JP3667441B2 - 音部記号の選択方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、音部記号の選択方法に関し、さらに詳細には、演奏データを音符として五線譜上に楽譜表示する際に用いて好適な音部記号の選択方法に関する。
【0002】
【発明の背景および発明が解決しようとする課題】
一般に、演奏データを音符として五線譜上に楽譜表示する場合には、音部記号としてト音記号、ヘ音記号あるいはハ音記号などが用いられる。
【0003】
ところが、ある特定の音部記号のみを用いて楽譜表示を行った場合には、当該音部記号に対して非常に高い音または非常に低い音に対応する音符を表示する場合には、五線譜の加線の数を増加させなければ表示することができず、また表示することができたとしても判読し難いという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、演奏データにより示される音符の音高に応じた音部記号を選択することができるようにして、当該選択された音部記号を五線譜上に表示することにより、五線譜の加線の数を増加させることなく、楽譜上に広範囲の音域の音符を表示することを可能にした音部記号の選択方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による音部記号の選択方法は、楽曲の所定の小節区間を検出すると共に、該所定小節区間内に含まれる全ての演奏データが表す音高を検出し、上記検出による検出結果に基づき、複数の音部記号をそれぞれ表示するための音部記号データの中から、所定の選択基準により所定の音部記号を示す音部記号データを上記所定小節区間毎に選択するようにしたものである。
【0006】
ここで、上記所定の選択基準は、上記検出結果に基づく音高の平均値と所定の基準値とを比較し、上記比較による比較結果に応じて所定の音部記号を示す音部記号データを選択するものとすることができる。
【0007】
また、上記所定の選択基準は、上記検出結果に基づく最高音と最低音との音高の平均値と所定の基準値とを比較し、上記比較による比較結果に応じて所定の音部記号を示す音部記号データを選択するものとすることができる。
【0008】
さらに、上記所定の選択基準は、上記検出結果に基づく音高の中で所定の基準値より高い音高と低い音高との数をそれぞれ算出し、上記算出による算出結果に応じて所定の音部記号を示す音部記号データを選択するものとすることができる。
【0009】
従って、本発明による音部記号の選択方法によれば、演奏データにより示される音符の音高に応じた音部記号を示す音部記号データが選択されることになるので、当該選択した音部記号データが示す音部記号を五線譜上に表示することにより、五線譜の加線の数を増加させることなく、楽譜上に広範囲の音域の音符を表示することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による音部記号の選択方法の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0011】
図1には、本発明による音部記号の選択方法を実施するための、典型的なパーソナル・コンピュータのハードウェア構成を示すブロック図が示されている。
【0012】
近年、パーソナル・コンピュータに高性能のCPUおよびCPUが処理したデータをアナログ信号として外部へ出力するためのD/A変換器(デジタル−アナログ変換器)が搭載されるようになってきたことに伴い、演奏データの処理のための専用のハードウェアたるシンセサイザーやシーケンサーを用いる代わりに、パーソナル・コンピュータにより演奏データを処理することが可能となってきており、本発明による音部記号の選択方法も、こうしたパーソナル・コンピュータ上において実施可能なものである。
【0013】
この図1に示すパーソナル・コンピュータは、極めて一般的な構成を備えており、バス10を介して、CPU12と、RAMよりなるメモリ14と、ディスクコントローラ16と、ビデオカード18と、I/Oカード20と、サウンドカード22とが接続されており、さらに、ディスクコントローラ16にはハードディスク24が接続され、ビデオカード18にはディスプレイ装置26が接続され、I/Oカード20にはキーボード28およびマウス30が接続されている。
【0014】
ハードディスク24には、演奏データ、五線譜データ、音部記号としてト音記号、ヘ音記号ならびにハ音記号を表示するための音部記号データなどが格納されている。
【0015】
このパーソナル・コンピュータにおいては、CPU12の制御によって、ハードディスク24に格納された演奏データ、五線譜データ、音部記号データなどがディスクコントローラ16によりメモリ14上に読み出される。
【0016】
そして、CPU12の制御によって、メモリ14上に読み出された演奏データに基づいて、サウンドカード22から楽音信号が出力されるものである。
【0017】
また、CPU12の制御によって、メモリ14上に読み出された演奏データおよび音部記号データに基づいて、本発明による音部記号の選択方法の処理の実行により所定の音部記号を示す音部記号データが選択される。こうして選択された音部記号データ、五線譜データおよび演奏データに基づいて、ディスプレイ装置26上に音部記号、五線譜および音符を含む楽譜が表示されることになる。
【0018】
なお、この実施の形態においては、演奏データはMIDI規格に準拠したものとし、各トラック毎に各パートの演奏データが記憶されているものとする。また、演奏データには、音部記号を示すデータは含まれていないものとする。
【0019】
図2は、本発明による音部記号の選択方法を実施するためのCPU12のソフトウェアを示すフローチャートである。なお、上記したように演奏データは複数トラックにより構成されるものであるが、図2には1つのトラックの処理のみ示すこととし、他のトラックについても図2と同様な処理を行うものとする。
【0020】
また、理解を容易にするために、音部記号としてはト音記号あるいはヘ音記号のいずれかを選択するものとする。
【0021】
このフローチャートの処理が起動されると、まず、演奏データの示す最初の1小節内に含まれる音符のノート・ナンバー(MIDI規格における音高を示すデータ)を検出して加算し、その加算結果を当該音符の個数で除算して、最初の1小節内のノート・ナンバーの平均値Xを求める(ステップS202)。
【0022】
なお、この実施の形態において、1小節の区間の検出は、演奏データ中に小節線を示すデータを記憶している場合には、当該小節線を示すデータを検出するまでの区間を1小節の区間として検出するものとし、また、演奏データの拍子とテンポが分かっている場合には、音符の長さを累算することにより1小節の区間を検出するものとする。
【0023】
次に、1小節内のノート・ナンバーの平均値Xが、60以上であるか否かを判断する(ステップS204)。MIDI規格における60というノート・ナンバーの値は、通常の鍵盤楽器における中央のC(C3)の音高を表している。
【0024】
ステップS204において、1小節内のノート・ナンバーの平均値Xが60以上であると判断された場合には、ト音記号を表示するための音部記号データを選択し(ステップS206)、フラグfに1をセットしてから(ステップS208)、ト音記号を表示するための音部記号データに基づき、五線譜データに基づいてディスプレイ装置26上に表示されている五線譜の先頭部分にト音記号を表示する(ステップS210)。
【0025】
一方、ステップS204において、1小節内のノート・ナンバーの平均値Xが60以上でないと判断された場合には、ヘ音記号を表示するための音部記号データを選択し(ステップS212)、フラグfを0にクリアしてから(ステップS214)、へ音記号を表示するための音部記号データに基づき、五線譜データに基づいてディスプレイ装置26上に表示されている五線譜の先頭部分にへ音記号を表示する(ステップS216)。
【0026】
上記のようにしてト音記号あるいはヘ音記号を表示した後には、ノート・ナンバーの平均値Xを求めた1小節内の音符を、ディスプレイ装置26上に表示されている五線譜の所定の小節内に表示する(ステップS218)。
【0027】
それから、演奏データに次の1小節を示すデータがあるか否かを判断し(ステップS220)、次の1小節を示すデータがある場合には、当該1小節内に含まれる音符のノート・ナンバーを検出して加算し、その加算結果を当該音符の個数で除算して、当該1小節内のノート・ナンバーの平均値Xを求める(ステップS222)。
【0028】
そして、フラグfに1がセットされているか否かを判断し(ステップS224)、フラグfに1がセットされている場合には、ステップS222で求めた1小節内のノート・ナンバーの平均値Xが、54以上であるか否かを判断する(ステップS226)。MIDI規格における54というノート・ナンバーの値は、通常の鍵盤楽器における中央のCの下のG(G2)の音高を表している。
【0029】
ステップS226において、1小節内のノート・ナンバーの平均値Xが54以上であると判断された場合には、フラグfに1がセットされていてディスプレイ装置26上の五線譜には既にト音記号が表示されているので、音部記号を変更することなくステップS218へ戻って、ステップS218以降の各ステップの処理を繰り返す。
【0030】
一方、ステップS226において、1小節内のノート・ナンバーの平均値Xが54以上でないと判断された場合には、へ音記号を表示するための音部記号データを選択し(ステップS228)、フラグfを0にクリアしてから(ステップS230)、へ音記号を表示するための音部記号データに基づき、五線譜データに基づいてディスプレイ装置26上に表示されている五線譜の、ステップS222における処理対象の小節の先頭部分にへ音記号を表示する(ステップS232)。それからステップS218へ戻って、ステップS218以降の各ステップの処理を繰り返す。
【0031】
一方、ステップS224で、フラグfが0にクリアされている場合には、ステップS222で求めた1小節内のノート・ナンバーの平均値Xが、65以上であるか否かを判断する(ステップS234)。MIDI規格における65というノート・ナンバーの値は、通常の鍵盤楽器における中央のCの上のF(F3)の音高を表している。
【0032】
ステップS234において、1小節内のノート・ナンバーの平均値Xが65以上でないと判断された場合には、フラグfが0にクリアされていてディスプレイ装置26上の五線譜には既にへ音記号が表示されているので、音部記号を変更することなくステップS218へ戻って、ステップS218以降の各ステップの処理を繰り返す。
【0033】
一方、ステップS234において、1小節内のノート・ナンバーの平均値Xが65以上であると判断された場合には、ト音記号を表示するための音部記号データを選択し(ステップS236)、フラグfに1をセットしてから(ステップS238)、ト音記号を表示するための音部記号データに基づき、五線譜データに基づいてディスプレイ装置26上に表示されている五線譜の、ステップS222における処理対象の小節の先頭部分にト音記号を表示する(ステップS240)。それからステップS218へ戻って、ステップS218以降の各ステップの処理を繰り返す。
【0034】
従って、演奏データにより示される音符の音高に応じた音部記号を示す音部記号データが選択されることになり、当該選択された音部記号データが示す音部記号が五線譜上に表示されるので、五線譜の加線の数を増加させることなく、楽譜上に広範囲の音域の音符を表示することができる。
【0035】
また、楽譜上に既にト音記号が表示されている場合には、ト音記号を表示するかへ音記号を表示するかを判断するための基準値をノート・ナンバーの54とし(ステップS226参照)、ステップS202の初期状態における基準値である60よりも低い音高とし、楽譜上に既にへ音記号が表示されている場合には、ト音記号を表示するかへ音記号を表示するかを判断するための基準値をノート・ナンバーの64とし(ステップS234参照)、ステップS202の初期状態における基準値である60よりも高い音高としているので、一旦表示された音部記号を頻繁に変更することを抑止することができる。
【0036】
なお、上記した実施の形態においては、1小節内の全ての音符の音高の平均値を求め、当該平均値と基準値とを比較して音部記号を選択しているが、1小節内の最高音と最低音とを求め、これら最高音と最低音との平均値と基準値とを比較して音部記号を選択するようにしてもよい。
【0037】
また、所定の基準値(例えば、ノート・ナンバーの60)より高い音高の音符の数と低い音高の音符の数とを比較し、高い音高の音符の数の方が多い場合には高音用の音部記号(例えば、ト音記号)を選択し、低い音高の音符の数の方が多い場合には低音用の音部記号(例えば、へ音記号)を選択するようにしてもよい。
【0038】
また、上記した実施の形態においては、音部記号の選択の判断を1小節毎に行っているが、あまり頻繁に音部記号が変化すると判読し難い恐れがあるので、例えば、音部記号を1小節だけ変化させてまた元に戻るような場合には、音部記号の表示を変化させないようにしてもよいし、当該1小節のみオクターブ変更の表示をして音符の位置を変更するようにしてもよい。また、音部記号の選択の判断を、複数小節を単位として行ってもよい。
【0039】
また、上記した実施の形態においては、ハ音記号の選択に関する説明を省略したが、上記と同様な処理により、ハ音記号の選択を行うことができる。
【0040】
また、演奏データが複数のパート(例えば、それぞれが異なるMIDIチャンネル)で構成される場合には、パート毎に音部記号を選択し、選択した音部記号に応じて各音符を表示するようにしてもよい。このようにすると、例えば、ピアノを演奏する演奏データにおいて、右手により演奏される演奏データのMIDIチャンネルと左手により演奏される演奏データのMIDIチャンネルとを異なるように入力しておき、右手が演奏する高音部はト音記号で自動的に表示させ、左手が演奏する低音部はヘ音記号で自動的に表示させるようにすることができる。
また、このような場合には、パート毎に音部を選択するための音高の基準値を設定することができるようにしておき、右手の場合には基準値を低く、左手の場合には基準値を高くすることが好ましい。即ち、MIDIチャンネル毎に、音部を選択するための音高の基準値を異なるように設定するようにしてもよい。
【0041】
また、音部を選択するための音高の基準値は、使用する楽器(音色)に応じて設定するようにしてもよい。例えば、ベースの場合には、通常、音部記号はヘ音記号で表すので、基準値を高く設定するようにすればよい。一方、フルートなどの場合には、ベースの場合とは逆に、音部記号としてはト音記号を使用することが多いので、基準値を低く設定するようにすればよい。
【0042】
また、ピッコロのように音高が比較的高い場合には、実際の音高より1〜2オクターブ低く表示したり、それとは逆に、ギターやベースのように音高が比較的低い場合には、実際の音高より1〜2オクターブ高く表示したりすることが多いが、こうした場合には、曲の演奏データの先頭部分にその旨を記憶しておき、オクターブ変換した値で音部記号を選択するようにしてもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上において説明したように、本発明による音部記号の選択方法によれば、演奏データにより示される音符の音高に応じた音部記号を選択することができるようになり、当該選択された音部記号を五線譜上に表示することによって、五線譜の加線の数を増加させることなく、楽譜上に広範囲の音域の音符を表示することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による音部記号の選択方法を実施するための、典型的なパーソナル・コンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】本発明による音部記号の選択方法を実施するためのCPUのソフトウェアを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 バス
12 CPU
14 メモリ
16 ディスクコントローラ
18 ビデオカード
20 I/Oカード
22 サウンドカード
24 ハードディスク
26 ディスプレイ装置
28 キーボード
30 マウス
Claims (4)
- 楽曲の所定の小節区間を検出すると共に、該所定小節区間内に含まれる全ての演奏データが表す音高を検出し、前記検出による検出結果に基づき、複数の音部記号をそれぞれ表示するための音部記号データの中から、所定の選択基準により所定の音部記号を示す音部記号データを前記所定小節区間毎に選択することを特徴とする音部記号の選択方法。
- 請求項1記載の音部記号の選択方法において、
前記所定の選択基準は、前記検出結果に基づく音高の平均値と所定の基準値とを比較し、前記比較による比較結果に応じて所定の音部記号を示す音部記号データを選択するものである
ことを特徴とする音部記号の選択方法。 - 請求項1記載の音部記号の選択方法において、
前記所定の選択基準は、前記検出結果に基づく最高音と最低音との音高の平均値と所定の基準値とを比較し、前記比較による比較結果に応じて所定の音部記号を示す音部記号データを選択するものである
ことを特徴とする音部記号の選択方法。 - 請求項1記載の音部記号の選択方法において、
前記所定の選択基準は、前記検出結果に基づく音高の中で所定の基準値より高い音高と低い音高との数をそれぞれ算出し、前記算出による算出結果に応じて所定の音部記号を示す音部記号データを選択するものである
ことを特徴とする音部記号の選択方法。
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JP14782196A JP3667441B2 (ja) | 1996-05-20 | 1996-05-20 | 音部記号の選択方法 |
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