JP3665908B2 - 連続式粉体塗装用円筒型ブースの自動色替え清浄装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は連続式粉体塗装用ブースに係るものであり、かつそれらブースに対する人力による色替え清浄方法及び自動的色替え清浄方法とその装置に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の連続式粉体塗装用ブースというのは、殆どが角型であった。元来、角型ブースの内側というのは、内角型稜線及び角隅の狭隙部などが数多く存在しているもので、粉体塗布作業後には、これら狭隙部内に粉体が入り込み、特に色替え作業時などにおいては、耳掻き一つ程の少量の他色の粉体の残存をも許されず、文字通り、重箱の隅をほじくるような細かい作業が要求され、それらに要する多くの手間と時間の浪費は大きいのみならず、作業衛生上も大きな問題となっていたのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、角型ブース内側の色替え清浄作業の困難性の元兇は、その内側に内角稜線及び内角型角隅などの存在に因る。よって、これらの「無いもの」を使用すれば、上述の難問は一挙に解決されることになる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
連続式粉体塗装用ブース内側面上に、前述の如き、内角型稜線部や角隅部の無いものを追及して行くと、究極には球形となるが、塗装におけるが如く作業道程即ちある長さを必要とする条件下にては、必然的に円筒型が実用的形状となるのである。次にこれら円筒型の構造について説明する。
【0005】
(1) 連続式粉体塗装用円筒型ブースの構造
これらの構造には、横型と縦型との二種があるので、これらを各項目に分けて説明する。
【0006】
1) 横式円筒型ブース。
図1に示すように、円筒型ブースボデイ(1)の軸線(X−X)は水平方向に向けて設置される。同ブースボデイ(1)の前後には、被塗物出入導入筒(4A,4B)が取り付けられ、該導入筒(4A,4B)の両端部に取り付けられた蓋板(15A,15B)上には、被塗物出入口(11A,11B)があけられる。そして、これらブース(10)全体の上面部には、その軸線(X−X)に沿い、かつその直上方部に、一本のコンベアハンガ用通路(2)が、前後を通して一貫してあけられ、また同通路(2)の直上方には、被塗物連続供給装置のコンベアレール(19)が設置されていることは、従来通りである。
【0007】
2) 縦式円筒型ブース
図3に示すように、円筒型ブースボデイ(21)の軸線(Y−Y)を垂直に設置したものである。同ブースボデイ(21)の上部は、上記軸線(Y−Y)に直角に直截されて天板(23)が張られ、同天板のある直径方向に、コンベアハンガ用通路(22)があけられる。また、円筒型ブースボデイ(21)の上下の中間部の両側部上には、同軸線(Y−Y)に交叉してかつ直角方向に、被塗物出入導入筒(24A,24B)が対称的に取り付けられ、同導入筒(24A,24B)の両端の蓋板(34A,34B)上には、被塗物出入口(31A,31B)があけられ、更に、本縦式円筒型ブース(20)の上面部には、上記両側の被塗物出入導入筒(24A,24B)の上面部をも含めて、一本のコンベアハンガ用通路(22)が一貫してあけられている。
【0008】
(2) 清浄方法
本横式及び縦式円筒型ブースに対する色替え清浄方式には人力による方法と自動方式とによる方法との二種があるので、それぞれに分けて説明する。
【0009】
1) 人力による場合
a、横式円筒型ブースに対して
図2参照されたい。横式円筒型ブース内側の円内周面に沿って、クリーナ(15)ノズルの先端の直線状の端縁部を円内周面に平行に接し、円周方向に上方から下方に向けて円弧状に移動(15’)させてやればよい。同壁面上には狭隙部は勿論凹凸部などは全くなく、緩やかな円周のカーブのスムースな滑らかな面であるので、作業は容易、短時間に、そして残留物を全く残すことなく、完璧に清浄化することができるのである。
【0010】
b、縦式円筒型ブースに対して
図4に示す如く、縦式円筒型ブース(21)の内壁の水平型の円内周面に沿って、クリーナ(15)ノズルの先の直線状の端縁部を、同壁の円内周面に平行に接して、水平型の円周方向即ち右(左)から左(右)へ、横方向に円弧状に移動(15’)させてやればよい。前述したように、同内壁面は、緩やかな円周のカーブのスムースな滑らかな面であるので、作業は容易、短時間にて完璧に清浄することができるのである。
【0011】
2) 自動清浄装置による場合
a、横式円筒型ブースに対する自動色替え清浄装置
図5を参照されたい。横式円筒型ブース一方の被塗物出入口(51A)より、片持ち式のクリーナ回転長軸(43)を差し込み、同ブースの中を貫通して他方の被塗物出入口(51B)より突き出し支持する。同クリーナ回転長軸(43,以下略して回転長軸と称す)上にはクリーナ回転移動組立体(60)が嵌合されており、同組立体(60)はクリーナ取付回転体(67)とクリーナ横移動体(68A,68B)とから成り、上記回転長軸(43)の回転により、上記クリーナ取付回転体(67)はキー滑合しているので回転し、他方上記クリーナ横移動体(68A,68B)は、上記回転長軸(43)とは単なる軸遊合しており、また同体はその直上方部を走行するコンベアキャリア(56A,56B)より懸垂されているので、その走行に連れて横移動する。これら双方の合成により、クリーナ取付回転体(67)上に取り付けられているクリーナ(62)の先端部は、横式円筒型ブース内側の円周面上を、スパイラル状に、端から端まで清浄するのである。
【0012】
b、縦式円筒型ブースに対する自動色替え清浄装置
図8及び図10を参照されたい。本装置のクリーナ回転長軸(93,以下回転長軸と略称する)は、縦式円筒型ブースの軸線上に、即ちコンベアハンガ用通路(92)を通して、コンベアキャリア(106)より懸垂されているクリーナ回転上下駆動装置取付台板(111)から、回転長軸(93)が下方に向けて懸垂されている状態において、回転長軸の下端部は、同じく上記軸線上に固定されている下部軸受(95)によって支持される。同回転長軸(93)上にはクリーナ回転上下組立体(101)が嵌合され、又、同組立体(101)は、下部のクリーナ取付回転体(117)とその上部のクリーナ上下作動体(118)とから成り、前者は回転長軸(93)とキー滑合され、その回転により回転し、又、後者は上記クリーナ回転上下組立体(101)上のワイヤ繋結具(119A,119B)を介して、上記クリーナ回転上下駆動装置取付台板(111)上に設けられた、ワイヤウインチ(115)に巻かれる。これらウインチ(115)による上下運動と、上記クリーナ取付回転体(117)上に取付られたクリーナ(62)の回転運動の合成は、縦式円筒型ブース(91)内の内周面上を、スパイラル状に上から下まで清浄するのである。
【0013】
(3) 自動色替え清浄装置の構造
1) 横式円筒型ブース用自動色替え清浄装置
図5及び図6を参照されたい。クリーナ回転長軸(43)は水平片持ち式とし、台車(50)上に、回転駆動装置(47)と共に配設されている。回転長軸(43)は対象とする円筒型ブース(41)の軸線よりも長いものとし、同ブース(41)の一方端より差し込まれた同軸の他端の外部に突き出された部分は、付属の軸受支柱台車(52)により支持される。上記回転長軸(43)上にはクリーナ回転移動組立体(60)が嵌合され、また同組立体(60)は中央部のクリーナ取付回転体(67)と、その両側部に取付られたクリーナ横移動体(68A,68B)とから成り、クリーナ取付回転体(67)の軸穴は、上記回転長軸(43)とキー滑合し(図7,(A))、又クリーナ横移動体(68A,68B)の軸穴は軸遊合し(図7,(B))ている。そしてクリーナ取付回転体(67)上にはその軸線に直角方向に突き出したアーム(61)の先にクリーナ(62)が、その直線状の端縁部(例えばノズル)を円筒型ブース(41)内側の円内周面に平行に接して取り付けられる。また上記クリーナ取付回転体(67)の両側の外側上には、前出のコンベアキャリア(56A,56B)からの懸垂板(57A,57B)に取り付けられている。なお、クリーナ(62)がバキュウム式の場合には、バキュウムエア通路を、上記クリーナ回転移動ブロック(60)内部に設けることができる。先ずクリーナ(62)本体から、アーム(61)の中空管内部を通って、クリーナ回転体(67)内部(64)に入る。そしてその外側にベアリング(70A)を介して摺動結合しているクリーナ横移動体(68A)の摺動面に設けられた環状空気通路(69)即ち回転接手式構造体を通して、外部のバキュームチューブ(83)へと接続されるのである。
【0014】
2) 縦式円筒型ブース用自動清浄装置
図8及び図9参照されたい。コンベアキャリア(106)より懸垂されたクリーナ回転上下装置取付台板(111)上には、縦式円筒型ブース本体(91)の軸線の下方からの延長線に当たる箇所に軸受け(113)が取り付けられ、同軸受けには回転長軸(93)が同軸線上に垂下して取り付けられる。そして同回転長軸(93)の下端は、上記円筒型ブース(91)の底板(97)の上記軸線上に固定された下部軸受(95)とその短軸(96)とに連結される。上述のようにして取付られた回転長軸(93)上にはクリーナ回転上下組立体(101)が嵌合され、また、同組立体(101)は上下の二部に分かれ、下部はクリーナ取付回転体(117)として、その軸穴には滑りキー(98A,98B)が取り付けられて回転長軸(93)上とはキー滑合され、またその上部にはクリーナ上下作動体(118)が取付けられ、ベアリング(102)を介して上記クリーナ取付回転体(117)とボルト結合され、更に同クリーナ上下作動体(118)の上面には、上下用ウインチワイヤ(116A,116B)が繋結される。そして同ワイヤ(116A,116B)の上部は、前出のクリーナ回転上下駆動装置取付台板(111)上に取付られたウインチ(115)に巻かれ、又、回転長軸(93)回転用駆動装置(112)も、上記クリーナ回転上下駆動装置取付台板(111)上に取り付けられる。
【0015】
【作用】
(1) 横式円筒型ブース用自動色替え清浄装置
図5及び図6を参照されたい。水平片持ち式回転長軸駆動台車(50)はストッパ(49)により床面と固定し、駆動機(47)により回転長軸(43)は回転する。するとクリーナ回転移動組立体(60)中の、クリーナ取付回転体(67)は滑りキー(48A,48B)作用により回転し、同時にクリーナ(62)は、横式円筒型ブース(41)内の円内周面に沿って回転し清浄する。ただし、クリーナ回転移動組立体(60)中の他の部体即ちクリーナ横移動体(68A,68B)は、その軸穴の単なる遊合のため、空転している。この時、コンベアキャリア(56A,56B)が移動すると、それらと一体となっているクリーナ横移動体(68A,68B)も移動する。これら双方の運動が合成されて、クリーナ(62)は円筒型ブース(41)内部をスパイラル状に清浄するのである。
【0016】
(2) 縦式円筒型ブース用自動清浄装置
図8を参照されたい。回転長軸駆動台板(111)上の駆動装置(112)の始動により、回転長軸(93)が回転すると、同軸(93)上に嵌合しているクリーナ回転移動組立体(100)中のキー滑合している(図11,(A))クリーナ取付回転体(117)が回転即ちクリーナ(122)が、縦型円筒型ブース(91)内側の円周面に沿って回転する。次に上記回転長軸駆動台板(111)上に併設されているウインチ(115)用ワイヤ(116A,116B)が降下作動すると、それと繋結され、かつ上記回転長軸(93)とは軸遊合されているクリーナ上下作動体(118)が、回転長軸(93)に沿って垂直に降下する。これら双方の運動の合成により、クリーナ(63)はスパイラル状に、上方から下方に移動し、円筒型ブース(91)内壁面を完全に清浄するのである。
【0017】
【実施例】
実施例1.本例は連続式粉体塗装用ブースを円筒型としそれを横式(10)としたものである。図1を参照されたい。即ち円筒型ブースボデイ(1)の軸線(X−X)を水平となしたもので、同ブースボデイ(1)の両端部には、同ブースボデイ(1)の径よりも小径の被塗物出入導入筒(4A,4B)が接続され、更に同出入導入筒の蓋板(5A,5B)上には、被塗物出入口(11A,11B)があけられている。同図には、同被塗物出入導入筒(4A,4B)を円錐型とし、その底部を上記円筒型ブースの直径とを等しくして接続したもので、それらの接続角度の鈍角化を狙ったものである。ただし、同図上仮想線で示すように、円筒型ブースボデイ(1)の両側板の軸線(X−X)上に、小型の円筒(8A,8B)を取り付けてもよい。本円筒型ブース(1)の軸線(X−X)の上方に沿った同ブースボデイ(1)及び両側の被塗物出入筒(4A,4B)の上面上には、一本のコンベアハンガ用通路(2)が一貫してあけられていることは言うまでもない。ブースボデイ(1)が円筒形であるので、人力及び自動機械による清浄作業は容易である。
【0018】
実施例2.本例は連続式粉体塗装用ブースを円筒型としそれを縦型(20)としたものである。図3を参照されたい。即ち円筒型ブースボデイ(21)の軸線(Y−Y)を垂直となしたものである。そして同ブースボデイ(21)の天板(23)上に、同天板の中心を走るコンベアハンガ用通路(22)のあけられたものである。そして該通路の前後の両方向上には、上項実施例1におけると同様に小径の被塗物出入導入筒(24A,24B)が取り付けられ、これらの筒の上面上にも、上記コンベアハンガ用通路(22)が、ブースボデイ(21)上のものと接続してあけられることはいうまでもない。ブースボデイ(21)が円筒形であるので、人力及び自動機械による清浄作業は容易である。なお、本例の縦式円筒型ブースの用途は、特に被塗物の丈が長く、かつ幅が狭く、比較的塗布面積の小なるもの、そして塗布時間も比較的短いものに対して有効である。
【0019】
実施例3.本例及び次の実施例4は、上記二形式の円筒型ブースに対する人力による色替え清浄作業の方法について述べる。本例は横式円筒型ブース(10)に対するものである。図2を参照されたい。同ブース(1)内面は完全な円内周面であり、垂直上面にある曲率半径を持つた緩やかなカーブを有する円内周面である。同面に対し、クリーナ(15)の先端の端縁部を平行に当て、同円周方向に、上方から下方に向けてスムースに接して円弧状に操作すれば付着している粉体は一粒も残らず完璧に除去清浄されるのである。作業は簡単容易、しかも短時間にて完了するのである。なお、クリーナとしては同図にてはバキュウム式が示されているが、その他のブラッシ式、回転ブラッシ式、モップ式、スクレーパ式、エアジェット式、水噴出式、更に乾燥仕上げ用として温風吹き付け式など、各種のクリーナが使用できることはいうまでもない。
【0020】
実施例4.本例は縦式円筒型ブース(20)に対する人力による色替え清浄作業方法である。図4を参照されたい。本例の場合には、円筒型ブース(21)内壁面の曲率半径が水平面上にあるので、クリーナの使用方法は、上項横式円筒型ブースの場合とは異なって、クリーナ(15)の操作法、クリーナ(15)はその先の端縁部を垂直に平行に当て、円周方向即ち水平方向に右(左)から左(右)へと接して移動し清浄する。そして環状に上から下へと段階的に逐次移動して清浄して行くのである。ただし、同ブース(21)内の天板(23)と底板(25)との環状内角隅部だけは、スムースに清浄することができないので、従来の方法で行うことは避けられない。
【0021】
実施例5.本例及び次項の実施例6は、機械による自動清浄装置である。先ず本例は前記実施例1における横式円筒型ブース(10)に対する自動色替え清浄装置である。図5及び図6を参照されたい。その構造を説明する。クリーナ回転長軸(43)は水平片持ち式とし、その軸受け支持柱(54)は台車(50)上に載せられた回転軸(43)の回転駆動装置(47)と長軸挿入位置決定時に、床と台車とを固定させるストッパ(49)も共に配設されている。本装置の稼働前、先ず回転長軸(43)は上記横式円筒型ブース(10)内に被塗物出入口(51A)より差し込まれ、回転長軸(43)の他端が反対側の被塗物出入口(51B)より突き出た箇所を付属の回転軸受け支持柱ストッパ付き台車(52)により支持される。上記回転長軸(43)上には、コンベアキャリア(56A,56B)より懸垂されたクリーナ回転移動ブロック(60)が嵌合されている。そして同ブロック(60)は、クリーナ取付回転体(67)とクリーナ横移動体(68A,68B)とより成っている。クリーナ取付回転体(67)の軸孔内には滑りキー(48A,48B)が取り付けられ回転長軸(43)とはキー滑合(図7(A))されているが、クリーナ横移動体(68A,68B)は2個とし同クリーナ取付回転体(67)の両側にそれぞれベアリング(70A,70B)を介してボルト結合され、また同クリーナ横移動体は、回転長軸(43)とは軸遊合(図7(B))されている。更に又、該両側のクリーナ横移動体(68A,68B)は、その外側には、前述したように、コンベアキャリア(56A,56B)よりの懸垂板(57A,57B)が取り付けられている。上記クリーナ取付回転体(67)上には、直角に外方に向けてアーム(61)が、又その先にはクリーナ(62)が取り付けられ、その先端の直線状の端縁部(フラットノズルなど)がブース内の円内周面に平行に接している。クリーナ(62)には、前述したようにバキュウム式、ブラッシュ式、回転ブラッシュ式、モップ式、スクレーパ式、水噴出式、エアジェット式、温風噴出式等、何れでも適切なものが取り付けられるが、バキュウム式の場合には、そのバキュウムエアの通路(64及び69,81)が、上記クリーナ取付回転体(67)及びクリーナ横移動体(68A)の内部(69及び81)に設けられるのである。特にクリーナ取付回転体(67)とクリーナ移動体(68A)との両側における結合部の一部は摺動面となり、環状空気通路(69)を介して、外部へのバキュウムチューブ(83)と回転接続される。
【0022】
次にその作用を説明する。回転長軸片持ち台車(50)上の回転駆動装置(47)により、回転長軸(43)が回転する。すると、クリーナ回転移動組立体(60)の中のクリーナ取付回転体(67)は回転長軸(43)とキー滑合されているので回転する。即ちクリーナ(62)が円筒型ブース内壁面を円周方向に向けて清浄するのである。と同時に、コンベアキャリア(56A,56B)が移動すると、それに連れて、上記クリーナ回転移動ブロック(60)の中のクリーナ横移動体(68A,68B)は、軸遊合しているので、そのまま軸方向に即ち横移動する。上述のクリーナ(62)の回転運動と、横移動の合成により、クリーナ(62)は円筒型内壁面内をスパイラル状に清浄するのである。
【0023】
実施例6、本実施例は前述の実施例2の縦式円筒型ブース(20)に対する自動色替え清浄装置である。先ず本装置(100)の構造作用を説明するが、その前に、本装置を縦式円筒型ブースボデイ(91)内にセットする手段を説明する。本装置(100)は、コンベアキャリア(106)から懸垂されるクリーナ回転上下駆動装置取付け台板(111)から、更に懸垂されたクリーナ回転長軸(93)と、更に同軸(93)上に嵌合されるクリーナ回転上下組立体(101)とから成る。そして上記クリーナ回転上下駆動装置(110)は比較的高さ(H1 )が低いので、コンベアレール(105)の下方、縦式円筒型ブース(91)の上面との間に収められる。そして上記クリーナ回転上下組立体(101)は上記円筒型ブース(91)内部に収められなければならない。その収納法を説明する。収納する直前、本装置(100)は、図8上、仮想線で示すように、コンベアキャリア(106)により、本縦式円筒型ブース(91)の被塗物出入口(141A)の外側に待機させる。そしてクリーナ回転上下組立体(101)は取付られたクリーナ(122’)と共に、上記被塗物出入口(141A)部の位置まで下げられ、同口(141A)より被塗物導入筒(94A)内に進入せしめる。その際、上記被塗物出入口(141A)の幅(W)が、図9に見られるように、上記クリーナ回転上下組立体(101)の外径(D)より小なる場合には、同出入口部に設けられた開閉式扉(136A,136B)を開いて、その幅(W1 )を拡げ、上記組立体(101)を懸垂状態の下に通過せしめる。そして同組立体(101)即ちクリーナ回転長軸(93)が該円筒型ブース(91)の軸線上に達した時に、同長軸(93)は停止してセットされる。そして前述したような構造の下に本装置は作動を開始するのである。
【0024】
上述のようにして、本装置(100)が縦型円筒ブース内に組み込まれた構造体について説明する。コンベアキャリア(106)から懸垂された台板(111)上には、クリーナ回転上下駆動装置(110,以下駆動装置と略称する)上には各種装置が配設されている。即ち同台板(111)の中心部にはクリーナ回転長軸(93)用軸受け(113,114)が、そしてその周辺にはクリーナ回転長軸駆動装置(112)、及びクリーナ回転上下組立体(101)上下用ウインチ(115)等である。そして同台板(111)の下方、かつ回転長軸(93)上には、クリーナ回転上下組立体(101)が、同軸(93)と一部がキー滑合、他部が軸遊合されている。ただし、同組立体(101)は、上下の二体に分かれ、下部はクリーナ取付回転体(117)として、その軸孔には滑りキー(98A,98B)が取り付けられて軸の回転方向には回転力が伝動され、かつ軸方向には滑合(スライド)し(図11(A))、又、その上方部には、上記クリーナ取付回転体(117)と軸受け(102)を介してボルト結合されたクリーナ上下作動体(118)として構成されている。
【0025】
なお上記回転長軸(93)の下端部は、同筒型ブースボデイの底板(97)上、かつ同軸線上に固定された軸受け(95)及びその短軸(96)に結合される。なお、クリーナ(122)としては、ハキュウム式その他各方式が適用されることは前項の実施例5にて述べたと同様である。ただし、バキュウム式の場合には、図10に示すように、アーム(121)は中空管とし、その中空部の付け根はクリーナ取付回転体(117)内の空気通路(129)と接続し、又同通路は、その上部のクリーナ上下作動体(118)に体する摺動面(123,124)にて、同クリーナ上下体(118)の環状空気通路(130)と接続し、又同通路は外部へのパイプ(132)及びチューブ(134)等を介して別置の粉体分離回収装置(図面不示)へと接続される。
【0026】
次に作用について説明する。まず、クリーナ回転上下駆動装置取付台板(111)上の駆動機(112)の回転により回転長軸(93)が緩やかに回転する。同軸上にキー滑合しているクリーナ取付回転体(117)が回転し、同体上に取り付けられているアーム(121)を介してクリーナ(122)の先端が円周面を画いて回転し、円筒型ブース内の円内周面に接しつつ清浄する。続いて、上記クリーナ回転上下駆動台板(110)上のウインチ(115)が作動し、ワイヤ(116A,116B)を巻きほぐすと、それに繋結されているクリーナ上下作動体(118)は緩やかに降下する。それに結合されているクリーナ取付回転体(117)も同時降下し、クリーナ(122)は上記の回転運動と降下運動の合成により、スパイラル状に、内円周面を全面清浄する。なお、バキュウム式クリーナを使用する場合には、そのバキュウムエアは、クリーナ回転体(117)内部のエア通路(129)を通りその上部のクリーナ上下作動体(118)との摺動面(124)上に設けられた環状空気通路(130)に連通し、同じく同体内部の空気通路(131)を通って外部のエア管及びエアチューブ(134)を通って別置の粉体分離回収装置へと送られる。
【0027】
【発明の効果】
粉体塗装における色替え作業に当っては、前段作業に使われた色の粉体の残存は耳掻き一つたりとも許されないということはよく言われている所である。何故なら、その一掻きのある色の粉体は、次の新しい色に混ざると微妙な色の変化をもたらすからである。よって色替え作業時には、前の粉体塗料の徹底的除去即ち完璧な清浄化が望まれているのである。しかるに、従来、粉体塗装用ブースというのは、角状であるのが一般的であった。それ故に、その内部には、数多くの角隅の狭隙部や内角稜線部などが存在し、それらの中に入り込んだ粉体の、一掻きたりとも残存は許されないという徹底的除去には多くの手間と時間とを要したものであった。特にブース内部の衛生環境は最悪で、長時間作業も重大な問題であった。
【0028】
本発明は、これらブース内部に存在していた数多くの狭隙部を皆無とし、即ち境界部なしの円筒型ブースとなしたものである。従ってブースの内部は全周円内周面で囲まれているので、一箇所の狭隙部は全く存在せず、一定の曲率半径の下に滑かな金属板をもって覆われているのである。よってクリーナなどによって清浄化する場合にも、一方向に、ワンアクションの作動だけでよく、しかも一掻きの残存物をも残すことなく、全面を鏡のごとく清浄化することができるのである。上述の作業は手力によって容易に、かつ短時間に行うことができる。例えば従来、ある大きさの角型ブースの内部の清浄に60分を要したものを、それとほぼ同容量の円筒型ブースのそれに対しては約15分で、しかもより完全に清浄化することができたのである。作業衛生上の大きな改善であると思っている。更に、これを自動化することも容易にできる。これはブース本体が円筒型であるからこそ可能なのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続式粉体塗装用(以下同じにつき省略する)横式円筒型ブースの斜視図である。
【図2】上図の正断面図で、その内部での作業員の清浄作業状態説明図である。
【図3】縦式円筒型ブースの斜視図である。
【図4】上図の側断面図で、その内部での作業員の清浄作業状態説明図である。
【図5】横式円筒型ブース内部に自動色替え清浄装置を組込んで自動清浄作業中の状態説明図である。
【図6】同上図“A”部の拡大断面図である。
【図7】同上図“B”−“B”及び“C”−“C”の切断面図である。
【図8】縦式円筒型ブース内部に自動色替え清浄装置をセットして自動清浄作業中の状態説明図である。
【図9】同上図における“M”矢視図である。
【図10】図8上“G”部の拡大断面図である。
【図11】同上図“J”−“J”及び“K”−“K”の切断面図である。
【符号の説明】
1,41:横式円筒型ブースボデイ
1B,41B:横式円筒型ブースの内面
2,22,42,92:コンベアキャリア
5A,5B,34A,34B:被塗物出入導入管蓋板
10,40:横式円筒型ブース装置
15,62,122:クリーナ
21,91:縦式円筒型ブース
43,93:クリーナ回転長軸
50:水平片持式回転長軸駆動台車
52:回転長軸先端軸受台車
56A,56B,106:コンベアキャリア
60:クリーナ回転移動組立体
67:クリーナ取付回転体
68A,68B:クリーナ横移動体
100:縦式円筒型ブース用自動色替え清浄装置
101:クリーナ回転上下組立体
110:クリーナ回転上下駆動装置
111:クリーナ回転上下駆動装置取付台板
112:回転駆動機
113,114:クリーナ回転長軸用軸受
115:ワイヤウインチ
116A,116B:ウインチ用ワイヤ
117:クリーナ取付回転体
118:クリーナ上下作動体
121:クリーナ用アーム
Claims (2)
- 連続式粉体塗装用横式円筒型ブース(41)の色替え清浄作業時に少なくともそのクリーナ(62)部分が該横式円筒型ブース(41)の内部に取込まれて位置される自動色替え清浄装置であって、
長軸水平片持ち式兼回転駆動装置付台車(50)に一端を軸支され、該横式円筒型ブース(41)の内部に取込まれたときに該横式円筒型ブース(41)の横軸線上に位置され、その他端部を軸受け支柱台車(52)により軸支されて該長軸水平片持ち式兼回転駆動装置付台車(50)に設置した回転駆動装置(47)により回転駆動される回転長軸(43)と、
該横式円筒型ブース(41)の上方に位置したコンベアレール(55)上を走行可能に設けたコンベアキャリア(56A、56B)と、
該コンベアキャリア(56A、56B)により懸垂支持され該コンベアキャリア(56A、56B)の走行により該回転長軸(43)に嵌合案内されて横行自在に設けられ該横式円筒型ブース(41)の色替え清浄作業時に該横式円筒型ブース(41)内部に取込まれるクリーナ回転移動組立体(60)と、からなり、
該クリーナ回転移動組立体(60)は、その中央部に配置されたクリーナ取付回転体(67)と、その両側に軸受け(70A、70B)を介して取付けられ該コンベアキャリア(56A、56B)により垂下支持されかつその軸穴が該回転長軸(43)に対して軸遊合された二個のクリーナ横移動体(68A,68B)を含み、
該クリーナ取付回転体(67)は、さらに、その軸穴が該回転長軸(43)にキー滑合されて該回転長軸(43)により回転駆動されると共に、該クリーナ取付回転体(67)には該回転長軸(43)の横軸線と直交する方向に伸びたアーム(61)を介してクリーナ(62)を取付け、色替え清浄作業時に該横式円筒型ブース(41)内部に取込まれた状態で該クリーナ(62)の先端の端縁部が該横式円筒型ブース(41)の円内周面に沿って平行に接して取り付けられる構成とし、
該クリーナ取付回転体(67)を該回転駆動装置(47)により回転長軸(43)とともに回転駆動させると共に、該コンベアキャリア(56A、56B)を走行させてクリーナ横移動体(68A,68B)を介して回転長軸(43)に沿わせて横行させることにより、クリーナ(62)をスパイラル状に横式円筒型ブース(41)の内部で一端側から他端側へと移動させ、横式円筒型ブース(41)の円内周面を清浄する構成としたことを特徴とする連続式粉体塗装用横式円筒型ブース用自動色替え清浄装置。 - 連続式粉体塗装用縦式円筒型ブース(91)の色替え清浄作業時に少なくともそのクリーナ(122)部分が該縦式円筒型ブース(91)の内部に取込まれて位置される自動色替え清浄装置(100)であって、
該縦式円筒型ブース(91)の上面(99)よりも上方に位置したコンベアレール(105)上を走行可能に設けたコンベアキャリア(106)と、
該コンベアキャリア(106)により懸垂支持され前記縦式円筒型ブース(91)の上面(99)よりも上方に位置させて設けたクリーナ回転上下駆動装置(110)と、
該クリーナ回転上下駆動装置(110)に軸受け(113、114)を介して回転自在に垂下され、該縦式円筒型ブース(91)内部に取込まれたときに該縦式円筒型ブース(91)の縦軸線上に位置され、その下端部を下部軸受け(95)に軸支されて該クリーナ回転上下駆動装置(110)により回転駆動される回転長軸(93)と、
該クリーナ回転上下駆動装置(110)により該回転長軸(93)の回りでかつ該回転長軸(93)に嵌合案内されて上下動自在に垂下されて設けられ、該縦式円筒型ブース(91)の色替え清浄作業時に該縦式円筒型ブース(91)内部に取込まれるクリーナ回転上下組立体(101)と、からなり、
該クリーナ回転上下組立体(101)は、該クリーナ回転上下駆動装置(110)により巻きほぐし又は巻き込み可能なワイヤ(116A、116B)によって繋結されかつその軸穴が該回転長軸(93)に対して軸遊合されたクリーナ上下作動体(118)と、該クリーナ上下作動体(118)の下部に位置し、該クリーナ上下作動体(118)に対して軸受け(102)を介して回転可能に支持されて設けられたクリーナ取付回転体(117)とを含み、
該クリーナ取付回転体(117)は、さらに、その軸穴が該回転長軸(93)にキー滑合されて該回転長軸(93)により回転駆動されると共に、該クリーナ取付回転体(117)には、該回転長軸(93)の縦軸線と直交する方向に伸びたアーム(121)を介してクリーナ(122)を取付け、色替え清浄作業時に該縦式円筒型ブース(91)内部に取込まれた状態で該クリーナ(122)の先端の端縁部が該縦式円筒型ブース(91)の円内周面に平行に接して取り付けられる構成とし、
該クリーナ取付回転体(117)を該クリーナ回転上下駆動装置(110)により回転長軸(93)とともに回転駆動させると共に回転長軸(93)に沿って降下させることにより、クリーナ(122)をスパイラル状に縦式円筒型ブース(91)の内部で上方から下方に移動させ、縦式円筒型ブース(91)の円内周面を清浄する構成としたことを特徴とする連続式粉体塗装用縦式円筒型ブース用自動色替え清浄装置。
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