JP3666116B2 - 燃料噴射ノズル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンに適用される燃料噴射ノズルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、本出願人は、供給燃料の圧力即ち燃圧に応じて噴口数を変化させることのできる可変噴口式燃料噴射ノズルを提案した(実開平4-17167 号公報参照)。これにおいては、二つの針弁を異なる燃圧で独立にリフトさせ、それぞれ個別に噴口を開閉させるようにし、燃圧値に応じて噴口数を二段に切り換えられるようになっている。そして、エンジン回転数が低速側で燃圧が低い場合には、一方の針弁のみをリフトさせて少ない噴口数で燃料噴射を行い、エンジン回転数が高速側で燃圧が高い場合には、他方の針弁もリフトさせて全ての噴口から燃料噴射を行うようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来技術においては、燃圧値の高低のみに基づいて噴口数の切り換えを行っている。
【0004】
しかし、エンジンの運転状態によっては、これのみで噴口数の切り換え乃至制御を行うのが必ずしも最良とはいえない場合がある。
【0005】
例えば、図4に示すように、スモークは噴射圧力が増すと減少する傾向にあり、特に最近では排ガス規制との関係から噴射圧力は高まる傾向にある。なお、図中P=1000(kg/cm2 ) である。
【0006】
ところが、噴口数が増えると噴射圧力は減少してしまい、噴口数が増すような条件下にあっても、噴射圧力を減少させないために噴口数は少なくしておきたい場合がある。
【0007】
このように、噴口数の切り換えは、エンジンの運転状態によって最適に行うのが望ましい。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る燃料噴射ノズルは、燃圧の作用により独立してリフト可能で、それぞれ個別に噴口を開閉する二つの針弁と、一方の針弁にそのリフトを生じさせる燃圧が作用されたとき、その針弁に閉方向の押圧力を作用してそのリフトを規制するリフト規制手段とを備え、該リフト規制手段が、作動流体の圧力を受けて上記一方の針弁に押圧力を付与するピストンからなり、該ピストンが、上記針弁のリフト時に収縮されるスプリング室から燃料を排出するための燃料通路を有するものである。
【0009】
これによれば、一方の針弁が燃圧を受けてリフトしようとしても、そのリフトはリフト規制手段によって強制的に規制される。これにより、噴口数の増大による噴射圧力の減少及びスモークの悪化を防止でき、エンジンの運転状態によって噴口数の切り換えを最適に行うことができるようになる。また、上記燃料通路が上記針弁のリフト時に収縮されるスプリング室から燃料を排出するため、上記針弁が常時スムーズに動作する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0011】
図1は、本発明に係る燃料噴射ノズルを示す縦断面図である。図示するように、燃料噴射ノズル1においては、ノズルホルダ3の先端部にノズルボディ2がリテーニングナット35で一体的に接続されている。ノズルボディ2は、先端部が円錘状に閉鎖された円筒状に形成されて内部に第1弁ガイド穴4を有し、ノズルホルダ3も円筒状に形成されて内部にスプリング室5を区画する。第1弁ガイド穴4はその先端部が先端側に至るにつれ順次縮径され、この縮径部分が円錘状の弁座6を形成している。そして弁座6の最先端には半球状のホール部7が形成されている。
【0012】
第1弁ガイド穴4には、第1針弁8が摺動自在にかつ昇降自在に収容されている。この第1針弁8は、円筒状に形成されてその外表面部が段差状とされ、その後軸部9が第1弁ガイド穴4に対し摺動し、先端側軸部10が後軸部9より縮径されている。そして後軸部9と先端側軸部10との境目の段差部分が、燃圧(燃料圧力)を作用させるべくテーパ状に形成された第1受圧面11となっている。先端側軸部10の先端面は、弁座6に着座して面接触する円錘状の第1弁シート12となる。
【0013】
第1針弁8は軸心部を貫通する第2弁ガイド穴13を有し、この第2弁ガイド穴13に第2針弁14が摺動自在にかつ昇降自在に収容されている。第2針弁14は、第1針弁8同様、後軸部15が第2弁ガイド穴13に対し摺動し、先端側軸部16が後軸部15より縮径されている。ただしこの第2針弁14は中実の軸状に形成される。先端側軸部16の先端面は円錘状に形成されて弁座6に着座する第2弁シート17をなし、後軸部15と先端側軸部16との境目段差部分が燃圧を作用させるためのテーパ状の第2受圧面18となる。後軸部15の後端面には、その軸心位置に突出軸部19が一体形成されている。
【0014】
特に、ノズルボディ2の先端部には、燃料噴射口としての第1及び第2噴口20,21がそれぞれ貫通形成されている。第1噴口20は、弁座6に開口する入口端が第1針弁8の第1弁シート12により開閉される。即ち、第1針弁8が上昇乃至リフトした際に第1噴口20は開放され、第1針弁8が下降し、第1弁シート12が弁座6に着座した際に第1噴口20は閉止されるようになっている。同様に、第2噴口21も弁座6に開口する入口端が第2針弁14の第2弁シート17により開閉される。
【0015】
第1及び第2噴口20,21は、円周方向に沿って所定間隔をもって複数設けられる。つまり、一方の第1噴口20群は第1針弁8によって全て同時に開閉され、同様に他方の第2噴口21群も第2針弁14によって全て同時に開閉される。第1及び第2針弁8,14は軸方向に沿って相対移動可能で、つまり第1及び第2針弁8,14は、燃圧の作用により独立してリフト可能で、それぞれ個別に第1及び第2噴口20,21を開閉するようになっている。
【0016】
一方、ノズルホルダ3内のスプリング室5には、その径方向外側に第1針弁8を閉方向(先端方向)に付勢する第1リターンスプリング22が、その径方向内側に第2針弁14を閉方向に付勢する第2リターンスプリング23がそれぞれ収容されている。詳しくは後述するが、第2リターンスプリング23は第1リターンスプリング22と同等の設定荷重或いはばね定数とされ、第2針弁14を第1針弁8と同等の燃圧値でリフトさせるようになっている。そしてこれにより、第1針弁8と第2針弁14との開弁圧も同等となる。
【0017】
第1リターンスプリング22の付勢力は第1プッシャ24を介して第1針弁8に伝達される。第1プッシャ24はリング状に形成され、スプリング室5の内周面に対し摺動自在であり、その軸心部には摺動穴25を有する。第1プッシャ24の後端面には、第1リターンスプリング22と第2リターンスプリング23との間を仕切るための突出片26が設けられる。
【0018】
摺動穴25には第2プッシャ27が摺動自在に設けられ、第2プッシャ27は第2リターンスプリング23の付勢力を第2針弁14に伝達する。特に第2プッシャ27は、先端面の係合穴28が第2針弁14の突起軸部19に係合するようになっており、後端面に突出形成された凸部29の周囲部分で、第2リターンスプリング23の端部を嵌合させて位置決めするようになっている。なお、摺動穴25内では第2針弁14の後軸部15も摺動することができ、第1針弁8は所定ストロークのリフトの後、ノズルホルダ3の先端面に当接してそれ以上のリフトが規制されるようになっている。
【0019】
ところで、ノズルボディ2及びノズルホルダ3には、これらの連結時に一連の燃料供給通路30を構成するポート31,32がそれぞれ形成されている。ノズルボディ2のポート31の出口は、図示の如く第1針弁8が弁座6に着座したとき、その第1針弁8の第1受圧面11と対面される位置に油溜室31aを形成して開口されている。そしてノズルホルダ3のポート32の入口は、ノズルホルダ3に突出形成された配管取付部36に開口されている。図示省略するが、配管取付部36には、燃料噴射ポンプから至る燃料供給用の配管が取り付けられる。
【0020】
ノズルホルダ3は中空管状に形成されてその軸心部に中心穴37を有する。そしてノズルホルダ3の上端にはホルダキャップ38が螺合接続されている。なおこれら間からの燃料洩れはパッキン39によって妨げられる。中心穴37には管状の第1アジャスティングスクリュ40が螺合して取り付けられ、第1アジャスティングスクリュ40の内側には同じく管状の第2アジャスティングスクリュ41が螺合して取り付けられる。これらアジャスティングスクリュ40,41は、ノズルホルダ3内にて上記スプリング室5の上端面を区画すると共に、第1及び第2リターンスプリング22,23にそれぞれ当接して、これらスプリング22,23の設定荷重を決定する。
【0021】
そして、ホルダキャップ38内にはリーク燃料室42が区画形成され、アジャスティングスクリュ40,41の上端部はリーク燃料室42内に突出されている。リーク燃料室42は、ホルダキャップ38内のリーク通路43を介して配管取付部材44に連通され、これにより、リーク燃料室42の低圧リーク燃料が、配管取付部材44から図示しない配管を経て燃料タンクに戻される。
【0022】
一方、ホルダキャップ38の上部側には上方に開口する収容穴45が設けられ、この収容穴45は、コマンドピストン46及びスプリング47の挿入後、ボルト48によって閉鎖される。ボルト48はコマンドピストン46との間にシリンダ室49を区画形成する。そしてスプリング47はコマンドピストン46を下方に付勢する。
【0023】
特にコマンドピストン46は、下方つまりノズル先端側に延出するロッド部50を一体的に有する。ロッド部50は、収容穴45の底面に貫通形成されるロッド穴51、及び第2アジャスティングスクリュ41の軸心部に貫通形成される摺動穴52内に摺動自在に挿通され、スプリング室5の軸心部を通過した後第2プッシャ27に当接される。ロッド穴51の内面にはOリング53が設けられる。
【0024】
一方、ホルダキャップ38の上側には、油圧導入部材54が一対のパッキン55を介してボルト48に挟持されている。油圧導入部材54はアイボルト状に形成されて内部に油圧通路56を有し、この油圧通路56はボルト48内部の油圧通路48aを介してシリンダ室49に連通される。
【0025】
また、油圧通路56は油圧配管57を介して電磁弁58に接続され、この電磁弁58は油圧配管59,60を介してオイルギャラリ61及びオイルパン62に接続される。電磁弁58は、コントローラ63からの制御信号(ON/OFF信号)により切り換えられる切換弁であって、ONのときには油圧配管57,59を接続して配管60を閉とし、OFF のときには油圧配管57,60を接続して配管59を閉とする。
【0026】
オイルギャラリ61及びオイルパン62は、図示しないオイルポンプの吐出側及び吸入側に相当する。そこで電磁弁58がONのときには、オイルギャラリ61から油圧導入部材54にエンジン用潤滑油による油圧が導入される。そしてその油圧は、シリンダ室49に侵入してコマンドピストン46を下方に押し付ける。
【0027】
一方、電磁弁58がOFF となれば、潤滑油がオイルパン62に排出されてシリンダ室49内の油圧が下がる。こうなれば、コマンドピストン46に作用していた先の押圧力がなくなる。
【0028】
さて、コマンドピストン46のロッド部50内部には、リーク燃料室42とスプリング室5とを連通する燃料通路64が設けられている。燃料通路64は具体的には、ロッド部50の軸心に沿って設けられる中心穴65と、中心穴65からリーク燃料室42及びスプリング室5にそれぞれ径方向に沿って開口する上部横穴66及び下部横穴67とから構成される。特に下部横穴67は軸方向に沿って所定間隔で三つ設けられる。中心穴65の下端は開放されているが、この開放端は第2プッシャ27の凸部29によって閉塞される。
【0029】
次に、かかる形態の作用について説明する。
【0030】
エンジン運転中、図示しない燃料噴射ポンプからは、エンジン回転数に応じた量乃至圧力の燃料が供給される。この燃料は燃料供給通路30を通じて第1針弁8の先端側軸部10の周囲の隙間に入り込み、特に油溜室31aで第1針弁8の第1受圧面11に作用する。この燃圧が比較的低い値である第1所定値に達したとき、第1針弁8は第1リターンスプリング22の付勢力に逆らってリフトし、第1噴口20を開放する。こうなれば先端側軸部10の周囲の燃料が、第1弁シート12と弁座6との隙間を通じて第1噴口20から噴射されることになる。燃圧が増加すればリフト量も増え、より多くの燃料が噴射されるようになる。
【0031】
第1針弁8がリフトすると、燃料は第2針弁14の先端側軸部16の周囲にも入り込み、第2受圧面18に作用して第2針弁14にリフト方向の力を付与する。しかしながら、エンジン回転数が低速側で、燃料供給通路30に供給される燃圧が比較的低い場合、第1噴口20からの燃料噴射により第2針弁14には一層低い燃圧しか作用しないので、第2針弁14のリフトは生じない。
【0032】
一方、エンジン回転数が比較的高速となって、燃料供給通路30に供給される燃圧が比較的高い値である第2所定値に達したときには、第2針弁14が第2リターンスプリング23の付勢力に逆らってリフトし、第2噴口21を開放させるようになる。そして第1噴口20に加え、第2噴口21からも燃料噴射が行われるようになる。
【0033】
このように、かかる構成にあっては、後述する第2針弁14の閉弁制御を実行しない限り、つまり電磁弁58がOFF とされている限り、供給される燃圧値のみに基づいて噴口数が二段に切り換えられる。なお、コマンドピストン46は、スプリング47によって下方に軽く押さえられつつ、第2針弁14の昇降に合わせて昇降することになるが、このときスプリング47は、コマンドピストン46の昇降に伴うバウンドを確実に防止する。
【0034】
一方、上記閉弁制御を実行するときは、コントローラ63により電磁弁58をONとする。こうすると、オイルギャラリ61から油圧がシリンダ室49に供給され、シリンダ室49内に予め封入された潤滑油の油圧が高められる。そしてこの油圧により、コマンドピストン46が下方に押圧される。このとき、コマンドピストン46の油圧作用面が比較的大きい面積を有するため、倍力効果が働いて比較的小さい油圧でも強力な押圧力を得ることができる。
【0035】
さらにこの押圧力は第2針弁14に伝達され、第2針弁14を下方に押圧し、弁座6に強力に押し付けることになる。そしてこれにより、第2噴口21を強制的に閉鎖することになる。
【0036】
よって、第2針弁14にそのリフトを生じさせる燃圧が作用されたとき、上記の如き第2針弁14の強制的な閉弁制御を実行することにより、噴口数の切換え乃至増加を防ぎ、第1噴口20のみによって燃料噴射を行え、噴射圧力の減少に伴うスモークの悪化を防止することができる。そして、燃圧(送油率)に依存することなく、噴口数の切換制御を任意且つ最適に行うことができるようになる。
【0037】
このように、上記構成にあっては、コマンドピストン46、シリンダ室49、スプリング47、油圧通路56,48a、油圧配管57,59,60、電磁弁58、コントローラ63、オイルギャラリ61及びオイルパン62が、一方の針弁即ち第2針弁14にそのリフトを生じさせる燃圧が作用されたとき、その第2針弁14に閉方向の押圧力を作用してそのリフトを規制するリフト規制手段を構成する。
【0038】
また、コマンドピストン46は、作動流体としての潤滑油の圧力を受けて上記第2針弁14に押圧力を付与するピストンを形成する。
【0039】
次に、図2は噴口数の切換マップを示し、横軸にはエンジン回転数が、縦軸にはエンジン負荷がとってある。図中破線は、かかるリフト規制手段がないとした場合の切換えタイミングを示し、この破線より低回転・低負荷側では第1噴口20のみによる燃料噴射が、高回転・高負荷側では第1及び第2の両噴口20,21による燃料噴射が行われる。この切換タイミングは第2リターンスプリング23の設定荷重に基づいて決定され、この設定荷重の大小に応じ、図示する破線が上下に平行移動することになる。
【0040】
かかる構成によれば、破線よりも高回転・高負荷側の領域に部分的に閉弁制御を実行しない領域A(電磁弁58がOFF の領域)があるのみで、その他の全ての領域Bでは電磁弁58をONとし、閉弁制御を実行するようにしている。特に、破線よりも高回転・高負荷側にある領域Bが、かかるリフト規制手段により新たに閉弁される領域となる。そしてこの場合、領域Aと領域Bとの境界は、エンジン回転数については全回転数に対する40(%) の位置、エンジン負荷については全負荷に対する60(%) の位置に設定されている。これらの位置は実機試験に基づいて決定されたものである。
【0041】
このようにすると以下の利点が得られる。図3に示すように、一般的に燃費に関しては噴射期間に最適値があり、噴射期間がt=30°(CA)以上に増えると燃費が悪化する。そしてこの噴射期間は、噴口数が少なくなると長期化し、多くなると短期化する。
【0042】
従って、かかる構成においては、高回転・高負荷となる領域Aでは噴口数を多くして噴射期間を短期化し、燃費を向上できる。また、低回転・高負荷領域では、噴口数を少なくして噴射圧力を増し、スモークを改善できる。また、いずれの回転数においても低負荷のときは、噴口数を少なくして噴射期間を長期化し、HCを減少できる。
【0043】
また、一般的にエンジン始動時には燃圧が過渡的に上昇し、このため従来の構成では、両方の針弁がリフトして噴口数が増え、燃料の微粒化が図れなかった。かかる構成によれば、第2針弁14のリフトが強制的に規制されるので、燃料の微粒化を図れ始動性も向上できる。
【0044】
なお、このような閉弁制御は、コントローラ63が各種センサからエンジン回転数及び負荷を読み取り、これらと上記切換マップとの比較により、電磁弁58のON/OFF制御を実行することで達成される。このコントローラ63はECU とすることができる。
【0045】
また、上記においては、噴口数の切換回転数を全回転数の40(%) に、切換負荷を全負荷の60(%) にそれぞれ設定したが、この値は任意であり、エンジン特性に応じて別の値に変更が可能である。
【0046】
また、かかる構成にあっては、第2リターンスプリング23の設定荷重が従来より低く、第1リターンスプリング22と同等とされており、第1及び第2針弁8,14の開弁圧が同等となっている。このため、従来より低い回転数・負荷から多噴口での噴射を実行したい場合には大いに有益で、こうしても閉弁制御により閉弁は可能であるからセッティングの幅も拡がり対応能力が増す。
【0047】
加えて、他の特徴としては、コマンドピストン46のロッド部50に燃料通路64を設けた点が揚げられる。上記構成においては、第1針弁8又は第2針弁14のリフト時にスプリング室5の容積が収縮されるが、上記燃料通路64はその収縮に伴い、スプリング室5に封入されたリーク燃料をリーク燃料室42に排出させる役割を果たす。また逆に、第1及び第2針弁8,14の降下時には、スプリング室5の容積拡大ないし膨張に伴いリーク燃料を吸入させる役割を果たす。このように、燃料通路64がスプリング室5へのリーク燃料の往来を許容するため、スプリング室5の加圧及び負圧が防止され、第1及び第2針弁8,14のスムーズな動作を常時可能とすることができる。
【0048】
なお、これに代わって、例えばノズルホルダ3に外部から配管を接続し、これから直接スプリング室5にリーク燃料を給排することも考えられるが、これだと、配管取付部材44に接続する配管の他に、別の配管がもう1本増えてしまって配管が複雑化する。そして、燃料噴射ノズル1の占める占有スペースも拡大し、レイアウト上も不利となる。
【0049】
一方、ロッド部50と摺動穴52との摺動部分は、リーク燃料室42からリーク燃料が流下して潤滑されており、これによりロッド部50の上端部にリーク燃料室42を設けることは必須であり、これを省略して下方のスプリング室5から潤滑を行うことはできない。
【0050】
そこで、かかる構成にあっては、ロッド部50が上下に離間されたスプリング室5とリーク燃料室42とを通過することに着目し、このロッド部50に燃料通路64を設けてその長さを有効に利用し、燃料噴射ノズル1のコンパクト化を図るようにしている。そして燃料通路64は、ロッド部50に穴加工を施すだけなので加工も容易である。
【0051】
なお、従来、特開平8-4625号には、内側の針弁を電磁ソレノイドや油圧シリンダで独立に駆動する燃料噴射ノズルが開示されている。しかしこれだと、針弁の重量が大きくリフトが燃圧によらないので、そのリフト時には針弁に継続的に力を付与する必要がある。このため、電磁ソレノイド式では、開弁時に大電流を継続的に与える必要があり、油圧シリンダ式では開弁・閉弁時ともに常時油圧が必要となる。
【0052】
上記構成においては、第2針弁14のリフトが燃圧によって行われるので、リフトのための別の駆動力が必要がない。また、そのリフトの規制時には駆動力を必要とするが、その駆動力が、既存の駆動源(オイルポンプ)から発生する潤滑油圧力から得られるため、やはり別の駆動力が必要がない。また、電流についても、噴口数の切換えの際に電磁弁58に一瞬流れるのみなので、その消費は無視できる程度である。これらにより、駆動損失は従来に比べ大巾に少なくでき、エンジンの損失馬力を減らし、燃費の悪化等を防止することができる。
【0053】
次に、実開平4-1664号公報においては、内側の針弁と外側の針弁とを燃圧の作用により独立に開閉することができる燃料噴射ノズルが開示されている。しかし、これにおいては、それら針弁に至る燃料通路を切り換えることにより、燃料噴射を実行する針弁を選択するようにしており、その切換えを機械式切換弁で行うため、切換時に瞬間的に燃料の供給が断たれ、燃料噴射が不連続ないし過渡的な特性となり、噴射圧力が急激に上昇する段差をもった特性となる欠点がある。
【0054】
また、一方の針弁が開のときは他方の針弁が閉となるので、最大噴口数を大きくとれない欠点もある。また、高圧噴射の際には燃圧が高いこと、切換弁には摺動部品があること、燃料通路面積を大きくとる必要があること等のため、切換弁の周囲で燃料洩れがあり得ることも予想され、これだと高圧噴射が満足に実行できない。
【0055】
上記構成においては、第1針弁8のリフトを維持しつつ第2針弁14をリフトさせるため、燃料噴射を段差なく連続的に行うことができる。また、両針弁8,14を両方リフトさせられるため最大噴口数を大きくとれる。さらに、高圧の燃料通路を切り換えるものではないため、燃料洩れの心配がなく、高圧噴射を確実に実行することができる。
【0056】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明してきたが、本発明は上記形態に限定されず他の様々な形態を採ることもできる。例えば、リフト規制手段を電磁式或いは機械式とすることもでき、作動流体もエンジン用潤滑油以外の別の作動油や液体、空気等の気体とすることもできる。
【0057】
【発明の効果】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0058】
(1) 一方の針弁の強制的な閉弁制御を実行でき、噴口数の増加に伴うスモークの悪化等を防止することができる。
【0059】
(2) 噴口数の切換制御を任意且つ最適に行うことができる。
(3) 針弁の動作を常時スムーズにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料噴射ノズルの実施の形態を示す縦断面図である。
【図2】噴口数の切換マップを示す。
【図3】噴射期間と燃費との関係を示すグラフである。
【図4】噴射圧力とスモークとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 燃料噴射ノズル
8 第1針弁(針弁)
14 第2針弁(針弁)
20 第1噴口(噴口)
21 第2噴口(噴口)
46 コマンドピストン(リフト規制手段、ピストン)
47 スプリング(リフト規制手段)
48a,56 油圧通路(リフト規制手段)
49 シリンダ室(リフト規制手段)
57,59,60 油圧配管(リフト規制手段)
58 電磁弁(リフト規制手段)
61 オイルギャラリ(リフト規制手段)
62 オイルパン(リフト規制手段)
63 コントローラ(リフト規制手段)
Claims (3)
- 燃圧の作用により独立してリフト可能で、それぞれ個別に噴口を開閉する二つの針弁と、一方の針弁にそのリフトを生じさせる燃圧が作用されたとき、その針弁に閉方向の押圧力を作用してそのリフトを規制するリフト規制手段とを備え、該リフト規制手段が、作動流体の圧力を受けて上記一方の針弁に押圧力を付与するピストンからなり、該ピストンが、上記針弁のリフト時に収縮されるスプリング室から燃料を排出するための燃料通路を有することを特徴とする燃料噴射ノズル。
- 上記リフト規制手段は、高回転高負荷域を除く領域で上記針弁のリフトの規制を行うものである請求項1記載の燃料噴射ノズル。
- 上記一方の針弁の開弁燃圧と他方の針弁の開弁燃圧とが、同等である請求項1又は2記載の燃料噴射ノズル。
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1996
- 1996-04-22 JP JP10016296A patent/JP3666116B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09287539A (ja) | 1997-11-04 |
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