JP2014138554A - 生物付着用担体 - Google Patents

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Kazuo Saeki
和男 佐伯
Wataru Takahashi
亘 高橋
Norifumi Nakanishi
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Hiroyuki Naito
広行 内藤
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Abstract

【課題】生物付着量を高く維持し処理能力を向上させると共に、単位装置の設計に大きな自由度を与えることができる生物付着用担体を提供する。
【解決手段】内筒1と外筒2とからなり、内筒1は壁体に空間の無いソリッド状であり、外筒2は空間のある骨格状であり、内筒1の壁体から内側に向け延びる内側フィン5および外側に向け延びる外側フィン6と、外筒2の壁体から内側に延びる内側フィン7を有する。二重筒の形状とフィンを設けたことで、比表面積が広くなり、生物付着量が多くなる。また、内筒1と外筒2の間や外筒2自体の空間により酸素、有機物の透過性も確保されているため、有機物除去やアンモニア性窒素の硝化等の処理能力も優れている。
【選択図】図1

Description

本発明は、生物付着用担体に関する。さらに詳しくは、排水処理分野で用いられる生物付着用担体に関する。
排水処理分野においては、担体に生物を付着させ、酸素供給のばっ気により水流を起こし、担体を流動させる流動槽方式が多く採用されている。
この生物を付着させる担体には、ポリビニルアルコール(PVA)やポリエチレングリコール(PEG)で形成されるビーズ状のもの(特許文献1)、スポンジ状で立方体構造をしたもの(特許文献2)、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)で形成される中空ないしは網目をもつ円筒形のもの(特許文献3)などが採用されている。
大きさは、ビーズ状のものは直径数mm程度、スポンジ状のものは立方体で一辺十数mm程度、円筒状のものは直径、長さが15〜30mm程度のものが主流である。
生物付着用担体は、生物の付着・保持量が多いものほど有効性が高い。生物付着量は比表面積に依存するところが大きいため、ビーズ状、スポンジ状、円筒状の形を問わず同様な形状の場合、必然的に担体の大きさは小さくなる。
担体が小さくなると、つぎのような問題が生じる。
(1)担体は、生活排水を処理する浄化槽において有機物を分解したり、アンモニア性窒素を酸化したりする担体流動槽、生物膜ろ過槽、接触ばっ気槽などの単位装置に投入されて使用される。そして、これらの単位装置は、その内部に担体を保持する必要があるため、装置内の水と担体を分離するためにスクリーン等の分離装置が必要となる。
この場合、担体が小さくなると分離装置の目開きが小さくなり、分離装置には夾雑物が引っ掛かり、生物膜が増長し、目詰まりを起こすことがある。さらに、このような傾向は目開きが小さいほど、目詰まり等の不具合が生じる可能性が高くなる。
(2)通常、担体を投入する単位装置の上部は開放されたものとなるが、担体が小さいと担体分離装置の目詰まり、流入水量の増大により水位が上昇する危険性がある。そして、水位が異常水位まで上昇した場合、上部開放部から担体が流出することになるので、開放部に担体の流出を防止する構造物を取り付けなければならない。
この場合、担体が小さければ、単位装置の仕切板と開口との隙間から流出してしまうことがあるため、仕切板および開口の位置をシビアに設計する必要があり、担体の流出を防止する構造物を取り付ける場所や形状が複雑になってしまう。
(3)浮遊物質を分離するのに沈殿槽を採用した場合、担体が小さければホッパー型を採用するしかなく、スロット型は底部に担体分離スクリーンを設けなくてはならなくなり、清掃等維持管理が不可能なため採用できない。
(4)小さな担体を用いた流動槽から発生する浮遊物質は担体同士の接触頻度が高く、浮遊物質が裁断され小さくなる傾向にある。そして、浮遊物質は小さくなると沈降性が悪化する。小さな担体を流動槽に投入する場合、後段の固液分離装置は生物膜ろ過など複雑なものになる場合が多い。生物膜ろ過を採用すると逆洗工程が必須であり、2口のブロワや配管に電動弁が必要になり、タイマー制御も必要になるなど、コストアップや維持管理が難しくなる。
スポンジ状の担体は、つぎのような問題がある。
比表面積は比較的大きいが、担体の中心部まで生物が必要とする酸素や有機物が浸透しないことから、中心部は無効となる。
スポンジ状の内部にガスが貯まりやすいので、いったんガスが蓄積すると、表面に浮いてしまい、処理機能が低下する。
スポンジ状であるから摩耗しやすく、定期的に補充・交換する必要が生じる。
円筒状の担体は、つぎのような問題がある。
円筒形の担体は大きくすれば、明らかに比表面積が小さくなり、処理能力が低下してしまう。また、円筒のままで大きくした担体は流動しにくくなる。
そして、担体を小さくした場合の問題点は、前記(1)〜(4)のとおりである。
特開2008−289424号公報 特開2004−267838号公報 特開平8−243579号公報
本発明は上記事情に鑑み、生物付着量を高く維持し処理能力を向上させると同時に、当該担体を用いる単位装置の設計に大きな自由度を与え維持管理も容易にできる生物付着用担体を提供することを目的とする。
第1発明の生物付着用担体は、内筒と外筒とからなり、前記内筒は壁体に空間の無いソリッド状であり、前記外筒は空間のある骨格状であり、前記内筒および外筒は、半径方向に延びるフィンを有していることを特徴とする。
第2発明の生物付着用担体は、前記フィンは、前記内筒の壁体から内側に向け延びる内側フィンおよび外側に向け延びる外側フィンと、前記外筒の壁体から内側に延びる内側フィンとからなることを特徴とする。
第3発明の生物付着用担体は、前記外筒の直径が50〜70mm、前記内筒または前記外筒の長さが60〜80mmであることを特徴とする。
第4発明の生物付着用担体は、前記内筒は前記外筒より長く、前記内筒の両端部が前記外筒の両端縁より外方に突出していることを特徴とする。
第1発明によれば、ソリッド状の内筒と網目状の外筒からなる二重骨格様の形状にすることで、大きくしたにもかかわらず、比表面積が広くなるため、生物付着量が多くなる。また、内筒と外筒の間の空間および外筒の空間を通して酸素や有機物の透過性も確保されているため、有機物除去やアンモニア性窒素の硝化等の処理能力が優れている。
第2発明によれば、内筒の内側フィンと外側フィンおよび外筒の内側フィンによりフィンの数が多くなっているので、比表面積がより広くなり、生物付着量をより多くできる。
第3発明によれば、直径も長さも従来担体の数倍の大きさとしたため、担体分離装置は不要もしくは単純な構造になり、閉塞の心配がなくなる。また、担体流出防止構造を設けるとしても単純な構造になり、施工性も向上でき、設計の自由度を上げることができる。
第4発明によれば、内側円筒の両端を長くして担体の両端を平坦でなくしたので、担体同士の面接触も生じず仕切板などに対する面接触もなくなり、多数の担体が互いに整列・密着してだんご状になったとき生ずる流れの阻害も発生しない。このため、処理水の流動性が高くなる。
本発明の一実施形態に係る生物付着用担体の斜視図である。 図1の生物付着用担体の側面図である。 図1の生物付着用担体の正面図(図2のIII−III線矢視)である。 図2のIV−IV線矢視断面図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本実施形態の生物付着用担体Aは、図1および図2に示すように内筒1と外筒2とからなり、内筒1は壁体に空間の無い板材で形成されており(いわゆるソリッド状)、外筒2は空間のある骨格状に形成されている。内筒1と外筒2とは半径方向に延びる連結板3で互いに結合されている。内筒1と外筒2とは同心状に配置されてもよく、多少偏心したものでもよい。
内筒1および外筒2は、半径方向に延びるフィンを有している。このフィンは、内筒1の壁体から内側に向け延びる内側フィン5および外側に向け延びる外側フィン6と、外筒2の壁体から内側に延びる内側フィン7とからなる。なお、外筒2の壁体から外側に延びるフィンは、担体同士の引っ掛かりや詰まりなどの原因となって、処理水の流動性を低下させるので設けていない。
図3および図4に示すように、内筒1の内側フィン5は内筒半径の1/2〜1/4位の長さであり、外側フィン6は内筒1と外筒2の間の隙間寸法(半径方向)の1/2〜1/8位の長さである。外筒2の内側フィン7は外筒半径の1/3〜1/8位の長さである。
上記のフィン長さであると、原水に含まれる処理対象である有機物、アンモニア性窒素および処理や生物の増殖に必要な酸素が通過しやすく、かつ生物を付着させるフィン面積も大きく稼ぐことができる。
外筒2の構成は、壁体に空間がありさえすれば、とくに形状の制限はないが、本実施形態では、つぎのように構成されている。
図1、図2および図4に示すように、前記内側フィン7を複数枚のリング2a〜2hで固定している。リング2a〜2hの個数は8個に限らず、より少なくてもよく多くてもよい。
この内側フィン7とリング2a〜2hが交差して結合されていることで、図4から分るように外筒2は、いわゆる骨格状となっている。なお、外筒2は円筒状の壁体に多数の孔を穿孔して構成してもよい。
以上のように、本実施形態の生物付着用担体Aは、二重の円筒状とし、内筒1はソリッド状、外筒2は骨格様とし、さらに内外の円筒1,2にはフィンを設けたことに特徴がある。このような二重筒とフィンを組合し空間を多くした構造の利点はつぎのとおりである。
a)フィンを有するソリッド状の内筒1と骨格状の外筒2からなることで、大きくしたにもかかわらず、比表面積が広くなり生物付着量が多くなる。
b)内筒1と外筒2の間の空洞と骨格状の外筒2によって、酸素、有機物の透過性も確保されているため、有機物除去やアンモニア性窒素の硝化等の処理能力が優れている。
本実施形態の生物付着用担体Aは、内筒1の両端を外筒2の両端より3〜8mmの範囲で、好ましくは5mm長くし、両端部の断面形状を台形型にしている。すなわち、前記内筒の両端部が前記外筒の両端縁より外方に突出している。このように単純な円筒ではなく、内側円筒の両端を長くした構造にしたことで、つぎのような利点が生ずる。
c)担体Aの両端部の接触面積が小さいことから、平滑面に接した場合でも旋回流に対して垂直な姿勢とはなりにくく、良好な流動性を確保することができる。
d)担体同士または仕切板などの平滑な面に対する接触面積が小さいため、担体が互いに直列に整列して密着するような状態は発生しない。このため、流動性を高く維持できる。
本実施形態の生物付着用担体Aは、外筒の直径が50〜70mm、内筒または外筒の長さが60〜80mmである。このような直径と長さの寸法は、従来担体の数倍に相当する大きさである。
このように担体の寸法を大きくすると、つぎのような利点が生ずる。
e)分離装置の担体分離スクリーンは不要もしくは目開きが大きくなり、分離装置に夾雑物が引っ掛かからず、目詰まりを起こすこともない。
f)単位装置の仕切板と開口との隙間からの担体の流出も生じないため、仕切板および開口の位置をシビアに設計する必要がなく、担体の流出を防止する構造物を取り付ける場所や形状も単純化できる。このため、施工性も向上でき、設計の自由度を上げることができる。
g)大きな担体は、ゆっくり流動するため、担体同士および担体と壁面との接触頻度が低く、衝突強度が小さいため流動槽から発生する浮遊物質の裁断も生じにくい。このため、浮遊物質は小さくなりにくいので良好な沈降性を維持できる。h)大きな担体を用いた流動槽では既述(前記g参照)のごとく、浮遊物質は大きく沈降性が良くなり、単純な構造である沈殿槽で分離可能となる。このため、後段の固液分離装置は単純なものでよく、生物ろ過膜を用いる必要もない。それゆえ、生物膜ろ過を採用した場合に必要な逆洗工程も必須でなくなり、2口のブロワや配管に電動弁が必要でなくなり、タイマー制御も必要でなくなる。これらの理由からコスト低減が可能となり維持管理も容易となる。
i)担体が大きいために、ホッパー型沈殿槽だけでなく、底部の分離スクリーンが不要のためスロット型沈殿槽も選択できるようになり、設計の自由度をあげることができる。
1 内筒
2 外筒
3 連結板
5 内側フィン
6 外側フィン
7 内側フィン

Claims (4)

  1. 内筒と外筒とからなり、
    前記内筒は壁体に空間の無いソリッド状であり、
    前記外筒は空間のある骨格状であり、
    前記内筒および外筒は、半径方向に延びるフィンを有している
    ことを特徴とする生物付着用担体。
  2. 前記フィンは、
    前記内筒の壁体から内側に向け延びる内側フィンおよび外側に向け延びる外側フィンと、
    前記外筒の壁体から内側に延びる内側フィンとからなる
    ことを特徴とする生物付着用担体。
  3. 前記外筒の直径が50〜70mm、
    前記内筒または前記外筒の長さが60〜80mmである
    ことを特徴とする生物付着用担体。
  4. 前記内筒は前記外筒より長く、前記内筒の両端部が前記外筒の両端縁より外方に突出している
    ことを特徴とする生物付着用担体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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