JP3667089B2 - 水処理装置の生物担体 - Google Patents

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    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は河川水や都市排水などの水を浄化する水処理装置として用いられる水槽、曝気槽又は水路内に設置され、汚泥微生物を付着させるための生物担体、とくに汚泥微生物の付着機能部として繊維材からなる生物担体の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、繊維材からなる生物担体として、例えば実開平5−88700号公報、実開平5−80597号公報、等に示すものが知られている。それらの公報に見られるような従来のこの種の生物担体1は図6に示すように、1本の芯2のまわりに汚泥微生物付着機能を有する繊維材からなる部分3が形成されて紐状に構成され、場合によっては図7に示すように芯2がひねられた型で用いられた。このような生物担体は水槽(曝気槽)内の深さ方向、即ち垂直方向に吊り下げて使用されたため、以下に記載するような問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の生物担体では一つの芯のまわりに繊維材が取付けられたため、取付けられる繊維材に限界があり、且つ生物担体の幅寸法は大きくとれず、垂直(鉛直)方向に設置され、使用態様が限定された。そのため水処理装置の設計条件にマッチした使用態様がとれず、また水槽又は曝気槽もしくは水路も或る程度の深さを必要とした。
【0004】
また、曝気槽を深くすればその水深に相応して底部にかかる水圧が大きくなり、曝気槽を高強度の水槽で構成しなければならず、及び水処理装置の設置位置の地盤も杭などにより地盤強化しなければならない。さらに、例えば都市排水路浄化施設など、新しい方式の水深1メ−トル以内の浅い水路もしくは浅い水槽又は曝気槽では、従来の生物担体では長さを短くして多数のものを設けなければならず、そのため取付工数も多くなり且つ水の流れも阻害する等の問題点があった。
【0005】
本発明の目的は上記従来技術の問題点を解消することであって、それ故、設計条件に応じて各種の態様をとることができ、比較的浅い水路又は曝気槽内にも生物接触材として有効に使用し得る水処理装置の生物担体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の目的を達成するため、本発明による水処理装置の生物担体は、水処理装置の水槽又は曝気槽もしくは水路内に設置され且つ微生物付着機能部としての繊維材を有する生物担体において、該生物担体には同一面内に互いに離れて配置され且つ前記繊維材が取付けられる二本の線状の芯が備えられていることを特徴とし、これによって微生物付着機能部の所要面を確保し得ると共に、水平もしくは水平に近い傾斜状態で設置するのを可能にし、浅い曝気槽又は水路内にも有効に用い得る。
【0007】
本発明による生物担体の好ましい態様では二本の線状の芯が互いに平行に設けられ、さらに別の好適な態様では二本の線状の芯の間にスペ−サが設置され、その間の間隔を適切に確保し得るようになっている。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照のもとに本発明の実施例を説明する。図1は本発明による生物担体10の典型的な一例を示すものであって、この生物担体10も微生物、即ち汚泥微生物を付着させ、水処理装置としての役割を果す水槽又は曝気槽もしくは浄化区域として用いられる水路の内部に設置される。
【0009】
この生物担体10の特徴は図1及び図2に示すように、基本的にはほぼ平面状に構成され、その面内に、従って同一面内において互いに離れて配置された二本の線状の芯11を含むことである。この二本の線状の芯11は生物担体10の長手方向に沿って設けられる。これらの芯11のまわり又は芯11の両側及び該二本の線状の芯の間に微生物付着機能部たる繊維材12が取付けられる。これらの繊維材12は図示のように好ましくは羽根状の部分として設けられる。
【0010】
生物担体10を構成する二本の線状の芯11及び繊維材12はその材質を特に限定する必要はなく、設計条件により適当なものが用いられ、又は従来と同じ材質のものであってもよく、従って例えば繊維材12としてはポリ塩化ビニリデン又はナイロンなどの繊維材が用いられる。一般にはダイオキシンの問題がないポリプロ系の繊維を用いるのが好ましい。また繊維材12の繊維としての形状も特定のものである必要はなく、一例では10〜100μm径の糸状の繊維が用いられる。芯11も好ましくは樹脂で形成され、繊維材12と同じ材質であってもよく、及びその断面も任意の形状であってよい。
【0011】
このように本発明による生物担体10は二本の線状の芯11を中心に構成されるので、その間隔を適度に拡げることによって所要の幅寸法を確保することができる。そのため図2に示すように、水槽15が比較的浅い場合には好適に該水槽内に水平に設置することができ、生物担体10の両側のみでなく、その二本の線状の芯11の間にも微生物付着機能部としての繊維材12が備えられる利点がある。
【0012】
なお、図2から明らかなように、水平に設置される場合、水の流れを阻害しないため水の流れに平行に配置されるのが好ましく、且つ複数の生物担体10が層状に配置される。その場合、各層間の間隔はこの生物担体10の全幅寸法をAとすれば、通常、1/2・A〜3/2・Aであるのが好ましい。
【0013】
この生物担体10は微生物をホ−ルドする機能部として、各芯11の外側に羽根状に展開する繊維材の部分12a及び二本の線状の芯11の間の繊維材の部分12bを含むので、該機能部として充分な区域又は容量を確保することができ、従って効果的に汚泥微生物を付着することができ、微生物の作用を活発にする。そのため、この生物担体10にホ−ルドされた微生物による生物学的接触酸化作用によって排水中の有機性汚濁物質が捕捉、分解され、所期の水処理性能を確保するのを可能にする。
【0014】
生物担体10の全長にわたり一定の幅寸法を確保し、浅い水槽又は水路等に水平状態もしくは水平に近い傾斜状態で好適に設置し得る点で、二本の線状の芯11は図1に示すように互いに平行に備えられるのが好ましいが、所望により図3に示すように平行でなく、その間の間隔にばらつきがあってもよい。このように二本の線状の芯11が平行でない形態では、この生物担体10は施工上及び管理上の観点から或る程度の深さを有する水槽又は曝気槽内に垂直に設置するのが好ましい。
【0015】
二本の線状の芯11の間隔は設計条件により適当な寸法にとられるが、その間隔を安定させるため図3に示すように、二本の線状の芯11の間に概して棒状のスペ−サ13が適当な間隔で取付けられるのが好ましい。このスペ−サ13は或る程度の剛性があれば任意の材質であってよく、好ましくは比較的軽い材料で且つ微生物が付着しやすい材料で構成される。スペ−サ13は一例では略200〜1000mmの間隔で取付けられる。
【0016】
また、この生物担体10はその長手方向に延びる二本の線状の芯11を備えることによりその間の中央に沿って2つ折りにして、図4に示すように、ひねった型にして垂直に吊り下げて使用することもでき、前述のように2芯型の特長を有すると共に、必要に応じて従来の1芯型と同様な使用形態もとることができる。
【0017】
なお、前述のように、本発明による生物担体10は図2に示すように、長手方向に関し水平に且つ幅方向に関しても水平に設置し得ると共に、図5に示すように、長手方向に水平に設置して幅方向に立てた状態で設置しても、同様に浅い水路又は水槽に有効に用いることができ、また場合によっては幅方向に傾斜して設置してもよく、設計条件により適宜選択することができる。
【0018】
とくに本発明の生物担体10は比較的大きな幅寸法を確保し得ると共にそれを水平に配置しても微生物付着機能部を好適に確保し得ることから水平に設置するのに適し、従って既存の浅い水路、とりわけ都市排水路浄化施設の水深1m以内の浅い水路に設置すれば、従来の垂直に設けられる生物担体1に比し、少ない本数の生物担体で所要の浄化性能を確保することができ且つ水流に対する抵抗も小さく、水路としての役割も阻害しないので極めて有利に使用することができる。なお、図には省略されているが、場合によっては生物担体10の長手軸線を傾斜させて設けることもできる。
【0019】
【発明の効果】
上記のように、本発明によれば、生物担体はその長手方向に沿って二本の線状の芯が備えられ、また、繊維を構成する横糸の端部は環状に折り返されているので、繊維材が縺れ合うことなく、微生物付着機能部を充分確保することができる。そのため、水槽や水路等に水平に又は傾斜して設置することができ、浅い水槽や曝気槽を水処理装置として活用することができるほか、既存の都市排水路浄化施設、とりわけ水深1m以内の浅い水路に直接設置することもでき、そのような浅い水路を水処理装置として活用することができる。その上、水処理装置の設計条件により各種の態様で使用することができる。
【0020】
また、本発明による生物担体における二本の線状の芯を互いに平行に配置することによって、この生物担体の全長にわたり一定の幅寸法を確保することができ、水平又は水平に近い傾斜した状態で設置する場合、有利に使用し得る利点がある。
【0021】
さらに、本発明の生物担体は長手方向に延びる二本の線状の芯を互いに平行に備えることによって、その間の中央に沿って2つ折りにして、図4に示すように、ひねった型にして垂直に吊り下げて使用すれば、容積あたりの微生物付着機能がさらに効率の良い使用形態となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による生物担体の一例を部分的に示す側面図である。
【図2】本発明の生物担体が水槽に設置された一例を示す側断面図である。
【図3】本発明の生物担体の他の例を示す側面図である。
【図4】本発明の生物担体の図2とは異なる使用態様を示す側面図である。
【図5】本発明の生物担体のさらに他の使用態様を示す側面図である。
【図6】従来の生物担体を部分的に示す側面図である。
【図7】従来の生物担体の一使用態様を示す側面図である。
【符号の説明】
10:生物担体、11:芯、12:繊維材、13:スペ−サ、15:水槽

Claims (1)

  1. 水処理装置の水槽又は曝気槽もしくは水路内に設置され且つ微生物付着機能部としての繊維材からなる生物担体において、前記繊維材を構成する横手方向に走らせた複数の糸の両端部を、環状に折り返し、さらにこれら複数の糸に交差するように、平行な二本の線状の芯を組み合わせたことを特徴とする水処理装置の生物担体。
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