JP3667658B2 - ねじ締付装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ねじ締付方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、締め付け対象物をねじ締め工具を用いてねじ締めする場合、工具の先端を目的の位置に移動させると共に、ボルト、ナットを目的の位置に供給する必要があるため、全自動化するには設備コストが著しく高くなり、しかも、異なる締め付け対象物や締め付け位置の変更等に対して柔軟に対応できない等の難点があるため、自動車の組立ライン等においては、作業者が締め付け工具を操作して工具の先端を目的の位置に移動させ、かつ、ボルト又はナットを所定の位置に手で供給し、その位置で動力により工具先端のソケットを回転駆動して締め付けを行う方式が多く採用されている。
【0003】
上記方式を採用する場合、従来では、締め付け工具とトルクレンチとが別工具となっていたため、図4に示すように、締め付け工程では、作業者が電動式締付け工具を用いて締め付け開始(スタート)から設定可能な所定トルク(目標トルクの1/3〜1/4程度に設定され、通常、着座トルクと呼ばれており、以下、本明細書では着座トルクという。)まで高速回転で締付けを行ない、着座トルクに達すると、低速の締め付け速度への切り替えを自動的に行って目標トルクまで締め付けを継続し、目標トルクに達すると、電動モータの制御をシャットオフして締め付け工程を終了している。その後の検査工程で、同一の作業者がトルクレンチに持ち替えてトルクチェックを行うか、或いは、別の作業者がトルクレンチを用いてトルクチェックを行って締め付け後の品質検査を実施している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のねじ締付方法は、締め付け開始から着座トルクまで及びそこから目標トルクまで電動式締め付け工具により締め付けを行っており、これであると、着座トルクまでは、高速回転で締め付けが進行し、この間のトルクは低いが、着座トルクに達した時点から目標トルクに達するまでは締付トルクが急激に増大し、そのトルクに比例した反力が締め付け工具を通じて作業者に掛かり、特に、着座トルクから目標トルクに達するまでの後半過程で急激に大きくなる反力を作業者自身に負担させることになるため、作業者の精神的かつ肉体的な負担が大きく、改善が望まれている。
【0005】
また、従来の電動式締め付け工具は、トルクレンチ機能を備えておらず、そのため、締め付け工程の終了後、トルクチェックを同一作業者が行なう場合でも、電動式締め付け工具からトルクレンチに持ち替えるための時間が必要であり、また、別の作業者がトルクチェックを行なう場合には、さらに多くの作業時間が必要となっていた。
【0006】
さらに、従来のトルクレンチは、先端のソケットをボルト又はナットに係合させてレンチ本体を回すと、加えたトルクを表示する機能を有するが、目標トルクに達するとソケットが自動的に空転するような構成とはなっておらず、そのため、トルクレンチを用いて締付けトルクのチェックを行っても、作業者の誤操作等によって目標トルク以上に増し締めするミスが発生する可能性があった。
【0007】
そこで本発明は、目標トルクに正確に締付け及び検査ができ、作業者の負担を軽減し、作業時間を短縮し得るねじ締付方法及び装置を提供することを課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ねじに嵌合されるソケットと、先端に前記ソケットを回転可能に装着した締付機本体と、該締付機本体内に設置され、前記ソケットを回転駆動する駆動手段と、前記ソケットによるねじ締付トルクを検出するトルク検出器と、該トルク検出器から送信されるトルク信号を受信し、ねじの締付開始から目標トルクよりも低い設定可能な所定トルクまでの仮締め工程を前記駆動手段によるソケットの回転駆動を可能とし、前記所定トルクの検出時点以後から目標トルクになるまでの本締め工程の間、前記駆動手段を通してソケットを回転不能にロックさせ、目標トルクに達すると、前記ロックを解除する機能を有するコントローラーとで構成したことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、締め付け開始から所定トルクまでの多くの回転量を必要とする仮締め工程を駆動手段により高速回転で行わせることができるため、短時間で仮締めを行うことができ、しかも、その間のトルクは低いため、作業者への反力衝撃を小さくすることができる。そして、本締め工程では、駆動手段を通してソケットを回転不能にロックさせることによって、作業者が締付機本体をスパナと同様に手動操作して本締めを行うことができる。この本締め工程では、大きいトルクを必要とするが、回転量は少なく、しかも、作業者自身が手動で締め付けを行うものであるため、作業者自身へ反力衝撃が不用意に掛かるようなことがなく、安心して締め付け作業を遂行させることができる。また、作業者の手動操作による本締め工程で目標トルクに達すると、駆動手段を通してソケットのロックを解除させているため、それ以後は、作業者が締付機本体を手動操作しても、ソケットが空転し、増し締めされることがない。従って、確実に目標トルクに締め付けることができる。
【0016】
請求項2の発明は、前記請求項1に記載のトルク検出器の検出トルクを表示する手段を前記コントローラーに具備させたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、作業者が手動で行なう本締め工程での締付トルクをコントローラーの表示により確認することができ、従って、トルクチェックをしながら本締めすることができる。それ故に、この構成によれば、締付機本体のみで締め付け工程と締付トルクの検査工程の二工程を一つにまとめて行うことができる。また、本締め工程では、コントローラーに表示されるトルクによって、現在の締付トルクがリアルタイムで確認できるため、目標トルクまでの任意の締付トルクで締め付けを終了することもでき、従って、最終締付トルクを任意に調整することができる。
【0018】
請求項3の発明は、前記請求項1又は2に記載のコントローラーに目標トルクに対する最終締付トルクの判定機能及び判定結果の表示機能を具備させたことを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、作業者による手動での本締め工程において、目標トルクに対してある程度の許容範囲を設定しておき、最終締付トルクの合否判定を行うことができる。なお、許容範囲の上限トルクに達すると、ソケットのロックが解除されるため、増し締めとなることはない。
【0020】
請求項4の発明は、前記請求項3に記載のコントローラーに、判定結果の記録収集機能及び記録収集データの外部出力機能を具備させたことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、流れ作業等で多数の締め付け対象物を締め付ける場合等においては、個々の対象物の最終締付トルク及び判定結果のデータをその都度監視し或いは一括管理することができ、品質管理に貢献し得る。
【0022】
請求項5の発明は、前記請求項1〜4の何れかに記載のコントローラーの所定トルクが、着座トルク付近のトルクであることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、駆動手段によりソケットを高速回転させて行う仮締め工程の後半での締め付け反力を目標トルクの1/3〜1/4程度に低くして作業者への反力衝撃を小さくすることができ、安全である。
【0024】
請求項6の発明は、前記請求項1〜5の何れかに記載の駆動手段がサーボモータであり、かつ、前記駆動手段を通してソケットを回転不能にロックする手段がサーボモータの回転子を電気的にロックするサーボロック回路で構成されていることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、駆動手段を通してソケットを回転不能にロック手段に機械的機構が加わらず、締付機本体の構成が簡単となり、安価に提供することができる。
【0026】
請求項7の発明は、前記請求項1〜6の何れかに記載の締付機本体内には、サーボモータからトルク検出器及び伝動ギア機構を介してソケットに回転力を伝達し、かつ、サーボモータの回転子の回転角度を電気信号に変換するレゾルバー及び該レゾルバーからの電気信号並びに前記トルク検出器からの検出トルク信号を増幅してコントローラーに出力する増幅器が設置され、しかも、締付開始用スイッチが締付機本体の一部に装備されており、前記ソケットの回転軸が締付機本体に横向きに設けられていることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、締付機本体に装備した締付開始用スイッチによりサーボモータによる仮締め工程を実行し、続いて、手動による本締め工程を実行することができ、その際、ソケットの回転軸が締付機本体に横向きに設けられているため、締付機本体を梃子レバーとして利用でき、作業者の労力を軽減することができる。
【0028】
請求項8の発明は、前記請求項1〜7の何れかに記載のコントローラーがプログラムの切り替えにより、締付機本体を含む全体を締付トルクの検査用トルクレンチとして使用可能な機能を具備していることを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、本発明のねじ締付装置を用いて、プログラムを切り替えることにより、既に締め付けが終了した製品のねじ締め品質のチェックを行うことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて説明する。図1は本発明のねじ締付方法の実施に直接使用するねじ締付装置の一つの実施の形態を示す概略図であって、1は締付機本体、2は駆動手段としてのサーボモータ、3はトルク検出器、4はギア伝動機構、5はソケット、6はレゾルバー、7は増幅器、8は締付開始用スイッチ、9はコントローラー、10は電気ケーブル、11はボルトを示している。
【0031】
締付機本体1は、中空円筒状をなし、内部にサーボモータ2、トルク検出器3、ギア伝動機構4、レゾルバー6、増幅器7を適宜の配置で設置し、先端の横側面にソケット5の回転軸5aを軸受1aを介して回転可能に設置し、後部に締付開始用スイッチ8を設置している。
【0032】
サーボモータ2は、コントローラー9のコンピューター9aから発信される制御電気信号をサーボアンプ9bで増幅して電気ケーブル10を介して駆動制御される。そして、一方の出力軸2aをトルク検出器3及びギア伝動機構4を介して傘歯車4a、4bによりソケット5の回転軸5aに回転力を伝達するように連結されている。
【0033】
トルク検出器3は、サーボモータ2からギア伝動機構4を経由してソケット5に伝達される回転トルクを該トルクに比例した電気信号に変換して増幅器7に電気ケーブル10を介して送信し、該増幅器7で増幅した電気信号を電気ケーブル10を経由してコントローラー9のA/D変換器9cに送信し、A/D変換してコンピューター9aに送信している。
【0034】
ギア伝動機構4は、サーボモータ2の出力軸2aからの回転トルクをソケット5に伝達するもので、適宜のギア機構で構成している。
【0035】
ソケット5は、ボルト11の頭部又はナット(図示省略)に嵌合して回転トルクを伝達し得る角孔が形成されたアダプターが交換可能に取付けられている。アダプターは、適用するボルト11又はナットのサイズに適合したものが複数種類準備されている。
【0036】
レゾルバー6は、サーボモータ2のもう一つの出力軸2bに連結されており、サーボモータ2の回転子(図示省略)の回転角度を電気信号に変換して増幅器7に送信し、該増幅器7で増幅して電気ケーブル10を介してコントローラー9のA/D変換器9cに送信し、A/D変換してコンピューター9aに送信している。
【0037】
増幅器7は、トルク検出器3の検出するトルク信号とレゾルバー6が出力するサーボモータ2の回転角度信号とを増幅して電気ケーブル10を介してコントローラ9のA/D変換器9cに送信するものである。
【0038】
締付開始用スイッチ8は、締付機本体1の後部側面に設置され、通常はOFFとされ、作業者(図示省略)が押すことによりONとなって、電気ケーブル10を介してコントローラー9のインターフェース9dを経由してコンピューター9aに締め付け動作開始信号を送信するものである。
【0039】
コントローラー9は、所定の目標トルク及びそれより低い設定可能な所定トルクの設定手段を有し、それらのトルクをコンピューター9aの書き換え可能な記憶部に記憶させ、かつ、締付機本体1の締付開始用スイッチ8からの締付開始信号でサーボアンプ9bを経由してサーボモータ2に回転駆動信号を出力し、トルク検出器3及びレゾルバー6の出力信号を受信してサーボモータ2を制御するものである。このコントローラー9には、トルク検出器3から送信されるトルクを画面に表示する表示手段(図示省略)が接続され、また、コントローラー9に目標トルクの上下限トルクを設定可能とし、最終締付トルクの判定機能及び判定結果の表示機能を具備させることができる。さらに、コントローラー9に、判定結果の記録収集機能及び記録収集データの外部出力機能を具備させることができる。これらの機能は、オプション機能としてコントローラー9に装備可能とされる。また、コントローラー9に、制御プログラムの切り替えにより、締付機本体1を含む全体を締付トルクの検査用トルクレンチとして使用可能な機能を具備させることもできる。この機能は、サーボモータ2の回転子を電気的にロックするサーボロック回路を利用して行わせることができ、例えば、締付プログラムと検査プログラムとを選択可能とし、検査プログラムを選択すれば、サーボロック回路によりサーボモータ2の回転子を回転不能にロックさせるようにする。
【0040】
本発明の実施の形態は、以上の構成からなるもので、次に動作を説明する。先ず、コントローラー9に目標トルクと、それより低い所定トルクを設定する。そして、締付プログラムを入力する。この締付プログラムは、トルク検出器3から送信されるトルク信号を受信し、ねじの締付開始から所定トルクまでの仮締め工程をサーボモータ2によってソケット5を回転駆動させ、所定トルクの検出時点以後から目標トルクになるまでの本締め工程の間、サーボモータ2をサーボロックさせて回転不能とし、目標トルクに達すると、サーボロックを解除する内容をコンピューター9aに与えるものである。
【0041】
上記準備が終了すると、締付機本体1を片方の手で持ち、もう一方の手で締め付け対象物の締付箇所にボルト11又はナットを供給装着し、そのボルト11又はナットにソケット5を嵌合させ、一方の手で締付開始用スイッチ8を押しながら両手で締付機本体1を支持する。これにより、締付プログラムがスタートする。
【0042】
図2は締め付け動作のタイムチャートであり、図3はフローチャートであって、締付開始用スイッチ8がONされることによって図3に示す締め付け工程がスタートする。これにより、図1のサーボモータ2が回転駆動され、出力軸2a、トルク検出器3、ギア伝動機構4、傘歯車4a、4b及び回転軸5aを経由してソケット5が高速回転され、ボルト11又はナットの締め付けを行う。この締め付け動作中、トルク検出器3から検出される締付トルクがコントローラー9のコンピューター9aに送信され、設定された所定トルクと比較し、締付トルクが所定トルク以下である間はサーボモータ2を回転駆動させ続け、締付トルクが所定トルクに達すると、サーボモータ2の回転駆動を停止すると共に、サーボロック回路を動作させてサーボモータ2の回転子を電気的に固定、即ち、サーボロック状態とする。これで本発明における仮締め工程は終了する(図2参照)。
【0043】
次に、本発明の本締め工程に移行する。この本締め工程は、仮締め工程が終了した状態の締付機本体1を作業者が手動で回動操作して行う。この操作は、ボルト11又はナットを中心として締付機本体1をねじが締まる方向(通常は時計方向)に回動操作することにより行うことができる。即ち、サーボモータ2は、サーボロック状態にあるため、ソケット5も固定され、締付機本体1全体がスパナと同様となる。そこで、作業者が締付機本体1を手動で回動操作してボルト11又はナットを所定トルクから目標トルクに向けて締め付けて行く。このときの締付トルクは、トルク検出器3によりコントローラー9のコンピューター9aに送信され、表示されているため、作業者がこの表示を確認しながら締め付け(手締め)を行うことができる(図2参照)。
【0044】
従って、例えば、図3に示すように、所定トルクが5N.mに設定され、目標トルクが20N.mとされている場合、所定トルク以上で目標トルク以下の任意のトルクの時点で締め付けを終了することもできる。図3の右側のフローは、例えば、10N.mと15N.mとで締め付けを終了することも可能であることを表している。従って、本発明によれば、目標トルクが異なる締め付け対象物や締め付け箇所を連続して締め付ける場合、最大の目標トルクだけを設定しておき、それ以下の目標トルクの締め付けに対しては、作業者がコントローラー9に表示されるトルクを見ながら手締めして該当するトルクになった時点で締め付けを終了すればよい。
【0045】
このようにして、手締めによる締め付けトルクがコントローラー9に設定した目標トルクに達すると、サーボモータ2の制御がシャットオフされ、サーボロックが解除されるため、ソケット5が空転する状態となり、それ以後、手締めをしてもボルト11又はナットは回転せず、増し締めされることはない。
【0046】
次の締め付けを開始するには、再び、締付開始用スイッチ8をONにすればよく、これにより、前記動作を行わせることができる。
【0047】
以上、本発明図示の実施の形態につき説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、コントローラー9には、締付トルクが目標トルクになったかどうかを判定表示又は報知させる機能を具備させることができる。例えば、目標トルク以下であると、ブザーや赤ランプ点灯等で作業者に報知させることができる。また、目標トルクに上限と下限とを設定可能とし、その範囲内にある場合を合格、ない場合を不合格として、判定表示及び報知させることもできる。さらに、これらの判定結果を表示する機能及び外部に出力する機能を具備させることができる。また、駆動手段は、サーボモータ以外でもよい。
【0051】
請求項1の発明によれば、締め付け開始から所定トルクまでの多くの回転量を必要とする仮締め工程を駆動手段により高速回転で行わせることができるため、短時間で仮締めを行うことができ、しかも、その間のトルクは低いため、作業者への反力衝撃を小さくすることができる。そして、本締め工程では、駆動手段を通してソケットを回転不能にロックさせることによって、作業者が締付機本体をスパナと同様に手動操作して本締めを行うことができる。この本締め工程では、大きいトルクを必要とするが、回転量は少なく、しかも、作業者自身が手動で締め付けを行うものであるため、作業者自身へ反力衝撃が不用意に掛かるようなことがなく、安心して締め付け作業を遂行させることができる。また、作業者の手動操作による本締め工程で目標トルクに達すると、駆動手段を通してソケットのロックを解除させているため、それ以後は、作業者が締付機本体を手動操作しても、ソケットが空転し、増し締めされることがない。従って、確実に目標トルクに締め付けることができる。
【0052】
請求項2の発明によれば、作業者が手動で行なう本締め工程での締付トルクをコントローラーの表示により確認することができ、従って、トルクチェックをしながら本締めすることができる。それ故に、この構成によれば、締付機本体のみで締め付け工程と締付トルクの検査工程の二工程を一つにまとめて行うことができる。また、本締め工程では、コントローラーに表示されるトルクによって、現在の締付トルクがリアルタイムで確認できるため、目標トルクまでの任意の締付トルクで締め付けを終了することもでき、従って、最終締付トルクを任意に調整することができる。
【0053】
請求項3の発明によれば、作業者による手動での本締め工程において、目標トルクに対してある程度の許容範囲を設定しておき、最終締付トルクの合否判定を行うことができる。なお、許容範囲の上限トルクに達すると、ソケットのロックが解除されるため、増し締めとなることはない
【0054】
請求項4の発明によれば、流れ作業等で多数の締め付け対象物を締め付ける場合等においては、個々の対象物の最終締付トルク及び判定結果のデータをその都度監視し或いは一括管理することができ、品質管理に貢献し得る
【0055】
請求項5の発明によれば、駆動手段によりソケットを高速回転させて行う仮締め工程の後半での締め付け反力を目標トルクの1/3〜1/4程度に低くして作業者への反力衝撃を小さくすることができ、安全である。
【0056】
請求項6の発明によれば、駆動手段を通してソケットを回転不能にロック手段に機械的機構が加わらず、締付機本体の構成が簡単となり、安価に提供することができる。
【0057】
請求項7の発明によれば、締付機本体に装備した締付開始用スイッチによりサーボモータによる仮締め工程を実行し、続いて、手動による本締め工程を実行することができ、その際、ソケットの回転軸が締付機本体に横向きに設けられているため、締付機本体を梃子レバーとして利用でき、作業者の労力を軽減することができる。
【0058】
請求項8の発明によれば、本発明のねじ締付装置を用いて、プログラムを切り替えることにより、既に締め付けが終了した製品のねじ締め品質のチェックを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のねじ締付方法に直接使用するねじ締付装置の一つの実施の形態を示す概略図。
【図2】本発明のねじ締付動作のタイムチャート。
【図3】本発明のねじ締付動作のフローチャート。
【図4】従来のねじ締付動作のフローチャート。
【符号の説明】
1 締付機本体
1a 軸受
2 サーボモータ
2a、2b 出力軸
3 トルク検出器
4 ギア伝動機構
4a、4b 傘歯車
5 ソケット
5a 回転軸
6 レゾルバー
7 増幅器
8 締付開始用スイッチ
9 コントローラー
9a コンピューター
9b サーボアンプ
9c A/D変換器
9d インターフェース
10 電気ケーブル
11 ボルト

Claims (8)

  1. ねじに嵌合されるソケットと、先端に前記ソケットを回転可能に装着した締付機本体と、該締付機本体内に設置され、前記ソケットを回転駆動する駆動手段と、前記ソケットによるねじ締付トルクを検出するトルク検出器と、該トルク検出器から送信されるトルク信号を受信し、ねじの締付開始から目標トルクよりも低い設定可能な所定トルクまでの仮締め工程を前記駆動手段によるソケットの回転駆動を可能とし、前記所定トルクの検出時点以後から目標トルクになるまでの本締め工程の間、前記駆動手段を通してソケットを回転不能にロックさせ、目標トルクに達すると、前記ロックを解除する機能を有するコントローラーとで構成したことを特徴とするねじ締付装置。
  2. 前記トルク検出器の検出トルクを表示する手段を前記コントローラーに具備させたことを特徴とする請求項1に記載のねじ締付装置。
  3. 前記コントローラーに目標トルクに対する最終締付トルクの判定機能及び判定結果の表示機能を具備させたことを特徴とする請求項1又は2に記載のねじ締付装置。
  4. 前記請求項3に記載のコントローラーに、判定結果の記録収集機能及び記録収集データの外部出力機能を具備させたことを特徴とするねじ締付装置。
  5. 前記コントローラーの所定トルクが、着座トルク付近のトルクであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のねじ締付装置。
  6. 前記駆動手段がサーボモータであり、かつ、前記駆動手段を通じてソケットを回転不能にロックする手段がサーボモータの回転子を電気的にロックするサーボロック回路で構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のねじ締付装置。
  7. 前記締付機本体内には、サーボモータからトルク検出器及び伝動ギア機構を介してソケットに回転力を伝達し、かつ、サーボモータの回転子の回転角度を電気信号に変換するレゾルバー及び該レゾルバーからの電気信号並びに前記トルク検出器からの検出トルク信号を増幅してコントローラーに出力する増幅器が設置され、しかも、締付開始用スイッチが締付機本体の一部に装備されており、前記ソケットの回転軸が締付機本体に横向きに設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のねじ締付装置。
  8. 前記コントローラーがプログラムの切り替えにより、締付機本体を含む全体を締付トルクの検査用トルクレンチとして使用可能な機能を具備していることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のねじ締付装置。
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