能を向上させる。また、磁性体からなるプレート14は、固定側磁石42の第2磁極42bが接合されており、磁極板の作用をする。
このプレート14は第2磁極42bからの磁束及び制御コイル48による磁束をこの磁極42bの周辺に拡げ、固定側磁石42と可動側磁石32との磁気的結合及び制御コイル48と可動側磁石32との磁気的結合を強化して、可動部材30への電磁力をより大きくする。
【0018】
図2は、電磁駆動要素20A、20Bの各制御コイル48に対する励磁回路を示す。この励磁回路は、一対のスイッチング回路60、70を有し、これらの各スイッチング回路60、70は直流電源の正極端子E1と負極端子E2の間にそれぞれ接続されている。負極端子E2はアース電位とされている。スイッチング回路60は、一対のスイッチ素子61、62を含み、これらのスイッチ素子61、62は例えばNPN形のパワートランジスタで構成される。スイッチ素子61のコレクタは正極端子E1に接続され、そのエミッタはスイッチング回路60の出力端子63に接続されている。スイッチ素子62のコレクタは、前記出力端子63に、またそのエミッタは負極端子E2にそれぞれ接続される。スイッチング回路70は一対のスイッチ素子71、72を含み、これらはNPN形パワートランジスタで構成される。スイッチ素子71のコレクタは正極端子E1に、そのエミッタはスイッチング回路70の出力端子73にそれぞれ接続される。スイッチ素子72のコレクタは出力端子73に、またそのエミッタは負極端子E2にそれぞれ接続される。スイッチ素子61、62、71、72として、パワーFETと呼ばれるフィールドエフェクトトランジスタを使用することもできる。
【0019】
電磁駆動要素20A、20Bの各制御コイル48は、スイッチング回路60の出力端子63と、スイッチング回路70の出力端子73との間に、互いに直列に接続されており、互いに関連して制御される。スイッチ素子62、71がOFFし、スイッチ素子61、72がONした第1の状態では、各制御コイル48に、出力端子63から出力端子73に向かって、各制御コイル48に直列に電流が流れ、逆にスイッチ素子61、72がOFFし、スイッチ素子62、71がONした第2の状態では、出力端子73から出力端子63に向かって、各制御コイル48に電流が流れる。各制御コイル48の励磁電流は、各制御コイル48に付したドットで正極を示したように、互いに逆方向となっている。このため、直列接続された各制御コイル48に流れる電流によって、電磁駆動要素20A、20Bの一方の、例えば電磁駆動要素20Aの制御コイル48が、その固定側磁石42と同極性に、その可動部材30に反発力(+F2)を与えるときには、他方の電磁駆動要素20Bの制御コイル48は、その固定側磁石42と逆極性に、その可動部材30に吸引力(−F2)を与える結果となる。この場合、電磁駆動要素20Aのトータル電磁力はF0=F1+F2、電磁駆動要素20Bのトータル電磁力はF0=F1−F2となる。
【0020】
制御コイル48による電磁力F2の大きさを、電磁力F1の大きさより小さい範囲で調整するモードでは、各電磁駆動要素20A、20Bは共に、可動部材30に反発力を与える範囲で、その反発力の大きさが互いに逆方向に調整される。例えばスイッチ素子61、72がONとなる第1の状態において、一方の電磁駆動要素20Aのトータル電磁力F0=F1+F2が、固定側磁石42による反発力F1を増大するときには、他方の電磁駆動要素20Bのトータル電磁力F0=F1−F2は、その固定側磁石42から可動部材30への反発力F1を減少させるように調整される。図1のアクチュエータにおいて、第1電磁駆動要素20Aによる反発力が増大し、第2電磁駆動要素20Bによる反発力が減少すると、アンテナ10は、回転軸15を中心に、反時計方向に回動される。スイッチ素子62、71がONとなる第2の状態では、逆方向の調整が行われ、アンテナ10は時計方向に回動される。何れにせよ、アンテナ10は、2つの電磁駆動要素20A、20Bの各トータル電磁力F0のバランスで、その向きまたは角度が制御される。
【0021】
制御コイル48による電磁力F2の大きさを、電磁力F1の大きさを超える範囲で調整するモードを採用することもできる。このモードでは、例えばスイッチ素子61、72がONとなる第1の状態において、電磁駆動要素20Aのトータル電磁力F0が、その固定側磁石42による反発力F1の2倍以上の反発力となるよう調整されるときには、他方の電磁駆動要素20Bのトータル電磁力F0は、その固定側磁石42による反発力F1と反対方向の吸引力となり、アンテナ10は反時計方向に、より大きく動かされる。スイッチ素子62、71がONとなる第2の状態でも、逆方向の調整が行われ、アンテナ10は大きく時計方向に動かされる。
【0022】
各電磁駆動要素20A、20Bの制御コイル48の励磁電流の大きさは、例えば各スイッチ素子のON/OFF時間比率を変化させることによって調整される。例えばスイッチ素子61、72がONする第1の状態について、その単位時間にこれらのスイッチ素子61、72がONする比率が変化させられると、そのON/OFF時間比率に応じた大きさの励磁電流が各制御コイル48に供給される。同様に、スイッチ素子62、71がONとなる第2の状態において、これらのスイッチ素子62、71の単位時間当たりのON/OFF時間比率を調整することにより、励磁電流の大きさが変えられる。これらのON/OFF時間比率の調整は、各スイッチ素子のベースへの駆動パルスの幅を変えることによって行われる。
【0023】
この実施の形態のアンテナ駆動装置は、一対の電磁駆動要素20A、20Bの各制御コイル48の励磁電流のバランスにより、アンテナ10の角度を制御するものであり、オープン制御で制御可能であるが、アクチュエータを高速で駆動する場合には、センサ16からの信号によって制御コイル48をフィードバック制御する。このフィードバック制御は、各スイッチ素子61、62、71、72のベース駆動電流を制御することによって行われる。
【0024】
次に、上述したアンテナ駆動装置におけるアンテナの振り角を制御するための制御装置について説明する。図3は、実施の形態1による制御装置の概略構成を示すブロック図である。この図において、1は周期的なアンテナ角度指令値にもとづいて前記制御コイル48に対するフィードフォワード電流指令値を決定するフィードフォワード補償器、rは目標値、k1 ,k2 ,k3はフィードフォワード補償器のパラメータ、2はアンテナ角度指令値とセンサ16の出力との差信号にもとづいてフィードバック電流指令値を決定するフィードバック補償器、eは追従誤差である。また、3は制御対象であるアンテナ駆動装置、uは制御コイル48の駆動電流、xはアンテナの振り角である。
予め定められた周期的で2回連続可微分な目標値に、上述した制御対象3の出力xが追従するよう制御する2自由度制御装置であり、追従誤差を評価することによりフィードフォワード補償器1のパラメータを目標値の半周期毎に学習するようにしたものである。
【0025】
ここで、アンテナ駆動装置の駆動電流からアンテナ振り角までのダイナミックスは、次の2次系で近似できる。
【数1】
目標値の半周期毎にフィードバック補償器2で次の(式2)による追従誤差の積分値及び(式3)による追従誤差の最大値を計算し、それらのいずれかが、それぞれ適切に定められた閾値M1 ,M2より大きくなった場合にのみ、フィードフォワード補償器1のパラメータの学習を行う。
【0026】
【数2】
である。
(式2)あるいは(式3)のどちらかが満たされた場合、フィードフォワード補償器1のパラメータk2,k3の更新を以下の(式4) ,(式5)にもとづいて行う。
即ち、目標値の符号と誤差の符号からパラメータの真値k2 * が現在の設定値k2 m より大きいか小さいかを判断し、判断結果にもとづいて新しい設定値k2 m+1を式(4)により算出し、目標値の符号と誤差微分値の符号からパラメータの真値k3 * が現在の設定値k3 m より大きいか小さいかを判断し、判断結果にもとづいて新しい設定値k3 m+1 を式(5)により算出するものである。
【0027】
【数3】
である。
フィードフォワード補償器1のパラメータk1は、学習する必要がないよう予め次の(式6)を満たすように設定する。
【0028】
【数4】
フィードバック補償器2は閉ループ系を内部安定化するように独立に設計する。
【0029】
なお、以上の構成では、フィードバック補償器2はPD制御としているが、定常外乱が存在する場合にはPID制御とし、パラメータ学習はI項により定常外乱が抑制されたと判断された後にパラメータ学習を開始するようにする。
このような制御装置を用いることにより、パラメータの変動や外乱に対して誤学習が少なく車載装置としても追従性能のよい制御を行うことができる。
【0030】
【発明の効果】
この発明に係る周期的な目標値に追従する出力の制御装置は、周期的に制御される出力の目標値に対応してフィードフォワード指令を生ずるフィードフォワード補償器と、前記目標値の半周期毎に前記出力の追従誤差の積分値及び最大値を算出し、それぞれの値が所定の閾値を越えた時、前記フィードフォワード補償器のパラメータを修正するパラメータ学習器とを備え、前記パラメータ学習器は、目標値の符号と誤差の符号からパラメータの真値が現設定値より大きいかどうかを判断し、判断結果にもとづいて新設定値を算出すると共に、目標値の符号と誤差微分値の符号からパラメータの真値が現設定値より大きいかどうかを判断し、判断結果にもとづいて新設定値を算出するものであるため、追従誤差から制御対象のパラメータがフィードフォワード補償器の現在設定しているパラメータより大きいか小さいかを目標アンテナ角の半周期毎に判断し、その結果を用いてフィードフォワード補償器のパラメータを学習することにより、パラメータの変動や外乱に対して誤学習が少なく車載装置としても追従性能のよい制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1を適用するアンテナ駆動装置の構成の一例を示す概略図である。
【図2】アンテナ駆動装置の電磁駆動要素の各制御コイルに対する励磁回路を示す。
【図3】この発明の実施の形態1による制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 アンテナ、 16 センサ、 20A、20B 電磁駆動要素、
30 可動部材、 32 可動側磁石、 40 固定部材、
42 固定側磁石、 46 コア、 48 制御コイル。
【発明の属する技術分野】
この発明は、周期的な目標値に追従する出力の制御装置、例えば自動車に搭載されるレーダのアンテナの振り角を角度指令値に対して追従性よく制御する制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種制御装置において、予め定められた周期的な目標値に対して高精度なサーボ系を構成する場合には、繰返し補償器を含む制御装置がよく用いられている。(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
中野 道雄,井上 悳,山本 裕,原 辰次著,「繰返し制御」,コロナ社,1989年12月25日,p.16−23,図B.1.2
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この種制御装置は、目標値と同様な周期を持つ外乱に対しては非常に優れた除去性能を持っている一方、目標値と異なる周期を持つ外乱やパラメータ誤差(変動)が制御対象に加わると、除去性能が著しく劣化してしまうという問題点があった。したがって、動作環境から色々な周波数成分をもつ外乱が加わり、なおかつ製造時の個体差や経年変化が必ず存在する車載装置の制御装置として、繰返し補償器を含む制御装置を使用するのは困難であった。
【0005】
この発明は、このような問題点に対処するためになされたもので、種々の周波数成分をもつ外乱にも対応することができ、周期的な目標値に追従性よく制御し得る車載装置としてのアンテナ等の制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る周期的な目標値に追従する出力の制御装置は、周期的に制御される出力の目標値に対応してフィードフォワード指令を生ずるフィードフォワード補償器と、前記目標値の半周期毎に前記出力の追従誤差の積分値及び最大値を算出し、それぞれの値が所定の閾値を越えた時、前記フィードフォワード補償器のパラメータを修正するパラメータ学習器とを備え、前記パラメータ学習器は、目標値の符号と誤差の符号からパラメータの真値が現設定値より大きいかどうかを判断し、判断結果にもとづいて新設定値を算出すると共に、目標値の符号と誤差微分値の符号からパラメータの真値が現設定値より大きいかどうかを判断し、判断結果にもとづいて新設定値を算出するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図にもとづいて説明する。図1は、この発明を適用するアンテナ駆動装置の構成の一例を示す概略図である。このアンテナ駆動装置は、被駆動部材10を駆動するものであり、被駆動部材10は、例えば自動車に搭載されるレーダのアンテナである。このレーダは、自動車の周辺を監視するために使用されるレーダであり、電波を自動車の周辺に発射してその反射波から自動車の周辺の障害物などを検知する。またこのレーダは、光を自動車の周辺に照射し、その反射光によって自動車の周辺を監視するように構成することもできる。何れにせよ、アンテナ10は電波または光を自動車の周辺に向けて発射し、またその反射波を受信するために使用され、電波または光の照射方向を変更するために、その向きまたは角度が変化される。
【0008】
アンテナ10は、重力や外乱振動などに影響されないように、その中央部の重心近傍に支点11を有し、この支点11を中心にして、揺動可能に支持されている。支点11はベアリング12で回転可能に支持された回転軸13であり、この回転軸13を中心にして、アンテナ10が回転可能に支持されている。
ベアリング12はプレート14上に載せられた支持台15上に固定されている。支持台15上には、アンテナ10の位置を検出するセンサ16が付設されている。このセンサ16は、例えば磁気を利用した磁気センサ、または光を利用した光センサである。
【0009】
図1のアンテナ駆動装置は、アンテナ10の左右両側に一対の電磁駆動要素20A、20Bを有する。第1の電磁駆動要素20Aはアンテナ10の支点11の図において右側に配置され、その右端部を駆動し、また第2の電磁駆動要素20Bはアンテナ10の支点11の図において左側に配置され、その左端部を駆動する。これらの電磁駆動要素20A、20Bは互いに同じ構成を有し、それぞれ可動部材30と固定部材40を有している。各電磁駆動要素20A、20Bの各可動部材30は、被駆動部材であるアンテナ10に取り付けられた可動側磁石32を有する。この可動側磁石32は円柱状に作られた磁石であり、N極として着磁された第1磁極32aと、S極として着磁された第2磁極32bを有し、第2磁極(S極)32bをアンテナ10に接合して取り付けられている。当然、第1磁極32aをアンテナ10に接合するように、変更可能である。
【0010】
電磁駆動要素20A、20Bの各固定部材40は、各可動部材30に対向して配置される。この各固定部材40は、支持台15を載せたプレート14の左右両側上に固定される。このプレート14は、磁性材料、例えば鉄板で作られている。各固定部材40は、先ず固定側磁石42を有する。この固定側磁石42は、可動側磁石32と同様に、円柱状に作られており、N極として着磁された第1磁極42aと、S極として着磁された第2磁極42bを持っている。この各電磁駆動要素20A、20Bの固定側磁石42は、各電磁駆動要素20A、20Bの各可動側磁石32と対向する位置に配置されており、それぞれの第2磁極(S極)42bをプレート14に接合されて固定されている。結果として、各固定側磁石42の第1磁極(N極)42aは、各可動側磁石32の第1磁極(N極)32aと対向する。もちろん、可動側磁石32の第1磁極32aがアンテナ10に接合されるように変更される場合には、固定側磁石42もそれに合わせて、第1磁極42aがプレート14に接合される。
【0011】
各電磁駆動要素20A、20Bの固定部材40は、さらに樹脂で作られたボビン44、制御コア46、及び制御コイル48を有する。ボビン44は、固定側磁石42を覆うように設けられ、固定側磁石42の上に制御コア46を保持する。この制御コア46は、円形断面を持った棒状の鉄心であり、可動側磁石32の第1磁極(N極)32aと、固定側磁石42の第1磁極(N極)42aとの間に配置されている。制御コア46の上端は空隙50を介して可動側磁石32の第1磁極(N極)32aに対向しており、またその下端と固定側磁石42の第1磁極(N極)42aとの間にも空隙52が形成されている。ボビン44は、制御コア46の外周に、巻枠44aを有し、この巻枠44aに制御コイル48が巻回されている。結果として、制御コイル48は、可動側磁石32の第1磁極32aと、固定側磁石42の第1磁極42aとを結ぶ直線の周りに巻回され、前記直線に沿って磁束を発生する。なお、符号48aは、制御コイル48に対する接続リード線であり、制御コイル48はこれら接続リード線48aを経て、図示しない励磁回路に接続される。
【0012】
各電磁駆動要素20A、20Bの各固定部材40は、それぞれの可動部材30に対して第1、第2の2つの電磁力F1、F2をトータルした電磁力F0を与える。第1の電磁力F1は、固定側磁石42から可動側磁石32に与えられる電磁力である。固定側磁石42の第1磁極(N極)42aが、可動側磁石32の同極性の第1磁極(N極)32aに向き合っているために、固定側磁石42から可動側磁石32に与えられる第1の電磁力F1は、可動部材30を固定部材40から引き離す方向の反発電磁力であり、この反発電磁力は磁石32、42が永久磁石であるために、常時ほぼ一定の電磁力である。
【0013】
各固定部材40から対応する各可動部材30に対して与えられる第2の電磁力F2は、制御コイル48によって発生される。制御コイル48は、各磁石32、42の第1磁極32a、42aを結ぶ直線に沿って磁束を発生し、この磁束にもとづいて可動部材30に与えられる電磁力F2は、制御コイル48に流れる励磁電流の方向と大きさに比例して、その電磁力の方向と大きさが制御される。
制御コイル48にある方向の励磁電流を流せば、この制御コイル48による電磁力F2は、固定側磁石42と同方向に、すなわち可動部材30を固定部材40から引き離す方向に、可動部材30に与えられ、その強さはその励磁電流の大きさに比例する。制御コイル48の励磁電流の方向を上記と逆にすれば、制御コイル48による電磁力F2は、固定側磁石42による反発力とは逆に、可動部材30を固定部材40に吸引する方向の電磁力となり、その大きさは励磁電流に比例する。
【0014】
固定側磁石42による反発方向の電磁力F1の方向を正極性とすると、トータル電磁力F0=F1±F2となり、制御コイル48の励磁電流の方向と大きさを変えることによって、トータル電磁力F0を幅広く制御することができる。
アンテナ10は、各電磁駆動要素20A、20Bからのトータル電磁力のバランスで、その向きまたは角度が制御される。
【0015】
この実施の形態において、制御コイル48は固定部材40に設けられているので、その巻回数を大きくして、制御コイル48による磁束を大きくする上で特別な制限はない。また制御コイル48の線径も大きくして、十分大きな励磁電流を流し、その磁束を大きくするにも特別な制約はない。このため、制御コイル48の巻回数と線径を大きくし、制御コイル48による電磁力F2を十分に大きくできる。また、制御コア46は、制御コイル48による電磁力をより大きくするために有効であるが、この制御コア46も固定部材40に設けられているので、可動部材30の重量を増やす心配がなく、可動部材30を可能な限り軽量とすることにより、より高速で駆動することが可能となる。
【0016】
さらに、制御コイル48が可動側磁石32の第1磁極32aと、固定側磁石42の第1磁極42aとの間に設けられていることも重要である。制御コイル48はこれらの磁極32a、42aとの間に、必要な間隔を取ることが可能となる。この間隔にもとづき、制御コイル48による磁束を磁石32、42に直接流さずに、少なくともその磁束の一部を磁石32、42を側路するように流すことができる。この結果、制御コイル48の磁束が磁石32、42による磁束と逆方向に流れる場合においても、制御コイル48による磁石32、42の保持力の減少を軽減することができ、従って、固定部材40から必要な電磁力を可動部材30に、より正確に与えて、被駆動部材10をより正確に駆動できる。
【0017】
また、制御コア46と磁石32との空隙50及び制御コア46と磁石42との空隙52も、制御コイル48による制御性を向上する上で有効である。これらの空隙50、52は、制御コイル48による磁束に対する磁石32、42による磁束の影響をより少なくし、制御コイル48による磁束の変化をより大きくし、その励磁電流による制御性能を向上させる。また、磁性体からなるプレート14は、固定側磁石42の第2磁極42bが接合されており、磁極板の作用をする。
このプレート14は第2磁極42bからの磁束及び制御コイル48による磁束をこの磁極42bの周辺に拡げ、固定側磁石42と可動側磁石32との磁気的結合及び制御コイル48と可動側磁石32との磁気的結合を強化して、可動部材30への電磁力をより大きくする。
【0018】
図2は、電磁駆動要素20A、20Bの各制御コイル48に対する励磁回路を示す。この励磁回路は、一対のスイッチング回路60、70を有し、これらの各スイッチング回路60、70は直流電源の正極端子E1と負極端子E2の間にそれぞれ接続されている。負極端子E2はアース電位とされている。スイッチング回路60は、一対のスイッチ素子61、62を含み、これらのスイッチ素子61、62は例えばNPN形のパワートランジスタで構成される。スイッチ素子61のコレクタは正極端子E1に接続され、そのエミッタはスイッチング回路60の出力端子63に接続されている。スイッチ素子62のコレクタは、前記出力端子63に、またそのエミッタは負極端子E2にそれぞれ接続される。スイッチング回路70は一対のスイッチ素子71、72を含み、これらはNPN形パワートランジスタで構成される。スイッチ素子71のコレクタは正極端子E1に、そのエミッタはスイッチング回路70の出力端子73にそれぞれ接続される。スイッチ素子72のコレクタは出力端子73に、またそのエミッタは負極端子E2にそれぞれ接続される。スイッチ素子61、62、71、72として、パワーFETと呼ばれるフィールドエフェクトトランジスタを使用することもできる。
【0019】
電磁駆動要素20A、20Bの各制御コイル48は、スイッチング回路60の出力端子63と、スイッチング回路70の出力端子73との間に、互いに直列に接続されており、互いに関連して制御される。スイッチ素子62、71がOFFし、スイッチ素子61、72がONした第1の状態では、各制御コイル48に、出力端子63から出力端子73に向かって、各制御コイル48に直列に電流が流れ、逆にスイッチ素子61、72がOFFし、スイッチ素子62、71がONした第2の状態では、出力端子73から出力端子63に向かって、各制御コイル48に電流が流れる。各制御コイル48の励磁電流は、各制御コイル48に付したドットで正極を示したように、互いに逆方向となっている。このため、直列接続された各制御コイル48に流れる電流によって、電磁駆動要素20A、20Bの一方の、例えば電磁駆動要素20Aの制御コイル48が、その固定側磁石42と同極性に、その可動部材30に反発力(+F2)を与えるときには、他方の電磁駆動要素20Bの制御コイル48は、その固定側磁石42と逆極性に、その可動部材30に吸引力(−F2)を与える結果となる。この場合、電磁駆動要素20Aのトータル電磁力はF0=F1+F2、電磁駆動要素20Bのトータル電磁力はF0=F1−F2となる。
【0020】
制御コイル48による電磁力F2の大きさを、電磁力F1の大きさより小さい範囲で調整するモードでは、各電磁駆動要素20A、20Bは共に、可動部材30に反発力を与える範囲で、その反発力の大きさが互いに逆方向に調整される。例えばスイッチ素子61、72がONとなる第1の状態において、一方の電磁駆動要素20Aのトータル電磁力F0=F1+F2が、固定側磁石42による反発力F1を増大するときには、他方の電磁駆動要素20Bのトータル電磁力F0=F1−F2は、その固定側磁石42から可動部材30への反発力F1を減少させるように調整される。図1のアクチュエータにおいて、第1電磁駆動要素20Aによる反発力が増大し、第2電磁駆動要素20Bによる反発力が減少すると、アンテナ10は、回転軸15を中心に、反時計方向に回動される。スイッチ素子62、71がONとなる第2の状態では、逆方向の調整が行われ、アンテナ10は時計方向に回動される。何れにせよ、アンテナ10は、2つの電磁駆動要素20A、20Bの各トータル電磁力F0のバランスで、その向きまたは角度が制御される。
【0021】
制御コイル48による電磁力F2の大きさを、電磁力F1の大きさを超える範囲で調整するモードを採用することもできる。このモードでは、例えばスイッチ素子61、72がONとなる第1の状態において、電磁駆動要素20Aのトータル電磁力F0が、その固定側磁石42による反発力F1の2倍以上の反発力となるよう調整されるときには、他方の電磁駆動要素20Bのトータル電磁力F0は、その固定側磁石42による反発力F1と反対方向の吸引力となり、アンテナ10は反時計方向に、より大きく動かされる。スイッチ素子62、71がONとなる第2の状態でも、逆方向の調整が行われ、アンテナ10は大きく時計方向に動かされる。
【0022】
各電磁駆動要素20A、20Bの制御コイル48の励磁電流の大きさは、例えば各スイッチ素子のON/OFF時間比率を変化させることによって調整される。例えばスイッチ素子61、72がONする第1の状態について、その単位時間にこれらのスイッチ素子61、72がONする比率が変化させられると、そのON/OFF時間比率に応じた大きさの励磁電流が各制御コイル48に供給される。同様に、スイッチ素子62、71がONとなる第2の状態において、これらのスイッチ素子62、71の単位時間当たりのON/OFF時間比率を調整することにより、励磁電流の大きさが変えられる。これらのON/OFF時間比率の調整は、各スイッチ素子のベースへの駆動パルスの幅を変えることによって行われる。
【0023】
この実施の形態のアンテナ駆動装置は、一対の電磁駆動要素20A、20Bの各制御コイル48の励磁電流のバランスにより、アンテナ10の角度を制御するものであり、オープン制御で制御可能であるが、アクチュエータを高速で駆動する場合には、センサ16からの信号によって制御コイル48をフィードバック制御する。このフィードバック制御は、各スイッチ素子61、62、71、72のベース駆動電流を制御することによって行われる。
【0024】
次に、上述したアンテナ駆動装置におけるアンテナの振り角を制御するための制御装置について説明する。図3は、実施の形態1による制御装置の概略構成を示すブロック図である。この図において、1は周期的なアンテナ角度指令値にもとづいて前記制御コイル48に対するフィードフォワード電流指令値を決定するフィードフォワード補償器、rは目標値、k1 ,k2 ,k3はフィードフォワード補償器のパラメータ、2はアンテナ角度指令値とセンサ16の出力との差信号にもとづいてフィードバック電流指令値を決定するフィードバック補償器、eは追従誤差である。また、3は制御対象であるアンテナ駆動装置、uは制御コイル48の駆動電流、xはアンテナの振り角である。
予め定められた周期的で2回連続可微分な目標値に、上述した制御対象3の出力xが追従するよう制御する2自由度制御装置であり、追従誤差を評価することによりフィードフォワード補償器1のパラメータを目標値の半周期毎に学習するようにしたものである。
【0025】
ここで、アンテナ駆動装置の駆動電流からアンテナ振り角までのダイナミックスは、次の2次系で近似できる。
【数1】
目標値の半周期毎にフィードバック補償器2で次の(式2)による追従誤差の積分値及び(式3)による追従誤差の最大値を計算し、それらのいずれかが、それぞれ適切に定められた閾値M1 ,M2より大きくなった場合にのみ、フィードフォワード補償器1のパラメータの学習を行う。
【0026】
【数2】
である。
(式2)あるいは(式3)のどちらかが満たされた場合、フィードフォワード補償器1のパラメータk2,k3の更新を以下の(式4) ,(式5)にもとづいて行う。
即ち、目標値の符号と誤差の符号からパラメータの真値k2 * が現在の設定値k2 m より大きいか小さいかを判断し、判断結果にもとづいて新しい設定値k2 m+1を式(4)により算出し、目標値の符号と誤差微分値の符号からパラメータの真値k3 * が現在の設定値k3 m より大きいか小さいかを判断し、判断結果にもとづいて新しい設定値k3 m+1 を式(5)により算出するものである。
【0027】
【数3】
である。
フィードフォワード補償器1のパラメータk1は、学習する必要がないよう予め次の(式6)を満たすように設定する。
【0028】
【数4】
フィードバック補償器2は閉ループ系を内部安定化するように独立に設計する。
【0029】
なお、以上の構成では、フィードバック補償器2はPD制御としているが、定常外乱が存在する場合にはPID制御とし、パラメータ学習はI項により定常外乱が抑制されたと判断された後にパラメータ学習を開始するようにする。
このような制御装置を用いることにより、パラメータの変動や外乱に対して誤学習が少なく車載装置としても追従性能のよい制御を行うことができる。
【0030】
【発明の効果】
この発明に係る周期的な目標値に追従する出力の制御装置は、周期的に制御される出力の目標値に対応してフィードフォワード指令を生ずるフィードフォワード補償器と、前記目標値の半周期毎に前記出力の追従誤差の積分値及び最大値を算出し、それぞれの値が所定の閾値を越えた時、前記フィードフォワード補償器のパラメータを修正するパラメータ学習器とを備え、前記パラメータ学習器は、目標値の符号と誤差の符号からパラメータの真値が現設定値より大きいかどうかを判断し、判断結果にもとづいて新設定値を算出すると共に、目標値の符号と誤差微分値の符号からパラメータの真値が現設定値より大きいかどうかを判断し、判断結果にもとづいて新設定値を算出するものであるため、追従誤差から制御対象のパラメータがフィードフォワード補償器の現在設定しているパラメータより大きいか小さいかを目標アンテナ角の半周期毎に判断し、その結果を用いてフィードフォワード補償器のパラメータを学習することにより、パラメータの変動や外乱に対して誤学習が少なく車載装置としても追従性能のよい制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1を適用するアンテナ駆動装置の構成の一例を示す概略図である。
【図2】アンテナ駆動装置の電磁駆動要素の各制御コイルに対する励磁回路を示す。
【図3】この発明の実施の形態1による制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 アンテナ、 16 センサ、 20A、20B 電磁駆動要素、
30 可動部材、 32 可動側磁石、 40 固定部材、
42 固定側磁石、 46 コア、 48 制御コイル。
Claims (4)
- 周期的に制御される出力の目標値に対応してフィードフォワード指令を生ずるフィードフォワード補償器と、前記目標値の半周期毎に前記出力の追従誤差の積分値及び最大値を算出し、それぞれの値が所定の閾値を越えた時、前記フィードフォワード補償器のパラメータを修正するパラメータ学習器とを備え、前記パラメータ学習器は、目標値の符号と誤差の符号からパラメータの真値が現設定値より大きいかどうかを判断し、判断結果にもとづいて新設定値を算出すると共に、目標値の符号と誤差微分値の符号からパラメータの真値が現設定値より大きいかどうかを判断し、判断結果にもとづいて新設定値を算出することを特徴とする周期的な目標値に追従する出力の制御装置。
- 前記出力は、アンテナの振り角であることを特徴とする請求項1記載の周期的な目標値に追従する出力の制御装置。
- 固定部材に回動可能に軸支されたアンテナと、このアンテナに固定された可動側磁石と、この可動側磁石に対向して前記固定部材に設けられ前記可動磁石に所定の磁力を与える固定側磁石と、前記可動側磁石と固定側磁石の中間部に配設されたコア及び制御コイルを有し、前記制御コイルへの通電状態を制御することにより前記可動側磁石に対する磁力を制御して前記アンテナの回動量を制御する電磁石と、前記アンテナに設けられ、前記アンテナの振り角に応じた出力を生ずるセンサとから構成されるアンテナ駆動装置において、周期的なアンテナ角度指令値にもとづいて前記制御コイルに対するフィードフォワード電流指令値を決定するフィードフォワード補償器と、前記アンテナ角度指令値と前記センサの出力との差信号にもとづいてフィードバック電流指令値を決定するフィードバック補償器と、前記フィードフォワード電流指令値と前記フィードバック電流指令値とを加算して電流指令値を生成する加算器と、前記差信号を用いてアンテナ角度指令値の半周期毎に前記フィードフォワード補償器のパラメータを修正するパラメータ学習器とを備え、前記制御コイルの電流を制御して前記アンテナの振り角を制御するようにしたことを特徴とする周期的な目標値に追従する出力の制御装置。
- 前記フィードフォワード補償器は、定常外乱が存在する場合には、定常外乱が抑制されたと判断された後にパラメータ学習を開始することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の周期的な目標値に追従する出力の制御装置。
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